説明

エアゾール容器のガス抜き具、ガス抜き具を備えたキャップ、及びエアゾール容器のガス抜き構造

【課題】エアゾール容器に取り付けるだけで簡単に内容物を放出させることができるガス抜き具と、このガス抜き具を備えたキャップと、エアゾール容器のガス抜き構造を提供すること。
【解決手段】天板部11と、この天板部11に下方へ向けて設けられた側壁部12と、この側壁部12の下部に揺動可能に設けられた支持脚部13と、からガス抜き具100を構成し、ガス抜き時に、天板部11でエアゾール容器15のステム151を押し下げながら側壁部12を内側巻締め部153の内側へ挿入し、支持脚部13を内側巻締め部153の内面にその下方から突き当てることによって、ステム151の押し下げ状態を維持してガス抜きするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、塗料、殺虫剤、プロパンガス等の内容物を充填したエアゾール容器に取り付けるだけで簡単に内容物を放出させることができるガス抜き具と、このガス抜き具を備えたキャップと、エアゾール容器のガス抜き構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール容器に孔を開けてその内容物を放出させるガス抜き具が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。しかしながら、この孔開けタイプのガス抜き具は、エアゾール容器に針を突き刺してガス抜き孔を開けるものであったため、孔開け時に針と接触して怪我をしたり、爆発事故を起こしたりする危険があった。
【特許文献1】特開平7−285595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の孔開けタイプのガス抜き具に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、エアゾール容器に取り付けるだけで簡単に内容物を放出させることができるガス抜き具と、このガス抜き具を備えたキャップと、エアゾール容器のガス抜き構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた側壁部と、該側壁部の下部に揺動可能に設けられた支持脚部と、を備え、前記天板部で前記ステムを押し下げながら前記側壁部を前記エアゾール容器の内側巻締め部の内側へ挿入し、前記支持脚部を該内側巻締め部の内面にその下方から突き当てることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得ることを特徴としている。
【0005】
また、本発明は、前記支持脚部の先端側に摘み部が設けられており、該摘み部を上方へ引っ張ることによって前記支持脚部の前記内側巻締め部に対する突き当て状態を外し得ることを特徴とする。
【0006】
更にまた、本発明は、ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた側壁部と、該天板部に側方へ向けて設けられた鍔部と、を備え、前記天板部で前記ステムを押し下げながら前記側壁部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央突起に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得ることを特徴とする。
【0007】
更にまた、本発明は、ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた押圧部と、該押圧部に形成された拡幅部と、を備え、前記押圧部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央孔へ挿入し、該押圧部の先端で前記ステムを押し下げ、前記拡幅部を該中央孔に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得ることを特徴とする。
【0008】
更にまた、本発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のガス抜き具を備えたエアゾール容器のキャップであって、
キャップ天板部と、該キャップ天板部に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部と、を備え、前記キャップ天板部に前記ガス抜き具が分離可能に一体成形されていることを特徴とする。
【0009】
更にまた、本発明は、ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器のガス抜き構造であって、
