説明

ウーロン茶葉抽出物OTACを有効成分とする発癌抑制剤

【課題】 ウーロン茶葉から抽出されるOTACについて、新規な用途の提供を目的とする。より詳しくは、OTACを有効成分とする、発癌抑制剤の提供を課題とする。
【解決手段】 ウーロン茶葉から抽出されるOTACについて、大腸癌予防効果を評価するために、2種類の動物発癌実験系を用いて検討を行った。その結果、両実験系においてOTAC投与による大腸癌の発癌抑制効果が見られることを新たに見出した。ウーロン茶葉から抽出されるOTACは、発癌抑制剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウーロン茶葉抽出物OTACを有効成分とする発癌抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
OTAC(Oolong tea active compound)は、ウーロン茶葉中に多く含まれるフラボン誘導体であり、2,4-dinitrofluorobenzene (DNFB)によるマウス耳介接触皮膚炎抑制を指標に単離同定された化合物である(特許文献1および2、非特許文献1および2参照)。
【0003】
茶葉の種類には緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶など醗酵の仕方により様々あるが、ウーロン茶は半醗酵茶である。ウーロン茶は近年、日本において一般的な飲み物となり、ウーロン茶の1人あたり年間消費は2003年で9.3リットルと全茶系飲料消費量495.9キロリットルの7.3%のシェアをもっている。
【0004】
これまでに、緑茶の癌予防効果に関しては疫学的検討や動物実験による検討がなされ、良く知られている。一方、ウーロン茶の生物活性作用は、抗酸化作用(非特許文献3参照)、抗アレルギー作用(非特許文献4参照)、抗炎症作用(非特許文献5参照)、αグルコシダーゼ(alpha-glucosidase)阻害作用(非特許文献6参照)、グルコシルトランスフェラーゼ(glucosyltransferase)阻害作用(非特許文献7参照)が知られているが、発癌予防効果に関しては良くわかっていない。上記の生物活性作用においても、いまだその成分分析は十分なされていない。また、OTACは近年同定された物質であり、抗炎症作用以外の作用はわかっていない。
【特許文献1】特開2004-35474号公報
【特許文献2】WO 2004/005296 A1
【非特許文献1】Takashi Nakatsuka, 外3名著、「First total synthesis of structurally unique flavonoids and their strong anti-inflammatory effect」、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2004年、Vol.14、p.3201-3203
【非特許文献2】Takumi Furuta, 外7名著、「Concise total synthesis of flavone C-glycoside having potent anti-inflammatory activity」、Tetrahedron、2004年、Vol.60、p.9375-9379
【非特許文献3】Sano M.著、Chem. Pharm. Bull.、1986年、Vol.34、p.174
【非特許文献4】Sano M.および J Agtic. 著、Food Chem.、1999年、Vol.47、p.1906-1910
【非特許文献5】中里賢一 著、日本農芸化学会誌、1998年、Vol.72、p.1
【非特許文献6】Matsui T.著、Biosci. Biotech. Biochem.、1996年、Vol.60、p.2019-2022
【非特許文献7】Nakahara K.著、Appl. Environ. Microbiol.、1993年、p.968-973
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウーロン茶葉から抽出されるOTACについて、新規な用途の提供を目的とする。より詳しくは、OTACを有効成分とする、発癌抑制剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
OTACの大腸発癌予防効果を検討するために、2種類の動物発癌実験系、即ち、ラット大腸におけるアゾキシメタン(AOM)誘発アベラントクリプトフォーサイ(ACF)形成(ACF実験系)と、Apc遺伝子欠損マウスにおける腸管ポリープ形成(Apc遺伝子欠損マウス実験系)におけるOTACの効果を検討した。ACFとは様々な発癌剤により大腸に形成される過形成もしく異形成病変であり、大腸の前癌病変と考えられている(拡大鏡にて観察される拡張、肥大化した陰窩口の単〜集簇)。Apc遺伝子欠損マウスとは家族性大腸腺腫症のモデルマウスであり、癌抑制遺伝子であるApcが欠損しているため、自然発生的に腸管にポリープが多発するマウスである。いずれも2つの系は代表的な短期〜中期大腸発癌実験系である。
【0007】
上記のACF実験系による検討の結果、AOM誘発大腸ACF数は、OTACによって濃度依存的に抑制されることが見出された。
また、Apc遺伝子欠損マウス実験系による検討の結果、OTACを投与することにより、Apc遺伝子欠損マウスの腸管ポリープ形成が抑制されることを見出した。また、OTACを投与した該マウスにおけるCOX-2タンパク質量の減少が大腸発癌抑制機序の一つである可能性が示唆された。
【0008】
これまでのところ、OTACとCOX-2との関連性は知られておらず、OTACの有するCOX-2の発現量の変化を介した発癌抑制作用のメカニズムについても本発明者らによって初めて見出された知見である。
上述の如く、本発明者らによってOTACには顕著な発癌抑制作用があることが初めて見出された。即ち、ウーロン茶葉から抽出されるOTACについて、発癌抑制剤としての新たな用途を見出すことに成功し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、ウーロン茶葉抽出物であるOTACを有効成分として含有する発癌抑制剤に関し、より詳しくは、
〔1〕 以下の一般式(I)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤、
【化1】

