説明

ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物及びそれから得られるシート

【課題】薄型ディスプレイ等の光学部材に対し、優れた耐衝撃性能を付与するとともに、適度な粘着力とリワーク性(再剥離性)を兼ね備え、かつ所望の厚みに対し気泡等を含まない厚膜シートを効率良く生産できる衝撃緩和機能性透明粘着エラストマーから成るシート及びその原料となる組成物を提供すること。
【解決手段】ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物は、ポリオキシアルキレンポリオール(A)と、成分(A)に可溶なモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、ポリイソシアネート(C)と、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを、各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が所定の関係を満足する比率で反応させて得られ、未反応のイソシアネート基を実質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物、その製造方法、それを含む光硬化性組成物及び該光硬化性組成物を硬化して得られるシートに関する。本発明のシートは、適度な接着性と再剥離性、衝撃緩和性、透明性を有し、ディスプレイの光学部材貼合用シートとして有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、大型のフラットパネルディスプレーおよび小型軽量ディスプレイでは、ディスプレイ構成部材の薄型化や前面光学部材の直貼り等による、ディスプレイパネルの薄型化・軽量化が進められている。それに伴い、ディスプレイパネルの耐衝撃強度の保持が課題となっている。また、随伴する要求として、ディスプレイパネルに対する光学部材貼合用の粘着材には、再剥離性(リワーク性)が求められている。これは、生産工程で不良が発生した場合等にパネルの強度が低く壊れやすいので、再剥離時にパネルを破損させてしまい高価なパネルの歩留まり低下を招いていたが、粘着剤の再剥離性を向上させることで歩留まりの維持向上を図ろうとするものである。
【0003】
上記第一の課題に対して、例えば特開2002−23649公報(特許文献1)は、衝撃緩和積層体として、飛散防止層と2種類の割れ防止層と、透明粘着層とからなる複雑な多層構造を形成させたものだが、実用性を考えた場合、品質的にも、コスト的にも十分ではない。
【0004】
特開2005−249854公報(特許文献2)では、衝撃緩和層としてポリウレタン樹脂、末端に(メタ)アクリル基を1〜3個有するオリゴマーをラジカル重合させたウレタン樹脂が開示されている。もとよりウレタン樹脂とはイソシアネートとポリオール成分の組合せ方等により、硬化後の硬度、復元性、粘着性の有無等を広範に設計できる材料であるが、特許文献2には、イソシアネートに関する一般的な記載のみで、ウレタン樹脂を特定する記載はない。実施例の記載としては、実施例1および3として常温では自己粘着性のない熱可塑性ポリウレタンを他層の粘着力によって光学部材に貼合する例が記載されている。実施例2には末端にアクリル基を2個有するオリゴマーをUV照射によって硬化させた耐衝撃層を自己粘着性によって光学部材に貼合する技術が記載されている。しかし、当該耐衝撃層は、厚さ100μmのポリエステル(PET)フィルムを光学部材に、サンドペーパー(♯600)上に平置きにした厚さ3mmのソーダガラスをディスプレイパネルにそれぞれ見たてた実験において、僅か0.1Jの耐衝撃性を有するのみで、十分な耐衝撃性とは言えない。また、ガラスに対する90°剥離粘着力が0.1N/25mmと低く、長期信頼性の観点から十分とは言えないものであった。
【0005】
特開2001−316447公報(特許文献3)は官能基数2.4〜3.0,分子量3,000〜6,000のポリオールとポリオールの一部に2級若しくは3級の高級モノアルコールを粘着付与剤として用いた、ゴム硬度が30以下の粘着性を有することを特徴とする軟質組成物が開示されている。該公開技術は、硬化反応としてウレタン反応を利用するため、100℃で2時間の反応に加え、7日間の養生を必要とする等、長時間の工程を必要とするので注型成型に向いており、注型成型よりももっと効率的な生産方法、例えば、基材となるフィルムに、気泡を含まずに連続的に塗工する厚膜シートの生産方法等には不向きである。
【0006】
特開2004−359808公報(特許文献4)では、三次元架橋ポリマーが可塑剤及び無機微粒子を含有する液体で膨潤されてなる透明なゲルであることを特徴とする透明ゲル粘着剤並びにシートが開示されている。該公開技術は、可塑剤を使用しているため、可塑剤によるブリージングを発生し易く、被着体を汚すか侵す可能性があった。
【0007】
上記いずれも、一面においてディスプレイパネルの耐衝撃性を向上できる可能性はあるものの、耐衝撃性と、再剥離性を兼ね備えた適正粘着力で、かつ量産性、非汚染性をも兼備した粘着材は見いだせていない。
【0008】
【特許文献1】特開2002−23649号公報
【特許文献2】特開2005−249854号公報
【特許文献3】特開2001−316447号公報
【特許文献4】特開2004−359808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、薄型ディスプレイ等の光学部材に対し、優れた耐衝撃性能を付与するとともに、適度な粘着力とリワーク性(再剥離性)を兼ね備え、かつ所望の厚みに対し気泡等を含まない厚膜シートを効率良く生産できる衝撃緩和機能性透明粘着エラストマーから成るシート及びその原料となる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明らは、鋭意研究の結果、ポリオキシアルキレンポリオールと、該ポリオキシアルキレンポリオールに可溶なモノオールと、ポリイソシアネートと、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物とを所定の比率で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物を付加重合させて得られるエラストマーが、優れた衝撃緩和性を有し、適度な粘着力とリワーク性を兼ね備え、気泡等を含まず透明性に優れたシートを与えることができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオール(A)と、該成分(A)に可溶な少なくとも1種のモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(C)と、少なくとも1種の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを、各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が下記式(1)〜(3)を満足する比率で反応させて得られ、未反応のイソシアネート基を実質的に含まないウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物を提供する。
B(活性水素)+D(OH)=C(NCO)-A(OH)・・・(1)
1.05≦C(NCO)/A(OH)≦2・・・(2)
{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35≦D(OH)≦{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70・・・(3)
ただし、(1)〜(3)式において、A(OH)は成分(A)の有する水酸基の総当量数、B(活性水素)は成分(B)の有する活性水素基数の総当量数、C(NCO)は成分(C)の有するイソシアネート基数の総当量数、D(OH)は成分(D)の有する水酸基の総当量数、mは成分(A)のモル数を示し、(1)〜(3)式を全て満たす範囲において、(2)及び(3)は独立して選択できる。
【0012】
