説明

エアバッグ装置のケース体及びその製造方法

【課題】ホーンコネクタと効果的に導通させることができるターミナル部を安価に構成できるエアバッグ装置のケース体を提供する。
【解決手段】折り畳んだエアバッグを収納する樹脂製のバックプレート27にメタルプレート28を一体成形する。メタルプレート28に、バックプレート27に対して離隔したターミナル部61を設ける。ホーンコネクタ68と効果的に導通させることができるターミナル部61を安価に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体を備えるエアバッグ装置のケース体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両のハンドルに備えられるエアバッグ装置が知られている。このようなエアバッグ装置は、ケース体であるバックプレートすなわちベースプレート、このベースプレートに取り付けられたインフレータ、リテーナ、エアバッグ、カバー体などを備えている。
【0003】
近年、エアバッグ装置の軽量化、小型化、低コスト化などを目的として、ベースプレートが樹脂化されている。このようにベースプレートを樹脂化した場合には、例えば鋼板などをプレス成形して構成したベースプレートの場合のような各部との絶縁が不要になる一方で、電気的な導通が必要な箇所には導体を別途設定しなければならない。
【0004】
そこで、ベースプレートの内面側と外面側とのそれぞれに金属製の板材である金属ストリップを配置した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この構成では、ベースプレートに形成した開口部であるスロットに一方の金属ストリップの端部の接点部を内側面から挿入してこの接点部を外側面に露出させ、他方の金属ストリップを外側面に配置し、この他方の金属ストリップの端部の接点部を一方の金属ストリップの接点部に離隔させた状態で対向させる。そして、外力により他方の金属ストリップを弾性変形させることで、両金属ストリップの接点部を互いに接触させて導通を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−509045号公報 (第7−8頁、図1−4c)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のようにエアバッグ装置のベースプレートに金属ストリップを別途配置する場合、製造工数が必要で安価に構成することが容易でないとともに、一方の金属ストリップの接点部全体がベースプレートの外側面に密着しているため、この接点部に対して外部接点部を物理的に接続しにくいなど、外部接点部との効果的な導通を得ることが容易でないという問題を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、外部接点部と効果的に導通させることができる接点部を安価に構成できるエアバッグ装置のケース体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のエアバッグ装置のケース体は、折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、このケース本体に一体成形された導電性を有する金属製の板材とを具備し、前記板材は、前記ケース本体に対して少なくとも一部が離隔された外部接点部との導通用の接点部を備えているものである。
【0009】
請求項2記載のエアバッグ装置のケース体は、請求項1記載のエアバッグ装置のケース体において、ケース本体は、辺部を介して互いに隣接する複数の面部と、前記辺部に位置して前記複数の面部に亘って切り欠き形成された切欠部を備え、接点部は、前記切欠部に位置して前記ケース本体から離隔されているものである。
【0010】
請求項3記載のエアバッグ装置のケース体は、請求項1記載のエアバッグ装置のケース体において、接点部は、ケース本体に対して少なくとも一部が屈曲されてこのケース本体から離隔されているものである。
【0011】
請求項4記載のエアバッグ装置のケース体は、折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、外部接点部との導通用の接点部を備え、前記ケース本体に配設された導電性を有する金属製の板材とを具備し、前記ケース本体は、開口部と、この開口部により周囲が区画され、厚さ方向に弾性的に変形可能な弾性支持部とを備え、前記接点部は、外部接点部に対して厚さ方向に当接することで導通し、一部が前記開口部に位置して前記ケース本体から離隔されているとともに、残りの他部が前記弾性支持部に厚さ方向に支持されているものである。
【0012】
請求項5記載のエアバッグ装置のケース体の製造方法は、折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、外部接点部との導通用の接点部を備え前記ケース本体に配設された金属製の板材とを具備するエアバッグ装置のケース体の製造方法であって、前記板材を成形型に配置し、前記ケース本体を構成する樹脂原料を前記成形型に充填して前記板材と前記ケース本体とを一体的に形成し、前記成形型内で前記接点部の少なくとも一部を前記ケース本体に対して離隔する方向に押圧することにより屈曲させて前記ケース本体から前記接点部の少なくとも一部を離隔するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のエアバッグ装置のケース体によれば、樹脂製のケース本体に一体成形した導電性を有する金属製の板材が備える接点部の少なくとも一部をケース本体に対して離隔することにより、外部接点部と効果的に導通させることができる接点部を安価に構成できる。
【0014】
請求項2記載のエアバッグ装置のケース体によれば、請求項1記載のエアバッグ装置のケース体の効果に加え、ケース本体の辺部に、この辺部を介して互いに隣接する複数の面部に亘って形成した切欠部に接点部を位置させることにより、この接点部がケース本体から離隔した状態となり、外部接点部を切欠部に挿入して接点部に対してより容易に接続できる。
【0015】
請求項3記載のエアバッグ装置のケース体によれば、請求項1記載のエアバッグ装置のケース体の効果に加え、接点部の少なくとも一部をケース本体に対して屈曲させてこのケース本体から離隔させることにより、外部接点部を接点部とケース本体との隙間に差し込んで接点部に対してより容易に接続できる。
【0016】