(式中、Rは水素原子または水酸基を表す)
〔2〕 Rが水酸基である、〔1〕に記載の発癌抑制剤、
〔3〕 以下の一般式(II)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤、
【化2】

〔4〕 以下の一般式(IV)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤、
【化3】

〔5〕 ウーロン茶葉抽出物を有効成分とする、発癌抑制剤、
〔6〕 茶葉からの抽出画分であって、〔3〕に記載の一般式(II)で表される化合物またはその塩を実質的に含む画分を含有する発癌抑制剤、
〔7〕 茶葉がウーロン茶葉である、〔6〕に記載の発癌抑制剤、
〔8〕 前記癌が大腸癌、前立腺癌、または乳癌である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の発癌抑制剤、
〔9〕 ウーロン茶葉抽出物を有効成分とし、発癌抑制効果を有することを特徴とする、癌を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飲食品、
〔10〕 以下の一般式(II)で表される化合物またはその塩の、発癌抑制剤の製造における使用、
【化4】

を、提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
OTACの発癌抑制作用の有効な投与量は非ステロイド系抗炎症剤であるインドメタシンと同様であり、非常に効果的な物質であると考えられた。即ち、本発明のOTACを有効成分とする発癌抑制剤は、少量でも有効な作用が期待でき、副作用の少ない効果的な薬剤となることが期待される。
また、抗炎症作用に関しては、OTACのCOX-2の活性阻害作用(IC50値)は10 micro Mとインドメタシンと同様であり、さらに、in vivoでCOX-2タンパク質発現抑制作用がある事がわかった。本発明者らによって取得された知見から、ウーロン茶における抗炎症作用の有効成分の1つがOTACである可能性が示唆された。OTACによる抗炎症作用とCOX-2との関連性は本発明者らによって初めて見出された知見である。
代表的なメーカー5社の市販ウーロン茶中のOTAC含量については、56±4.7μg/Lであることが知られている(5社製品の平均値)。
【0011】
本発明は、一般的な飲み物であるウーロン茶について、発癌抑制(予防)効果を有することを初めて見出した。これまでウーロン茶は多く飲料されているが、重篤な毒性がみられたことがなく、安全な飲料と言える。安全かつ一般的な飲料であるウーロン茶について、癌の予防効果という有益な作用が見出されたことは、人が健康な生活を営む上で非常に意義のあることであると言える。
【0012】
本発明によって、ウーロン茶葉から抽出されるOTACには、発癌抑制作用があることが見出された。上述のようにウーロン茶には重篤な毒性がないということはウーロン茶自体の安全性のみならず、OTAC自体の安全性を示唆するものであり、治療薬等の臨床応用においても非常に大きなメリットである。
ウーロン茶は一般的な飲料であるので、飲用者に対する発癌抑制効果を得ることができれば、近年増加傾向にある癌による死亡率を大幅に下げることができるものと期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者らは、ウーロン茶、緑茶、紅茶、焙じ茶等の茶葉に含まれるフラボン誘導体の一種であるOTAC(Oolong tea active compound)が、発癌抑制作用を有することを見出した。
本発明は、OTACまたはその塩を有効成分として含有する発癌抑制剤に関する。
本発明の発癌抑制剤の有効成分は、通常、以下の一般式(I)で表される化合物である。
【化5】