また、本発明は、少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオール(A)と、該成分(A)に可溶な少なくとも1種のモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(C)と、少なくとも1種の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを、各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が下記式(1)〜(3)を満足する比率で、かつ、未反応のイソシアネート基が実質的に残存しないように反応させることを含む、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物の製造方法を提供する。
B(活性水素)+D(OH)=C(NCO)-A(OH)・・・(1)
1.05≦C(NCO)/A(OH)≦2・・・(2)
{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35≦D(OH)≦{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70・・・(3)
ただし、(1)〜(3)式において、A(OH)は成分(A)の有する水酸基の総当量数、B(活性水素)は成分(B)の有する活性水素基数の総当量数、C(NCO)は成分(C)の有するイソシアネート基数の総当量数、D(OH)は成分(D)の有する水酸基の総当量数、mは成分(A)のモル数を示し、(1)〜(3)式を全て満たす範囲において、(2)及び(3)は独立して選択できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、優れた衝撃緩和性を有し、適度な粘着力とリワーク性を兼ね備え、気泡等を含まず透明性に優れたシート、並びに該シートを与えることができるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物、その製造方法及び光硬化性組成物が提供された。本発明のシートは、ディスプレイ等の透明部材に対して耐衝撃性を付与するとともに、優れた再剥離性により、生産工程で不良が発生した場合等でも、被着体を破損させることなく再剥離できるため、歩留まりの維持向上の点から、ディスプレイパネルの薄型化に寄与する。また、可塑剤等の二次的手段を用いないので、被着体の汚染がなく長期使用時の信頼性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の通り、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物は、少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオール(A)と、該成分(A)に可溶な少なくとも1種のモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(C)と、少なくとも1種の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを反応させて得られるものである。
【0015】
本発明に用いられるポリオキシアルキレンポリオール(A)は、分子内に2個以上の水酸基を含有し、ポリエーテルポリオールとも呼ばれる。詳述すれば、分子内に2個以上の活性水素を有する化合物、すなわち、多価アルコール類、多価フェノール類、アミン類等に、アルキレンオキサイドを付加重縮合して得られるものである。分子内に2個以上の活性水素を有するこれらの化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族化合物であってよい。また、これらの化合物に付加するオキシアルキレンの炭素数は2〜4であることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、及びこれ等二種以上の共重合体、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合体等が好ましく用いられる。
【0016】
このポリオキシアルキレンポリオール(A)は2官能および/又は3官能以上のものを単独又は混合して使用することができる。この官能基の数は、ポリオキシアルキレンポリオールの合成の際に使用する開始剤(すなわち、上記した分子内に2個以上の活性水素を有する化合物、すなわち、多価アルコール類、多価フェノール類、アミン類等)によって決まり、このような開始剤を用いる合成法はよく知られている。開始剤の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。2官能のものを合成するには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオール等のジオール、ならびにこれらにアルキレンオキシドを付加した化合物が挙げられる。3官能以上のものを合成するには、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびソルビトール等、ならびにこれらにアルキレンオキシドを付加した化合物が挙げられる。これらのうち、炭素数2〜4のジオール及びトリオールが好ましく、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオール(A)は、1種類のものでもよく、また、複数種類のものを組み合わせて用いてもよく、分子中の水酸基の数が異なるものを組み合わせて用いてもよい。
【0017】
ポリオキシアルキレンポリオール(A)は、数平均分子量が、1000〜20000の範囲のものが、衝撃吸収性の点から特に好ましい。ここで、ポリオキシアルキレンポリオールの「数平均分子量」とは、それぞれの水酸基価(OHv、単位はmgKOH/g)に基づいて以下の式:
数平均分子量=(56100/OHv)×1分子当たりの平均官能基数
を用いて計算した値をいう。ここで、水酸基価とは、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。また、ポリオキシアルキレンポリオール(A)は、後述する反応温度下において液体のものが用いられる。
【0018】
本発明で使用するモノオール(B)は、分子内に1個の水酸基を含有する化合物であり、前記ポリオキシアルキレンポリオールと相溶する範囲内において選定することができる。具体的には、ポリオキシアルキレンモノオール、アクリルモノオール、ひまし油系モノオール、天然又は合成高級アルコール等である。ポリオキシアルキレンモノオールは、上記ポリオキシアルキレンポリオールと同様の方法、すなわち、活性水素を1個含有する開始剤に対して、アルキレンオキサイドを付加重合して得られるものである。好ましい開始剤は、上記したポリオキシアルキレンポリオールと同様である(ただし、水酸基は1個)。アクリルモノオールは、分子内に1個の水酸基を有するアクリル系重合物である。ひまし油系モノオールはひまし油加水分解物であるリシノール酸から得られる炭素数18の高級モノオールである。天然又は合成高級モノアルコールは、炭素数が6以上、好ましくは炭素数6〜30である単官能のアルコールであり、2−エチルヘキシルアルコール、sec−ステアリルアルコール、α−テルピネオール、ジアセトンアルコール及びカプリルアルコール等である。モノオールの数平均分子量は、100〜10000の範囲のものが好ましい。
【0019】
本発明で使用するシランカップリング剤 (B2)としては、所謂カップリング作用を有するシラン系化合物であり、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基と反応する活性水素基を有するものである。好ましいシランカップリング剤 (B2)は片末端にアルコキシシシリル基ともう一方の末端にメルカプト基、アミノ基などの活性水素基を有するシランカップリング剤であり、末端にメルカプト基を持つシランカップリング剤が特に好ましい。
【0020】
