説明

エアゾール容器の残留ガス排出構造

【課題】簡単な構成でエアゾール容器の残留ガスの全量排出作業を容易に行うことができ、更には、残留ガス排出状態からの復帰が可能なエアゾール容器の残留ガス排出構造を提供する。
【解決手段】残留ガス排出構造10は、エアゾール容器12の上部に装着するカバー体20と、ステム16を押圧する噴射部40と、該噴射部40を残留ガス排出位置に固定するロック片60により構成される。ロック片60は、一対のアーム64,66を有しており、該アーム64,66で、噴射部40のノズル部44とトリガー56の間の基部54を挟むことにより、ノズル部44に沿ってスライド可能に装着される。残留ガス排出状態を維持する場合は、トリガー56を引いた状態で、ロック片60のアーム64,66の先端を、カバー体20の側面内側に設けた係合部28,30の凸部28B,30Bの下面に係合させてトリガー56をロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射剤(ガス)によって目的成分を噴射させるエアゾール容器の残留ガス排出構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプレー缶などのエアゾール製品は、気化した液化ガス又は圧縮ガス等の噴射剤とともに耐圧容器に封入した液状や微粉末の目的成分を、前記噴射剤の圧力で霧状や泡状などにして放出するものである。このようなエアゾール製品は、前記噴射剤として可燃性ガスを利用することが多いため、ガスが残ったままエアゾール製品を廃棄処理すると、容器が爆発するおそれがある。このため、目的成分を使い切った後には、廃棄前に容器内のガス抜きを行う。また、やむを得ず目的成分を使い切ることができない場合であっても、前記目的成分及び噴射剤を含む内容物全てを排出してから廃棄する必要がある。
【0003】
従来、エアゾール製品のガス抜き方法としては、容器に穴をあけるか,あるいは、押下部材(ボタンやレバーなど)を介してステムを押し続けて内部ガスを排出する方法がある。前記ステムを押し続ける技術としては、例えば、以下の特許文献1〜3に示す技術がある。前記特許文献1及び2には、エアゾール容器の蓋体を利用して内容物の排出を行う技術が開示されている。また、特許文献3には、ステムと嵌合する操作ボタンに設けた折り曲げ可能な脚部により、ガス抜きモード設定を行うことが開示されている。
【特許文献1】特開2001−158487公報
【特許文献2】特開2001−55284公報
【特許文献3】特開2006−27718公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には次のような不都合がある。まず、以下の特許文献1及び2に記載の技術では、噴射ヘッド部やボタンの押圧状態を保つための蓋体を別体として用意する必要があるため、部品点数が増えて製造工程が複雑になるという不都合がある。特に、前記特許文献1では、噴射ヘッド部のノズルを取り外してステムを露出させ、その先端に蓋体内側の嵌合部を被せるといった位置合わせが必要なため、残留ガス排出作業が簡単であるとはいいがたい。また、前記特許文献3に記載の技術では、前記操作ボタンの折り曲げた脚部の先端を、カバー体の受部に当接させるため、残留ガス放出モードからの復帰が不可能であり、誤って残留ガス放出モードにしたときに元の状態に戻すことができないという不都合がある。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、簡単な構成でエアゾール容器の残留ガスの全量排出作業を容易に行うことができ、更には、残留ガス排出状態からの容易な復帰が可能なエアゾール容器の残留ガス排出構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のエアゾール容器の残留ガス排出構造は、エアゾール容器の上部に固定され、対向する一対の側面を有するカバー体,該カバー体の一対の側面間に配置されるとともに、前記カバー体の後部側との連結部を支点として揺動可能であって、前記エアゾール容器のステムに装着可能なステム装着部と、前記エアゾール容器の内容物を噴射する噴口を有するノズル部と、該ノズル部の下方に接続されたトリガーとを含む噴射手段,前記ノズル部とトリガーの接続部を挟む一対のアームを有するとともに、該アームが前記ノズル部に沿ってスライド可能となるように、前記噴射手段に保持されるロック片,前記カバー体の一対の側面の内面に設けられており、前記噴射手段が前記エアゾール容器内の残留ガスの排出位置にあるときに前記ロック片のアームを係止可能な第1の係合部を有する係合手段,を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記係合手段が、前記第1の係合部よりも上方に設けられており、前記噴射手段が前記内容物を噴射できない位置にあるときに前記ロック片のアームを係止可能な第2の係合部,を備えたことを特徴とする。