説明

エアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置

【課題】エアゾール容器を廃棄する際の内容物の排出操作が容易であり、且つ排出の途中停止が簡単なワンタッチ式のエアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置を提供する。
【解決手段】エアゾール容器用キャップ1がキャップ本体11とボタン12とで構成され、キャップ本体11は、噴射用開口部11d、操作用凹部11cを側部に備えるとともに、ボタン12が挿入されるボタン装着部15を備え、ボタン装着部15は、ボタンの抜け止めを行なう上係止部18a,18b及び下係止部19a,19bを備え、ボタンを両係止部間で上下動可能に支持しており、キャップ本体は、下係止部に係止したボタンの頭頂面にバルブステム16を当てがい内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれるエアゾール容器10を受け入れるように上部中央に空所30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置に関し、さらに詳しくは、使用後のエアゾール容器内の内容物を容易に排出することができるエアゾール容器用キャップ及びこのエアゾール容器用キャップが装着されたエアゾール噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール式のスプレー装置は、容器内の内容物を簡単に噴射し、散布又は塗布することができるので、塗料、殺虫剤、芳香剤、脱臭剤、家庭用洗浄剤、防カビ剤、除菌剤、医薬品、化粧品、医薬部外品などの噴射用に広く利用されている。このエアゾール式のスプレー装置は、エアゾール容器内に被噴射剤及び噴射用ガスが収納されており、噴射用ガスによる加圧で被噴射剤がノズルを介して噴射されるようになっている。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、容器内の「内容物」には、被噴射剤及び噴射用ガスが含まれ、被噴射剤及び噴射用ガスのいずれかのみの場合にも、「内容物」と記すことがある。また、「エアゾール」は、容器からノズルを経て噴射される液体、気体、粉末等を言い、噴射形態として霧状、粒子状、泡状、ペースト状、ジェル状のもの等を含む。内容物に関して「排出」というときは、特に断らない限り、エアゾール容器を廃棄する目的で残留内容物を放出することを意味する。
【0003】
噴射用ガスとしては、フロンの使用が禁止され、現在は可燃性のブタン、プロパンなどの液化ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの高圧ガスが用いられている。使用後のエアゾール容器がそのままゴミとして廃棄されると、ゴミ処理の際に、容器内のガス圧に起因する容器の爆発が起こる危険性がある。そのような事故を防止するために、エアゾール容器を廃棄する場合には、廃棄する前に容器内の内容物を排出して内圧を常圧程度にするのが望ましく、現在、各自治体などにより、廃棄する前に容器内の内容物を排出するように求められている。
【0004】
汎用されているエアゾール容器には、主として、ステムに取り付けられたノズルヘッドがキャップでカバーされ、使用時にはキャップを外し、ノズルヘッドを押すことによりステムを押し下げて内容物をスプレーするタイプ(ツータッチ式と呼ばれる)と、キャップを取り外すことなく、ノズルを備えた噴射用ボタン(以下、単に「ボタン」と略記する)を押すことにより、ステムを押し下げて内容物をスプレーするタイプ(ワンタッチ式と呼ばれる)とがある。
【0005】
これらの従来のエアゾール容器の場合、ノズルを介して、容器内の内容物を排出し続け内圧を常圧程度にするには長時間を要することもあり必ずしも容易ではない。また、エアゾール容器に、鋭利な先端を有する錐状の工具を用いて孔をあけ、内容物を排出する方法もあるが、一般的ではなく、内容物が人体に向けて噴出することがあるので、好ましい方法とは言えない。したがって、内容物が排出されないまま、エアゾール容器が廃棄されることが少なくないのが実態である。
【0006】
上記の問題を解決するために、エアゾール容器用のキャップ、ボタンなどを利用して、容器内のガス、残った被噴射剤などの内容物を排出するいくつかの方法が提案されている。ツータッチ式のエアゾール容器の場合には、通常容器のステムに取り付けられているノズルヘッドを取り外し、キャップの一部を直接ステムに接触させ、ステムを押し下げた状態でキャップをエアゾール容器に固定し、ステムから直接内容物を排出するようにしたタイプのキャップが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、内容物を排出する際には、キャップを取り外さずに被せたまま、キャップ天板部の押圧片によりノズルヘッドを押し下げ、押し下げた状態に係止することにより、内容物を排出するタイプのキャップも提案されている(特許文献4)。
【0007】
一方、ワンタッチ式のエアゾール容器の場合には、ステムを押し下げた状態でボタンを係止させ、ノズルヘッドを介して内容物を排出するタイプのキャップが提案されている(例えば、特許文献5、6)。これらの特許文献5、6に開示されているワンタッチ式エアゾール容器のキャップは、次のとおりである。
【0008】
図20は、特許文献5に開示されている「傾斜作動式噴射頭構造体」(以下、キャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)は内容物排出時の状態を示している。キャップはキャップ本体111及びボタン113で構成されている。ボタン113は、ボタン113の上面を押圧すると、可撓性の接続部115を支点として図20(b)又は(c)に示したように図面右側に傾き、ステム112を押し下げることができるようになっている。このキャップの場合、通常使用時には、図20(b)に示した状態で噴射し、容器内の内容物を排出する際には、ボタン113をさらに押込み、ボタン下部に形成された係止用突起116が、キャップ本体に形成された係止用突起116の受け部117により係止される。したがって、ボタン113から手を離した状態で噴射が維持され、内容物がすべて排出される。
【0009】
図21は、特許文献6に開示されている「エアゾール容器用残留ガス除去用蓋装置」(以下、キャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態を示している。キャップは、キャップ本体121及びボタン122で構成されている。容器内の内容物を排出する際には、ボタン122を、図21(b)に示した内容物排出時の状態の位置まで押し下げる。この状態で、ボタン122は、「キャップ側壁凸突起」127が「ガイド壁凸突起」128によって係止されることによって、内容物の噴射状態が維持される。このように、特許文献6に開示されているキャップは、エアゾール容器側にのみ押し下げ可能で、逆戻りしない構造のボタン122によって、容器内の内容物が排出され続けるようになっている。
【0010】