上記したポリオキシアルキレンポリオール(A)及びモノオール(B)の少なくともいずれか一方は、エチレンオキサイド単位を共重合成分として含むものであるものが好ましい。エチレンオキサイドの重合方式は、ランダムでもブロックでもよい。エチレンオキサイド成分の共重合割合は重量比率で3%〜60%、好ましくは5%〜40%である。3%未満では、50℃相対湿度95%の湿熱環境下に7日置いた場合に、ヘーズ(白濁)が発生する。60%を超えると硬化物の硬度が高すぎ、衝撃緩和性能が十分でなくなる。
【0021】
ポリイソシアネート(C)としてはイソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系および脂肪族系のポリイソシアネート、それら2種類以上の混合物、ならびにそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートがある。ポリイソシアネート化合物としてはイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物が好ましい。具体的にはたとえばトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(クルードMDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、水添MDIなどのポリイソシアネート化合物やそれらのプレポリマー変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のような炭素数3〜9の脂肪族ジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート(XDI)のような芳香族(特にベンゼン環含有芳香族)ジイソシアネートが好ましい。
【0022】
水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリ(平均値としてn=2〜10)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(平均値としてn=2〜10)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリル酸と、脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールとのエステルが好ましく、とりわけ、炭素数1〜8のアルカンジオールとのエステルが好ましい。
【0023】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物は、上記各成分を、上記した各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が下記式(1)〜(3)を満足する比率で反応させて得られるものである。
【0024】
B(活性水素)+D(OH)=C(NCO)-A(OH)・・・(1)
1.05≦C(NCO)/A(OH)≦2・・・(2)
{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35≦D(OH)≦{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70・・・(3)
【0025】
ただし、(1)〜(3)式において、A(OH)は成分(A)の有する水酸基数の総当量数、B(活性水素)は成分(B)の有する活性水素基数の総当量数、C(NCO)は成分(C)の有するイソシアネート基数の総当量数、D(OH)は成分(D)の有する水酸基数の総当量数、mは成分(A)のモル数を示し、(1)〜(3)式を全て満たす範囲において、(2)及び(3)は独立して選択できる。
【0026】
上記各式において、ある成分の水酸基又は活性水素基の「総当量数」は、基本的にその成分の1分子が持つ水酸基又は活性水素基の数にその成分のモル数を乗じたものであり、ある成分が複数種類の分子を含む場合には、各分子種について計算した当量の和を意味する。例えば、成分(A)として、1分子中の水酸基の数が2個のポリオキシアルキレンポリオール1モルと、1分子中の水酸基の数が3個のポリオキシアルキレンポリオール2モルが反応に参加する場合、上記各式中のA(OH)は、(2 x 1) + (3 x 2) = 8となる。他の成分や活性水素基についても同様である。なお、「B(活性水素)」 における活性水素基は、成分(B)がモノオールの場合には水酸基であり、イソシアネート基と反応するシアンカップリング剤の場合にはメルカプト基やアミノ基のような活性水素基である。また、例えば、「C(NCO)-A(OH)」中の「-」は、マイナスを意味する。
【0027】
上記の各式は、化学反応する各成分の比率を規定するものであり、仕込み量の比率を意味するものではない。もっとも、各成分間の反応はウレタン反応であり、ポリウレタン分野の当業者に周知の通り、ウレタン反応は、当業者によく知られた適切な反応条件を採用することにより完全に又は少なくともほとんど完全に進行させることが可能であり、ポリウレタンの製造では、従来よりそのような条件で反応が行なわれている。従って、各式で示される条件は、各式を満足する仕込み量で各成分を反応させ、周知の条件でウレタン反応を完全に又は少なくともほぼ完全に進行させることにより満足させることができる。具体的な反応条件の例は、下記実施例にも詳細に記載されている。
【0028】
上記式(1)は、成分(A)、成分(B)及び成分(D)の水酸基(成分(B)がシランカップリング剤の場合は活性水素基)の総当量数の和が成分(C)のイソシアネート基の総当量数に等しいことを規定しており、換言すれば、各成分がウレタン反応することを示している。
【0029】
上記式(2)の技術的な意味は、オリゴマーの末端以外を構成する成分Cと成分Aの繰り返しセグメントの長さを平均的に特定するものである。末端を構成する成分B及び/又は成分Dが水酸基又は活性水素基を含有する化合物であるから、該成分B及び/又は成分Dを除いた残基オリゴマーを構成するイソシアネート基数と水酸基数の比率は、イソシアネート基数の方が必ず多く、C(NCO)/A(OH)は1より大きく最大が2である。ここで、C(NCO)/A(OH)が1に近づくとC成分とA成分の繰り返し数が大きくなり、ウレタンアクリレートオリゴマーの分子量が大きくなるため、粘度が上昇する。C(NCO)/A(OH)は、式(2)で規定されるように1.05〜2であり、この範囲内でも作業し易い粘度を得るためには、1.2〜2の範囲にあることが好ましい。C(NCO)/A(OH)が1の場合は、(B)及び(D)が反応し得ないため、目的とするオリゴマーは得られない。実際の製造工程における仕込量としては、C(NCO)/A(OH)を2以上の比率で混合する場合があるが、その場合は、C(NCO)/A(OH)が2を超えた成分Cは、成分Aと反応せず、その後の反応で成分B及び/又は成分Dと反応して、本発明のオリゴマーに副成分として混入する。本発明は、当該副成分の生成及び混入を排除するものではない。
【0030】
上記式(3)の技術的な意味は、オリゴマー1分子当たりの成分(D)の平均付加数であり、以下の考え方によって誘導される。オリゴマーの末端基となり得るのは、成分(B)及び/又は成分(D)である。当該末端基成分の付加し得る反応座席であるC(NCO)-A(OH)から、成分Aとして3官能以上の水酸基を有する成分Aを含有する場合に拡張して、当該3官能以上の水酸基を有する成分Aのもつ、3つ目以降の水酸基の総量である{A(OH)-2m}(但し、mは全A成分の合計モル数)を減じた座席の半数である{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.5を基準として、上限を1.4倍、下限を0.7倍とするということである。D(OH)が{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35よりも小さい場合には、非反応性オリゴマーの量が多くなり、衝撃緩和性が低下したり、硬化物から非反応性オリゴマーがブリードアウトする場合がある。一方、{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70よりも大きい場合には、硬化物が硬くなり、衝撃緩和性が低下する。D(OH)は、式(3)で規定されるように{C(NCO)-2A(OH)+2m} の0.35倍〜0.70倍であり、この範囲内でも0.4倍〜0.6倍の範囲にあることが好ましい。
