説明

エア搬送装置

【課題】異なる種類の搬送物であってもそれぞれ円滑にエア搬送可能なエア搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送物供給口から供給した搬送物をエア搬送するためのエア搬送路に、先端のエア供給口から前記エア搬送路内へ空気を供給するエア供給管を配設したエア搬送装置において、前記エア供給管は、前記搬送物供給口の直下方において進退可能に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米などの穀物を搬送物として吸引や噴風によってエア搬送する場合、そのエア搬送装置においては、搬送物を気流と共に通過させるエア搬送路を設けると共に、同エア搬送路の始端部の天壁にエア搬送路へ搬送物を供給する搬送物供給口を設けて、同搬送物供給口の直下方にエア搬送路へ空気を供給するエア供給管を配設していた。
【0003】
特に、前記エア供給管はエア搬送路に対して固定されており、搬送物供給口とエア供給管との位置関係は変わらなかった。そのため、前記搬送物供給口からエア搬送路内へ搬送物が供給されたときにエア供給管の前方に一度に供給される搬送物の量は常に一定であり、このエア供給管の前方に供給された搬送物をエア供給管から供給された空気と共にエア搬送路の終端部側へエア搬送していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2003−1122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のエア搬送装置では、上述したように搬送物供給口とエア供給管との位置関係が変わらないので、例えば、米と籾殻のように大きさや形状や重量が異なる搬送物をエア搬送する場合でも、エア供給管の前方には同じように搬送物が供給されてしまい、重量のある米は円滑にエア搬送することができる一方で、重量のない籾殻はエア供給管の前方から直ぐにエア搬送されてしまって供給量不足になってしまうといった問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決して、種類の異なる搬送物であってもそれぞれ円滑にエア搬送可能なエア搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明のエア搬送装置では、搬送物供給口から供給した搬送物をエア搬送するためのエア搬送路に、先端のエア供給口から前記エア搬送路内へ空気を供給するエア供給管を配設したエア搬送装置において、前記エア供給管は、前記搬送物供給口の直下方において進退可能に配設することとした。
【0007】
また、本発明のエア搬送装置は、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)前記エア供給管は、エア搬送装置の外部まで退出可能であること。
(2)前記エア供給管は、エア搬送装置への出入り口に接触しながら退出すること。
(3)前記エア供給管は、前記搬送物供給口を開閉するシャッターに連動連結したこと。
(4)前記エア供給管は、エア搬送路の底壁に沿って摺動すること。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、エア供給管は、搬送物供給口の直下方において進退可能に配設することとしたので、異なる種類の搬送物をエア搬送する場合でも、搬送物供給口の直下方におけるエア供給管の進入量を調整することによって、各搬送物に応じた適量の搬送物をエア供給管の前方に供給することができる。そのため、異なる種類の搬送物であってもそれぞれ円滑にエア搬送することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明によれば、エア供給管は、エア搬送装置の外部まで退出可能としたので、搬送物との接触が多く、汚れたり損傷を受けたりしやすいエア供給管を簡単にメンテナンスすることができる。
【0010】
請求項3記載の本発明によれば、前記エア供給管は、エア搬送装置への出入り口に接触しながら退出することにしたので、エア供給管がエア搬送路の外部に退出するときには、エア供給管の外周面に付着した屑などの汚れは前記出入り口の縁部で削ぎ落とされて、自動的にエア供給管が掃除されることとなる。そのため、エア供給管の掃除に要する手間を省くことができる。