前記ステムに拡幅部が形成されており、該ステムを押し下げて該拡幅部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央孔に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガス抜き具によれば、エアゾール容器に取り付けるだけで簡単に内容物を放出させることができ、従来品のように針と接触して怪我をしたり、爆発事故を起こしたりすることがなくて安全である。
【0011】
また、本発明に係るキャップによれば、ガス抜き具を一体に備えているので、必要時にガス抜き具を分離するだけで、直ちにガス抜き作業を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るエアゾール容器のガス抜き具について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態のガス抜き具100は、略円板状の天板部11と、この天板部11の周縁に下方へ向けて設けられた円錐筒状の側壁部12と、この側壁部12の下縁部に揺動可能に設けられた支持脚部13と、支持脚部13の先端に設けられた摘み部14と、から構成されている。
【0014】
天板部11は、円錐筒状を成す側壁部12の中心軸線に対し傾斜しており、天板部11と側壁部12との境界部にガス抜きのための通孔121が開設されている。また、ガス抜き具100は、図3に示すように、側壁部12の下縁部に、計3つの支持脚部13がそれぞれ薄肉部131を介して放射状に等間隔に設けられており、側壁部12に対して適宜に揺動させることができる。これら3つの支持脚部13のうちの1つの支持脚部13の先端に、薄肉部141を介して摘み部14が揺動可能に設けられている。本実施形態の摘み部14は、薄肉部143を介して互いに揺動可能に連結された第一小片142と第二小片144とから構成されている。
【0015】
しかして、このガス抜き具100を用いてエアゾール容器のガス抜きをするときには、図2に示すように、ガス抜き具100の天板部11でエアゾール容器15のステム151を押し下げながら、側壁部12をエアゾール容器15の内側巻締め部153の内側へ挿入する。側壁部12を挿入する際、各支持脚部13は、内側巻締め部153の内側縁部によって一旦、上方へ折り曲げられて窄まる。そして、側壁部12が奥まで挿入されたとき、各支持脚部13は内側巻締め部153の内側凹部において拡がり、各支持脚部13はその先端へ向うほど上方に上がった傾斜姿勢を保って、各支持脚部13の先端が内側巻締め部153の内面に下方から突き当たる。このことで、ガス抜き具100がエアゾール容器15に固定され、ステム151の押し下げ状態が維持されてエアゾール容器15の内容物がステム151及び通孔121を通して外部へ放出されるのである。
【0016】
そして、このようにガス抜き具100をエアゾール容器15に取付けた状態において、摘み部14を指等で摘んで上方へ引っ張るようにすれば、この摘み部14に連なる支持脚部13の内側巻締め部153に対する突き当て状態を簡単に外すことができる。このことで、ガス抜き途中であっても、必要に応じて素早く簡単にガス抜き作業を止めることができる。なお、図1に示すように、エアゾール容器15の内側巻締め部153は、マウンテンカップ152とトップドーム154とを気密状態に連結する部分であり、外側巻締め部155は、トップドーム154と容器本体156とを気密状態に連結する部分である。
【0017】
また、ガス抜き具100は、図3及び図4に示すように、エアゾール容器15の通常使用時には、キャップ16に固定されている。キャップ16は、キャップ天板部161と、キャップ天板部161に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部162とから構成され、このキャップ天板部161にガス抜き具100が分離可能に一体成形されている。即ち、図3及び図4に示すように、ガス抜き具100における側壁部12の開口縁部、支持脚部13、及び摘み部14が、破断可能な複数の連結部163を介してキャップ天板部161に連結されている。これら側壁部12の開口縁部、支持脚部13、及び摘み部14が、キャップ天板部161と同一平面上に並ぶにように連結されている。なお、本実施形態のように、ガス抜き具100とキャップ天板部161との隙間を複数の連結部163で連結する代わりに、ガス抜き具100の全周囲を、破断可能な薄肉部を介してキャップ天板部161に連結しても良い。また、ガス抜き具100とキャップ天板部161との間に分離可能なミシン目を形成しても良い。
【0018】
しかして、図4に示すように、ガス抜きをしないときには、ガス抜き具100を備えたキャップ16は、エアゾール容器15の外側巻締め部155に適宜に着脱されて、通常の使用に供される。そして、ガス抜き時には、連結部163を破断してガス抜き具100をキャップ16から分離し、この分離したガス抜き具100を用いてガス抜き作業を行うのである。なお、図4において符号17で指示するものは、ステム151に装着された噴射ボタンであり、ガス抜き時には、噴射ボタン17をステム151から取り外す。
