エアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置
【課題】微生物類を効率良く除菌できるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置を提供する。
【解決手段】本発明のエアシャワ−室の清浄方法は、エアシャワ−室10に人又は物が入った場合に、加圧空気の送りを停止した状態で、除菌ガスをエアシャワ−室10に送り込み、その後、加圧空気を送り込む。更に、その加圧空気の送り込み後、更にエアシャワ−室10に、当該エアシャワ−室10の天井側から床面側に空気を除菌ガスと共に送り込む。
【解決手段】本発明のエアシャワ−室の清浄方法は、エアシャワ−室10に人又は物が入った場合に、加圧空気の送りを停止した状態で、除菌ガスをエアシャワ−室10に送り込み、その後、加圧空気を送り込む。更に、その加圧空気の送り込み後、更にエアシャワ−室10に、当該エアシャワ−室10の天井側から床面側に空気を除菌ガスと共に送り込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等のコンタミネーションコントロールの行なわれている制限領域の出入り箇所、或いは微生物類等の持ち込みを制限する制限領域の出入り箇所等に好適に設置されるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばクリーンルーム等のコンタミネーションコントロール(清浄度管理)の行なわれている制限領域の出入り箇所に設置されるエアシャワ−装置が知られている。このエアシャワ−装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この特許文献1に開示のものは、クリーンルームへの出入路の外部側に設置される第1の扉と、クリーンルーム側に設置される第2の扉と、これら第1の扉及び第2の扉の間に形成される閉鎖空間であって壁面又は天井、壁面及び天井から浮遊微粒子類除去に有効な加圧空気を発生させるための加圧空気流形成手段並びに通過者の着衣または通過物品類から放出された塵埃類を含む排気流を回収するための排気吸引手段と、該排気吸引手段からの排出空気を浄化して前記加圧空気流形成手段に循環させる際に通過させる高機能(HEPA)フィルタと、を具備するエアシャワー装置において、前記閉鎖空間内に存在する浮遊微生物類を殺菌するための除菌ガスである二酸化塩素ガス(ClO2)を、エアシャワー室に加圧空気を送る際に共にエアシャワー室に送り込めるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−163108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示のものは、除菌ガスを加圧空気と共に、通常20〜30m/sの風速でエアシャワー室に送り込んで噴霧するため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類は、加圧空気に乱されてエアシャワー室内に飛び散ってしまい、微生物類を死滅させ難いとともに、塵埃や浮遊微生物類を効率よく回収し難い。
【0006】
本発明は、微生物類を効率良く除菌できるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアシャワ−室の清浄方法は、エアシャワ−室に、加圧空気を送り込むとともに、除菌機能を有する除菌ガスを送り込むようにしたエアシャワ−室の清浄方法であって、前記エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記加圧空気を流す第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって、前記加圧空気を前記エアシャワ−室に送り込む際の加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み、その後、前記加圧空気を、前記第1流路によって送り込むことを特徴とする方法である。ここに、「除菌機能を有する」とは、バクテリア、細菌、カビ等の微生物類を分解して人又は物から除去する機能を有するもの、或いは微生物類を殺菌する機能を有するものを含む。
【0008】
この構成によれば、エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、まず、加圧空気の送りを停止した状態で、除菌ガスをエアシャワ−室に送り込むため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した微生物類に除菌ガスを万遍なくかけることができ、微生物類を効率よく死滅等させることができる。又、エアシャワー室内に浮遊する微生物類や塵埃を飛び散らすことなく効率よく床面に落として回収し易くできる。
【0009】
そして、その後の加圧空気によって、衣服や物品に付着して死滅等させた微生物類や塵埃を衣服等から離すことができ、衣服や物品から微生物類や塵埃を確実に取り除くことができる。
【0010】
他の一態様では、上述のエアシャワ−室の清浄方法において、前記加圧空気の送り込み後、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記第1流路と分離するようにして設けられた第3流路によって、前記加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記エアシャワ−室にその天井側から床面側に空気を送り込むことができる。
【0011】
この構成によれば、加圧空気によって微生物類や塵埃がエアシャワ−室に飛び散った場合でも、エアシャワ−室の天井側から空気を送り込むことによって、床面に落とすことができ、エアシャワ−室に飛び散った微生物類や塵埃がエアシャワ−室の側壁に静電気等によって付着するのを防止できる。従って、微生物類や塵埃を効率よく回収できる。
【0012】
また、他の一態様では、上述のエアシャワ−室の清浄方法において、前記第2流路における前記エアシャワ−室との室連通部に設けられた気流整流部に、前記除菌ガスを通して前記エアシャワ−室に送り込むことができる。
【0013】
この構成によれば、気流整流部に除菌ガスを通してエアシャワ−室に送り込むため、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室に送り入れることができ、エアシャワー室の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室の微生物類を、より一層効率よく死滅させることができるとともに、回収し易くできる。
【0014】
本発明のエアシャワ−装置は、エアシャワ−室を備え、そのエアシャワ−室に加圧空気を第1流路によって送り込み可能とされているとともに、前記第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって除菌機能を有する除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み可能とされたエアシャワ−装置であって、前記第2流路は、前記エアシャワ−室と連通した室連通部と、前記室連通部に設けられ気流を整流させる気流整流部とを備え、前記気流整流部は、複数の通気用貫通孔を有し、前記室連通部に配設された複数の多孔板を備え、前記複数の多孔板は、前記第2流路に沿って、互いに間隔をあけて隣接するもの同士が互いに平行に配設され、最下流位置に配された多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなるように構成されていることを特徴とするエアシャワ−装置である。
【0015】
この構成によれば、気流整流部によって、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室に送り入れることができ、エアシャワー室の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室の微生物類を効率よく死滅させることができるとともに、回収し易くできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、微生物類を効率良く除菌できるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のエアシャワー装置の概略図である。
【図2】室連通部の要部の拡大断面図である。
【図3】気流整流部の分解斜視図である。
【図4】(a)は気流整流部のメッシュスクリーンによる整流作用を説明するための断面図であり、(b)は気流整流部のパンチング板による整流作用を説明するための断面図である。
【図5】実施例1による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図6】実施例2による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図7】実施例3による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図8】比較例による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図9】制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】清浄方法を示すフローチャートの一部である。
【図11】清浄方法を示すフローチャートの他の一部である。
【図12】除菌ガスを送った場合のダスト数の個数を表した図表である。
【図13】加圧空気を送った場合のダスト数の個数を表した図表である。
【図14】図12及び図13夫々における3回の測定の粒径0.5μm以上のダスト数の平均をグラフで表した図表である。
【図15】加圧空気を送らないで、除菌ガスを送った場合の菌数の個数を表した図表である。
【図16】加圧空気を送った場合の菌数の個数を表した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のエアシャワ−装置の概略図、図2は、図1のエアシャワ−装置の室連通部の要部の拡大断面図である。
【0019】
本発明のエアシャワ−装置1は、図1に示すようにエアシャワー室10と、加圧空気を流す第1流路2a、2bと、第1流路2a、2bと分離され除菌ガスを流す第2流路3(第3流路)と、エアシャワ−装置1を制御する制御部7とを備えている。
【0020】
エアシャワー室10は、前後の側壁及び左右の側壁11a、11bと、天井12と、床面13とによって閉鎖された閉鎖空間とされている。この実施形態では、床面13は、グレーティング部13aを備え、グレーティング部13aを介して塵埃や浮遊物類を通せるようになっている。
【0021】
第1流路は、この実施形態では、エアシャワー室10の左側に配設された左第1流路2aと、エアシャワー室10の右側に配設された右第1流路2bとの2つを備えている。これらの左右の第1流路2a、2bは、ほぼ左右対称に配設され、ほぼ同一構成を採っている。従って、以下に、左第1流路2aについてのみ説明し、右第1流路2bの説明を省略する。
【0022】
左第1流路2aは、塵埃や浮遊物類を通さない第1HEAPフィルタ51を備え、塵埃や浮遊物類を、この第1HEAPフィルタ51で回収できるようになっている。
【0023】
又、左第1流路2aは、その一端側に、加圧空気(エアジェット)を形成する複数の噴出ノズル52を備えている。これらの噴出ノズル52は、エアシャワー室10の左側壁11aに、加圧空気をエアシャワー室10内に噴出可能に取り付けられており、これらの噴出ノズル52を介して左第1流路2aとエアシャワー室10とが連通されている。
【0024】
また、左第1流路2aは、その他端側に設置された加圧空気送り込み装置としての加圧空気送り用ブロア53を備え、この加圧空気送り用ブロア53によってエアが左第1流路2aを通ってエアシャワー室10内に送り込まれるようになっている。この実施形態では、加圧空気送り用ブロア53によって噴出ノズル52から加圧空気を20m/秒〜30m/秒の速さでエアシャワー室10内に送り込み得るようになっている。
【0025】
また、この実施形態では、加圧空気送り用ブロア53の側方におけるエアシャワー室10の左側壁11aには、吸引用孔14が設けられている。そして、加圧空気送り用ブロア53は、エアシャワー室10内のエアを吸引用孔14から吸引してエアを左第1流路2aに沿って第1HEAPフィルタ51側に送り、その第1HEAPフィルタ51を通して噴出ノズル52からエアシャワー室10内に噴射させる。
【0026】
なお、この加圧空気送り込み装置は、加圧空気送り用ブロア53から構成されるものに限らず、例えばターボファン、軸流ファン、FFU(ファンフィルタユニット)のフィルタを省略したもの、あるいは、シロッコファン等でもよく、適宜変更できる。
【0027】
第2流路3は、この実施形態では、除菌ガスを空気と共に流してエアシャワー室10に送り込むようになっており、エアシャワー室10の上側の部分に配設されたガス送り路3aと、エアシャワー室10の下側から左第1流路2aの左側方にかけての部分に配設された循環路3bとを備えている。
【0028】
ガス送り路3aは、その下流側となる一端側に、エアシャワー室10と連通する室連通部4を備えている。なお、室連通部4については後述する。
【0029】
また、ガス送り路3aは、その上流側となる他端側に、ガス送り込み装置(空気送り込み装置)としてのガス送り用ブロア43(空気送り用ブロア)を備えている。この実施形態では、ガス送り用ブロア43によって、上記加圧空気送り用ブロア53によって加圧空気をエアシャワ−室10に送り込む加圧空気送り速度よりも遅い送り速度でエアシャワー室10に除菌ガスを空気と共に送り込むようになっている。