請求項4記載のエアバッグ装置のケース体によれば、樹脂製のケース本体に配設した導電性を有する金属製の板材が備える接点部の一部をケース本体の開口部に位置させてケース本体から離隔させるとともに、この接点部の残りの他部を、開口部により周囲が区画された弾性支持部によって弾性的に支持することにより、外部接点部と効果的に導通させることができる接点部を安価に構成できるとともに、接点部と外部接点部とを導通させる際の操作感を向上できる。
【0017】
請求項5記載のエアバッグ装置のケース体の製造方法によれば、板材を配置した成形型に樹脂原料を充填して板材とケース本体とを一体成形し、成形型内で接点部の少なくとも一部をケース本体に対して離隔する方向に押圧することにより屈曲させてケース本体から接点部の少なくとも一部を離隔することにより、ケース本体に対して少なくとも一部が離隔された接点部を容易に構成でき、外部接点部と効果的に導通させることができる接点部を安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図2】同上ケース体の図1のI−I相当位置の断面図である。
【図3】同上ケース体の図1のII−II相当位置の断面図である。
【図4】同上エアバッグ装置を示す分解斜視図である。
【図5】同上ケース体の図1のII−II相当位置の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図7】同上ケース体の接点部に外部接点部を接続した状態を示す図6のIII−III相当位置の断面図である。
【図8】同上ケース体の図6のIV−IV相当位置の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の接点部に外部接点部を接続した状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図11】同上ケース体の一部を示す側面図である。
【図12】同上ケース体の図10のV−V相当位置の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図13】同上ケース体の図10のV−V相当位置の製造工程の図12に続く状態を模式的に示す断面図である。
【図14】同上ケース体の図10のV−V相当位置の製造工程の図13に続く状態を模式的に示す断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態のエアバッグ装置のケース体の一部を示す斜視図である。
【図18】同上ケース体の一部を示す平面図である。
【図19】同上ケース体の一部の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のエアバッグ装置のケース体の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図4において、10はエアバッグ装置であり、このエアバッグ装置10は、例えば自動車などの車両の運転席のハンドル(ステアリングホイール)などに備えられる運転席用エアバッグモジュールである。このエアバッグ装置10は、図示しない袋状のエアバッグと、このエアバッグに膨張ガスを供給するインフレータ12と、折り畳まれたエアバッグを内部に収納するケース体13及びカバー体14とを有しており、ケース体13にエアバッグとインフレータ12とが収納され、これらエアバッグとインフレータ12とがカバー体14により覆われて構成されている。そして、このエアバッグ装置10は、例えば車体側に配置された図示しないホーン装置の回路を開閉するためのホーンスイッチ装置として使用可能となっている。なお、エアバッグとインフレータ12とがケース体13に収納されているとは、それらの全体が収納されている構成と、それらの一部が収納されている構成とのいずれの構成も含むものとする。
【0021】
ここで、ハンドルは、例えば乗員により把持される円環状などのリム部と、車体側のステアリングシャフト側にスプライン嵌合されるボス部と、これらリム部とボス部とを連結するスポーク部とを備えている。
【0022】
また、エアバッグは、単数あるいは複数の基布を縫合あるいは接着などにより接合して袋状に構成されており、インフレータ12から噴射された膨張ガスが導入されるガス導入口と、このガス導入口の周囲に位置する例えば4カ所の図示しないボルト用通孔とを備えている。
【0023】
また、インフレータ12は、円柱状のインフレータ本体部21と、このインフレータ本体部21の外周部から突設されたフランジ部22とを一体、あるいは一体的に備え、例えば金属によりハウジングが形成されている。そして、インフレータ本体部21の周面には、膨張ガスを噴射する複数のガス噴射口(図示せず)が設けられ、フランジ部22には、エアバッグのボルト用通孔に対応する箇所(例えば4箇所)にボルト通孔24が設けられている。さらに、インフレータ本体部21の底部には、一対の接続部25,25が設けられ、各接続部25,25に、車体側とハンドル側とを電気的に接続するケーブルリール装置などの電気的な接続装置から導出されたハーネスが接続されるようになっている。そして、インフレータ本体部21の内側には、複数のスクイブなどと呼ばれる点火器が設けられ、各コネクタから伝えられる信号に基づき、各点火器が起動され、所定の特性で膨張ガスをガス噴射口から供給する。
【0024】
また、ケース体13は、例えばガラスファイバーを30%添加したポリアミド樹脂(ナイロン66(商標名))などの、絶縁性及び弾性を有する樹脂である合成樹脂により構成されたケース本体であるバックプレート27と、このバックプレート27に一体的に配置され導電性を有し若干弾性変形可能でかつ屈曲すなわち塑性変形可能な金属製の板材であるメタルプレート28とを備えている。
【0025】
バックプレート27は、ベースプレートなどとも呼ばれるもので、平面状の板材配置部としての平板部、すなわち面部である底部31と、この底部31の外縁から壁状に突出する外壁部32とを一体に有している。
【0026】