上記一般式(I)において「R」は、通常、水素または水酸基(ヒドロキシル基)を表す。
【0014】
本発明の発癌抑制剤の有効成分は、上記一般式(I)における「R」は水酸基であることが好ましい。即ち本発明は、以下の一般式(III)で表される化合物もしくはその塩を有効成分として含有する発癌抑制剤を提供する。
【化6】

【0015】
本発明において最も好ましくは、OTACすなわち以下の一般式(II)で表される化合物もしくはその塩を有効成分として含有する発癌抑制剤を提供する。
【化7】

OTACの分子量は414である。なお、上記OTACの正式名称は以下の通りである。
OTAC: (2R,3S,4S,4aS,11bS)-3,4,11-trihydroxy-2-(hydroxymethyl)-8-(4-hydroxyphenyl)-3,4,4a,11b-tetrahydro-2H,10H-pyrano[2'3':4,5]furo[3,2-g]chromen-10-one
【0016】
また、OTAC自体は公知の物質であり、その理化学的性状については、下記の文献に記載されている。
(a) First total synthesis of structurally unique flavonoids and their strong anti-inflammatory effect
Takashi Nakatsuka, Yoshiaki Tomimori, Yoshiaki Fukuda and Haruo Nukaya
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 14(2004), 3201-3203.
(b) Concise total synthesis of flavone C-glycoside having potent anti-inflammatory activity
Takumi Furuta, Tomoyuki Kimura, Sachiko Kondo, Hisashi Mihara, Toshiyuki Wakimoto, Haruo Nukaya, Kuniro Tsuji and Kiyoshi Tanaka
Tetrahedron, 60(2004), 9375-9379.
【0017】
また、本発明の発癌抑制剤の有効成分は、上記OTACの異性体であってもよい。例えば、以下の一般式(IV)で表される化合物homo-OTACを例示することができる。
【化8】