【0011】
請求項4記載の本発明によれば、前記エア供給管は、前記搬送物供給口を開閉するシャッターに連動連結したので、シャッターの開閉とエア供給管の進退とをそれぞれ別々に操作する手間を省くことができると共に、シャッターとエア供給管とを同一駆動源で駆動させて、両者の駆動に要するコストを削減することができる。
【0012】
請求項5記載の本発明によれば、前記エア供給管は、エア搬送路の底壁に沿って摺動することにしたので、エア搬送路内に落下してきた搬送物に対して下側から空気を当てることができ、搬送物を浮かせてエア搬送されやすいようにすることができる。しかも、エア供給管の下方に搬送物が入り込んで、エア搬送されずに残留することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係るエア搬送装置は、搬送物供給口から供給した搬送物をエア搬送するためのエア搬送路に、先端のエア供給口から前記エア搬送路内へ空気を供給するエア供給管を配設したエア搬送装置であり、特に、前記エア供給管は、前記搬送物供給口の直下方において進退可能に配設している。
【0014】
上記エア搬送装置においては、搬送物供給口からエア搬送路内に供給された搬送物は、搬送物供給口の直下方にあるエア供給管の周囲に堆積し、このうち、エア供給管先端のエア供給口の前方に供給された搬送物が気流に乗ってエア搬送されていくことになる。このとき、エア供給管は、搬送物供給口の直下方において進退させることができるので、同エア供給管を搬送物供給口の直下方においてどこまで進入させるかによってエア供給管の前方に供給される搬送物の量が変わってくる。
【0015】
すなわち、エア搬送路の始端部側を上流、終端部側を下流と呼ぶことにすると、エア供給管を搬送物供給口の上流側の端部の直下方までしか進入させなかった場合には、エア供給口の前方に前記搬送物供給口の開口幅と同じ幅に渡って、且つ搬送物供給口からエア搬送路の底壁までの高さで搬送物が堆積可能であるのに対し、エア供給管を搬送物供給口の直下方においてさらに下流側まで進入させれば、エア供給管の上に堆積する搬送物の量が増加して、エア供給口の前方に堆積する搬送物の堆積幅や堆積高さは低減される。そのため、エア搬送時の気流速度を大きくしなくても負担なく搬送物をエア搬送することができ、エア供給管の前方に搬送できない搬送物が残留して、エア搬送路が詰まるのを防止することができる。
【0016】
特に、エア供給管を搬送物供給口の下流側の端部の直下方まで進入させた場合には、エア供給管のエア供給口の前方には、搬送物供給口から直接搬送物が供給されることはなくなり、エア供給管のエア供給口の前方には、搬送物供給口から流下してきて直下方のエア供給管に当たり、そこから斜め前方に滑り落ちてきた搬送物のみが供給されることとなる。そのため、エア供給口の前方に搬送物供給口からエア搬送路の底壁までの高さで搬送物が堆積することはなく、搬送物の堆積高さを確実に低くすることができ、搬送物をより円滑にエア搬送することができる。そして、このように搬送物が円滑にエア搬送されて、エア供給管のエア供給口の前方に搬送物が溜まらないことにより、エア供給口からエア搬送路内へと円滑に空気を供給することができ、エア搬送をより円滑に行うことができる。
【0017】
一方で、上述したようにエア供給管を搬送物供給口の下流側の端部の直下方まで進入させると、エア供給管のエア供給口の前方に供給される搬送物の量は制限されるため、一度にエア搬送できる搬送物の量は減少する。従って、エア供給管は、エア搬送する搬送物の種類に応じてその進入量を調整し、適量の搬送物がエア供給口の前方に供給されるようにする。
【0018】
例えば、エア搬送する搬送物が軽いものであれば、エア供給口の前方にある程度搬送物が供給されてもエア搬送することができるので、エア供給管の進入量を小さくして多くの搬送物を一度に効率良く搬送できるようにすればよく、エア搬送する搬送物が重たいものであれば、エア供給口の前方に多量の搬送物が供給されるとエア搬送されなかった搬送物が溜まってしまうおそれがあるので、エア供給管の進出量を大きくして少量ずつ搬送物をエア搬送し、エア供給口の前方に搬送物が溜まらないようにすればよい。
【0019】
