説明

エアバッグドアの開放構造

【課題】 エアバッグの乗員室への適切な全面展開がなされるようにすると共にドアパネルの破損を防止する。
【解決手段】 夫々の可動補強パネル31,31は、伸張可能な半円弧状の弛み部32aを備える連結部材32を介し、固定ブラケット26に外方への開放可能に取付けられる。前記弛み部32aの伸張時の長さは、ドアパネル部13,14が、エアバッグ21の乗員室への全面展開を阻止しない位置で、かつ基材11の表面に衝突しない位置まで開放変位することを許容する寸法に設定される。これによりドアパネル部13,14は、弛み部32aが完全に伸張した時点で開放変位が停止され、基材11との衝突による破損が回避される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エアバッグドアの開放構造に関し、更に詳細には、車両内装部材の基材に一体的に形成され、エアバッグ装置の作動時に両側へ開放する2枚のドアパネル部と、前記基材の裏側に配設したブラケットに両開き可能に取付られた前記ドアパネル部に対応的に固定された2枚の可動補強パネルとからなるエアバッグドアにおいて、エアバッグ装置の作動により膨張を開始したエアバッグが前記可動補強パネルを内側から押圧した際に、前記2枚のドアパネル部の隣接し合う中央ラインおよび外縁ラインに沿って形成した開裂予定部が破断して、前記ドアパネル部の乗員室側への開放が好適になされるようにした開放構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年に至り、殆どの乗用車では、衝突事故等による衝撃から乗員を保護するために、運転席エアバッグ装置および助手席エアバッグ装置が標準的に装備されている。前記運転席エアバッグ装置は、一般的にステアリング中央のホーンパッド部に装備されているが、前記助手席エアバッグ装置は、例えば図10および図11R>1に示す如く、乗員室45前方に組付けた車両内装部材としてのインストルメントパネル10における助手席前方の内部に格納した状態で装備されている。このため、前記インストルメントパネル10のパネル基材11では、前記助手席エアバッグ装置20に対応した部位に乗員室45側へ開放変位するエアバッグドア12が別体装着または一体形成され、このドア12がパネル基材11から開放することで乗員室45へ開口した開口部を画成するようになっている。すなわち、衝突による衝撃を感知して前記エアバッグ装置20が作動すると、膨張したエアバッグ21は、前記エアバッグドア12を内側から押し開き、画成された開口部を介して乗員室45内へ展開するようになる。
【0003】前記エアバッグドア12は、従来はインストルメントパネル10のパネル基材11と別体に形成されて装着するものが主流であったが、近年に至っては、前記パネル基材11に一体的に形成されるものが多くなりつつある。すなわちエアバッグドア12は、図10および図11に示す如く常にはパネル基材11の一部としてその意匠面を構成しており、エアバッグ装置20が作動して膨張するエアバッグ21の押圧力を受けた際には、パネル基材11に予め設けた開裂予定部15,16に沿って破断が生ずることで、該基材11から分離して開放が許容されるようになっている。なおエアバッグドア12の形態としては、例えば1枚のドアパネル部からなる片開き式や、2枚のドアパネル部からなる両開き式(図示)等があるが、何れの形態にあっても、膨張開始から膨張完了までが1/100秒程度とされるエアバッグ21のスムーズな展開を阻止しないことが重要な要件とされる。
【0004】また、エアバッグドア12を一体的に形成する前記パネル基材11は、一般的にポリプロピレン等の合成樹脂成形材であるから、エアバッグ21の押圧力を受けると、その衝撃でエアバッグドア12を含むパネル基材11自体が大きく破損することがあり、強度上および安全上に問題が生ずる可能性を内在している。このため、パネル基材11裏側における前記エアバッグドア12の周囲には、エアバッグドア12の破損防止および飛散防止等を図るために、例えば金属製の補強部材25をカシメ付けして強度アップを図る対策が施されている。
【0005】この金属補強部材25は、2枚のドアパネル部13,14からなる両開き式のエアバッグドア12が前提とされる場合では、図11および図12(a)に示す如く、パネル基材11に形成されるドアパネル部13,14の外縁ラインに沿って形成した外縁開裂予定部16を囲繞するように固定される矩形枠体状の固定ブラケット26と、この固定ブラケット26の開口部内側に互いに対向的に装着される可動ブラケット27,27とから構成されている。前記固定ブラケット26は、前記エアバッグ装置20を係止保持する筒体部28と、この筒体部28に一体成形されてパネル基材11の裏側へカシメ付けされる係着板部29とから構成されている。また夫々の可動ブラケット27,27は、エアバッグドア12の各ドアパネル部13,14に対応するもので、前記固定ブラケット26の筒体部28に溶接またはビス着される固定支持パネル30と、この固定支持パネル30に揺動可能に接合されて対応のドアパネル部13,14の裏面にカシメ付け接合される可動補強パネル31とから構成されている。このような金属補強部材25を装着したパネル基材11では、エアバッグドア12の各ドアパネル部13,14および該エアバッグドア12の外縁周辺部が補強され、エアバッグ21の膨張による強烈な押圧力を受けても充分に耐え得る強度が付与されるようになっている。
