ウリ科植物の抽出物またはウリ科植物の抽出物から単離した精製抽出物から構成される抗脂肪生成および抗肥満活性を有する組成物
本発明は、抗脂肪生成および高肥満活性を有するウリ科植物の抽出物またはウリ科植物の抽出物から単離した精製抽出物、およびそれから構成される組成物に関する。本発明のウリ科植物の抽出物は体重を減少させ、血液中のトリグリセリド及びコレステロールレベルを低下させ、PPARアルファ及びデルタの働きを活性化させ、ステアロイルCoAデサチュラーゼの遺伝子発現を抑え、毒性を持たない脂肪前駆細胞からの脂肪生成を抑制する強力な効果を有する。したがって本発明の抽出物は薬品もしくはヘルスケア食品の形態で肥満及び脂肪生成関連疾病を予防するために有効に利用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウリ科植物の抽出物またはウリ科植物の抽出物から単離した精製抽出物から構成される、抗脂肪生成および抗肥満活性を有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪生成とは、前脂肪細胞が成熟した脂肪細胞に分化する過程のことであり、細胞質小器官に脂質滴と言われる脂質が蓄積し、肥満、糖尿病、脂肪症、冠状動脈性心臓病等の様々な成人病を引き起こす危険性があることが知られている。線維芽細胞といった前駆脂肪細胞が分化して成熟脂肪細胞となり、脂質滴がその内部に形成される。分化のメカニズムは3T3−L1といった特定の細胞株を使用して研究されてきた。脂肪細胞の分化は形態、ホルモン感受性、遺伝子の発現における連携した変化を伴う複雑な過程である。これらの変化はC/EBP(CAATエンハンサー結合タンパク質)、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)、ADD/SREBP(脂肪細胞決定分化依存性因子1/ステロール調節エレメント結合タンパク質)等のいくつかの転写因子によって制御されている(Bart A Jessen他。Gene, 299, pp95−100, 2002; Darington 他。J. Biol. Chem., 273, pp30057−30060, 1998; Brun R.P 他。Curr. Opin. Cell. Biol., 8, pp826−832, 1996)。脂肪細胞の分化において、これらの転写因子は異なる段階で誘導され機能的に相互作用し、遺伝子の発現を制御することで脂肪生成と脂質生成とを行う。例えば、C/EBPベータおよびデルタ因子は、MDI(イソブチルメチルキサンチン、デキサメタゾン、インシュリン)等の外的ホルモン刺激によって一時的に過剰発現されると脂肪細胞の分化を引き起こし(Reusch J. E.他。Mol. Cell. Biol., 20, pp1008−1020, 2000)、続いてC/EBPアルファおよびPPARガンマの増加を誘導する(James M. N. 他。J. Nutr., 130, pp3122S−3126S, 2000)。特に、脂肪細胞においては主にPPARガンマが発現し、脂肪生成を決定する鍵となる転写因子である。PPARガンマはRXR(レチノイン酸X受容体)とヘテロ二量体を形成し、脂肪生成に関係する様々な遺伝子のプロモーター中のPPRE(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)に結合する(Tontonoz P. E. 他。Genes Dev., 8, pp1224−1234, 1994)。脂肪細胞の分化においてC/EBPアルファとPPARガンマとの相互作用は非常に重要であり、これらの因子が脂肪酸結合タンパク質であるaP2および脂質代謝酵素等の脂肪細胞に特異的な遺伝子の発現を制御する。特に、ADD1/SREBPは脂質生成およびインシュリン刺激による遺伝子発現においても重要な役割を果たしており、ADD1/SREBP1cの発現はPPARガンマの活性化につながる(Rosen E.D.他。Annu. Rev. Cell Dev. Biol., 16, pp145−171, 2000; Osborn T. F., J. Biol. Chem., 275. pp32379−32382, 2000)。分化を終えた脂肪細胞は脂質を合成し、トリグリセリドとして貯蔵する。
【0003】
その一方で、脂質代謝の恒常性は脂肪の合成と分解との釣りあいによって保たれている。ADD1/SREBP1は脂肪酸、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質等の合成をコントロールしている(Horton J. D. 他。J. Clin. Invest., 109, pp1125−1131, 2002)。SREBPは約1150個のアミノ酸前駆体として合成され、小胞体と核膜に結合している。活性であるためには、細胞核に入ることができるように膜結合型SREBPをタンパク質分解により切断してN末端セグメントを遊離しなければならない。切断したSREBPは核型を指定し、制御遺伝子プロモーター内のSRE(ステロール調節型エレメント)に結合する。SREBPアイソフォームの1つであるSREBP1cによって制御される遺伝子にはACL(ATPシトレートリアーゼ)、ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)、FAS(脂肪酸合成酵素)およびSCD(ステアロイルCoAデサチュラーゼ)等が挙げられる(Osborn T. F. 他。J. Biol. Chem., 275, pp32379−32382, 2000; Soazig L. L. 他。J. Biol. Chem., 277, pp35625−35634, 2002)。PPARアルファが、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、アポタンパク質、ACO(アシルCoAオキシダーゼ)、チオラーゼ等の脂質代謝酵素を制御することで(Dreyer C他。Cell, 68, pp879−887, 1992)脂質分解の制御における重要な役割を担っていることは以前から報告されていた(Beisiegel U., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 96, pp13656−13661, 1999)。
【0004】
肥満は長年に渡る、エネルギー摂取とエネルギー消費の不均衡から脂肪蓄積量の増大が起こったものである。肥満のメカニズムは完全には理解されていないが、複雑な相互作用関係にある神経、ホルモン、遺伝的、環境的要素が西洋風の食事により肥満の蔓延を引き起こしていると考えられている。脂肪の過剰な蓄積は糖尿病、高血圧、異常脂質血症、心疾患等の様々なメタボリック症候群を高い確率で引き起こすリスク要因になり得る(Manson他。New England J. Med., 333, pp677−685, 1995; Kopleman P. G., Nature, 404 pp635−643, 2000; Must他。JAMA 282, pp1523−1529. 1999)。
【0005】
ゼニカル(登録商標、スイス・ロシェ社)、リダクティル(登録商標、米国・アボット社)、エクソリゼ(登録商標、フランス・アトファルマ社)等が代表的な抗肥満薬として良く知られているが、心臓病、呼吸器疾患、ニューロン系疾患等の副作用があることから、より効果的な薬剤への需要がある。
【0006】
近年の抗肥満薬開発の焦点は、食事量の減量、カロリー摂取の阻害、発熱反応の刺激、エネルギー代謝の調整、ニューロン神経系を通じてのシグナル伝達のコントロールである(Kopleman P. G., Nature, 404 pp635−643, 2000)。効果的な抗肥満薬を開発する試みは今までにも多くなされてきたが、安全性はもとより強力な効き目を示す、満足のいく薬剤はいまだ開発されていなかった。
【0007】
従って、その安全性が証明されている天然成分を用いて効果的な抗肥満薬の開発を試みるほうが、合成物質を用いるよりもずっと効果的である。
【0008】
双子葉植物網ウリ科に属する植物のほとんどは一年生または多年生のつる植物であり、熱帯および亜熱帯域に分布する。中でも、Melothris japonica、Schzopepon bryoniaefolius、Gynostemma pentaphyllumとその同類が分布しており、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、きゅうり(Cucumis sativus L)およびその同類が韓国で栽培されている。
【0009】
ククルビチンと、リノール酸、オレイン酸、カロチン等の油脂を含むカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)の駆虫作用;シトルリン、アラニン、果糖、グルコース等を含むスイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)の強力な利尿作用;洗浄用品としてのヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM);配糖体、コーヒー酸、ククルビタシン等を含むきゅうり(Cucumis sativus L)の利尿作用が、文献により報告されている(Chung B. S他。HyangyakDaesajeon, Young−rim出版。pp945−957, 1998)。
【0010】
しかしながら、上記記載のいずれの文献も、強力な抗肥満効果を示すウリ科植物の抽出物の肥満予防または治療活性を報告・開示していない。また、上記文献の開示は参照することにより本発明に含まれるものとする。
【0011】
ウリ科植物の抽出物の抗肥満効果を調査するため、本発明の発明者は脂肪細胞分化とトリグリセリド、脂肪細胞分化に関係するPPARガンマ因子、ACOI、アポCIII等の遺伝子の発現に対する様々な試験管内実験と、脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積に対する阻害効果および実験動物の体重の減少効果に関する動物実験を集中的に行った。これらの研究結果より、本発明のウリ科植物の抽出物が脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積を強力に阻害し被験動物の体重を減少させることから強力な抗肥満薬として有用なことを確認することで、発明者は本発明を最終的に完成させるに至った。
【発明の開示】
【0012】
従って、本発明は抗脂肪生成活性と抗肥満活性とを有するウリ科植物の抽出物または抽出物から単離した精製抽出物とを有効成分として、肥満と脂肪生成関連疾病を治療・予防するに効果的な量で含む医薬品組成物を提供するものである。
【0013】
ここでいう「精製抽出物」とは本発明の発明者が命名した独創的な「CMC−9」を含むものであり、以下の:ウリ科植物を乾燥させたものに重量で約5〜15倍の蒸留水を添加し抽出して植物抽出物を得たあと、抽出物を減圧下で濾過および乾燥させて温水に可溶な植物抽出物を得る第1工程と;前記温水可溶性抽出物を水に懸濁させたあと、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール溶媒による分別に極性の低い順で供してそれぞれの有機溶媒に可溶な成分を得る第2工程と;前記クロロホルム可溶性成分をヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分に分ける第3工程と;前記副成分のうち第9番目の成分をクロロホルム:メタノールの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーとHPLCに繰り返し供し、「cmc−9」と命名された、図12にTLCスペクトルを示す本発明の独創的な精製抽出物を得る工程から構成される方法で調製することができる。
【0014】
ゆえに、本発明は上記記載の方法で調製した、強力な抗脂肪生成および抗肥満活性を有する新規性のあるcmc−9精製抽出物と、その調製方法を提供するものである。
【0015】
ここでいう「ウリ科植物」とは、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria STANDL. var. depressa HERA)、およびきゅうり(Cucumis sativus L)、好ましくはカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)を含むものである。
【0016】
上述の「材料」には、ウリ科植物のハーブ、果実、茎葉、好ましくは茎または葉が含まれる。
【0017】
上述の「抽出物」には、ウリ科植物のハーブ、果実、茎葉、好ましくは茎または葉からの未精製抽出物または無極性溶媒に可溶な抽出物が含まれる。
【0018】
従って本発明の目的は、肥満と脂肪生成関連疾病の治療と予防のための、ウリ科植物の未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物を有効成分として含む医薬品組成物を提供することである。
【0019】
ここでいう「未精製抽出物」とは、植物材料を水、メタノールやエタノール等の低級アルコール、好ましくはメタノール等、またはその混合物で抽出することで調製された抽出物を含むものである。
【0020】
ここでいう「無極性溶媒可溶性抽出物」とは、上記の未精製抽出物を例えばヘキサン、酢酸エチル、またはジクロロメタン、好ましくは酢酸エチル等の無極性溶媒で抽出することで調製することができる。
【0021】
本発明の目的は、人間を含めた哺乳類の肥満および脂肪生成関連疾病の治療と予防用の治療薬を製造するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物の用途を提供するものである。
【0022】
本発明の目的は、哺乳類の肥満および脂肪生成関連疾病の治療または予防方法を提供するものであり、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物を製剤的に許容範囲にある担体とともに、前記哺乳類に効果的な量を投与することを含む。
【0023】
本発明の別の目的は、肥満および脂肪生成関連疾病を予防・緩和するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物と食品学的に許容範囲にある添加物から構成されるヘルスケア食品または食品添加物を提供するものである。
【0024】
「肥満および脂肪生成関連疾病」という単語には、肥満、2型糖尿病、脂肪症、高脂血症、心疾患、アテローム性動脈硬化症等が含まれる。
【0025】
本発明の医薬品組成物は、組成物の総重量あたり、上記抽出物を約0.02〜90%含み得る。
【0026】
本発明のヘルスケア食品は上記抽出物を、組成物の総重量につき、0.01〜80%、好ましくは1〜50%含む。