図22は、特許文献7に開示されている「エアゾール容器の残留物放出機構」(以下、「残留物放出機構」をキャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態(又は通常使用時の状態)、(b)は内容物排出時の状態を示している。キャップは、肩カバー133及びボタン131で構成されており、ボタン131は肩カバー133の中央孔部139に着脱可能に挿入されている。図22(a)に示したように、非使用時には、ボタン131は、ノズル132が肩カバー133に形成された前方凹部141に向けて装着されており、ボタン131を押し下げることによって、内容物がノズル132から噴射されるようになっている。
【0011】
一方、内容物を排出する場合には、まず、肩カバー133を容器Aから取り外し、さらに肩カバー133からボタン131を取り外す。次に、図22(b)に示したように、ノズル132が肩カバー133に形成された後方凹部140に向くように、すなわち、ボタン131を水平方向に180°回転して、肩カバー133の中央孔部139に装着する。このように装着することによって、ボタン131の突起137が肩カバー133に形成された切欠部138に嵌り、ボタン131が肩カバー133に対して低い位置に係止され、上方への移動が阻止される。この状態で肩カバー133を容器Aに取り付けることにより、ステム135が押し下げられた状態に維持されるようになり、容器内の内容物が、後方凹部140を介して連続的に排出される。
【0012】
特許文献5に開示されているキャップの場合には、誤ってボタン113を強く押すと、内容物の放出状態になり、いったんボタン113を押し込むと非使用時の状態に戻しにくく、内容物の放出を中止させにくいという欠点がある。また、特許文献6に開示されているキャップの場合には、ボタン122の移動が一方方向であり戻すことができない。したがって、誤ってボタン122を押し下げて放出状態にした場合など、内容物の放出を途中で止めることが難しいという欠点がある。また、特許文献7に開示されているキャップの場合には、内容物排出時に、肩カバー133からボタン131を一旦取り外し、水平方向に180°回転して、再び肩カバー133の中央孔部139に装着する。この操作では、通常使用時と排出時との差違が外観上分かりにくく、何らかの理由で容器Aから肩カバーが外れボタンが脱落した後、これらを戻す際に、ボタンを水平方向に180°回転してしまっても気づかず、排出状態にしてしまうおそれがある。また、これらのキャップを使用したエアゾール容器の場合は、ノズルを介して容器内の内容物を排出することになるので、内圧を常圧程度にするには長時間を要するという欠点もある。
【特許文献1】特開2001−97465号公報
【特許文献2】特開2004−91017号公報
【特許文献3】特開2003−341763号公報
【特許文献4】特開2001−97466号公報
【特許文献5】特開平8−133360号公報
【特許文献6】特開2001−55284号公報
【特許文献7】特開2002−193362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、操作が簡単なワンタッチ式エアゾール噴射装置における上記問題点を解決するためになされたものであって、エアゾール容器を廃棄する際の内容物の排出操作が容易であり、且つ排出の途中停止が簡単なワンタッチ式のエアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るエアゾール容器用キャップは、エアゾール容器に装着して用いられ、キャップ本体とボタンとで構成されたエアゾール容器用キャップであって、前記キャップ本体は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部を備え、噴射物を通すための噴射用開口部、及び上端側に開口しボタン押下げ時に手指を受け入れる操作用凹部を側部に備えるとともに、前記ボタンが装着されるボタン装着部を備え、前記ボタンは、下部に、前記エアゾール容器上部から突出しているバルブステムに接続される接続部、及び前記噴射用開口部に面し、前記接続部を介して前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズルを備え、前記ボタン装着部は、前記ボタンに係止して上方及び下方への抜け止めを各々行なう上係止部及び下係止部を備え、前記ボタンを両係止部間で上下動可能に支持しており、前記上係止部は、前記接続部に接続されたバルブステムが噴射停止状態にある上昇位置又は該位置より上方で前記ボタンに係止し得るように設けられており、前記下係止部は、内容物噴射のための下降位置又は該位置より下方にある前記ボタンに係止し得るように設けられており、前記キャップ本体は、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムを当てがい内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれる前記エアゾール容器を受け入れるように上部中央に空所が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエアゾール容器用キャップは、キャップ本体とボタンとで構成され、前記キャップ本体は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部を備え、噴射物を通すための噴射用開口部、及び上端側に開口しボタン押下げ時に手指を受け入れる操作用凹部を側部に備えるとともに、前記ボタンが装着されるボタン装着部を備えている。また、前記ボタンは、下部に、前記エアゾール容器上部から突出しているバルブステムに接続される接続部、及び前記噴射用開口部に面し、前記接続部を介して前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズルを備えている。したがって、エアゾール容器に装着したままボタンを押し下げて噴射ができるワンタッチ式となっている。
【0016】
そして、前記ボタン装着部は、前記ボタンに係止して上方及び下方への抜け止めを各々行なう上係止部及び下係止部を備え、前記ボタンを両係止部間で上下動可能に支持しており、前記上係止部は、前記接続部に接続されたバルブステムが噴射停止状態にある上昇位置又は該位置より上方で前記ボタンに係止し得るように設けられている。したがって、前記ボタンは、キャップ本体に装着されたときに、噴射停止位置をとり非噴射状態を確保することができる。
【0017】
さらに、前記下係止部は、内容物噴射のための下降位置又は該位置より下方にある前記ボタンに係止し得るように設けられており、且つ、前記キャップ本体は、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムを当てがい内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれる前記エアゾール容器を受け入れるように上部中央に空所が設けられている。したがって、前記下係止部により前記ボタンを内容物噴射位置に保持した状態で、エアゾール容器を押し込むことにより、内容物の排出を行なうことができる。この排出は、ノズルを経ることなく、バルブステムの開口から直接行なわれるので、多量に行なわれ、短時間に排出作業を終えることができる。また、エアゾール容器の押し下げ力を解けば、バルブステムに作用しているばね力により、エアゾール容器が上昇し、簡単に排出状態を解除することができる。
【0018】
なお、内容物の排出操作は、一般的には、前述のようにキャップを正立状態で下に置き、エアゾール容器を倒立させてバルブステムをボタンの頭頂部に当てがい、容器胴部を押し下げるという操作により行なう。しかし、これを逆にし、エアゾール容器を正立させた状態で、キャップを倒立させ、ボタンの頭頂面(下向きに位置する)をバルブステムに当てがい、キャップを押し下げるという操作によって行なうこともできる。