【0006】ここで、従前の前記金属補強部材25における可動ブラケット27,27は、図12(a)に示す如く、固定支持パネル30に対して可動補強パネル31を折曲支点38で単に折曲成形したものとされ、エアバッグ21が可動補強パネル31を押圧した際には、該可動補強パネル31は折曲支点38を中心として揺動変位するようになっていた。しかしながら、このような形態のエアバッグドア12では、図12(b)に示す如く、前記可動補強パネル31にカシメ付けされたドアパネル部14(13)における外縁ライン側の端部14a(13a)がパネル基材11に干渉してしまい、各ドアパネル部14(13)の開放変位が規制されてエアバッグ21の乗員室45へのスムーズな全面展開を保証し得ない欠点を内在していた。また、エアバッグ21が可動補強パネル31を強制的に押圧した際には、端部14a(13a)の干渉によりドアパネル部14(13)が図12(b)に示す矢印方向へ押動されてしまい、該ドアパネル部14(13)が可動補強部材31から分離して飛散する畏れがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで前述の不都合を回避するために、固定支持パネル30に対して可動補強パネル31を、伸張変形可能な連結部材やスライド移動可能な連結部材等で連結したものが提案され、前記エアバッグ21が可動補強パネル31を押圧した際には、先ず外縁の開裂予定部16が破断すると共に前記連結部材が伸張変形またはスライド変位することでドアパネル部13,14が基材11から浮上し、次いで中央開裂予定部15が破断して夫々のドアパネル部13,14が開放変位するように改良したエアバッグドアが提案されている。このような形態のエアバッグドアでは、前記可動補強パネル31にカシメ付けされたドアパネル部14(13)の前記端部14a(13a)とパネル基材11との干渉を回避させたもとでの該ドアパネル部14(13)の開放変位が可能となり、各ドアパネル部14(13)が大きく開放してエアバッグ21の乗員室45へのスムーズな全面展開を阻止しないようにし得る。
【0008】ところが、前述した改良型のエアバッグドアでは、ドアパネル部13,14の浮上により該ドアパネル部13,14の端部13a,14aとパネル基材11との干渉は好適に回避し得るものの、エアバッグ21に押圧された夫々のドアパネル部13,14は、勢いよく開放変位してパネル基材11の外表面に激突してしまう新たな問題が起こる。すなわち改良型のエアバッグドアでは、ドアパネル部13,14の開放変位が全く規制されなくなるから、パネル基材11との衝突時の衝撃が図1212に示す従前のものよりも更に大きくなり、ドアパネル部13,14およびパネル基材11の破損度合が寧ろ増大してしまう可能性を内在していた。
【0009】
【発明の目的】本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、エアバッグ装置の作動によるエアバッグの膨張でドアパネル部を基材から破断分離させ適宜浮上後に開放変位させるに際し、エアバッグに押圧された各ドアパネル部が基材に衝突する前に開放停止するよう構成することで、該ドアパネル部や基材の破損防止を図ったエアバッグドアの開放構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、車両内装部材の基材に一体的に形成され、エアバッグ装置の作動時に両側へ開放する2枚のドアパネル部と、前記基材の裏側に配設したブラケットに弛み部を有する連結部材を介して両開き可能に取付けられ、前記ドアパネル部の裏側に対応的に固定された2枚の可動補強パネルとからなり、前記エアバッグ装置の作動により膨張を開始したエアバッグが前記可動補強パネルを内側から押圧した際に、先ず前記連結部材の弛み部が伸張変形することで前記ドアパネル部の外縁ラインに沿って形成した開裂予定部が破断して該ドアパネル部を前記基材から浮上させ、次いで前記ドアパネル部の隣接し合う中央ラインに沿って形成した前記開裂予定部が破断して該ドアパネル部を乗員室側へ開放変位させ、これにより前記エアバッグを該乗員室へ全面展開させるようにしたエアバッグドアにおいて、前記夫々の連結部材を、前記弛み部が直線的に伸張変形可能な半円弧状に形成すると共に、この弛み部の円弧両端部を前記ブラケットの筒体部の内壁面に近接位置させ、更に前記弛み部における伸張時の長さは、前記ドアパネル部が、前記エアバッグの全面展開を阻止しない位置で、かつ前記基材の表面に衝突しない位置まで開放変位するのを許容する寸法に設定し、前記エアバッグが前記可動補強パネルを内側から押圧して夫々のドアパネル部が開放する際に、前記連結部材の弛み部が完全に伸張した時点で前記ドアパネル部の開放変位が停止され、これにより夫々のドアパネル部が前記基材の表面に衝突するのを阻止するよう構成したことを特徴とする。
