説明

エスカレータの安全装置

【課題】過積載について利用者に注意を喚起させることができ、駆動系機器の破損、及び利用者の転倒の発生を抑えることができるエスカレータの安全装置を提供する。
【解決手段】制御装置2は、エスカレータ1の過積載の発生を確認した場合には、下階側表示器11a,12aに過積載報知用画像を表示させる。制御装置2は、エスカレータ1の過積載状態が所定時間継続していることを確認した場合には、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに徐行停止報知用アナウンスを出力する。この後に、制御装置2は、ステップ4の走行を徐行停止させ、エスカレータ1の運転を休止状態とする。そして、制御装置2は、下階側表示器11a,12a及び上階側表示器21a,22aに休止報知用画像を表示させるとともに、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに休止報知用アナウンスを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータの過積載を検出する機能を有するエスカレータの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエスカレータでは、ステップ上が混雑して過積載が生じ、その過積載の状態が比較的長時間継続した場合に、過負荷により駆動系機器が破損する可能性がある。これに加えて、ステップ上が混雑することに伴って、利用者が転倒してしまう可能性も増大する。
【0003】
また、例えば、特許文献1に示すような従来のエスカレータでは、制御装置が、エスカレータの高負荷状態を検出した場合に、運搬能力を向上させるために、ステップの走行速度を通常時よりも高速化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−184282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すような従来のエスカレータでは、制御装置が高負荷状態を検出した場合に、ステップの走行速度を通常時よりも高速化させるが、機器保護や転倒防止策について考慮されてはいなかった。
【0006】
また、従来のエスカレータでは、過積載が生じた際に、その過積載について、利用者に注意を喚起させることはできなかった。このため、エスカレータの過積載を回避するためには、施設管理者が口頭で利用者に注意を促したり、エスカレータの乗車制限をしたりする等、運用側で対処するしかなかった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、過積載について利用者に注意を喚起させることができ、駆動系機器の破損、及び利用者の転倒の発生を抑えることができるエスカレータの安全装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るエスカレータの安全装置は、エスカレータの乗り口に設けられ、利用者が前記乗り口を通過したことに応じて信号を生成する乗り口側利用者検出手段と、前記エスカレータの降り口に設けられ、利用者が前記降り口を通過したことに応じて信号を生成する降り口側利用者検出手段と、前記乗り口に設けられた報知手段と、前記乗り口側利用者検出手段及び前記降り口側利用者検出手段からの信号を用いて、前記乗り口と前記降り口との間における利用者の人数と、その人数に応じた重量値とを算出し、その算出した重量値が所定の判定値を超過していることを確認した場合に、前記エスカレータに過積載が生じていると判定する過積載監視部と、前記過積載監視部が前記エスカレータに過積載が生じていると判定したことに応じて、前記報知手段を介して、前記エスカレータの過積載の発生を利用者に報知する報知制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るエスカレータの安全装置によれば、過積載監視部がエスカレータに過積載が生じていると判定したことに応じて、報知制御部が報知手段を介してエスカレータの過積載の発生を利用者に報知するので、過積載について利用者に注意を喚起させることができ、ステップ上の混雑の緩和を利用者に促すことにより、駆動系機器の破損、及び利用者の転倒の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1によるエスカレータの構造を模式的に示す構成図である。
【図2】図1の下階側利用者検出装置を拡大して示す正面図である。
【図3】図1の制御装置の構成を具体的に示すブロック図である。
【図4】図1の下階側表示器及び上階側表示器の表示画像の一例を説明するための説明図である。
【図5】図1の下階側表示器及び上階側表示器の表示画像の一例を説明するための説明図である。
【図6】図1の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2による下階側利用者検出装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエスカレータの構造を模式的に示す構成図である。