【0019】
このように、本実施形態のガス抜き具100によれば、エアゾール容器15の内側巻締め部153の内側に取り付けるだけで簡単にガス抜き作業を行うことができ、従来品のように針と接触して怪我をしたり、爆発事故を起こしたりすることがなくて安全である。
【0020】
また、本実施形態のガス抜き具100によれば、支持脚部13の先端を内側巻締め部153の内面に突き当てたとき、この支持脚部13がその先端側を上にした傾斜姿勢にありさえすれば、エアゾール容器15に固定してガス抜きをすることができる。したがって、例えば、内側巻締め部153の内径やマウンテンカップ152の深さが多少異なっていても、同じガス抜き具をエアゾール容器に取り付けてガス抜きをすることができ、融通性に優れている。
【0021】
また、本実施形態のキャップ16は、ガス抜き具100を一体に備えているので、エアゾール容器15の通常使用時に、ガス抜き具100を別の場所に保管しておく必要もなく、また、必要時にガス抜き具100をキャップ16から分離するだけで直ちにガス抜き作業を開始することができる。また、ガス抜き具100とキャップ16とを合成樹脂材の射出成形により一体成形することができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0022】
また、キャップ16からガス抜き具100を分離し、このガス抜き具100だけをエアゾール容器15に取り付けてガス抜きをすることができるので、ガス抜き後に、金属製のエアゾール容器と合成樹脂製のキャップ本体とを別個に廃棄することができ、分別廃棄の点で優れている。即ち、ガス抜き具100を分離した後のキャップ本体に比較して、ガス抜き具100は、合成樹脂材の量が格段に少ないので、ガス抜き具100をエアゾール容器15に取り付けたまま廃棄することができる。
【0023】
また、ガス抜き具100を取り付けたまま、エアゾール容器を廃棄することができるので、ガス抜き具100を視認しさえすれば、そのエアゾール容器がガス抜き済みであるか否かを瞬時に判別することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、側壁部12を円錐筒状に形成しているが、勿論これに限定されるものではなく、例えば円筒形状に形成しても良い。また、ガス抜き具をエアゾール容器に取り付けたとき、必ずしもガス抜き具の側壁部の内面がマウンテンカップ152の中央突起157と接触している必要はなく、両者の間に隙間があっても良い。また、本実施形態では、側壁部に支持脚部を計3つ設けているが、1つだけ設けてもよく、2つ或いは4つ以上設けるようにしても良い。ガス抜き具の取り付け操作性等を考慮して種々の変更が可能である。
【0025】
また、本実施形態では、ガス抜き具100の側壁部12の中心軸線とキャップ16のキャップ側壁部162の中心軸線とを一致させた状態でガス抜き具100とキャップ16とを一体成形しているが、側壁部12の中心軸線とキャップ側壁部162の中心軸線とをずらした状態でガス抜き具100とキャップ16とを一体成形しても良い。このことで、キャップ16をエアゾール容器15に装着したときのガス抜き具100の側壁部12と噴射ボタン17との干渉の問題を、キャップ16を大型化することなく解決することが可能となる。
【0026】
また、本発明に係るガス抜き具は、必ずしも合成樹脂材で形成されている必要はなく、例えば金属材等で形成されていても良い。ガス抜き具が、エアゾール容器と同様、金属材で形成されていれば、廃棄物の分別回収の点で更に好ましい。後述の実施変形例においても同様である。
【0027】
以上、本発明に係るガス抜き具について一の実施形態を説明したが、本発明に係るガス抜き具は、その他の形態でも実施することができる。
【0028】
例えば、図5〜図8に示すガス抜き具200のように構成しても良い。このガス抜き具200は、図5に示すように、例えばライター燃料用ボンベ等のように、ステム251の根元側に段部250を有するエアゾール容器25のガス抜きに適したものであり、図6に示すように、天板部21でステム251の段部250を押し下げることによってガス抜きするように構成した点に特徴がある。
【0029】
即ち、ガス抜き具200は、天板部21と、この天板部21の外周縁に下方へ向けて設けられた円錐筒状の側壁部22と、この側壁部22の下縁部に揺動可能に設けられた支持脚部23と、天板部21の中央に上方に向けて設けられたカバー部211と、から構成されている。カバー部211は、ステム251の先端部を受け入れ可能なように円筒形状を成しており、その上部にガス抜きのための通孔212が開設されている。また、図7に示すように、側壁部22には、計3つの支持脚部23がそれぞれ薄肉部231を介して放射状に等間隔に設けられており、側壁部22に対し適宜に揺動させることができる。
【0030】