底部31は、本実施の形態では例えば辺部としての第1ないし第6の辺部34,35,36,37,38,39を有する六角形状に形成されており、全体として左右方向(幅方向)に対称な形状となっている。また、この底部31の外側面である底面31aの中央部には、インフレータ12のフランジ部22が嵌着される凹部31bが凹設されている。さらに、この凹部31bの底面であるステップ面31cには、インフレータ取付孔である挿入孔31dが底部31を貫通して中央部に設けられているとともに、この挿入孔31dの周囲に、インフレータ12のボルト通孔24に対応する複数、例えば4箇所の通孔31eが設けられている。そして、挿入孔31dにインフレータ12のインフレータ本体部21が挿入され、エアバッグのボルト用通孔、ボルト通孔24及び通孔31eに亘ってスタッドボルト41が挿通されてナット42により締め付け固定されることにより、インフレータ12がエアバッグ及びバックプレート27に対して取り付け固定される。さらに、底部31の底面31aには、ハンドル側の図示しない弾性部材と係合する係合部としての複数、例えば3つのフック31fが突設されている。これらフック31fの外部には、コイルばねなどの付勢手段が取り付けられ、この付勢手段により、エアバッグ装置10が乗員側に向けて付勢された状態となっている。また、これらフック31fは、例えば第1の辺部34と第2及び第6の辺部35,39との連続する部分の近傍、及び、第4の辺部37の近傍に配置されている。
【0027】
また、例えば第1の辺部34の両側部には、第2及び第6の辺部35,39が連続し、第1の辺部34と平行に離隔された第4の辺部37の両側部には、第2及び第6の辺部35,39に対して第1の辺部34と反対側で連続する第3及び第5の辺部36,38が連続している。
【0028】
また、外壁部32は、底部31の第1ないし第6の辺部34,35,36,37,38,39に対応する面部である第1ないし第6の外壁44,45,46,47,48,49を一体、あるいは一体的に有している。すなわち、底部31と第1ないし第6の外壁44〜49とは、それぞれ第1ないし第6の辺部34〜39を介して隣接している。
【0029】
そして、バックプレート27には、例えば底部31と第3の外壁46とに亘って第3の辺部36の位置に切欠部51が設けられている。この切欠部51は、例えば第3の辺部36に対して交差(直交)する方向に沿って設けられており、バックプレート27の内部と外部とを連通している。
【0030】
一方、メタルプレート28は、例えば銅板、真鍮板、あるいは亜鉛めっき鋼板(ブリキ板)などの金属製の板材からプレス加工などにより成形されている。このメタルプレート28は、バックプレート27の底部31の底面31aに配置されており、例えば第2ないし第6の辺部35,36,37,38,39に沿う板辺部としての第1ないし第5のプレート辺部55,56,57,58,59により、底部31の凹部31bの周囲に沿う形状に構成されている。さらに、このメタルプレート28は、切欠部51に対応する位置、本実施の形態では第2のプレート辺部56の位置に、切欠部51内へと突出する接点部としての第1の接点部であるターミナル部61が一体に設けられているとともに、第1及び第5のプレート辺部55,59の端部、すなわち両端部に、接点部としての第2の接点部であるホーン接点62,62が一体に設けられ、かつ、例えば第4のプレート辺部58の位置に、凹部31b内へと突出する接点部としての第3の接点部である端子部64が一体に設けられている。そして、このメタルプレート28は、例えばバックプレート27と一体的にインサート成形されており、図1に示すように、複数箇所において包持部66により包持されてバックプレート27に対して固定されている。これら包持部66は、例えばバックプレート27の成形時にこのバックプレート27の底部31と一体成形されるもので、種々の形態とすることができるが、例えばメタルプレート28を幅方向全体に亘ってブリッジ状(アーチ)に支持するブリッジ型の包持部66a,66b、あるいはメタルプレート28を幅方向の一側を支持するL型の包持部66cなどがあり、各プレート辺部55〜59の中間位置、あるいはこれらプレート辺部55〜59が互いに連続する位置などの任意の位置に設けられている。なお、図4などにおいて、これら包持部66は、説明をより明確にするために省略している。
【0031】
図1ないし図3に示すターミナル部61は、ターミナルチップとも呼ばれ、外部接点部であるホーンコネクタ68と接続される部分であり、平面視で長方形状に設けられ、切欠部51に沿って直線状で、この切欠部51において、バックプレート27の底部31の底面31aから離隔されて浮いた状態となっている。すなわち、ターミナル部61は、バックプレート27の底部31の底面31aに対して静的に離隔されている。また、このターミナル部61は、メタルプレート28の幅方向に沿って突設されており、先端側に接続凹部61aが設けられ、基端側でかつ第2のプレート辺部56に孔部69が設けられている。この孔部69には、バックプレート27の底部31と一体成形された釘状の保持部である係止部71が挿入されており、この係止部71は、ターミナル部61の基端側の位置でメタルプレート28をバックプレート27の底部31に係止固定している。
【0032】
また、ホーンコネクタ68は、例えば導電性の金属などにより形成された平板状の外部接点部本体であるコネクタ本体68aの両側部が折り返されて円弧状に湾曲した湾曲部68b,68bとなっている。これら湾曲部68b,68bは、コネクタ本体68aとの間でターミナル部61の両側近傍を挟持して保持するように構成されている。さらに、コネクタ本体68aの中央部には、ターミナル部61の接続凹部61aと嵌合する接続凸部68cが突設されている。また、このコネクタ本体68aの一端側には、ホーンスイッチ装置の一部を構成する電線であるリード線73を圧着保持した圧着部68dが設けられている。
【0033】
また、図4に示す各ホーン接点62は、車体側などに設けられた固定接点とともにホーン装置の回路を開閉するための接点であり、バックプレート27の底部31の底面31aに沿って配置され、固定接点に対して離隔されて、例えばホーン装置の使用時のエアバッグ装置10の押圧操作により固定接点に対して接触する可動接点となっている。さらに、これらホーン接点62には、バックプレート27の底部31の底面31aから離隔される方向へと突出した接点突出部62aが一体に設けられている。
【0034】
また、端子部64は、バックプレート27の凹部31bに沿って屈曲され、先端側に円弧状の切欠凹部64aが設けられて、この切欠凹部64aの両側が接続片部64b,64bとなっている。すなわち、この端子部64は、Y字端子状となっている。そして、この端子部64は、切欠凹部64aをスタッドボルト41の周囲に嵌合させた状態でナット42を締め付け固定して接続片部64b,64bをナット42とステップ面31cとの間に挟持してナット42に密着させることにより、インフレータ12側とメタルプレート28とを電気的に接続するように構成されている。
【0035】