【0019】
前記キャップ本体は、該キャップ本体の上部において前記ボタンを囲むように位置し前記噴射用開口部及び操作用凹部が形成された囲繞壁を備え、該囲繞壁の上部内周に嵌着部が形成されたものとすることができる。該嵌着部は、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムが当てがわれた状態で前記エアゾール容器が内容物噴射に必要な距離を押し込まれたときに、該エアゾール容器のマウンテンキャップにおけるバルブステム周囲の巻締め部に緊く嵌合して該嵌合状態を保持し得るように形成される。
【0020】
したがって、キャップ本体に対しエアゾール容器を押し込んだ噴射状態は、嵌着部と巻締め部との嵌合により保持され、手で押し込む状態を維持しなくても噴射を継続することができる。また、噴射を中断したいときは、前記嵌着部の嵌合を解いてキャップ本体をエアゾール容器から外せばよいので、操作が簡単であり、高い安全性が保証される。
【0021】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記エアゾール容器のバルブステムを当てがって押し下げた時に、該バルブステムの先端開口から側方へ内容物を導く内容物排出用流路を備えたものとすることができる。
【0022】
上記エアゾール容器用キャップによれば、ボタンの頭頂面に、容器から排出された内容物を流す流路を備えているので、排出される内容物の流出がボタンの頭頂面で阻害されることがなく、キャップ本体のボタン装着部、ボタンの頭頂面、及び容器で囲まれた領域に、確実かつ速やかに排出することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、前記ボタン装着部の側壁に、上下方向に延び下端部がキャップ本体内へ開いたスリットが形成されており、該スリットは、前記ボタンが前記下係止部に係止する位置に下降したときに、上部が該ボタンの頭頂面より上に露出するように形成されているものとすることができる。 このスリットの連通作用により、下降したボタンの頭頂面に当てがわれたバルブステムから噴射された内容物は、キャップ本体のボタン装着部、ボタンの頭頂面及び容器で囲まれた領域から、前記スリットを経て、ボタン装着部外側のキャップ本体内へと流れる。
【0024】
前記下係止部は、前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムを当てがって内容物を噴射した時に、該バルブステムからの噴射圧が危険値以上となると、変形して下方への抜け止めを解除するように構成されたものとすることができる。
【0025】
これにより、エアゾール容器内の温度が異常に高くなり内圧が上昇していた場合の危険性が回避される。すなわち、エアゾール容器内圧の上昇時には、バルブステムからの噴射圧も高くなり、エアゾール容器には強い噴射反力が作用する。このとき、キャップに固定的に保持されたボタンの頭頂面にバルブステムが当てがわれていると、ボタンがキャップごと飛ばされたり、噴射の反発力によりエアゾール容器が飛んだりするおそれがある。或いは、エアゾール容器とキャップとが分離しなくても、両者が結合されたまま傾いて噴射する状態となり、設置面との間隙から内容物が周囲に吹き飛ばされるおそれもある。これに対し、前記下係止部は、バルブステムからの噴射圧が危険値以上となると、変形して下方への抜け止めを解除するように構成されている。したがって、噴射圧が異常に高い場合には、上記支障が生じる前にボタンが下係止部から外れて、バルブステムの押し込み状態が解かれ、排出が停止する。これにより、排出の際の安全が確保される。
【0026】
前記ボタンは、該ボタンの頭頂面に開き該頭頂面から下方へ延びバルブステムを上方から受け入れる受入れ穴が形成され、該受入れ穴の下端部には、バルブステム先端に当接する当接部、及びバルブステム先端から噴射される内容物を通す開口が設けられているものとすることができる。このように、ボタン頭頂面に受入れ穴を設けることにより、排出時にステムをしっかりと保持することができ、排出操作が安全確実となる。
【0027】
前記エアゾール容器用キャップは、前記接続部がバルブステムを下方から挿入する接続穴を備えており、該接続穴と前記受入れ穴とは水平方向に位置をずらせて形成するのが望ましい。この配置により、ボタンを型成形する際に、型抜きを容易にしつつ、排出口を含めた部分を形成することができる。また、前記接続穴及び受入れ穴は、バルブステムを確実に受け入れる長さを要するが、このように両方の穴をずらせて配置することにより、キャップの高さを低くすることができる。
【0028】
本発明に係るエアゾール噴射装置は、噴射用内容物を含むエアゾール容器に、上記エアゾール容器用キャップのいずれかが装着されていることを特徴としている。
【0029】
上記エアゾール噴射装置によれば、エアゾール容器に、上記エアゾール容器用キャップのいずれかが装着されているので、エアゾール噴射装置には、エアゾール容器用キャップそれぞれの利点が反映される。したがって、エアゾール容器を廃棄する際の内容物の排出操作が容易であり、排出の途中停止を簡単に行なうことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るエアゾール容器用キャップを具体的に説明する。なお、説明に用いる図面においては、同一又は同種の部分に同じ番号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0031】
図1〜図3は、本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す図であり、図1は非使用時の状態、図2は通常使用時(噴射時)の状態、図3はエアゾール容器内の内容物排出時の状態を示している。また、図1〜図3における(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み、(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【0032】
この実施形態に係るエアゾール容器用キャップ1は、図1〜図3に示したように、キャップ本体11とボタン12とで構成されており、エアゾール容器(図1〜図3には容器の一部を図示。以下、「エアゾール容器」を単に「容器」と略記することがある)10に装着して用いられる。
【0033】
キャップ本体11は、ほぼ筒状で、下端部に容器10に装着するための嵌合部11d(図1(c)参照)が形成されており、嵌合部11dが容器10の巻締め部10aに嵌め合わされるようになっている。巻締め部10aは、容器胴部10bとマウンテンキャップ10cとを結合するために形成されている。また、キャップ本体11の上部はボタン12を囲む囲繞壁11aとなっている。この囲繞壁11aには、内容物である噴射物を通すための噴射用開口部11b、及び噴射用開口部11bに対向しキャップ本体11の上端側に開口し、ボタン押下げ時に手指を受け入れる操作用凹部11cが形成されている。さらに、キャップ本体11には、噴射用開口部11bと操作用凹部11cとの間に、容器10の中心軸方向に沿って形成され、ボタン12が挿入されるボタン装着部15が形成されている。また、キャップ本体11の内部、すなわち、容器10の上部、キャップ本体11の側壁、天井部、ボタン12などで囲まれた領域は空間となっている。
