説明

ウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置

【課題】 ブレンドタンクが不要で、均一なガスローディングを行うことが可能なウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置を提供すること。
【解決手段】 ウレタン原液の導入流路1、ガスローディング用のガス導入流路2、該ガス導入流路2に設けられたガス流量調整部7、前記各導入流路1,2が接続された混合部3、該混合部3から供出された混合液の比重を検出できる測定部5、該測定部5の出力を指標として前記ガス流量調整部7によってガスローディング用のガス流量を制御・管理する制御部8、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置に関し、具体的には、例えばポリウレタンフォームを製造するためのウレタン発泡装置等において、発泡の均一性を確保するために用いるウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ウレタン発泡装置においては、注型成形等を行う前にウレタン原液に対してガスローディングを仕掛ける方法が用いられている。この方法によれば原材料中に予め多量のガスを含有させるため、より発泡率が高い低密度タイプのポリウレタンフォームを製造することができる。例えば、自動車シート用クッション材としてポリウレタン原材料に予め混合させておくことによって、加工性の高いポリウレタンフォームを作製することができる。
【0003】
この場合、ウレタン発泡装置のウレタン原料の貯留タンクとは別にガスローディング用のブレンドタンクを設置し、ウレタン原液をブレンドタンク内に循環させながらガスローディングされたブレンド液を作製し、該ブレンド液を貯留タンクへ供給してタンク内のウレタン原料との攪拌・混合した後にミキシングヘッドに供給され、ウレタン発泡に使用する方法が用いられていた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、図4に例示するような、ガスローディング装置を用いたポリウレタンフォームを製造するためのウレタン発泡装置において、ポリイソシアネートを主成分とする第一の原料が原料供給管51から供給される第一の貯留槽52と、ポリオール化合物を主成分とする第二の原料が原料供給管61から供給される第二の貯留槽62と、ミキシングヘッド60とから構成されている。これら二つの貯留槽52,62には、各々、モータ53,63を備えた攪拌器54,64が備えられており、槽内に貯留する原料を常時攪拌混合することができる。而して、これら二つの貯留槽52,62とミキシングヘッド60とは、各々、計量ポンプ56,66を備えた供給用送液管55,65および排出用送液管58,68によって連通されている。これにより、上記第一の原料と第二の原料は、各々別個に図2における矢印方向にミキシングヘッド60に循環供給される。
【0005】
一方、第二の貯留槽62には、気液混合槽72を備えたガスローディング装置70が装備されており、このガスローディング装置70を作動させることによって第二の貯留槽62内に貯留する第二の原料に多量のガスを混合させている。すなわち、図4に示すように、上記気液混合槽72はモータ73付き攪拌器75を装備するとともにガス供給管74を介して外部から炭酸ガス等のガスを供給するように構成されている。一方、この気液混合槽72はポンプ76を備えた給液管77および送液管78によって第二の貯留槽62に連通している。このことによって、ポンプ76付き給液管77を介して気液混合槽72内に流入した第二の原料は、別途ガス供給管74より供給されてきたガスと当該槽内において攪拌・混合される。そして、ガスが十分混合された第二の原料は、送液管78を介して第二の貯留槽62に戻される。以上のように構成された結果、従来のポリウレタンフォーム製造装置50aにおいて、ポリイソシアネートを主成分とする第一の原料と所望するガスを多量に含有したポリオール化合物を主体とする第二の原料とがミキシングヘッド60において混合され、そのミキシングヘッド60の放出口60aから当該ガス含有混合原料を外部(典型的には成形型内)に向けて放出している。
【0006】
上記の方法は、ウレタン原液のミキシングヘッドへの連続注入あるいはバッチ注入のいずれにおいても同様であり、また、連続注入に限ってはウレタン圧送ポンプサクション側へガスを投入して撹伴し、使用するワンウェイブレンド方式が利用されていた。