【0030】
なお、このガス送り込み装置も、ブロア43から構成されるものに限らず、例えばターボファン、軸流ファン、FFU(ファンフィルタユニット)のフィルタを省略したもの、あるいは、シロッコファン等でもよく、適宜変更できる。
【0031】
また、ガス送り路3aにおけるガス送り用ブロア43と室連通部4との間には、第2第2HEAPフィルタ42を備え、塵埃や浮遊物類を、この第2HEAPフィルタ42で回収できるようになっている。なお、この第2HEAPフィルタ42は、この実施形態では、上記第1流路2aの第1HEAPフィルタ51と同構成を採るものが用いられているが、第1HEAPフィルタ51と異なるものでもよい。
【0032】
循環路3bは、その下流側となる一端側がガス送り路3aに連通され、その他端側がエアシャワー室10の床面13のグレーティング部13aに連通されており、グレーティング部13aからエアシャワー室10外に出た除菌ガスを再度ガス送り路3aに流して循環させることができるように構成されている。
【0033】
また、このように構成された第2流路3におけるガス送り用ブロア43の近傍に、除菌ガス発生装置としての二酸化塩素ガス発生装置8が連結されており、第2流路3に二酸化塩素ガス発生装置8から発生した二酸化塩素ガスを流すことができるようになっている。
【0034】
この二酸化塩素ガス発生装置8から発生する二酸化塩素ガスは、除菌ガスとしてのもので、二酸化塩素分子による特異な酸化作用によって各種のバクテリア、細菌、カビ等の微生物類を殺菌、消毒、脱臭等を果たす機能を有する。この実施形態では、二酸化塩素ガス発生装置8として、市販されているリスパス(商品名;大幸薬品株式会社製)が用いられている。
【0035】
尚、除菌ガスは、二酸化塩素ガスから構成される形態のものに限らず、バクテリア、細菌、カビ等を分解除去し、または殺菌等し得るものであればよく、例えばオゾンガス、あるいは、正イオンと負イオンとからなるイオン等でもよい。従って、除菌ガス発生装置として、例えばオゾンガスを発生するオゾンガス発生装置、または正イオンと負イオンとを発生させるイオン発生装置等を用いることができる。
【0036】
ここで、室連通部4について、図2〜図8に基づいて説明する。この室連通部4は、図2に示すように、エアシャワー室10と連通するようにエアシャワー室10の天井12に穿設された室連通孔41と、室連通孔41に付設された気流整流部30とを備えている。気流整流部30は、気流の整流性(均一性および直進性)を向上させるためのもので、この実施形態では、3つの多孔板31〜33、すなわち、第2流路の最上流位置に配される第1多孔板31と、流路の中間位置に配される第2多孔板32と、流路の最下流位置に配される第3多孔板33とを有している。
【0037】
3つの多孔板31〜33は、室連通孔41から除菌ガスと共に又は単独で流れてくる空気の流れ(以下、「気流」)に対して略直交する面に沿って拡がるような姿勢で互いに平行に、かつ、当該多孔板31〜33の配設方向に互いに所定の間隔を空けて設けられている。この多孔板同士の間隔は、気流整流部30の厚みに寄与するものであるので、装置の薄型化という観点からは、できる限り小さい値であることが好ましい。しかし、一方で、当該間隔が狭過ぎると、多孔板に挟まれた空間を空気が横方向(多孔板の拡がる方向)に移動し難くなり、その結果、気流の均一性が低下することになる。従って、多孔板同士の間隔は、例えば55mm〜155mm程度に設定されるのが好ましい。
【0038】
各多孔板31〜33は、それぞれ、複数の通気用貫通孔31a〜33aを有している。これら複数の通気用貫通孔31a(32a,33a)は、多孔板31(3233)の全面に亘って所定ピッチで配列するようにして設けられており、互いに同一形状に形成されている。
【0039】
以下、図3を参照して、この実施形態の気流整流部30の詳細な構成について、さらに説明する。
【0040】
気流整流部30は、図3に示すように、直方体の箱形状のケーシング121と、枠体122と、図略の押えプレートと、上述した3つの多孔板31〜33とで構成されている。
【0041】
ケーシング121の気流の上流側を向く面(図3では上面)には上流側開口121aが形成されており、ケーシング121の気流の下流側を向く面(図3では下面)には下流側開口121bが形成されている。また、ケーシング121の側面の上流側開口121a寄りの部分には、上記枠体122を挿入するための挿入用開口121cが設けられている。
【0042】
また、ケーシング121の互いに対向する内側面には、挿入用開口121cから挿入された枠体122を当該ケーシング121内で支持するための一対のレール121d(図3では一方のレールのみを図示している。)が設けられている。
【0043】
枠体122は、断面コの字状に形成されている。この枠体122の気流の上流側を向く面(図3では上面)には上流側開口122aが形成されており、枠体122の気流の下流側を向く面(図3では下面)には下流側開口122bが形成されている。
【0044】
多孔板31〜33には、それぞれ、当該多孔板31〜33を囲む補強枠123〜125が取り付けられている。
【0045】
第1多孔板31は、補強枠123が枠体122の上流側開口122aを有する上面にビス等によって固定されることによって枠体122の上面に取り付けられる。また、第2多孔板32は、補強枠124が枠体122の下流側開口122bを有する下面にビス等によって固定されることによって枠体122の下面に取り付けられる。
【0046】
そして、枠体122が挿入用開口121cからケーシング121内に挿入されることにより、ケーシング121の内部空間の上部および中央部に多孔板31,32がそれぞれセットされる。なお、第1多孔板31は、ケーシング121の上流側開口121aを通して外部に表出している。
【0047】
また、第3多孔板33は、補強枠125がケーシング121の下流側開口121bを有する下面にビス等によって固定されることによってケーシング121の下面に取り付けられる。
【0048】
また、図略の押えプレートは、挿入用開口121cを塞ぐようにケーシング121の側面に取り付けられるものであり、枠体122がケーシング121から抜け落ちるのを防ぐために設けられている。
【0049】
なお、補強枠123〜125を省略して、多孔板31〜33を単体でケーシング121あるいは枠体122に取り付けることもできる。
【0050】
また、ケーシング121や枠体122の厚み方向の寸法(図2では上下方向の寸法)を変えることで、多孔板31〜33同士の間隔を調整することが可能である。
【0051】
このように構成された気流整流部30を、多孔板31〜33が室連通孔41から流れてくる気流(以下、この気流の流れる方向を「気流方向」と呼ぶ。)に対して略直交するような姿勢で気流方向の下流側に設けることで、室連通孔41から流れてくる気流が3つの多孔板31〜33の各通気用貫通孔31a〜33aを順に通過し、これによって当該気流が整流される。
【0052】
次に、上述した気流整流部30を基本構成とする第1の形態による気流整流部30Aについて説明する。すなわち、この第1の形態の気流整流部30Aでは、3つ全ての多孔板31〜33がメッシュスクリーンで構成されている。なお、本願発明では、多孔板を、厚み方向に貫通する複数の通気用貫通孔を有する板状体と定義しており、メッシュスクリーン、パンチング板、ハニカムコア等の総称として用いている。
【0053】
ここでのメッシュスクリーン(メッシュシートとも言う)としては、例えば、鋼鉄製の線材を平織や綾織等で平面的に編み込んで形成されるもの、あるいは、樹脂を網目状となるように成形することで形成されるものが挙げられ、先の背景技術で述べたハニカムコアやパンチング板とは異なるものである。このようなメッシュスクリーンでは、1インチ当りのメッシュ数(通気用貫通孔の数)を示す規格化された数値が知られており、この数値によってメッシュスクリーンの網目の細かさが表される。例えば、100メッシュとは、1インチ当りのメッシュの数が100であることを表しており、当該100メッシュは20メッシュに比べて網目が細かいことを意味する。なお、上記数値が異なれば、一般に、
メッシュスクリーンを構成する線材の径や、オープニング、開口率、網厚等は異なる。
【0054】
上記第1の形態の気流整流部30Aによれば、当該装置30Aの薄型化、軽量化、コストダウンを実現することができるとともに、気流を十分に整流することができる。
【0055】
つまり、この気流整流部30Aでは、分厚く嵩張り、低強度を補うための補強によって重く、さらに高コストのハニカムコアを使用していないため、ハニカムコアを使用する場合に比べて、当該装置30Aの薄型化、軽量化、コストダウンが実現される。
【0056】
また、最下流位置の第3多孔板33をメッシュスクリーンで構成しているため、例えばこの位置の多孔板をパンチング板で構成する場合に比べて、気流に対してより高い整流作用が得られる。このようなメッシュスクリーンの整流作用の優位性については、後述する比較実験の結果からも明らかであるが、本願発明者はその整流の仕組みについて以下のように推察している。
【0057】
すなわち、図4(a)に示すように、断面略円形の線材(いわゆる丸線)を編み込んで形成される一般的なメッシュスクリーンからなる多孔板133では、その通気抵抗部133bの断面形状が、角の取れたいわゆる面取り形状となっている。従って、このようなメッシュスクリーンからなる多孔板133の通気用貫通孔133aの入口側部位および出口側部位は、ともにその開口面積が気流方向で徐々に小さく、あるいは大きくなるような略錘形状となっている。このため、通気用貫通孔133aを気流が通過することによって通気抵抗部133bの直下流位置に形成される渦流r1が比較的小さく、通気用貫通孔133aを通過した気流f1の乱れ(乱流)度合いは小さい。なお、樹脂成形で形成されるメッシュスクリーンにおいても、成形型の形状を工夫するだけで、容易に通気抵抗部の断面形状を上記面取り形状とすることができる。
【0058】
一方、図4(b)に示すように、プレス加工により形成される一般的なパンチング板からなる多孔板233では、その通気抵抗部233bの断面形状が、面取りされていない角のある矩形状となっている。従って、このようなパンチング板からなる多孔板233の通気用貫通孔233aの入口側部位および出口側部位は、ともにその開口面積が気流方向で急激に変化するような形状となっている。このため、通気用貫通孔233aを気流が通過することによって通気抵抗部233bの直下流位置に形成される渦流r2が比較的大きく、通気用貫通孔233aを通過した気流f2の乱れ度合いは大きい。
【0059】
以上より、メッシュスクリーンからなる多孔板133では、通気用貫通孔133aを通過する気流に対する整流作用(特に直進性向上作用)がより発揮され、当該気流が十分に整流される。このように、本形態の気流整流部30Aでは、最下流位置の第3多孔板33により気流が十分に整流されるので、全体では十分に高い整流作用が得られる。
【0060】
また、第1の形態の気流整流部30Aでは、多孔板の数を3つにすることにより、気流を十分に整流することができるとともに、装置が分厚く嵩張るのを抑えることができる。つまり、気流に対する十分な整流作用の確保と装置の薄型化とが両立される。
【0061】
また、第1の形態の気流整流部30Aでは、3つ全ての多孔板をメッシュスクリーンで構成することによって、メッシュスクリーンはパンチング板やハニカムコアに比べて軽量であるので、当該装置のさらなる軽量化を図ることができる。また、メッシュスクリーンはパンチング板に比べて圧力損失が小さいため、所定の風速を得るための送風機11の駆動力が小さくて済む。これにより、整流された気流を効率良く生成することができる。
【0062】
また、第1の形態の気流整流部30Aを備えたものによれば、室連通孔41からの気流が気流整流部30Aによって十分に整流されるようになるため、十分に整流された気流をエアシャワー室10に供給することができる。
【0063】
次に、上記気流整流部30を基本構成とする第2の形態による気流整流部30Bについて説明する。すなわち、この第2の形態の気流整流部30Bの上記第1の形態の気流整流部30Aと異なる点は、最上流位置の第1多孔板31がメッシュスクリーンではなくパンチング板で構成されている点である。
【0064】
つまり、第2の形態では、第1多孔板31がパンチング板で構成されており、第2多孔板32および第3多孔板33がメッシュスクリーンで構成されている。
【0065】
この第2の形態の気流整流部30Bでは、上記のように、最上流位置の第1多孔板31をパンチング板により構成することで、当該装置30Bを通過する気流に対して初期の段階で第1多孔板31によって大きな抵抗を付与し、これによって当該気流の均一性を向上させることができるので、最終的に気流の整流性をより向上させることができる。
【0066】
なお、第2の形態の気流整流部30Bにおけるその他の効果は、上記第1の形態で説明したものと同様である。
【0067】
次に、上記気流整流部30を基本構成とする第3の形態による気流整流部30Cについて説明する。すなわち、この第3の形態の気流整流部30Cの上記第2の形態30Bと異なる点は、中間位置の第2多孔板32がメッシュスクリーンではなくパンチング板で構成されている点である。
【0068】
つまり、第3の形態では、第1多孔板31および第2多孔板32がパンチング板で構成されており、第3多孔板33がメッシュスクリーンで構成されている。
【0069】
この第3の形態の気流整流部30Cにおいても、上記第1の形態および第2の形態で記載した各効果が同様に発揮される。
【0070】
次に、上記第1〜第3の形態の気流整流部30A〜30Cによる整流作用を証明するために行った比較実験について図5〜図8を参照して説明する。
【0071】
