説明

エアゾール式製品のガス抜き用治具および、ガス抜き用構造,エアゾール式製品

【課題】使用済みで廃棄対象のエアゾール式製品のガス抜きを行なう際に、操作ボタンをステムから取り外すといった中間作業を不要にして、ガス抜きの作業手順の簡単化を図ることを目的とする。
【解決手段】エアゾール容器のカバー体13にガス抜き用の治具14が一体成形されている。ガス抜きの際は、先ず、治具14をカバー体13から切り取ってその筒状部14cを操作ボタン16の噴口16aに続く凹状部16bに嵌合させる。その後、操作ボタン13および治具14の一体物を押下げてその段部14dをカバー体13の内面縁部13bに係合させる。この係合により、操作ボタンと一体のステムが内容物放出の作動モードと同じ状態に自己保持され、エアゾール容器の残留ガスは操作ボタン16の噴口16aおよび治具14の孔部14bを経て外部空間に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式製品を対象としたガス抜き用治具やガス抜き用構造などに関し、特にエアゾール式製品の作動モード(=内容物放出状態)と、静止モード(=内容物封止状態)とを選択的に設定するためのアクチュエータ自体を、ガス抜き用の作動モード対応位置に簡単に、また確実に保持して、この保持状態で、使用済みエアゾール(内容物を使い切って廃棄対象となったエアゾール式製品)の残留ガスが外部空間に放出されるようにしたガス抜き用治具やガス抜き用構造などに関する。
【0002】
これらのガス抜き用治具やガス抜き用構造などは使用済みエアゾールを廃棄するときに初めて必要となり、まだ内容物が存在しているエアゾール式製品の使用段階ではまったくの不要品である。
【0003】
そのため、ガス抜き用治具などの形状・構造は、エアゾール式製品の通常の使用段階では内容物放出動作の障害とならず、また利用者にとっていわば目障りにもならず、そして最終的な廃棄段階では利用者が特別探すことなしにもそれを手にできて使用済みエアゾールに簡単にセットできるようになっていることが望ましく、本発明はこの要請に応えるものである。
【0004】
なお、本明細書では、エアゾール式製品およびエアゾール容器,容器本体,アクチュエータ,バルブなどの各用語を、概略次のような関連性の下で使っている。
【0005】
すなわち、
・エアゾール式製品は、エアゾール容器に後述の放出対象内容物や放出用ガスを収容して使用可能状態に設定済みのものであり、
・エアゾール容器は、容器本体にバルブやアクチュエータを取り付けたものであり、
・容器本体は、マウンティングカップ取り付け用の開口部を持つ缶形状のものであり、
・バルブは、エアゾール式製品の作動モード/静止モードを設定するための機構であってマウンティングカップやハウジング,ステム,ステムガスケットなどからなり、
・アクチュエータは、バルブと連結して内容物を放出するための作動部であって操作ボタンやスパウトなどが該当する。
【背景技術】
【0006】
本件出願人は、静止モードでは操作ボタンやバルブを覆って保護し、作動モードではエアゾール容器から取り外されてしまうキャップを、使用済みエアゾールにおけるガス抜き状態の自己保持部材として作用させる、すなわち当該キャップをガス抜き用治具として用いることを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このキャップを用いて使用済みエアゾールのガス抜き処理を行なうときの利用者の作業手順は次のようになる。
(1)キャップをエアゾール容器から取り外す。
(2)いわば出力弁として作用するステムから操作ボタンを取り外す。
(3)先に取り外したキャップでステムを通常の作動モード(操作ボタンが押されて内容物が外部空間に放出される状態)の位置まで押下げて、当該キャップの一部を容器本体側のマウンティングカップに係合させる。
【0008】
この係合によりステムは作動モードと同じ状態に保持され、エアゾール容器内の残留ガスは確実に外部空間に流出していく。
【特許文献1】特開2004−75124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、提案済みの、操作ボタン保護用のキャップを利用したガス抜き用治具は、エアゾール式製品全体の構成部品点数を特に増やすことなしに使用済みエアゾールのガス抜き状態(=ステムを作動モード対応位置に移動させた状態)を簡単・確実に設定できるといった利点を有するものである。