【0031】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物は、未反応のイソシアネート基を実質的に含まない。ここで、「実質的に含まない」とは、未反応のイソシアネート基を全く含まない(すなわち、検出できない)か、又は、微量の未反応のイソシアネート基を含むが、その量は、本発明の効果、具体的には、透明性や平滑性等の光学的品質に悪影響を与えない程度に微量であることを意味し、組成物中の未反応のイソシアネート基の濃度は、好ましくは、0.3質量%以下であり、最も好ましくは0である。組成物が未反応のイソシアネート基を実質的に含む場合には、水分等との反応によって発生する炭酸ガスによる膨れにより、透明性や平滑性、気泡含有等、光学的品質が低下したり、密着界面の浮きが発生するという欠点がもたらされる。上記の通り、ウレタン反応は、周知技術に従って完全に又は少なくともほぼ完全に進行させることが可能であるので、各成分の仕込み量を、上記式(1)により規定される化学量論量通りとして、各成分を完全に又は少なくともほぼ完全に反応させることにより、組成物中に未反応のイソシアネート基が実質的に含まれないようにすることが可能である。なお、イソシアネート基が最終組成物又は各反応工程の生成物中に実質的に含まれないか否かは、下記実施例に記載するように、例えば、赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が認められるか否かに基づいて判定することができる。
【0032】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、通常、1000〜60000程度である。
【0033】
反応は、上記成分(A)、(B)、(C)、(D)を同時に反応させてもよいし(ワンショット法)、逐次的に反応させてもよいが、所望のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主たる生成物として確実に生成させるために、これらの成分の少なくともいずれかを逐次的に反応させる逐次反応が好ましい。逐次反応による場合、種々の進め方が可能である。例えば、
(イ)始めに成分(A)と成分(C)を反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、該プレポリマーに成分(B)と成分(D)又はを同時又は逐次に反応させる。この場合、成分(B)及び、又は成分(D)は、各々に成分(C)及び成分(A)を反応させたウレタンモノオールであってもよい。或いは、
(ロ)始めに成分(B)と成分(C)、成分(D)と成分(C)を反応させて、それぞれモノオールウレタンイソシアネート化合物及び(メタ)アクリレート基含有イソシアネート化合物を得る。次いで、これら化合物を成分(A)と反応させる。この場合、成分(A)は、成分(A)と成分(C)とをからなるウレタンポリオールであってもよい。或いは、
(ハ)先ず成分(A)と成分(C)を反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、これに成分(B)を反応させて一端にイソシアネート基を有するプレポリマー1を得る。一方、成分(A)と成分(C)を反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、これに成分(D)を反応させて一端にイソシアネート基を有するプレポリマー2を得る。プレポリマー1にさらに成分(A)を反応させ、これにプレポリマー2を反応させる。なお、この方法により生成されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、成分(A)がジオールのみである場合、D-C-A-C-A-C-A-C-Bとなる(下記実施例1等参照)。また、この場合も、成分(A)は、成分(A)と成分(C)とをからなるウレタンポリオールであってもよい。なお、逐次反応の進め方はこれらの例に限定されるものではない。
【0034】
あるいは、イソシアネート基との反応速度が異なる各成分を用いると、それらの全部又は3種類を同時に反応させても、上記した逐次反応の場合と同様に、所望のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主たる生成物として確実に生成させることができる。すなわち、
(ニ)イソシアネート基との反応速度が成分(A)>成分(B)>成分(D)、又は成分(A)>成分(D)>成分(B)である各成分を同時に混合して反応させる。或いは、
(ホ)イソシアネート基との反応速度が成分(A)>成分(B)である各成分を用い、成分(A)〜成分(C)を同時に混合して反応させ、次いで成分(D)を混合して反応させる。
【0035】
ここで、イソシアネート基と各成分との反応速度は、イソシアネート基と各成分の水酸基(活性水素基)を同一比率とし、同一条件(反応温度、触媒等)で攪拌反応させ、例えば、赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)を経時で追跡することにより測定することができる。イソシアネート基との反応速度が成分(A)>成分(B)>成分(D)である各成分の例としては、成分(A)として、末端がエチレンオキサイド由来の一級水酸基であるポリオール、成分(B)として末端がプロピレンオキサイド等に由来の2級水酸基であるポリオール等、成分(D)としてプロピレンオキサイド等に由来の2級水酸基に加えて、t−ブチル基等の立体障害により反応性を低下させた構造を有するアクリレート等を挙げることができる。イソシアネート基との反応速度が成分(A)>成分(D)>成分(B)である各成分の例としては、成分(A)として末端がエチレンオキサイド由来の一級水酸基であるポリオール等、成分(B)としてメルカプト基を有するシラン化合物等、成分(D)としてプロピレンオキサイド等に由来の2級水酸基を有するアクリレート化合物等を挙げることができる。
【0036】
各種ウレタン化反応(すなわち、成分(C)のイソシアネート基と、他の成分の水酸基との結合反応)は、常温から110℃に加熱することにより進行するが、反応速度を調整するため公知の触媒を用いることもできる。代表的な触媒としては、例えば、錫、鉛、およびチタン等の金属を有する有機金属化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどの三級アミン系などが挙げられる。中でも、有機錫化合物が好ましく、その代表例は、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ドデシルメルカプチド、2−エチルヘキサン酸錫、オクタン酸第一錫、オレイン酸第一錫等が挙げられる。触媒はイソシアネート基と水酸基との反応速度を調節するための好ましい量を適宜選択して使用できるが、一般には用いる全原料中の触媒量が0.001〜10重量%であることが好ましい。
【0037】
水酸基含有(メタ)アクリレート(D)のウレタン化反応(アクリレート化反応)では、反応中のラジカル重合によるゲル化を防ぐ為に反応混合物に通常50〜2000ppmのハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン等の重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。又、このアクリレート化反応温度は、通常、常温〜100℃、好ましくは、50〜85℃である。
【0038】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物は、遊離の成分(C)を含まないことが好ましく、従って、上記反応は、遊離の成分(C)が反応混合物中に存在しなくなるまで続けることが好ましい。遊離の成分(C)が反応混合物中に存在しているか否かは、反応混合物の一部をとり、赤外吸収スペクトルを調べてイソシアネート基の吸収が見られるか否かにより知ることができる。各ウレタン化反応は、反応温度等に応じて適宜選択されるが、通常、1時間〜3時間程度で完了する。
【0039】