すなわち、本発明の第1の形態に対応する実施例1による気流整流部と、第2の形態に対応する実施例2による気流整流部と、第3の形態に対応する実施例3による気流整流部とを作製するとともに、従来技術に対応する比較例による気流整流部を作製し、それらの気流整流部の整流特性を比較した。
【0072】
実施例1の気流整流部は、上述の第1の形態の気流整流部30Aと基本的に同一構成であり、3つ全ての多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0073】
より詳細に、実施例1の試料aの気流整流部では、最上流位置の第1多孔板に20メッシュのメッシュスクリーンを用いており、中間位置の第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0074】
実施例1の試料bの気流整流部では、第1多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0075】
実施例1の試料cの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に20メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0076】
実施例1の試料dの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0077】
実施例1の試料eの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に80メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0078】
実施例1の試料fの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0079】
また、実施例2の気流整流部は、上述の第2の形態の気流整流部30Bと基本的に同一構成であり、最上流位置の第1多孔板がパンチング板で構成されているとともに、中間位置および最下流位置の各多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0080】
より詳細に、実施例2の試料gの気流整流部では、最上流位置の第1多孔板にパンチング板を用いており、中間位置の第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0081】
実施例2の試料hの気流整流部では、第1多孔板にパンチング板を用いており、第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0082】
また、実施例3の気流整流部は、上述の第3の形態の気流整流部30Cと基本的に同一構成であり、最上流位置および中間位置の各多孔板がパンチング板で構成されているとともに、最下流位置の第3多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0083】
より詳細に、実施例3の試料iの気流整流部では、最上流位置および中間位置の各多孔板にパンチング板を用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0084】
これに対して、比較例の試料pの気流整流部は、3つ全ての多孔板がパンチング板で構成されている。
【0085】
なお、20メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.5φであり、その開口率は37%である。また、60メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.14φであり、その開口率は45%である。また、100メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.1φであり、その開口率は37%である。
【0086】
また、パンチング板の通気用貫通孔の孔径は1.5mmであり、通気用貫通孔の配列ピッチは3mmであり、開口率は52.8%である。
【0087】
そして、上記ブロアによって気流整流部を通過した気流に対して、最下流位置の多孔板から下流側に50mmだけ隔てた平面上の20箇所での各風速を、超音波風速計を用いて測定した。
【0088】
そして、それらの測定結果から、気流整流部を通過した気流の平均風速、バラツキ、最大風速、最小風速を求め、当該気流整流部の整流特性を求めた。
【0089】
また、多孔板同士の間隔(ピッチ)を、この例では均等ピッチの25mm、50mm、75mm、100mmに変えて、それぞれにおいて上記測定を行って整流特性を求めた。
【0090】
以上のようにして求めた実施例1の気流整流部の整流特性を図5の表1に示し、実施例2の気流整流部の整流特性を図6の表2に示し、実施例3の気流整流部の整流特性を図7の表3に示し、比較例の気流整流部の整流特性を図8の表4に示す。
【0091】
表1〜表4を参照して、実施例1〜3の試料a〜iの各気流整流部における整流特性と比較例の試料pの気流整流部における整流特性とを比較すると、実施例1〜3の各気流整流部を通過した気流のバラツキが比較例の気流整流部を通過した気流のバラツキよりも小さいことがわかった。これにより、第1〜第3の形態の気流整流部30A〜20Cにおける最下流位置の第3多孔板33をメッシュスクリーンで構成したことによる整流作用向上の効果が確実に得られることが確認できた。
【0092】
特に、表3,表4を参照して、実施例3の試料iの気流整流部における整流特性と比較例の試料pの気流整流部における整流特性とを比較すると、実施例3の気流整流部を通過した気流のバラツキが比較例の気流整流部を通過した気流のバラツキよりも小さく、実施例3の気流整流部を通過した気流の最大風速(%)が比較例の気流整流部を通過した気流の最大風速(%)よりも小さく、さらに、実施例3の気流整流部を通過した気流の最小風速(%)が比較例の気流整流部を通過した気流の最小風速(%)よりも大きいことがわかった。すなわち、実施例3の気流整流部において全ての整流特性が向上したことがわかった。従って、気流整流部の最下流位置の第3多孔板をパンチング板からメッシュスクリーンに代えるだけで、装置の薄型化、軽量化、コストダウンを図りつつ、気流整流部の整流作用を格段に向上させるという効果が得られると推察される。
【0093】
また、表1を参照して、実施例1の6つの試料a〜fのうち試料dの気流整流部において比較的良好な整流特性が得られた。このことから、第2多孔板を構成するメッシュスクリーンの1インチ当りのメッシュ数が、その両側位置の各多孔板を構成するメッシュスクリーンの1インチ当りのメッシュ数よりも少ない場合、整流特性がより向上すると推察される。
【0094】
また、表1を参照して、実施例1の試料a〜fの気流整流部では、多孔板同士の間隔が50mm、75mm、100mmの場合において、最大風速および最小風速が平均風速に対してほぼ±20%以内となっている。また、表2,表3を参照して、実施例53の試料g〜iの気流整流部では、多孔板同士の間隔が25mm、50mm、75mm、100mmのいずれの場合においても、最大風速および最小風速が平均風速に対してほぼ±20%以内となっている。
【0095】
以上、この実施形態の気流整流部30は、次のように把握することもできる。
【0096】
すなわち、複数の通気用貫通孔を有し、気流に対して略直交する姿勢で当該気流の流路に配設される複数の多孔板を備え、気流が前記複数の多孔板を順に通過することで当該気流を整流するように構成された気流整流部であって、前記複数の多孔板は、互いに間隔をあけて平行に配設されており、最下流位置に配される多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなることを特徴とするものである。
【0097】
また、前記多孔板が、互いに間隔をあけて3つ配設されていることを特徴とするものである。
【0098】
また、3つ全ての多孔板がメッシュスクリーンからなることを特徴とするものである。
【0099】
また、中間位置に配されるメッシュスクリーンの所定長さ当りの通気用貫通孔の数が、その両側位置に配される各メッシュスクリーンの前記所定長さ当りの通気用貫通孔の数よりも少ないことを特徴とするものである。
【0100】
また、最上流位置に配される多孔板がパンチング板からなることを特徴とするものである。
【0101】
尚、上記実施形態では、気流整流部30を室連通孔41から所定距離だけ隔てた下方側に配設しているが、この形態のものに限らず、例えば室連通孔41に気流整流部30の一部又は全体を入れるようにして配設するようにしてもよく、適宜変更できる。以上が、気流整流部30の説明である。
【0102】
次に、図1に戻って、制御部7について説明する。この実施形態の制御部7は、二酸化塩素ガス発生装置8に設けられたバルブ81、エアシャワー室10に設けられた後述のガス濃度検出センサ74a及びガス送り路3aに設けられたダンパー15夫々と通信可能に接続されており、図9に示すようにガス送り込み装置制御部71と、加圧空気送り込み装置制御部72と、空気送り込み装置制御部73と、ガス濃度制御部74とを備えている。
【0103】
ガス送り込み装置制御部71は、エアシャワ−装置1に人または物品が入った場合に、エアシャワ−装置1に設けられた入退室検出センサ(図示せず)からの入室情報を受信し、その受信した入室情報に基づいて二酸化塩素ガス発生装置8のバルブ81(図1に図示)に開放信号を送信してバルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動開始信号を送信してガス送り用ブロア43を作動開始させる。
【0104】
このガス送り用ブロア43による除菌ガスの送り込み速度は、この実施形態では、0.3m/秒〜0.5m/秒に設定されている。なお、送り込み速度は、例えば0.1m/秒〜2.0m/秒の範囲が好ましい。0.1m/秒よりも遅くなると、所定量の除菌ガスを送り込む時間が長くなって効率が悪くなり、一方、2.0m/秒以上になると、衣服等に付着した微生物類を吹き散らす可能性が高くなる。ただし、送り込み速度は、上記範囲のものに限らず、適宜変更できる。
【0105】
また、ガス送り込み装置制御部71は、その作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、バルブ81に閉口信号を送信してバルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動停止信号を送信してガス送り用ブロア43を停止させる。この実施形態では、ガス送り込み装置作動設定時間は、20秒〜30秒程度とされている。なお、ガス送り込み装置作動設定時間は、20秒〜30秒に限らず、適宜変更できる。
【0106】
加圧空気送り込み装置制御部72は、上記ガス送り込み装置制御部71のガス送り用ブロア43への作動停止信号送信後、加圧空気送り用ブロア53に作動開始信号を送信して加圧空気送り用ブロア53を作動開始させる。
【0107】
また、加圧空気送り込み装置制御部72は、その作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、加圧空気送り用ブロア53に作動停止信号を送信して加圧空気送り用ブロア53を停止させる。この実施形態では、加圧空気送り込み装置作動設定時間は、25秒〜35秒とされている。なお、加圧空気送り込み装置作動設定時間は、25秒〜35秒に限らず、適宜変更できる。
【0108】
空気送り込み装置制御部73は、この実施形態では、上記ガス送り込み装置制御部71と同じ制御を行う。
【0109】
より詳しくは、上記加圧空気送り込み装置制御部72の加圧空気送り用ブロア53への作動停止信号送信後、バルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43を作動開始させる。また、そのガス送り用ブロア43への作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、バルブ81に閉口信号を送信してバルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動停止信号を送信してガス送り用ブロア43を停止させる。この空気送り込み装置作動設定時間も、20秒〜60秒程度である。
【0110】
ガス濃度制御部74は、エアシャワー室10のガス濃度を検出可能にエアシャワー室10に付設されたガス濃度検出センサ74a(図1に示す)が検出したエアシャワー室10のガス濃度情報を受信し、その受信したガス濃度情報に基づいてエアシャワー室10のガス濃度を制御する。
【0111】
この実施形態では、エアシャワー室10のガス濃度が0.01ppmよりも低くなると、二酸化塩素ガス発生装置8のバルブ81を、通常よりも大きく開けるように制御する。また、エアシャワー室10のガス濃度が0.03ppmを超えると上記バルブ81を完全に閉めるように制御するとともに、ガス送り路3aのダンパー15(図1に図示)を開けるように制御する。
【0112】
次に、このエアシャワ−装置1を用いたエアシャワ−室10の清浄方法について、図10、図11に基づいて説明する。
【0113】
制御部7は、エアシャワ−室10に、人或いは物品が入ったか否かを入退室検出センサの検出に基づいて判定する(図10、ステップS1)。
【0114】
ステップS1において、人或いは物品が入っていない場合は、入ってくるのを待ち、一方、人或いは物品が入った場合、バルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43を作動開始させ(図10、ステップS2)、エアシャワ−室10に除菌ガスを送り入れる。
【0115】