【0010】
ただ、ガス抜き状態設定用のキャップで操作ボタンを押下げるのではなく、ステムを押し下げることになる。すなわち操作ボタンをステムから取り外すといった作業を行なうことが前提になっている。
【0011】
そのため、利用者によってはガス抜き状態の設定手順にいくらかの煩雑感を覚えることもあり、上述の提案はこの点で改善の余地を残したものとなっている。
【0012】
そこで、本発明では、ガス抜き用治具をエアゾール容器と分離可能な形で一体化させておき、ガス抜きに際しては、この分離後の治具を、操作ボタンなどのアクチュエータに取り付けた後で、当該操作ボタンなどを作動モード対応位置まで移動させて当該治具をエアゾール容器に係合させるようにして、すなわち操作ボタンなどのアクチュエータをステムから取り外すといった中間作業を不要にして、ガス抜きの作業手順の簡単化を図ることを目的とする。
【0013】
また、ガス抜き用治具の全体形状としても、操作ボタンなどのアクチュエータに取り付けられ部分と、エアゾール容器に係合する部分とが少なくとも存在すればよいようにして、当該ガス抜き用治具自体の小型化やその製造の容易化を図ることを目的とする。
【0014】
また、エアゾール容器のカバー体とガス抜き用治具などとを一体成形し、さらには当該治具の形態を既存のアクチュエータの一部に取り付けることができるものにして、すなわち当該治具の取付部をアクチュエータに新設しないようにして、ガス抜き用治具の設置にともなうコスト増を少なくするとともに、エアゾール容器の構成要素の有効活用を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)エアゾール式製品の作動モード設定用のアクチュエータ(例えば後述の操作ボタン6,16)をその作動モード対応位置に保持して容器内部の残留ガスを外部空間に放出するためのガス抜き用治具(例えば後述の治具4,14)において、分離可能な状態でエアゾール容器と一体化され、前記アクチュエータに取り付けられる被取付け部(例えば後述の突状部4d,筒状部14c)と、前記エアゾール容器に係合する被係合部(例えば後述の段部4c,14d)とを少なくとも備えた構成とする。
(2)上記(1)において、作動モード時にも前記エアゾール容器の容器本体(例えば後述の容器本体1)と嵌合したままのカバー体(例えば後述のカバー体3,13)と一体成形されたもので、かつ、前記被取付け部として、既存の前記アクチュエータ自体の放出口側凹状部(例えば後述の凹状部16b)に対応の筒状部(例えば後述の筒状部14c)を形成したものである。
(3)エアゾール式製品の作動モード設定用のアクチュエータ(例えば後述の操作ボタン6,16)をその作動モード対応位置に保持することにより、容器内部の残留ガスを外部空間へ放出するガス抜き用構造において、分離可能な状態でエアゾール容器と一体化されて、かつ、前記アクチュエータに取り付けられる被取付け部(例えば後述の突状部4d,筒状部14c)と、当該エアゾール容器に係合する被係合部(例えば後述の段部4c,14d)とを少なくとも備えたガス抜き用治具(例えば後述の治具4,14)を有し、前記エアゾール容器は、前記ガス抜き用治具の前記被係合部に対する係合部(例えば後述の開口部3c,内面縁部13b)を備えたものとする。
(4)上記(3)において、前記ガス抜き用治具は、作動モード時にも前記エアゾール容器の容器本体(例えば後述の容器本体1)に嵌合したままのカバー体(例えば後述のカバー体3,13)と一体成形され、かつ、前記被取付け部として既存の前記アクチュエータ自体の放出口側凹状部(例えば後述の凹状部16b)に対応の筒状部(例えば後述の筒状部14c)を形成したものである、
【0016】
このような構成からなるガス抜き用治具およびガス抜き用構造キャップ、さらにはこのガス抜き用構造を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、このように、使用済みで廃棄対象のエアゾール式製品のガス抜きを行なう際には、エアゾール容器から分離させたガス抜き用治具を操作ボタンなどのアクチュエータに取り付けた後で、このアクチュエータを作動モード対応位置まで移動させて当該治具をエアゾール容器に係合させるようにしているので、操作ボタンなどのアクチュエータをステムから取り外すといった中間作業を不要にして、ガス抜きの作業手順の簡単化を図ることができる。