【0034】
ボタン12は、例えば、図1(b)、(c)に示したように、ボタン12の下部の中心部に、容器10の上部において突出しているバルブステム(以下、ステムと記す)16の先端部に接続される接続部17を備えている。ステム16から流出する容器10内の内容物は、ボタン12内に形成された管状の流路を介して、ボタン12の側壁に形成されたノズル12aから、容器10の中心軸に対してほぼ直角方向に噴射されるようになっている。また、ボタン12は、ボタン装着部15に沿って移動可能になっている。なお、ボタン12は、ステム16が上向きに付勢されているために、非使用時の状態では、ボタン装着部15内にあるボタン12を上昇位置に保持している。
【0035】
図2に示したように、被噴射剤が噴射される通常使用の場合には、ボタン12の上面が押圧されて、ステム16が押し下げられる。その操作によって、容器10内の噴射用ガス(高圧ガス)に伴って被噴射剤がノズル12aを介して噴射される。この押し下げ位置では、ノズル12aは噴射用開口部11bに臨む位置にあるので、被噴射剤は、キャップ1の外側へ噴射されることとなる。
【0036】
図4は、図1(c)におけるボタン装着部15及びボタン12を中心に示す拡大図である。また、図5、図6は、キャップ本体とボタンとを各々個別に示す図であり、図5(a),(b)は各々キャップ本体を上及び下から見た斜視図、図5(c)は図5(a)のVc-Vc線に沿う断面図である。また、図6(a),(b)は各々ボタンを上及び下から見た斜視図、図6(c)は図6(a)のVIc-VIc線に沿う断面図である。
【0037】
図4及び図5(a),(b)に示したように、キャップ本体11には、ボタン装着部15が形成されており、ボタン装着部15は上部及び底部が開口している。また、噴射用開口部11bと操作用凹部11cとを結ぶ方向(内容物噴射方向)に向き合う位置の側壁15a下端部には、ボタン12に係止する下係止部18c、18dが各々形成されており、前記ボタン12が内容物噴射のための下降位置又はそれより下方にあるときに該ボタンに係止する。そして、これとほぼ直交する方向に向き合う位置の側壁15a上部には、ボタン12に係止する上係止部18a,18bが形成されている。
【0038】
さらに、キャップ本体11は、下係止部18c,18dに係止しているボタン12の頭頂面にバルブステム16を当てがい内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれるエアゾール容器10を受け入れるように、上部中央に空所30が設けられている。すなわち、内容物排出の際には、図3に示すように、キャップ本体11に対して容器10が内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれる。このとき、キャップ本体11の空所30が、容器10のマウンテンキャップ10cにおけるステム16周囲の巻締め部13aを受け入れるように形成されている。
【0039】
この実施形態では、空所30に臨む囲繞壁11a側面には、内容物排出のために押し込まれた容器10の巻締め部13aに係止して、該押し込み状態を保持する嵌着部31が4箇所に設けられている。この嵌着部31は、図4,図5に示すように、キャップ本体11側面に形成された逆U字形の切欠き32の内側において下方から立ち上がる爪状に形成され、上端部に内側へ突出する鉤部31aが設けられている。巻締め部13aが空所30に押し込まれると、嵌着部31は外方へ変形し、その弾性力で巻締め部13aを押し込み位置に保持する。
【0040】
キャップ本体11における上係止部18a、18bの各々の両側には、上下方向に延びるスリット15bが形成されている。内容物排出の際には、下係止部18c、18dに係止する位置までボタン12が下降する。このスリット15bは、下降したボタン12の頭頂面に当てがわれたステム16から噴射された内容物を、キャップ本体のボタン装着部、ボタンの頭頂面及び容器で囲まれた領域から、ボタン装着部外側のキャップ本体内へと導出する役割をなす。 ボタン12の側壁12bには、図4及び図6(a),(b)に示したように、ボタン装着部15の側壁15aに形成された上係止部18a、18bに対応する位置を通って、上下方向に延びるガイド溝20a,20bが形成され、その下端部に係止用突起19a、19bが形成されている。ガイド溝20a,20bは、上係止部18a、18bと嵌め合わされ、これにより、ボタン12はボタン装着部15内で案内されつつ上下動可能となっている。また、上係止部18a、18bは、ボタン12がボタン装着部15内から上方へ抜け出ようとしたときに、係止用突起19a、19bに係止して抜け出るのを阻止する。この実施形態では、一方の上係止部18aが、他方の上係止部18bより幅が狭くなっており、これに対応して、ボタン12の一方のガイド溝20aが他方のガイド溝20bより幅が狭くされている。これにより、ボタン12をボタン装着部15に挿入する際に、ノズル12aの向きを誤らないようにされている。なお、ガイド溝20a,20bは、ボタン12に設ける代わりにボタン装着部15の側壁15aに設けることもできる。
【0041】
また、キャップ本体11の下係止部18c、18dは、側壁15a下端から内方へ張り出した壁部により形成されており、内容物排出のために押し下げられたボタン12を下から支えるストッパの役割をなす。下係止部18c、18dとスリット15bとの位置関係は、下係止部18c、18dに支持されたボタン12の頭頂面より上に、スリット15bの上部が露出するように決められる。これにより、下降したボタン12の頭頂面に当てがわれたステム16から噴射された内容物は、スリット15bを経てボタン装着部15の内側から外側のキャップ本体内へと流れる。ボタン12は、上係止部18a、18b、係止用突起19a、19b、及びこれらの周囲部を弾性変形させてキャップ本体11の上部からボタン装着部15に挿入される。
【0042】
このように、エアゾール容器用キャップ1の係止手段は、キャップ本体11のボタン装着部15の側壁15aに形成された上係止部18a、18b、及びボタン12の側壁12bに形成された係止用突起19a、19bによって構成されている。
【0043】
さらに、図6に示すように、ボタン12の頭頂面には、内容物排出用流路23が形成されている。内容物排出用流路(以下、「流路」と略記する)23は、内容物をより排出しやすくするための手段の1例である。ボタン12の頭頂面Tの中央部はほぼ凹状とされ、さらにその中央部に2本の平坦部24が平行状に形成され、その間隙が内容物排出用流路23となっている。内容物排出用流路23の幅は、ステム16の先端部の径より小さくされており、該先端部が入り込まず、且つ先端開口を塞がないようになっている。したがって、上記の流路23を設けることによって、内容物の排出性を大幅に向上させることができる。
【0044】
なお、内容物排出用の流路は、ボタン12の頭頂面Tに形成された溝状の流路に限定されない。例えば、ボタン12の頭頂面Tにおけるステム16の先端部に対応する位置に開口し、ボタン12内を通り、キャップ本体11内の空間部に対応する位置に開口する管状の流路であってもよい。また、ステム16の先端部と頭頂面Tとの間にギャップを形成することができるような突起、凹部などであってもよい。本明細書では、そのようなものをまとめて「流路」とする。このほか、ボタン12に流路を設けるのではなく、ステム16の先端部を斜めにカットした形態とし、ステム16のカット部の最先端部のみがボタン12の頭頂面Tに接触するようにしてもよい。