その際、除菌ガスを、加圧空気とは別に、0.3m/秒〜0.5m/秒程度の送り速度でエアシャワ−室10に送り込むため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した微生物類に飛び散らすことなく万遍にかけることができ、微生物類を効率よく死滅等させることができる。又、エアシャワー室内に浮遊する微生物類や塵埃を飛び散らすことなく効率よく床面に落として回収し易くできる。
【0116】
また、気流整流部30に除菌ガスを通してエアシャワ−室10に送り込むため、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室10に送り入れることができ、エアシャワー室10の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室10の微生物類を、より一層、効率よく死滅等させることができる。
【0117】
そして、死滅等させた塵埃や微生物類の一部を、グレーティング部13aから循環路3bに入れ、循環路3bからガス送り路3aに入れて第2HEAPフィルタ42に付着させることができる。
【0118】
その後、制御部7は、ガス送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図10、ステップS3)。このステップS3において、ガス送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、バルブ81を閉めさせ、ガス送り用ブロア43の作動を停止させるとともに、加圧空気送り用ブロア53を作動開始させる(図10、ステップS4)。
【0119】
これにより、噴出ノズル52からエアシャワー室10に加圧空気を送り込むことができる。そして、加圧空気によって、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類を衣服や物品から吹き飛ばしてその一部を下方の吸引用孔14から第1流路2a、2bに入れ、第1HEAPフィルタ51に付着させることができる。なお、第1流路2a、2bに入らない塵埃や微生物類は、グレーティング部13aから循環路3bに入り、後のガス送り用ブロア43の作動によって循環路3bからガス送り路3aに入って第2HEAPフィルタ42に付着する。
【0120】
その際、人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類は、既に除菌ガスによって死滅等しているため、効率よく吸引用孔14またはグレーティング部13aに入れることができる。
【0121】
次に、制御部7は、加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図10、ステップS5)。このステップS5において、加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、加圧空気送り用ブロア53の作動を停止させるとともに、再度バルブ81を開けさせ、ガス送り用ブロア43を作動開始させる(図11、ステップS6)。
【0122】
これにより、加圧空気によって微生物類や塵埃がエアシャワ−室10に飛び散っている場合でも、エアシャワ−室10の天井12から床面13のグレーティング部13aに空気を除菌ガスと共に送り込むことによって、微生物類や塵埃を床面に落とすことができ、エアシャワ−室10に飛び散った微生物類や塵埃がエアシャワ−室の側壁に静電気等によって付着するのを防止できる。従って、微生物類や塵埃を効率よく回収できる。
【0123】
その後、制御部7は、空気送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図11、ステップS7)。このステップS7において、空気送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、バルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア53の作動を停止させる(図11、ステップS8)。
【0124】
そして、制御部7は、エアシャワ−室10から、人或いは物品が出たか否かを入退室検出センサの検出に基づいて判定する(図11、ステップS9)。
【0125】
ステップS8において、人或いは物品がまだ出ていない場合は、出るのを待ち、一方、人或いは物品が出た場合は、上記ステップS1に制御を戻す。
【0126】
次に、上記エアシャワー装置1を用いて、空気送り用ブロア43(ガス送り用ブロア)によって気流整流部30を通して、空気(除菌ガスを含まない)を送った場合(以下、空気を気流整流部30を通して送った場合という)と、加圧空気送り用ブロア53によって噴出ノズル52から加圧空気加圧空気を送った場合(以下、加圧空気を送った場合という)との夫々の場合のダスト数(清浄度)と、菌数とを測定したので、以下に説明する。
【0127】
空気を気流整流部30を通して送った場合の清浄度は、予め、空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気におけるダスト数を10秒ごとに測定しておき、そして、空気を気流整流部30を通して、略1.5m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、10秒ごとにダスト数を測定することにより行った。又、空気を気流整流部30を通して送った後のダスト数の測定は、3回行った。その結果を図12に示す。尚、ダスト数の測定は、パーティクルカウンタ(吸引量1CF(28.3L)/min)を使用した。又、図12中において、粒径0.3μm以上の個数には、粒径0.5μm以上〜10.0μm以上のものを含み、粒径0.5μm以上の個数には、粒径1.0μm以上〜10.0μm以上のものを含む。同様に、粒径1.0μm以上の個数には、粒径5.0μm以上及び10.0μm以上のものを含み、粒径5.0μm以上の個数には、粒径10.0μm以上のものを含む。
【0128】
又、空気を気流整流部30を通して送った場合の菌数の測定については、予め、空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気における菌数を測定しておき、そして、空気を気流整流部30を通して、略1.5m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、所定時間帯にて30秒間のサンプリングを行うことにより3回実施した。尚、菌数の測定は、RCSエアーサンプラ(吸引量40L/min)を使用し、1回目は、10〜40秒間の時間帯のものをサンプリングし、2回目は、20〜50秒間の時間帯のものをサンプリングし、3回目は、30〜60秒間の時間帯のものをサンプリングした。その結果を図15に示す。
【0129】
加圧空気を送った場合の清浄度は、予め、加圧空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気におけるダスト数を10秒ごとに測定しておき、そして、加圧空気を、略28m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、10秒ごとにダスト数を測定した。その他は、上述の空気を送った場合と同条件で行った。その結果を図13に示す。
【0130】
又、加圧空気を送った場合の菌数の測定については、予め、加圧空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気における菌数を測定しておき、そして、加圧空気を噴出ノズル52から、略28m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、所定時間帯にて30秒間のサンプリングを行うことにより3回実施した。その他は、上述の空気を気流整流部30を通して送った場合と同条件で行った。その結果を図16に示す。
【0131】
結果は、清浄度については、例えば粒径0.5μm以上のダスト数を、空気を気流整流部30を通して送った場合と加圧空気を送った場合とを比べると、加圧空気を送った場合では、図13に示すように、60秒間、加圧空気を流しても50〜70個のダストが残った。これは、乱流のため、ダストが飛び散って排出されずに残っているものと考えられる。一方、空気を送った場合では、図12、図14に示すように、20秒でほとんどダストが計測されず、10秒以内でほとんどダストが排出されたものと考えられる。
【0132】
菌については、加圧空気を送った場合では、図16に示すように30秒〜60秒でも、菌が確認されたが(2個)、空気を気流整流部30を通して送った場合では、図15に示すように、菌が確認されなかった。
【0133】
以上から、加圧空気とは別に空気を気流整流部30を通して送ることで、エアシャワ−室に浮遊するダストや菌を速やかに除去できる。従って、加圧空気を送る前に、除菌ガスを含む空気を気流整流部30を通して送り、更には、加圧空気を送った後に、再度除菌ガスを含む空気又は除菌ガスを含まない空気を気流整流部30を通して送るのが好ましい。
【0134】
尚、上記実施形態では、加圧空気をエアシャワ−室10に送る際、除菌ガスを送り込まないようにしているが、同時に除菌ガスを送るようにしてもよく、適宜変更できる。
【0135】
また、上記実施形態では、加圧空気の送り込み後、エアシャワ−室10に空気を除菌ガスと共に送り込んでいるが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば加圧空気の送り込み後の空気の送り込みを省略したものでもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、その加圧空気の送り込み後の空気の送り込みを除菌ガスと共に送り込むようにしているが、例えば空気だけを単独で送るようにしてもよい。より詳しくは、例えば加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過した後、バルブを閉めたままにして、ガス送り用ブロアだけを作動開始させる。ただし、加圧空気の送り込み後に除菌ガスと共に空気を送り込むようにすれば、その後のエアーシャワー室10内を除菌状態に維持し易くでき、次に入ってきた人や物に付着した微生物類を殺菌し易くできる点で、上記実施形態のように加圧空気の送り込み後に空気を除菌ガスと共に送り込むのが好ましい。
【0137】
また、上記実施形態では、加圧空気の送り込み後に空気を除菌ガスと共に送るようにして第2流路3を第3流路として用いて兼備させているが、第2流路3とは別途に、空気送り込み装置を備えた第3流路を設けるようにして、加圧空気の送り込み後に空気だけを単独で送るようにし、空気送り込み装置制御部73で空気送り込み装置を制御するようにしてもよい。
【0138】
また、除菌ガスを送り込む際、同時に、消臭、又は芳香成分を含ませるようにしてもよく、適宜変更できる。
【0139】
また、上記実施形態では、室連通部4に気流整流部30を設けているが、気流整流部30を設けないものとしてもよく、適宜変更できる。ただし、気流整流部30を設けておけば、除菌ガスを送り込む際、および加圧空気の送り込み後に空気を送り込む際、気流整流部30によって気流の整流性(均一性および直進性)を向上させ得るため、除菌ガス或いは空気を、気流整流部30を設けない場合よりも均一性および直進性を維持しながら速い速度で送り込むことができ、除菌ガスおよび空気の送り込み時間を短くでき、その点で気流整流部30を設けておくのが好ましい。
【符号の説明】
【0140】
1 エアシャワー装置
2a 左第1流路
2b 右第1流路
3 第2流路(第3流路)
4 室連通部
7 制御部
8 二酸化塩素ガス発生装置(除菌ガス発生装置)
10 エアシャワー室
30 気流整流部
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等のコンタミネーションコントロールの行なわれている制限領域の出入り箇所、或いは微生物類等の持ち込みを制限する制限領域の出入り箇所等に好適に設置されるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばクリーンルーム等のコンタミネーションコントロール(清浄度管理)の行なわれている制限領域の出入り箇所に設置されるエアシャワ−装置が知られている。このエアシャワ−装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この特許文献1に開示のものは、クリーンルームへの出入路の外部側に設置される第1の扉と、クリーンルーム側に設置される第2の扉と、これら第1の扉及び第2の扉の間に形成される閉鎖空間であって壁面又は天井、壁面及び天井から浮遊微粒子類除去に有効な加圧空気を発生させるための加圧空気流形成手段並びに通過者の着衣または通過物品類から放出された塵埃類を含む排気流を回収するための排気吸引手段と、該排気吸引手段からの排出空気を浄化して前記加圧空気流形成手段に循環させる際に通過させる高機能(HEPA)フィルタと、を具備するエアシャワー装置において、前記閉鎖空間内に存在する浮遊微生物類を殺菌するための除菌ガスである二酸化塩素ガス(ClO2)を、エアシャワー室に加圧空気を送る際に共にエアシャワー室に送り込めるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−163108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示のものは、除菌ガスを加圧空気と共に、通常20〜30m/sの風速でエアシャワー室に送り込んで噴霧するため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類は、加圧空気に乱されてエアシャワー室内に飛び散ってしまい、微生物類を死滅させ難いとともに、塵埃や浮遊微生物類を効率よく回収し難い。