【0018】
また、ガス抜き用治具を、アクチュエータに取り付けられ部分とエアゾール容器に係合する部分とからなる形態にしているので、当該ガス抜き用治具自体の小型化やその製造の容易化を図ることができる。
【0019】
また、エアゾール容器のカバー体をガス抜き用治具など含む態様で一体成形し、さらには既存のアクチュエータの放出口側に取り付けられる形態の治具にしているので、ガス抜き用治具の付加にともなうコスト増を抑えるとともに、これまでの金型で作成されるアクチュエータの有効活用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1乃至図4を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0021】
ここで、
図1は、操作ボタンの新設孔部に取り付ける形式のガス抜き用治具の使用態様を示し、
図2は、図1のガス抜き用治具の使用モード(=ガス抜きモード)であって、(a)はガス抜きモード解除用片部を形成していないガス抜き用治具の場合を、(b)はガス抜きモード解除用の突出片部を形成したガス抜き用治具の場合をそれぞれ示し、
図3は、操作ボタンの既設孔部に取り付ける形式のガス抜き用治具の使用態様を示し、
図4は、図3のガス抜き用治具の使用モード(=ガス抜きモード)であって、(a)はガス抜きモード解除用片部を形成していないガス抜き用治具の場合を、(b)はガス抜きモード解除用の突出片部を形成したガス抜き用治具の場合をそれぞれ示している。
【0022】
図1および図2において、
1はブリキ製の容器本体,1aは缶胴,1bは目金部,1cはこれら缶胴および目金部の巻締部分に生成される下側環状凹部,1dは当該目金部と後述のマウンティングカップ2との巻締部分に生成される上側環状凹部,
2は目金部1bの開口端部に取り付けられてハウジング(図示省略)を保持するマウンティングカップ,
3は容器本体1に取り付けられたカバー体,3aは下側環状凹部1cと嵌合する環状の下側アンダーカット(突状部),3bは上側環状凹部1dと嵌合する環状の上側アンダーカット(突状部),3cはガス抜きモードにおいて後述の治具4の段部4cと係合する開口部,3dは内容物通過用の入力側筒状部,3eは当該入力側筒状部に続く下流側通路,3fは後述の操作ボタン6をその両側面から挟み込む形で保護する一対の壁状起立部,3gは後述のノズル7が回動可能な形で取り付けられるアタッチメント部,
4はカバー体3と一体成形されてガス抜きモードへの移行時に楔作用を呈するガス抜き用の治具,4aはカバー体3とつながっている薄肉状の接続片(三個),4bはガス抜きモードにおいて後述の操作ボタン6の孔部6dと嵌合する突状部,4cは同じくガス抜きモードにおいてカバー体3の開口部3cと係合する段部,4dは当該段部へと続く部分であってガス抜きモードへの移行時の当該治具とカバー体3の対応内周面との間の一時的な逃げ動作を案内するテーパ部,4eは当該治具の係合状態を解除するための突出片部,
5はハウジング(図示省略)の内部に下側部分が配されてステムガスケット(図示省略)とともに内容物の出力弁として作用するステム,
6はカバー体3の入力側筒状部3dおよびステム5に取り付けられた操作ボタン(アクチュエータ),6aは当該入力側筒状部と嵌合する貫通部,6bはステム5の上端部分と係合する開口部,6cは当該貫通部と当該開口部との間の上流側通路,6dは治具4の突状部4bと嵌合する孔部,
7はカバー体3のアタッチメント部3gに取り付けられて回動可能な長尺ノズル,
をそれぞれ示している。
【0023】
また、図3および図4の構成要素の中で形状,構造などが図1および図2のそれと異なっているのはカバー体13や治具14,操作ボタン16であり、
13は容器本体1に取り付けられたカバー体,13aは上側環状凹部1dと嵌合する環状のアンダーカット(突状部),13bはガス抜きモードにおいて後述の治具14の段部14dと係合する上開口側(操作ボタン16の噴口対応側)の内面縁部,13cは操作ボタン16をその両側面から挟み込む形で保護する一対の壁状起立部,