【0045】
エアゾール容器の廃棄時など、容器10内の内容物を排出する際には、次のようにして行なう。まず容器10に装着されているキャップ1を取り外し、装着時の姿勢(正立姿勢)のまま適宜の支持面上に置く。ボタン12は、容器10から取り外されたときに、最下端位置で下係止部18c、18dに支持されている。そして、図3に示すように、容器10を倒立させて、ステム16をボタン12頭頂面に対し内容物排出用流路23を覆うように当てがう。この状態で、マウンテンキャップ13cの巻締め部13aが嵌着部31に係合するまで容器10を押し下げる。これにより、ステム16は押し込まれて、内容物がステム先端から排出される。排出された内容物は、ボタン12の内容物排出用流路23からキャップ本体11のスリット15bを経て、キャップ1の内側へと流れる。そして、キャップ1下面と支持面との間から緩やかにキャップ外へと流出する。図7は、ボタン装着部15において径方向に対面する2個のスリット15bを通る平面でキャップ1及び容器10を切断した断面を示している。ステム16から排出された内容物が通る内容物排出用流路23が図に明示されている。なお、ステム16から排出された内容物は、一部がボタン12の頭頂面に沿って噴射用開口部11b等からキャップ本体11外へ流れることもあるが、ボタン12の上方をマウンテンキャップ13cが覆っているので多くはステム16直近のスリット15bへと流れ、キャップ本体11外に流れる量は問題とならない程度となる。
【0046】
多くのエアゾール噴射装置においては、バルブステムの下端部にはエアゾール容器内の底部まで延びるチューブが結合され、チューブ下端の開口部が、容器内の液体等に浸漬されている。この場合は、エアゾール容器を倒立させて排出を行なうと、加圧用のガスがステムから放出される。また、エアゾール噴射装置によっては、バルブステム下端に結合されたチューブが可撓性を備え、チューブ下端に錘が付けられたものもある。この場合は、エアゾール容器を傾斜させると、チューブ下端が錘と共にエアゾール容器の中で下方に沈む。そして、エアゾール容器を倒立させると、チューブがU字状に撓んで内容物の液体等に沈むものもあり、この場合には、エアゾール容器を倒立させて排出を行なうと、液体が放出される。
【0047】
排出を途中で停止させたい場合は、嵌着部31と巻締め部13aとの嵌合を解いてキャップ本体11をエアゾール容器10から外せばよい。これにより、ステム16は内蔵バネにより上昇して噴出が停止する。したがって、操作が簡単であり、高い安全性が保証される。
【0048】
また、図4に示した状態から明らかなように、エアゾール容器用キャップ1の場合には、内容物排出時に、ボタン12の頭頂面Tに当てがうステム16の先端部の位置を、噴射用開口部11bの下端部より低い高さに設定することが容易である。そのために、ワンタッチ式のキャップであるにもかかわらず、キャップ本体11内に内容物を排出することができるキャップを容易に設計することができる。言い換えれば、エアゾール容器用キャップ1は、キャップ設計上の制約条件が少ないので、エアゾール容器用キャップ1には、エアゾール容器を廃棄する際に、容易に内容物を排出することができるキャップであっても、デザイン性に優れたエアゾール容器用キャップを設計することができるという長所がある。
【0049】
図8は、本発明の実施形態2に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示している。このエアゾール容器用キャップは、実施形態1のものと、キャップ本体11におけるボタン装着部15の下係止部の構造が異なっており、他の構造は同じである。図8はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、各々異なる状態を示している。図8(a)は、非使用時の状態であり、実施形態1と同様に、ステム16と共にボタン12が上昇位置にある。図8(b)は、内容物排出時の状態であり、実施形態1と同様に、排出のために倒立されたエアゾール容器10のステム16がボタン12の頭頂面Tに当てがわれて押し込まれている。図8(c)は、危険値以上の噴射圧によりボタンが脱落した状態を示している。
【0050】
図8(c)のようなボタン12の脱落を可能にするために、ボタン装着部15における下係止部18c’、18d’は、図9にも示すように、側壁15aからボタン装着部15の内方への突出量が小さくされている。図9における(a)はキャップ本体11を下から見た斜視図、(b)はキャップ本体11の底面図、(c)はキャップ本体の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(d)は(b)のIXd-IXd線に沿う断面図である。
【0051】
さらに、この実施形態においては、下係止部18c’、18d’の両側にボタン装着部15の円筒高さのほぼ半分までの短いスリット34が形成されている。
【0052】
前述の通り、図8(b)のようにキャップ本体11に対して容器10が倒立状態で押し下げられたとき、ステム16が押し込まれ、噴出した内容物は、スリット15bを通ってキャップ本体11内へ流れる。このとき、容器10内の温度が、直射日光の影響や、高温下での保存等により異常に高いと、次のような危険がある。すなわち、容器内の蒸気圧の上昇により、内容物は急激にステム16から噴出することになる。これにより、エアゾール容器には強い噴射反力が作用する。その結果、ステムが押し当てられているボタン12がキャップ1ごと飛ばされたり、噴射の反発力によりエアゾール容器10が飛んだりするおそれがある。或いは、エアゾール容器とキャップとが分離しなくても、噴射圧により、両者が結合されたまま傾いて噴射する状態となり、設置面との間隙から内容物が周囲に吹き飛ばされるおそれもある。 特に、上記実施形態の構造では、内容物が、スリット15bからキャップ本体11内へ流れるので、急激な流れによりキャップ本体11内に高圧を生じる。また、スリット15b等からの流出量を超えた分は、マウンテンキャップ13cとキャップ本体11との間の空間に溜まって急激に高圧を生じる。この状況下で、ボタン12が下係止部により堅固に保持されていると、急激な高圧発生により、容器10がキャップ本体11から外れて飛んだり、キャップ本体11が持ち上がって支持面から飛んだりすることがあり、極めて危険である。
【0053】
これに対し、実施形態2によれば、ボタン装着部15における下係止部18c’、18d’は突出量が小さくされ、下係止部18c’、18d’の両側にはスリット34が形成されている。これら下係止部18c’、18d’及びスリット34は、バルブステムからの噴射圧が危険値以上になると、下係止部18c’、18d’が変形して下方への抜け止めを解除するように構成される。その結果、噴射圧が異常に高い場合には、キャップ又はエアゾール容器が飛ぶ前にボタン12が下係止部18c’、18d’から外れて、バルブステム15の押し込み状態が解かれ、排出が停止する。これにより、排出の際の安全が確保されるのである。
【0054】
下係止部18c’、18d’が下方への抜け止めを解除するに至る噴射圧、すなわち噴射圧の危険値は、ステムからの噴出量、エアゾール容器の重さ、嵌合部と巻締め部との嵌合強度、使用者がエアゾール容器を把持してバルブステムを押し込む力等を考慮して、決められる。また、噴射圧は、排出時の噴射に伴ってエアゾール容器とキャップとの間に作用する力(噴射力)に置き換えることができ、これによると、以下の観点から決められる。すなわち、危険値に相当する噴射力は、以下の(a)及び(b)、或いは(a)及び(c)を満たすように決められる。