しかして、このガス抜き具200を用いてエアゾール容器のガス抜きをするときには、図6に示すように、ガス抜き具200の天板部21でステム251の段部250を押し下げながら、側壁部22をエアゾール容器25の内側巻締め部253の内側へ挿入する。側壁部22を挿入する際、各支持脚部23は、内側巻締め部253の内側縁部によって上方へ折り曲げられて窄まる。そして、側壁部22が奥まで挿入されたとき、各支持脚部23は、内側巻締め部253の内側凹部においてやや拡がり、外側へ向うに従って上に上がる傾斜姿勢で、各支持脚部23の先端が内側巻締め部253の内面に下方から突き当たる。このことで、ガス抜き具200がエアゾール容器25に固定され、ステム251の押し下げ状態が維持されてエアゾール容器25の内容物がステム251及び通孔212を通して外部へ放出される。なお、図5に示すように、エアゾール容器25の内側巻締め部253は、マウンテンカップ252と容器本体256とを気密状態に連結する部分である。
【0031】
また、ガス抜き具200は、図7及び図8に示すように、エアゾール容器25の通常使用時には、キャップ26に固定されている。キャップ26は、キャップ天板部261と、キャップ天板部261に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部262とから構成され、このキャップ天板部261にガス抜き具200が分離可能に一体成形されている。即ち、図7及び図8に示すように、ガス抜き具200の側壁部22の開口縁部、および支持脚部23が、キャップ天板部261と同一平面上に並ぶにように、破断可能な複数の連結部263を介してキャップ天板部261に連結されている。なお、上述したガス抜き具200と同様、ガス抜き具200の全周囲を、破断可能な薄肉部を介してキャップ天板部261に連結しても良く、また、ガス抜き具200とキャップ天板部261との間に分離可能なミシン目を形成しても良い。
【0032】
しかして、図8に示すように、ガス抜き具200を備えたキャップ26は、ガス抜きをしないときには、エアゾール容器25の内側巻締め部253の外側に適宜に着脱されて、通常の使用に供される。そして、ガス抜きをするときには、連結部263を破断してガス抜き具200をキャップ26から分離し、この分離したガス抜き具200を用いてガス抜き作業を行うのである。
【0033】
このように、ガス抜き具200によれば、エアゾール容器25の内側巻締め部253に取り付けるだけで簡単かつ安全にガス抜き作業を行うことができる。また、天板部21でステム251の段部250を押し下げるので、ステム251の先端の噴射口を完全に開放させることができ、よりスムーズなガス抜き作業を行い得る。また、キャップ26は、このガス抜き具200を一体に備えているので、必要時にガス抜き具200をキャップ26から分離するだけで、直ちにガス抜き作業を開始することができる。また、ガス抜き具200とキャップ26とを射出成形により一体成形することができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0034】
また、キャップ26からガス抜き具200を分離し、このガス抜き具200だけをエアゾール容器25に取り付けてガス抜きをすることができるので、ガス抜き後に、金属製のエアゾール容器と合成樹脂製のキャップ本体とを別個に廃棄することができ、分別廃棄の点で優れている。また、ガス抜き具200を取り付けたまま、エアゾール容器を廃棄することができるので、ガス抜き具200を視認しさえすれば、そのエアゾール容器がガス抜き済みであるか否かを瞬時に判別することができる。
【0035】
また、支持脚部23の先端を内側巻締め部253の内面に突き当てたとき、この支持脚部23がその先端側を上にした傾斜姿勢にありさえすれば、エアゾール容器25に固定してガス抜きをすることができるので、例えば、内側巻締め部253の内径やマウンテンカップ252の深さが多少異なっていても、同じガス抜き具をエアゾール容器に取り付けてガス抜きをすることができ、融通性に優れている。
【0036】
また、図9〜図12に示すガス抜き具300のように構成しても良い。このガス抜き具300は、円板状の天板部31と、この天板部31の周縁に下方へ向けて設けられた円筒状の側壁部32と、同じく天板部31の周縁に側方へ向けて設けられた鍔部33と、から構成されている。
【0037】
天板部31の下面は、円筒状を成す側壁部32の中心軸線に対し傾斜しており、天板部31と側壁部32との境界部にガス抜きのための通孔321が開設されている。また、ガス抜き具300は、図11に示すように、天板部31と鍔部33とによって平面視ハート形状を成している。また、側壁部32の下部には、エアゾール容器15のマウンテンカップ152の中央突起157の外側面の凹部158に嵌合可能な複数の嵌合凸部322が設けられている。
【0038】