14はカバー体13と一体成形されてガス抜きモードへの移行時に楔作用を呈するガス抜き用の治具,14aはカバー体13とつながっている薄肉状の接続片(三個),14bは
ガス抜き用の孔部,14cはガス抜きモードにおいて操作ボタン16の凹状部16bと嵌合する筒状部,14dは同じくガス抜きモードにおいてカバー体13の内面縁部13bと係合する段部,14eは当該段部へと続く部分であってガス抜きモードへの移行時の当該治具とカバー体13の対応内周面との間の一時的な逃げ動作を案内するテーパ部,14fは当該治具の係合状態を解除するための突出片部,
16はステム5に取り付けられた操作ボタン(アクチュエータ),16aは内容物の噴口,16bは当該噴口の外側に続く凹状部,16cはステム5の上端部分と係合する開口部,16dは当該噴口と当該開口部との間の通路,
をそれぞれ示している。その他の参照番号は図1および図2の場合と同じである。
【0024】
ここで、カバー体3,13およびガス抜き用の治具4,14の材質は、ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレートなどのプラスチックである。
【0025】
また、カバー体3,13と一体の治具4,14は当該カバー体の外周面から飛び出てはいないので、エアゾール式製品全体の外観も治具なしの場合と同じようにきれいなものになっている。
【0026】
また、治具4の突状部4bおよび治具14の筒状部14cは、利用者がこれらの治具をカバー体3,13から取り外すときのいわば把持部としても作用する。
【0027】
また、図1および図2のカバー体3および長尺ノズル7はいわゆる2ウェイ噴射方式に対応しており、この回動ノズルを用いた2ウェイ噴射自体は周知のものである(例えば特開2004−75124号公報参照)。
【0028】
図示していないが、カバー体3の下流側通路3eに続く部分には、
・(図3,図4の噴口16aに対応の)噴口
・当該通路と、当該噴口または長尺ノズル7の一方とを選択的に連通させるための通路切換え部
などが設けてある。
【0029】
また、ガス抜きモード(および作動モード)における容器内部の放出用ガスや内容物の流れ経路は、
・図1,図2の場合は、容器本体1−ステム5−操作ボタン6の上流側通路6c−カバー体3の入力側筒状部3d−カバー体3の下流側通路3e−(図3,図4の噴口16aに対応の)噴口/長尺ノズル7
・図3,図4の場合は、容器本体1−ステム5−操作ボタン16の通路16d−操作ボタン16の噴口16a−操作ボタン16の凹状部16b−治具14の孔部14b
材に対応の)噴口/長尺ノズル7
といったそれぞれのルートになる。
【0030】
図1〜図4のガス抜き用構造の主たる特徴は、
(a)カバー体3,13およびガス抜き用の治具4,14を金型で一体成形したこと、
(b)廃棄対象のエアゾール容器のガス抜きを行なう際には、治具4,14をカバー体3,13から外して操作ボタン6,16にそれぞれ取り付け、その後、当該操作ボタンを押下げて当該治具を当該カバー体に係合させること、
である。
【0031】
このときの治具4,14それぞれの取付け状態および係合状態は、
・治具4の場合、突状部4bが操作ボタン6の孔部6dに取り付けられ、また段部4cがカバー体3の開口部3c(の上端部分)に係合し、
・治具14の場合、筒状部14cが既存の操作ボタン16の凹状部16bに取り付けられ、また段部14dがカバー体13の内面縁部13bに係合した、
かたちになっている。
【0032】
そのため、使用済みのエアゾール容器のガス抜きを行なおうとする利用者は、治具4,14をカバー体3,13から例えば切り取って操作ボタン6,16に固定した上で、当該操作ボタンを、通常の作動モード設定のときと同じように単に押し下げればよい。
【0033】
すなわち、治具4,14は、操作ボタン6,16をステム5から取り外すといった作業を要することなく当該操作ボタンとともにガス抜きモードに自己保持される。
【0034】
なお、操作ボタン6は、カバー体3と一体化されたレバー式となっており、その押下げ操作時には当該カバー体の入力側筒状部3dといっしょにその基部を中心にして図示時計方向に回動しながら下方に移動する。