上記のOTACおよびhomo-OTACについて、これらの前駆体化合物からの反応過程を図3に示す。
【0018】
本発明者らは、各種茶葉(ウーロン茶、緑茶、紅茶、焙じ茶)について本発明の発癌抑制剤の有効成分であるOTACの含有量を測定した。その結果、ウーロン茶葉抽出物において顕著にOTACが含まれることを具体的に示すことに成功した。即ち、ウーロン茶葉抽出物は多量のOTACが含まれており、該抽出物は本発明の発癌抑制剤の有効成分となり得ることを見出した。
【0019】
本発明は、ウーロン茶葉抽出物を有効成分として含有する、発癌抑制剤を提供する。本発明において抽出物とは、必ずしも単一の化合物のみに限定されず、通常、ウーロン茶葉から抽出される種々の化合物を含有するOTACを実質的に含んだ混合組成物であってもよい。また、該抽出物は液状であってもよいし、固体(粉末等)の形状であってもよい。
【0020】
ウーロン茶葉抽出物からのOTACの抽出は、例えば以下の方法によって実施することができるが、必ずしも以下の方法に限定されない。
まず、茶葉を細かく粉砕し、熱水抽出を行う。抽出された茶溶液を以下の工程に供する。
(1)ダイヤイオンHP-21およびHP-20樹脂を充填したカラムに順次流し、EGCGを初めとするカテキン類のモノマーおよびポリマーを吸着除去する。
(2)上記カラムの非吸着物をn-ブタノールと水の溶媒系で交流分配し、n-ブタノールに移行してくる成分を集める。
(3)前述の成分をセファデックスLH-20のカラムで、メタノールを溶出溶媒として分離し、Kd値2.0〜3.0の画分を取得する(該画分にOTACが検出される)。
(4)該画分から、逆相系のカラム(ODS)を使いHPLCで分取し、OTACを取得する。
なお、OTACの精製は、含水メタノールから再結晶することによって行うことも可能である。
【0021】
本発明のOTACの抽出に利用される茶葉としてウーロン茶葉を用いることが好ましいが、必ずしもウーロン茶葉のみに限定されない。例えば、ウーロン茶以外の所謂「半醗酵茶」であっても、十分量のOTACが含まれているものと考えられる。
また、本発明者らの実験からウーロン茶等の半醗酵茶以外の茶葉中にもOTACが含まれることが示された。よって、不醗酵茶(例えば、緑茶等)、加工茶(例えば、焙じ茶等)、または紅茶(醗酵茶)等の茶葉からもOTACを取得することが可能である。また、これらの半醗酵茶以外の茶葉の抽出物を有効成分とする発癌抑制剤もまた、本発明に含まれる。
【0022】
ウーロン茶以外の茶葉の場合であっても、当業者においては一般的な抽出・精製方法によって、適宜、OTACもしくはOTACを含む抽出画分を取得することができる。
一例を示せば、まずウーロン茶葉を抽出に適した大きさに切裁する。茶葉の部位や状態等の茶葉の特質に応じて、切裁粒度を調製することができる。茶葉は切裁せずに用いることもよい。
【0023】
次いで、上記のように調製した(乾燥)茶葉に対し水を加え、ウーロン茶葉を浮遊させた状態にして抽出を行う。好ましくは温水、より好ましくは熱水を用いて抽出する。攪拌力、昇温速度、抽出温度、抽出時間は、当業者においては適宜調節して最適な条件を設定することができる。抽出工程中は、必要に応じて攪拌するなどの補助的手段を用いることにより、抽出時間を短縮することができる。
次いで、抽出液をろ過あるいは遠心分離等の適当な方法により不溶物(残留茶葉)を分離する。
次いで、抽出液を樹脂を充填したカラムに流し、カテキン類のモノマーおよびポリマーを吸着除去する。次いで、カラム非吸着物を有機溶媒(例えばn-ブタノール)および水によって交流分配し、有機溶媒に移行する成分を収集する。このようにして得られる成分を、さらに有機溶媒(例えばメチルアルコール)を用いて分離し、適切なKd値(例えば2.0〜3.0)を指標にして、所望の画分を取得し、本発明の茶葉抽出物を得る。
【0024】
上記抽出工程に用いられる有機溶媒としては、上記以外にも、例えばエチルアルコール等の低級アルコールを適宜利用することができる。これら有機溶媒は、単独で、あるいは適宜組み合わせて、更には無水または含水状態で用いることができる。
上記のようにして得られた茶葉抽出物は、有機溶媒(例えば、含水メチルアルコール)から再結晶して精製することも可能である。
また、茶葉を微粉末に粉砕後、超臨界抽出法により、本発明のOTACの抽出を行うことも可能である。
【0025】
本発明の好ましい態様においては、各種茶葉(ウーロン茶、緑茶、紅茶、焙じ茶)の抽出物を有効成分とする、発癌抑制剤に関する。
より詳しくは、上記「抽出物」として、上記の一般式(I)〜(IV)で示されるいずれかの化合物を実質的に含有する茶葉からの抽出画分(フラクション)を挙げることができる。特に、上記の一般式(I)〜(IV)で示されるいずれかの化合物を実質的に含有するウーロン茶葉からの抽出画分(フラクション)は好適である。
【0026】
本発明の該抽出画分の一例としては、上述の方法によって取得される上記(3)の「Kd値2.0〜3.0の画分」を例示することができる。
また、本発明の「抽出物」としては、茶葉を微粉末に粉砕後、超臨界により抽出する方法によって取得される抽出物を挙げることができる。
【0027】
本発明における「発癌抑制剤」とは、通常、癌の発生を抑制もしくは予防する効果を有する薬剤(医薬、医薬組成物)を指すが、例えば、癌の進行を抑制する薬剤、または、癌に対して治療効果を有する薬剤も本発明の薬剤に含まれる。