他の形態は、前記ロック片の一対のアームの先端に、前記ノズル部とトリガーの接続部に係合して、前記ノズル部の延長方向へのスライドによる抜け落ちを防止する係合爪を設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記ロック片が、前記噴射手段に対して着脱可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記カバー体が、前記噴射手段から取り外した前記ロック片を保持する保持部を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ノズル部とそれを操作するトリガーを有する噴射手段を、一対の側面を有するカバー体によって覆ったエアゾール容器において、前記ノズル部に沿ってスライド可能な一対のアームを有するロック片を、前記ノズル部とトリガーの接続部に装着し、前記噴射手段が残留ガス排出位置にあるときに、前記アームを前記一対の側面の内側の係合手段に係合させることとした。このため、前記噴射手段の押圧状態を維持して、エアゾール容器に残留する噴射剤(ガス)を全て排出することができる。また、ロック片と係合手段の係合を解除することにより、残留ガス排出状態からの復帰が可能なため、誤操作による残留ガス(ないし内容物)の全量排出を防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。図1(A-1),(B-1),(C-1)は本実施例の外観斜視図,図1(A-2),(B-2),(C-2)は本実施例の平面図である。図1に示すように、本実施例のエアゾール容器の残留ガス排出構造10は、エアゾール容器12のマウンティング・カップ14の縁部に装着するカバー体20と、該カバー体20の内側に配置され、前記マウンティング・カップ14から突出したステム16に接続される噴射部40と、残留ガス排出状態を維持するためのロック片60により構成されている。前記エアゾール容器12には、噴射する目的成分とそれらの噴射剤であるガスが充填されており、以下の説明ではこれら両方を含めて内容物と表現している。また、前記残留ガス排出状態は、動作的には、通常の内容物噴射状態と同様であるが、前記目的成分がエアゾール容器からほぼ排出された後の状態をいう。
【0011】
まず、前記カバー体20は、前記マウンティング・カップ14の縁部に装着する略リング状ないし筒状の基部22と、所定の間隔で配置された一対の側面24,26を備えている。前記一対の側面24,26の正面24A,26A側(噴口側)は開口しており、ここから後述するロック片60を差し込むことができ、後部34側には後述する噴射部40が接続される。また、前記側面24,26の上端24B,26B側には、前記側面24,26と略直交するバー32が設けられている。更に、前記側面24,26の内側には、前記ロック片60と係合して噴射部40の動きをロックするための係合部28,30が、正面24A,26A寄りの位置に設けられている。係合部28,30は、略垂直方向に伸びた垂直部28A,30Aと、これらと略直交し前記正面24A,26A側へ突出した凸部28B,30Bにより構成されている。なお、該係合部28,30は、直接前記噴射部40に接触することがないような寸法に設定されている。
【0012】
次に、噴射部40は、先端が前記ステム16に装着されるステム装着部42と、エアゾール容器12の内容物を外部に向けて噴射する噴口46を先端に備えたノズル部44が、略L字状となるように略直交している。これらステム装着部42及びノズル部44の内部には、前記内容物の通路48が形成され、前記噴口46は、前記カバー体20の正面24A,26Aから外部に突出している。また、前記ノズル部44の下方には、基部54を介して押圧操作用のトリガー56が接続されている。前記基部54は、図1(A-2)に示すように、トリガー56の上面よりも断面積が小さくなっており、これによって、該基部54とトリガー56の接続部には段差が形成される。
【0013】
このような噴射部40の後部50は、板バネ部52を介して、前記カバー体20の後部正面34Aの下方に接続されているため、前記板バネ部52の作用により、噴射部40は前記カバー体20との連結部分を支点として全体が上下に揺動可能となる。従って、前記トリガー56を引くことによって、ステム装着部42の先端でステム16を押圧し、図示しないバルブ機構を開弁して、エアゾール容器12の内容物を排出(噴射)することができる。本実施例では、前記カバー体20と噴射部40は一体形成されている。なお、前記噴射部40の揺動範囲の下限は、トリガー56の背面58がカバー体基部22の縁部23に接触するまでであり、上限は、前記ノズル部44がカバー体20のバー32に接触するまでである。
【0014】