また、カバー体14は、パッド、あるいはモジュールカバーなどとも呼ばれるもので、例えば合成樹脂などの部材により設けられ、ケース体13のバックプレート27などに対して係止固定されることにより、このケース体13内に収納された折り畳み状態のエアバッグを覆うように構成されている。さらに、このカバー体14には、インフレータ12からの膨張ガスの供給により膨張展開したエアバッグにより破断するための図示しないテアラインなどが設けられており、このテアラインに沿って破断して運転席に着いた乗員側へと一部が展開することで、この乗員側にエアバッグを突出させるための突出口が形成されるように構成されている。また、このカバー体14の周囲には、ハンドルのスポーク部を挿通する開口75が複数設けられている。さらに、このカバー体14には、バックプレート27側に補強用のリブ76が形成されている。
【0036】
そして、ケース体13を成形する際には、図5に示す成形型としての一方及び他方の半型である一方及び他方の金型78,79が用いられる。
【0037】
ここで、一方の金型78は、例えば固定型であり、他方の金型79は、例えば可動型であって、これら一方及び他方の金型78,79の一方及び他方のキャビティ面78a,79a間には、ケース体13の成形用の空間(キャビティ)80が形成される。また、他方の金型79には、メタルプレート28を位置決めするための位置決め部材としての角ピンである位置決めピン82が設けられている。
【0038】
そして、メタルプレート28を位置決めピン82などにより位置決めして他方の金型79の他方のキャビティ面79aにインサート(装着)した状態で金型78,79を閉じて型合わせし、形成された空間80に図示しない溶融樹脂である樹脂原料をインジェクタにより注入して充填し、この樹脂原料を固化させることにより、図4に示すようにバックプレート27とメタルプレート28とが一体成形されたケース体13が構成される。このとき、型合わせされた金型78,79のキャビティ面78a,79a同士の一部が密着することで切欠部51が形成され、空間80に注入された樹脂原料がメタルプレート28の孔部69からメタルプレート28上に流入することで係止部71が形成されるとともに、位置決めピン82に対応する位置に、位置決めピン跡となるピン凹部83が形成される。
【0039】
さらに、予めリード線73を圧着部68dに圧着したホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際には、ホーンコネクタ68をターミナル部61に向けて切欠部51から挿入し、このターミナル部61の先端側を、ホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入させてホーンコネクタ68をターミナル部61へと押し込むことで、ターミナル部61に沿ってホーンコネクタ68がスライドし、ホーンコネクタ68の接続凸部68cがターミナル部61の接続凹部61aに嵌合することで、ホーンコネクタ68がターミナル部61に対して抜け止め保持される。このように、ホーンコネクタ68とターミナル部61とがワンタッチで物理的及び電気的に接続されて導通し、メタルプレート28がホーンコネクタ68及びリード線73を介してホーン装置側と電気的に接続される。また、メタルプレート28は、バックプレート27にインフレータ12を取り付けることで、このインフレータ12の金属製のハウジングに対して端子部64がナット42及びスタッドボルト41を介して電気的に接続される。したがって、メタルプレート28により、インフレータ12とホーン装置側とが電気的に接続され、アースが取られた状態となる。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、樹脂製のバックプレート27に一体成形した金属製のメタルプレート28が備えるターミナル部61をバックプレート27に対して離隔することにより、ホーンコネクタ68と効果的に導通させることができるターミナル部61を安価に構成できる。
【0041】
具体的に、バックプレート27の第3の辺部36に、この第3の辺部36を介して互いに隣接する底部31と第3の外壁46とに亘って形成した切欠部51にターミナル部61を位置させてこのターミナル部61をバックプレート27から静的に離隔させることにより、ホーンコネクタ68を切欠部51に挿入してターミナル部61に対してより容易に接続でき、ターミナル部61とホーンコネクタ68とを効果的に導通させることができる。
【0042】
また、切欠部51は、例えば高価なスライドコアなどを用いることなく金型78,79のキャビティ面78a,79aのみで構造的に構成できるため、金型78,79の費用及び加工費などの低減が可能となり、ホーンコネクタ68と容易に接続できて効果的に導通させることができるターミナル部61を備えたメタルプレート28を有するケース体13を、合理的で、かつ、安価に製造できる。
【0043】
さらに、樹脂製のバックプレート27と金属製のメタルプレート28とは、インサート成形により形成した包持部66及び係止部71などにより一体的に固定できるため、例えばバックプレートに突設したピンなどをメタルプレートに設けた開口に通して熱かしめなどによって固定する場合などと比較して、固定箇所を減らして固定信頼性を低下させることなく加工工数を低減でき、安価に製造できる。
【0044】
そして、樹脂製のバックプレートと金属製のメタルプレートとをインサート成形により一体化する際に、メタルプレート全体がバックプレートに対して密着してしまわないようにするために、成形型に駒を用いる場合には、ばりが生じてホーンコネクタ68の接続を妨げないように、この駒とメタルプレートとの寸法精度が高くする必要がある。また、成形型に駒を不要とするためにメタルプレートのターミナル部などをバックプレートの外方へと突出させることも考えられるものの、この場合には、ケース体13の外方のスペースを占有し、他の部品との干渉を起こすおそれがある。このため、本実施の形態では、金型78,79に駒などを用いることなくバックプレート27に形成できる切欠部51にメタルプレート28のターミナル部61を配置することで、上記のような問題を生じることがなく、ホーンコネクタ68とターミナル部61との接続が容易で、汎用性及び信頼性に優れ省スペースで安価なケース体13を提供できる。
【0045】
次に、第2の実施の形態を図6ないし図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、メタルプレート28が、係止部71に代えて係止補強部85によりバックプレート27に係止されているものである。