本発明の発癌抑制剤の対象となる「癌」は、通常、悪性腫瘍とも呼ばれ、また、癌病変だけでなく、前癌病変も含まれる。また、腫瘍、ポリープ(例えば、大腸ポリープ)等も本発明の薬剤の対象となり得る。本発明の薬剤は、具体的には、大腸癌、前立腺癌、乳癌等の腺癌に対して効果的であるが、その他の上皮癌である膵臓癌、肝癌等であっても有効である。
また、本発明のOTACは、ウーロン茶葉から抽出して取得することが可能である。
【0028】
本発明において「ウーロン茶葉」とは、Cammellia sinensisにおける葉もしくは茎を半醗酵させたものをさす。一般にウーロン茶(烏龍茶)には、鉄観音、黄金桂、水仙、色種などの種類があるが、これら種類に限定されず、ウーロン茶であれば、どの種類も本発明に用いることができる。また、ウーロン茶葉は市販されており、容易に入手することが可能である。本発明では、葉または茎を単独で、あるいは任意に組み合わせて使用することができるが、葉を単独で用いることが好ましい。
【0029】
さらに本発明は、上述の如く茶葉から一般式(I)〜(IV)の化合物を単離する、または該化合物を実質的に含有する画分を取得する工程を含む、発癌抑制剤の製造方法に関する。
本発明の上記製造方法の好ましい態様においては、OTAC(一般式(II)の化合物)、またはその塩を取得(単離)する工程を含む、発癌抑制剤の製造方法である。
【0030】
例えば、上記製造方法は、以下の工程(a)〜(e)を含む方法である。
(a)茶葉から水(好ましくは熱水)抽出を行い、茶溶液を得る工程
(b)前記茶溶液をろ過もしくは遠心分離により不溶物(残留茶葉)を分離除去し、抽出液を得る工程
(c)前記抽出液を樹脂を充填したカラムに流し、モノマーもしくはポリマーを吸着除去する工程
(d)非吸着物を有機溶媒および水によって交流分配し、有機溶媒に移行する成分を収集する工程
(e)Kd値(好ましくは2.0〜3.0)を指標に所望の画分を取得する工程
上記工程によって取得される画分(フラクション)には、OTACを含有する。
【0031】
また、後述の実施例で示すように、同一の茶葉であっても熱処理することによりOTACの含量が増加することが明らかとなった。従って、通常であれば含有量が低い緑茶等について熱処理(例えば、180度以上の高温処理)を施すことにより、効率的にOTACを取得することが可能である。
さらに本発明は、本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)またはその塩の、発癌抑制剤の製造における使用に関する。
また、本発明において有効成分となる一般式(I)〜(IV)の化合物には、該化合物の塩に加えて、例えば、該化合物の水和物、溶媒和物、異性体等が含まれる。これらの化合物も同様に発癌抑制作用を有することが期待される。
【0032】
本発明において「塩」とは、本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)と塩を形成し、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩などがあげられる。通常、本発明において「塩」とは、通常、薬学的に許容される塩を言う。
【0033】
無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などがあげられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などがあげられる。
【0034】
無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられ、有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などがあげられる。
【0035】
酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などがあげられる。
【0036】
本発明に係る化合物の単離・精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、ろ過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作を適用して行うことができる。
本発明においては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本発明には化合物の構造上生ずるすべての幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体および異性体混合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体でも混合物でもよい。従って、本発明の化合物には、分子内に不斉炭素原子を有し光学活性体およびラセミ体が存在することがありうるが、本発明においては限定されず、いずれもが含まれる。
【0037】
また、本発明に係る化合物について得られる種々の異性体(例えば幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、回転異性体、立体異性体、互変異性体等)は、通常の分離手段、例えば再結晶、ジアステレオマー塩法、酵素分割法、種々のクロマトグラフィー(例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、等)を用いることにより精製し、単離することができる。