【0006】
本発明は、微生物類を効率良く除菌できるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアシャワ−室の清浄方法は、エアシャワ−室に、加圧空気を送り込むとともに、除菌機能を有する除菌ガスを送り込むようにしたエアシャワ−室の清浄方法であって、前記エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記加圧空気を流す第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって、前記加圧空気を前記エアシャワ−室に送り込む際の加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み、その後、前記加圧空気を、前記第1流路によって送り込むことを特徴とする方法である。ここに、「除菌機能を有する」とは、バクテリア、細菌、カビ等の微生物類を分解して人又は物から除去する機能を有するもの、或いは微生物類を殺菌する機能を有するものを含む。
【0008】
この構成によれば、エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、まず、加圧空気の送りを停止した状態で、除菌ガスをエアシャワ−室に送り込むため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した微生物類に除菌ガスを万遍なくかけることができ、微生物類を効率よく死滅等させることができる。又、エアシャワー室内に浮遊する微生物類や塵埃を飛び散らすことなく効率よく床面に落として回収し易くできる。
【0009】
そして、その後の加圧空気によって、衣服や物品に付着して死滅等させた微生物類や塵埃を衣服等から離すことができ、衣服や物品から微生物類や塵埃を確実に取り除くことができる。
【0010】
他の一態様では、上述のエアシャワ−室の清浄方法において、前記加圧空気の送り込み後、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記第1流路と分離するようにして設けられた第3流路によって、前記加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記エアシャワ−室にその天井側から床面側に空気を送り込むことができる。
【0011】
この構成によれば、加圧空気によって微生物類や塵埃がエアシャワ−室に飛び散った場合でも、エアシャワ−室の天井側から空気を送り込むことによって、床面に落とすことができ、エアシャワ−室に飛び散った微生物類や塵埃がエアシャワ−室の側壁に静電気等によって付着するのを防止できる。従って、微生物類や塵埃を効率よく回収できる。
【0012】
また、他の一態様では、上述のエアシャワ−室の清浄方法において、前記第2流路における前記エアシャワ−室との室連通部に設けられた気流整流部に、前記除菌ガスを通して前記エアシャワ−室に送り込むことができる。
【0013】
この構成によれば、気流整流部に除菌ガスを通してエアシャワ−室に送り込むため、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室に送り入れることができ、エアシャワー室の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室の微生物類を、より一層効率よく死滅させることができるとともに、回収し易くできる。
【0014】
本発明のエアシャワ−装置は、エアシャワ−室を備え、そのエアシャワ−室に加圧空気を第1流路によって送り込み可能とされているとともに、前記第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって除菌機能を有する除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み可能とされたエアシャワ−装置であって、前記第2流路は、前記エアシャワ−室と連通した室連通部と、前記室連通部に設けられ気流を整流させる気流整流部とを備え、前記気流整流部は、複数の通気用貫通孔を有し、前記室連通部に配設された複数の多孔板を備え、前記複数の多孔板は、前記第2流路に沿って、互いに間隔をあけて隣接するもの同士が互いに平行に配設され、最下流位置に配された多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなるように構成されていることを特徴とするエアシャワ−装置である。
【0015】
この構成によれば、気流整流部によって、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室に送り入れることができ、エアシャワー室の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室の微生物類を効率よく死滅させることができるとともに、回収し易くできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、微生物類を効率良く除菌できるエアシャワ−室の清浄方法及びエアシャワ−装置を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のエアシャワー装置の概略図である。
【図2】室連通部の要部の拡大断面図である。
【図3】気流整流部の分解斜視図である。
【図4】(a)は気流整流部のメッシュスクリーンによる整流作用を説明するための断面図であり、(b)は気流整流部のパンチング板による整流作用を説明するための断面図である。
【図5】実施例1による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図6】実施例2による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図7】実施例3による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図8】比較例による気流整流部の整流特性を示した図表である。
【図9】制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】清浄方法を示すフローチャートの一部である。
【図11】清浄方法を示すフローチャートの他の一部である。
【図12】除菌ガスを送った場合のダスト数の個数を表した図表である。
【図13】加圧空気を送った場合のダスト数の個数を表した図表である。
【図14】図12及び図13夫々における3回の測定の粒径0.5μm以上のダスト数の平均をグラフで表した図表である。
【図15】加圧空気を送らないで、除菌ガスを送った場合の菌数の個数を表した図表である。
【図16】加圧空気を送った場合の菌数の個数を表した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のエアシャワ−装置の概略図、図2は、図1のエアシャワ−装置の室連通部の要部の拡大断面図である。
【0019】
本発明のエアシャワ−装置1は、図1に示すようにエアシャワー室10と、加圧空気を流す第1流路2a、2bと、第1流路2a、2bと分離され除菌ガスを流す第2流路3(第3流路)と、エアシャワ−装置1を制御する制御部7とを備えている。
【0020】
エアシャワー室10は、前後の側壁及び左右の側壁11a、11bと、天井12と、床面13とによって閉鎖された閉鎖空間とされている。この実施形態では、床面13は、グレーティング部13aを備え、グレーティング部13aを介して塵埃や浮遊物類を通せるようになっている。
【0021】
第1流路は、この実施形態では、エアシャワー室10の左側に配設された左第1流路2aと、エアシャワー室10の右側に配設された右第1流路2bとの2つを備えている。これらの左右の第1流路2a、2bは、ほぼ左右対称に配設され、ほぼ同一構成を採っている。従って、以下に、左第1流路2aについてのみ説明し、右第1流路2bの説明を省略する。
【0022】
左第1流路2aは、塵埃や浮遊物類を通さない第1HEAPフィルタ51を備え、塵埃や浮遊物類を、この第1HEAPフィルタ51で回収できるようになっている。
【0023】
又、左第1流路2aは、その一端側に、加圧空気(エアジェット)を形成する複数の噴出ノズル52を備えている。これらの噴出ノズル52は、エアシャワー室10の左側壁11aに、加圧空気をエアシャワー室10内に噴出可能に取り付けられており、これらの噴出ノズル52を介して左第1流路2aとエアシャワー室10とが連通されている。
【0024】
また、左第1流路2aは、その他端側に設置された加圧空気送り込み装置としての加圧空気送り用ブロア53を備え、この加圧空気送り用ブロア53によってエアが左第1流路2aを通ってエアシャワー室10内に送り込まれるようになっている。この実施形態では、加圧空気送り用ブロア53によって噴出ノズル52から加圧空気を20m/秒〜30m/秒の速さでエアシャワー室10内に送り込み得るようになっている。
【0025】
また、この実施形態では、加圧空気送り用ブロア53の側方におけるエアシャワー室10の左側壁11aには、吸引用孔14が設けられている。そして、加圧空気送り用ブロア53は、エアシャワー室10内のエアを吸引用孔14から吸引してエアを左第1流路2aに沿って第1HEAPフィルタ51側に送り、その第1HEAPフィルタ51を通して噴出ノズル52からエアシャワー室10内に噴射させる。
【0026】
なお、この加圧空気送り込み装置は、加圧空気送り用ブロア53から構成されるものに限らず、例えばターボファン、軸流ファン、FFU(ファンフィルタユニット)のフィルタを省略したもの、あるいは、シロッコファン等でもよく、適宜変更できる。
【0027】
第2流路3は、この実施形態では、除菌ガスを空気と共に流してエアシャワー室10に送り込むようになっており、エアシャワー室10の上側の部分に配設されたガス送り路3aと、エアシャワー室10の下側から左第1流路2aの左側方にかけての部分に配設された循環路3bとを備えている。
【0028】
ガス送り路3aは、その下流側となる一端側に、エアシャワー室10と連通する室連通部4を備えている。なお、室連通部4については後述する。
【0029】
また、ガス送り路3aは、その上流側となる他端側に、ガス送り込み装置(空気送り込み装置)としてのガス送り用ブロア43(空気送り用ブロア)を備えている。この実施形態では、ガス送り用ブロア43によって、上記加圧空気送り用ブロア53によって加圧空気をエアシャワ−室10に送り込む加圧空気送り速度よりも遅い送り速度でエアシャワー室10に除菌ガスを空気と共に送り込むようになっている。
【0030】
なお、このガス送り込み装置も、ブロア43から構成されるものに限らず、例えばターボファン、軸流ファン、FFU(ファンフィルタユニット)のフィルタを省略したもの、あるいは、シロッコファン等でもよく、適宜変更できる。
【0031】
また、ガス送り路3aにおけるガス送り用ブロア43と室連通部4との間には、第2第2HEAPフィルタ42を備え、塵埃や浮遊物類を、この第2HEAPフィルタ42で回収できるようになっている。なお、この第2HEAPフィルタ42は、この実施形態では、上記第1流路2aの第1HEAPフィルタ51と同構成を採るものが用いられているが、第1HEAPフィルタ51と異なるものでもよい。
【0032】
循環路3bは、その下流側となる一端側がガス送り路3aに連通され、その他端側がエアシャワー室10の床面13のグレーティング部13aに連通されており、グレーティング部13aからエアシャワー室10外に出た除菌ガスを再度ガス送り路3aに流して循環させることができるように構成されている。
【0033】
また、このように構成された第2流路3におけるガス送り用ブロア43の近傍に、除菌ガス発生装置としての二酸化塩素ガス発生装置8が連結されており、第2流路3に二酸化塩素ガス発生装置8から発生した二酸化塩素ガスを流すことができるようになっている。
【0034】
この二酸化塩素ガス発生装置8から発生する二酸化塩素ガスは、除菌ガスとしてのもので、二酸化塩素分子による特異な酸化作用によって各種のバクテリア、細菌、カビ等の微生物類を殺菌、消毒、脱臭等を果たす機能を有する。この実施形態では、二酸化塩素ガス発生装置8として、市販されているリスパス(商品名;大幸薬品株式会社製)が用いられている。
【0035】
尚、除菌ガスは、二酸化塩素ガスから構成される形態のものに限らず、バクテリア、細菌、カビ等を分解除去し、または殺菌等し得るものであればよく、例えばオゾンガス、あるいは、正イオンと負イオンとからなるイオン等でもよい。従って、除菌ガス発生装置として、例えばオゾンガスを発生するオゾンガス発生装置、または正イオンと負イオンとを発生させるイオン発生装置等を用いることができる。
【0036】
ここで、室連通部4について、図2〜図8に基づいて説明する。この室連通部4は、図2に示すように、エアシャワー室10と連通するようにエアシャワー室10の天井12に穿設された室連通孔41と、室連通孔41に付設された気流整流部30とを備えている。気流整流部30は、気流の整流性(均一性および直進性)を向上させるためのもので、この実施形態では、3つの多孔板31〜33、すなわち、第2流路の最上流位置に配される第1多孔板31と、流路の中間位置に配される第2多孔板32と、流路の最下流位置に配される第3多孔板33とを有している。
【0037】
3つの多孔板31〜33は、室連通孔41から除菌ガスと共に又は単独で流れてくる空気の流れ(以下、「気流」)に対して略直交する面に沿って拡がるような姿勢で互いに平行に、かつ、当該多孔板31〜33の配設方向に互いに所定の間隔を空けて設けられている。この多孔板同士の間隔は、気流整流部30の厚みに寄与するものであるので、装置の薄型化という観点からは、できる限り小さい値であることが好ましい。しかし、一方で、当該間隔が狭過ぎると、多孔板に挟まれた空間を空気が横方向(多孔板の拡がる方向)に移動し難くなり、その結果、気流の均一性が低下することになる。従って、多孔板同士の間隔は、例えば55mm〜155mm程度に設定されるのが好ましい。
