説明

エアバッグ用の織物

経糸と緯糸とを有するエアバッグ用の織物であって、織物における緯糸が少なくとも大部分、それぞれ2本の、並んで延在する糸から形成されている形式のものにおいて、並んで延在する糸の少なくとも一本が交絡されたマルチフィラメント糸であって、このマルチフィラメント糸のフィラメントの若干が隣接する糸のフィラメントの若干と交絡させられているエアバッグ用の織物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経糸と緯糸とを有するエアバッグ用の織物であって、織物における少なくとも大部分の緯糸がそれぞれ少なくとも2本の並んで延在する糸によって形成されている形式のものに関する。
【0002】
このような織物は例えばDE19807572A1号によって公知である。同じ杼口へ2本又は3本以上の緯糸を同時に緯入れすると、緯入れされた緯糸が異なる長さ及び/又は異なる糸張力を有するので、緯糸を同時に緯入れすることによってきわめて不均等な織物が形成されることが一般的に公知である。この織物はエアバッグの製造には適していない。この限りにおいてDE19807572A1号においては、このような織物を製造する場合に緯糸を順次同じ杼口に緯入れすることが提案されている。緯糸が順次杼口に緯入れされると当然達成される製織効率も低下する。
【0003】
本発明の課題は経糸と緯糸とを有するエアバッグ用の織物であって、織物における緯糸の少なくとも大部分がそれぞれ少なくとも2本の、並んで延在する糸によって形成されている織物を経済的に製作できるようにすることである。
【0004】
この課題は、経糸と緯糸とを有するエアバッグ用の織物であって織物における緯糸の少なくとも大部分がそれぞれ少なくとも2本の、並んで延在する糸から形成されている織物において、並んで延在する糸の少なくとも1本が交絡されたマルチフィラメント糸であって、該マルチフィラメント糸の若干のフィラメントが隣りの糸の若干のフィラメントと交絡されていることによって解決された。
【0005】
少なくとも1本の緯糸が交絡されたマルチフィラメント糸であることによって並べて配置された緯糸が糸として留まり、並んで位置する糸の性格が維持されることが保証される。さらに一方の緯糸の個々のフィラメントがこの緯糸のそばを延びる他方の糸の個々のフィラメントと交絡されることにより、このような糸は一緒にかつ同時に杼口に緯入れされる。この限りにおいて本発明の織物が経済的に製造可能であることは明白である。
【0006】
本発明による織物の製造は例えば、少なくとも一方がすでに交絡された糸でなければならない糸を、すでにあらかじめ互いに交絡された緯糸として使用することで行なうことができる。費用的に好適であることはDE19653028C1号に記載された方法を用いることである。この方法では緯糸を中間ストックする前にこの緯糸は交絡装置を用いて交絡される。本発明による織物を得るためには、DE19653028C1号に記載された交絡装置に、織物にて並ぶ、杼口へ緯入れしようとする糸を一緒に供給することしか必要ではない。この交絡によって並んで位置する糸が、杼口に緯入れされた後に、少なくともほぼ同じ長さと同じ張力とを有し、前記糸の少なくとも一方があらかじめすでに交絡されていることに基づき、出来上った織物にて、糸がまだ並んで延在する糸として認知可能であり、糸は、並んで位置する緯糸が順次緯入れされる織物の糸と比較し得るものとなる。しかし本発明による織物は公知の織物に較べ、並んで配置された緯糸の少なくとも若干のフィラメントが互いに交絡されているという相違点を有している。
【0007】
本発明の課題は、少なくとも一つの上側の織物と少なくとも一つの下側の織物とを有する織物であって、上側と下側の織物が選択された領域にて唯一の織物に織り合わされており、上側及び下側の織物の緯糸の少なくとも大部分が、少なくとも2本の並んで延在する糸から形成されている形式のものにおいて、並んで延在する糸の少なくとも一方が交絡されたマルチフィラメント糸であって、このマルチフィラメント糸のフィラメントの若干が隣接する糸の若干のフィラメントと交絡されていることによっても解決された。この織物も同様に前記利点を有している。
【0008】
本発明による織物では、隣接する糸のフィラメントの5%から25%が互いに交絡されていると有利であることが証明された。多様な実験によって、第1の糸のフィラメントの5%よりも少ないフィラメントが第2の糸のフィラメントの同様に5%よりも少ないフィラメントと交絡された交絡では、両方の糸の結合は、両方の糸が一緒に杼口へ緯入れされるためには十分ではないことが判明した。隣り合う糸のフィラメントの25%よりも多くのフィラメントが互いに交絡されると、隣り合った糸のフィラメントの互いに交絡されるフィラメントが増すにつれて、糸はその独自性を失うことになる。
【0009】
本発明の織物にとっては、並んで延在するすべての緯糸が、交絡されたマルチフィラメント糸であると特に有利である。この場合には使用された、互いに交絡された緯糸がすべて同じ材料、例えばポリアミド又はポリエステルから成っていると特に有利である。しかし、本発明による織物の固有の特性を調節するためには種々異なる材料から成る糸を互いに交絡させることも有利である。
【0010】
本発明による織物は、経糸及び/又は緯糸が235から700dtexの番手を有しかつ/又は経糸及び/又は緯糸の個々のフィラメントが5dtexよりも大きくない番手を有していることで特に優れたものとなる。本発明の織物を製作するためには、例えばEP0738793A1号に記載されているような糸が特に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸とを有するエアバッグ用の織物であって、織物における緯糸の少なくとも大部分が、それぞれ少なくとも2本の、並んで延在する糸から形成されている形式のものにおいて、並んで延在する糸の少なくとも1本が交絡されたマルチフィラメント糸であって、このマルチフィラメント糸のフィラメントの若干が隣接する糸の若干のフィラメントと交絡されていることを特徴とする、エアバッグ用の織物。
【請求項2】
少なくとも1つの上側の織物と少なくとも1つの下側の織物とを有する織物であって、上側の織物と下側の織物とが選択された領域にて唯一の織物に織合されており、上側及び下側の織物における緯糸の少なくとも大部分が少なくとも2本の、互いに並んで延在する糸から形成されている形式のものにおいて、並んで延在する糸の少なくとも1本が交絡させられたマルチフィラメント糸であって、このマルチフィラメント糸のフィラメントの若干が、隣接する糸の若干のフィラメントと交絡されていることを特徴とする、エアバッグ用の織物。
【請求項3】
隣り合った糸のフィラメントの5%から25%が互いに交絡されている、請求項1又は2記載のエアバッグ用の織物。
【請求項4】
並んで延在するすべての緯糸がマルチフィラメント糸である、請求項1から3までのいずれか1項記載のエアバッグ用の織物。
【請求項5】
経糸及び/又は緯糸が235から700dtexの番手を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のエアバッグ用の織物。
【請求項6】
経糸及び/又は緯糸の個々のフィラメントが5dtexより大きくない番手を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のエアバッグ用の織物。
【請求項7】
経糸も並んで延在する各緯糸も同じ番手を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のエアバッグ用の織物。

【公表番号】特表2008−542562(P2008−542562A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513961(P2008−513961)
【出願日】平成18年5月13日(2006.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004527
【国際公開番号】WO2006/128566
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(501314190)ポリアマイド ハイ パフォーマンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】Polyamide High Performance GmbH
【住所又は居所原語表記】Kasinostrasse 19−21,D−42103 Wuppertal,Germany
【Fターム(参考)】