【0038】
本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)もしくはその塩またはそれらの水和物は、慣用されている方法により錠剤、丸剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、粉剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤等として製剤化することができる。
製剤化には通常用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、必要に応じて安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化される。
【0039】
例えば経口製剤を製造するには、本発明にかかる化合物またはその薬理学的に許容される塩と賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。これらの成分としては例えば、大豆油、牛脂、合成グリセライド等の動植物油; 流動パラフィン、スクワラン、固形パラフィン等の炭化水素; ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油; セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール; シリコン樹脂; シリコン油; ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤; ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性高分子; エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール; グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール;グルコース、ショ糖等の糖; 無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウム等の無機粉体、精製水等があげられる。
【0040】
賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素、デンプン、果糖、ソルビトール、カオリン、カルメロース、キシリトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポピドン等が、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミン等が、崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、デキストラン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース・カルシウム等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、マクロゴール、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル等が、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末、エリスリトール、キシリトール、クエン酸、マルチトール、ステビア、ソーマチン等が用いられる。これらの錠剤・顆粒剤には糖衣、その他必要に応じて適宜コーティングしてもよい。糖衣剤としては、アラビアゴム末、酸化チタン、ゼラチン、タルク、沈降炭酸カルシウム、白糖等が、コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー等が用いられる。また、シロップ剤や注射用製剤等の液剤を製造する際には、本発明にかかる化合物またはその薬理学的に許容される塩にpH調整剤、溶解剤、等張化剤などと、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤などを加えて、常法により製剤化する。注射剤を調製する場合、必要に応じて、pH調製剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等を添加し、常法により、皮下、筋肉内、静脈内注射剤とする。注射剤は、溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって、固形製剤として、用時調製の製剤としてもよい。また、一投与量を容器に収納してもよく、また、投与量を同一の容器に収納してもよい。
【0041】
製剤化にあたり使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能である。使用する基剤原料として具体的には、例えば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物類、精製水等の原料が挙げられ、さらに必要に応じて、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料等を添加することができる。また必要に応じて分化誘導作用を有する成分、血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合することもできる。