図1において、建物の上階床と下階床との間には、エスカレータ1が設置されている。エスカレータ1は、下階側水平部1aと、上階側水平部1bと、傾斜部1cとを有している。また、エスカレータ1は、制御装置2と、駆動装置(モータ)3と、無端状に連結された複数のステップ4とを含んでいる。なお、エスカレータ1は、上昇運転されている。
【0012】
下階側水平部1aには、乗り口1dと、乗り口側利用者検出手段としての下階側利用者検出装置10とが設けられている。上階側水平部1bには、降り口1eと、降り口側利用者検出手段としての上階側利用者検出装置20とが設けられている。複数のステップ4は、駆動装置3の駆動力によって、乗り口1dと降り口1eとの間で循環移動される。駆動装置3の駆動を含むステップ4の走行は、制御装置2によって制御される。
【0013】
図2は、図1の下階側利用者検出装置10を拡大して示す正面図である。図2において、下階側利用者検出装置10は、一対の光電ポスト11,12によって構成されている。一対の光電ポスト11,12は、それぞれ乗り口1dの間口方向の一端部及び他端部に立てて設けられている。また、一対の光電ポスト11,12は、それぞれ、表示手段としての下階側表示器11a,12a、第1投光部11b,12b、第2投光部11c,12c、第1受光部11d,12d、第2受光部11e,12e、及び音声出力手段としてのスピーカ11f,12fを有している。
【0014】
第1投光部11b,12b及び第2投光部11c,12cは、それぞれ検出光A1〜D1を乗り口1dの間口方向(図2の左右方向)に沿って出射する。第1受光部11d,12d及び第2受光部11e,12eは、検出光A1〜D1のそれぞれの反射光A2〜D2を受けたことに応じて信号を生成する。
【0015】
従って、下階側利用者検出装置10は、第1受光部11d,12d及び第2受光部11e,12eが反射光を受けることに応じて、即ち利用者が乗り口1dを通過したことに応じて(利用者が乗り口1dを通過する度に)、乗り口側通過検出信号を生成する。
【0016】
ここで、上階側利用者検出装置20の構成も、下階側利用者検出装置10の構成と同様であり、第1投光部、第2投光部、第1受光部及び第2受光部(いずれも図示せず)と、表示手段としての上階側表示器21a,22aと、音声出力手段としてのスピーカ21f,22fとを有している。また、上階側利用者検出装置20は、利用者が降り口1eを通過したことに応じて(利用者が降り口1eを通過する度に)降り口側通過検出信号を生成する。
【0017】
図3は、図1の制御装置2の構成を具体的に示すブロック図である。図3において、制御装置2は、駆動装置3と、下階側利用者検出装置10と、上階側利用者検出装置20とに接続されている。また、制御装置2は、走行制御部2aと、過積載監視部2b、報知制御部2cとを有している。走行制御部2aは、駆動装置3の駆動を制御し、ステップ4の走行を制御する。
【0018】
また、エスカレータ1は、全自動運転式のエスカレータであり、走行制御部2aは、下階側利用者検出装置10及び上階側利用者検出装置20を介して、乗り口1dと降り口1eとのそれぞれの利用者の通過状況を監視している。さらに、走行制御部2aは、乗り口1dの利用者の通過状況に応じて、ステップ4の運転状態と運転休止状態とを切り替える。
【0019】
過積載監視部2bは、下階側利用者検出装置10からの乗り口側通過検出信号を用いて、乗り口1dを通過した利用者の人数を計数(カウント)する。また、過積載監視部2bは、上階側利用者検出装置20からの降り口側通過検出信号を用いて、降り口1eを通過した利用者の人数を計数する。さらに、過積載監視部2bは、エスカレータ1の推定負荷Dを常に監視している。
【0020】
過積載監視部2bによる過積載判定処理について具体的に説明する。過積載監視部2bは、下階側利用者検出装置10及び上階側利用者検出装置20からの信号を用いて、例えば次のような変数A〜Dの変化を監視している。
乗り口1dの通過人数:A
降り口1eの通過人数:B
現在乗車中の利用者の人数:C=A−B
エスカレータ1の推定負荷:D=C×65
但し、推定負荷Dは、1人あたり65kgとした場合の値である。
【0021】
また、過積載監視部2bは、例えば次のような最大積載荷重E及び過積載判定値Fを予め記憶している。
エスカレータ1の最大積載荷重:E=65×2×2×H/0.408
過積載判定値:F=E×80%
但し、最大積載荷重Eは、往路側の傾斜部1cの全てのステップ4に2名乗車した場合の値である。なお、最大積載荷重Eの算出式における「65×2」は、ステップ4の1段あたりの設定最大重量を示す。また、最大積載荷重Eの算出式における「2×H/0.408」は、往路側の傾斜部1cの全ステップ数を示す。
【0022】
ここで、過積載監視部2bは、監視している推定負荷Dが過積載判定値Fを超過したことを確認した場合に、エスカレータ1の過積載が発生したと判定する。そして、過積載監視部2bは、エスカレータ1の過積載が発生したと判定した時点から、エスカレータ1の過積載状態の継続時間を測定する。
【0023】