このように、本発明に係るエア搬送装置では、搬送物供給口の直下方においてエア供給管を進退させることができるので、異なる種類の搬送物をエア搬送する場合でも、搬送物供給口の直下方におけるエア供給管の進入量を調整して、エア供給管のエア供給口の前方に最も適した量の搬送物が供給されるようにすることができ、搬送物の種類が異なっても、各搬送物をそれぞれ円滑にエア搬送することができる。
【0020】
なお、本発明に係るエア搬送装置では、エア搬送は、エア搬送路の終端部側からの吸引によって行っても、エア搬送路の始端部側からの噴風によって行っても、吸引と噴風とを組み合わせて行ってもよく、吸引によって行う場合には、エア供給管からは単に外気が取り込まれることとなり、噴風によって行う場合には、エア供給管からはポンプなどを利用して強制的に外気が送られることとなる。また、エア供給管は、シリンダーなどを用いて機械的に進退駆動するようにすることも、手動で進退させることもできる。
【0021】
また、エア供給管は、エア搬送路内においては、同エア搬送路の底壁に沿って摺動するように構成するのが望ましく、かかる構成とすることにより、エア搬送路内に落下してきた搬送物に対して下側から空気を当てることができ、搬送物を浮かせてエア搬送されやすいようにすることができる。しかも、エア供給管の下方に搬送物が入り込んで、エア搬送されずに残留することもない。
【0022】
また、エア搬送管は、前述したように搬送物供給口の直下方においてのみ進退可能とするのではなく、エア搬送装置の外部まで退出可能とするのが望ましく、かかる構成とすれば、エア搬送する搬送物から派生した屑などが汚れとしてエア供給管に付着したり、搬送物供給口から落下してきた搬送物との接触によって、エア供給管が損傷を受けたりしたとしても、エア供給管をエア搬送路の外部に移動させて簡単にメンテナンスすることができる。このように、エア供給管をエア搬送装置の外部まで退出可能とすれば、エア供給管をメンテナンスするためにエア搬送装置を分解してエア供給管を取り出す必要がなくなり、搬送物との接触が多く、頻繁にメンテナンスを行う必要があるエア供給管を簡単にメンテナンスすることができる。
【0023】
しかも、エア搬送装置におけるエア供給管の出入り口を前記エア供給管が通過可能な最小限の大きさに形成するなどして、前記エア供給管がエア搬送装置の外部に退出するときには、前記出入り口に接触しながら退出する構成とすれば、エア供給管がエア搬送路の外部に退出するときには、エア供給管の外周面に付着した屑などの汚れは前記出入り口の縁部で削ぎ落とされて、自動的にエア供給管が掃除されることとなり、エア供給管の掃除に要する手間を省くことができる。
【0024】
特に、エア搬送する搬送物が米や豆類などの穀物である場合には、派生する屑が糠や皮など水分を含む場合が多く、エア供給管が汚れやすいので、前述したエア供給構造によって効果的にエア供給管をメンテナンスすることができる。なお、本発明に係るエア搬送装置は、前述した穀物に限らず多様な物質を搬送することができ、特に粉粒状の物質を好適にエア搬送することができる。
【0025】
また、エア供給管は、前記搬送物供給口を開閉するシャッターに連動連結することもできる。例えば、シャッターが開いて搬送物供給口が開放されたときには、前記エア供給管がエア搬送路の終端部側へ進出して搬送物供給口の直下方に移動し、逆にシャッターが閉じて搬送物供給口が閉鎖されたときには、前記エア供給管がエア搬送路の始端部側へと後退して、エア搬送装置の外部へと退出するように構成するのである。
【0026】
かかる構成とすれば、シャッターの開閉とエア供給管の進退とをそれぞれ別々に操作する手間を省くことができると共に、シャッターとエア供給管とを同一駆動源で駆動させて、両者の駆動に要するコストを削減することができる。
【0027】
特に、前述したように、シャッターの開放と前記搬送物供給口の直下方へのエア供給管の進出とを連動させると共に、前記シャッターの閉鎖と前記エア搬送装置の外部へのエア供給管の退出とを連動させた場合には、搬送物供給口が開放されて搬送物がエア搬送路内に供給されるときには、自動的にエア供給管がエア搬送路内に進入して効果的に空気がエア搬送路内に供給され、搬送物供給口が閉鎖されて搬送物がエア搬送路内に供給されないときには、自動的にエア供給管がエア搬送路外に退出して、エア供給管がメンテナンスしやすい状態となる。従って、エア搬送時の状態から非エア搬送時の状態へとエア搬送装置の状態を素早く切り換えることができる。
【0028】