【0007】
【特許文献1】特開平11−293027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従前のこうしたガスローディング装置を用いたウレタン発泡装置には、以下のような問題点があった。
【0009】
(1)従前のウレタン発泡装置においては、貯留タンクとは別にブレンドタンクが必要となり、ウレタン発泡装置内に広いブレンドタンクの設置スペースが必要となる。従って、コスト面での負荷も大きくなり、装置のコンパクト化および低コスト化という課題があった。
【0010】
(2)ガスローディング装置において、ブレンドタンク内で制御、管理されてブレンド液が作製されるが、ガスを混入させているためブレンドタンク内の上層部、下層部でブレンド状態のムラ(ブレンドムラ)が発生する。従って、そのブレンド液が供給される貯留タンク内でも、同様にブレンドムラが発生することから、最終製品であるポリウレタンフォームにおいても発泡状態にムラが生じるおそれがあった。さらに、層内でのブレンドムラだけではなく、ブレンドタンクに供給されるウレタン原液の量に対応したガス供給量を調整する必要があるとともに、最終的には貯留タンクから供出されるウレタン原液中にブレンドされたガス量が一定であることが必要となる。
【0011】
(3)以上の課題に対して、連続注入の場合は、所定の安定化時間経過後の操作にワンウェイブレンド方式を利用すれば、上記の欠点をカバーすることができるが、バッチ注入の場合ガスローディング率の安定性に欠け、一定のガスがブレンドされたウレタン原液を利用することが困難となる。また、従前の方法にあっては、定期的あるいは随意に必要となることがある場合には、通常の運転時にガスローディングをしないウレタン発泡装置であっても、ガスローディング装置を常時取り付ける必要があり、設置場所あるいは保守など作業効率の向上を図るための阻害要因の1つとなっていた。
【0012】
本発明の目的は、ブレンドタンクが不要で、均一なガスローディングを行うことが可能なウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置を提供することにある。また、既設ウレタン発泡装置に後付して利用することができ、あるいはバッチ注入で使用するウレタン発泡装置においても利用することができるウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示すウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0014】
つまり、本発明は、ウレタン原液へのガスローディング装置であって、ウレタン原液の導入流路、ガスローディング用のガス導入流路、該ガス導入流路に設けられたガス流量調整部、前記各導入流路が接続された混合部、該混合部から供出された混合液の比重を検出できる測定部、該測定部の出力を指標として前記ガス流量調整部によってガスローディング用のガス流量を制御・管理する制御部、を有することを特徴とする。
【0015】
従前のガスローディング方法では、上記のようないくつかの課題があった。本発明は、ウレタン発泡装置のウレタン原液流路中にガスローディング装置を配設するとともに、ウレタン原液とガスの混合液の比重を検出し、これを指標としてガスローディング用のガス流量を制御・管理することによって、ブレンドタンクが不要で、均一なガスローディングを行うことが可能なウレタン原液へのガスローディング装置を提供することができる。つまり、ガスローディングの効果は、ウレタン原液中のガス混入量とその安定性によって評価することができ、ウレタン原液中のガス量は、混合液の比重を指標とすることによって測定することが可能であることを検証し、本発明に適用したもので、簡便な測定部によって、精度よくガスローディング用のガス流量を制御・管理することが可能となった。また、測定部を直接ウレタン原液流路中に配設することによって、迅速かつ精度の高い測定が可能となり、より精度よくガスローディング用のガス流量を制御・管理することが可能となった。
【0016】
本発明は、上記ウレタン原液へのガスローディング装置であって、前記測定部として質量流量計を用い、前記混合液の比重を測定することを特徴とする。
【0017】