【0047】
この係止補強部85は、上記第1の実施の形態の係止部71と同様に、バックプレート27を成形する際に樹脂原料をメタルプレート28の孔部69(図8)からターミナル部61に沿って先端近傍まで流すことにより形成されている。したがって、この係止補強部85は、メタルプレート28をバックプレート27に対して係止するとともに、ターミナル部61を厚さ方向に補強している。さらに、この係止補強部85は、図6及び図7に示すように、両側部85a,85aがターミナル部61の両側部と略平行で、かつ、このターミナル部61の両側部よりも内方に位置していることにより、ホーンコネクタ68を接続する際のガイドとなっている。
【0048】
すなわち、ホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際には、ホーンコネクタ68をターミナル部61に向けて切欠部51から挿入し、このターミナル部61の先端側を、ホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入させてホーンコネクタ68をターミナル部61へと押し込むことで、係止補強部85の両側部85a,85aに沿ってホーンコネクタ68の湾曲部68b,68bがガイドされつつ、ターミナル部61に沿ってホーンコネクタ68がスライドし、ホーンコネクタ68の接続凸部68cがターミナル部61の接続凹部61aに嵌合することで、ホーンコネクタ68がターミナル部61に対して抜け止め保持され、ホーンコネクタ68とターミナル部61とが物理的及び電気的に接続されて導通する。
【0049】
したがって、係止補強部85の両側部85a,85aがホーンコネクタ68を接続する際のガイドとなるため、ホーンコネクタ68のターミナル部61への接続の作業性がより向上し、ターミナル部61とホーンコネクタ68とをより効果的に導通させることができる。
【0050】
また、係止補強部85をメタルプレート28のターミナル部61に沿って設けることにより、ターミナル部61が係止補強部85によって補強され、ターミナル部61の強度をより向上できる。特に、ターミナル部61は、ホーンコネクタ68を物理的に接続する部分であるため、係止補強部85によって充分な強度を得ることで、ホーンコネクタ68の接続の際に加わる外力などによるターミナル部61の変形を、より確実に防止できる。
【0051】
次に、第3の実施の形態を図9を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
この第3の実施の形態は、切欠部51の両側に、側壁部86,86が設けられているとともに、切欠部51の図9中の下側に受け壁部87,87が設けられているものである。
【0053】
側壁部86,86は、切欠部51の両側縁に沿って、この切欠部51の両側縁全体に亘って設けられている。
【0054】
また、受け壁部87,87は、切欠部51の両側縁の図9に示す下側から切欠部51の幅方向の中心側へと側方に突出して設けられている。
【0055】
そして、ホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際には、ホーンコネクタ68をターミナル部61に向けて切欠部51から挿入し、このターミナル部61の先端側を、ホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入させる。このとき、ホーンコネクタ68のコネクタ本体68aを受け壁部87,87に沿わせてターミナル部61側へと移動させるだけで、ターミナル部61の先端側をホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に容易に挿入させることができる。そして、ホーンコネクタ68をターミナル部61へと押し込むことで、側壁部86,86に沿ってホーンコネクタ68の湾曲部68b,68bの外部がガイドされつつ、かつ、受け壁部87,87に沿ってホーンコネクタ68のコネクタ本体68aがガイドされつつ、ターミナル部61に沿ってホーンコネクタ68がスライドし、ホーンコネクタ68の接続凸部68cがターミナル部61の接続凹部61aに嵌合することで、ホーンコネクタ68がターミナル部61に対して抜け止め保持される。
【0056】
したがって、側壁部86,86及び受け壁部87,87がそれぞれホーンコネクタ68を接続する際のガイドとなるため、ホーンコネクタ68のターミナル部61への接続の作業性がより向上し、ターミナル部61とホーンコネクタ68とをより効果的に導通させることができる。
【0057】
また、受け壁部87,87がホーンコネクタ68のコネクタ本体68aとエアバッグとの間に位置することで、エアバッグとホーンコネクタ68との干渉を防止でき、ホーンコネクタ68によりエアバッグを傷付けることをより確実に防止できる。
【0058】
次に、第4の実施の形態を図10ないし図14を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態のターミナル部61が変形されて、バックプレート27の底部31の底面31aに対して屈曲されて離隔されている(立ち上げられている)ものである。
【0060】
すなわち、ターミナル部61は、屈曲部61bによりバックプレート27の底部31の底面31aから離隔されており、先端側に接続部61cが延びている。なお、接続凹部61aは、この接続部61cの基端寄りの位置、すなわち接続部61cと屈曲部61bとが連続する部分の近傍に位置している。
【0061】
また、ターミナル部61の接続部61cは、図11に示すように、ホーンコネクタ68が挿入可能な所定の高さhを有している。すなわち、このターミナル部61の接続部61cは、バックプレート27の底部31の底面31aに対して、高さhの距離に位置している。この高さhは、例えばホーンコネクタ68のコネクタ本体68aの厚さ寸法など、ホーンコネクタ68をバックプレート27の底部31の底面31aに沿わせた状態でのこの底面31aからコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間の位置までの高さに対応するように設定されている。
【0062】
そして、このケース体13の成形には、図12ないし図14に示す金型78,79が用いられる。
【0063】
一方の金型78には、突出部材としての第1及び第2のピン91,92と、脱型部材としてのエジェクタピン(Eピン)93とが、それぞれ一方のキャビティ面78aに対して進退(進出及び退避)可能に設けられている。