しかして、このガス抜き具300を用いてエアゾール容器のガス抜きをするときには、図10に示すように、ガス抜き具300の天板部31の下面でエアゾール容器15のステム151を押し下げながら、側壁部32をマウンテンカップ152の中央突起157に被せ、嵌合凸部322を凹部158に嵌合させる。このことで、ガス抜き具300がエアゾール容器15に固定され、ステム151の押し下げ状態が維持されてエアゾール容器15の内容物がステム151及び通孔321を通して外部へ放出されるのである。
【0039】
そして、このようにガス抜き具300をエアゾール容器15に取付けた状態において、鍔部33の一部を指等で摘んで上方へ引っ張るようにすれば、ガス抜き具300を比較的に簡単に外すことができ、ガス抜き途中であっても、必要に応じて素早く簡単にガス抜き作業を止めることができる。
【0040】
また、このガス抜き具300は、図11及び図12に示すように、エアゾール容器15の通常使用時には、キャップ36に固定されている。キャップ36は、キャップ天板部361と、このキャップ天板部361に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部362とから構成され、このキャップ天板部361にガス抜き具300が分離可能に一体成形されている。即ち、図11及び図12に示すように、ガス抜き具300の天板部31及び鍔部33が、キャップ天板部361と同一平面上に並ぶように、破断可能な複数の連結部363を介してキャップ天板部361に連結されている。なお、上述したガス抜き具100と同様、ガス抜き具300の全周囲を、破断可能な薄肉部を介してキャップ天板部361に連結しても良く、また、ガス抜き具300とキャップ天板部361との間に分離可能なミシン目を形成しても良い。
【0041】
しかして、図11に示すように、ガス抜きをしないときには、ガス抜き具300を備えたキャップ36は、エアゾール容器15の外側巻締め部155に適宜に着脱されて、通常の使用に供される。そして、ガス抜き時には、連結部363を破断してガス抜き具300をキャップ36から分離し、この分離したガス抜き具300を用いてガス抜き作業を行うのである。
【0042】
このようにガス抜き具300によれば、エアゾール容器15のマウンテンカップ152の中央突起157に取り付けるだけで簡単かつ安全にガス抜き作業を行うことができる。また、キャップ36は、ガス抜き具300を一体に備えているので、必要時にガス抜き具300をキャップ36から分離するだけで直ちにガス抜き作業を開始することができる。また、ガス抜き具300とキャップ36とを射出成形により一体成形することができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0043】
また、キャップ36からガス抜き具300を分離し、このガス抜き具300だけをエアゾール容器15に取り付けてガス抜きをすることができるので、ガス抜き後に、金属製のエアゾール容器と合成樹脂製のキャップ本体とを別個に廃棄することができ、分別廃棄の点で優れている。また、ガス抜き具300を取り付けたまま、エアゾール容器を廃棄することができるので、ガス抜き具300を視認しさえすれば、そのエアゾール容器がガス抜き済みであるか否かを瞬時に判別することができる。
【0044】
更にまた、図13〜図16に示すガス抜き具400のように構成しても良い。このガス抜き具400は、図13及び図16に示すように、噴射ボタン37をステム351から外した状態において、ステム351がマウンテンカップ352の中央孔359内に没入しているタイプのエアゾール容器35のガス抜きに適用するものである。
【0045】
このガス抜き具400は、図13に示すように、円板形状の天板部41と、この天板部41に下方へ向けて設けられた棒状の押圧部42と、この押圧部42の略中央部から上部にかけて形成された拡幅部43と、から構成されている。そして、押圧部42の側面にはその長手方向に沿ってガス抜きのための溝部44が形成されている。
【0046】
しかして、このガス抜き具400を用いてエアゾール容器のガス抜きをするときには、図14に示すように、ガス抜き具400の押圧部42をエアゾール容器35のマウンテンカップ352の中央孔359内へ挿入し、押圧部42の先端でステム351を押し下げ、拡幅部43を中央孔359に嵌合させる。このことで、ガス抜き具400がエアゾール容器35に固定され、ステム351の押し下げ状態が維持されて、図15に示すように、エアゾール容器35の内容物がステム351及び溝部44を通して外部へ放出される。
【0047】
そして、このようにガス抜き具400をエアゾール容器35に取付けた状態において、天板部41を指等で摘んで上方へ引っ張るようにすれば、ガス抜き具400を比較的に簡単に外すことができ、ガス抜き途中であっても、必要に応じて素早く簡単にガス抜き作業を止めることができる。
【0048】