過積載監視部2bは、過積載状態の継続時間が所定時間(例えば1分間)を超えたことを確認すると、走行制御部2aに指令を送り、走行制御部2aにステップ4の走行速度を通常走行速度よりも遅い徐行速度とさせ、その後にステップ4の走行を停止させる。即ち、過積載監視部2bは、走行制御部2aにステップ4の走行を徐行停止させる。また、走行制御部2aは、ステップ4の走行を停止させた後は、管理者によるリセット操作を受けるまで待機する(エスカレータ1の運転を休止する)。
【0024】
これに対して、過積載監視部2bは、エスカレータ1の過積載状態の継続時間が所定時間未満であることを確認すると、過積載状態が解消されたと判定し、走行制御部2aにステップ4の通常走行速度での走行を継続させる。
【0025】
報知制御部2cは、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに音声アナウンスを出力可能となっている。報知制御部2cは、過積載監視部2bからの指令に応じて、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、音声アナウンスとして、過積載報知用アナウンス、徐行停止報知用アナウンス及び停止用アナウンスを出力する。
【0026】
過積載報知用アナウンスとは、過積載状態であることを利用者に知らせるためのアナウンスである。また、過積載報知用アナウンスは、例えば「乗り過ぎを検出しました。前のお客様と間隔を空けてご乗車下さい。」等である。徐行停止報知用アナウンスは、ステップ4の徐行停止を利用者に知らせるためのアナウンスである。また、徐行停止報知用アナウンスは、例えば「乗り過ぎの安全装置が動作しましたので運転を停止します。手摺におつかまり下さい。」等である。
【0027】
休止報知用アナウンスは、エスカレータ1の運転休止を利用者に知らせるためのアナウンスである。また、休止報知用アナウンスは、例えば「点検終了まで、エスカレータの運転を休止します。」等である。
【0028】
また、報知制御部2cは、走行制御部2a又は過積載監視部2bからの指令に応じて、下階側表示器11a,12a及び上階側表示器21a,22aの表示内容を制御する。具体的に、報知制御部2cは、エスカレータ1の通常運転時には、下階側表示器11a,12a(乗り口1d側)に、例えば図4(a)に示すような全自動運転報知用画像(乗り口側)を表示させ、エスカレータ1が全自動運転中であることを利用者に知らせる。また、報知制御部2cは、エスカレータ1の通常運転中に、上階側表示器21a,22a(降り口1e側)に、例えば図4(b)に示すような全自動運転報知用画像(降り口側)を表示させ、降り口1e側から傾斜部1c側へ進入禁止である旨を利用者に知らせる。
【0029】
さらに、報知制御部2cは、過積載監視部2bによってエスカレータ1の過積載が発生していると判定されているときに、下階側表示器11a,12aに、例えば図5(a)に示すような過積載報知用画像を表示させ、過積載が発生している旨を利用者に知らせる。また、報知制御部2cは、エスカレータ1の過積載が発生して走行制御部2aがステップ4の走行を停止したことに応じて、下階側表示器11a,12aに、例えば図5(b)に示すような休止報知用画像を表示させ、乗車不可である旨を利用者に知らせる。
【0030】
ここで、制御装置2は、演算処理部(CPU)、記憶部(ROM、RAM及びハードディスク等)及び信号入出力部を持ったコンピュータ(図示せず)により構成することができる。制御装置2のコンピュータの記憶部には、走行制御部2a、過積載監視部2b及び報知制御部2cの機能を実現するためのプログラムが格納されている。
【0031】
次に、動作について説明する。図6は、図1の制御装置2の動作を示すフローチャートである。図6において、まず、制御装置2は、エスカレータ1の過積載が発生したかどうかを確認する(ステップS1)。このときに、制御装置2は、エスカレータ1の過積載の発生を確認しなかった場合には、エスカレータ1の通常運転を継続する(ステップS2)。そして、制御装置2は、エスカレータ1の過積載が発生したかどうかを繰り返し確認する。
【0032】
また、制御装置2は、エスカレータ1の過積載の発生を確認した場合には、下階側表示器11a,12aに過積載報知用画像を表示させる(ステップS3)。これとともに、制御装置2は、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに過積載報知用アナウンスを出力する。
【0033】
そして、制御装置2は、エスカレータ1の過積載状態が所定時間継続しているか否かを確認する(ステップS4)。このときに、制御装置2は、エスカレータ1の過積載状態が所定時間継続していないことを確認した場合には、下階側表示器11a,12aに全自動運転報知用画像を表示させ、エスカレータ1の通常運転を継続する(ステップS2)。
【0034】
他方、制御装置2は、エスカレータ1の過積載状態が所定時間継続していることを確認した場合には、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに徐行停止報知用アナウンスを出力する(ステップS5)。この後に、制御装置2は、ステップ4の走行を徐行停止させ、エスカレータ1の運転を休止状態とする(ステップS6)。