上記の反応生成物中には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが主成分として含まれ、該反応生成物は、そのままで本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物を構成する。なお、本発明は、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物の、上記した製造方法をも提供するものである。
【0040】
本発明の光硬化性組成物は、上記した本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物と、光重合開始剤を含有するものである。光重合開始剤としては、ビニル系モノマーを光重合させるために用いられている周知の光重合開始剤を用いることができ、α−ヒドロキシイソブチルフェノンベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物等が挙げられ、光照射装置の吸収特性を考慮した開始剤の選択がなされるが、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが好ましい。内部硬化性が不十分な場合、未反応成分が時間の経過とともに粘着材の表面に移行してベタつく場合がある。上記開始剤の添加量は、通常の量で、一般的には粘着材の全光重合性化合物含量の0.1ないし20重量%、好ましくは0.3ないし5重量%を添加する。なお、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー自体は、熱硬化させることも可能であるが、緩衝効果を持たせるための厚みとして、例えば0.2mm以上のシートを、気泡を含まず効率良く生産する手段としては光硬化が特に好ましい。
【0041】
本発明の光硬化性組成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を含有させることで、例えば、50℃、相対湿度95%環境下での防曇性を付与することができる。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の添加量は、全重合物に対して1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。1重量%未満では、エチレンオキサイド成分を含まないポリオキシアルキレンポリオールおよびポリオキシアルキレンモノオールから構成されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの湿熱時の防曇性が十分でない。30重量%を超えると、柔軟性、強靱性が低下する等硬化物の物性が低下する。本発明で使用する水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の例としては、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキサイド付加物、多価アルコール類と(メタ)アクリル酸の脱水縮合物およびこれらを出発原料とする誘導体、エポキシ基含有化合物の(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。好ましくは、多価アルコール類と(メタ)アクリル酸との縮合物である。具体的にはヒドロキシル基を含有するポリオール(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートより詳しくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、の如きアルカンジオール、特に炭素数1〜8のアルカンジオールのモノ(メタ)アクリレート;アルカントリオールモノ(メタ)アクリレート、アルカントリオールジ(メタ)アクリレート、アルカンテトラオールモノ(メタ)アクリレート、アルカンテトラオールジ(メタ)アクリレート、アルカンペンタオールモノ(メタ)アクリレート、アルカンペンタオールジ(メタ)アクリレート、アルカンヘキサオールモノ(メタ)アクリレート、アルカンヘキサオールジ(メタ)アクリレートの如きアルカンポリオール、特に炭素数1〜8のアルカンのモノ(メタ)アクリレートやアルカンポリオールのジ(メタ)アクリレート;ポリエーテルポリ(メタ)アクリレートたとえばジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如きポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0042】
本発明の光硬化性組成物には、粘着性をより向上させるため、アクリルシロップを含有させてもよい。本明細書でいうアクリルシロップとは、アクリル酸エステルモノマーの部分重合物をいう。より具体的には、高分子量重合物を低分子量重合物および/又はモノマーで溶解させて得るか、モノマーの重合反応を中間段階で終了させること等によって得られる。アクリル酸エステルのエステル部分は、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基が好ましい。アクリルシロップ中の高分子量重合物と、低分子量重合物及び/又はモノマーとの重量比率は、特に限定されないが、高分子量重合物を100として、低分子量重合物及び/又はモノマーは通常、50〜200程度である。また、高分子重量重合物の重量平均分子量は5万〜20万程度であり、低分子量重合物の重量平均分子量は通常5万未満、好ましくは1万未満である。
【0043】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物又は光硬化性組成物には、ポリウレタン技術分野で公知の各種添加剤を用いることができる。添加剤としては、上述したウレタン化反応触媒のほかに、老化防止剤、消泡剤、および難燃剤等が挙げられる。これらの添加剤の濃度は、本発明の効果に悪影響を与えない程度であり、通常、組成物全量の10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0044】
上記老化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)等のヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、およびヒンダードアミン系の老化防止剤が挙げられる。
【0045】
上記難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスフェート、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル、および臭素・リン化合物等が挙げられる。上記消泡剤としては、例えば、ディスパロンOX−710(商品名、楠本化成社製)等が挙げられる。
【0046】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物又は光硬化性組成物は必要に応じて反応性希釈剤を使用することで粘度調整を行うことができる。該希釈剤としては、一般に粘度が1000mPa・s/25℃以下である低分子量モノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート化合物が使用できる。特に粘度調整用反応性希釈剤として水酸基含有アクリルモノマーを添加することで、例えば、50℃、相対湿度95%環境下での防曇性を付与することができる。反応性希釈剤として使用する水酸基含有アクリルモノマーとしては、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが好ましく、その分子量は、100〜2000程度が好ましい。水酸基含有アクリルモノマーの添加量は、全重合物に対して1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。1重量%未満では、湿熱時の防曇性が不十分であり、30重量%を超えると、柔軟性、強靱性が低下する等硬化物の物性が低下する。
【0047】
本発明の光硬化性組成物を、基体上にシート状に塗布し、これに光を照射して硬化させることにより、本発明のシートを得ることができる。光照射に用いる光源ランプとしては、波長400nm以下に発光分布を有するものが好ましく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯等が使用できる。また、照射エネルギーは、特に限定されないが、通常、1000〜4000mJ/cm2程度である。