ウレタン原液へのガスローディングにおいては、ウレタン原液中のガス混入量の測定に混合液の比重測定が有効であるとともに、高圧条件下での連続測定が必要とされる。本発明においては、測定器としてこうした条件を具備し、さらに混合液の比重の高精度な測定が可能な方法として、質量流量計が適していることを見出した。具体的には、後述するように、マスフローセンサやマスフローコントローラなどを挙げることができる。
【0018】
本発明は、上記ウレタン原液へのガスローディング装置であって、前記測定部の出力値が予め設定した基準値あるいは基準範囲内にあるとき、ガスローディング用のガスの供給を停止するとともに、前記混合部の作動を継続することを特徴とする。
【0019】
上記のように、本発明に係るウレタン原液へのガスローディング装置は、ウレタン発泡装置のウレタン原液流路中に配設することが可能であり、特にミキシングヘッド直前の流路に設けることによって、ウレタン発泡装置を稼動するときの迅速な立ち上げに好適である。また、迅速な立ち上がりによって、素早く均一にガスローディングされた混合液をミキシングヘッドに供給することができるとともに、循環系のウレタン原液流路を形成している場合には、循環系全体の混合液中のガス量の均一性を迅速に確保することができる。従って、ガスローディング装置において新たなガスローディング用のガスを供給せずに均一なガスローディングを行うことが可能となり、混合部の作動を継続するだけで、さらに均一性の高いガスローディングを行うことが可能となる。
【0020】
本発明は、ウレタン発泡装置であって、ウレタン原液の貯留タンクからポリウレタン発泡用のミキシングヘッドに供給あるいは両者を循環するウレタン原液流路中であって該ミキシングヘッド直前に、上記いずれかのガスローディング装置を配設することを特徴とする。
【0021】
ウレタン発泡装置においては、ミキシングヘッドに導入されるウレタン原液の状態が、最終製品であるポリウレタンフォームの特性を左右する。特に種々のポリオール化合物が混合された場合や、さらに添加剤が混合された場合などにおいては、ウレタン原液の均一性が重要となり、上記のようなガスローディング装置は、ポリオール化合物とイソシアネートとの攪拌性の向上を図るとともに、ウレタン原液自体の均一性を向上させることができる。このとき、ウレタン発泡装置のミキシングヘッド直前の流路に設けることが可能であり、これによってウレタン原液の均一性を確保することが可能となる。またウレタン発泡装置を稼動するときの迅速な立ち上げに好適であり、素早く均一にガスローディングされた混合液をミキシングヘッドに供給することができる。従って、ブレンドタンクが不要で、均一なガスローディングを行うことができるウレタン発泡装置を提供することが可能となる。
【0022】
本発明は、上記ウレタン発泡装置であって、前記ガスローディング装置の取り付け・取り外しが可能な取合部を有することを特徴とする。
【0023】
ガスローディングは、ポリオール化合物とイソシアネートとの攪拌性の向上を図ることを目的とするもので、ウレタン原液の性状あるいはイソシアネートの種類によっては必ずしも必要ではない。また、バッチ注入のウレタン発泡装置においては、常時稼動しない場合であっても、従前はガスローディング装置を常時取り付ける必要があった。本発明は、ガスローディング装置の取り付け・取り外しが可能な取合部を有するウレタン発泡装置とすることによって、バッチ注入に対しても迅速に対応することが可能で、均一なガスローディングを行うことができるウレタン発泡装置を提供することが可能となる。また、こうした構成を有することによって、既設のウレタン発泡装置に対してもガスローディング装置を後付して利用することが可能となり、ブレンドタンクが不要で均一なガスローディングを行うことができるウレタン発泡装置とすることが可能となる。
【0024】
本発明は、上記ウレタン発泡装置であって、前記ウレタン原液流路中に熱交換器および加圧手段を有し、前記ガスローディング装置のウレタン原液の導入流路の温度および圧力を所定値に制御することを特徴とする。
【0025】
