説明

エアマットレス

【課題】停電時においても動作を継続できるエアマットレスを提供する。
【解決手段】本発明のエアマットレスは、商用電源に接続した電動機により空気ポンプを作動し、気のう内に供給された空気の圧力で使用者の体重を支持するエアマットレスにおいて、気のうには、空気流通口に加えて非常時用空気ポンプ9からの給気パイプ23を接続可能な非常時用空気流通口を設け、非常時用空気ポンプは手動発電装置1により給電する構成としている。手動発電装置は可逆動作可能な直流発電機と、増速機構とを器体5に格納し、外側には増速機構の入力軸に接続されたクランクハンドル7と直流発電機の電源側に接続された給電ケーブル8とを設け、先端には非常時用空気ポンプ9に接続可能なコネクタを設けている。増速機構はクランクハンドル側をウォームホイールとし、直流発電機側を複数条のねじのウォームとしたウォームギヤで構成して大きさと重量を大幅に低減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマットレス、特に、停電時等の緊急時における動作が可能なエアマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源に接続した電動機により空気ポンプを作動し、この空気ポンプにより通気流通口から気のう内に供給された空気の圧力で使用者の体重を支持する構成のエアマットレスは、例えば特許文献1、特許文献2を含め、従来から数多く提案されている。
【0003】
しかしながら従来のエアマットレスでは、商用電源が停電となった場合に動作を継続させる手段を考慮しているものは見あたらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−63498
【特許文献2】特許第2740549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のエアマットレスが、商用電源が停電となった際にも動作を継続させるための手段を考慮していないことであり、従って本発明では、商用電源が停電の場合にも動作を継続することのできるエアマットレスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明では、商用電源に接続した電動機により空気ポンプを作動し、この空気ポンプにより通気流通口から気のう内に供給された空気の圧力で使用者の体重を支持する構成のエアマットレスにおいて、前記気のうには、前記空気流通口に加えて、非常時用空気ポンプからの給気パイプを接続可能な非常時用空気流通口を設け、この非常時用空気ポンプは、手動発電装置により給電する構成としたエアマットレスを提案する。
【0007】
また本発明では、上記の構成において、手動発電装置は、直流発電機と、その回転軸に接続された増速機構とを器体に格納すると共に、器体の外側には、増速機構の入力軸に接続されたクランクハンドルと、直流発電機の出力側に接続された給電ケーブルとを設け、この給電ケーブルの先端側には、非常用ポンプと接続するためのコネクタを設けた構成とするエアマットレスを提案する。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、増速機構は、クランクハンドル側をウォームホイールとし、直流発電機側をウォームとして構成したエアマットレス、そしてウォームは複数条のねじとして構成したしたエアマットレスを提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るエアマットレスは、商用電源が停電して、空気ポンプが動作を継続できない場合には、非常時用空気ポンプの給気パイプをエアマットレスの非常時用空気流通口に接続すると共に、手動発電装置の給電ケーブルを非常時用空気ポンプに接続して、器体を持ち、クランクハンドルを回転駆動する。
【0010】
クランクハンドルの回転は増速機構により増速されて直流発電機の回転子を回転させて起電力が生じ、こうして発生した直流電力は、給電ケーブルを介して非常時用空気ポンプに供給される。この供給された電力により非常時用空気ポンプが動作し、給気パイプから非常時用空気流通口を経てエアマットレスを構成する気のう内に給気することができ、従って、この供給された空気の圧力により使用者の体重を暫時支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置及び非常時用空気ポンプの構成及び動作を概念的に示す説明図である。
【図2】図2は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置の本体の外観説明図である。
【図3】図3は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置の縦断説明図である。
【図4】図4は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置の構成要素である直流発電機と増速機構の構成を示す正面図である。
【図5】図5は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置の構成要素である直流発電機と増速機構の構成を示す平面図である。
【図6】図6は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置の構成要素である直流発電機と増速機構の構成を示す左側面図である。
【図7】図7は本発明のエアマットレスの全体構成を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るエアマットレスの実施の形態を添付の図1〜図7を参照して説明する。
これらの図において、符号1は本発明に係るエアマットレスを構成する手動発電装置を概括的に示すもので、この手動発電装置1は、直流発電機2と、その回転軸3に接続された増速機構4とを器体5に格納している。そして器体5の外側には、前記増速機構4の入力軸6に接続されたクランクハンドル7と、直流発電機2の電源側に接続された給電ケーブル8とを設け、この給電ケーブル8の先端側には、非常用ポンプ9の構成要素である直流電動機10の受電コネクタ11と接続するためのコネクタ12を設けた構成としている。符号13は受電ケーブル、14はポンプ本体である。尚、この実施の形態では、器体5は、縦断方向に分割した一対の殻体をねじ(図示省略)で結合して、各要素を格納状態に支持する構成である。
【0013】