次に、ロック片60は、前記ノズル部44の噴口46の下側を受ける受部62と、前記ノズル部44に沿って略平行に設けられた一対のアーム64,66により構成されており、前記アーム64,66の間には溝部72が形成されている。前記一対のアーム64,66は、前記噴射部40の基部54を挟むように正面24A,26A側から差し込むことにより、該基部54とトリガー56の上面間の段差に係合するため、前記ノズル部44に沿ってスライド可能となる。また、前記アーム64,66の先端には、前記基部54の後部面と係合可能な爪68,70が設けられており、これらが前記基部54に係合することにより、前記ロック片60の抜け落ちを防止することができる。前記一対のアーム64,66は、前記受部62を基部54に接触するまで押し込んだときに、先端側が前記係合部28,30の垂直部28A,30Aの上面に乗り上げ可能であって、かつ、前記爪68,70が基部54に係合するまで受部62を引き出したときに、ロック片60と係合部28,30が接触しないような長さに設定されている。なお、前記アーム64,66が前記垂直部28A,30Aの上面に乗り上げたときは、ステム装着部42がステム16を押圧しない状態に保たれる。すなわち、前記ロック片60は、エアゾール容器12を非使用状態に保つためのストッパを兼ねている。このようなロック片60は、前記カバー体20及び噴射部40とともに、エアゾール容器12に予めセットされているものである。本実施例を構成するカバー体20,噴射部40,ロック片60は、例えば、プラスチックなどの公知の材料により形成されている。
【0015】
次に、本実施例の作用を説明する。エアゾール容器12の使用前(初期状態)では、図1(A-1)及び(A-2)に示すように、ロック片60の受部62が基部54の正面に接触し、かつ、アーム64,66が係合部28,30の垂直部28A,30Aの上面に乗り上げており、トリガー56の操作が不能となっている。すなわち、ステム装着部42がステム16を押圧しない状態に保たれている。エアゾール容器12の目的成分を噴射する際には、前記ロック片60を図1(A-1)に矢印F1で示す方向に引き、図1(B-1)及び(B-2)に示すように、アーム64,66が係合部28,30のどの部分とも係合ないし接触しないように引き出す。すると、図1(B-1)に示すように、ステム装着部42の先端がステム16に被るとともに、トリガー56を矢印F2で示す方向に引いて、噴射部40を押し下げることが可能となる。前記トリガー56を引くと、ステム装着部42の先端がステム16を押し下げるため、目的成分が噴射剤により通路48を介して噴口46から外部に噴射される。
【0016】
上述した通常の使用により目的成分を使い切り、エアゾール容器12を廃棄する場合には、該エアゾール容器12内の残留ガス(噴射剤)を全て容器外に排出する必要がある。このときは、正面側に引き出したロック片60を、図1(C-1)及び(C-2)に示すように、トリガー56を矢印F2方向に引いた状態のまま、矢印F3で示す方向に押し込んで、アーム64,66の先端を、係合部28,30の凸部28B,30Bの下面に係合させる。すると、トリガー56の上方向への回動が規制され、前記噴射部40を残留ガス排出状態に保つ(ロックする)ことができる。以上のようにして残留ガスを全て排出したら、エアゾール容器12を適切な方法で廃棄する。仮に、噴射剤のみならず、目的成分がエアゾール容器12に若干残っているような場合であっても、上述した操作により、目的成分及び残留ガスが全て排出される。なお、ロック片60のスライドは、矢印F1、F3方向に可逆なため、誤って残留ガス排出状態にした場合であっても、容易にロックを解除することができる。また、目的成分が残っている状態で誤って残留ガス排出状態にした場合であっても、前記ロック片60を引き出すことにより、図1(B-1)及び(B-2)に示す通常の使用状態や、図1(A-1)及び(A-2)に示す初期状態に復帰させることができる。
【0017】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)ノズル部44とトリガー56の接続部である基部54に装着され、前記ノズル部44の延長方向にスライド可能なロック片60の一対のアーム64,66を、噴射部40が残留ガスの排出位置にある状態で、カバー体20の側面24,26の内側に設けた係合部28,30の凸部28B,30Bに係合させることとした。このため、トリガー56の上方への復帰を阻止して残留ガス排出状態を維持し、残留ガスの排出作業を簡単に行うことができる。
(2)前記ロック片60と前記凸部28B,30Bの係合が解除可能なため、誤ってロック片60を係合させた場合であっても、ロック状態からの容易な復帰が可能である。
(3)前記ロック片60のアーム64,66の先端に爪68,70を設けることとしたので、基部54からの抜け落ちを防止し、紛失を防ぐことができる。
(4)予めカバー体20及び噴射部40にストッパとしてセットされているロック片60を、残留ガス排出状態の維持に利用するため、既存部品の有効活用が可能となる。
【実施例2】
【0018】