【0027】
上記のヘルスケア食品はヘルスケア食品、健康飲料等に含有させてもよく、粉末、顆粒、錠剤、チュアブル錠、カプセル、飲料等として使用しても良い。
【0028】
ウリ科植物から得られる本発明の独創的な未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物は、以下の好ましい態様に従って調製してもよい。
【0029】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0030】
ウリ科植物から得られる本発明の独創的な未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物は、以下の手順で詳細に調製することができる。
【0031】
ウリ科植物から得られる独創的な未精製抽出物は、以下のようにして調製することが可能である;カボチャ、スイカ、ヘチマタワシ等のウリ科植物の茎または葉を乾燥、切断、圧搾したあと、体積で1〜25倍、好ましくは約5〜15倍の蒸留水、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールまたはその混合物と混合する。好ましくはメタノールである;溶液を20〜100℃、好ましくは70〜100℃の温水で30分〜24時間、好ましくは30分〜3時間かけて、温水抽出、冷水抽出、還流抽出、超音波抽出等の抽出法で1〜5回、好ましくは2〜3回連続して処理する;残留物をろ過して上清を得た後、ロータリーエバポレータで20〜100℃、好ましくは50〜70℃で濃縮し、その後、真空凍結乾燥、熱風乾燥、または噴霧乾燥によって乾燥させてウリ科植物の未精製抽出物の乾燥粗粉末を得る。この粉末は水、低級アルコール、またはその混合物に可溶である。
【0032】
また、極性溶媒および無極性溶媒に可溶な本発明の抽出物を、以下の手順で調製することができる;上記記載の工程で得られた未精製抽出物を水に懸濁させ、その後、体積で1〜100倍、好ましくは1〜5倍の量の酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン等の無極性溶媒と混合する;無極性溶媒可溶層を回収して、本発明の無極性溶媒に可溶な抽出物を得る。また、残りの極性溶媒可溶層を回収して、本発明の極性溶媒に可溶な抽出物を得る。極性溶媒に可溶な抽出物は水、低級アルコール、およびその混合物に可溶である。また、上記記載の工程に改良を加えたり、当技術分野で周知の従来法を用いてより強力な成分または化合物に分別または単離する工程にさらに供してもよい。方法としては、例えば、文献に開示されているものが挙げられる(Harborne J. B. Phytochemical methods: A guide to modern techniques of plant analysis, 3rd Ed. pp6−7, 1998)。
【0033】
また、最も強力な抗脂肪生成活性と抗肥満活性を示すクロロホルム可溶性成分を、ヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分を得る;このようにして得られた副成分の中でも最も強力な抗脂肪生成活性と抗肥満活性を有する9番目の成分を、クロロホルム:メタノール(30:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーと、20〜70%のメタノールを移動相とし、40%メタノールを流速2ml/mで使用したHPLCに繰り返しかけて独創的な「cmc−9」抽出物を得ることで、本発明の独創的な「CMC−9」を調製することができる。図12に示すように、TLC溶出溶媒システム(クロロホルム:メタノール=20:1)でcmc−9は26.8分後に溶出、Rf値は0.32であった。
【0034】
本発明な独創的な抽出物の抗肥満効果を調査するため、本発明の発明者は脂肪細胞分化およびトリグリセリド、脂肪細胞分化に関係するPPARガンマ因子、ACOI、アポCIII等の遺伝子の発現に対する阻害効果に関する様々な試験管内実験と、脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積に対する抑制効果および実験動物の体重の減少効果に関する動物実験を集中的に行った。これらの研究結果より、本発明のウリ科植物の抽出物は脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積を強力に阻害し被験動物の体重を減少させることから強力な抗肥満薬として有用なことを確認した。
本発明による抽出物は、製剤的な観点から許容範囲にある担体、アジュバントまたは希釈剤を含有する製剤組成物として提供することができる。例えば、本発明の抽出物はオイル、プロピレングリコール、または注射剤を製造する際に通常使用するその他溶媒に溶解させることができる。適当な担体の例としては、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物性油、ミリスチン酸イソプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。外用としては、本発明の抽出物を軟膏やクリームにすることが可能である。
【0035】
本発明の抽出物は強力な抗肥満活性および抗脂肪生成活性を有しており、ゆえに本発明の製剤組成物を肥満および脂肪生成関連疾病の治療や予防に使用してもよい。
【0036】
以下に記載の製剤方法および賦形剤は単なる例にすぎず、本発明をいかなるうえでも制限するものではない。
【0037】
医薬品の剤形とした本発明の抽出物は、その製剤的な観点からみて許容範囲にある塩として使用してもよい。また、その他の製剤的に活性な化合物と組み合わせての使用はもちろん、単体で使用しても適当なものと組み合わせての使用であってもよい。
【0038】
本発明の抽出物は、通常の生理食塩水、5%デキストロース等の水溶性溶媒や、植物性油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコール等の非水溶性溶媒に溶解、懸濁、または乳化させることで注射製剤としてもよい。製剤は可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、防腐剤等の通常の添加物を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の独創的な抽出物の望ましい投与量は、状況や対象の体重、重症度、剤形、投与経路、投与期間によって異なり、当業者が選択してもよい。しかし、望ましい効果を得るためには、本発明の独創的な抽出物を、体重/日あたり、0.0001〜100mg/kg、好ましくは0.001から100mg/kg投与することが一般的に勧められる。一日一回投与しても、何回かにわけて投与してもよい。組成物という点では、抽出物の量は組成物の総重量につき0.0001〜10重量%、好ましくは0.0001〜1重量%にすべきである。
【0040】
本発明の製剤組成物は、哺乳類(ラット、マウス、家畜または人間)等の被験動物に様々な経路で投与することができる。全ての投与経路が考えられるが、例えば、経口投与、直腸投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、鞘内投与、硬膜外投与、または脳室内投与が挙げられる。
【0041】
また、本発明の抽出物は様々な機能性健康食品およびヘルスケア食品の主成分、または添加物や補助剤としても使用することができる。
【0042】
ここでいう「機能性健康食品」とは「人間または哺乳類の肥満や脂肪生成関連疾病を予防または改善するために本発明の化合物を通常の食品に添加して、物理的または生理的機能性等を高めた機能性食品」と定義される。
【0043】
本発明のその他の目的は、肥満と脂肪生成関連疾病を予防・緩和するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上述のcmc−9抽出物と食品学的に許容範囲にある添加物から構成されるヘルスケア食品を提供することである。
【0044】
ここでいう「ヘルスケア食品」とは「特に意図された効果はないものの、全般的な効果を添加物として少量で、もしくはカプセル・丸薬・錠剤等として全量で発揮する本発明の抽出物を含有する食品」と定義される。
【0045】
ここでいう「食品学的にみて許容範囲にある添加物」とは「その用途が直接的であれ間接的であれ一成分であること自体あるいはその反対で食品の特性に影響を与えることに帰着する、または帰着することが十分に期待しえる物質」と定義される。例としては、増粘剤、熟成剤、漂白剤、抑制剤、湿潤剤、固化防止剤、清澄剤、硬化剤、乳化剤、安定剤、シックナー、塩基および酸、発泡剤、栄養剤、着色剤、着香料、甘味料、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられ、以下で詳細に説明する。
【0046】
ある特定の目的をもって食品にある物質を添加する場合はそれを直接添加物と称し、梱包や貯蔵、その他の取り扱いに応じて微量添加する場合は間接食品添加物と称される。
【0047】
上記記載の健康食品は、肥満および脂肪生成関連疾病の予防と改善を目的として、食品、健康飲料、食事療法等に取り入れることができ、粉末、顆粒、錠剤、チュアブル錠、カプセル、飲料等の形態で使用してもよい。
【0048】
また、上記記載の抽出物を、肥満および脂肪生成関連疾病の予防と改善を目的として食品または飲料に添加することもできる。機能性健康食品またはヘルスケア食品としての食品または飲料に添加する上記記載の抽出物の量は、機能性健康食品組成物としては、概して食品総重量の約0.01〜100w/w %である。特に、機能性健康食品、ヘルスケア食品または特殊栄養食品における本発明の抽出物の好ましい量は、各食品の使用目的によって異なっていてもよいが、一般的には、食品組成を100%として本発明の抽出物を麺類等の食品中に添加物として約0.01〜5%使用するのが好ましく、ヘルスケア食品においては40〜100%の比率で使用するのが好ましい。
【0049】
本発明の健康飲料組成物が上記記載の抽出物を主成分として記載の比率で含有しているとした場合、その他の液状成分については特に制限はなく、その他の成分としては様々な清涼剤や通常の飲料等の天然糖類が挙げられる。上記記載の天然糖類としては、グルコース、果糖等の単糖類;麦芽糖、蔗糖等の二糖類;デキストリン、シクロデキストリン等の一般的な糖;キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールが例として挙げられる。上記記載のもの以外の清涼剤としては、ソーマチン、レバウディオサイドA等のステビア抽出物、グリシルリジン等の天然清涼剤、サッカリン、アスパルテーム等の合成清涼剤が好適に有用なものとして挙げられる。上記記載の天然糖類の量は、通常、本発明の飲料組成物100mlあたり約1〜20g、好ましくは5〜12gである。
【0050】
上記記載の組成物以外の成分としては様々な栄養剤、ビタミン、ミネラルまたは電解質、合成着香料、着色料、チーズやチョコレートの場合は品質改良剤、ペクチン酸およびその塩、アルギニン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド粘着剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料等で使用される炭酸化剤が挙げられる。上記記載のもの以外の成分ついては、天然フルーツジュースに使用する果汁、果汁飲料、野菜飲料が挙げられ、成分は独立して使用しても組み合わせて使用してもよい。各成分の比率はあまり重要ではないが、通常、組成物100 w/w%に対して約0から20 w/w%である。こういったものを添加する、上述の抽出物を含有する食品としては様々な食品、飲料、ガム、複合ビタミン剤、健康促進食品等が挙げられる。
【0051】
以下の実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、いかなる方法によっても本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の精神または範囲から外れることなく、本発明の組成物、その用途および製剤に様々な改良や変更を加えうることは当業者には自明である。
【0053】
本発明を以下の実施例を用いてより詳細に説明するが、いかなる方法によっても本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0054】
以下の参考例、実施例、および実験例は本発明をより詳しく説明するためのものであり、その範囲を限定するものではない。
【0055】
[実施例1 ウリ科植物の温水抽出物の調製]
韓国の市場で購入したカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)の茎を乾燥させたものそれぞれ2キロを切断し、メタノール20リットルと混合し、還流抽出器を用いて90℃で1時間抽出した。この抽出工程を3回繰り返して上清を回収し、フィルターペーパーでろ過した後、上清を減圧下で濃縮して、カボチャ、スイカ、ヘチマタワシの乾燥温水抽出物を300g、350g、240g、それぞれ得た。各抽出物を蒸留水に溶解して濃度100 mg/mlとし、以下の実験例においてテストサンプルとして使用した。
【0056】
[実施例2 ヘキサン可溶性抽出物の調製]
実施例1で調製した乾燥させた温水可溶性抽出物200gを1リットルの蒸留水に懸濁させ、そこに1リットルのヘキサンを添加した。得られた水溶液をヘキサン層と水層との分別に3回供して、回収したヘキサン層を濾過した後、真空ロータリーエバポレータで乾燥させて180mgのヘキサン可溶性抽出物を得た。残った水層1リットルは以下の工程で使用した。
【0057】
[実施例3 クロロホルム可溶性抽出物の調製]
残った水層に1リットルに1リットルのクロロホルムを添加し、得られた水溶液をクロロホルム層と水層との分別に3回供した。回収したクロロホルム層を濾過し、ロータリーエバポレータで乾燥させて770mgのクロロホルム可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0058】
[実施例4 酢酸エチル可溶性抽出物の調製]
残った水層1リットルに1リットルの酢酸エチルを添加し、得られた水溶液を、酢酸エチル層と水層との分別に3回供した。回収した酢酸エチル層を濾過した後、真空ロータリーエバポレータで乾燥させて2.1gの酢酸エチル可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0059】
[実施例5 ブタノール可溶性抽出物の調製]
残った水層1リットルに1リットルのブタノールを添加し、得られた水溶液をブタノール層と水層との分別に3回供した。回収したブタノール層を濾過した後、真空ローターリーエバポレータで乾燥させて7.4gのブタノール可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0060】