【0048】
本発明のシートは、適度な粘着力とリワーク性を兼ね備え、かつ所望の厚みに対し気泡等を含まず、また、優れた衝撃緩和性を発揮できる厚さにすることができる。本発明のシートの厚さは、特に限定されないが、0.2mm〜2mm程度が好ましい。本発明のシートは、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明接着シートとして特に優れた効果を発揮する。
【0049】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【実施例】
【0050】
以下の実施例及び比較例で使用したポリオキシアルキレンポリオール、モノオール、アクリルシロップは以下の通りである。
【0051】
ポリオキシアルキレンポリオール(a1)
プロピレングリコール(PG)のプロピレンオキサイド(PO)付加体(水酸基価112mgKOH/g)に水酸化カリウムを用いてさらにPOを付加して得られた、水酸基価55.0mgKOH/gのポリオキシプロピレンジオール。
【0052】
ポリオキシアルキレンポリオール(a2)
プロピレングリコール(PG)のプロピレンオキサイド(PO)付加体(水酸基価36mgKOH/g)に水酸化カリウムを用いてさらにエチレンオキサイド(EO)を付加して得られた、オキシエチレン基含有量12質量%、水酸基価28.0mgKOH/gのポリオキシプロピレン−エチレンジオール。
【0053】
ポリオキシアルキレンポリオール(a3)
グリセリンのPO付加体(水酸基価168mgKOH/g)を開始剤として、水酸化カリウムを用いてさらにプロピレンオキシド(PO)を付加後、水酸化カリウム触媒にてエチレンオキシド(EO)を付加して得られた、オキシエチレン基含有量12質量%、水酸基価16.8mgKOH/gのポリオキシプロピレン−エチレントリオール。
【0054】
モノオール(b1)
n−ブタノールに水酸化カリウムを用いてプロピレンオキシド(PO)を付加して得られた、水酸基価16.7mgKOH/gのポリオキシプロピレンモノオール。
【0055】
アクリルシロップ(h1)
コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を備えた容量2リットルの丸底フラスコに、アクリル酸アルキルエステルであるアクリル酸2-エチルヘキシル(2-EHA)を850g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-HEA)を150gと、連鎖移動剤のn-ドデシルメルカプタン(NDM)を1.5g注加して、窒素気流中で60℃になるまで昇温した後に加熱を停止させた。次いで、重合開始剤の2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、V-70)を0.025gを攪拌下に均一に混合し、攪拌下に冷却せずに反応させることで、反応系が125℃になった。更に、攪拌を継続させたが、温度の上昇がなく、反応系の温度が120℃になった時点で、2-EHAを212.5gと、2-HEAを37.5g及びNDMを0.75gとを注加し、外部冷却で急冷させながら反応系を60℃に冷却後、その温度下に30分間、攪拌下に窒素パージを行った。次いで、重合開始剤としてV-70を0.05g攪拌下に添加して、反応系の温度が120℃に達した後、2-EHAを212.5g、2-HEA37.5gを注加させて、急冷させて本発明によるアクリルシロップを調製した。得られたアクリル系モノマーの部分重合物であるアクリルシロップは、アクリル系初期重合物であるポリマー濃度が50重量%で、モノマー濃度が50重量%で、そのポリマー分の重量平均分子量(Mw)が10万であった。
【0056】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造例
以下に、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法について、プレポリマー法による製造例を示すが、反応中のゲル化等の問題がなければ、ワンショット法での製造も可能である。
【0057】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造用プレポリマーの調製
プレポリマーH1:
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(a1)1,000gとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)165g、ジブチル錫ジラウレートを0.1g入れて、温度100℃で4時間反応させ、次いで、モノオール(b1)1,660gを入れて、更に温度100℃で2時間反応させ、イソシアネート基含有量:0.70質量%のプレポリマーH1を得た。なお、プレポリマーH1の構造は、HDI-a1-HDI-b1(ただし、式中、HDI、a1、b1は、それぞれ上記した各化合物HDI、a1、b1の残基であり、以下の構造式においても同様に化合物の符号でその化合物の残基を示す)である。
【0058】
プレポリマーH2:
プレポリマーH1で用いた原料のうち、モノオール(b1) 1,660gに代えて、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-HEA)57g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテルを0.2g添加し、85℃で2時間反応させて、イソシアネート基含有量:1.70質量%のプレポリマーH2を得た。なお、プレポリマーH2の構造は、HDI-a1-HDI-HEA(ただし、式中、HEAは2-HEAの残基を示す、以下同様)である。
【0059】
プレポリマーX1:
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(a2)1,000gとキシリレンジイソシアネート(XDI)94g、ジブチル錫ジラウレートを0.1g入れて、温度100℃で4時間反応させ、次いで、モノオール(b1)840gを入れて、更に温度100℃で2時間反応させ、イソシアネート基含有量:0.55質量%のプレポリマーX1を得た。なお、プレポリマーX1の構造は、XDI-a2-XDI-b1である。
【0060】
プレポリマーX2:
プレポリマーX1で用いた原料のうち、モノオール(b1)840gに代えて、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2-HEA)29g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテルを0.2g添加し、85℃で2時間反応させて、イソシアネート基含有量:0.93質量%のプレポリマーX2を得た。なお、プレポリマーX2の構造は、XDI-a2-XDI-HEAである。
【0061】
プレポリマーX3:
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(a2)1,000gとキシリレンジイソシアネート(XDI)94g、ジブチル錫ジラウレートを0.1g入れて、温度100℃で4時間反応させ、次いで、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(b2)45gを入れて、更に温度100℃で2時間反応させ、イソシアネート基含有量:0.94質量%のプレポリマーX3を得た。なお、プレポリマーX2の構造は、XDI-a2-XDI-b2である。
【0062】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造
実施例1:オリゴマー1の製造
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、ポリオキシアルキレンポリオール(a1)1,000gとプレポリマーH1を2,810g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーH2を1,210g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー1の主な構造は、HEA-HDI-a1-HDI-a1-HDI-a1-HDI-b1である。