【0035】
そして、制御装置2は、下階側表示器11a,12a及び上階側表示器21a,22aに休止報知用画像を表示させるとともに、スピーカ11f,12f,21f,22fを介して、乗り口1d及び降り口1eに休止報知用アナウンスを出力する(ステップS7)。この後、制御装置2は、管理者から所定のリセット操作を受けるまでエスカレータ1の運転休止状態を継続する(ステップS8)。
【0036】
この後に、制御装置2は、リセット操作を受けると、エスカレータ1の通常運転を開始する(ステップS9)。これとともに、制御装置2は、下階側表示器11a,12a及び上階側表示器21a,22aに全自動運転報知用画像を表示させる。そして、制御装置2は、同様の動作を繰り返す。
【0037】
上記のような実施の形態1のエスカレータの安全装置によれば、過積載監視部2bがエスカレータ1に過積載が生じていると判定したことに応じて、報知制御部2cが各スピーカ11f,12f,21f,22fと、各表示器11a,12a,21a,22aとを介してエスカレータ1の過積載の発生を利用者に報知する。この構成により、過積載について利用者に注意を喚起させることができ、ステップ4上の混雑の緩和を利用者に促すことにより、駆動装置3等の駆動系機器の破損、及び利用者の転倒の発生を抑えることができる。
【0038】
また、過積載監視部2bは、エスカレータ1に過積載が生じていると判定した場合に、走行制御部2aに、ステップ4の走行を徐行停止させる。この構成により、過積載状態でのエスカレータ1の運転を禁止することから、駆動装置3等の駆動系機器の破損、及び利用者の転倒の発生を抑えることができる。
【0039】
さらに、過積載監視部2bは、利用者人数から算出した重量値が判定値を超過している状態が、エスカレータ1に過積載が生じていると判定した時点から所定時間継続していることに応じて、走行制御部2aに、ステップ4の走行を徐行停止させる。この構成により、エスカレータ1が一時的に過積載状態となった場合であっても、エスカレータ1の過積載状態が所定時間内に解消されれば、走行制御部2aにステップ4の走行を継続させることから、利用者の利便性の低下を抑えることができる。
【0040】
実施の形態2.
実施の形態1では、下階側利用者検出装置10及び上階側利用者検出装置20が、それぞれ2本の光電ポストによって構成されていた。これに対して、実施の形態2では、下階側利用者検出装置10及び上階側利用者検出装置20が、それぞれ3本の光電ポストによって構成されている。
【0041】
図7は、この発明の実施の形態2による下階側利用者検出装置10を示す正面図である。図7において、実施の形態2の下階側利用者検出装置10は、第1側部光電ポスト111、第2側部光電ポスト112及び中間光電ポスト113によって構成されている。第1側部光電ポスト111は、乗り口1dの間口方向の一端部(図7の左端部)に立てて設けられている。
【0042】
第2側部光電ポスト112は、乗り口1dの間口方向の他端部(図7の右端部)に立てて設けられている。中間光電ポスト113は、乗り口1dの間口方向の中心部(第1及び第2側部光電ポスト111,112間)に立てて設けられている。即ち、各ポスト111〜113は、乗り口1dの間口方向に間隔をおいて並べて配置されている。
【0043】
第1及び第2側部光電ポスト111,112は、実施の形態1の一対の光電ポスト11,12と同様に、それぞれ下階側表示器111a,112a、第1投光部111b,112b、第2投光部111c,112c、及びスピーカ111f,112fを有している。これらの各部111a〜111c,111f,112a〜112c,111fの機能は、実施の形態1の各部11a〜11c,11f,12a〜12c,11fの機能と同様である。
【0044】
中間光電ポスト113は、第1〜第4受光部113a〜113dを有している。第1〜第4受光部113a〜113dは、それぞれ第1投光部111bからの検出光A1、第2投光部111cからの検出光B1、及び第1投光部112bからの検出光C1、第2投光部112cからの検出光D1を受けるように配置されている。また、第1〜第4受光部113a〜113dは、検出光A1〜D1が遮断されたことに応じて信号を生成する。
【0045】
従って、実施の形態2の下階側利用者検出装置10は、第1及び第2側部光電ポスト111,112の一方と中間光電ポスト113との間を利用者が通過したこと、及び第1及び第2側部光電ポスト111,112の他方と中間光電ポスト113との間を利用者が通過したことに応じて、乗り口側通過検出信号を生成する。実施の形態2の上階側利用者検出装置の構成も、下階側利用者検出装置10の構成と同様である。また、他の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0046】