【0011】同じく前記課題を解決して、所期の目的を達成するため別の発明は、車両内装部材の基材に一体的に形成され、エアバッグ装置の作動時に両側へ開放する2枚のドアパネル部と、前記基材の裏側に配設したブラケットにスライド移動可能に配設した連結部材を介して両開き可能に取付けられ、前記ドアパネル部の裏側に対応的に固定された2枚の可動補強パネルとからなり、前記エアバッグ装置の作動により膨張を開始したエアバッグが前記可動補強パネルを内側から押圧した際に、先ず前記連結部材がスライド変位することで前記ドアパネル部の外縁ラインに沿って形成した開裂予定部が破断して該ドアパネル部を前記基材から浮上させ、次いで前記ドアパネル部の隣接し合う中央ラインに沿って形成した前記開裂予定部が破断して該ドアパネル部を乗員室側へ開放変位させ、これにより前記エアバッグを該乗員室へ全面展開させるようにしたエアバッグドアにおいて、前記夫々の連結部材は、そのスライド方向に沿って延設した長孔状のスリットに棒状部材を挿通することで前記ブラケットに組付けられて、該スリットの一方端から他方端に向かうスライド移動を許容し、前記スリットの長さは、前記ドアパネル部が、前記エアバッグの全面展開を阻止しない位置で、かつ前記基材の表面に衝突しない位置まで開放変位するのを許容する位置まで前記連結部材を移動させ得る寸法に設定し、前記エアバッグが前記可動補強パネルを内側から押圧して夫々のドアパネル部が開放する際に、前記連結部材がスライドして前記スリットの他方端が前記棒状部材に当接することで前記ドアパネル部の開放変位が停止され、夫々のドアパネル部が前記基材の表面に衝突するのを阻止するよう構成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るエアバッグドアの開放構造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車両内装部材として図10に示したインストルメントパネル10を例示し、また図10〜図12をもとに説明した従来技術の項において既出の部材と同一部材に関しては、同一の符号を付すこととする。
【0013】図1は、本発明の好適実施例に係るエアバッグドアの開放構造を一部破断して示す概略斜視図、図2R>2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。実施例に係るエアバッグドアの開放構造は、図10〜図12に示した従来の形態と比較して、インストルメントパネル10におけるパネル基材11側に形成した中央開裂予定部15および外縁開裂予定部16と、これにより形成されるドアパネル部13,14は従来からの変更はなく、金属補強部材25の形態を一部改良したものとなっている。なお各開裂予定部15,16は、例えばパネル基材11の裏面にエアバッグドア12における各ドアパネル部13,14の中央ラインおよび外縁ラインに沿った溝を形成することにより、他部分よりも適宜厚みを小さくして破断し易くしたものである。
【0014】(金属補強部材)本実施例における金属補強部材25は、前記各開裂予定部15,16が破断することで形成される2枚のドアパネル部13,14からなる両開き式のエアバッグドア12を前提としたもとで、図4R>4に示す如く、外縁開裂予定部16を囲繞するようにパネル基材11に固定される矩形枠体状の固定ブラケット26と、この固定ブラケット26の開口部内側に互いに対向的に装着される可動ブラケット27,27とから構成されている。前記固定ブラケット26は、図11に示した従来実施のものと同一であって、前記エアバッグ装置20を係止保持する角筒状の筒体部28と、この筒体部28に一体成形されてパネル基材11の裏側へ密着的にカシメ付けされる額縁状の係着板部29とから構成されている。なお前記筒体部28には、前記エアバッグ装置20のインフレータ22が整合するようになっており、またその対向する壁部には該エアバッグ装置20を係止保持するための係止孔34が複数個開設されている。一方前記係着板部29には、パネル基材11側に突出形成したリブ17の挿通を許容するスリット状の係着孔35が複数個開設されている。
【0015】前記夫々の可動ブラケット27,27は、エアバッグドア12を構成する夫々のドアパネル部13,14に対応するもので、前記固定ブラケット26の筒体部28に溶接またはビス着される固定支持パネル30と、この固定支持パネル30に対して後述するヒンジ部(連結部材)32で夫々接合された4枚のパネル部材31aからなる可動補強パネル31とから構成されている。各パネル部材31aは、同一サイズで略正方形の板状部材であって、横長矩形状にを呈する前記ドアパネル部13,14を前提として、該ドアパネル部13,14の長手方向、すなわちドアパネル部13,14が開放する際の外縁ラインに沿って直列に連設されている。そして夫々のパネル部材31aは、隣接し合うパネル部材31aにおける端縁部同士の中央ライン側の隅角部分を部分的に連設する連設部33を以て変形可能に連結されており、可動補強パネル31は全体としては単一部材として構成されている。なお、夫々のパネル部材31aには、対応のドアパネル部13,14の裏側に突出形成したリブ18の挿通を許容する複数の係着孔37が開設されている。また前記固定支持パネル30には、前記固定ブラケット26の筒体部28に開設した前記係止孔34に整合する係止孔36が開設されている。
