説明

エスシタロプラムの放出調節製剤およびパルス型放出製剤

本発明は、エスシタロプラムの放出調節医薬製剤およびパルス型医薬製剤、ならびにこれらを中枢神経系障害(気分障害(例えば大うつ病性障害)および不安障害(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、およびパニック発作を含む恐慌性障害)を含む)の治療に使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合衆国法典第35巻の119条の下で2005年12月14日に出願された米国仮出願番号60/750,841(これは参照することにより本明細書に全体として組み込まれる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、エスシタロプラムの放出調節製剤およびパルス型放出製剤(pulsatile release pharmaceutical formulations)、ならびに、これらを中枢神経系(CNS)障害(気分障害(例えば大うつ病性障害)および不安障害(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害または恐慌性障害)を含む)の治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(以下SSRIと呼ぶ)、例えばラセミ体シタロプラムおよびエスシタロプラムは、主に、三環系抗うつ剤およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)と比較して優れた有効性のために、うつ病の治療における第一選択の治療になっている。SSRIは、シナプスでの神経細胞による神経伝達物質セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン、5-HT)の再取り込みを阻害することによって機能する。結果として、セロトニンがシナプス間隙に残り、受容細胞の受容体を刺激する機会を有することになる。
【0004】
エスシタロプラムはシタロプラムのS-エナンチオマーであり、以下の構造:
【0005】
【化1】

【0006】
を有する。
【0007】
エスシタロプラムの製造方法は、例えば特許文献1および特許文献2および特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6に開示されている。
【0008】
特許文献7および特許文献8には、大うつ病性障害、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、パニック発作、急性ストレス障害、摂食障害(例えば、過食症、食欲不振および肥満)、恐怖症、気分変調、月経前症候群、認知障害、衝動調節障害、注意欠陥過活動性障害および薬物乱用を含む種々の精神障害の治療にエスシタロプラムを使用する方法が開示されている。特許文献8ではまた、慣用のSSRIでの初期治療に応答しなかった患者、特に慣用のSSRIでの初期治療に応答しなかった大うつ病性障害を有する患者の治療にエスシタロプラムを使用する方法が開示されている。
【0009】
大うつ病性障害および全般性不安障害の治療用に、シュウ酸エスシタロプラムが最近米国でLexapro(R)として上市されている。Lexapro(R)は、5、10および20 mgのエスシタロプラム即放性(IR)錠剤(シュウ酸塩として)で、および液剤で入手することができる。エスシタロプラムはまた、15 mgの力価で研究が行われている。
【0010】
エスシタロプラムに伴う副作用には、悪心、不眠、傾眠、発汗過多、疲労および性機能障害(射精障害、無オルガズム症および性欲減退を含む)が含まれる。
【0011】
近年、即放性錠剤を使用して1日1回エスシタロプラムを投薬する投薬計画が用いられている。非特許文献1では、即放性エスシタロプラムの最高血中濃度には4〜5時間で到達することが報告されている(56%の結合率で80%の絶対的バイオアベイラビリティー)。
【0012】
非特許文献2では、抗うつ薬の即放性製剤と放出制御製剤との臨床試験結果が、薬剤投与中止の原因となる悪心に関して比較されている。著者は「より安定な薬物動態プロファイルが、一部の新しい放出制御抗うつ薬を用いた場合の悪心の発生低下の原因であり得る」が「関連性は証明されていない」と述べている。
【0013】
即放性固形剤形では、短時間においてほとんどまたは全ての活性成分が放出され、薬剤の速い吸収が可能となる。薬剤の速い吸収(すなわち、短いTmax)では、場合により、望ましくない有害事象が起こる。放出調節(MR)固形剤形では、治療的に有効な血漿中レベルを維持するために長い時間にわたって活性成分が放出され、活性成分の他の薬物動態特性を向上させることもできる。
【0014】
溶融造粒法によって製造されたシュウ酸エスシタロプラムの放出調節製剤が、特許文献9(この文献の開示事項は参照することにより全体として本明細書に組み込まれる)に開示されている。溶融造粒によって製造された調合物は、実質的に均質であり、1種またはそれ以上の親水性セルロースエーテルポリマー類、親水性溶融結合剤、および治療的に活性な薬剤を含む。
【0015】
特許文献10は、SSRI、例えば臭化水素酸シタロプラムの1日1回用の放出調節製剤を開示しており、そしてその結果のシュウ酸エスシタロプラムへの外挿が行われている。しかしながら、該放出調節製剤は、即放性SSRI剤形と生物学的に同等なPKプロファイル(例えば、実質的に同一のCmax)を有する。
【0016】
特許文献11は、シタロプラムまたはエスシタロプラムを含む放出制御固形剤形を開示している。
【特許文献1】米国再発行特許発明第34,712号明細書
【特許文献2】米国特許第6,566,540号明細書
【特許文献3】国際公開第03/000672号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/006449号パンフレット
【特許文献5】国際公開第03/051861パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004/083197パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/03694パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/087566パンフレット
【特許文献9】国際公開第01/22941号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2004/058299号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/020838号明細書