以下に、本発明に係るエア搬送装置の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明に係るエア搬送装置の一実施形態であるエア搬送装置Aの全体説明図である。図示するように、本実施形態のエア搬送装置Aは、搬送物供給部1と、同搬送物供給部1から供給された搬送物aをエア搬送するエア搬送路2と、同エア搬送路2に空気を供給するエア供給部3と、前記エア搬送路2を通ってエア搬送された搬送物aを受ける搬送物受部4とからなる。
【0030】
前記搬送物供給部1は、図2〜図4に示すように、収容した搬送物aをエア搬送路2に供給する供給ホッパー5を備えており、同供給ホッパー5の下端部は、筒状に形成されたエア搬送路2の始端部2aの天壁に連通している。この連通部が前記エア搬送路2へ搬送物aを供給する搬送物供給口6となっており、同搬送物供給口6には、搬送物供給口6を開閉するためのシャッター7をスライド自在に取り付けている。
【0031】
前記シャッター7は、中央に開口部7aを備えた平板体であり、同シャッター7がエア搬送路2の始端部2a側にスライド移動して前記開口部7aが搬送物供給口6と上下に重なると、搬送物供給口6は開放される。一方、シャッター7がエア搬送路2の終端部2b側にスライド移動して前記開口部7aが搬送物供給口6と重ならなくなると、搬送物供給口6は閉鎖される。このように、搬送物供給口6は、前記シャッター7によってその開口幅が調整されている。
【0032】
前記エア搬送路2は、両端開口の筒状に形成されており、始端部2a側の開口部は、図2〜図4に示すように、後述するエア供給管10の出入り口8となっていて、前記エア供給管10が通過するときにエア供給管10の外周面が接触する大きさに形成されている一方、終端部2b側の開口部は、図5(a)(b)に示すように、エア搬送されてきた搬送物aが搬送物受部4へ流入する流入口9となる。なお、以下においては、エア搬送路2の始端部2a側を上流、終端部2b側を下流と呼ぶことにする。
【0033】
エア供給部3は、図2〜図4に示すように、前記エア搬送路2の出入り口8を通ってエア搬送路2の内外へと進退可能なエア供給管10と、同エア供給管10を進退駆動させるシリンダー11とからなる。前記エア供給管10は、先端開口の筒状であり、その開口部がエア供給口12になる。また、エア供給管10の基端部には前記シリンダー11を取り付けており、周壁には外気の取込口13を設けている。そして、前記エア搬送路2の内部へ進入するときには、前記エア供給口12が設けられた先端部側から進入する一方、退出するときには、前記先端部まで完全にエア搬送路2の外部へ退出することができる。なお、エア搬送路2の内部において、エア供給管10は前記エア搬送路2の底壁に当接しており、同底壁に沿って摺動する。
【0034】
また、エア供給管10には前記シャッター7から伸延させた連動片23を取り付けており、エア供給管10がエア搬送路2の終端部2b方向に進出すると、それに連動してシャッター7もエア搬送路2の終端部2b方向にスライド移動し、前述したようにその開口部7aが搬送物供給口6と重なる一方、エア供給管10がエア搬送路2の始端部2a方向に後退すると、それに連動してシャッター7もエア搬送路2の始端部2a方向にスライド移動し、その開口部7aが搬送物供給口6と重なる位置から外れていく。
【0035】
特に、本実施形態では、エア供給管10の先端が前記搬送物供給口6の下流側の端部の直下方に位置するときに、シャッター7の開口部7aと搬送物供給口6とが完全に重なって、前記搬送物供給口6の開口幅が最大となる一方、エア供給管10の先端が前記搬送物供給口6の上流側の端部の直下方に位置するとき、すなわち、ここでは前記エア搬送路2の出入り口8にエア供給管10の先端が位置するときに、シャッター7の開口部7aが搬送物供給口6から完全に外れて、前記搬送物供給口6が完全に閉鎖されるようにしている。
【0036】
しかも、エア供給管10の先端は、シャッター7に設けられた開口部7aの下流側の端部の直下方に配置しており、搬送物供給口6が開放されたときには、同搬送物供給口6の直下方に必ずエア供給管10が配置されるようにしている。
【0037】
このように、本実施形態では、エア供給管10とシャッター7とを連動連結させ、シャッター7の開閉に伴って前記エア供給管10が搬送物供給口6の直下方を進退移動するようにしている。
【0038】