また、このガス抜き具400は、図16に示すように、エアゾール容器35の通常使用時にはキャップ46に固定されている。キャップ46は、キャップ天板部461と、このキャップ天板部461に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部462とから構成され、このキャップ天板部461にガス抜き具400が分離可能に一体成形されている。即ち、図16に示すように、ガス抜き具400の天板部41が、キャップ天板部461と同一平面上に並ぶにように、破断可能な複数の連結部463を介して、キャップ天板部461に連結されている。なお、上述したガス抜き具100と同様、ガス抜き具400の天板部41の全周囲を、破断可能な薄肉部を介してキャップ天板部461に連結しても良く、また、ガス抜き具400とキャップ天板部461との間に分離可能なミシン目を形成しても良い。
【0049】
しかして、図16に示すように、ガス抜きをしないときには、ガス抜き具400を備えたキャップ46は、エアゾール容器35の外側巻締め部355の外側に適宜に着脱され、通常の使用に供される。そして、ガス抜きをするときには、連結部463を破断してガス抜き具400をキャップ46から分離し、この分離したガス抜き具400を用いてガス抜き作業を行う。なお、図16に示すように、エアゾール容器35の内側巻締め部353は、マウンテンカップ352とトップドーム354とを気密状態に連結する部分であり、外側巻締め部355は、トップドーム354と容器本体356とを気密状態に連結する部分である。
【0050】
このようにガス抜き具400によれば、エアゾール容器35のマウンテンカップ352の中央孔359内に挿嵌するだけで簡単かつ安全にガス抜き作業を行うことができる。また、キャップ46は、ガス抜き具400を一体に備えているので、必要時にガス抜き具400をキャップ46から分離するだけで、直ちにガス抜き作業を開始することができる。また、ガス抜き具400とキャップ46とを射出成形により一体成形することができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0051】
また、キャップ46からガス抜き具400を分離し、このガス抜き具400だけをエアゾール容器35に取り付けてガス抜きをすることができるので、ガス抜き後に、金属製のエアゾール容器と合成樹脂製のキャップ本体とを別個に廃棄することができ、分別廃棄の点で優れている。また、ガス抜き具400を取り付けたまま、エアゾール容器を廃棄することができるので、ガス抜き具400を視認しさえすれば、そのエアゾール容器がガス抜き済みであるか否かを瞬時に判別することができる。
【0052】
また、図17〜図19に示すエアゾール容器のガス抜き構造500のように構成しても良い。このガス抜き構造500は、図17に示すように、ステム451の中途に拡幅部450が形成されている点に特徴がある。その他の構成は、従来公知のエアゾール容器のバルブ構造と同様である。
【0053】
このガス抜き構造500は、内容物を噴射しないときには、図17に示すように、ステム451は、ハウジング452内のばね454により上方へ付勢されて上昇位置にあり、ステム451の連通孔455はパッキン456によって閉鎖された状態にある。そして、内容物を噴射するときには、図18に示すように、ステム451を押し下げることによって、パッキン456を変形させて連通孔455を開放させる。こうして、エアゾール容器の内容物が、ハウジング452の通路453及び連通孔455を通して外部へ噴射され、通常の使用に供される。
【0054】
そして、ガス抜きをするときには、図19に示すように、通常使用時(図18参照)よりも更に下方へステム451を押し下げることによって、ステム451の拡幅部450をマウンテンカップ457の中央孔458内に嵌合させる。このことで、ステム451の押し下げ状態が維持されて、エアゾール容器の内容物が外部へ放出される。
【0055】
このようにガス抜き構造500によれば、ステム451の拡幅部450をマウンテンカップ457の中央孔458内に挿嵌するだけで簡単かつ安全にガス抜き作業を行うことができる。また、ステム451の中途に拡幅部450を設けるだけで構成することができるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0056】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成しても、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るガス抜き具の縦断面図である。
【図2】同ガス抜き具をエアゾール容器に取り付けた状態の縦断面図である。
【図3】同ガス抜き具を備えたキャップの平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明に係るガス抜き具の変形例を示す縦断面図である。
【図6】同ガス抜き具をエアゾール容器に取り付けた状態の縦断面図である。