【0016】(ヒンジ部)前記パネル部材31aと前記固定支持パネル30とを連設する前記夫々のヒンジ部32は、図2および図7(a)に示す如く、前記固定ブラケット26における筒体部28の内側へ突出した半円弧状の弛み部32aを備えた帯状を呈し、この弛み部32aの円弧両端部が前記筒体部28の内壁面に近接位置するように設けられている。従って、エアバッグ装置20が作動して膨張するエアバッグ21が前記夫々のパネル部材31aを内側から押圧した際には、図6(a)および図7(b)に示す如く前記弛み部32aが直線状態に伸張変形されることで、外縁開裂予定部16における破断を許容すると共に、円弧状から直線状に変形した分だけ該ドアパネル部13,14が上方へ浮上することを許容する構造となっている。但し、夫々のヒンジ部32における弛み部32aは、エアバッグ21の押圧力により完全に伸張変形した際には、図7(b)に示す如く、ドアパネル部13,14の端部13a,14aがパネル基材11の一般部に強く干渉するのを回避するために、該ドアパネル部13,14がパネル基材11の外面から該ドアパネル部13,14の厚み分程度の突出を許容すると共に、図7(d)に示すように、前記エアバッグ21の乗員室45側への全面展開を阻止しない位置でかつ前記パネル基材11の表面に衝突しない位置まで前記ドアパネル部13,14が開放変位した際に、完全に伸張して該ドアパネル部13,14のこれ以上の開放変位を規制し得る長さに設定されている。
【0017】また前記ヒンジ部32は、前記固定ブラケット26の筒体部28に沿って図示略鉛直状態に延在して、その上方端部が該筒体部28の最上部端縁に位置しているので、各ドアパネル部13,14に固定される前記可動補強パネル31のパネル部材31aが、対応のドアパネル部13,14における外縁ライン側の端部13a,14aまで延設されている。しかも、ヒンジ部32の弛み部32aが筒体部28の内側へ半円弧状に湾曲しているので、図7(b)の浮上状態から図7(d)の開放完了状態に至るプロセスにおいては、図7(c)に示す如く、弛み部32aが筒体部28の内壁面から一時的に離間して内側方向へ適宜変位し、この状態でドアパネル部13,14の開放変位がなされるようになる。従って、ヒンジ部32の弛み部32aを前述した条件を満たす長さに設定したとしても、ドアパネル部13,14の端部13a,14aとパネル基材11との干渉が好適に回避されるようになっている。
【0018】なお前記各ヒンジ部32は、固定支持パネル30に対する可動補強パネル31の複数回の揺動変位を保証するものではなく、エアバッグ装置20の作動に際してエアバッグ21で押圧された際に、可動補強パネル31が1回だけ開放変位することを許容するものである。また各ヒンジ部32は、少なくとも前記外縁開裂予定部16の破断に必要とされる押圧力が対応のパネル部材31aに付与された際に、該外縁開裂予定部16の破断に抵抗とならないように設定されている。しかも、ドアパネル部13,14の開放時に完全に伸張した際でも、それ自体が裂断しない強度を有している。
【0019】このように、連設部33で連設された4枚のパネル部材31aが前記ヒンジ部32を介して固定ブラケット26に取付けられた形態の可動補強パネル31は、前記連設部33で連結された中央ライン側では各パネル部材31aの個別の変形が規制され、ヒンジ部32が設けられた外縁ライン側では夫々のパネル部材31aの個別の変形が許容される構造となっている。このような可動補強パネル31をカシメ付けしたエアバッグドア12の各ドアパネル部13,14では、中央ライン側(中央開裂予定部15付近)が変形し難くなっていると共に、外縁ライン側(外縁開裂予定部16付近)は部分的に変形し易くなっている。従って、例えば可動補強パネル31に付与されるエアバッグ21の押圧力の大きさが部分的に異なる場合には、これに対応するように各パネル部材31aが個別に変位することで、前記ドアパネル部13,14の部分的な変形が許容される。
【0020】
【実施例の作用】次に、前述のように構成された金属補強部材を使用したエアバッグドアの開放構造の作用につき説明する。