均一なガスローディングを行うには、混合液を構成する各成分の温度および圧力を一定にする必要がある。本発明のウレタン発泡装置であっては、ウレタン原液流路中に熱交換器および加圧手段を有し、ガスローディング装置へ導入されるウレタン原液の温度および圧力を所定値に制御することによって、定圧・定流量で供給されるガスローディング用のガスとの均一な混合を図ることができる。その結果、混合液を構成する各成分の均一な攪拌性を確保し、ミキシングヘッドでの均一な混合を行うことができる。従って、均一性の優れたポリウレタンフォームの作製が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明は、ウレタン発泡装置のウレタン原液流路中にガスローディング装置を配設し、混合液の比重を基にガスローディング用のガス流量を制御・管理することによって、ブレンドタンクが不要で、均一なガスローディングを行うことが可能なウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置を提供することが可能となる。特に、従前のガスローディング装置ではできなかった、バッチ注入タイプのウレタン発泡装置に使用することや、既設のウレタン発泡装置に後付して使用することなどが、本発明に係るガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置によって可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るウレタン原液へのガスローディング装置およびこれを用いたウレタン発泡装置の好適な実施形態について図面を用いて説明する。
【0028】
<本発明に係るウレタン原液へのガスローディング装置の構成例>
本発明に係るガスローディング装置(以下「本ガスローディング装置」という。)は、ウレタン原液の導入流路、ガスローディング用のガス導入流路、該ガス導入流路に設けられたガス流量調整部、各導入流路が接続された混合部、混合部から供出された混合液の比重を検出できる測定部、測定部の出力を指標としてガス流量調整部によってガスローディング用のガス流量を制御・管理する制御部、を有することを特徴とする。
【0029】
図1は、本ガスローディング装置の構成例を示す。導入流路1からウレタン原液、ガス導入流路2からガスローディング用のガスが導入され、両者が混合部3において攪拌・混合される。混合部3には攪拌駆動用のモータ4が設けられ、十分に攪拌された混合液が質量流量計5(測定部に相当)を介して供出流路6から供出される。ここで、ガス導入流路2にはガス流量調整部7が配設され、質量流量計5の出力を基に、制御部8によってガスローディング用のガス流量が制御・管理される。
【0030】
ここで、ガスローディング用のガスとしては、入手が容易で、ウレタン原液に対して物理的あるいは化学的作用を及ぼさないガスが好ましい。具体的には、ドライな空気や窒素ガスあるいはアルゴンガスなどの不活性ガスを挙げることができる。
【0031】
また、混合部3としては、溶液とガスの攪拌・混合機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、攪拌機能の高さから、例えば、羽根車式ミキサー、ローター式ミキサー、あるいは振動型ミキサーなどを使用することが好適である。
【0032】
質量流量計5としては、通常コリオリ式質量流量計と熱式質量流量計に大別されるが、本ガスローディング装置は、ウレタン原液約10〜40L/minの流量域で使用されることが多いことから、コリオリ式質量流量計を用いることが好ましい。
【0033】
制御部8においては、質量流量計5の出力を基にガス流量調整部7を制御し導入ガス量を調整するとともに、攪拌駆動用のモータ4の作動を制御することが好ましい。導入ガス量の制御は、例えばガスを混入する前のウレタン原液の比重が既知の場合は、その値を制御部8に入力して質量流量に換算し、予め求めた質量流量と混合ガス量との関係から導入ガス量を演算することができる。また、ガスを混入する前のウレタン原液の比重が未知の場合は、予め質量流量計5によって質量流量を測定し、予め求めた質量流量と混合ガス量との関係から導入ガス量を演算することができる。従って、質量流量計5の出力値が予め設定した基準値あるいは基準範囲内にある場合には、ガスローディングを行う必要はないことから、ガスの供給を停止するとともに、混合部3の作動を継続することによって、混合液中のガス量の均一性を確保することができる。
【0034】