[実施例6 cmc−9精製抽出物の調製]
25gのシリカゲル(メルク社。No−9385)を充填したカラム(3x27cm)を使用して、770mgのクロロホルム可溶性抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム:メタノール=16:15:1)を移動相として溶出させた。回収した成分を乾燥させて11の成分に分けた。つまり第1成分(31mg)、第2成分(18mg)、第3成分(65mg)、第4成分(18mg)、第5成分(54mg)、第6成分(75mg)、第7成分(39mg)、第8成分(200mg)、第9成分(20mg)、第10成分(163mg)、および第11成分(64mg)である。最も強力な抗肥満活性を示す第9成分20mgを、シリカゲル2g(メルク社。9385)を充填したシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出は、直線勾配のクロロホルム:メタノールを含有する混合溶媒を用いて(30:1?>10:1)段階的に行った。さらに第9成分を精製するために、20〜70%のメタノールを移動相として40%メタノールを流速2ml/mで使用したHPLCを行って26.8分で溶出された本発明の独創的な「cmc−9」抽出物を得た。図18および図19に示されるように、TLC溶出溶媒(クロロホルム:メタノール=20:1)を用いた場合、cmc−9抽出物は15分で溶出され、Rf値は0.32だった。
【0061】
[実験例1 脂肪細胞分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の脂肪細胞分化およびトリグリセリドレベルの阻害活性を測定するために、以下の実験を行った。
(1−1.テストサンプルの未精製抽出物)
ATCC(米国・アメリカンティッシューカルチャーコレクション社)から購入した脂肪細胞(3T3−L1)を10%のFBSを含有するRPMI培地で培養し、成熟した脂肪細胞に分化させるためにMDIカクテル(イソブチルメチルキサンチン、デキサメタゾン、インシュリン)を添加した。2日後、培地を交換してインシュリンのみで処理した。その後、培地を交換し同濃度のインシュリンで処理する作業を一日おきに行った。分化が起こったら濃度2.5〜1000ug/mlのMDIで処理し、培地を交換する度に同濃度のMDIで処理した。トログリタゾン(シグマ社)および10 uM SB203580(シグマ社) を対照グループとして使用し、カボチャ、スイカ、ヘチマタワシの温水抽出物を乾燥させたもの各1 mg/mlで処理して、それぞれのテストサンプルグループとした。8日後、分化した細胞内に蓄積された脂肪をオイルレッドO染色試薬で染色して、吸光度を光学濃度から定性的に測定した。阻害率(%)は、以下の実験式1を用いて計算した。
【0062】
[実験式1]
阻害率(%)=[テストグループのO.D.]/[対照グループのO.D.値]x100
結果、前駆脂肪細胞3T3−L1細胞は分化して成熟細胞となり、トリグリセリドがMDI処理グループの細胞内に蓄積されていることが確認された。トログリタゾン処理グループにおいてはトリグリセリドがより多く生成され、他のグループよりも濃い赤に染色された。一方、SB203580処理グループではトリグリセリドは生成されなかった。テストサンプル処理グループ、つまりカボチャ、スイカ、ヘチマタワシの抽出物、特にカボチャ処理グループにおける生成したトリグリセリドのレベルは、その投与量に応じて著しく低下した(図1と図2を参照のこと)。
【0063】
(1−2. テストサンプルの各溶媒可溶性成分)
実施例3〜5で調製した、カボチャの茎から単離したクロロホルム、酢酸エチル、ブタノールに可溶な成分の脂肪細胞分化とトリグリセリドレベルに対する阻害活性を測定するために、上記記載の実験例1−1と同一の工程を行った。各成分の処理濃度は100 ug/mlである。
【0064】
結果、クロロホルムと酢酸エチル可溶性成分は脂肪細胞分化とトリグリセリドの生成に対する強力な阻害活性を示した。特に、クロロホルム可溶性成分は脂肪細胞分化に対して最も強力な阻害効果を示した(図3および図4を参照のこと)。
【0065】
(1−3.テストサンプルの「cmc−9」精製抽出物)
実施例6で調製した、カボチャの茎から単離したcmc−9精製抽出物の脂肪細胞分化とトリグリセリドレベルに対する阻害活性を測定するために、上記記載の実験例1−1と同一の工程を行った。
【0066】
図5からわかるように、トログリタゾン処理グループにおいてはトリグリセリドがより多く生成され、他のグループよりも濃い赤に染色された。一方、SB203580処理グループではトリグリセリドは生成されなかった。cmc−9処理グループは、脂肪細胞分化およびトリグリセリド蓄積に対して最も強力な阻害効果を示した。
【0067】
[実験例2 脂肪細胞分化工程における遺伝子の発現に対する制御効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の、脂肪細胞分化工程における遺伝子の発現に対する制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0068】
最初に、前駆脂肪細胞3T3−L1の分化をMDI処理によって誘導した。PPARガンマ活性化剤であるトログリタゾン(米国・シグマ社)およびp38阻害剤であるSB 203508を対照グループとして処理に使用した。細胞を実施例1で調製した様々な濃度の、つまり1mg/ml、10 mg/ml、100 mg/mlのカボチャの温水抽出物で処理した。処理した細胞は、培地を交換しつつ、37℃で10日間培養した。培養した細胞を冷却した生理食塩水で2回洗浄した。トリアゾール剤を用いてそのRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて逆転写し、そのcDNAを得た。また、全ての因子、つまりPPARアルファ、ACOI、チオラーゼ、アポC−III、SCD−I、GAPDH等を増幅させた。増幅させた遺伝子発現の違いはアガロースゲル電気泳動によって比較した。また、各遺伝子増幅で使用したプライマー配列を配列リスト1〜12で説明した。
【0069】
図6からわかるように、1 mg/mlのPG105で処理した細胞はPPARアルファの発現が向上した。また、ACOIとチオラーゼはPPARアルファによって活性化された。一方、アポC−IIIの発現は抑制された。
【0070】
(実験例3 PPARアルファ活性化に対する制御効果)
実施例1〜6で調製した抽出物の、PPARアルファの活性化に対する制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0071】
実施例2〜4で調製したヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル可溶性成分、および実施例6で調製したcmc−9精製抽出物を、以下の実験においてテストサンプルとして使用した。
【0072】
tkPPREルシフェラーゼレポータープラスミドのみで形質転換した細胞グループと、レポータープラスミドとPPARアルファ、デルタ、またはガンマを発現するベクターとの双方で同時に形質転換した細胞グループとの2種類の形質転換CV−1細胞グループを用意し、24時間後、PG105とその他成分を含むテストサンプルで処理して24時間後の細胞を回収し、そのルシフェラーゼ活性を測定した。対照薬剤としては、PPARアルファに関しては100 uMのフェノフィブラート(シグマ社 F6020−100G)を、PPARデルタに関しては10 uM のGW501516 (シグマ社)を、PPARガンマに関しては100 uMのトログリタゾンで処理した。
【0073】
図7からわかるように、tkPPREでのみ処理したグループにはルシフェラーゼ活性が見られず、クロロホルム、ヘキサン可溶性成分で処理したグループにおいてはPPARアルファで同時に処理したグループは強力なルシフェラーゼ活性を示した。その活性はエタノールでのみ処理した陰性コントロールグループにおけるそれと比較して約60倍高い。また、フェノフィブラート(シグマ社)で処理した陽性コントロールグループにおけるそれと比較して5倍以上高い。PPARデルタを形質転換させた場合、ヘキサン成分で処理したルシフェラーゼ活性は陰性コントロールにおけるそれと比較して約20倍高く、GW501516で処理した陽性コントロールグループにおけるそれと同様であった。しかしながら、PPARガンマを形質転換させた場合、PG105で処理したテストサンプル、各種成分およびcmc−9抽出物に活性は見られなかった。
【0074】
従って、ウリ科植物の抽出物が脂質代謝を制御可能なことが確認された。
[実験例4 高脂肪食マウスにおける、トリグリセリドの蓄積に対する阻害効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の、高脂肪食マウスにおけるトリグリセリドの蓄積に対する阻害活性を測定するために、以下の実験を行った。
【0075】
(4−1.前処理)
18〜20グラムの生後8〜10週間のC57/BLマウス(米国・ジャクソンラボ)を換気ケージにいれ、5つのグループに分けた。グループ1には通常の食餌を、残り4つのグループ、つまりグループ2〜5には脂肪分45%以上の高脂肪食(米国・ジャクソンラボ)を与えた。グループ1および2には蒸留水と、グループ3には実施例1で調製したPG105を8mg、16週間にわたって毎日経口で与えた。40 ugのゼニカル(ロシェ社)をグループ4に、5 ugのリダクティル(アボット社)をグループ5に毎日経口投与した。投与6週間後と13週間後にそれぞれ、血液サンプルを採取し、血中トリグリセリドレベルとコレステロールレベルを測定した。13週間後、マウスを殺して肝臓を取り出し、その血中トリグリセリドレベルを測定した。脂肪内臓および肝臓からmRNAを単離して、脂質吸収と代謝経路に関する遺伝子の発現をRT−PCR法を用いて調べた。
【0076】
(4−2.血中トリグリセリドとコレステロールに対する効果)
投与後6週間後と13週間後にそれぞれ、血液サンプルを採取し、血中トリグリセリドレベルとコレステロールレベルを測定した。
【0077】
結果、蒸留水のみを与えた高脂肪食グループであるグループ2の6週間後および13週間後の血中グリセリド濃度はそれぞれ134.67 mg/dlと169.33 mg/dlであった。これは高脂肪食を与えられていないグループの結果に比べて1.66倍高いものであった。これに対し、PG105を与えられたグループ3の6週間後および13週間後の血中濃度はそれぞれ94 mg/dlと90 mg/dlであった。これは高脂肪食を与えられていないグループの結果と同様であった(図8および図9を参照のこと)。
【0078】
蒸留水のみを与えられたグループ2の血中コレステロール濃度は180 mg/dlであり、PG105を与えられたグループ3は148.6 mg/dlであった(図10および図11を参照のこと)。
【0079】
(4−3.脂肪肝に対する効果)
裸眼で肝臓を観察した結果、蒸留水のみを与えられた高脂肪食グループの投与13週後の肝臓は黄色がかった脂肪肝であり、一方、PG105抽出物を与えられた高脂肪食グループの肝臓は鮮紅色であった(図12を参照のこと)。
【0080】
(4−4.肝臓内でのトリグリセリド蓄積に対する効果)
投与13週間後の肝臓内のトリグリセリド蓄積レベルを測定した。結果、蒸留水を与えられた高脂肪食マウスの蓄積トリグリセリドレベルは117.53 mg/dlであり、高脂肪食を与えられていないグループの結果の5倍であり、肝臓における過剰なトリグリセリドの蓄積を示した。これに対し、PG105を投与されたグループのトリグリセリド濃度は46.15 mg/dlであり正常の範囲にあり、裸眼での観察結果と一致した(図13を参照のこと)。
【0081】
(4−5.脂肪代謝に関係する遺伝子発現に対する効果)
脂肪分解と脂質生成を含む脂肪代謝に関わる遺伝子の発現に対するウリ科植物の抽出物の効果を調査するために、脂肪細胞と肝臓からRNAを取り出し、RT−PCR法に供して脂肪代謝に関連する遺伝子の発現における変化を調査した。
【0082】
結果、文献に開示の(Schonfeld, G.他。Metab. Cin. Exp., 28, pp1001−1009, 1979)、臓器中の脂肪細胞に蓄積されたトリグリセリドの脂肪酸への分解に関係する酵素であるリポタンパクリパーゼ(LPL)の発現が、PG105の投与により顕著に増加した。また、リポタンパクリパーゼ酵素の活性を阻害するとされるAPOCIIIタンパク質(Windler E.他。J. Biol. Chem., 255, pp8303−8307, 1980; Wang C. S.他。J. Cin. Invest., 75. pp384−390, 1985)の発現が顕著に阻害された(図14および図15を参照のこと)。
【0083】
図10aに示されるように、SCD(ステアロイルCoAデサチュラーゼ)の発現が著しく阻害された。SCDは、パルミトイルCoAの9位と10位との間、基材としてのステアロイルCoAにシス二重結合を導入するとされており(Enoch, H.G.他。J. Biol. Chem., 251, pp5095−5103, 1976)、さらに、リン脂質、コレステロール、トリグリセリド等を構成するのに使用される(Ntambi, J. M., J. Lipid Res., 40, pp1549−1558, 1999)。
【0084】
これらの結果から、PG105の経口投与には、脂質合成の阻害と同様に脂質の分解の促進いう2つの働きがあることがわかった。
【0085】
(実験例5 高脂肪食マウスにおける、トリグリセリドの蓄積に対する阻害効果)
実施例1〜6で調製した抽出物の、肥満体のマウス(db/db)の減量および脂質レベル制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0086】
自由に水が飲める環境下において、生後5週間のメスの肥満体マウス(米国・ジャクソンラボ)を8週間飼育した。8mgのPG105を100mlの蒸留水に溶解したものを6週間にわたって各マウスに経口投与した。殺菌した蒸留水を陰性コントロールとしてのマウスに投与した。体重変化を週1回測定し、摂取した食餌の量を毎日記録した。また、血中の脂質レベルを3週間目と6週間目に測定した。
【0087】
結果、PG105を投与されたグループには、6週間目で約10〜15%の体重の減少がみられるほどの顕著な減量効果が見られた(図16を参照のこと)。
【0088】
PG105を投与されたグループには、6週間目の血中トリグリセリドのレベルが150 mg/dlに下がるほどの顕著な効果がみられた(図17を参照のこと)。
【0089】
ボランティア患者における減量効果および脂質レベルの制御効果