【非特許文献1】Waugh and Goa, CNS Drugs, 2003, 17(5):343-362
【非特許文献2】DeVane, J. Clin. Psychiatry 2003, 64 (suppl. 18):14-19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
薬物動態特性が向上したエスシタロプラムの放出調節製剤がなおも必要とされている。従って、本発明は、目標とする時間にわたって向上した放出プロファイルを示し、Cmaxに関連する有害事象がほとんど発生しない、エスシタロプラム含有放出調節剤形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、エスシタロプラムの放出調節医薬製剤およびパルス型医薬製剤、ならびにこれらを中枢神経系(CNS)障害(気分障害(例えば大うつ病性障害)および不安障害(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害または恐慌性障害)を含む)の治療に使用する方法に関する。特に、本発明は、向上した薬物動態特性を有する、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩(好ましくはシュウ酸エスシタロプラム)の放出調節経口剤形を提供する。従って、前記経口剤形は、中枢神経系障害の治療における有効性を改善することができ、生じる副作用も従来のエスシタロプラム製剤に比べて極めて少ないものである。
【0019】
一部の実施態様において、本発明は、約2 mg〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形であって、約6時間を超える平均Tmax、約30 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する経口剤形を提供する。
【0020】
他の実施態様において、本発明は、約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する経口剤形を提供する。
【0021】
他の実施態様において、本発明は、複数のビーズを含有し、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を有するコア、約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分および放出調節コーティングを含有する経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを有する経口剤形を提供する。
【0022】
さらに別の実施態様において、本発明は、即放性成分および放出調節成分を含有する複合剤形(composite dosage forms)であって、即放性成分が約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む第一の活性成分を含み、この第一活性成分の約80%が前記剤形の使用環境への導入後の最初の約4時間以内に溶出し、そして放出調節成分が約2〜約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む第二の活性成分を含み、この第二活性成分の約70%〜約80%が前記剤形の使用環境への導入後約4時間〜約24時間以内に溶出する複合剤形を提供する。
【0023】
さらに別の実施態様において、本発明は、複数のビーズを含有する経口剤形であって、各ビーズがビーズ1グラムあたり約500〜約800 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約30 mg〜約300 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約20 mg〜約60 mgの第一のポリマーを含む第一の薬剤成分;ビーズ1グラムあたり約50〜約300 mgの放出調節コーティング;ビーズ1グラムあたり約50 mg〜約150 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約5〜約50 mgの第二のポリマーを含む第二の薬剤成分;および場合により、ビーズ1グラムあたり約5〜約25 mgのトップコーティング、を含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有する経口剤形を提供する。
【0024】
典型的な実施態様において、第一の薬剤成分は、ビーズ1グラムあたり約675 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、そして第一のポリマーはビーズ1グラムあたり約37 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;放出調節コーティングはビーズ1グラムあたり約163 mgのsureleaseを含み;第二の薬剤成分はビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、そして第二のポリマーはビーズ1グラムあたり約21 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;そしてトップコーティングはビーズ1グラムあたり約17 mgのopadry clearを含む。
【0025】
<図面の簡単な説明>
図1は、10 mgエスシタロプラム錠剤、8 mgエスシタロプラムIRビーズ(計算)、放出調節ビーズI、放出調節ビーズIIおよび放出調節ビーズIIIに関する薬物動態プロファイルを示す。
【0026】
図2は、実施例3に従って製造された遅い放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズI)に関する溶出プロファイルを示す。
【0027】
図3は、実施例3に従って製造された中程度の放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズII)に関する溶出プロファイルを示す。
【0028】
図4は、実施例3に従って製造された速い放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズIII)に関する溶出プロファイルを示す。
【0029】
図5は、実施例4に従って製造された遅い放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤I)に関する溶出プロファイルを示す。
【0030】