なお、例えば既設のウレタン発泡装置に配設された場合には、該ウレタン発泡装置に設けられた制御機能との交信によってウレタン原液の温度や圧力あるいは流量などの情報を入力し、混合液中のガス量の補正や演算処理を行うことが好ましい。また、ガスローディング用のガスが、ウレタン原液の流量と同様、本ガスローディング装置の外部で制御調整される場合には、ガス流量調整部7は必ずしも必要とされないが、例えばウレタン発泡装置において循環系のウレタン原液流路を形成する場合には、導入されるウレタン原液中に既にガスが混合されていることから、導入ガス量を調整することによって過剰な供給を抑制することが可能となる。
【0035】
<上記ガスローディング装置を用いたウレタン発泡装置の構成例>
本発明に係るウレタン発泡装置(以下「本発泡装置」という。)は、ウレタン原液の貯留タンクからポリウレタン発泡用のミキシングヘッドに供給あるいは両者を循環するウレタン原液流路中であってミキシングヘッド直前に、本ガスローディング装置を配設することを特徴とする。このとき、発泡装置が、本ガスローディング装置の取り付け・取り外しが可能な取合部を有することが好ましい。
【0036】
図2は、本ガスローディング装置10を用いた本発泡装置の構成例の概要を示す。ポリオール化合物を主成分とするウレタン原液が、原液供給口11から貯留タンク12に供給されると同時に、貯留タンク12に設けられた攪拌機13によって攪拌・混合され、均一なウレタン原液が作製される。作製されたウレタン原液は、ストレーナ14によって清浄化された後、取合部15aを介して本ガスローディング装置10に導入される。ここで、所定量のガスローディング用ガスと攪拌・混合処理された混合液(以下「R液」という。)は、取合部15bを介して供出され、高圧ポンプ16(加圧手段に相当)によって昇圧されてミキシングヘッド17に導入される。ポリウレタンフォームを作製するためにミキシングヘッド17から吐出させる時は、R液は、ミキシングヘッド17において、例えばイソシアネートを主成分とする液(以下「P液」という。)と混合され、発泡成形されてポリウレタンフォームが作製される。それ以外の時は、ミキシングヘッド17から熱交換器18を介して再び貯留タンク12に戻され、ウレタン原液の循環系を形成する。ここで、攪拌機13の攪拌速度や攪拌時間、高圧ポンプ16の吐出圧力、熱交換器18の温度、ウレタン原液の循環系を構成する流路の温度、あるいは貯留タンク12の温度や貯留量などが、装置制御部19によって制御・管理される。
【0037】
本ガスローディング装置10は、取合部15aと導入流路1、および取合部15bと供出流路6との接続によって、本発泡装置への取り付け・取り外しが可能な構成としていることを特徴としている。主としてバッチ注入のウレタン発泡装置に対応可能なように、必要なときに取り付け稼動させることによって、本発泡装置に対する不要な負荷を軽減することができる。
【0038】
本発泡装置が稼動し、ウレタン注入作業により貯留タンク12内のウレタン原液が減少して新しいウレタン原液が投入された場合には、通常の生産開始時のガスローディング率よりも低いガス量となる。このとき、質量流量計5による実測値が、予め設定されたガスローディング率に対して低い値となった場合には、ウレタン原液流路内にガスが投入されてガスローディング機能が作動し、ガスローディング率が設定値に達すると、ガス投入が中断され、単なるウレタン原液の循環状態となる。これによって、均一なガスローディングを行うことができるウレタン発泡装置を構成することができる。
【0039】
また、図2においては、本ガスローディング装置10がストレーナ14と高圧ポンプ16の中間に設けられた場合を例示した。これによって素早く均一にガスローディングされた混合液をミキシングヘッドに供給することができることから、ウレタン原液の均一性を確保することが可能となり、ウレタン発泡装置を稼動するときの迅速な立ち上げを図ることができる。
【0040】
なお、本ガスローディング装置10が既設の本発泡装置に付設された場合を含め、本ガスローディング装置10の制御機能と装置制御部19の交信によってウレタン原液の温度や圧力あるいは流量などの情報を入力し、混合液中のガス量の補正や演算処理を行うことが好ましい。この場合、ガスローディング用のガス流量を本発泡装置において制御・調整することも可能である。
【0041】
本ガスローディング装置10に導入されたウレタン原液は、図1に例示したように、質量流量計5の出力を基に流量が制御・管理されたガスローディング用ガスと、混合部3において攪拌・混合され、十分に攪拌されたR液が供出される。
【0042】
次に、図3の構成図を基に、本発泡装置の詳細について説明する。
【0043】