実施例1〜6で調製した抽出物の、人間のボランティア患者の減量および脂質レベルの制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0090】
ヘチマタワシの茎から温水抽出した抽出物を、27〜62才の女性4人と30から48才の男性2人から成る6人のボランティア患者に2〜5g/日を2週間、経口投与し、患者の体重(kg)と胴周り(cm)を測定した。総脂質レベル(mg/dl)を診断キット(総脂質試薬、米国・ヴェディーズ社)を用いて熱量測定法で測定した(光度計、アジレント8453、米国・アジレント社)。また、FFAレベル(遊離脂肪酸、uEq/l)をヒタリを用いて(日立7150、日本・日立)酵素法で測定した(Sicdia NEFAYME、日本・イーケン社)。コレステロールレベル(mg/dl)は、アドヴィア(アドヴィア1655、日本・バイエル社)を用いてコレステロールキットで(コレステロール試薬、米国・バイエル社)で測定した。VLDLコレステロールレベル(mg/dl)を分光光度計(光度計4020、ドイツ・ロシェ社)を用いて診断キット(BLFII、日本・イーケン社)で測定した。LDLコレステロールレベル(mg/dl)をヒタクリ(7153、日本・日立)を用いてLDLコレステロールキット(LDLコレステロール試薬、ドイツ・ロシェ社)で測定した。HDLコレステロールレベル(mg/dl)をアドヴィア(アドヴィア1650、日本・バイエル社)を用いて診断キットで(直接HDL−コレステロール、英国・バイエル社)で測定した。トリグリセリドレベルを(mg/dl)アドヴィア(アドヴィア1650、日本・バイエル社)でトリグリセリドキット(トリグリセリド試薬、米国・バイエル社)で測定した。グルコースレベル(mg/dl)をアドヴィア(アドヴィア1850、日本・バイエル社)で診断キット(グルコースヘキソキナーゼ、米国・バイエル社)で測定した。SGOTおよびSGPT(U/l)レベルをアドヴィア(アドヴィア1655、日本・バイエル社)でAST試薬キット(米国・バイエル社)とALT試薬キット(米国・バイエル社)で測定した。
結果、以下の表1からわかるように、ヘチマタワシの茎から抽出した温水抽出物は強力な減量および脂質代謝制御効果を示した。
[表1]
【0091】
従って、同じ科に属するカボチャの茎の抽出物だけではなくヘチマタワシの茎からの抽出物も強力な抗肥満活性を有していることが上述の臨床例により確認された。
【0092】
(実験例7 毒性試験)
<試験方法>
生後6週間のSPF SDラットに投与したテストサンプルの急性毒性試験を以下の手順で行った。
【0093】
各2匹のラットで構成される4グループに、PG105抽出物を100 mg/kg経口投与して、2週間観察した。
<結果>
いずれのグループまたは性別に関しても、死亡率、臨床的徴候、体重変化、および全体の所見に処置による効果の違いは見られなかった。経口投与における最低LD50値は100g/kgより高かった。これらの結果から、本発明によるテスト化合物が安全でありながらも強力であることがわかった。
以下に、製剤方法と賦形剤の種類とを説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。代表的な製剤例は以下に記載のとおりである。
<粉剤の調製>
PG105・・・・・・・・・・50mg
乳糖・・・・・・・・・・・・・100mg
タルク・・・・・・・・・・・・10mg
上記成分を混合して密封容器に充填することで粉剤を調製した。
<錠剤の調製>
PG105・・・・・・・・・50mg
コーンスターチ・・・・・・・100mg
乳糖・・・・・・・・・・・・100mg
ステアリン酸マグネシウム・・2mg
上記成分を混合、錠剤状にすることで錠剤を調製した。
<カプセルの調製>
PG105・・・・・・・・・50mg
コーンスターチ・・・・・・・100mg
乳糖・・・・・・・・・・・・100mg
ステアリン酸マグネシウム・・2mg
錠剤は、上記成分を混合し、通常のゼラチン調製方法でゼラチンカプセルに充填することで調製した。
<注射剤の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・50mg
注射用蒸留水・・・・・・・・最適量
pH調整剤・・・・・・・・・最適量
注射剤は、通常の注射剤調製法に従って有効成分を溶解し、pHを約7.5に調整し、2mlのアンプルに全成分を充填して殺菌することで調製した。
<液剤の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・0.1〜80g
糖・・・・・・・・・・・・・5〜10g
クエン酸・・・・・・・・・・0.05〜0.3%
カラメル・・・・・・・・・・0.005〜0.02%
ビタミンC・・・・・・・・・0.1〜1%
蒸留水・・・・・・・・・・・79〜94%
CO2ガス・・・・・・・・・0.5〜0.82%
液剤は、通常の液剤調製法に従って有効成分を溶解し、全成分を充填・殺菌することで調製した。
<ヘルスケア食品の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・1000mg
ビタミン混合物・・・・・・・最適量
酢酸ビタミンA・・・・・・・70mg
ビタミンE・・・・・・・・・1.0mg
ビタミンB1・・・・・・・・0.13mg
ビタミンB2・・・・・・・・0.15mg
ビタミンB6・・・・・・・・0.5mg
ビタミンB12・・・・・・・・0.2mg
ビタミンC・・・・・・・・・10mg
ビオチン・・・・・・・・・・10mg
ニコチン酸アミド・・・・・・1.7mg
葉酸・・・・・・・・・・・・50mg
カルシウムパントテン酸・・・0.5mg
ミネラル混合物・・・・・・・最適量
硫酸鉄・・・・・・・・・・・1.75mg
酸化亜鉛・・・・・・・・・・0.82mg
炭酸マグネシウム・・・・・・25.3mg
リン酸一カリウム・ ・・・・15mg
第二リン酸カルシウム・・・・55mg
クエン酸カリウム・・・・・・90mg
炭酸カルシウム・・・・・・・100mg
塩化マグネシウム・・・・・・24.8mg
上記記載のビタミンおよびミネラル混合物には様々な変更を加えてもよく、そういった変更は本発明の精神と範囲から外れるものとはみなされない。
<健康飲料の調製>
PG105・・・・・・・・・1000mg
クエン酸・・・・・・・・・・1000mg
オリゴ糖・・・・・・・・・・100g
アプリコット濃縮物・・・・・2g
タウリン・・・・・・・・・・1g
蒸留水・・・・・・・・・・・900ml
健康飲料は、通常の健康飲料調製方法に従って有効成分を溶解、混合、85℃で1時間攪拌、濾過、全成分を1000mlのアンプルに充填・殺菌することで調製した。
【0094】
本発明の記載より、同じものに様々なアレンジを加えうることは明白である。そういった変更は本発明の精神と範囲から外れるものとはみなされない。また、当業者に自明なそういった改良は、以下に述べる請求項の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明で記載のように、本発明のウリ科植物の抽出物は強力な体重減少活性、血中トリグリセリドおよびコレステロールレベルを低減する効果、PPARアルファおよびデルタ活性の活性作用、ステアロイルCoAデサチュラーゼの遺伝子発現の抑制作用、および前駆脂肪細胞から脂肪が生成するのを毒性を伴うことなく防ぐ効果を有しており、医薬品またはヘルスケア食品として、肥満および脂肪生成関連疾病を治療または予防するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】ウリ科植物の温水抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものであり、オイルレッドO染色試薬で染色した分化した細胞中に蓄積された脂肪の顕微鏡写真である。
【図2】ウリ科植物の温水抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものであり、染色した脂肪の阻害率を示す。
【図3】カボチャの茎から得た、各溶媒に可溶な成分の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの抑制効果を示し、オイルレッドO染色試薬で染色した分化した細胞の中に蓄積された脂肪を示す。
【図4】カボチャの茎から得た、各溶媒に可溶な成分の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの抑制効果を示し、脂肪の阻害率を示す。
【図5】カボチャの茎から得たcmc−9精製抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものである。
【図6】脂肪細胞の分化が起こった際の、カボチャの茎から得た温水抽出物の遺伝子発現に対する制御効果を示すものである。
【図7】カボチャの茎から得た温水抽出物、各溶媒に可溶な成分、およびcmc−9精製抽出物のPPAR活性に対する効果を示すものである。
【図8】カボチャ(PG105)の温水抽出物の、高脂肪食マウスの血中トリグリセリド濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの6週間後の結果を示す。
【図9】カボチャ(PG105)の温水抽出物の、高脂肪食マウスの血中トリグリセリド濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの13週間後の結果を示す。
【図10】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの血中コレステロール濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの6週間後の結果を示す。
【図11】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの血中コレステロール濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの13週間後の結果を示す。
【図12】カボチャの温水抽出物(PG105)の、13週間にわたって高脂肪食を与えられたマウスの脂肪肝に対する効果を示す。
【図13】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの肝臓のトリグリセリドに対する効果を示す。
【図14】カボチャの温水抽出物(PG105)の脂肪代謝に関連した遺伝子発現に対する効果を示す。
【図15】カボチャの温水抽出物(PG105)の脂肪代謝に関連した遺伝子発現に対する効果を示す。
【図16】は、カボチャの温水抽出物(PG105)の、肥満マウスの体重に対する減量効果を示す。
【図17】カボチャの温水抽出物(PG105)の、肥満マウスに対する制御効果を示す。
【図18】ウリ科植物のクロロホルム可溶性成分のTLCの結果(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=20:1)を示す。
【図19】ウリ科植物から得た精製抽出物(cmc−9)のHPLCクロマトグラムを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウリ科植物の抽出物またはウリ科植物の抽出物から単離した精製抽出物から構成される、抗脂肪生成および抗肥満活性を有する組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪生成とは、前脂肪細胞が成熟した脂肪細胞に分化する過程のことであり、細胞質小器官に脂質滴と言われる脂質が蓄積し、肥満、糖尿病、脂肪症、冠状動脈性心臓病等の様々な成人病を引き起こす危険性があることが知られている。線維芽細胞といった前駆脂肪細胞が分化して成熟脂肪細胞となり、脂質滴がその内部に形成される。分化のメカニズムは3T3−L1といった特定の細胞株を使用して研究されてきた。脂肪細胞の分化は形態、ホルモン感受性、遺伝子の発現における連携した変化を伴う複雑な過程である。これらの変化はC/EBP(CAATエンハンサー結合タンパク質)、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)、ADD/SREBP(脂肪細胞決定分化依存性因子1/ステロール調節エレメント結合タンパク質)等のいくつかの転写因子によって制御されている(Bart A Jessen他。Gene, 299, pp95−100, 2002; Darington 他。J. Biol. Chem., 273, pp30057−30060, 1998; Brun R.P 他。Curr. Opin. Cell. Biol., 8, pp826−832, 1996)。脂肪細胞の分化において、これらの転写因子は異なる段階で誘導され機能的に相互作用し、遺伝子の発現を制御することで脂肪生成と脂質生成とを行う。例えば、C/EBPベータおよびデルタ因子は、MDI(イソブチルメチルキサンチン、デキサメタゾン、インシュリン)等の外的ホルモン刺激によって一時的に過剰発現されると脂肪細胞の分化を引き起こし(Reusch J. E.他。Mol. Cell. Biol., 20, pp1008−1020, 2000)、続いてC/EBPアルファおよびPPARガンマの増加を誘導する(James M. N. 他。J. Nutr., 130, pp3122S−3126S, 2000)。特に、脂肪細胞においては主にPPARガンマが発現し、脂肪生成を決定する鍵となる転写因子である。PPARガンマはRXR(レチノイン酸X受容体)とヘテロ二量体を形成し、脂肪生成に関係する様々な遺伝子のプロモーター中のPPRE(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)に結合する(Tontonoz P. E. 他。Genes Dev., 8, pp1224−1234, 1994)。脂肪細胞の分化においてC/EBPアルファとPPARガンマとの相互作用は非常に重要であり、これらの因子が脂肪酸結合タンパク質であるaP2および脂質代謝酵素等の脂肪細胞に特異的な遺伝子の発現を制御する。特に、ADD1/SREBPは脂質生成およびインシュリン刺激による遺伝子発現においても重要な役割を果たしており、ADD1/SREBP1cの発現はPPARガンマの活性化につながる(Rosen E.D.他。Annu. Rev. Cell Dev. Biol., 16, pp145−171, 2000; Osborn T. F., J. Biol. Chem., 275. pp32379−32382, 2000)。分化を終えた脂肪細胞は脂質を合成し、トリグリセリドとして貯蔵する。
【0003】