【0063】
実施例2:オリゴマー2の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a2)1,000gとプレポリマーX1を1,880g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を1,120g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー2の主な構造は、HEA-XDI-a2-XDI-a2-XDI-a2-XDI-b1である。
【0064】
実施例3:オリゴマー3の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーH1を1,140g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーH2を250g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー3の主な構造は、次の通りである。
【0065】
【化1】

【0066】
実施例4:オリゴマー4の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーX1を1,530g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を440g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー4の主な構造は、次の通りである。
【0067】
【化2】

【0068】
実施例5:オリゴマー5の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーX1を1,360g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を540g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー5の主な構造はオリゴマー4と同じである。
【0069】
実施例6:オリゴマー6の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーX1を1,670g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を360g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー6の主な構造はオリゴマー4と同じである。
【0070】
実施例7:オリゴマー2およびアクリルシロップ混合物の製造
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、オリゴマー2を700gとアクリルシロップ(G1)を300g入れ、温度60℃で15分間混合した。
【0071】
実施例8:オリゴマー2および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の混合物の製造
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、オリゴマー2を900gと2−ヒドロキシメタアクリレート(2-HEMA)100gを入れ、温度60℃で15分間混合した。
【0072】
比較例1:オリゴマー7の製造
実施例1〜6と同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a1)1,000gとプレポリマーH2を2,420g混合して、85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー7の主な構造は、HEA-HDI-a1-HDI-HEAである。このように、比較例1では、必須の成分(B)が用いられていない。
【0073】
比較例2:オリゴマー8の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーX1を1,140g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を670g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー8の主な構造は、オリゴマー4と同じであるが、成分(D)が全量反応した場合の、生成されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1分子中の、成分(D)に由来する(メタ)アクリレートの数の平均(以下、単に「アクリル基数」ということがある)が、1.5個であり、本発明で規定する量を超えている。
【0074】
比較例3:オリゴマー9の製造
同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a3)1,000gとプレポリマーX1を1,910g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を220g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー9の主な構造は、オリゴマー4と同じであるが、アクリル基数が約0.5個であり、本発明で規定する量に足りない。
【0075】
実施例9:オリゴマー1および水酸基を含まない(メタ)アクリレート化合物の混合物の製造
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、オリゴマー1を900gとアクリル酸2-エチルヘキシル(2-EHA)100gを入れ、温度60℃で15分間混合した。
【0076】
実施例10:オリゴマー10の製造
実施例1〜6と同様にして、ポリオキシアルキレンポリオール(a2)1,000gとプレポリマーX3を1,120g混合し、温度100℃で2時間反応させ、次いで、プレポリマーX2を1,120g加注して、更に85℃で2時間反応させた。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収(2250cm-1)が消えたことを確認して、反応を終了させた。なお、オリゴマー10の主な構造は、HEA-XDI-a2-XDI-a2-XDI-a2-XDI-b2である。
【0077】
実施例11:シート化
上記各実施例および比較例に記載のオリゴマー液に光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2重量%添加して感光液とした。各種感光液を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ1mmで塗布し、その上に、さらに離型処理したPETフィルムを被せ、高圧水銀灯ランプを使用して、2000mJ/cm2の紫外線を照射して、自己粘着性のあるシートを得た。
【0078】
衝撃緩和性の評価
紫外線硬化させたシートの離型処理PETフィルムを剥がし、気泡を巻き込まないように10cm角で厚さ3mmのソーダガラス板に貼合して試験片とした。厚さ10cmのステンレス鋼板上に、研磨剤面を上向きにしてサンドペーパー(#600)を置き、その上にPETフィルム面を上向きにして試験片を置いた。重さ130gの鋼球を1cmずつ高さを段階的に上げながら自由落下させ、ガラスが割れた1段階前の高さをHcとして下記式で耐衝撃エネルギーEcを算出した。
Ec = 0.13 × Hc × 9.8
【0079】
粘着性の評価
幅25mm、長さ10cmのひも状硬化物シートを作製し、離型処理PETフィルムを剥がして、気泡を巻き込まないように厚さ3mmの大判ソーダガラス板に貼合した。先端部に、フックを通すための穴をあけ、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製 DPRSX−50T)を用いて、引張速度300mm/分で90°剥離力を測定した。
【0080】
耐ブリード性の評価