【0042】
本発明にかかる化合物もしくはその塩またはそれらの水和物を投与する場合、その形態は特に限定されず、通常用いられる方法により経口投与でも非経口投与でもよい。例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤などの剤として製剤化し、投与することができる。本発明の薬剤の投与量は、投与対象の年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、疾患(癌)の具体的な種類等に応じて適宜選ぶことができる。例えば、通常成人として1日あたり、約0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜500mg、さらに好ましくは0.1〜100mgを1日1〜数回に分けて投与することができるが、特にこれらの値に制限されない。
【0043】
さらに本発明は、本発明の発癌抑制剤を含有し、発癌抑制効果を有することを特徴とする、癌(発癌)を予防するために用いられるものである旨を表示した飲食品を提供する。
上記飲食品の好ましい態様においては、ウーロン茶葉抽出物(本発明の化合物)を有効成分とし、発癌抑制効果を有することを特徴とする、癌を予防(発癌を抑制)するために用いられるものである旨を表示した飲食品(例えば、一般的な飲料である「ウーロン茶」)を挙げることができる。
【0044】
また、本発明者らはウーロン茶に含まれる成分の一つであるOTACに、発癌抑制作用があることを見出した。また、OTACあるいはOTACを実質的に含む茶葉抽出画分を単離・調製することも可能である。従って、従来の「ウーロン茶」におけるOTAC成分をさらに増強させた飲料を製造することも可能である。また、従来はOTACの含有量が低いウーロン茶以外のお茶(緑茶、焙じ茶、紅茶等)についても、適宜、本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)を添加することにより、発癌抑制作用が付与もしくは増強されたお茶を製造することが可能である。
また、「ウーロン茶」以外の飲食品においても、本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)を添加することにより、発癌抑制作用を付与した飲食品を製造することが可能である。
【0045】
本発明の飲食品としては、好ましくは飲料であり、例えば、茶、茶系飲料、清涼飲料、果実飲料、野菜飲料、発泡性飲料、コーヒー飲料、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、アルコール性飲料等を挙げることができる。また、本発明の飲食品として、本発明の化合物(一般式(I)〜(IV)の化合物)を有効成分として含有する、液状、固形状、粉末状の嗜好飲料類、調味料及び香辛料類、もしくは調理加工食品、および、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品等を挙げることができる。本発明の飲食品は、発癌抑制効果を有し、癌を予防するために用いられる旨を表示したものであれば、上記飲食品の例に特に限定されない。
【0046】
本発明の飲食品は、例えば、上述の既存の飲食品へ、本発明の茶葉抽出物(具体的には、一般式(I)〜(IV)の化合物)を添加することにより製造することができる。
また、本発明の飲食品は、食品衛生上許容される配合物を混合して適宜加工することができる。例えば、安定化剤、保存剤、着色料、香料、ビタミン等の通常の食品原料として使用されているものを本発明の飲食品に適宜添加してもよい。また、常法により錠剤、粒状、顆粒状、カプセル状、液状、クリーム状等の飲食品として適した形態とすることも可能である。
【0047】
また、「癌(発癌)を予防するために用いられるものである旨を表示した」とは、一例を示せば、本発明の飲食品が封入された包材あるいはパッケージに、該飲食品が発癌予防効果を有することを、文字または画像を用いて表示されることを指す。
【実施例】
【0048】
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
【0049】
〔実施例1〕 各種茶葉におけるOTAC含量の比較
ウーロン茶、緑茶、紅茶、焙じ茶におけるOTAC含量を調べた。焙じ茶は緑茶を180℃以上の高温で処理したものを用いた。OTACの単離・精製は、以下のようにして実施した。
まず、各茶葉(25g)を細かく粉砕した。熱水抽出した各茶溶液を、
(1)ダイヤイオンHP-21およびHP-20樹脂を充填したカラムに順次流し、EGCGを初めとするカテキン類のモノマーおよびポリマーを吸着除去した。
(2)上記カラムの非吸着物をn-ブタノールと水の溶媒系で交流分配し、n-ブタノールに移行してくる成分を集めた。
(3)前述の成分をセファデックスLH-20のカラムで、メタノールを溶出溶媒として分離したところ、Kd値2.0〜3.0の画分にOTACが検出された。
(4)この画分から、逆相系のカラム(ODS)を使ったHPLCで分取することで、OTACを得た。
【0050】
OTACの精製は、含水メタノールから再結晶することによって行った。
このようにして各茶葉から抽出されたOTAC含量を比較した結果を、以下の表1に示す。
【表1】