(a) 内容物排出のためにバルブステムを押し込むのに要する力より大きい。
(b) キャップとエアゾール容器との結合を外すのに要する力より小さい。
(c) キャップとエアゾール容器とを結合状態のまま傾ける力より小さい(エアゾール容器倒立、キャップ正立の場合)。
【0055】
キャップとエアゾール容器との結合については、キャップの嵌着部とエアゾール容器の巻締め部との嵌合により結合が保持される場合と、手による押し込みで結合を維持する場合とがある。上記(b),(c)に基づく決定は、これらのいずれに該当するかを考慮して行なわれる。
【0056】
図10は、本発明の実施形態3に係るエアゾール容器用キャップを示している。このエアゾール容器用キャップは、実施形態2のものと、キャップ本体11におけるボタン装着部15の下係止部周辺の構造が異なっており、他の構造は同じである。図10における(a)はキャップ本体11を下から見た斜視図、(b)は図9(b)のIXd-IXd線に沿う断面図と同様の断面図である。
【0057】
この実施形態においても、ボタン装着部15における下係止部18c”、18d”は、側壁15aからボタン装着部15の径方向内方への突出量が小さくされている。但し、この実施形態においては、下係止部18c”、18d”の両側にスリットが形成されていない。この場合においても、下係止部18c”、18d”は、実施形態2の場合より突出部分を短く或いは薄くしたり、撓み易い材質としたりすることにより、係止強さを調節し、バルブステムからの噴射圧が危険値以上になると、変形して下方への抜け止めを解除するように構成することができる。その結果、噴射圧が異常に高い場合には、キャップ又はエアゾール容器が飛ぶ前にボタン12が下係止部18c”、18d”から外れて、排出を停止させて排出の際の安全が確保される。
【0058】
図11〜図13は、本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す図であり、図11は非使用時の状態、図12は通常使用時(噴射時)の状態、図13はエアゾール容器内の内容物排出時の状態を示している。また、図11〜図13における(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。このエアゾール噴射装置の基本的な構造は、実施形態1のものと同じであるので、以下では相違する点を中心に説明する。
【0059】
図11〜図13及び図14に示すように、キャップ本体11は、実施形態1のものより全体として丸みを帯びた形状をなしているが、機能は実施形態1のものと同じである。また、実施形態1と同様に、キャップ本体11のボタン装着部15にボタン12が挿入され、キャップ1は嵌合部11dを巻締め部10aに嵌合させて容器10に装着されている。
【0060】
この実施形態においては、ボタン装着部15に装着されたボタン12が次の構造を有している。図15及び図16はボタン12の構造を示しており、図15の(a)は上から見た斜視図、(b)は下から見た斜視図、(c)は平面図である。また、図16の(a)は図15(c)のXVIa-XVIa線に沿う断面図、(b)は図15(c)のXVIb-XVIb線に沿う断面図である。
【0061】
この実施形態においては、ボタン12の頭頂面Tは、緩やかな凹状をなし、そのほぼ中央に、ステム16を上方から受け入れる受入れ穴51が形成されている。受入れ穴51は、頭頂面Tから筒状に延びる側壁52と、該側壁の下端に設けられた底壁53とにより囲まれて上方に開くように形成されている。また、側壁52下部と底壁53との一部を切欠いて排出口54が形成されている。底壁53は、受入れ穴51に挿入されたステム16の先端を受け止める当接部の役割をなす。このようにボタン頭頂面に受入れ穴51を設けることにより、排出時にステム16をしっかりと保持することができ、排出操作が安全確実となる。
【0062】
接続部17はステム16を下方から受け入れる接続穴を備えており、該接続穴は受入れ穴51から水平方向にノズル12a寄りに位置をずらせて設けられている。この配置により、ボタン12を型成形する際に、型抜きを容易にしつつ、排出口54等を含めたこれらの部分を形成することができる。また、接続穴及び受入れ穴は、ステム16を確実に受け入れる長さを要するが、このように両方の穴をずらせて配置することにより、キャップの高さを低くすることができる。尤も、排出口54と接続部17とを同軸又は一部重なるように設けることもできるが、この場合は、排出口54を型成形の後加工とし、或いは、接続部17を含む部分と、排出口54と含む部分とを別個に製造して接合することにより、ボタン12を製作するのが望ましい。
【0063】
また、ボタン12の底部には、ボタン12側壁下端から外向きに張り出したフランジ56が設けられている。フランジ56は、ノズル部分の下方に位置する前端部56aと、該前端部からボタン側方へ延びる前側部と、切欠き部57を経てボタン後部に設けられた後側部56cとからなっている。キャップ本体11におけるボタン装着部15は、ボタン12の側壁及びノズルを囲むように延びる側壁15aにより形成されている。この実施形態においては、ボタン12は、ボタン装着部15に下方から挿入される。フランジ56は、ボタン12が挿入されたときに、ボタン装着部15の下端部とボタンとの間にできる隙間を閉じる役割をなす。
【0064】
キャップ本体11におけるボタン装着部15の下端には、下係止部18e,18fが設けられている。この下係止部18e,18fは、ボタン12下端の切欠き部57においてボタン側壁に係合するように配置されている。下係止部18e,18fは、ボタン12をボタン装着部15に下方から挿入するときに弾性変形して、その挿入を可能にする。
【0065】
また、キャップ本体11の嵌着部31’は、囲繞壁11aの内壁面から内側に突出する鈎状に形成されている。この実施形態では、実施形態1のような周囲の切欠き部は形成されていない。
【0066】
この実施形態に係るキャップを備えたエアゾール噴射装置から内容物を排出する場合は、実施形態1の場合と同様に、キャップ1を容器10から取り外し、正立姿勢のまま適宜の支持面に置き、図3に示すように、容器10を倒立させて、ステム16をボタン12頭頂面に対し内容物排出用流路23を覆うように当てがう。そして、マウンテンキャップ13cの巻締め部13aが嵌着部31’に係合するまで容器10を押し下げればよい。これにより、ステム16は押し込まれて、内容物がステム先端から排出される。排出された内容物は、受入れ穴51に入り、排出口54を経て、ボタン12内からキャップ本体11内へと流れる。排出口54は、側壁52下部と底壁53との一部を切欠いて設けられているので、ステム16から噴出した内容物は、一旦底壁53に当たって噴出速度を弱める。底壁53がないとステム16からの噴出物がキャップ下面に位置する支持面に噴出速度を有したまま接触するので、支持面に損傷を加えるなどの支障を来すおそれがあるが、この実施形態においてはそのような支障が回避される。尤も、ステム16からの噴出物が支持面に直接到達するのが問題とならない場合は、底壁を省略し、受入れ穴51下端にはステム16先端を受け止める部材を配置すればよい。
【0067】