【0035】
入力側筒状部3dが回動できるのは、その材質のプラスチックが外力に対する変形作用を有しているからである。すなわち、変形入力側筒状部3dは上述のようにプラスチック製のものであって、当該入力側筒状部の基部が変形可能である。
【0036】
操作ボタン16は、カバー体13から完全に分離されて独立したものであり、その押下げ操作時には単独で下方に移動する。
【0037】
このような操作ボタン6,16いずれの場合も、治具4,14を取り付けた状態で押下げると、先ずそれぞれのテーパ部4d,14eがカバー体13に当たって当該操作ボタンの下方への移動にとっての障害となる。
【0038】
その一方で、テーパ部4d,14eおよびカバー体13の当接部分は互いに相手から外力を受けて逃げる方向にいくらか変形する。外力を受けなくなると当該変形は元の状態に戻る。
【0039】
この変形にともなって、治具4,14は、それぞれのテーパ部4d,14eがカバー体3,13の対応当接部分を通りすぎていき、最終的には図2および図4で示すようにそれぞれの段部4c,14dが当該カバー体の開口部3c(の上端部分),内面縁部13bに係合したガス抜き状態へと移行する。
【0040】
そして、ステム5はハウジング内のスプリング(図示省略)により上方向の弾性力を受けているので、図示のガス抜き状態(=カバー体3,13と治具4,14との係合状態)は安定的に保持される。
【0041】
図2(b)および図4(b)の治具4,14は、カバー体3,13との係合状態を解除するための突出片部4d,14fを形成している。この突出片部は、図示の使用モードにいったん設定したカバー体と治具との係合状態を解除したい場合などに用いられる。
【0042】
なお、図3および図4の治具14を用いたガス抜き構造の場合、本発明で新たに手を加えたのは治具のみであって、その取付け相手の操作ボタン16および係合相手のカバー体13としてはともに既存のものを用いている。したがってエアゾール容器の各要素(構成部品)の有効活用を図ることができる。
【0043】
使用モードの治具14は、テーパ部14eがカバー体13と操作ボタン16との(もともと存在していた)隙間部分に嵌った状態になっている。
【0044】
なお、本発明が図示の内容に限定されないことは勿論であり、例えば、
(11)ガス抜き用の治具を、キャップや長尺ノズル,容器本体などと一体化した態様のものとして形成する、
(12)ガス抜き用の治具の係合相手として、カバー体以外のマウンティングカップや容器本体などを用いる、
(13)アクチュエータとして、泡沫用スパウトや櫛形アクチュエータ,頭皮タッチ式アクチュエータなどの任意のものを用いる、
(14)バルブとして、プッシュダウン式バルブやチルト式バルブ,ねじ式バルブなどの任意のものを用いる、
(15)容器として、アルミニウム容器やガラス容器,プラスチック容器などを用いる、
といったように選択的に変更してもよい。
【0045】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0046】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0047】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0048】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0049】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0050】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0051】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0052】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0053】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0054】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の、操作ボタンの新設孔部に取り付ける形式のガス抜き用治具の使用態様を示す説明図である。