貯留タンク12は、ウレタン原液が貯留され、ポリウレタンフォームの作製に伴う減量分は原液供給口11から補充される。貯留タンク12には、ウレタン原液を撹拌するための撹拌羽根13aが設けられており、撹拌羽根13aは駆動装置13bにより回転駆動される。貯留タンク12内のウレタン原液は液状であり、常温において粘度の高いウレタン原液については、温度センサ12aの出力を基に温度調節手段12bを制御し加温することによって所望の粘度に調整され、温度分布の均一性を図っている。貯留タンク12の温度調節手段12bは、熱媒体循環式やジャケット式などを使用することが可能である。また、貯留タンク12内部の状態を管理するために、ウレタン原液の液面を検出するレベル計12cや内部圧力を検出するタンク圧力計12dを設けることが好ましい。さらに、安全性を確保すべく安全弁12eを設け、貯留タンク12内気層部のパージやウレタン原液の圧送のためのバック圧エア12fの供給も好適である。
【0044】
貯留タンク12から供出されたウレタン原液は、ストレーナ14を介して本ガスローディング装置10に導入される。ここで、ストレーナ14は、内部にフィルタ機能を有するタイプや、不純物の付着などによって除去可能な流路壁面を有するタイプなどを使用することが可能である。
【0045】
本ガスローディング装置10について詳細には、既述のような構成例に加え、いくつかの付加機能を設けることが好ましい。具体的には、図3に例示するように、
(1)取合部15aと導入流路1、および取合部15bと供出流路6とをフレキシブルなホースを用いて接続することによって、既設の本発泡装置であっても容易に取付けることができる。
(2)ガス導入流路2において、ガス流量調整部7に加え、圧力計2aや流量計2bを設けることによって、より精度の高いガス流量制御が可能となる。
(3)質量流量計5からの供出流路6において、エア抜き用バルブ6aを設けることによって、本発泡装置のミキシングヘッド17へのR液供給流路への過剰ガスの混入を防止して、R液供給量の安定を確保することができる。
【0046】
高圧ポンプ16としては、加圧対象が飽和状態の気液混合液であることから、圧力や流量の安定性が高く、外部から制御しやすいメタリングポンプが好ましい。また、高圧ポンプ16には、エア抜き用バルブ16aを設けることが好ましく、予め付設されているタイプの高圧ポンプ16もある。これによって、高圧ポンプ16でのキャビテーションを防止し、R液供給量の安定を確保することができる。
【0047】
高圧ポンプ16からミキシングヘッド17までの流路には、高圧安全弁16b、高圧流量計16cや圧力スイッチ16dを設けることが好ましい。ミキシングヘッド17に供給されるR液の最終条件および安全性を確保することができる。また、エア抜き用バルブ6a,16aが機能した場合、図3に例示するように、その高圧のR液あるいは過剰ガスは、熱交換器18によって温度調整された状態で循環系の貯留タンク12に循環させることが好ましい。循環系を形成することによって、こうした高圧のR液あるいは過剰ガスが有する熱量や圧力を生かすことが可能となる。
【0048】
ミキシングヘッド17は、ミキシングヘッド本体17aと吐出ノズル17bを備え、吐出ノズル17bの先端には必要に応じて延長ノズルが装着されることがある。また、ミキシングヘッド本体17aには、R液導入口17cとR液供出口17d、およびP液導入口17eとP液供出口17fが設けられ、R液導入口17cから導入されたR液とP液導入口17eから導入されたP液とがミキシングヘッド本体17a内で混合され、吐出ノズル17bからポリウレタンフォームを形成しながら吐出される。ミキシングヘッド17の構成は特に限定されないが、図3に例示するように、ミキシングヘッド本体17a内のピストンを油圧シリンダー17gで後退させて衝突混合を行い、吐出ノズル17bより吐出する高圧発泡ミキシングヘッドの使用が好ましい。所定量の発泡原液組成物を吐出した後には、ピストンは油圧シリンダー17gを元の位置に進出させることにより混合、吐出を終了する。
【0049】
熱交換器18は、添加剤や発泡剤などが混合されたR液を冷却または加熱する機能を有する。熱交換器18の内部には、熱媒体を循環させるための配管(図示せず)が設けられており、これと接したR液を冷却または加熱する。熱交換の方式は、特に限定されるものではない。
【0050】