なお、図17に示すように、容器10を正立させたまま、キャップ1を倒立状態としてステム16に当てがって押し込むことにより、内容物の排出を行なうこともできる。この場合も、排出された内容物は、受入れ穴51に入り、排出口54を経て、ボタン12内からキャップ本体11内へと流れる。この場合、受入れ穴51は、底壁53により先端側端面が閉じられているので、ステム16から噴出した内容物が上方へ飛び散ることがない。また、排出される内容物が液体又は粉体の場合、内容物は先ずボタン12内に溜まり、さらに排出が続くとボタン12から溢れる。この実施形態においては、ボタン装着部15の側壁15aとボタン12との隙間はフランジ56により閉じられているので、溢れた内容物はフランジ56を越えてキャップ本体11内へと流れる。
【0068】
この実施形態に係る下係止部18e,18fも、実施形態2又は3のように、バルブステムからの噴射圧が危険値以上になると、下係止部が変形してボタン12に対する抜け止めを解除するように構成することができる。
【0069】
図18は、実施形態5に係るエアゾール容器用キャップ4を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は噴射用開口部側から見た正面図である。図18に示したエアゾール容器用キャップ4は、実施形態1〜3に係るエアゾール容器用キャップ1〜3とほぼ同様な構成であり、噴射用開口部の形状のみが相違している。図18に示したエアゾール容器用キャップ4の場合は、キャップ本体41の噴射用開口部41bは、上部側が閉じた孔となっており、該孔は、正面視円形、楕円形などの形状とすることができる。なお、操作用凹部41cは、通常容器13を片手で持ち、人差し指でボタンの操作が行われるので、操作性の観点から、上部側が開口した凹形であることが好ましい。
【0070】
実施形態1〜3に示したエアゾール容器用キャップのように、キャップ本体の嵌合部が、容器の巻締め部に外側から嵌め合わされ、噴射用開口部が、上部が開口した凹形の場合には、容器からキャップ本体を取り外しやすいキャップを設計できるという利点がある。すなわち、キャップ本体を比較的薄肉で軟質の樹脂などで形成する場合、噴射用開口部と操作用凹部との間に位置するキャップ本体の上端部近傍の側壁を両側から指などで挟み、多少力を加えるだけで、容器からキャップ本体を取り外すことができる。これは、上記の持ち方をすることにより、キャップ本体の下端部に形成された容器への嵌合部が、挟んだ方向とは逆向き、すなわち容器に対して外向きに開く作用を受けるからである。
【0071】
図19は、本発明の実施形態に係るエアゾール噴射装置を示す斜視図である。図19に示したエアゾール噴射装置5は、エアゾール容器13及びエアゾール容器用キャップ1により構成されている。エアゾール容器13には、塗料、殺虫剤、芳香剤、脱臭剤、家庭用洗浄剤、防カビ剤、除菌剤、医薬品、化粧品、医薬部外品などの被噴射剤及び液化プロパンガス、液化ブタンガス、代替フロンガス、高圧の窒素ガス、炭酸ガスなどの噴射用ガスが収められている。また、図示しないが、エアゾール容器13の頭部領域には、内部にバルブ機構が設けられており、エアゾール容器13の中心軸に沿って、上向きに付勢されたバルブステムの一端が突出している。
【0072】
さらに、図1〜図3に示したように、エアゾール容器13の肩部に形成された巻締め部13aに、キャップ本体11の下端部に形成された嵌合部11dが嵌め合わされて、エアゾール噴射装置5として組み立てられている。エアゾール噴射装置5の非使用時、通常の使用時、内容物の排出時におけるステム16とボタン12との関係はすでに説明したとおりである。なお、図19エアゾール噴射装置5には、実施形態1〜5のエアゾール容器用キャップを用いることができる。
【0073】
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、キャップ本体に設けた嵌着部31,31’は必ずしも必要ではなく、省略することもできる。但し、これを省略したときは、内容物を排出している間、エアゾール容器とキャップとを押しつけた状態に手等により保持する必要がある。その他、実施形態1〜5に示した各部の仕様は、他の実施形態に適宜適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップの非使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップの通常使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップに関するエアゾール容器内の内容物排出時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図4】図1に示したエアゾール容器用キャップにおけるボタンを中心に示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップのキャップ本体を示す図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は(a)に示したVc−Vc切断線における断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップのボタンを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は(a)に示したVIc−VIc切断線における断面図である。
【図7】図3に示した内容物排出時の状態について、キャップを中心に拡大して示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態、(c)はボタンがボタン装着部から脱落した状態を示している。
【図9】図8に示したエアゾール容器用キャップにおけるキャップ本体を示す図であり、(a)は下から見た斜視図、(b)は平面図、(c)は中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(d)は(a)に示したIXd-IXd切断線における断面図である。
【図10】本発明の実施形態3に係るエアゾール容器用キャップのキャップ本体を示す図であり、(a)は下から見た斜視図、(b)は中心軸を含む噴射方向に直交する断面図である。
【図11】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップの非使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図12】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップの通常使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図13】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップに関するエアゾール容器内の内容物排出時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はエアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(c)はエアゾール容器の中心軸を含み(b)に示した断面に直交する面における断面図である。
【図14】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップのキャップ本体を示す図であり、(a)は下から見た斜視図、(b)は平面図、(c)は(a)に示したXIVc-XIVc切断線における断面図である。