【0021】(パネル基材への固定)前記金属補強部材25は、前記固定ブラケット26における筒体部28の内側に、夫々の可動補強パネル31,31を対向させた各可動ブラケット27,27を収容し、夫々の固定支持パネル30,30を前記筒体部28の内側に溶接またはビス着することにより構成される。そしてこのように構成された金属補強部材25は、パネル基材11におけるエアバックドア12の裏側周辺に突出形成した各リブ17,18を前記係着孔35,37に挿通させ、かつ夫々のリブ17,18の頭部をかしめることで該パネル基材11に強固に装着される(図2および図3)。このとき、固定ブラケット26における係着板部29はエアバッグドア12(外縁開裂予定部16)の外側周囲に沿って固定され、また一方の可動ブラケット27における夫々のパネル部材31aはエアバッグドア12における一方のドアパネル部13の裏面に固定され、他方の可動ブラケット27における夫々のパネル部材31aは該エアバッグドア12における他方のドアパネル部14の裏面に固定されている。そして、この金属補強部材25が装着されたインストルメントパネル10を車体に装着した際には、例えばリィンフォースバー46に固定されたエアバッグ装置20のインフレータ22が固定ブラケット26の筒体部28に整合し、係止孔34,36を利用して係止されるようになる。
【0022】(エアバッグ装置の作動)前記金属補強部材25を装着した前提のもとで前記エアバッグ装置20が作動した際には、上面中央が突出した形状でエアバッグ21が膨張を開始するため、該エアバッグ21の上面は、夫々の可動補強パネル31における4枚のパネル部材31aのうち、特に内側に位置する2枚のパネル31aに先ず当接するようになる。従って、これら内側のパネル部材31aは、エアバッグ21によって上方へ押圧されるようになる(図5(a)および図8(a))。
【0023】(外縁開裂予定部の破断)そして、所要の押圧力が付与された内側の各パネル部材31aでは、前述した如く、中央開裂予定部15側が連設部33によって外側に位置するパネル部材31aに連結しているので変形し難くなっているが、ヒンジ部32側は変形し易くなっているので、このヒンジ部32側が上方へ変位するようになる。これによりドアパネル部13,14では、内側のパネル部材31aにおけるヒンジ部32側に対応した外縁ライン側の中央付近が押上げられてこの部位が外方へ変形するようになり、ついにはこの中央付近に最も近接した外縁開裂予定部16における長辺部の中央付近での部分的な破断が惹起されるようになる。これにより、内側のパネル部材31aに対応するヒンジ部32は、外縁開裂予定部16が破断してドアパネル部13,14の外縁ライン側が上昇変位することにより、弛み部32aが伸張変形するようになる。
【0024】そして、外縁開裂予定部16における長辺部の中央付近での部分的な破断が生じた後には、エアバッグ21の膨張による押圧力の増大に伴い、外側に位置するパネル部材31aのヒンジ部32側も順次上方へ変位するようになるので、外縁開裂予定部16の破断が長辺部の左右両側へ進行し、これに引続いて短辺部側へ廻り込んで進行し、ついには該外縁開裂予定部16の全体的な破断へ一気に進行する(図5(b)および図8(b))。なお、エアバッグ21の押圧により外縁開裂予定部16の破断が完了した時点では、全てのヒンジ部32が伸張変形することで、各ドアパネル部13,14全体がパネル基材11から所要量だけ浮上した状態となっているが(図6(a))、中央開裂予定部15の破断は未だ始まっていない。
【0025】(中央開裂予定部の破断)外縁開裂予定部16の破断が完了すると、次いで中央開裂予定部15の破断へ進行する。各パネル部材31aは、連結部33で夫々に連結されていて個別に変形し難くなっているものの、前記エアバッグ21が上面中央が突出した状態で膨張するため、内側の夫々のパネル部材31aには既に大きな押圧力が付与されている。従って各ドアパネル部13,14は、中央ライン側の中央付近が最も外方へ変形するようになるから、ついにはこの変形部位に最も近接した中央開裂予定部15の中央付近で先ず部分的な破断が惹起される。(図8(c))。そして、中央開裂予定部15における中央付近で部分的な破断が形成されると、エアバッグ21の膨張による押圧力の増大に伴い、中央開裂予定部15の全体的な破断が一気に進行する。
【0026】(ドアパネル部の開放変位)このようにして、先ず外縁開裂予定部16における長辺部の中央付近で破断が起こり、それが該外縁開裂予定部16の長辺部全体および短辺部全体に一気に進行し、次いで中央開裂予定部15の中央付近で破断が起こり、それが該中央開裂予定部15全体に一気に進行することで破断が完了すると、パネル基材11に対するエアバッグドア12の各ドアパネル部13,14の開放変位が許容されるようになる。これにより両ドアパネル部13,14は、膨張するエアバッグ21に押圧されながら乗員室45側へ一気に開放するようになる(図6(b)および図8(d))。このとき各ヒンジ部32では、前述すると共に図7(c)に示す如く、弛み部32aが固定ブラケット26の筒体部28の内壁面から離間して内側方向へ適宜変位して、この状態で前記ドアパネル部13,14の開放変位が進行するので、夫々のドアパネル部13,14の端部13a,14aとパネル基材11との干渉が好適に回避され、これらドアパネル部13,14の開放変位が円滑になされる。