紫外線硬化させたシートを100℃のオーブンに10日間放置し、10日経過後の硬化物シートの表面からのブリードアウトの有無を目視で観察した。ブリードアウトが見られなかったものを○、ブリードアウトが見られたものを×とした。
【0081】
透明性の評価
紫外線硬化させた厚さ1mmのシートについて、JIS K7105に準拠してヘーズを測定した。ヘーズが1%未満のものを○、ヘーズが1%以上のヘーズのものを×とした。
【0082】
耐湿熱性の評価
紫外線硬化させた厚さ1mmのシートを50℃、相対湿度95%環境下に7日間放置し、硬化物シートのヘーズを測定し、ヘーズが1%未満のものを○、ヘーズが1%以上のヘーズのものを×とした。
【0083】
結果を下記表1ないし4に示す。なお、各表中、「アクリル基数」は、成分(D)が全量反応した場合の、生成されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1分子中の、成分(D)に由来する(メタ)アクリレートの数の平均である。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
実施例1〜9は、衝撃緩和性はいずれも0.2J以上、粘着性はいずれも1N/25mm以上で良好である。実施例1は、ポリオキシアルキレンポリオールおよびモノオール中にエチレンオキサイド成分を含有しないため、湿熱後にヘーズ(曇り)がみとめられるが、同一オリゴマーに2-HEMAを配合した実施例8では、良好であった。実施例9はポリオキシアルキレンポリオールおよびモノオール中にエチレンオキサイド成分を含有せず、希釈剤として、水酸基を含有しないモノマーである2-EHAを配合しているため、湿熱後にヘーズ(曇り)がみとめられるが、他の性能は優れているので、過酷な湿熱条件にさらされない用途に用いることができる。
【0089】
比較例1は、成分(B)を含んでおらず、また、D(OH)が式(3)で規定される上限値を超えているため、衝撃緩和性、粘着性がともに十分でない。また、ポリオキシアルキレンポリオール中にエチレンオキサイド成分を含有しないため、湿熱後にヘーズ(曇り)がみとめられる。比較例2はD(OH)が式(3)で規定される上限値を超えているため、衝撃緩和性が十分でない。比較例3は、D(OH)が式(3)で規定される下限値を下回っているため、耐ブリード性が良好ではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオール(A)と、該成分(A)に可溶な少なくとも1種のモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(C)と、少なくとも1種の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを、各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が下記式(1)〜(3)を満足する比率で反応させて得られ、未反応のイソシアネート基を実質的に含まないウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物。
B(活性水素)+D(OH)=C(NCO)-A(OH)・・・(1)
1.05≦C(NCO)/A(OH)≦2・・・(2)
{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35≦D(OH)≦{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70・・・(3)
ただし、(1)〜(3)式において、A(OH)は成分(A)の有する水酸基の総当量数、B(活性水素)は成分(B)の有する活性水素基数の総当量数、C(NCO)は成分(C)の有するイソシアネート基数の総当量数、D(OH)は成分(D)の有する水酸基の総当量数、mは成分(A)のモル数を示し、(1)〜(3)式を全て満たす範囲において、(2)及び(3)は独立して選択できる。
【請求項2】
前記成分(A)がジオール及び/又はトリオールである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(A)及び/又は(B)が、エチレンオキサイド単位を共重合成分として含有する請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(A)が、2個以上の水酸基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族化合物に、炭素数2〜4のポリオキシアルキレンを縮合させて得られた、数平均分子量1000〜20000のポリオキシアルキレンポリオールである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分(B)が、ポリオキシアルキレンモノオール、アクリルモノオール、ひまし油系モノオール又は炭素数6以上の天然若しくは合成モノオールである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(C)が、2個のイソシアネート基を有する、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネートである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(D)が、(メタ)アクリル酸と、脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールとのエステルである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物と、光重合開始剤を含有する光硬化性組成物。
【請求項9】
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物をさらに含有する請求項8記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
アクリルシロップをさらに含有する請求項9又は10記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の光硬化性組成物をシート状にし、光を照射して硬化させて得られたシート。
【請求項12】
少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオール(A)と、該成分(A)に可溶な少なくとも1種のモノオール及び/又はイソシアネート基と反応し得るシランカップリング剤(B)と、少なくとも1種のポリイソシアネート(C)と、少なくとも1種の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物(D)とを、各成分の水酸基、活性水素基及びイソシアネート基の当量数が下記式(1)〜(3)を満足する比率で、かつ、未反応のイソシアネート基が実質的に残存しないように反応させることを含む、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー組成物の製造方法。
B(活性水素)+D(OH)=C(NCO)-A(OH)・・・(1)
1.05≦C(NCO)/A(OH)≦2・・・(2)
{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.35≦D(OH)≦{C(NCO)-2A(OH)+2m}×0.70・・・(3)
ただし、(1)〜(3)式において、A(OH)は成分(A)の有する水酸基の総当量数、B(活性水素)は成分(B)の有する活性水素基数の総当量数、C(NCO)は成分(C)の有するイソシアネート基数の総当量数、D(OH)は成分(D)の有する水酸基の総当量数、mは成分(A)のモル数を示し、(1)〜(3)式を全て満たす範囲において、(2)及び(3)は独立して選択できる。


【公開番号】特開2008−56757(P2008−56757A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233151(P2006−233151)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】