搬送物受部4は、図5(a)(b)に示すように、前記エア搬送路2の終端部2bに連設された受容ホッパー14を備えており、同受容ホッパー14の内部には、エア搬送路2の流入口9から受容ホッパー14の内部に流入した搬送物aの移動速度を減速させる減速機構15を収納している。また、前記受容ホッパー14の上端部には、エア搬送路2及び受容ホッパー14の内部の空気を吸引する吸引機構16を連設し、前記受容ホッパー14の下端部には、受容ホッパー14から外部への搬送物aの排出を調整するロータリーバルブ17を連設している。
【0039】
前記減速機構15は、前記エア搬送路2の終端部2bの側方に配置しており、前記エア搬送路2の終端部2bの流入口9から受容ホッパー14の内部へと水平方向に流入した搬送物aを受けて下方に落とす第1の受羽根18及び第2の受羽根19を、前記エア搬送路2からの搬送物aの流入方向と同方向に回転する前後方向に伸延した回転軸20に対してそれぞれ1周に渡って複数枚取り付けた構成となっている。ここでは、回転軸20に対して第1の受羽根18と第2の受羽根19とをどちらも8枚ずつ回転方向に沿って所定間隔ごとに取り付けている。
【0040】
しかも、このように回転方向に沿って複数枚設けた第1の受羽根18からなる第1受羽根群21と、同様に回転方向に沿って複数枚設けた第2の受羽根19からなる第2受羽根群22とは回転軸20に対して前後に並設しており、正面視したときに連続する第1の受羽根18の間に第2の受羽根19が配置されるようにしている。図中、20aは軸受けである。
【0041】
なお、前記第1の受羽根18と前記第2の受羽根19とは、エア搬送時の搬送物aの移動速度(流速)、すなわちエア搬送路2から受容ホッパー14の内部への流入速度よりも遅い回転速度(周速)で回転させている。例えば、エア搬送時の搬送物aの移動速度が毎秒10mの場合には、第1の受羽根18と第2の受羽根19とは、毎秒5mで回転させている。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように回転軸20周りに複数枚取り付けている第1の受羽根18及び第2の受羽根19のいずれかを回転軸20の直上方に位置させたときに、受羽根の先端から略1/3となる高さに前記エア搬送路2の流入口9の中心がくるように、エア搬送路2の終端部2bを受容ホッパー14に連通させている。これにより、エア搬送路2の終端部2bの流入口9から受容ホッパー14の内部へと流入した搬送物aは第1の受羽根18及び第2の受羽根19の上方を通過してしまうことがなく、搬送物aを確実に第1の受羽根18及び第2の受羽根19で受け止めることができる。
【0043】
前記第1の受羽根18は、回転方向に対して直交した基端部から、回転方向に対して45度傾斜した先端部へと平板体を捻った形状となっており、搬送物aの受面18aが回転方向に対して斜めに傾斜している。
【0044】
また、前記第2の受羽根19は、回転方向に対して平行な基端部から、回転方向に対して45度傾斜した先端部へと平板体を捻った形状となっており、前記第1の受羽根18と同様、搬送物aの受面19aが回転方向に対して斜めに傾斜している。
【0045】
しかも、前記第1の受羽根18と前記第2の受羽根19とは傾斜方向が異なり、第1の受羽根18の一側端が第2の受羽根19の受面19aに向けられ、第2の受羽根19の一側端が次の第1の受羽根18の受面18aに向けられている。特に、本実施形態では、第1の受羽根18も第2の受羽根19もそれぞれ基端部に対して先端部を45度捻っているので、基端部において直角に配置されている第1の受羽根18と第2の受羽根19とは、先端部においても互いに直角に配置されている。
【0046】
本実施形態のエア搬送装置Aは上述した構成からなり、搬送物aをエア搬送する際には以下のように作動する。
【0047】
図2(a)に示すように、エア搬送を行っていないときには、シリンダー11によりエア供給管10がエア搬送路2の外部に引き出されており、エア供給管10に連動するシャッター7もエア搬送路2の始端部2a側に移動して搬送物供給口6が閉鎖されている。
【0048】