【0027】(ドアパネル部の開放規制)そして前記各ドアパネル部13,14が、エアバッグ21の乗員室45への全面展開を阻止しない所要角度まで開放変位すると、前記夫々のヒンジ部32における弛み部32aが完全に伸張し切った状態となるので、図7(d)に示す如く、夫々のドアパネル部13,14の端部13a,14aがパネル基材11に当接するようになり、これ以上の開放変位が規制される。これにより夫々のドアパネル部13,14は、パネル基材11の外表面に衝突することが防止される。そして、各ドアパネル部13,14がこの開放位置まで開放変位することで、乗員室45へのエアバッグ21の全面展開が許容される(図8(e))。
【0028】このように夫々のドアパネル部13,14は、前記ヒンジ部32によって適宜浮上した後に開放変位すると共に、この開放変位に際して端部13a,14aがパネル基材11と強くは干渉しないので、これらドアパネル部13,14とこれに固定された可動補強パネル31とをカシメ付けしたリブ18が破壊することがなくなり、これによりドアパネル部13,14と可動補強パネル31とが分離したり、該ドアパネル部13,14やその端部13a,14aが破損することを好適に回避できる。また夫々のドアパネル部13,14は、伸張した前記ヒンジ部32によってパネル基材11に衝突することもないので、この衝突時の衝撃によるドアパネル部13,14やパネル基材11の破損も回避できる。
【0029】また、実施例に係るエアバッグドアの開放構造では、金属補強部材25における可動補強パネル31,31を4枚のパネル部材31aから構成したことにより、エアバッグ21の押圧力が付与された際には押圧力の強さに応じて個々のパネル部材31aが姿勢変形するようになり、エアバッグドア12の部分的な変形が許容される。これにより、エアバッグ21の膨張による押圧初期段階で、外縁開裂予定部16における長辺部の中央付近での部分的な破断が惹起され、これをキッカケとして該外縁開裂予定部16の全体的な破断が一気に進行するようになり、次いで中央開裂予定部15の中央付近での部分的な破断が惹起され、これをキッカケとして該中央開裂予定部15の全体的な破断が一気に進行するようになる。従って、図11に示した従来形態のエアバッグドア12よりも早いタイミングでかつ小さな押圧力での開放変位が可能となる。しかも、エアバッグドア12の開放変位がスムーズになされるから、エアバッグ21の全面展開に支障を来たすことがないと共にエアバッグドア12の破損等も好適に回避される。
【0030】図9は、エアバッグ21が各パネル部材31aを押圧した際に、該パネル部材31aの外縁ライン側をドアパネル部13,14側へ移動させて、該ドアパネル部13,14を浮上させると共に外方へ開放可能に取付けるようにした別形態例を示す斜視図および要部断面図である。前記実施例に係るエアバッグドアの開放構造では、パネル部材31a(可動補強パネル31)がエアバッグ21の押圧力の押圧力を受けた際に、半円弧状のヒンジ部32の弛み部32aが直線状に伸張変形することで、ドアパネル部13,14の浮上を許容する構成であった。これに対し別形態例の夫々のパネル部材31aは、図9(a)に示す如く、連結部材32を帯状平板として形成したもとで該連結部材32をボルト(棒状部材)40で前記固定ブラケット26の筒体部28に移動可能に組付けたものである。前記連結部材32には、ボルト40の軸部40aの挿通を許容する係止口部41aと、該軸部40aの直径より適宜幅狭で細長の案内溝部41bとからなり、該連結部材32のスライド移動方向に沿って長孔状のスリット41が沿設されている。そして、常には前記係止口部41aにボルト40を挿通してパネル部材31aを固定ブラケット28に対して取付けられ、該パネル部材31aにエアバッグ21の押圧力が付与された際には、図9(b)に示す如く、案内溝部41b側の他方端が該ボルト40に当接するまで連結部材32の上方へのスライド移動が許容され、これによりパネル部材31aが浮上し得るようになる。
【0031】なお、前記連結部材32のスライド量を決定するスリット41の長さは、前記エアバッグ21の乗員室45側への全面展開を阻止しない位置でかつ前記パネル基材11の表面に衝突しない位置まで前記ドアパネル部13,14が開放変位した際に、該ドアパネル部13,14のこれ以上の開放変位が規制される寸法に設定してある(図9(c))。なお、この変形例における連結部材32においても、前記ボルト40から上方に延出した部分は、固定ブラケット26の筒体部28の内壁面から離間して内側方向へ適宜変位し得るようになっているので、ドアパネル部13,14の開放変位に際して該ドアパネル部13,14の端部13a,14aとパネル基材11との干渉が回避される。
【0032】また前記実施例では、各可動ブラケット27の可動補強パネル31が、合計4枚のパネル部材31aを連設して構成したものを例示したが、このパネル部材31aの数はこれに限定されるものではなく、ドアパネル部13,14の形状やサイズ等を前提として3枚以下または5枚以上であってもよい。
【0033】但し、可動補強パネル31を複数のパネル部材31aから構成する場合は、夫々のパネル部材31aを、前記連設部33により相互に連設することが望ましい。連設部33を設けずに夫々のパネル部材31aが完全に分離した形態とした場合では、エアバッグ21に押圧された際の衝撃によるドアパネル部13,14の破損を防止し得ない不都合が危惧されるからである。しかも連設部33は、外縁開裂予定部16の破断を先に進行させることを前提とする場合、パネル部材31a間においてなるべく中央ライン側に設けることが望ましい。