ここで増速機構4を詳細に説明すると、この増速機構4は図3〜図6に示しているように、クランクハンドル7側をウォームホイール15として、このウォームホイール15に入力軸6を突設しており、そして直流発電機2側を、ウォームホイール15に歯合するウォーム16として構成している。そしてこのウォーム16は、二条ねじとして構成しており、そのねじり角は摩擦角よりも大きくしているため、このウォームギヤ機構は可逆動作可能である。そしてこのようなウォームギヤ機構においては、例えば、1/32という大きな増速比(減速比)を容易に得ることができる。この実施例では、このように、ウォームは二条又はそれ以上の条のねじ、即ち、複数条のねじとして構成しているので、ねじり角を大きくして摩擦の影響を小さくすることができるの。一般に、発電装置として必要な回転数は、例えば最低でも1500rpm(25Hz)以上であり、また手動装置で可能な入力回転数は、120rpm(2Hz)が限界値に近いと考えられ、この場合には、増速比は、12.5以上必要である。本発明では、ウォームを二条又はそれ以上の条のねじとすることにより、高い増速比と伝達効率の向上を図ることができ、簡易に操作できる大きさと構造において、前記要件を満たす手動発電装置を実現することができる。尚、図中2点鎖線で示した符号17の部材は入力軸6、ウォームホイール15及びウォーム16の支持部材を示すものである。
【0014】
次に図7において、符号18はエアマットレスを示すもので、その適所に設けた空気流通口19に空気ポンプ20からの給気パイプ21を接続している。この空気ポンプ20は商用電源に接続して運転を行う構成である。
【0015】
本発明では、上記空気流通口19に加えて、エアマットレス18の適所に非常時用空気流通口22を設けており、この非常時用空気流通口22には非常時用空気ポンプ9のポンプ本体14からの給気パイプ23の先端に設けた接続部24を接続可能としている。尚、非常時用空気流通口22及び接続部24の構成は、接続していない状態において非常時用空気流通口22が気密的に閉となり、接続した状態において給気パイプ23を通る空気が接続部24から非常時用空気流通口22を経てエアマットレス18を構成する気のう内に供給可能な構成であれば適宜である。
【0016】
以上の構成において、商用電源が停電して、空気ポンプ20が動作を継続できない場合には、非常時用空気ポンプ9の給気パイプ23を接続部24によりエアマットレス18の非常時用空気流通口22に接続すると共に、手動発電装置1の給電ケーブル8を非常時用空気ポンプ9に接続して、器体5を持ち、クランクハンドル7を回転駆動する。
【0017】
クランクハンドル7の回転は増速機構4により増速されて直流発電機2の回転子を回転させて起電力が生じ、こうして発生した直流電力は、給電ケーブル8を介して非常時用空気ポンプ9に供給される。
【0018】
このように手動発電装置1から供給された電力により非常時用空気ポンプ9が動作し、給気パイプ23から非常時用空気流通口22を経てエアマットレス18を構成する気のう内に給気することができ、従って、この供給された空気の圧力により使用者の体重を暫時支持することができる。
【0019】
本発明の手動発電装置1の実施例の仕様を説明すると、次の通りである。
手動による入力 :10〜50[N]
手動での入力軸の回転数:30〜120[rpm]
減速比(増速比) :1/15.5
回転軸の回転数 :465〜1860[rpm]
発電力 :10〜30[VA]
【0020】
この実施の形態においては、手動発電装置1を構成する増速機構4は、クランクハンドル7側をウォームホイール15とし、直流発電機2側を二条ねじのウォーム16としたウォームギヤ機構で構成することにより、大きさと重量を大幅に低減することができ、このため、手で持てる大きさの器体5内に構成要素を格納して、上述した仕様を満たすことができる手動発電装置1を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のエアマットレスは以上の通りであり、商用電源が停電となった際にも動作を継続させることができるという特徴がある。本発明では、エアマットレスは、気のう内の空気圧を所定圧力に維持するエアマットレスの他、空気圧を時間により変動させる形式のものにも利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 手動発電装置
2 直流発電機
3 回転軸
4 増速機構
5 器体
6 入力軸
7 クランクハンドル
8 給電ケーブル
9 非常時用空気ポンプ
10 直流発電機
11 受電コネクタ
12 給電コネクタ
13 受電ケーブル
14 ポンプ本体
15 ウォームホイール
16 ウォーム
17 支持部材
18 エアマットレス
19 空気流通口
20 空気ポンプ
21 給気パイプ
22 空気流通口
23 接続部
24 給気パイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源に接続した電動機により空気ポンプを作動し、この空気ポンプにより通気流通口から気のう内に供給された空気の圧力で使用者の体重を支持する構成のエアマットレスにおいて、前記気のうには、前記空気流通口に加えて、非常時用空気ポンプからの給気パイプを接続可能な非常時用空気流通口を設け、この非常時用空気ポンプは、手動発電装置により給電する構成としたことを特徴とするエアマットレス。
【請求項2】
手動発電装置は、直流発電機と、その回転軸に接続された増速機構とを器体に格納すると共に、器体の外側には、増速機構の入力軸に接続されたクランクハンドルと、直流発電機の出力側に接続された給電ケーブルとを設け、この給電ケーブルの先端側には、非常用ポンプと接続するためのコネクタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のエアマットレス。
【請求項3】
増速機構は、クランクハンドル側をウォームホイールとし、直流発電機側をウォームとして構成したことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ駆動用手動発電装置。
【請求項4】
ウォームは複数条のねじとして構成したことを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ駆動用手動発電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−78452(P2013−78452A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219648(P2011−219648)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】