【0064】
また、他方の金型79には、突出部材としての第3ないし第5のピン95,96,97が、それぞれ他方のキャビティ面79aに対して進退(進出及び退避)可能に設けられている。
【0065】
そして、ケース体13を成形する際には、まず、図12に示すように、第1及び第2のピン91,92を一方の金型78に対して進出させて空間80内に突出させ、エジェクタピン93を一方の金型78に対して退避させ、かつ、第3ないし第5のピン95,96,97をそれぞれ他方の金型79に対して退避させた状態で、メタルプレート28を、第1のピン91と第3のピン95と、及び、第2のピン92と第5のピン97とで上下から挟持して支持することで位置決めして配置し、このメタルプレート28を他方の金型79の他方のキャビティ面79aにインサート(装着)する。なお、第1及び第3のピン91,95は、ターミナル部61の接続凹部61aに対応する位置を挟持し、第4のピン96は、ターミナル部61の基端に対応して位置し、第2及び第5のピン92,97は、メタルプレート28の第2のプレート辺部56に対応する位置を挟持している。また、メタルプレート28は、ターミナル部61と、それ以外の部分との樹脂との密着性に予め差異を生じさせておくことが好ましい。例えば、メタルプレート28は、予めターミナル部61を除くほぼ全体の表面をエンボス加工し、ターミナル部61の表面のみ平滑状としたり、ターミナル部61のみフッ素樹脂コーティングなどの剥離性向上処理を施したり、これら処理を併用したりしておくことが好ましい。
【0066】
次いで、金型78,79を閉じて型合わせし、形成された空間80に溶融樹脂である樹脂原料99をインジェクタにより注入して充填し、この樹脂原料99を固化させることで、メタルプレート28が表面に貼り付いた状態でバックプレート27が成形される。すなわち、メタルプレート28とバックプレート27とが一体成形される。なお、第1及び第2のピン91,92に対応する位置には、第1及び第2の通孔部100,101がそれぞれ底部31を貫通して形成される。
【0067】
さらに、図13に示すように、他方の金型79を上方へとわずかに移動させる一方で、第1のピン91と第3のピン95と、及び、第2のピン92と第5のピン97とは、それぞれメタルプレート28を挟んだままの状態としておく。すなわち、この図12に示す状態では、第3ないし第5のピン95〜97がそれぞれ他方のキャビティ面79aから相対的に下方(一方の金型78側)へと突出した状態となっている。
【0068】
そして、図14に示すように、第2のピン92と第5のピン97とによりメタルプレート28を挟み、第4のピン96によりメタルプレート28をバックプレート27側へと押さえたままの状態で、第1及び第3のピン91,95を高さhに対応する距離上昇させる。すなわち、第1のピン91を一方の金型78に対して進出させ、第3のピン95を他方の金型79に対して退避させる。この結果、メタルプレート28の第4のピン96で押さえた箇所から先端側(ターミナル部61の先端側)がバックプレート27に対して離隔する方向に押圧されて(押し上げられて)屈曲され、バックプレート27から持ち上げられて立ち上がる。この結果、ターミナル部61において、第1及び第3のピン91,95と第4のピン96との間の領域が屈曲部61bとなり、第1及び第3のピン91,95よりも先端の領域が接続部61cとなって、バックプレート27の表面、本実施の形態ではバックプレート27の底部31の底面31aから、ターミナル部61の先端側が高さh浮き上がる。換言すれば、ターミナル部61の先端側が、バックプレート27の底部31の底面31aに対して動的に離隔される。このとき、ターミナル部61は、メタルプレート28の他部との樹脂原料99の密着性の差異により、バックプレート27から容易に剥離できる。
【0069】
最後に、エジェクタピン93を進出させて、ケース体13を突き上げて脱型させる。
【0070】
そして、ホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際には、ホーンコネクタ68をバックプレート27の底部31の底面31aに沿わせつつターミナル部61に向けて移動させることで、このターミナル部61の先端側がホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入され、ホーンコネクタ68をさらにターミナル部61へと押し込むことで、ターミナル部61に沿ってホーンコネクタ68がスライドし、ホーンコネクタ68の接続凸部68cがターミナル部61の接続凹部61aに嵌合することで、ホーンコネクタ68がターミナル部61の接続部61cに対して抜け止め保持され、ホーンコネクタ68とターミナル部61とが物理的及び電気的に接続されて導通する。
【0071】
このように、樹脂製のバックプレート27に一体成形したメタルプレート28が備えるターミナル部61の一部をバックプレート27に対して離隔することにより、ホーンコネクタ68と効果的に導通させることができるターミナル部61を安価に製造できる。
【0072】
具体的に、メタルプレート28のターミナル部61の一部をバックプレート27に対して屈曲させてこのバックプレート27から離隔させることにより、ホーンコネクタ68をターミナル部61とバックプレート27との隙間に差し込んでターミナル部61に対してより容易に接続できる。
【0073】
また、メタルプレート28を配置した金型78,79に樹脂原料99を充填してメタルプレート28とバックプレート27とを一体成形し、金型78,79内でターミナル部61の一部をバックプレート27に対して離隔される方向に押圧することにより屈曲させてバックプレート27からターミナル部61の一部を離隔することにより、バックプレート27の底部31の底面31aに対して一部が離隔されたターミナル部61を容易に構成できるため、金型78,79の費用及び加工費などの低減が可能となり、ホーンコネクタ68と効果的に導通させることができるターミナル部61を備えたメタルプレート28を有するケース体13を、合理的で、かつ、安価に製造できる。
【0074】
すなわち、金型78,79に駒などを用いることなく各ピン91,92,95,96,97の進退のみでメタルプレート28のターミナル部61をバックプレート27に対して離隔させることで、ホーンコネクタ68とターミナル部61との接続が容易で、汎用性及び信頼性に優れ省スペースで安価なケース体13を提供できる。
【0075】