【0034】なお、エアバッグドアを有する車両内装部材としては、前記インストルメントパネル10の他にドアパネル部やピラーガーニッシュ等があり、本発明に係るエアバッグドアの開放構造は、これらの車両内装部材に設けたエアバッグドアにも好適に実施可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るエアバッグドアの開放構造によれば、可動補強パネルを固定した各ドアパネル部が、前記エアバッグの全面展開を阻止しない位置でかつ基材の表面に衝突しない位置まで開放変位した際に、前記可動補強部材とブラケットとを連結した連結部材が完全に伸張して、該ドアパネル部のこれ以上の開放変位を規制するように構成されている。これにより、夫々のドアパネル部がパネル基材に衝突することがないので、この衝突時の衝撃によるドアパネル部や基材の破損が好適に回避できる有益な効果を奏する。
【0036】また、別の発明に係るエアバッグドアの開放構造によれば、可動補強パネルを固定した各ドアパネル部が、前記エアバッグの全面展開を阻止しない位置でかつ基材の表面に衝突しない位置まで開放変位した際に、前記可動補強部材とブラケットとを連結した連結部材のスライド変位が停止して、該ドアパネル部のこれ以上の開放変位を規制するように構成されている。これにより、夫々のドアパネル部がパネル基材に衝突することがないので、この衝突時の衝撃によるドアパネル部や基材の破損が好適に回避できる有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例に係るエアバッグドアの開放構造に使用される金属補強部材を、ドアパネル部の後面に装着して示す概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1の金属補強部材を構成する固定ブラケットおよび可動ブラケットの分解斜視図である。
【図5】(a)は、膨張するエアバッグの押圧によりドアパネル部が外方へ変形した破断前状態を示す正断面図、(b)は、更に膨張するエアバッグの押圧により外縁開裂予定部が破断することでドアパネル部が開放し始めた状態を示す正断面図である。
【図6】(a)は、膨張するエアバッグの押圧によりヒンジ部が伸張変形することで、外縁開裂予定部が破断してドアパネル部が適宜浮上した状態の側断面図、(b)は、エアバッグの更なる押圧により中央開裂予定部が破断して、各ドアパネル部が連結部材を中心に開放し始めた状態の側断面図である。
【図7】本実施例のエアバッグドアの開放構造を経時的に示す説明図であって、(a)は開裂予定部の破断前状態を示し、(b)は、開裂予定部が破断すると共にヒンジ部が伸張変形してドアパネル部が浮上した状態を示し、(c)は、ヒンジ部がブラケットの内側へ変形した状態でドアパネル部が開放している状態を示し、(d)は、伸張し切ったヒンジ部によりドアパネル部の開放変位が規制された状態を示している。
【図8】エアバッグドアの開放変位を経時的に示す説明図であって、(a)はエアバッグの押圧が開始されてエアバッグドアが変形しつつある状態の斜視図、(b)は外縁開裂予定部が破断してエアバッグドアが適宜浮上した状態の斜視図、(c)は中央開裂予定部に破断が形成され始めた状態の斜視図、(d)は開裂予定部での破断が完了しエアバッグドアが開放変位を開始した状態の斜視図、(d)はエアバッグドアの開放が完了した状態の斜視図である。
【図9】(a)は、連結部材の別形態例を示す斜視図、(b)は、(a)に示す連結部材を有する可動補強パネルを固定したエアバッグドアが、外縁開裂予定部で破断することで適宜浮上した状態の側断面図、(c)はドアパネル部の開放変位が規制された状態の側断面図である。
【図10】エアバッグドアを設けたインストルメントパネルの側断面図である。
【図11】インストルメントパネルのパネル基材に形成したドアパネル部と、その裏側に装着された金属補強部材とを、パネル基材を一部破断して示す斜視図である。
【図12】従前のエアバッグドアの開放構造を断面状態で示す説明図であって、(a)は、エアバッグドアの開放前状態を示し、(b)は、ドアパネル部が開放するに際し、該ドアパネル部の外縁ライン側の端部と基材とが干渉する不都合を示している。
【符号の説明】
10 インストルメントパネル(車両内装部材)
11 パネル基材(基材)
12 エアバッグドア
13,14 ドアパネル部
13a,14a 端部
15 中央開裂予定部
16 外縁開裂予定部
20 エアバッグ装置
21 エアバッグ
26 固定ブラケット(ブラケット)
28 筒体部
31 可動補強パネル
32 ヒンジ部(連結部材)
32a 弛み部
40 ボルト(棒状部材)
41 スリット
45 乗員室