次に、図2を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする。本実施例は、ロック片の他の形態を示すものであって、カバー体20,噴射部40の構成は前記実施例1と同様である。本実施例のロック片80は、噴射部40の噴口46を覆うカバー面82と、該カバー面82と略直交するとともに前記ノズル部44に沿って略平行に設けられた一対のアーム84,86により構成されており、前記アーム84,86の間には溝部88が形成されている。前記一対のアーム84,86は、前記噴射部40の基部54を挟むように正面24A,26A側から差し込むことにより、該基部54とトリガー56の上面との段差に係合して、前記ノズル部44に沿ってスライド可能に装着される。前記一対のアーム84,86は、前記溝部88の閉塞側(カバー面82側)を基部54に接触するまで押し込んだときに、先端側が前記係合部28,30の垂直部28A,30Aの上面に乗り上げ可能な長さに設定されている。一方、カバー体20の後部正面34Aには、前記ロック片80の溝部88と係合する凸状ガイド90が設けられている。本実施例のロック片80は、前記基部54に対して容易に着脱することが可能となっている。また、前記実施例1と同様に、前記ロック片80は、エアゾール容器12を非使用状態に保つストッパとして、前記カバー体20及び噴射部40ととともに、前記エアゾール容器12に予めセットされている。
【0019】
次に、本実施例の作用を説明する。エアゾール容器12の使用前(初期状態)では、図2(A-1)及び(A-2)に示すように、ロック片80のカバー面82が噴口46の正面を覆い、かつ、アーム84,88が係合部28,30の垂直部28A,30Aの上面に乗り上げており、トリガー56の操作が不能となっている。すなわち、ステム装着部42がステム16を押圧しない状態に保たれている。エアゾール容器12の目的成分を噴射する際には、前記ロック片80を図2(A-1)に矢印F1で示す方向に引き、基部54から取り外す。すると、図2(B-1)に示すように、ステム装着部42の先端がステム16に被るとともに、トリガー56を矢印F2で示す方向に引いて、噴射部40を押し下げることが可能となる。前記トリガー56を引くと、ステム装着部42の先端がステム16を押し下げるため、目的成分が噴口46から外部に噴射される。なお、取り外したロック片80は、図2(B-1)及び(B-2)に示すように、カバー面82の先端を後方に向けて、前記溝部88をカバー体20の後部正面34Aの凸状ガイド90に嵌めるように差し込むことにより保持される。
【0020】
上述した通常の使用により目的成分を使い切り、エアゾール容器12を廃棄する場合には、該エアゾール容器12内の残留ガス(噴射剤)を全て容器外に排出する必要がある。このときは、カバー体20の後部34に保持しておいたロック片80を前記後部34から取り外し、図2(C-1)及び(C-2)に示すように、トリガー56を矢印F2方向に引いた状態のまま、カバー面82の先端が下を向くようにして、基部54に装着するとともに、図に矢印F3で示す方向に押し込んで、アーム84,86の先端を、係合部28,30の凸部28B,30Bの下面に係合させる。すると、トリガー56の上方向への回動が規制され、前記噴射部40を残留ガスの排出状態に保つ(ロックする)ことができる。以上のようにして残留ガスを全て排出したら、エアゾール容器12を適切な方法で廃棄する。なお、ロック片80は、基部54から取り外し可能なため、誤って残留ガス排出状態にした状態であっても、容易にロックを解除して、図2(B-1)及び(B-2)に示す通常の使用状態や、図2(A-1)及び(A-2)に示す初期状態に復帰させることができる。本実施例の効果は、上述した実施例1と同様である。
【0021】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法,デザインは一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。材料についても同様に、必要に応じて適宜変更可能である。
(2)前記実施例で示したロック片60,80も一例であり、前記基部54に装着可能であって、ノズル部44に沿ってスライドし、係合部28,30の所定の部分と係合可能な構成であれば、必要に応じて適宜設計変更してよい。
(3)前記実施例2では、取り外したロック片80をカバー体20の後部34に保持することとしたが、これも一例であり、他の位置に保持するようにしてもよい。
(4)前記実施例で示した作用は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例1では、図1(B-1)及び(B-2)に示す通常の使用に続けてエアゾール容器12の残留ガスの排出作業を行うこととしたが、図1(A-1)及び(A-2)に示す初期状態から直接図1(C-1)及び(C-2)に示す残留ガスの排出作業に移るようにしてもよい。実施例2についても同様である。