図6は、実施例4に従って製造された中程度の放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤II)に関する溶出プロファイルを示す。
【0031】
図7は、実施例4に従って製造された速い放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤III)に関する溶出プロファイルを示す。
【0032】
図8は、実施例5に従って製造された2つのパルスを有する単一錠剤の溶出プロファイルを示す。第一のパルスは0.1 N HCl溶液において直ちに放出する。第二のパルスは、0.1 N HClで最初の2時間にわたって薬剤の10%未満を放出し、2時間後にリン酸バッファー溶液(pH 6.8)中で放出する。
【0033】
図9は、50%のIRビーズおよび50%のMRビーズIIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0034】
図10は、37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズIIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0035】
図11は、50%のIRビーズおよび50%のMRビーズIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0036】
図12は、37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0037】
<発明の詳細な説明>
本発明は、エスシタロプラムの放出調節医薬製剤およびパルス型医薬製剤、ならびにこれらを中枢神経系(CNS)障害(気分障害(例えば大うつ病性障害)および不安障害(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害または恐慌性障害)を含む)の治療に使用する方法に関する。特に、本発明は、向上した薬物動態特性を有する、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩(好ましくはシュウ酸エスシタロプラム)の放出調節経口剤形を提供する。例えば、血中濃度-時間曲線下面積(AUC0-tおよびAUC0-∞)として測定した場合に最大量のエスシタロプラムを個体に提供する一方で、得られる最高血中濃度(Cmax)を最小限にする経口剤形を提供することが望ましい。さらに、特定の量の後に最高血中濃度(Cmax)を提供する、、すなわちTmaxを調節することが望ましい。従って、本発明は、中枢神経系障害の治療における有効性が改善され、従来のエスシタロプラム製剤に比べて副作用が極めて少ない、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩の放出調節経口剤形を提供する。
【0038】
一部の実施態様において、本発明は、約2 mg〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含有する経口剤形であって、約6時間を超える平均Tmax、約30 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する経口剤形を提供する。
【0039】
さらなる実施態様において、経口剤形は、約5 mg〜約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含有する。さらに別の実施態様においては、約4 mg〜約16 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩が提供される。他の実施態様において、剤形は、約8時間を超える平均Tmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。他の実施態様において、剤形は、約10.0 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。さらに別の実施態様において、剤形は、約5.0 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。さらに別の実施態様において、剤形は、約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。さらに別の実施態様において、剤形は、約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。他の実施態様において、剤形は、約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0040】
典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約2 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0041】
他の典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約4 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0042】
他の典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約5 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0043】
他の典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約10.0 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0044】
他の典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約20 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0045】
他の典型的な実施態様において、本発明の剤形は、約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、約6時間を超える平均Tmax、約30 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0046】
本発明の剤形は、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩の放出調節ビーズまたはパルス型放出(pulsatile release)ビーズ、錠剤および/または粒子を含むことができる。好ましくは、ビーズ、錠剤および/または粒子は、放出調節ポリマーでコーティングされる。好適な放出調節ポリマーには、限定はされないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリレートを基礎とするポリマー類、およびこれらの混合物が含まれる。