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両内装部材(10)の基材(11)に一体的に形成され、エアバッグ装置(20)の作動時に両側へ開放する2枚のドアパネル部(13,14)と、前記基材(11)の裏側に配設したブラケット(26)に弛み部(32a)を有する連結部材(32)を介して両開き可能に取付けられ、前記ドアパネル部(13,14)の裏側に対応的に固定された2枚の可動補強パネル(31,31)とからなり、前記エアバッグ装置(20)の作動により膨張を開始したエアバッグ(21)が前記可動補強パネル(31,31)を内側から押圧した際に、先ず前記連結部材(32)の弛み部(32a)が伸張変形することで前記ドアパネル部(13,14)の外縁ラインに沿って形成した開裂予定部(16)が破断して該ドアパネル部(13,14)を前記基材(11)から浮上させ、次いで前記ドアパネル部(13,14)の隣接し合う中央ラインに沿って形成した前記開裂予定部(15)が破断して該ドアパネル部(13,14)を乗員室(45)側へ開放変位させ、これにより前記エアバッグ(21)を該乗員室(45)へ全面展開させるようにしたエアバッグドア(12)において、前記夫々の連結部材(32)を、前記弛み部(32a)が直線的に伸張変形可能な半円弧状に形成すると共に、この弛み部(32a)の円弧両端部を前記ブラケット(26)の筒体部(28)の内壁面に近接位置させ、更に前記弛み部(32a)における伸張時の長さは、前記ドアパネル部(13,14)が、前記エアバッグ(21)の全面展開を阻止しない位置で、かつ前記基材(11)の表面に衝突しない位置まで開放変位するのを許容する寸法に設定し、前記エアバッグ(21)が前記可動補強パネル(31,31)を内側から押圧して夫々のドアパネル部(13,14)が開放する際に、前記連結部材(32)の弛み部(32a)が完全に伸張した時点で前記ドアパネル部(13,14)の開放変位が停止され、これにより夫々のドアパネル部(13,14)が前記基材(11)の表面に衝突するのを阻止するよう構成したことを特徴とするエアバッグドアの開放構造。
【請求項2】 前記連結部材(32)は、前記弛み部(32a)が半円弧状から直線状に伸張変形するに際し、該弛み部(32a)の前記可動補強パネル(31)に連結した側が前記筒体部(28)の内側方向へ変位し、これによりドアパネル部(13,14)の端部(13a,14a)が基材(11)から退避した位置で該ドアパネル部(13,14)の開放変位がなされるようになっている請求項1記載のエアバッグドアの開放構造。
【請求項3】 車両内装部材(10)の基材(11)に一体的に形成され、エアバッグ装置(20)の作動時に両側へ開放する2枚のドアパネル部(13,14)と、前記基材(11)の裏側に配設したブラケット(26)にスライド移動可能に配設した連結部材(32)を介して両開き可能に取付けられ、前記ドアパネル部(13,14)の裏側に対応的に固定された2枚の可動補強パネル(31,31)とからなり、前記エアバッグ装置(20)の作動により膨張を開始したエアバッグ(21)が前記可動補強パネル(31,31)を内側から押圧した際に、先ず前記連結部材(32)がスライド変位することで前記ドアパネル部(13,14)の外縁ラインに沿って形成した開裂予定部(16)が破断して該ドアパネル部(13,14)を前記基材(11)から浮上させ、次いで前記ドアパネル部(13,14)の隣接し合う中央ラインに沿って形成した前記開裂予定部(15)が破断して該ドアパネル部(13,14)を乗員室(45)側へ開放変位させ、これにより前記エアバッグ(21)を該乗員室(45)へ全面展開させるようにしたエアバッグドア(12)において、前記夫々の連結部材(32)は、そのスライド方向に沿って延設した長孔状のスリット(41)に棒状部材(40)を挿通することで前記ブラケット(26)に組付けられて、該スリット(41)の一方端から他方端に向かうスライド移動を許容し、前記スリット(41)の長さは、前記ドアパネル部(13,14)が、前記エアバッグ(21)の全面展開を阻止しない位置で、かつ前記基材(11)の表面に衝突しない位置まで開放変位するのを許容する位置まで前記連結部材(32)を移動させ得る寸法に設定し、前記エアバッグ(21)が前記可動補強パネル(31,31)を内側から押圧して夫々のドアパネル部(13,14)が開放する際に、前記連結部材(32)がスライドして前記スリット(41)の他方端が前記棒状部材(40)に当接することで前記ドアパネル部(13,14)の開放変位が停止され、夫々のドアパネル部(13,14)が前記基材(11)の表面に衝突するのを阻止するよう構成したことを特徴とするエアバッグドアの開放構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2001−315607(P2001−315607A)
【公開日】平成13年11月13日(2001.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−131703(P2000−131703)
【出願日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】