そして、図2(b)に示すように、シリンダー11を駆動させてエア供給管10をエア搬送路2の内部に進入させると、同時にシャッター7もエア搬送路2の終端部2b側にスライド移動して搬送物供給口6が開放される。それに伴い、エア搬送路2には、前記搬送物供給口6を通って受容ホッパー14から搬送物aが供給される。ここでは、米を搬送物aとしている。このとき、受容ホッパー14からエア搬送路2へと流下してきた搬送物aは、搬送物供給口6の直下方に位置するエア供給管10の上方に堆積すると共に、そこからエア供給管10の前方に滑り落ち、エア供給管10のエア供給口12の前方にも搬送物aが堆積する。
【0049】
特に、図2(b)においては、エア供給管10を搬送物供給口6の下流側の端部の直下方までエア搬送路2の内部に進入させているので、エア供給口12の前方には、エア搬送路2の内径以上の高さに搬送物aが堆積することがない。しかも、エア供給口12の前方には、前述したようにエア供給管10の上方から滑り落ちた搬送物aしか堆積しないので、その堆積幅も限られている。
【0050】
従って、吸引機構16を駆動させてエア供給管10からエア搬送路2の内部へと空気を供給し、エア搬送路2の終端部2b方向へと向かう気流を発生させたときには、図2(c)に示すように、エア供給口12の前方の搬送物aを容易にエア搬送することができる。また、このようにエア搬送が開始されると、搬送物aは随時エア搬送路2の内部に供給されて、エア搬送路2の終端部2b方向へとエア搬送される。
【0051】
なお、エア供給管10は、上述したように搬送物供給口6の下流側の端部の直下方まで進入させるのみならず、図3に示すように、搬送物aの種類に応じて搬送物供給口6の直下方の適当な位置で進入を止めることもできる。このように、本実施形態のエア搬送装置Aでは、搬送物供給口6の直下方においてエア供給管10を進退させることができるので、搬送物aの種類に応じて搬送物供給口6の直下方におけるエア供給管10の進入量を調整することができ、エア供給管10のエア供給口12の前方に適量の搬送物aを供給することができる。
【0052】
また、図4(a)に示すように、エア搬送終了後にエア供給管10の外周面にエア搬送した搬送物aから派生した屑などの汚れbが付着しても、図4(b)に示すように、シリンダー11を駆動させて再びエア供給管10をエア搬送路2の外部に引き出すことにより、エア供給管10が出入り口8を通過するときに当該出入り口8の縁部で汚れbが削ぎ落とされて、自動的にエア供給管10を掃除することができる。しかも、エア供給管10を引き出すと同時にシャッター7も自動的にエア搬送路2の始端部2a側に移動して、再び搬送物供給口6が閉じられるため、エア供給管10を引き出す操作とは別にシャッター7を閉鎖する操作を行う必要がない。なお、このようにして削ぎ落とされた汚れbは、再び吸引機構16を駆動させてエア搬送路2内に気流を発生させることにより、エア搬送路2の終端部2bへとエア搬送してエア搬送装置Aから排出することができる。
【0053】
一方、エア搬送先の搬送物受部4においては、エア搬送が開始されると、図5(b)に示すように、駆動モータなどによって回転軸20を回転させて、第1の受羽根18及び第2の受羽根19をエア搬送路2の終端部2bとは逆方向(図5(b)では反時計回り)に回転させ、前記終端部2bの流入口9から受容ホッパー14の内部に流入した搬送物aを第1の受羽根18の受面18aで受ける。このとき、搬送物aを受ける第1の受羽根18は、前記流入口9から流入した搬送物aの流入方向と同方向に回転しているので、搬送物aが第1の受羽根18の受面18aに当たったときの衝撃を緩和することができる。しかも、搬送物aは、前記流入口9から水平方向に流入するので、自重によって搬送物aの水平方向への移動速度が小さくなり、これによっても受羽根に当たったときの搬送物aの衝撃を緩和することができる。
【0054】
図5(a)に示すように、第1の受羽根18の受面18aで受けた搬送物aは、前記受面18a上を傾斜に沿って第1の受羽根18の回転方向へと流れ、第1の受羽根18の側端部から同側端部と対向する第2の受羽根19の受面19aへと移動して受け止められる。前記第2の受羽根19の受面19aで受け止められた搬送物aは、前記受面19a上を傾斜に沿って第2の受羽根19の回転方向に流れて、第2の受羽根19の側端部から同側端部と対向する新たな第1の受羽根18の受面18aへと移動して受け止められる。
【0055】