本発泡装置においては、ミキシングヘッド17から戻されるR液の一部または全部が熱交換器18にて温度調節され、貯留タンク12に戻され、循環系を形成する。これにより、貯留タンク12の内部での攪拌・混合の均一化を図り、ウレタン原液の品質の安定性を確保することができる。また、熱交換器18は、季節や本発泡装置の設置条件の変化に対応し、ウレタン原液の温度を安定化させる役割を担っている。例えば、ウレタン原液の温度は、冬季はかなり低く夏季は高いため、これらを所定温度範囲内に収めるべく、熱交換器18を介して貯留タンク12に戻すことによって温度調節を行う。つまり、循環系を形成することによって、ウレタン原液の液温度を制御、管理することも兼ねている。
【0051】
以上のように、本ガスローディング装置10を本発泡装置に用いることによって、別途ブレンドタンクを保有する必要がなく、ウレタン注入作業の合間に、ウレタン原液を、貯留タンク12→ガスローディング装置10→高圧ポンプ16→ミキシングヘッド17→熱交換器18→貯留タンク12と循環させて、ガスをブレンドし制御・管理することができる。これによって、バッチ注入式のウレタン発泡システムでも安定してガスローディングをかけたウレタン原液が利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上の実施形態では、ポリウレタンフォームの原液であるポリオール組成物のガスローディング装置およびそれを用いたウレタン発泡装置について例示したが、本発明は、広く他の発泡性ポリマー原液のガスローディング装置およびそれを用いたウレタン発泡装置について適用することが可能である。具体的には、フェノール樹脂フォームなど種々のフォームについて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るガスローディング装置の構成例を示す説明図
【図2】本発明に係るウレタン発泡装置の構成例を示す説明図
【図3】本発明に係るウレタン発泡装置の詳細を例示する説明図
【図4】従来のウレタン発泡装置の構成を例示する説明図
【符号の説明】
【0054】
1 ウレタン原液の導入流路
2 ガス導入流路
3 混合部
5 質量流量計(測定部)
6 供出流路
7 ガス流量調整部
8 制御部
10 本ガスローディング装置
12 貯留タンク
14 ストレーナ
15a,15b 取合部
16 高圧ポンプ
17 ミキシングヘッド
18 熱交換器
19 装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン原液の導入流路、ガスローディング用のガス導入流路、該ガス導入流路に設けられたガス流量調整部、前記各導入流路が接続された混合部、該混合部から供出された混合液の比重を検出できる測定部、該測定部の出力を指標として前記ガス流量調整部によってガスローディング用のガス流量を制御・管理する制御部、を有することを特徴とするウレタン原液へのガスローディング装置。
【請求項2】
前記測定部として質量流量計を用い、前記混合液の比重を測定することを特徴とする請求項1記載のウレタン原液へのガスローディング装置。
【請求項3】
前記測定部の出力値が予め設定した基準値あるいは基準範囲内にあるとき、ガスローディング用のガスの供給を停止するとともに、前記混合部の作動を継続することを特徴とする請求項1または2記載のウレタン原液へのガスローディング装置。
【請求項4】
ウレタン原液の貯留タンクからポリウレタン発泡用のミキシングヘッドに供給あるいは両者を循環するウレタン原液流路中であって該ミキシングヘッド直前に、請求項1〜3のいずれかのガスローディング装置を配設することを特徴とするウレタン発泡装置。
【請求項5】
前記ガスローディング装置の取り付け・取り外しが可能な取合部を有することを特徴とする請求項4記載のウレタン発泡装置。
【請求項6】
前記ウレタン原液流路中に熱交換器および加圧手段を有し、前記ガスローディング装置のウレタン原液の導入流路の温度および圧力を所定値に制御することを特徴とする請求項4または5記載のウレタン発泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−307728(P2007−307728A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136609(P2006−136609)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】