(5)前記係合部28,30の凸部28B,30Bも一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。
(6)本発明のエアゾール容器12で噴射する目的成分としては、例えば、化粧液,洗剤,塗料,消臭剤,芳香剤,医薬品,殺虫剤などが挙げられるが、これも一例であり、本発明は公知の各種の目的成分を充填したエアゾール容器全般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、ノズル部とそれを操作するトリガーを有する噴射手段を、一対の側面を有するカバー体によって覆ったエアゾール容器において、前記ノズル部に沿ってスライド可能な一対のアームを有するロック片を、前記ノズル部とトリガーの接続部に装着し、前記噴射手段が残留ガス排出位置にあるときに、前記アームを前記一対の側面の内側の係合手段に係合させることとした。このため、エアゾール容器内に残留する噴射剤(ガス)を全量排出するための残留ガス排出構造として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のエアゾール容器の残留ガス排出構造を示す図であり、(A-1),(B-1),(C-1)は斜視図,(A-2),(B-2),(C-2)は平面図である。
【図2】本発明の実施例2のエアゾール容器の残留ガス排出構造を示す図であり、(A-1),(B-1),(C-1)は斜視図,(A-2),(B-2),(C-2)は平面図である。
【符号の説明】
【0024】
10:残留ガス排出構造
12:エアゾール容器
14:マウンティング・カップ
16:ステム
20:カバー体
22:基部
23:縁部
24,26:側面
24A,26A:正面
24B,26B:上端
28,30:係合部
28A,30A:垂直部
28B,30B:凸部
32:バー
34:後部
34A:後部正面
40:噴射部
42:ステム装着部
44:ノズル部
46:噴口
48:通路
50:後部
52:板バネ部
54:基部
56:トリガー
58:背面
60:ロック片
62:受部
64,66:アーム
68,70:爪
72:溝部
80:ロック片
82:カバー面
84,86:アーム
88:溝部
90:凸状ガイド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の上部に固定され、対向する一対の側面を有するカバー体,
該カバー体の一対の側面間に配置されるとともに、前記カバー体の後部側との連結部を支点として揺動可能であって、前記エアゾール容器のステムに装着可能なステム装着部と、前記エアゾール容器の内容物を噴射する噴口を有するノズル部と、該ノズル部の下方に接続されたトリガーとを含む噴射手段,
前記ノズル部とトリガーの接続部を挟む一対のアームを有するとともに、該アームが前記ノズル部に沿ってスライド可能となるように、前記噴射手段に保持されるロック片,
前記カバー体の一対の側面の内面に設けられており、前記噴射手段が前記エアゾール容器内の残留ガスの排出位置にあるときに前記ロック片のアームを係止可能な第1の係合部を有する係合手段,
を備えたことを特徴とするエアゾール容器の残留ガス排出構造。
【請求項2】
前記係合手段が、
前記第1の係合部よりも上方に設けられており、前記噴射手段が前記内容物を噴射できない位置にあるときに前記ロック片のアームを係止可能な第2の係合部,
を備えたことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器の残留ガス排出構造。
【請求項3】
前記ロック片の一対のアームの先端に、前記ノズル部とトリガーの接続部に係合して、前記ノズル部の延長方向へのスライドによる抜け落ちを防止する係合爪を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエアゾール容器の残留ガス排出構造。
【請求項4】
前記ロック片が、前記噴射手段に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のエアゾール容器の残留ガス排出構造。
【請求項5】
前記カバー体が、前記噴射手段から取り外した前記ロック片を保持する保持部を備えたことを特徴とする請求項4記載のエアゾール容器の残留ガス排出構造。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−331787(P2007−331787A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164757(P2006−164757)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(599033977)日本プリシジョン・バルブ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】