【図7】同ガス抜き具を備えたキャップの平面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】本発明に係るガス抜き具の他の変形例を示す縦断面図である。
【図10】同ガス抜き具をエアゾール容器に取り付けた状態の縦断面図である。
【図11】同ガス抜き具を備えたキャップの平面図である。
【図12】図11のC−C線断面図である。
【図13】本発明に係るガス抜き具の更に他の変形例を示す縦断面図である。
【図14】同ガス抜き具をエアゾール容器に取り付けた状態の縦断面図である。
【図15】図14のD−D線横断面図である。
【図16】同ガス抜き具を備えたキャップの縦断面図である。
【図17】本発明に係るガス抜き構造の不使用時の縦断面図である。
【図18】同ガス抜き構造の通常使用時の縦断面図である。
【図19】同ガス抜き構造のガス抜き時の縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
100、200、300、400 ガス抜き具
11、21、31、41 天板部
12、22、32 側壁部
13、23 支持脚部
14 摘み部
33 鍔部
42 押圧部
43 拡幅部
15、25、35 エアゾール容器
151、251、351 ステム
152、352、457 マウンテンカップ
153、253、353 内側巻締め部
155、355 外側巻締め部
157 マウンテンカップの中央突起
359、458 マウンテンカップの中央孔
16、26、36、46 キャップ
161、261、361、461 キャップ天板部
162、262、362、462 キャップ側壁部
500 ガス抜き構造
451 ステム
450 ステムの拡幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた側壁部と、該側壁部の下部に揺動可能に設けられた支持脚部と、を備え、
前記天板部で前記ステムを押し下げながら前記側壁部を前記エアゾール容器の内側巻締め部の内側へ挿入し、前記支持脚部を該内側巻締め部の内面にその下方から突き当てることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得るエアゾール容器のガス抜き具。
【請求項2】
前記支持脚部の先端側に摘み部が設けられており、
該摘み部を上方へ引っ張ることによって前記支持脚部の前記内側巻締め部に対する突き当て状態を外し得る請求項1記載のエアゾール容器のガス抜き具。
【請求項3】
ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた側壁部と、該天板部に側方へ向けて設けられた鍔部と、を備え、
前記天板部で前記ステムを押し下げながら前記側壁部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央突起に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得るエアゾール容器のガス抜き具。
【請求項4】
ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器に取り付け可能なガス抜き具であって、
天板部と、該天板部に下方へ向けて設けられた押圧部と、該押圧部に形成された拡幅部と、を備え、
前記押圧部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央孔へ挿入し、該押圧部の先端で前記ステムを押し下げ、前記拡幅部を該中央孔に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得るエアゾール容器のガス抜き具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のガス抜き具を備えたエアゾール容器のキャップであって、
キャップ天板部と、該キャップ天板部に下方へ向けて設けられたキャップ側壁部と、を備え、前記キャップ天板部に前記ガス抜き具が分離可能に一体成形されていることを特徴とするキャップ。
【請求項6】
ステムを押し下げたとき該ステムを通して内容物が噴射されるエアゾール容器のガス抜き構造であって、
前記ステムに拡幅部が形成されており、該ステムを押し下げて該拡幅部を前記エアゾール容器のマウンテンカップの中央孔に嵌合させることによって該ステムの押し下げ状態を維持してガス抜きし得るエアゾール容器のガス抜き構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−105710(P2008−105710A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290605(P2006−290605)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(502093058)
【Fターム(参考)】