その結果、ウーロン茶に特異的にOTACが多く含まれることが分かった。また、焙じ茶は、緑茶を180℃以上の高温で処理したものだが、同一茶葉を熱処理することによって、OTAC含量が数倍増加するという結果が得られた。
【0051】
〔実施例2〕 ACF実験系
ラット大腸におけるアゾキシメタン(AOM)誘発アベラントクリプトフォーサイ(ACF)形成を指標とする癌実験系によって、本発明のOTACの発癌抑制効果について検討を行った。
6週齢の雄性F344ラットに、大腸発癌物質AOMを15 mg/kg体重で、週1回2週間皮下投与した。AOM投与前日からOTACを10、20 ppmの濃度で混餌投与し、4週間後の体重および大腸ACFをカウントし、組織学的検討も実施した。
その結果、10、20 ppm OTACを4週間投与した場合には、体重減少が認められなかった。また、組織学的検討を行ったところ、肝臓、腎臓などの主要臓器には障害が認められなかった。
またACF形成抑制率は、対照群(小腸遠位部、中位部、近位部)に対して、10 ppm, 20 ppm OTAC投与群でそれぞれ、21.2%、 30.9%であり、AOM誘発大腸ACF数は、OTACによって濃度依存的に抑制されることが見出された(図1)。
【0052】
〔実施例3〕 Apc遺伝子欠損マウス
Apc遺伝子欠損マウスにおける腸管ポリープ形成を指標とする癌実験系によって、本発明のOTACの発癌抑制効果について検討を行った。
Apc遺伝子欠損マウスとは家族性大腸腺腫症のモデルマウスであり、癌抑制遺伝子であるApcが欠損しているため、自然発生的に腸管にポリープが多発するマウスである。
Apc遺伝子欠損マウスである5週齢雌性MinマウスにOTACを2.5、5、10 ppm の濃度で14週間混餌投与し、マウスにおける小腸及び大腸ポリープの発生状況を野生型マウスと比較検討した。更に野生型とApc遺伝子欠損マウスの肝臓におけるシクロオキシゲナーゼ2(cyclooxygenase-2; COX-2)の発現解析をウエスタンブロット法で行った。
その結果、5週齢MinマウスにOTACを2.5、5、10 ppm の濃度で14週間混餌投与した場合、腸ポリープ数はOTACの投与により非投与群の56%にまで減少した。腸管ポリープ形成抑制作用機序の解明の為に行ったCOX-2発現検討において、非投与群8匹中2匹のCOX-2蛋白発現が減少していたのに対し、OTAC投与群では9匹中7匹のCOX-2蛋白発現が顕著に減少していた(図2)。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】OTACを投与したラットの大腸、小腸遠位部、小腸中位部、小腸近位部における、AOM誘発大腸ACF形成数を比較した結果を示すグラフである。
【図2】OTACを投与したマウスの肝臓における、COX-2発現をウエスタンブロットによって解析した結果を示す写真である。
【図3】OTACおよびhomo-OTACについて、これらの前駆体化合物からの反応過程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤。
【化1】

(式中、Rは水素原子または水酸基を表す)
【請求項2】
Rが水酸基である、請求項1に記載の発癌抑制剤。
【請求項3】
以下の一般式(II)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤。
【化2】

【請求項4】
以下の一般式(IV)で表される化合物またはその塩を有効成分とする、発癌抑制剤。
【化3】

【請求項5】
ウーロン茶葉抽出物を有効成分とする、発癌抑制剤。
【請求項6】
茶葉からの抽出画分であって、請求項3に記載の一般式(II)で表される化合物またはその塩を実質的に含む画分を含有する発癌抑制剤。
【請求項7】
茶葉がウーロン茶葉である、請求項6に記載の発癌抑制剤。
【請求項8】
前記癌が大腸癌、前立腺癌、または乳癌である、請求項1〜7のいずれかに記載の発癌抑制剤。
【請求項9】
ウーロン茶葉抽出物を有効成分とし、発癌抑制効果を有することを特徴とする、癌を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
【請求項10】
以下の一般式(II)で表される化合物またはその塩の、発癌抑制剤の製造における使用。
【化4】


【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−342103(P2006−342103A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169262(P2005−169262)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(505217491)
【Fターム(参考)】