【0038】
各多孔板31〜33は、それぞれ、複数の通気用貫通孔31a〜33aを有している。これら複数の通気用貫通孔31a(32a,33a)は、多孔板31(3233)の全面に亘って所定ピッチで配列するようにして設けられており、互いに同一形状に形成されている。
【0039】
以下、図3を参照して、この実施形態の気流整流部30の詳細な構成について、さらに説明する。
【0040】
気流整流部30は、図3に示すように、直方体の箱形状のケーシング121と、枠体122と、図略の押えプレートと、上述した3つの多孔板31〜33とで構成されている。
【0041】
ケーシング121の気流の上流側を向く面(図3では上面)には上流側開口121aが形成されており、ケーシング121の気流の下流側を向く面(図3では下面)には下流側開口121bが形成されている。また、ケーシング121の側面の上流側開口121a寄りの部分には、上記枠体122を挿入するための挿入用開口121cが設けられている。
【0042】
また、ケーシング121の互いに対向する内側面には、挿入用開口121cから挿入された枠体122を当該ケーシング121内で支持するための一対のレール121d(図3では一方のレールのみを図示している。)が設けられている。
【0043】
枠体122は、断面コの字状に形成されている。この枠体122の気流の上流側を向く面(図3では上面)には上流側開口122aが形成されており、枠体122の気流の下流側を向く面(図3では下面)には下流側開口122bが形成されている。
【0044】
多孔板31〜33には、それぞれ、当該多孔板31〜33を囲む補強枠123〜125が取り付けられている。
【0045】
第1多孔板31は、補強枠123が枠体122の上流側開口122aを有する上面にビス等によって固定されることによって枠体122の上面に取り付けられる。また、第2多孔板32は、補強枠124が枠体122の下流側開口122bを有する下面にビス等によって固定されることによって枠体122の下面に取り付けられる。
【0046】
そして、枠体122が挿入用開口121cからケーシング121内に挿入されることにより、ケーシング121の内部空間の上部および中央部に多孔板31,32がそれぞれセットされる。なお、第1多孔板31は、ケーシング121の上流側開口121aを通して外部に表出している。
【0047】
また、第3多孔板33は、補強枠125がケーシング121の下流側開口121bを有する下面にビス等によって固定されることによってケーシング121の下面に取り付けられる。
【0048】
また、図略の押えプレートは、挿入用開口121cを塞ぐようにケーシング121の側面に取り付けられるものであり、枠体122がケーシング121から抜け落ちるのを防ぐために設けられている。
【0049】
なお、補強枠123〜125を省略して、多孔板31〜33を単体でケーシング121あるいは枠体122に取り付けることもできる。
【0050】
また、ケーシング121や枠体122の厚み方向の寸法(図2では上下方向の寸法)を変えることで、多孔板31〜33同士の間隔を調整することが可能である。
【0051】
このように構成された気流整流部30を、多孔板31〜33が室連通孔41から流れてくる気流(以下、この気流の流れる方向を「気流方向」と呼ぶ。)に対して略直交するような姿勢で気流方向の下流側に設けることで、室連通孔41から流れてくる気流が3つの多孔板31〜33の各通気用貫通孔31a〜33aを順に通過し、これによって当該気流が整流される。
【0052】
次に、上述した気流整流部30を基本構成とする第1の形態による気流整流部30Aについて説明する。すなわち、この第1の形態の気流整流部30Aでは、3つ全ての多孔板31〜33がメッシュスクリーンで構成されている。なお、本願発明では、多孔板を、厚み方向に貫通する複数の通気用貫通孔を有する板状体と定義しており、メッシュスクリーン、パンチング板、ハニカムコア等の総称として用いている。
【0053】
ここでのメッシュスクリーン(メッシュシートとも言う)としては、例えば、鋼鉄製の線材を平織や綾織等で平面的に編み込んで形成されるもの、あるいは、樹脂を網目状となるように成形することで形成されるものが挙げられ、先の背景技術で述べたハニカムコアやパンチング板とは異なるものである。このようなメッシュスクリーンでは、1インチ当りのメッシュ数(通気用貫通孔の数)を示す規格化された数値が知られており、この数値によってメッシュスクリーンの網目の細かさが表される。例えば、100メッシュとは、1インチ当りのメッシュの数が100であることを表しており、当該100メッシュは20メッシュに比べて網目が細かいことを意味する。なお、上記数値が異なれば、一般に、
メッシュスクリーンを構成する線材の径や、オープニング、開口率、網厚等は異なる。
【0054】
上記第1の形態の気流整流部30Aによれば、当該装置30Aの薄型化、軽量化、コストダウンを実現することができるとともに、気流を十分に整流することができる。
【0055】
つまり、この気流整流部30Aでは、分厚く嵩張り、低強度を補うための補強によって重く、さらに高コストのハニカムコアを使用していないため、ハニカムコアを使用する場合に比べて、当該装置30Aの薄型化、軽量化、コストダウンが実現される。
【0056】
また、最下流位置の第3多孔板33をメッシュスクリーンで構成しているため、例えばこの位置の多孔板をパンチング板で構成する場合に比べて、気流に対してより高い整流作用が得られる。このようなメッシュスクリーンの整流作用の優位性については、後述する比較実験の結果からも明らかであるが、本願発明者はその整流の仕組みについて以下のように推察している。
【0057】
すなわち、図4(a)に示すように、断面略円形の線材(いわゆる丸線)を編み込んで形成される一般的なメッシュスクリーンからなる多孔板133では、その通気抵抗部133bの断面形状が、角の取れたいわゆる面取り形状となっている。従って、このようなメッシュスクリーンからなる多孔板133の通気用貫通孔133aの入口側部位および出口側部位は、ともにその開口面積が気流方向で徐々に小さく、あるいは大きくなるような略錘形状となっている。このため、通気用貫通孔133aを気流が通過することによって通気抵抗部133bの直下流位置に形成される渦流r1が比較的小さく、通気用貫通孔133aを通過した気流f1の乱れ(乱流)度合いは小さい。なお、樹脂成形で形成されるメッシュスクリーンにおいても、成形型の形状を工夫するだけで、容易に通気抵抗部の断面形状を上記面取り形状とすることができる。
【0058】
一方、図4(b)に示すように、プレス加工により形成される一般的なパンチング板からなる多孔板233では、その通気抵抗部233bの断面形状が、面取りされていない角のある矩形状となっている。従って、このようなパンチング板からなる多孔板233の通気用貫通孔233aの入口側部位および出口側部位は、ともにその開口面積が気流方向で急激に変化するような形状となっている。このため、通気用貫通孔233aを気流が通過することによって通気抵抗部233bの直下流位置に形成される渦流r2が比較的大きく、通気用貫通孔233aを通過した気流f2の乱れ度合いは大きい。
【0059】
以上より、メッシュスクリーンからなる多孔板133では、通気用貫通孔133aを通過する気流に対する整流作用(特に直進性向上作用)がより発揮され、当該気流が十分に整流される。このように、本形態の気流整流部30Aでは、最下流位置の第3多孔板33により気流が十分に整流されるので、全体では十分に高い整流作用が得られる。
【0060】
また、第1の形態の気流整流部30Aでは、多孔板の数を3つにすることにより、気流を十分に整流することができるとともに、装置が分厚く嵩張るのを抑えることができる。つまり、気流に対する十分な整流作用の確保と装置の薄型化とが両立される。
【0061】
また、第1の形態の気流整流部30Aでは、3つ全ての多孔板をメッシュスクリーンで構成することによって、メッシュスクリーンはパンチング板やハニカムコアに比べて軽量であるので、当該装置のさらなる軽量化を図ることができる。また、メッシュスクリーンはパンチング板に比べて圧力損失が小さいため、所定の風速を得るための送風機11の駆動力が小さくて済む。これにより、整流された気流を効率良く生成することができる。
【0062】
また、第1の形態の気流整流部30Aを備えたものによれば、室連通孔41からの気流が気流整流部30Aによって十分に整流されるようになるため、十分に整流された気流をエアシャワー室10に供給することができる。
【0063】
次に、上記気流整流部30を基本構成とする第2の形態による気流整流部30Bについて説明する。すなわち、この第2の形態の気流整流部30Bの上記第1の形態の気流整流部30Aと異なる点は、最上流位置の第1多孔板31がメッシュスクリーンではなくパンチング板で構成されている点である。
【0064】
つまり、第2の形態では、第1多孔板31がパンチング板で構成されており、第2多孔板32および第3多孔板33がメッシュスクリーンで構成されている。
【0065】
この第2の形態の気流整流部30Bでは、上記のように、最上流位置の第1多孔板31をパンチング板により構成することで、当該装置30Bを通過する気流に対して初期の段階で第1多孔板31によって大きな抵抗を付与し、これによって当該気流の均一性を向上させることができるので、最終的に気流の整流性をより向上させることができる。
【0066】
なお、第2の形態の気流整流部30Bにおけるその他の効果は、上記第1の形態で説明したものと同様である。
【0067】
次に、上記気流整流部30を基本構成とする第3の形態による気流整流部30Cについて説明する。すなわち、この第3の形態の気流整流部30Cの上記第2の形態30Bと異なる点は、中間位置の第2多孔板32がメッシュスクリーンではなくパンチング板で構成されている点である。
【0068】
つまり、第3の形態では、第1多孔板31および第2多孔板32がパンチング板で構成されており、第3多孔板33がメッシュスクリーンで構成されている。
【0069】
この第3の形態の気流整流部30Cにおいても、上記第1の形態および第2の形態で記載した各効果が同様に発揮される。
【0070】
次に、上記第1〜第3の形態の気流整流部30A〜30Cによる整流作用を証明するために行った比較実験について図5〜図8を参照して説明する。
【0071】
すなわち、本発明の第1の形態に対応する実施例1による気流整流部と、第2の形態に対応する実施例2による気流整流部と、第3の形態に対応する実施例3による気流整流部とを作製するとともに、従来技術に対応する比較例による気流整流部を作製し、それらの気流整流部の整流特性を比較した。
【0072】
実施例1の気流整流部は、上述の第1の形態の気流整流部30Aと基本的に同一構成であり、3つ全ての多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0073】
より詳細に、実施例1の試料aの気流整流部では、最上流位置の第1多孔板に20メッシュのメッシュスクリーンを用いており、中間位置の第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0074】
実施例1の試料bの気流整流部では、第1多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0075】
実施例1の試料cの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に20メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0076】
実施例1の試料dの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0077】
実施例1の試料eの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に80メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0078】
実施例1の試料fの気流整流部では、第1多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0079】
また、実施例2の気流整流部は、上述の第2の形態の気流整流部30Bと基本的に同一構成であり、最上流位置の第1多孔板がパンチング板で構成されているとともに、中間位置および最下流位置の各多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0080】
より詳細に、実施例2の試料gの気流整流部では、最上流位置の第1多孔板にパンチング板を用いており、中間位置の第2多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0081】
実施例2の試料hの気流整流部では、第1多孔板にパンチング板を用いており、第2多孔板に60メッシュのメッシュスクリーンを用いており、第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0082】
また、実施例3の気流整流部は、上述の第3の形態の気流整流部30Cと基本的に同一構成であり、最上流位置および中間位置の各多孔板がパンチング板で構成されているとともに、最下流位置の第3多孔板がメッシュスクリーンで構成されている。
【0083】