さらに、ターミナル部61の接続部61cのバックプレート27の底部31の底面31aからの高さhを、ホーンコネクタ68をバックプレート27の底部31の底面31aに押し当ててターミナル部61側へとスライドさせるとターミナル部61がコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入される高さに設定することで、ホーンコネクタ68の接続の作業性がより向上する。
【0076】
次に、第5の実施の形態を図15を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0077】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態において、バックプレート27の底部31の底面31aに、ホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際のガイド用のガイド部103,103が突設されているものである。これらガイド部103,103は、ターミナル部61の両側に沿って位置するリブ状に設けられており、先端部に、ホーンコネクタ68をガイド部103,103間に呼び込むための傾斜状のガイド面103a,103aが設けられている。
【0078】
そして、ホーンコネクタ68をターミナル部61に接続する際には、ホーンコネクタ68をバックプレート27の底部31の底面31aに沿わせつつターミナル部61に向けて移動させることで、ホーンコネクタ68の先端側がガイド面103a,103aによってガイド部103,103間に呼び込まれてターミナル部61に対して位置合わせされ、さらにホーンコネクタ68をターミナル部61に向けて移動させることで、このターミナル部61の先端側がホーンコネクタ68のコネクタ本体68aと湾曲部68b,68bとの間に挿入される。さらに、ホーンコネクタ68をさらにターミナル部61へと押し込むことで、ターミナル部61に沿ってホーンコネクタ68がスライドし、ホーンコネクタ68の接続凸部68cがターミナル部61の接続凹部61aに嵌合することで、ホーンコネクタ68がターミナル部61の接続部61cに対して抜け止め保持され、ホーンコネクタ68とターミナル部61とが物理的及び電気的に接続されて導通する。
【0079】
このように、ターミナル部61の両側にてバックプレート27に、ホーンコネクタ68をターミナル部61へとガイドするガイド部103,103を設けることにより、ホーンコネクタ68をターミナル部61に対して、より容易に接続できる。
【0080】
次に、第6の実施の形態を図16を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
この第6の実施の形態は、上記各実施の形態のメタルプレート28の端子部64がバックプレート27の底部31の凹部31bのステップ面31cに対して立ち上げられているものである。
【0082】
すなわち、端子部64は、先端側である接続片部64b,64bがバックプレート27の底部31のステップ面31cに対して所定の高さに位置している。
【0083】
そして、この端子部64は、上記第4の実施の形態のターミナル部61と同様に、メタルプレート28を成形型に配置し、樹脂原料99を充填してメタルプレート28とバックプレート27とを一体的に形成した後、基端部64cを成形型のピンなどにより押さえて接続片部64b,64bをそれぞれ突出部材である押し上げピン105,105によりバックプレート27に対して離隔させる方向へと押圧することにより屈曲部64dを形成するように立ち上げてバックプレート27から離隔する。
【0084】
そして、端子部64をインフレータ12側と接続する際には、この端子部64を通孔31eに臨ませ、この通孔31eから突出するスタッドボルト41の周囲に切欠凹部64aを嵌合させるとともに、スタッドボルト41にナット42を締め付けることで、ナット42とバックプレート27のステップ面31cとの間に接続片部64b,64bが挟持され、端子部64が外部接点部となるナット42、及びスタッドボルト41を介してインフレータ12側と導通する。
【0085】
このように、樹脂製のバックプレート27に一体成形したメタルプレート28が備える端子部64の一部をバックプレート27に対して離隔することにより、ナット42すなわちインフレータ12側と効果的に導通させることができる端子部64を安価に構成できる。
【0086】
具体的に、端子部64の一部をバックプレート27に対して屈曲させてこのバックプレート27から離隔させることにより、屈曲部64dのスプリング作用により、接続片部64b,64bがナット42へと押し付けられて密着するので、端子部64とインフレータ12側との導通信頼性がより向上する。
【0087】
また、バックプレート27のステップ面31cに対して一部が離隔された端子部64を容易に構成できるため、成形型の費用及び加工費などの低減が可能となり、ナット42すなわちインフレータ12側と効果的に導通させることができる端子部64を備えたメタルプレート28を有するケース体13を、合理的で、かつ、安価に製造できる。
【0088】
なお、上記第4ないし第6の実施の形態において、金型78,79及び成形型などは、射出成形型に限定されるものではなく、例えば各ピン91,92,95,96,97,105に代えて突出部材である押しピンなどを設けた加工専用治具であっても、成形型の範囲に含めることができる。
【0089】
次に、第7の実施の形態を図17ないし図19を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0090】
この第7の実施の形態は、上記各実施の形態のメタルプレート28が、バックプレート27に対して一体成形されておらず、すなわち別体であり、圧入によってバックプレート27に一体的に取り付けられているものである。
【0091】
すなわち、バックプレート27の底部31の底面31aには、メタルプレート28の各プレート辺部55,59などに設けられた圧入用通孔107に対して圧入される圧入保持部である圧入用ピン108が突設されている。
【0092】
また、メタルプレート28の各ホーン接点62は、バックプレート27の底部31に設けられた受け板としての弾性支持部である弾性支持片109によりそれぞれ弾性的に支持されている。各弾性支持片109は、平面視でコ字状に屈曲された開口部としての切欠開口部110により周囲が区画されており、第2及び第6の辺部35,39側に向けて(図18に示す左右方向に沿って)延び、先端側が自由端状で、厚さ方向、すなわち上下方向に弾性変形可能となっている。したがって、各ホーン接点62は、各弾性支持片109により片持ち支持されている。