【図2】本発明の、図1のガス抜き用治具の使用モード(=ガス抜きモード)であって、(a)はガス抜きモード解除用片部を形成していないガス抜き用治具の場合を示す説明図であり、(b)はガス抜きモード解除用の突出片部4eを形成したガス抜き用治具の場合を示す説明図である。
【図3】本発明の、操作ボタンの既設孔部に取り付ける形式のガス抜き用治具の使用態様を示す説明図である。
【図4】本発明の、図3のガス抜き用治具の使用モード(=ガス抜きモード)であって、(a)はガス抜きモード解除用片部を形成していないガス抜き用治具の場合を示す説明図であり、(b)はガス抜きモード解除用の突出片部14fを形成したガス抜き用治具の場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1:容器本体
1a:缶胴
1b:目金部
1c:下側環状凹部
1d:上側環状凹部
2:マウンティングカップ
3:カバー体
3a:環状の下側アンダーカット(突状部)
3b:環状の上側アンダーカット(突状部)
3c:開口部
3d:内容物通過用の入力側筒状部
3e:下流側通路
3f:一対の壁状起立部
3g:アタッチメント部
4:ガス抜き用の治具
4a:薄肉状の接続片(三個)
4b:突状部
4c:段部
4d:テーパ部
4e:突出片部
5:ステム
6:操作ボタン(アクチュエータ)
6a:貫通部
6b:開口部
6c:上流側通路
6d:孔部
7:回動可能な長尺ノズル,
13:カバー体
13a:環状のアンダーカット(突状部)
13b:内面縁部
13c:一対の壁状起立部
14:ガス抜き用の治具
14a:薄肉状の接続片(三個)
14b:ガス抜き用の孔部
14c:筒状部
14d:段部
14e:テーパ部
14f:突出片部
16:操作ボタン
16a:内容物の噴口
16b:凹状部
16c:開口部
16d:通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール式製品の作動モード設定用のアクチュエータをその作動モード対応位置に保持して容器内部の残留ガスを外部空間に放出するためのガス抜き用治具において、
分離可能な状態でエアゾール容器と一体化され、
前記アクチュエータに取り付けられる被取付け部と、前記エアゾール容器に係合する被係合部とを少なくとも備えた、
ことを特徴とするエアゾール式製品のガス抜き用治具。
【請求項2】
作動モード時にも前記エアゾール容器の容器本体と嵌合したままのカバー体と一体成形されたものであり、
前記被取付け部として、既存の前記アクチュエータ自体の放出口側凹状部に対応の筒状部を形成した、
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール式製品のガス抜き用治具。
【請求項3】
エアゾール式製品の作動モード設定用のアクチュエータをその作動モード対応位置に保持することにより、容器内部の残留ガスを外部空間へ放出するガス抜き用構造において、
分離可能な状態でエアゾール容器と一体化されて、かつ、前記アクチュエータに取り付けられる被取付け部と、当該エアゾール容器に係合する被係合部とを少なくとも備えたガス抜き用治具を有し、
前記エアゾール容器は、前記ガス抜き用治具の前記被係合部に対する係合部を備えたものである、
ことを特徴とするガス抜き用構造。
【請求項4】
前記ガス抜き用治具は、作動モード時にも前記エアゾール容器の容器本体に嵌合したままのカバー体と一体成形され、かつ、前記被取付け部として既存の前記アクチュエータ自体の放出口側凹状部に対応の筒状部を形成したものである、
ことを特徴とする請求項3記載のガス抜き用構造。
【請求項5】
請求項3または4記載のガス抜き用構造を備え、かつ、放出用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−27719(P2006−27719A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213546(P2004−213546)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】