より詳細に、実施例3の試料iの気流整流部では、最上流位置および中間位置の各多孔板にパンチング板を用いており、最下流位置の第3多孔板に100メッシュのメッシュスクリーンを用いている。
【0084】
これに対して、比較例の試料pの気流整流部は、3つ全ての多孔板がパンチング板で構成されている。
【0085】
なお、20メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.5φであり、その開口率は37%である。また、60メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.14φであり、その開口率は45%である。また、100メッシュのメッシュスクリーンの線材径は0.1φであり、その開口率は37%である。
【0086】
また、パンチング板の通気用貫通孔の孔径は1.5mmであり、通気用貫通孔の配列ピッチは3mmであり、開口率は52.8%である。
【0087】
そして、上記ブロアによって気流整流部を通過した気流に対して、最下流位置の多孔板から下流側に50mmだけ隔てた平面上の20箇所での各風速を、超音波風速計を用いて測定した。
【0088】
そして、それらの測定結果から、気流整流部を通過した気流の平均風速、バラツキ、最大風速、最小風速を求め、当該気流整流部の整流特性を求めた。
【0089】
また、多孔板同士の間隔(ピッチ)を、この例では均等ピッチの25mm、50mm、75mm、100mmに変えて、それぞれにおいて上記測定を行って整流特性を求めた。
【0090】
以上のようにして求めた実施例1の気流整流部の整流特性を図5の表1に示し、実施例2の気流整流部の整流特性を図6の表2に示し、実施例3の気流整流部の整流特性を図7の表3に示し、比較例の気流整流部の整流特性を図8の表4に示す。
【0091】
表1〜表4を参照して、実施例1〜3の試料a〜iの各気流整流部における整流特性と比較例の試料pの気流整流部における整流特性とを比較すると、実施例1〜3の各気流整流部を通過した気流のバラツキが比較例の気流整流部を通過した気流のバラツキよりも小さいことがわかった。これにより、第1〜第3の形態の気流整流部30A〜20Cにおける最下流位置の第3多孔板33をメッシュスクリーンで構成したことによる整流作用向上の効果が確実に得られることが確認できた。
【0092】
特に、表3,表4を参照して、実施例3の試料iの気流整流部における整流特性と比較例の試料pの気流整流部における整流特性とを比較すると、実施例3の気流整流部を通過した気流のバラツキが比較例の気流整流部を通過した気流のバラツキよりも小さく、実施例3の気流整流部を通過した気流の最大風速(%)が比較例の気流整流部を通過した気流の最大風速(%)よりも小さく、さらに、実施例3の気流整流部を通過した気流の最小風速(%)が比較例の気流整流部を通過した気流の最小風速(%)よりも大きいことがわかった。すなわち、実施例3の気流整流部において全ての整流特性が向上したことがわかった。従って、気流整流部の最下流位置の第3多孔板をパンチング板からメッシュスクリーンに代えるだけで、装置の薄型化、軽量化、コストダウンを図りつつ、気流整流部の整流作用を格段に向上させるという効果が得られると推察される。
【0093】
また、表1を参照して、実施例1の6つの試料a〜fのうち試料dの気流整流部において比較的良好な整流特性が得られた。このことから、第2多孔板を構成するメッシュスクリーンの1インチ当りのメッシュ数が、その両側位置の各多孔板を構成するメッシュスクリーンの1インチ当りのメッシュ数よりも少ない場合、整流特性がより向上すると推察される。
【0094】
また、表1を参照して、実施例1の試料a〜fの気流整流部では、多孔板同士の間隔が50mm、75mm、100mmの場合において、最大風速および最小風速が平均風速に対してほぼ±20%以内となっている。また、表2,表3を参照して、実施例53の試料g〜iの気流整流部では、多孔板同士の間隔が25mm、50mm、75mm、100mmのいずれの場合においても、最大風速および最小風速が平均風速に対してほぼ±20%以内となっている。
【0095】
以上、この実施形態の気流整流部30は、次のように把握することもできる。
【0096】
すなわち、複数の通気用貫通孔を有し、気流に対して略直交する姿勢で当該気流の流路に配設される複数の多孔板を備え、気流が前記複数の多孔板を順に通過することで当該気流を整流するように構成された気流整流部であって、前記複数の多孔板は、互いに間隔をあけて平行に配設されており、最下流位置に配される多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなることを特徴とするものである。
【0097】
また、前記多孔板が、互いに間隔をあけて3つ配設されていることを特徴とするものである。
【0098】
また、3つ全ての多孔板がメッシュスクリーンからなることを特徴とするものである。
【0099】
また、中間位置に配されるメッシュスクリーンの所定長さ当りの通気用貫通孔の数が、その両側位置に配される各メッシュスクリーンの前記所定長さ当りの通気用貫通孔の数よりも少ないことを特徴とするものである。
【0100】
また、最上流位置に配される多孔板がパンチング板からなることを特徴とするものである。
【0101】
尚、上記実施形態では、気流整流部30を室連通孔41から所定距離だけ隔てた下方側に配設しているが、この形態のものに限らず、例えば室連通孔41に気流整流部30の一部又は全体を入れるようにして配設するようにしてもよく、適宜変更できる。以上が、気流整流部30の説明である。
【0102】
次に、図1に戻って、制御部7について説明する。この実施形態の制御部7は、二酸化塩素ガス発生装置8に設けられたバルブ81、エアシャワー室10に設けられた後述のガス濃度検出センサ74a及びガス送り路3aに設けられたダンパー15夫々と通信可能に接続されており、図9に示すようにガス送り込み装置制御部71と、加圧空気送り込み装置制御部72と、空気送り込み装置制御部73と、ガス濃度制御部74とを備えている。
【0103】
ガス送り込み装置制御部71は、エアシャワ−装置1に人または物品が入った場合に、エアシャワ−装置1に設けられた入退室検出センサ(図示せず)からの入室情報を受信し、その受信した入室情報に基づいて二酸化塩素ガス発生装置8のバルブ81(図1に図示)に開放信号を送信してバルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動開始信号を送信してガス送り用ブロア43を作動開始させる。
【0104】
このガス送り用ブロア43による除菌ガスの送り込み速度は、この実施形態では、0.3m/秒〜0.5m/秒に設定されている。なお、送り込み速度は、例えば0.1m/秒〜2.0m/秒の範囲が好ましい。0.1m/秒よりも遅くなると、所定量の除菌ガスを送り込む時間が長くなって効率が悪くなり、一方、2.0m/秒以上になると、衣服等に付着した微生物類を吹き散らす可能性が高くなる。ただし、送り込み速度は、上記範囲のものに限らず、適宜変更できる。
【0105】
また、ガス送り込み装置制御部71は、その作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、バルブ81に閉口信号を送信してバルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動停止信号を送信してガス送り用ブロア43を停止させる。この実施形態では、ガス送り込み装置作動設定時間は、20秒〜30秒程度とされている。なお、ガス送り込み装置作動設定時間は、20秒〜30秒に限らず、適宜変更できる。
【0106】
加圧空気送り込み装置制御部72は、上記ガス送り込み装置制御部71のガス送り用ブロア43への作動停止信号送信後、加圧空気送り用ブロア53に作動開始信号を送信して加圧空気送り用ブロア53を作動開始させる。
【0107】
また、加圧空気送り込み装置制御部72は、その作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、加圧空気送り用ブロア53に作動停止信号を送信して加圧空気送り用ブロア53を停止させる。この実施形態では、加圧空気送り込み装置作動設定時間は、25秒〜35秒とされている。なお、加圧空気送り込み装置作動設定時間は、25秒〜35秒に限らず、適宜変更できる。
【0108】
空気送り込み装置制御部73は、この実施形態では、上記ガス送り込み装置制御部71と同じ制御を行う。
【0109】
より詳しくは、上記加圧空気送り込み装置制御部72の加圧空気送り用ブロア53への作動停止信号送信後、バルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43を作動開始させる。また、そのガス送り用ブロア43への作動開始信号の送信から設定時間が経過した場合に、バルブ81に閉口信号を送信してバルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア43に作動停止信号を送信してガス送り用ブロア43を停止させる。この空気送り込み装置作動設定時間も、20秒〜60秒程度である。
【0110】
ガス濃度制御部74は、エアシャワー室10のガス濃度を検出可能にエアシャワー室10に付設されたガス濃度検出センサ74a(図1に示す)が検出したエアシャワー室10のガス濃度情報を受信し、その受信したガス濃度情報に基づいてエアシャワー室10のガス濃度を制御する。
【0111】
この実施形態では、エアシャワー室10のガス濃度が0.01ppmよりも低くなると、二酸化塩素ガス発生装置8のバルブ81を、通常よりも大きく開けるように制御する。また、エアシャワー室10のガス濃度が0.03ppmを超えると上記バルブ81を完全に閉めるように制御するとともに、ガス送り路3aのダンパー15(図1に図示)を開けるように制御する。
【0112】
次に、このエアシャワ−装置1を用いたエアシャワ−室10の清浄方法について、図10、図11に基づいて説明する。
【0113】
制御部7は、エアシャワ−室10に、人或いは物品が入ったか否かを入退室検出センサの検出に基づいて判定する(図10、ステップS1)。
【0114】
ステップS1において、人或いは物品が入っていない場合は、入ってくるのを待ち、一方、人或いは物品が入った場合、バルブ81を開けさせるとともに、ガス送り用ブロア43を作動開始させ(図10、ステップS2)、エアシャワ−室10に除菌ガスを送り入れる。
【0115】
その際、除菌ガスを、加圧空気とは別に、0.3m/秒〜0.5m/秒程度の送り速度でエアシャワ−室10に送り込むため、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した微生物類に飛び散らすことなく万遍にかけることができ、微生物類を効率よく死滅等させることができる。又、エアシャワー室内に浮遊する微生物類や塵埃を飛び散らすことなく効率よく床面に落として回収し易くできる。
【0116】
また、気流整流部30に除菌ガスを通してエアシャワ−室10に送り込むため、除菌ガスを十分に整流しながらエアシャワ−室10に送り入れることができ、エアシャワー室10の全体に万遍なく除菌ガスを送り入れることができる。従って、エアシャワー室10の微生物類を、より一層、効率よく死滅等させることができる。
【0117】
そして、死滅等させた塵埃や微生物類の一部を、グレーティング部13aから循環路3bに入れ、循環路3bからガス送り路3aに入れて第2HEAPフィルタ42に付着させることができる。
【0118】
その後、制御部7は、ガス送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図10、ステップS3)。このステップS3において、ガス送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、バルブ81を閉めさせ、ガス送り用ブロア43の作動を停止させるとともに、加圧空気送り用ブロア53を作動開始させる(図10、ステップS4)。
【0119】
これにより、噴出ノズル52からエアシャワー室10に加圧空気を送り込むことができる。そして、加圧空気によって、エアシャワー室内の人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類を衣服や物品から吹き飛ばしてその一部を下方の吸引用孔14から第1流路2a、2bに入れ、第1HEAPフィルタ51に付着させることができる。なお、第1流路2a、2bに入らない塵埃や微生物類は、グレーティング部13aから循環路3bに入り、後のガス送り用ブロア43の作動によって循環路3bからガス送り路3aに入って第2HEAPフィルタ42に付着する。
【0120】
その際、人の衣服や物品に付着した塵埃や微生物類は、既に除菌ガスによって死滅等しているため、効率よく吸引用孔14またはグレーティング部13aに入れることができる。
【0121】
次に、制御部7は、加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図10、ステップS5)。このステップS5において、加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、加圧空気送り用ブロア53の作動を停止させるとともに、再度バルブ81を開けさせ、ガス送り用ブロア43を作動開始させる(図11、ステップS6)。
【0122】
これにより、加圧空気によって微生物類や塵埃がエアシャワ−室10に飛び散っている場合でも、エアシャワ−室10の天井12から床面13のグレーティング部13aに空気を除菌ガスと共に送り込むことによって、微生物類や塵埃を床面に落とすことができ、エアシャワ−室10に飛び散った微生物類や塵埃がエアシャワ−室の側壁に静電気等によって付着するのを防止できる。従って、微生物類や塵埃を効率よく回収できる。
【0123】