上記のようなエスカレータの安全装置では、下階側利用者検出装置10は、第1及び第2側部光電ポスト111,112の一方と中間光電ポスト113との間を利用者が通過したこと、及び第1及び第2側部光電ポスト111,112の他方と中間光電ポスト113との間を利用者が通過したことに応じて、乗り口側通過検出信号を生成する。この構成により、実施の形態1のエスカレータの安全装置と同様の効果を得ることができる。
【0047】
これとともに、中間光電ポスト113によって乗り口1d及び降り口1fにおける利用者の通過経路が制限される。そして、下階側利用者検出装置10が、その通過位置を通る利用者に応じた信号を生成する。この構成により、実施の形態1のエスカレータの安全装置よりも、利用者の検出精度を向上させることができ、エスカレータ1の過積載についての判定精度を向上させることができる。
【0048】
なお、実施の形態1,2では、下階側利用者検出装置10及び上階側利用者検出装置20がそれぞれ光電ポストによって構成されていた。しかしながら、下階側利用者検出装置及び上階側利用者検出装置は、光電ポストに限定するものではなく、例えば乗り口及び降り口の床部に設置される光電センサや面圧センサ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 エスカレータ、1d 乗り口、1e 降り口、2 制御装置、2a 走行制御部、2b 過積載監視部、2c 報知制御部、3 駆動装置、4 ステップ、10 下階側利用者検出装置(乗り口側利用者検出手段)、11,12 光電ポスト、11a,12a,111a,112a 下階側表示器(表示手段)、11f,12f,21f,22f,111f,112f スピーカ(音声出力手段)、20 上階側利用者検出装置(降り口側利用者検出手段)、21a,22a 上階側表示器(表示手段)、111 第1側部光電ポスト、112 第2側部光電ポスト、113 中間光電ポスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータの乗り口に設けられ、利用者が前記乗り口を通過したことに応じて信号を生成する乗り口側利用者検出手段と、
前記エスカレータの降り口に設けられ、利用者が前記降り口を通過したことに応じて信号を生成する降り口側利用者検出手段と、
前記乗り口に設けられた報知手段と、
前記乗り口側利用者検出手段及び前記降り口側利用者検出手段からの信号を用いて、前記乗り口と前記降り口との間における利用者の人数と、その人数に応じた重量値とを算出し、その算出した重量値が所定の判定値を超過していることを確認した場合に、前記エスカレータに過積載が生じていると判定する過積載監視部と、
前記過積載監視部が前記エスカレータに過積載が生じていると判定したことに応じて、前記報知手段を介して、前記エスカレータの過積載の発生を利用者に報知する報知制御部と
を備えることを特徴とするエスカレータの安全装置。
【請求項2】
前記過積載監視部は、前記エスカレータに過積載が生じていると判定した場合に、ステップの走行を制御する走行制御部に、前記ステップの走行を徐行停止させる
ことを特徴とする請求項1記載のエスカレータの安全装置。
【請求項3】
前記過積載監視部は、前記エスカレータに過積載が生じていると判定した場合で、かつ前記エスカレータに過積載が生じていると判定している時間が所定時間継続している場合に、前記走行制御部に、前記ステップの走行を徐行停止させる
ことを特徴とする請求項2記載のエスカレータの安全装置。
【請求項4】
前記報知手段は、表示手段を含んでおり、
前記報知制御部は、前記エスカレータの過積載の発生を示す画像を前記表示手段に表示させて、前記エスカレータの過積載の発生を利用者に報知する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエスカレータの安全装置。
【請求項5】
前記報知手段は、音声出力手段を含んでおり、
前記報知制御部は、前記エスカレータの過積載の発生に関する音声アナウンスを、前記音声出力手段を介して出力して、前記エスカレータの過積載の発生を利用者に報知する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエスカレータの安全装置。
【請求項6】
前記乗り口側利用者検出手段及び前記降り口側利用者検出手段は、前記乗り口及び前記降り口のそれぞれに立てて設けられた光電ポストであり、
前記光電ポストは、
前記乗り口及び前記降り口の間口方向の一端部及び他端部に配置された第1及び第2側部光電ポストと、
前記第1及び第2側部光電ポスト間に配置された中間光電ポストとを有し、
前記第1及び第2側部光電ポストの一方と前記中間光電ポストとの間を利用者が通過したこと、及び第1及び第2側部光電ポストの他方と前記中間光電ポストとの間を利用者が通過したことに応じて信号を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエスカレータの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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