【図15】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップのボタンを示す図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は平面図である。
【図16】図15に示したボタンの断面図であり、(a)は中心軸を含む噴射方向に沿う断面図、(b)は図15(c)に示したXVIb-XVIb切断線における断面図である。
【図17】本発明の実施形態4に係るエアゾール容器用キャップについて、図13に示したものと異なる内容物排出状態を示す断面図である。
【図18】本発明の実施形態5に係るエアゾール容器用キャップを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は噴射用開口部側から見た正面図である。
【図19】本発明の実施形態に係るエアゾール噴射装置を示す斜視図である。
【図20】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップの一例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)はエアゾール容器の内容物排出時の状態を示している。
【図21】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップの別の例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態を示している。
【図22】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップのさらに別の例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態を示している。
【符号の説明】
【0075】
1、4 エアゾール容器用キャップ
5 エアゾール噴射装置
11 キャップ本体
11b 噴射用開口部
11c 操作用凹部
11d 嵌合部
12 ボタン
12a ノズル
12b 側壁
10 エアゾール容器(容器)
11 キャップ本体
11a 囲繞壁
13a 巻締め部
14 内容物排出用流路
15 ボタン装着部
16 バルブステム(ステム)
17 接続部
18a、18b 上係止部
18c、18d、18c’、18d’、18c”、18d”、18e、18f 下係止部
19a、19b 係止用突起
30 空所
31、31’ 嵌着部
51 受入れ穴
53 底壁(当接部)
54 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に装着して用いられ、キャップ本体とボタンとで構成されたエアゾール容器用キャップであって、
前記キャップ本体は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部を備え、噴射物を通すための噴射用開口部、及び上端側に開口しボタン押下げ時に手指を受け入れる操作用凹部を側部に備えるとともに、前記ボタンが装着されるボタン装着部を備え、
前記ボタンは、下部に、前記エアゾール容器上部から突出しているバルブステムに接続される接続部、及び前記噴射用開口部に面し、前記接続部を介して前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズルを備え、
前記ボタン装着部は、前記ボタンに係止して上方及び下方への抜け止めを各々行なう上係止部及び下係止部を備え、前記ボタンを両係止部間で上下動可能に支持しており、
前記上係止部は、前記接続部に接続されたバルブステムが噴射停止状態にある上昇位置又は該位置より上方で前記ボタンに係止し得るように設けられており、
前記下係止部は、内容物噴射のための下降位置又は該位置より下方にある前記ボタンに係止し得るように設けられており、
前記キャップ本体は、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムを当てがい内容物噴射に必要な距離に亘って押し込まれる前記エアゾール容器を受け入れるように上部中央に空所が設けられていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体は、該キャップ本体の上部において前記ボタンを囲むように位置し前記噴射用開口部及び操作用凹部が形成された囲繞壁を備え、該囲繞壁の上部内周には、前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムが当てがわれた状態で前記エアゾール容器が内容物噴射に必要な距離を押し込まれたときに、該エアゾール容器のマウンテンキャップにおけるバルブステム周囲の巻締め部に緊く嵌合し噴射圧に抗して該嵌合状態を保持し得る嵌着部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項3】
前記下係止部に係止した前記ボタンの頭頂面に前記エアゾール容器のバルブステムを当てがって押し下げた時に、該バルブステムの先端開口から側方へ内容物を導く内容物排出用流路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項4】
前記ボタン装着部の側壁に、上下方向に延び下端部がキャップ本体内へ開いたスリットが形成されており、該スリットは、前記ボタンが前記下係止部に係止する位置に下降したときに、上部が該ボタンの頭頂面より上に露出するように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項5】
前記下係止部は、前記ボタンの頭頂面に前記バルブステムを当てがって内容物を噴射した時に、該バルブステムからの噴射圧が危険値以上となると、変形して前記ボタンに対する下方への抜け止めを解除するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項6】
前記ボタンには、該ボタンの頭頂面に開き該頭頂面から下方へ延びバルブステムを上方から受け入れる受入れ穴が形成されており、該受入れ穴の下端部には、バルブステム先端に当接する当接部、及びバルブステム先端から噴射される内容物を通す開口が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項7】
前記接続部がバルブステムを下方から挿入する接続穴を備えており、該接続穴と前記受入れ穴とは水平方向に位置をずらせて形成されていることを特徴とする請求項6に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項8】
噴射用内容物を含むエアゾール容器に、請求項1〜7のいずれかに記載のエアゾール容器用キャップが装着されていることを特徴とするエアゾール噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−99284(P2007−99284A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287670(P2005−287670)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【特許番号】特許第3814726号(P3814726)
【特許公報発行日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】