その一方で、脂質代謝の恒常性は脂肪の合成と分解との釣りあいによって保たれている。ADD1/SREBP1は脂肪酸、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質等の合成をコントロールしている(Horton J. D. 他。J. Clin. Invest., 109, pp1125−1131, 2002)。SREBPは約1150個のアミノ酸前駆体として合成され、小胞体と核膜に結合している。活性であるためには、細胞核に入ることができるように膜結合型SREBPをタンパク質分解により切断してN末端セグメントを遊離しなければならない。切断したSREBPは核型を指定し、制御遺伝子プロモーター内のSRE(ステロール調節型エレメント)に結合する。SREBPアイソフォームの1つであるSREBP1cによって制御される遺伝子にはACL(ATPシトレートリアーゼ)、ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)、FAS(脂肪酸合成酵素)およびSCD(ステアロイルCoAデサチュラーゼ)等が挙げられる(Osborn T. F. 他。J. Biol. Chem., 275, pp32379−32382, 2000; Soazig L. L. 他。J. Biol. Chem., 277, pp35625−35634, 2002)。PPARアルファが、LPL(リポタンパク質リパーゼ)、アポタンパク質、ACO(アシルCoAオキシダーゼ)、チオラーゼ等の脂質代謝酵素を制御することで(Dreyer C他。Cell, 68, pp879−887, 1992)脂質分解の制御における重要な役割を担っていることは以前から報告されていた(Beisiegel U., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 96, pp13656−13661, 1999)。
【0004】
肥満は長年に渡る、エネルギー摂取とエネルギー消費の不均衡から脂肪蓄積量の増大が起こったものである。肥満のメカニズムは完全には理解されていないが、複雑な相互作用関係にある神経、ホルモン、遺伝的、環境的要素が西洋風の食事により肥満の蔓延を引き起こしていると考えられている。脂肪の過剰な蓄積は糖尿病、高血圧、異常脂質血症、心疾患等の様々なメタボリック症候群を高い確率で引き起こすリスク要因になり得る(Manson他。New England J. Med., 333, pp677−685, 1995; Kopleman P. G., Nature, 404 pp635−643, 2000; Must他。JAMA 282, pp1523−1529. 1999)。
【0005】
ゼニカル(登録商標、スイス・ロシェ社)、リダクティル(登録商標、米国・アボット社)、エクソリゼ(登録商標、フランス・アトファルマ社)等が代表的な抗肥満薬として良く知られているが、心臓病、呼吸器疾患、ニューロン系疾患等の副作用があることから、より効果的な薬剤への需要がある。
【0006】
近年の抗肥満薬開発の焦点は、食事量の減量、カロリー摂取の阻害、発熱反応の刺激、エネルギー代謝の調整、ニューロン神経系を通じてのシグナル伝達のコントロールである(Kopleman P. G., Nature, 404 pp635−643, 2000)。効果的な抗肥満薬を開発する試みは今までにも多くなされてきたが、安全性はもとより強力な効き目を示す、満足のいく薬剤はいまだ開発されていなかった。
【0007】
従って、その安全性が証明されている天然成分を用いて効果的な抗肥満薬の開発を試みるほうが、合成物質を用いるよりもずっと効果的である。
【0008】
双子葉植物網ウリ科に属する植物のほとんどは一年生または多年生のつる植物であり、熱帯および亜熱帯域に分布する。中でも、Melothris japonica、Schzopepon bryoniaefolius、Gynostemma pentaphyllumとその同類が分布しており、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、きゅうり(Cucumis sativus L)およびその同類が韓国で栽培されている。
【0009】
ククルビチンと、リノール酸、オレイン酸、カロチン等の油脂を含むカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)の駆虫作用;シトルリン、アラニン、果糖、グルコース等を含むスイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)の強力な利尿作用;洗浄用品としてのヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM);配糖体、コーヒー酸、ククルビタシン等を含むきゅうり(Cucumis sativus L)の利尿作用が、文献により報告されている(Chung B. S他。HyangyakDaesajeon, Young−rim出版。pp945−957, 1998)。
【0010】
しかしながら、上記記載のいずれの文献も、強力な抗肥満効果を示すウリ科植物の抽出物の肥満予防または治療活性を報告・開示していない。また、上記文献の開示は参照することにより本発明に含まれるものとする。
【0011】
ウリ科植物の抽出物の抗肥満効果を調査するため、本発明の発明者は脂肪細胞分化とトリグリセリド、脂肪細胞分化に関係するPPARガンマ因子、ACOI、アポCIII等の遺伝子の発現に対する様々な試験管内実験と、脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積に対する阻害効果および実験動物の体重の減少効果に関する動物実験を集中的に行った。これらの研究結果より、本発明のウリ科植物の抽出物が脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積を強力に阻害し被験動物の体重を減少させることから強力な抗肥満薬として有用なことを確認することで、発明者は本発明を最終的に完成させるに至った。
【発明の開示】
【0012】
従って、本発明は抗脂肪生成活性と抗肥満活性とを有するウリ科植物の抽出物または抽出物から単離した精製抽出物とを有効成分として、肥満と脂肪生成関連疾病を治療・予防するに効果的な量で含む医薬品組成物を提供するものである。
【0013】
ここでいう「精製抽出物」とは本発明の発明者が命名した独創的な「CMC−9」を含むものであり、以下の:ウリ科植物を乾燥させたものに重量で約5〜15倍の蒸留水を添加し抽出して植物抽出物を得たあと、抽出物を減圧下で濾過および乾燥させて温水に可溶な植物抽出物を得る第1工程と;前記温水可溶性抽出物を水に懸濁させたあと、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール溶媒による分別に極性の低い順で供してそれぞれの有機溶媒に可溶な成分を得る第2工程と;前記クロロホルム可溶性成分をヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分に分ける第3工程と;前記副成分のうち第9番目の成分をクロロホルム:メタノールの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーとHPLCに繰り返し供し、「cmc−9」と命名された、図12にTLCスペクトルを示す本発明の独創的な精製抽出物を得る工程から構成される方法で調製することができる。
【0014】
ゆえに、本発明は上記記載の方法で調製した、強力な抗脂肪生成および抗肥満活性を有する新規性のあるcmc−9精製抽出物と、その調製方法を提供するものである。
【0015】
ここでいう「ウリ科植物」とは、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria STANDL. var. depressa HERA)、およびきゅうり(Cucumis sativus L)、好ましくはカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)を含むものである。
【0016】
上述の「材料」には、ウリ科植物のハーブ、果実、茎葉、好ましくは茎または葉が含まれる。
【0017】
上述の「抽出物」には、ウリ科植物のハーブ、果実、茎葉、好ましくは茎または葉からの未精製抽出物または無極性溶媒に可溶な抽出物が含まれる。
【0018】
従って本発明の目的は、肥満と脂肪生成関連疾病の治療と予防のための、ウリ科植物の未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物を有効成分として含む医薬品組成物を提供することである。
【0019】
ここでいう「未精製抽出物」とは、植物材料を水、メタノールやエタノール等の低級アルコール、好ましくはメタノール等、またはその混合物で抽出することで調製された抽出物を含むものである。
【0020】
ここでいう「無極性溶媒可溶性抽出物」とは、上記の未精製抽出物を例えばヘキサン、酢酸エチル、またはジクロロメタン、好ましくは酢酸エチル等の無極性溶媒で抽出することで調製することができる。
【0021】
本発明の目的は、人間を含めた哺乳類の肥満および脂肪生成関連疾病の治療と予防用の治療薬を製造するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物の用途を提供するものである。
【0022】
本発明の目的は、哺乳類の肥満および脂肪生成関連疾病の治療または予防方法を提供するものであり、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物を製剤的に許容範囲にある担体とともに、前記哺乳類に効果的な量を投与することを含む。
【0023】
本発明の別の目的は、肥満および脂肪生成関連疾病を予防・緩和するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上記記載のcmc−9抽出物と食品学的に許容範囲にある添加物から構成されるヘルスケア食品または食品添加物を提供するものである。
【0024】
「肥満および脂肪生成関連疾病」という単語には、肥満、2型糖尿病、脂肪症、高脂血症、心疾患、アテローム性動脈硬化症等が含まれる。
【0025】
本発明の医薬品組成物は、組成物の総重量あたり、上記抽出物を約0.02〜90%含み得る。
【0026】
本発明のヘルスケア食品は上記抽出物を、組成物の総重量につき、0.01〜80%、好ましくは1〜50%含む。
【0027】
上記のヘルスケア食品はヘルスケア食品、健康飲料等に含有させてもよく、粉末、顆粒、錠剤、チュアブル錠、カプセル、飲料等として使用しても良い。
【0028】
ウリ科植物から得られる本発明の独創的な未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物は、以下の好ましい態様に従って調製してもよい。
【0029】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0030】
ウリ科植物から得られる本発明の独創的な未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物は、以下の手順で詳細に調製することができる。
【0031】
ウリ科植物から得られる独創的な未精製抽出物は、以下のようにして調製することが可能である;カボチャ、スイカ、ヘチマタワシ等のウリ科植物の茎または葉を乾燥、切断、圧搾したあと、体積で1〜25倍、好ましくは約5〜15倍の蒸留水、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールまたはその混合物と混合する。好ましくはメタノールである;溶液を20〜100℃、好ましくは70〜100℃の温水で30分〜24時間、好ましくは30分〜3時間かけて、温水抽出、冷水抽出、還流抽出、超音波抽出等の抽出法で1〜5回、好ましくは2〜3回連続して処理する;残留物をろ過して上清を得た後、ロータリーエバポレータで20〜100℃、好ましくは50〜70℃で濃縮し、その後、真空凍結乾燥、熱風乾燥、または噴霧乾燥によって乾燥させてウリ科植物の未精製抽出物の乾燥粗粉末を得る。この粉末は水、低級アルコール、またはその混合物に可溶である。
【0032】
また、極性溶媒および無極性溶媒に可溶な本発明の抽出物を、以下の手順で調製することができる;上記記載の工程で得られた未精製抽出物を水に懸濁させ、その後、体積で1〜100倍、好ましくは1〜5倍の量の酢酸エチル、クロロホルム、ヘキサン等の無極性溶媒と混合する;無極性溶媒可溶層を回収して、本発明の無極性溶媒に可溶な抽出物を得る。また、残りの極性溶媒可溶層を回収して、本発明の極性溶媒に可溶な抽出物を得る。極性溶媒に可溶な抽出物は水、低級アルコール、およびその混合物に可溶である。また、上記記載の工程に改良を加えたり、当技術分野で周知の従来法を用いてより強力な成分または化合物に分別または単離する工程にさらに供してもよい。方法としては、例えば、文献に開示されているものが挙げられる(Harborne J. B. Phytochemical methods: A guide to modern techniques of plant analysis, 3rd Ed. pp6−7, 1998)。
【0033】
また、最も強力な抗脂肪生成活性と抗肥満活性を示すクロロホルム可溶性成分を、ヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分を得る;このようにして得られた副成分の中でも最も強力な抗脂肪生成活性と抗肥満活性を有する9番目の成分を、クロロホルム:メタノール(30:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーと、20〜70%のメタノールを移動相とし、40%メタノールを流速2ml/mで使用したHPLCに繰り返しかけて独創的な「cmc−9」抽出物を得ることで、本発明の独創的な「CMC−9」を調製することができる。図12に示すように、TLC溶出溶媒システム(クロロホルム:メタノール=20:1)でcmc−9は26.8分後に溶出、Rf値は0.32であった。
【0034】
本発明な独創的な抽出物の抗肥満効果を調査するため、本発明の発明者は脂肪細胞分化およびトリグリセリド、脂肪細胞分化に関係するPPARガンマ因子、ACOI、アポCIII等の遺伝子の発現に対する阻害効果に関する様々な試験管内実験と、脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積に対する抑制効果および実験動物の体重の減少効果に関する動物実験を集中的に行った。これらの研究結果より、本発明のウリ科植物の抽出物は脂肪細胞とトリグリセリドの蓄積を強力に阻害し被験動物の体重を減少させることから強力な抗肥満薬として有用なことを確認した。