【0093】
また、各ホーン接点62は、接点突出部62aが各弾性支持片109の先端に対応する位置に配設されている。さらに、各ホーン接点62は、各プレート辺部55,59に対して側方、すなわち第2及び第6の辺部35,39側へと突出しており、各弾性支持片109に沿う形状となっている。また、各ホーン接点62は、各弾性支持片109よりも外形が大きく、各弾性支持片109よりも外側に位置する部分は、切欠開口部110内に位置してバックプレート27の底部31の底面31aに対して離隔されている。すなわち、各ホーン接点62は、バックプレート27に対して一部が浮いた状態となっている。また、各ホーン接点62は、例えば車体側などに設けられた外部接点部である固定接点112(図19)とともに、ホーン装置の回路を開閉するホーンスイッチ装置の一部を構成している。
【0094】
そして、乗員などがエアバッグ装置10を付勢に抗して押し込むと、各ホーン接点62が各固定接点112に向けて移動し、図19に示すように、各ホーン接点62が各固定接点112に当接すると、回路が閉成され、ホーン装置が吹鳴される。
【0095】
このとき、各ホーン接点62と各固定接点112とが当接した状態から使用者がさらにエアバッグ装置10を押し込んだ場合でも、各ホーン接点62は、各弾性支持片109によって弾性的に支持されているため、図19の想像線に示すように、各弾性支持片109が厚さ方向に弾性変形することで、底付き感を低減する。
【0096】
このように、樹脂製のバックプレート27に配設したメタルプレート28が備える各ホーン接点62の一部をバックプレート27の切欠開口部110に位置させてバックプレート27から離隔させるとともに、各ホーン接点62の残りの他部を、切欠開口部110により周囲が区画された弾性支持片109によって弾性的に支持することにより、厚み加工及び曲げ加工などをさらに追加することなく各ホーン接点62を形成できるので、固定接点112と効果的に導通させることができる各ホーン接点62を安価に構成できるとともに、ホーン接点62と固定接点112とを導通させる際の当接時の底付き感をより効果的に抑制して操作感を向上でき、フィーリングのよい滑らかなホーン操作が実現できる。
【0097】
なお、上記第7の実施の形態において、メタルプレート28は、上記各実施の形態と同様に、バックプレート27に対してインサート成形などにより一体成形してもよい。すなわち、メタルプレート28は、例えば上記各実施の形態に示す包持部66、あるいは係止部71などによりバックプレート27に一体的に固定してもよい。
【0098】
また、上記の各実施の形態において、ケース体13のバックプレート27は、ターミナル部61、ホーン接点62及び端子部64に対応する箇所を除く部分において、種々の形状とすることができる。
【0099】
同様に、メタルプレート28は、ターミナル部61、ホーン接点62及び端子部64を除く部分において、種々の形状とすることができる。
【0100】
さらに、エアバッグ装置10は、運転席用のものに限定されず、ホーン装置以外の任意の電気回路に対して接続するものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、自動車に備えられたエアバッグ装置のケース体に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
10 エアバッグ装置
13 ケース体
27 ケース本体であるバックプレート
28 板材であるメタルプレート
31 面部である底部
36 辺部である第3の辺部
46 面部である第3の外壁
51 切欠部
61 接点部としてのターミナル部
62 接点部としてのホーン接点
64 接点部としての端子部
68 外部接点部であるホーンコネクタ
78 成形型としての一方の金型
79 成形型としての他方の金型
99 樹脂原料
109 弾性支持部である弾性支持片
110 開口部である切欠開口部
112 外部接点部である固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、
このケース本体に一体成形された導電性を有する金属製の板材とを具備し、
前記板材は、前記ケース本体に対して少なくとも一部が離隔された外部接点部との導通用の接点部を備えている
ことを特徴とするエアバッグ装置のケース体。
【請求項2】
ケース本体は、
辺部を介して互いに隣接する複数の面部と、
前記辺部に位置して前記複数の面部に亘って切り欠き形成された切欠部を備え、
接点部は、前記切欠部に位置して前記ケース本体から離隔されている
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置のケース体。
【請求項3】
接点部は、ケース本体に対して少なくとも一部が屈曲されてこのケース本体から離隔されている
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置のケース体。
【請求項4】
折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、
外部接点部との導通用の接点部を備え、前記ケース本体に配設された導電性を有する金属製の板材とを具備し、
前記ケース本体は、
開口部と、
この開口部により周囲が区画され、厚さ方向に弾性的に変形可能な弾性支持部とを備え、
前記接点部は、外部接点部に対して厚さ方向に当接することで導通し、一部が前記開口部に位置して前記ケース本体から離隔されているとともに、残りの他部が前記弾性支持部に厚さ方向に支持されている
ことを特徴とするエアバッグ装置のケース体。
【請求項5】
折り畳まれたエアバッグが収納される樹脂製のケース本体と、外部接点部との導通用の接点部を備え前記ケース本体に配設された金属製の板材とを具備するエアバッグ装置のケース体の製造方法であって、
前記板材を成形型に配置し、
前記ケース本体を構成する樹脂原料を前記成形型に充填して前記板材と前記ケース本体とを一体成形し、
前記成形型内で前記接点部の少なくとも一部を前記ケース本体に対して離隔する方向に押圧することにより屈曲させて前記ケース本体から前記接点部の少なくとも一部を離隔する
ことを特徴とするエアバッグ装置のケース体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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