このように、第1の受羽根18も第2の受羽根19もその受面18a,19aが回転方向に対して傾斜しているので、受面18a,19aに衝突した搬送物aは受面18a,19aに沿って斜めに逃げることとなり、搬送物aを次の受羽根へと受け渡しやすいのみならず、搬送物aが受羽根に当たったときの衝撃をより低減させることができる。
【0056】
しかも、第1の受羽根18から第2の受羽根19へ、第2の受羽根19から次の第1の受羽根18へと搬送物aの受け渡しを繰り返すことにより、搬送物aを新たな受羽根で受け止める度に搬送物aの移動速度をエア搬送時の移動速度から次第に減速することができ、最終的に十分に減速された段階で搬送物aを下方に落下させることができる。従って、エア搬送時の移動速度のまま搬送物aが受容ホッパー14の内壁面などに衝突して、搬送物aが損傷を受けるのを防止することができる。
【0057】
特に、本実施形態では、前述したように回転軸20の直上方に位置する受羽根の先端から略1/3となる高さにエア搬送路2の終端部2bを配置しているので、受容ホッパー14内に流入した搬送物aは第1の受羽根18の先端に近い部分に当たることとなり、搬送物aが受羽根から離れて下方に落下してしまうまでの間に、上述したように受羽根から受羽根へと搬送物aを受け渡していくことができる。
【0058】
なお、第1の受羽根18及び第2の受羽根19は回転しながら搬送物aを受け止めているので、実質的には搬送物aは2〜4枚の受羽根に当たる間に下方へ落下することとなる。そして、落下した搬送物aは受容ホッパー14下部に溜まって、ロータリーバルブ17を介して外部に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るエア搬送装置の一実施形態の全体説明図である。
【図2】同実施形態におけるエア搬送装置の正面視による一部断面説明図であり、(a)は搬送物供給口が閉鎖された状態を、(b)は搬送物供給口が開放された状態を、(c)はエア搬送が開始された状態を示している。
【図3】同実施形態におけるエア搬送装置の正面視による一部断面説明図である。
【図4】同実施形態におけるエア搬送装置の正面視による一部断面説明図であり、(a)はエア供給管に汚れが付着した状態を、(b)はエア供給管から汚れが取り除かれた状態を示している。
【図5】同実施形態における搬送物受部の一部断面説明図であり、(a)は平面視による一部断面説明図、(b)は正面視による一部断面説明図である。
【符号の説明】
【0060】
A エア搬送装置
a 搬送物
1 搬送物供給部
2 エア搬送路
2a 始端部
2b 終端部
3 エア供給部
4 搬送物受部
5 供給ホッパー
6 搬送物供給口
7 シャッター
7a 開口部
8 出入り口
9 流入口
10 エア供給管
11 シリンダー
12 エア供給口
13 取込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物供給口から供給した搬送物をエア搬送するためのエア搬送路に、先端のエア供給口から前記エア搬送路内へ空気を供給するエア供給管を配設したエア搬送装置において、
前記エア供給管は、前記搬送物供給口の直下方において進退可能に配設したことを特徴とするエア搬送装置。
【請求項2】
前記エア供給管は、エア搬送装置の外部まで退出可能であることを特徴とする請求項1記載のエア搬送装置。
【請求項3】
前記エア供給管は、エア搬送装置への出入り口に接触しながら退出することを特徴とする請求項2記載のエア搬送装置。
【請求項4】
前記エア供給管は、前記搬送物供給口を開閉するシャッターに連動連結したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエア搬送装置。
【請求項5】
前記エア供給管は、エア搬送路の底壁に沿って摺動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエア搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8304(P2006−8304A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186066(P2004−186066)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(502197275)福岡精米機器株式会社 (11)
【出願人】(302022821)有限会社 クルソン (7)
【Fターム(参考)】