本発明による抽出物は、製剤的な観点から許容範囲にある担体、アジュバントまたは希釈剤を含有する製剤組成物として提供することができる。例えば、本発明の抽出物はオイル、プロピレングリコール、または注射剤を製造する際に通常使用するその他溶媒に溶解させることができる。適当な担体の例としては、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物性油、ミリスチン酸イソプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。外用としては、本発明の抽出物を軟膏やクリームにすることが可能である。
【0035】
本発明の抽出物は強力な抗肥満活性および抗脂肪生成活性を有しており、ゆえに本発明の製剤組成物を肥満および脂肪生成関連疾病の治療や予防に使用してもよい。
【0036】
以下に記載の製剤方法および賦形剤は単なる例にすぎず、本発明をいかなるうえでも制限するものではない。
【0037】
医薬品の剤形とした本発明の抽出物は、その製剤的な観点からみて許容範囲にある塩として使用してもよい。また、その他の製剤的に活性な化合物と組み合わせての使用はもちろん、単体で使用しても適当なものと組み合わせての使用であってもよい。
【0038】
本発明の抽出物は、通常の生理食塩水、5%デキストロース等の水溶性溶媒や、植物性油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコール等の非水溶性溶媒に溶解、懸濁、または乳化させることで注射製剤としてもよい。製剤は可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、防腐剤等の通常の添加物を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の独創的な抽出物の望ましい投与量は、状況や対象の体重、重症度、剤形、投与経路、投与期間によって異なり、当業者が選択してもよい。しかし、望ましい効果を得るためには、本発明の独創的な抽出物を、体重/日あたり、0.0001〜100mg/kg、好ましくは0.001から100mg/kg投与することが一般的に勧められる。一日一回投与しても、何回かにわけて投与してもよい。組成物という点では、抽出物の量は組成物の総重量につき0.0001〜10重量%、好ましくは0.0001〜1重量%にすべきである。
【0040】
本発明の製剤組成物は、哺乳類(ラット、マウス、家畜または人間)等の被験動物に様々な経路で投与することができる。全ての投与経路が考えられるが、例えば、経口投与、直腸投与、静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、鞘内投与、硬膜外投与、または脳室内投与が挙げられる。
【0041】
また、本発明の抽出物は様々な機能性健康食品およびヘルスケア食品の主成分、または添加物や補助剤としても使用することができる。
【0042】
ここでいう「機能性健康食品」とは「人間または哺乳類の肥満や脂肪生成関連疾病を予防または改善するために本発明の化合物を通常の食品に添加して、物理的または生理的機能性等を高めた機能性食品」と定義される。
【0043】
本発明のその他の目的は、肥満と脂肪生成関連疾病を予防・緩和するための、ウリ科植物から単離した未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、または上述のcmc−9抽出物と食品学的に許容範囲にある添加物から構成されるヘルスケア食品を提供することである。
【0044】
ここでいう「ヘルスケア食品」とは「特に意図された効果はないものの、全般的な効果を添加物として少量で、もしくはカプセル・丸薬・錠剤等として全量で発揮する本発明の抽出物を含有する食品」と定義される。
【0045】
ここでいう「食品学的にみて許容範囲にある添加物」とは「その用途が直接的であれ間接的であれ一成分であること自体あるいはその反対で食品の特性に影響を与えることに帰着する、または帰着することが十分に期待しえる物質」と定義される。例としては、増粘剤、熟成剤、漂白剤、抑制剤、湿潤剤、固化防止剤、清澄剤、硬化剤、乳化剤、安定剤、シックナー、塩基および酸、発泡剤、栄養剤、着色剤、着香料、甘味料、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられ、以下で詳細に説明する。
【0046】
ある特定の目的をもって食品にある物質を添加する場合はそれを直接添加物と称し、梱包や貯蔵、その他の取り扱いに応じて微量添加する場合は間接食品添加物と称される。
【0047】
上記記載の健康食品は、肥満および脂肪生成関連疾病の予防と改善を目的として、食品、健康飲料、食事療法等に取り入れることができ、粉末、顆粒、錠剤、チュアブル錠、カプセル、飲料等の形態で使用してもよい。
【0048】
また、上記記載の抽出物を、肥満および脂肪生成関連疾病の予防と改善を目的として食品または飲料に添加することもできる。機能性健康食品またはヘルスケア食品としての食品または飲料に添加する上記記載の抽出物の量は、機能性健康食品組成物としては、概して食品総重量の約0.01〜100w/w %である。特に、機能性健康食品、ヘルスケア食品または特殊栄養食品における本発明の抽出物の好ましい量は、各食品の使用目的によって異なっていてもよいが、一般的には、食品組成を100%として本発明の抽出物を麺類等の食品中に添加物として約0.01〜5%使用するのが好ましく、ヘルスケア食品においては40〜100%の比率で使用するのが好ましい。
【0049】
本発明の健康飲料組成物が上記記載の抽出物を主成分として記載の比率で含有しているとした場合、その他の液状成分については特に制限はなく、その他の成分としては様々な清涼剤や通常の飲料等の天然糖類が挙げられる。上記記載の天然糖類としては、グルコース、果糖等の単糖類;麦芽糖、蔗糖等の二糖類;デキストリン、シクロデキストリン等の一般的な糖;キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールが例として挙げられる。上記記載のもの以外の清涼剤としては、ソーマチン、レバウディオサイドA等のステビア抽出物、グリシルリジン等の天然清涼剤、サッカリン、アスパルテーム等の合成清涼剤が好適に有用なものとして挙げられる。上記記載の天然糖類の量は、通常、本発明の飲料組成物100mlあたり約1〜20g、好ましくは5〜12gである。
【0050】
上記記載の組成物以外の成分としては様々な栄養剤、ビタミン、ミネラルまたは電解質、合成着香料、着色料、チーズやチョコレートの場合は品質改良剤、ペクチン酸およびその塩、アルギニン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド粘着剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料等で使用される炭酸化剤が挙げられる。上記記載のもの以外の成分ついては、天然フルーツジュースに使用する果汁、果汁飲料、野菜飲料が挙げられ、成分は独立して使用しても組み合わせて使用してもよい。各成分の比率はあまり重要ではないが、通常、組成物100 w/w%に対して約0から20 w/w%である。こういったものを添加する、上述の抽出物を含有する食品としては様々な食品、飲料、ガム、複合ビタミン剤、健康促進食品等が挙げられる。
【0051】
以下の実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、いかなる方法によっても本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の精神または範囲から外れることなく、本発明の組成物、その用途および製剤に様々な改良や変更を加えうることは当業者には自明である。
【0053】
本発明を以下の実施例を用いてより詳細に説明するが、いかなる方法によっても本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0054】
以下の参考例、実施例、および実験例は本発明をより詳しく説明するためのものであり、その範囲を限定するものではない。
【0055】
[実施例1 ウリ科植物の温水抽出物の調製]
韓国の市場で購入したカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)の茎を乾燥させたものそれぞれ2キロを切断し、メタノール20リットルと混合し、還流抽出器を用いて90℃で1時間抽出した。この抽出工程を3回繰り返して上清を回収し、フィルターペーパーでろ過した後、上清を減圧下で濃縮して、カボチャ、スイカ、ヘチマタワシの乾燥温水抽出物を300g、350g、240g、それぞれ得た。各抽出物を蒸留水に溶解して濃度100 mg/mlとし、以下の実験例においてテストサンプルとして使用した。
【0056】
[実施例2 ヘキサン可溶性抽出物の調製]
実施例1で調製した乾燥させた温水可溶性抽出物200gを1リットルの蒸留水に懸濁させ、そこに1リットルのヘキサンを添加した。得られた水溶液をヘキサン層と水層との分別に3回供して、回収したヘキサン層を濾過した後、真空ロータリーエバポレータで乾燥させて180mgのヘキサン可溶性抽出物を得た。残った水層1リットルは以下の工程で使用した。
【0057】
[実施例3 クロロホルム可溶性抽出物の調製]
残った水層に1リットルに1リットルのクロロホルムを添加し、得られた水溶液をクロロホルム層と水層との分別に3回供した。回収したクロロホルム層を濾過し、ロータリーエバポレータで乾燥させて770mgのクロロホルム可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0058】
[実施例4 酢酸エチル可溶性抽出物の調製]
残った水層1リットルに1リットルの酢酸エチルを添加し、得られた水溶液を、酢酸エチル層と水層との分別に3回供した。回収した酢酸エチル層を濾過した後、真空ロータリーエバポレータで乾燥させて2.1gの酢酸エチル可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0059】
[実施例5 ブタノール可溶性抽出物の調製]
残った水層1リットルに1リットルのブタノールを添加し、得られた水溶液をブタノール層と水層との分別に3回供した。回収したブタノール層を濾過した後、真空ローターリーエバポレータで乾燥させて7.4gのブタノール可溶性抽出物を得た。残った水層は以下の工程で使用した。
【0060】
[実施例6 cmc−9精製抽出物の調製]
25gのシリカゲル(メルク社。No−9385)を充填したカラム(3x27cm)を使用して、770mgのクロロホルム可溶性抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム:メタノール=16:15:1)を移動相として溶出させた。回収した成分を乾燥させて11の成分に分けた。つまり第1成分(31mg)、第2成分(18mg)、第3成分(65mg)、第4成分(18mg)、第5成分(54mg)、第6成分(75mg)、第7成分(39mg)、第8成分(200mg)、第9成分(20mg)、第10成分(163mg)、および第11成分(64mg)である。最も強力な抗肥満活性を示す第9成分20mgを、シリカゲル2g(メルク社。9385)を充填したシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出は、直線勾配のクロロホルム:メタノールを含有する混合溶媒を用いて(30:1?>10:1)段階的に行った。さらに第9成分を精製するために、20〜70%のメタノールを移動相として40%メタノールを流速2ml/mで使用したHPLCを行って26.8分で溶出された本発明の独創的な「cmc−9」抽出物を得た。図18および図19に示されるように、TLC溶出溶媒(クロロホルム:メタノール=20:1)を用いた場合、cmc−9抽出物は15分で溶出され、Rf値は0.32だった。
【0061】
[実験例1 脂肪細胞分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の脂肪細胞分化およびトリグリセリドレベルの阻害活性を測定するために、以下の実験を行った。
(1−1.テストサンプルの未精製抽出物)
ATCC(米国・アメリカンティッシューカルチャーコレクション社)から購入した脂肪細胞(3T3−L1)を10%のFBSを含有するRPMI培地で培養し、成熟した脂肪細胞に分化させるためにMDIカクテル(イソブチルメチルキサンチン、デキサメタゾン、インシュリン)を添加した。2日後、培地を交換してインシュリンのみで処理した。その後、培地を交換し同濃度のインシュリンで処理する作業を一日おきに行った。分化が起こったら濃度2.5〜1000ug/mlのMDIで処理し、培地を交換する度に同濃度のMDIで処理した。トログリタゾン(シグマ社)および10 uM SB203580(シグマ社) を対照グループとして使用し、カボチャ、スイカ、ヘチマタワシの温水抽出物を乾燥させたもの各1 mg/mlで処理して、それぞれのテストサンプルグループとした。8日後、分化した細胞内に蓄積された脂肪をオイルレッドO染色試薬で染色して、吸光度を光学濃度から定性的に測定した。阻害率(%)は、以下の実験式1を用いて計算した。
【0062】
[実験式1]
阻害率(%)=[テストグループのO.D.]/[対照グループのO.D.値]x100
結果、前駆脂肪細胞3T3−L1細胞は分化して成熟細胞となり、トリグリセリドがMDI処理グループの細胞内に蓄積されていることが確認された。トログリタゾン処理グループにおいてはトリグリセリドがより多く生成され、他のグループよりも濃い赤に染色された。一方、SB203580処理グループではトリグリセリドは生成されなかった。テストサンプル処理グループ、つまりカボチャ、スイカ、ヘチマタワシの抽出物、特にカボチャ処理グループにおける生成したトリグリセリドのレベルは、その投与量に応じて著しく低下した(図1と図2を参照のこと)。
【0063】
(1−2. テストサンプルの各溶媒可溶性成分)
実施例3〜5で調製した、カボチャの茎から単離したクロロホルム、酢酸エチル、ブタノールに可溶な成分の脂肪細胞分化とトリグリセリドレベルに対する阻害活性を測定するために、上記記載の実験例1−1と同一の工程を行った。各成分の処理濃度は100 ug/mlである。
【0064】
結果、クロロホルムと酢酸エチル可溶性成分は脂肪細胞分化とトリグリセリドの生成に対する強力な阻害活性を示した。特に、クロロホルム可溶性成分は脂肪細胞分化に対して最も強力な阻害効果を示した(図3および図4を参照のこと)。
【0065】
(1−3.テストサンプルの「cmc−9」精製抽出物)
実施例6で調製した、カボチャの茎から単離したcmc−9精製抽出物の脂肪細胞分化とトリグリセリドレベルに対する阻害活性を測定するために、上記記載の実験例1−1と同一の工程を行った。
【0066】