その後、制御部7は、空気送り込み装置作動設定時間が経過したか否かを判定する(図11、ステップS7)。このステップS7において、空気送り込み装置作動設定時間が経過していない場合は、経過するのを待ち、経過した場合は、バルブ81を閉めさせるとともに、ガス送り用ブロア53の作動を停止させる(図11、ステップS8)。
【0124】
そして、制御部7は、エアシャワ−室10から、人或いは物品が出たか否かを入退室検出センサの検出に基づいて判定する(図11、ステップS9)。
【0125】
ステップS8において、人或いは物品がまだ出ていない場合は、出るのを待ち、一方、人或いは物品が出た場合は、上記ステップS1に制御を戻す。
【0126】
次に、上記エアシャワー装置1を用いて、空気送り用ブロア43(ガス送り用ブロア)によって気流整流部30を通して、空気(除菌ガスを含まない)を送った場合(以下、空気を気流整流部30を通して送った場合という)と、加圧空気送り用ブロア53によって噴出ノズル52から加圧空気加圧空気を送った場合(以下、加圧空気を送った場合という)との夫々の場合のダスト数(清浄度)と、菌数とを測定したので、以下に説明する。
【0127】
空気を気流整流部30を通して送った場合の清浄度は、予め、空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気におけるダスト数を10秒ごとに測定しておき、そして、空気を気流整流部30を通して、略1.5m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、10秒ごとにダスト数を測定することにより行った。又、空気を気流整流部30を通して送った後のダスト数の測定は、3回行った。その結果を図12に示す。尚、ダスト数の測定は、パーティクルカウンタ(吸引量1CF(28.3L)/min)を使用した。又、図12中において、粒径0.3μm以上の個数には、粒径0.5μm以上〜10.0μm以上のものを含み、粒径0.5μm以上の個数には、粒径1.0μm以上〜10.0μm以上のものを含む。同様に、粒径1.0μm以上の個数には、粒径5.0μm以上及び10.0μm以上のものを含み、粒径5.0μm以上の個数には、粒径10.0μm以上のものを含む。
【0128】
又、空気を気流整流部30を通して送った場合の菌数の測定については、予め、空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気における菌数を測定しておき、そして、空気を気流整流部30を通して、略1.5m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、所定時間帯にて30秒間のサンプリングを行うことにより3回実施した。尚、菌数の測定は、RCSエアーサンプラ(吸引量40L/min)を使用し、1回目は、10〜40秒間の時間帯のものをサンプリングし、2回目は、20〜50秒間の時間帯のものをサンプリングし、3回目は、30〜60秒間の時間帯のものをサンプリングした。その結果を図15に示す。
【0129】
加圧空気を送った場合の清浄度は、予め、加圧空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気におけるダスト数を10秒ごとに測定しておき、そして、加圧空気を、略28m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、10秒ごとにダスト数を測定した。その他は、上述の空気を送った場合と同条件で行った。その結果を図13に示す。
【0130】
又、加圧空気を送った場合の菌数の測定については、予め、加圧空気を送る前のエアシャワ−室の雰囲気における菌数を測定しておき、そして、加圧空気を噴出ノズル52から、略28m/秒で60秒間、エアシャワ−室に送り、所定時間帯にて30秒間のサンプリングを行うことにより3回実施した。その他は、上述の空気を気流整流部30を通して送った場合と同条件で行った。その結果を図16に示す。
【0131】
結果は、清浄度については、例えば粒径0.5μm以上のダスト数を、空気を気流整流部30を通して送った場合と加圧空気を送った場合とを比べると、加圧空気を送った場合では、図13に示すように、60秒間、加圧空気を流しても50〜70個のダストが残った。これは、乱流のため、ダストが飛び散って排出されずに残っているものと考えられる。一方、空気を送った場合では、図12、図14に示すように、20秒でほとんどダストが計測されず、10秒以内でほとんどダストが排出されたものと考えられる。
【0132】
菌については、加圧空気を送った場合では、図16に示すように30秒〜60秒でも、菌が確認されたが(2個)、空気を気流整流部30を通して送った場合では、図15に示すように、菌が確認されなかった。
【0133】
以上から、加圧空気とは別に空気を気流整流部30を通して送ることで、エアシャワ−室に浮遊するダストや菌を速やかに除去できる。従って、加圧空気を送る前に、除菌ガスを含む空気を気流整流部30を通して送り、更には、加圧空気を送った後に、再度除菌ガスを含む空気又は除菌ガスを含まない空気を気流整流部30を通して送るのが好ましい。
【0134】
尚、上記実施形態では、加圧空気をエアシャワ−室10に送る際、除菌ガスを送り込まないようにしているが、同時に除菌ガスを送るようにしてもよく、適宜変更できる。
【0135】
また、上記実施形態では、加圧空気の送り込み後、エアシャワ−室10に空気を除菌ガスと共に送り込んでいるが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば加圧空気の送り込み後の空気の送り込みを省略したものでもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、その加圧空気の送り込み後の空気の送り込みを除菌ガスと共に送り込むようにしているが、例えば空気だけを単独で送るようにしてもよい。より詳しくは、例えば加圧空気送り込み装置作動設定時間が経過した後、バルブを閉めたままにして、ガス送り用ブロアだけを作動開始させる。ただし、加圧空気の送り込み後に除菌ガスと共に空気を送り込むようにすれば、その後のエアーシャワー室10内を除菌状態に維持し易くでき、次に入ってきた人や物に付着した微生物類を殺菌し易くできる点で、上記実施形態のように加圧空気の送り込み後に空気を除菌ガスと共に送り込むのが好ましい。
【0137】
また、上記実施形態では、加圧空気の送り込み後に空気を除菌ガスと共に送るようにして第2流路3を第3流路として用いて兼備させているが、第2流路3とは別途に、空気送り込み装置を備えた第3流路を設けるようにして、加圧空気の送り込み後に空気だけを単独で送るようにし、空気送り込み装置制御部73で空気送り込み装置を制御するようにしてもよい。
【0138】
また、除菌ガスを送り込む際、同時に、消臭、又は芳香成分を含ませるようにしてもよく、適宜変更できる。
【0139】
また、上記実施形態では、室連通部4に気流整流部30を設けているが、気流整流部30を設けないものとしてもよく、適宜変更できる。ただし、気流整流部30を設けておけば、除菌ガスを送り込む際、および加圧空気の送り込み後に空気を送り込む際、気流整流部30によって気流の整流性(均一性および直進性)を向上させ得るため、除菌ガス或いは空気を、気流整流部30を設けない場合よりも均一性および直進性を維持しながら速い速度で送り込むことができ、除菌ガスおよび空気の送り込み時間を短くでき、その点で気流整流部30を設けておくのが好ましい。
【符号の説明】
【0140】
1 エアシャワー装置
2a 左第1流路
2b 右第1流路
3 第2流路(第3流路)
4 室連通部
7 制御部
8 二酸化塩素ガス発生装置(除菌ガス発生装置)
10 エアシャワー室
30 気流整流部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアシャワ−室に、加圧空気を送り込むとともに、除菌機能を有する除菌ガスを送り込むようにしたエアシャワ−室の清浄方法であって、
前記エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記加圧空気を流す第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって、前記加圧空気を前記エアシャワ−室に送り込む際の加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み、
その後、前記加圧空気を、前記第1流路によって送り込むことを特徴とするエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項2】
前記加圧空気の送り込み後、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記第1流路と分離するようにして設けられた第3流路によって、前記加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記エアシャワ−室にその天井側から床面側に空気を送り込むことを特徴とする請求項1記載のエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項3】
前記第2流路における前記エアシャワ−室との室連通部に設けられた気流整流部に、前記除菌ガスを通して前記エアシャワ−室に送り込むことを特徴とする請求項1又は2記載のエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項4】
エアシャワ−室を備え、そのエアシャワ−室に加圧空気を第1流路によって送り込み可能とされているとともに、前記第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって除菌機能を有する除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み可能とされたエアシャワ−装置であって、
前記第2流路は、前記エアシャワ−室と連通した室連通部と、前記室連通部に設けられ気流を整流させる気流整流部とを備え、
前記気流整流部は、複数の通気用貫通孔を有し、前記室連通部に配設された複数の多孔板を備え、
前記複数の多孔板は、前記第2流路に沿って、互いに間隔をあけて隣接するもの同士が互いに平行に配設され、最下流位置に配された多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなるように構成されていることを特徴とするエアシャワ−装置。
【請求項1】
エアシャワ−室に、加圧空気を送り込むとともに、除菌機能を有する除菌ガスを送り込むようにしたエアシャワ−室の清浄方法であって、
前記エアシャワ−室に人又は物が入った場合に、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記加圧空気を流す第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって、前記加圧空気を前記エアシャワ−室に送り込む際の加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み、
その後、前記加圧空気を、前記第1流路によって送り込むことを特徴とするエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項2】
前記加圧空気の送り込み後、前記加圧空気の送りを停止した状態で、前記第1流路と分離するようにして設けられた第3流路によって、前記加圧空気送り速度よりも遅い送り速度で前記エアシャワ−室にその天井側から床面側に空気を送り込むことを特徴とする請求項1記載のエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項3】
前記第2流路における前記エアシャワ−室との室連通部に設けられた気流整流部に、前記除菌ガスを通して前記エアシャワ−室に送り込むことを特徴とする請求項1又は2記載のエアシャワ−室の清浄方法。
【請求項4】
エアシャワ−室を備え、そのエアシャワ−室に加圧空気を第1流路によって送り込み可能とされているとともに、前記第1流路と分離するようにして設けられた第2流路によって除菌機能を有する除菌ガスを前記エアシャワ−室に送り込み可能とされたエアシャワ−装置であって、
前記第2流路は、前記エアシャワ−室と連通した室連通部と、前記室連通部に設けられ気流を整流させる気流整流部とを備え、
前記気流整流部は、複数の通気用貫通孔を有し、前記室連通部に配設された複数の多孔板を備え、
前記複数の多孔板は、前記第2流路に沿って、互いに間隔をあけて隣接するもの同士が互いに平行に配設され、最下流位置に配された多孔板がメッシュスクリーンからなるとともに、その他の位置に配される多孔板がメッシュスクリーンあるいはパンチング板からなるように構成されていることを特徴とするエアシャワ−装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−137264(P2012−137264A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290909(P2010−290909)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(390029333)三宝電機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(390029333)三宝電機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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