図5からわかるように、トログリタゾン処理グループにおいてはトリグリセリドがより多く生成され、他のグループよりも濃い赤に染色された。一方、SB203580処理グループではトリグリセリドは生成されなかった。cmc−9処理グループは、脂肪細胞分化およびトリグリセリド蓄積に対して最も強力な阻害効果を示した。
【0067】
[実験例2 脂肪細胞分化工程における遺伝子の発現に対する制御効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の、脂肪細胞分化工程における遺伝子の発現に対する制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0068】
最初に、前駆脂肪細胞3T3−L1の分化をMDI処理によって誘導した。PPARガンマ活性化剤であるトログリタゾン(米国・シグマ社)およびp38阻害剤であるSB 203508を対照グループとして処理に使用した。細胞を実施例1で調製した様々な濃度の、つまり1mg/ml、10 mg/ml、100 mg/mlのカボチャの温水抽出物で処理した。処理した細胞は、培地を交換しつつ、37℃で10日間培養した。培養した細胞を冷却した生理食塩水で2回洗浄した。トリアゾール剤を用いてそのRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて逆転写し、そのcDNAを得た。また、全ての因子、つまりPPARアルファ、ACOI、チオラーゼ、アポC−III、SCD−I、GAPDH等を増幅させた。増幅させた遺伝子発現の違いはアガロースゲル電気泳動によって比較した。また、各遺伝子増幅で使用したプライマー配列を配列リスト1〜12で説明した。
【0069】
図6からわかるように、1 mg/mlのPG105で処理した細胞はPPARアルファの発現が向上した。また、ACOIとチオラーゼはPPARアルファによって活性化された。一方、アポC−IIIの発現は抑制された。
【0070】
(実験例3 PPARアルファ活性化に対する制御効果)
実施例1〜6で調製した抽出物の、PPARアルファの活性化に対する制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0071】
実施例2〜4で調製したヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル可溶性成分、および実施例6で調製したcmc−9精製抽出物を、以下の実験においてテストサンプルとして使用した。
【0072】
tkPPREルシフェラーゼレポータープラスミドのみで形質転換した細胞グループと、レポータープラスミドとPPARアルファ、デルタ、またはガンマを発現するベクターとの双方で同時に形質転換した細胞グループとの2種類の形質転換CV−1細胞グループを用意し、24時間後、PG105とその他成分を含むテストサンプルで処理して24時間後の細胞を回収し、そのルシフェラーゼ活性を測定した。対照薬剤としては、PPARアルファに関しては100 uMのフェノフィブラート(シグマ社 F6020−100G)を、PPARデルタに関しては10 uM のGW501516 (シグマ社)を、PPARガンマに関しては100 uMのトログリタゾンで処理した。
【0073】
図7からわかるように、tkPPREでのみ処理したグループにはルシフェラーゼ活性が見られず、クロロホルム、ヘキサン可溶性成分で処理したグループにおいてはPPARアルファで同時に処理したグループは強力なルシフェラーゼ活性を示した。その活性はエタノールでのみ処理した陰性コントロールグループにおけるそれと比較して約60倍高い。また、フェノフィブラート(シグマ社)で処理した陽性コントロールグループにおけるそれと比較して5倍以上高い。PPARデルタを形質転換させた場合、ヘキサン成分で処理したルシフェラーゼ活性は陰性コントロールにおけるそれと比較して約20倍高く、GW501516で処理した陽性コントロールグループにおけるそれと同様であった。しかしながら、PPARガンマを形質転換させた場合、PG105で処理したテストサンプル、各種成分およびcmc−9抽出物に活性は見られなかった。
【0074】
従って、ウリ科植物の抽出物が脂質代謝を制御可能なことが確認された。
[実験例4 高脂肪食マウスにおける、トリグリセリドの蓄積に対する阻害効果]
実施例1〜6で調製した抽出物の、高脂肪食マウスにおけるトリグリセリドの蓄積に対する阻害活性を測定するために、以下の実験を行った。
【0075】
(4−1.前処理)
18〜20グラムの生後8〜10週間のC57/BLマウス(米国・ジャクソンラボ)を換気ケージにいれ、5つのグループに分けた。グループ1には通常の食餌を、残り4つのグループ、つまりグループ2〜5には脂肪分45%以上の高脂肪食(米国・ジャクソンラボ)を与えた。グループ1および2には蒸留水と、グループ3には実施例1で調製したPG105を8mg、16週間にわたって毎日経口で与えた。40 ugのゼニカル(ロシェ社)をグループ4に、5 ugのリダクティル(アボット社)をグループ5に毎日経口投与した。投与6週間後と13週間後にそれぞれ、血液サンプルを採取し、血中トリグリセリドレベルとコレステロールレベルを測定した。13週間後、マウスを殺して肝臓を取り出し、その血中トリグリセリドレベルを測定した。脂肪内臓および肝臓からmRNAを単離して、脂質吸収と代謝経路に関する遺伝子の発現をRT−PCR法を用いて調べた。
【0076】
(4−2.血中トリグリセリドとコレステロールに対する効果)
投与後6週間後と13週間後にそれぞれ、血液サンプルを採取し、血中トリグリセリドレベルとコレステロールレベルを測定した。
【0077】
結果、蒸留水のみを与えた高脂肪食グループであるグループ2の6週間後および13週間後の血中グリセリド濃度はそれぞれ134.67 mg/dlと169.33 mg/dlであった。これは高脂肪食を与えられていないグループの結果に比べて1.66倍高いものであった。これに対し、PG105を与えられたグループ3の6週間後および13週間後の血中濃度はそれぞれ94 mg/dlと90 mg/dlであった。これは高脂肪食を与えられていないグループの結果と同様であった(図8および図9を参照のこと)。
【0078】
蒸留水のみを与えられたグループ2の血中コレステロール濃度は180 mg/dlであり、PG105を与えられたグループ3は148.6 mg/dlであった(図10および図11を参照のこと)。
【0079】
(4−3.脂肪肝に対する効果)
裸眼で肝臓を観察した結果、蒸留水のみを与えられた高脂肪食グループの投与13週後の肝臓は黄色がかった脂肪肝であり、一方、PG105抽出物を与えられた高脂肪食グループの肝臓は鮮紅色であった(図12を参照のこと)。
【0080】
(4−4.肝臓内でのトリグリセリド蓄積に対する効果)
投与13週間後の肝臓内のトリグリセリド蓄積レベルを測定した。結果、蒸留水を与えられた高脂肪食マウスの蓄積トリグリセリドレベルは117.53 mg/dlであり、高脂肪食を与えられていないグループの結果の5倍であり、肝臓における過剰なトリグリセリドの蓄積を示した。これに対し、PG105を投与されたグループのトリグリセリド濃度は46.15 mg/dlであり正常の範囲にあり、裸眼での観察結果と一致した(図13を参照のこと)。
【0081】
(4−5.脂肪代謝に関係する遺伝子発現に対する効果)
脂肪分解と脂質生成を含む脂肪代謝に関わる遺伝子の発現に対するウリ科植物の抽出物の効果を調査するために、脂肪細胞と肝臓からRNAを取り出し、RT−PCR法に供して脂肪代謝に関連する遺伝子の発現における変化を調査した。
【0082】
結果、文献に開示の(Schonfeld, G.他。Metab. Cin. Exp., 28, pp1001−1009, 1979)、臓器中の脂肪細胞に蓄積されたトリグリセリドの脂肪酸への分解に関係する酵素であるリポタンパクリパーゼ(LPL)の発現が、PG105の投与により顕著に増加した。また、リポタンパクリパーゼ酵素の活性を阻害するとされるAPOCIIIタンパク質(Windler E.他。J. Biol. Chem., 255, pp8303−8307, 1980; Wang C. S.他。J. Cin. Invest., 75. pp384−390, 1985)の発現が顕著に阻害された(図14および図15を参照のこと)。
【0083】
図10aに示されるように、SCD(ステアロイルCoAデサチュラーゼ)の発現が著しく阻害された。SCDは、パルミトイルCoAの9位と10位との間、基材としてのステアロイルCoAにシス二重結合を導入するとされており(Enoch, H.G.他。J. Biol. Chem., 251, pp5095−5103, 1976)、さらに、リン脂質、コレステロール、トリグリセリド等を構成するのに使用される(Ntambi, J. M., J. Lipid Res., 40, pp1549−1558, 1999)。
【0084】
これらの結果から、PG105の経口投与には、脂質合成の阻害と同様に脂質の分解の促進いう2つの働きがあることがわかった。
【0085】
(実験例5 高脂肪食マウスにおける、トリグリセリドの蓄積に対する阻害効果)
実施例1〜6で調製した抽出物の、肥満体のマウス(db/db)の減量および脂質レベル制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0086】
自由に水が飲める環境下において、生後5週間のメスの肥満体マウス(米国・ジャクソンラボ)を8週間飼育した。8mgのPG105を100mlの蒸留水に溶解したものを6週間にわたって各マウスに経口投与した。殺菌した蒸留水を陰性コントロールとしてのマウスに投与した。体重変化を週1回測定し、摂取した食餌の量を毎日記録した。また、血中の脂質レベルを3週間目と6週間目に測定した。
【0087】
結果、PG105を投与されたグループには、6週間目で約10〜15%の体重の減少がみられるほどの顕著な減量効果が見られた(図16を参照のこと)。
【0088】
PG105を投与されたグループには、6週間目の血中トリグリセリドのレベルが150 mg/dlに下がるほどの顕著な効果がみられた(図17を参照のこと)。
【0089】
ボランティア患者における減量効果および脂質レベルの制御効果
実施例1〜6で調製した抽出物の、人間のボランティア患者の減量および脂質レベルの制御効果を測定するために、以下の実験を行った。
【0090】
ヘチマタワシの茎から温水抽出した抽出物を、27〜62才の女性4人と30から48才の男性2人から成る6人のボランティア患者に2〜5g/日を2週間、経口投与し、患者の体重(kg)と胴周り(cm)を測定した。総脂質レベル(mg/dl)を診断キット(総脂質試薬、米国・ヴェディーズ社)を用いて熱量測定法で測定した(光度計、アジレント8453、米国・アジレント社)。また、FFAレベル(遊離脂肪酸、uEq/l)をヒタリを用いて(日立7150、日本・日立)酵素法で測定した(Sicdia NEFAYME、日本・イーケン社)。コレステロールレベル(mg/dl)は、アドヴィア(アドヴィア1655、日本・バイエル社)を用いてコレステロールキットで(コレステロール試薬、米国・バイエル社)で測定した。VLDLコレステロールレベル(mg/dl)を分光光度計(光度計4020、ドイツ・ロシェ社)を用いて診断キット(BLFII、日本・イーケン社)で測定した。LDLコレステロールレベル(mg/dl)をヒタクリ(7153、日本・日立)を用いてLDLコレステロールキット(LDLコレステロール試薬、ドイツ・ロシェ社)で測定した。HDLコレステロールレベル(mg/dl)をアドヴィア(アドヴィア1650、日本・バイエル社)を用いて診断キットで(直接HDL−コレステロール、英国・バイエル社)で測定した。トリグリセリドレベルを(mg/dl)アドヴィア(アドヴィア1650、日本・バイエル社)でトリグリセリドキット(トリグリセリド試薬、米国・バイエル社)で測定した。グルコースレベル(mg/dl)をアドヴィア(アドヴィア1850、日本・バイエル社)で診断キット(グルコースヘキソキナーゼ、米国・バイエル社)で測定した。SGOTおよびSGPT(U/l)レベルをアドヴィア(アドヴィア1655、日本・バイエル社)でAST試薬キット(米国・バイエル社)とALT試薬キット(米国・バイエル社)で測定した。
結果、以下の表1からわかるように、ヘチマタワシの茎から抽出した温水抽出物は強力な減量および脂質代謝制御効果を示した。
[表1]
【0091】
従って、同じ科に属するカボチャの茎の抽出物だけではなくヘチマタワシの茎からの抽出物も強力な抗肥満活性を有していることが上述の臨床例により確認された。
【0092】
(実験例7 毒性試験)
<試験方法>
生後6週間のSPF SDラットに投与したテストサンプルの急性毒性試験を以下の手順で行った。
【0093】
各2匹のラットで構成される4グループに、PG105抽出物を100 mg/kg経口投与して、2週間観察した。
<結果>
いずれのグループまたは性別に関しても、死亡率、臨床的徴候、体重変化、および全体の所見に処置による効果の違いは見られなかった。経口投与における最低LD50値は100g/kgより高かった。これらの結果から、本発明によるテスト化合物が安全でありながらも強力であることがわかった。
以下に、製剤方法と賦形剤の種類とを説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。代表的な製剤例は以下に記載のとおりである。
<粉剤の調製>
PG105・・・・・・・・・・50mg
乳糖・・・・・・・・・・・・・100mg
タルク・・・・・・・・・・・・10mg
上記成分を混合して密封容器に充填することで粉剤を調製した。
<錠剤の調製>
PG105・・・・・・・・・50mg
コーンスターチ・・・・・・・100mg
乳糖・・・・・・・・・・・・100mg
ステアリン酸マグネシウム・・2mg
上記成分を混合、錠剤状にすることで錠剤を調製した。
<カプセルの調製>
PG105・・・・・・・・・50mg
コーンスターチ・・・・・・・100mg
乳糖・・・・・・・・・・・・100mg
ステアリン酸マグネシウム・・2mg
錠剤は、上記成分を混合し、通常のゼラチン調製方法でゼラチンカプセルに充填することで調製した。
<注射剤の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・50mg
注射用蒸留水・・・・・・・・最適量
pH調整剤・・・・・・・・・最適量
注射剤は、通常の注射剤調製法に従って有効成分を溶解し、pHを約7.5に調整し、2mlのアンプルに全成分を充填して殺菌することで調製した。
<液剤の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・0.1〜80g
糖・・・・・・・・・・・・・5〜10g
クエン酸・・・・・・・・・・0.05〜0.3%
カラメル・・・・・・・・・・0.005〜0.02%
ビタミンC・・・・・・・・・0.1〜1%
蒸留水・・・・・・・・・・・79〜94%
CO2ガス・・・・・・・・・0.5〜0.82%
液剤は、通常の液剤調製法に従って有効成分を溶解し、全成分を充填・殺菌することで調製した。
<ヘルスケア食品の調製>
cmc−9抽出物・・・・・・1000mg
ビタミン混合物・・・・・・・最適量
酢酸ビタミンA・・・・・・・70mg
ビタミンE・・・・・・・・・1.0mg
ビタミンB1・・・・・・・・0.13mg
ビタミンB2・・・・・・・・0.15mg
ビタミンB6・・・・・・・・0.5mg
ビタミンB12・・・・・・・・0.2mg
ビタミンC・・・・・・・・・10mg
ビオチン・・・・・・・・・・10mg
ニコチン酸アミド・・・・・・1.7mg
葉酸・・・・・・・・・・・・50mg
カルシウムパントテン酸・・・0.5mg
ミネラル混合物・・・・・・・最適量
硫酸鉄・・・・・・・・・・・1.75mg
酸化亜鉛・・・・・・・・・・0.82mg
炭酸マグネシウム・・・・・・25.3mg
リン酸一カリウム・ ・・・・15mg
第二リン酸カルシウム・・・・55mg
クエン酸カリウム・・・・・・90mg
炭酸カルシウム・・・・・・・100mg
塩化マグネシウム・・・・・・24.8mg
上記記載のビタミンおよびミネラル混合物には様々な変更を加えてもよく、そういった変更は本発明の精神と範囲から外れるものとはみなされない。
<健康飲料の調製>
PG105・・・・・・・・・1000mg
クエン酸・・・・・・・・・・1000mg
オリゴ糖・・・・・・・・・・100g
アプリコット濃縮物・・・・・2g
タウリン・・・・・・・・・・1g
蒸留水・・・・・・・・・・・900ml
健康飲料は、通常の健康飲料調製方法に従って有効成分を溶解、混合、85℃で1時間攪拌、濾過、全成分を1000mlのアンプルに充填・殺菌することで調製した。
【0094】
本発明の記載より、同じものに様々なアレンジを加えうることは明白である。そういった変更は本発明の精神と範囲から外れるものとはみなされない。また、当業者に自明なそういった改良は、以下に述べる請求項の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明で記載のように、本発明のウリ科植物の抽出物は強力な体重減少活性、血中トリグリセリドおよびコレステロールレベルを低減する効果、PPARアルファおよびデルタ活性の活性作用、ステアロイルCoAデサチュラーゼの遺伝子発現の抑制作用、および前駆脂肪細胞から脂肪が生成するのを毒性を伴うことなく防ぐ効果を有しており、医薬品またはヘルスケア食品として、肥満および脂肪生成関連疾病を治療または予防するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】ウリ科植物の温水抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものであり、オイルレッドO染色試薬で染色した分化した細胞中に蓄積された脂肪の顕微鏡写真である。
【図2】ウリ科植物の温水抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものであり、染色した脂肪の阻害率を示す。
【図3】カボチャの茎から得た、各溶媒に可溶な成分の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの抑制効果を示し、オイルレッドO染色試薬で染色した分化した細胞の中に蓄積された脂肪を示す。
【図4】カボチャの茎から得た、各溶媒に可溶な成分の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの抑制効果を示し、脂肪の阻害率を示す。
【図5】カボチャの茎から得たcmc−9精製抽出物の脂肪細胞(3T3−1)分化およびトリグリセリドレベルの阻害効果を示すものである。
【図6】脂肪細胞の分化が起こった際の、カボチャの茎から得た温水抽出物の遺伝子発現に対する制御効果を示すものである。
【図7】カボチャの茎から得た温水抽出物、各溶媒に可溶な成分、およびcmc−9精製抽出物のPPAR活性に対する効果を示すものである。
【図8】カボチャ(PG105)の温水抽出物の、高脂肪食マウスの血中トリグリセリド濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの6週間後の結果を示す。
【図9】カボチャ(PG105)の温水抽出物の、高脂肪食マウスの血中トリグリセリド濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの13週間後の結果を示す。
【図10】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの血中コレステロール濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの6週間後の結果を示す。
【図11】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの血中コレステロール濃度に対する効果を示すものであり、サンプルで処理したグループの13週間後の結果を示す。
【図12】カボチャの温水抽出物(PG105)の、13週間にわたって高脂肪食を与えられたマウスの脂肪肝に対する効果を示す。
【図13】カボチャの温水抽出物(PG105)の、高脂肪食マウスの肝臓のトリグリセリドに対する効果を示す。
【図14】カボチャの温水抽出物(PG105)の脂肪代謝に関連した遺伝子発現に対する効果を示す。
【図15】カボチャの温水抽出物(PG105)の脂肪代謝に関連した遺伝子発現に対する効果を示す。
【図16】は、カボチャの温水抽出物(PG105)の、肥満マウスの体重に対する減量効果を示す。
【図17】カボチャの温水抽出物(PG105)の、肥満マウスに対する制御効果を示す。
【図18】ウリ科植物のクロロホルム可溶性成分のTLCの結果(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=20:1)を示す。
【図19】ウリ科植物から得た精製抽出物(cmc−9)のHPLCクロマトグラムを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウリ科植物を乾燥させたものに重量で約5〜15倍の蒸留水を添加し抽出して植物抽出物を得たあと、抽出物を減圧下で濾過および乾燥させて温水に可溶な植物抽出物を得る第1工程と;前記温水可溶性抽出物を水に懸濁させたあと、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール溶媒による分別に極性の低い順で供してそれぞれの有機溶媒に可溶な成分を得る第2工程と;前記クロロホルム可溶性成分をヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分に分ける第3工程と;前記副成分のうち第9番目の成分をクロロホルム:メタノールの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーとHPLCに繰り返し供し、「cmc−9」と命名された、強力な抗肥満および抗脂肪生成活性を有し図12のTLCスペクトルを示す独創的な精製抽出物を得る工程からなる方法によって調製される、ウリ科植物から単離した精製抽出物。
【請求項2】
抗脂肪生成活性と抗肥満活性とを有する、請求項1に記載のウリ科植物の抽出物または精製抽出物を有効成分として、肥満と脂肪生成関連疾病を治療および予防するに効果的な量で含むことを特徴とする医薬品組成物。
【請求項3】
前記ウリ科植物が、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria STANDL. var. depressa HERA)、およびきゅうり(Cucumis sativus L)から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ウリ科植物がカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ウリ科植物の抽出物がその茎または葉から抽出されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記肥満および脂肪生成関連疾病が、肥満、2型糖尿病、脂肪症、高脂血症、心疾患、アテローム性動脈硬化症等を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記抽出物が未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記未精製抽出物が温水可溶性抽出物であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記無極性溶媒がヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチルから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記無極性溶媒がクロロホルムであることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が上記抽出物を組成物の総重量につき約0.02〜90重量%含有することを特徴とする、請求項2〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
肥満と脂肪生成関連疾病を予防および緩和するための、請求項1に記載のウリ科植物の未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、またはcmc−9抽出物、および食品学的に許容範囲にある添加物を含むことを特徴とするヘルスケア食品。
【請求項13】
前記食品がヘルスケア飲料であることを特徴とする、請求項12に記載のヘルスケア食品。
【請求項1】
ウリ科植物を乾燥させたものに重量で約5〜15倍の蒸留水を添加し抽出して植物抽出物を得たあと、抽出物を減圧下で濾過および乾燥させて温水に可溶な植物抽出物を得る第1工程と;前記温水可溶性抽出物を水に懸濁させたあと、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール溶媒による分別に極性の低い順で供してそれぞれの有機溶媒に可溶な成分を得る第2工程と;前記クロロホルム可溶性成分をヘキサン:クロロホルム:メタノール(16:15:1)の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して11の副成分に分ける第3工程と;前記副成分のうち第9番目の成分をクロロホルム:メタノールの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーとHPLCに繰り返し供し、「cmc−9」と命名された、強力な抗肥満および抗脂肪生成活性を有し図12のTLCスペクトルを示す独創的な精製抽出物を得る工程からなる方法によって調製される、ウリ科植物から単離した精製抽出物。
【請求項2】
抗脂肪生成活性と抗肥満活性とを有する、請求項1に記載のウリ科植物の抽出物または精製抽出物を有効成分として、肥満と脂肪生成関連疾病を治療および予防するに効果的な量で含むことを特徴とする医薬品組成物。
【請求項3】
前記ウリ科植物が、カボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria STANDL. var. depressa HERA)、およびきゅうり(Cucumis sativus L)から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ウリ科植物がカボチャ(Cucurbita moschata DUCH)、スイカ(Citrullus vulgaris SCHRAD)、ヘチマタワシ(Luffa cylindrical L. ROEM)から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ウリ科植物の抽出物がその茎または葉から抽出されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記肥満および脂肪生成関連疾病が、肥満、2型糖尿病、脂肪症、高脂血症、心疾患、アテローム性動脈硬化症等を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記抽出物が未精製抽出物または無極性溶媒可溶性抽出物であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記未精製抽出物が温水可溶性抽出物であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記無極性溶媒がヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチルから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記無極性溶媒がクロロホルムであることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が上記抽出物を組成物の総重量につき約0.02〜90重量%含有することを特徴とする、請求項2〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
肥満と脂肪生成関連疾病を予防および緩和するための、請求項1に記載のウリ科植物の未精製抽出物、無極性溶媒可溶性抽出物、またはcmc−9抽出物、および食品学的に許容範囲にある添加物を含むことを特徴とするヘルスケア食品。
【請求項13】
前記食品がヘルスケア飲料であることを特徴とする、請求項12に記載のヘルスケア食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−513150(P2007−513150A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542501(P2006−542501)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003168
【国際公開番号】WO2005/053723
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506185883)ヘリクサー カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003168
【国際公開番号】WO2005/053723
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506185883)ヘリクサー カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]