【0047】
他の実施態様において、本発明は、約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する経口剤形を提供する。別の実施態様において、剤形は、120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。別の実施態様において、剤形は、150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0048】
例えば、剤形は、約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約2 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。他の例において、剤形は、約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約4 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。他の例において、剤形は、約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約5 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。別の例において、剤形は、約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約10 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。さらに別の例において、剤形は、約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約18 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。別の例において、剤形は、約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを含むことができる。
【0049】
1つの実施態様において、経口剤形は1日に1回投与され、患者による摂取において、同量のエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含有する即放性剤形と比較して、統計学的に有意に低い、患者血漿中におけるエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩に関するCmaxをもたらす。さらに、前記経口剤形はまた、同様に1日に1回投与される同一形態のエスシタロプラムを含有する即放性錠剤と実質的に同等なエスシタロプラムのバイオアベイラビリティー(AUC)を提供することもできる。
【0050】
好ましくは、本願の剤形は1日に1回用の製剤であり、すなわち、患者に1日中にわたって治療効果を提供するために1日に1回の投与のみが必要とされる。本発明の有利な点の1つは、これまでのエスシタロプラム製剤に伴う有害事象が減少することである。例えば、本発明の剤形を用いることにより、インビトロでのプロファイルに関係なくCmax関連の有害事象を減少させることができる。別の有利な点としては、有害事象を増加させることなく投薬量を増加できることが挙げられる。
【0051】
一部の実施態様において、本発明は、即放性成分および放出調節成分を含有する複合剤形(omposite dosage forms)であって、即放性成分が約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む第一の活性成分を含み、この第一活性成分の約80%が前記剤形の使用環境への導入後の最初の約4時間以内に溶出し、そして成分が前記剤形の使用環境への導入後約4時間〜約24時間以内に溶出する、前記複合剤形を提供する。
【0052】
複合剤形は、少なくとも2つの異なる放出プロファイル(すなわち、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩の少なくとも2つの別々のパルス)を有するエスシタロプラムのビーズおよび/または錠剤を含むことができる。前記剤形によって放出されるパルスの数は、好ましくは1〜4回の範囲であり、より好ましくは1〜3回、さらに好ましくは2回である。1つの実施態様において、本発明のパルス型剤形は、即放性パルス、それに続いて遅れて生じる1回またはそれ以上の遅延放出パルスを含む。
【0053】
パルス型放出は、エスシタロプラムが1回またはそれ以上のパルスにおいて放出されることを意味し、各パルスは独自の溶出プロファイルを有する。各パルスは、剤形が投与された後の異なる時間に、または異なる環境的条件下で放出され得る。従って、投与後に所定の量のエスシタロプラムを個別的に放出することができる。少なくとも1種の放出調節製剤を含有する多相的放出を用いるパルス型剤形は、具体的な治療目的に対して好適な放出速度の組み合わせを保持するために使用することができる。例えば、一部の薬剤を直ちに放出させ、引き続いて、エスシタロプラムを遅らせて放出させることができる。前記剤形は、2つまたは3つの薬剤含有粒子またはビーズの群を含有することができ、すなわち、各群の粒子またはビーズは異なる薬剤放出プロファイルを有する。パルスの数および放出される薬剤の量により、好ましくは、約5〜約35時間のTmaxが得られる。個々の投薬単位(例えばビーズおよび粒子)は、単一の錠剤に圧縮するかまたはカプセルに充填することができる。例えば、錠剤の異なる層は異なる投薬単位を表すこともできる。薬剤含有粒子または薬剤含有ビーズは一緒に、慣用の錠剤化手段を用いて単一の錠剤に圧縮することもできる。当業者には、他の剤形も開発できることが理解されるであろう。
【0054】
パルス型放出プロファイルは、2つまたはそれ以上の薬剤含有投薬単位を含有する剤形、例えばカプセル剤または錠剤によって得ることができる。好ましくは、少なくとも2つの投薬単位は異なる放出プロファイルを提供する。各投薬単位は、例えば、錠剤(例えば、圧縮されたまたは成形された)、ビーズまたは粒子であることができる。好適なパルス投与系は米国特許第6,217,904号明細書、米国特許第6,555,136号明細書、米国特許第6,793,936号明細書、米国特許第6,627,223号明細書、米国特許第6,372,254号明細書、米国特許第6,730,321号明細書、米国特許第6,500,457号明細書、米国特許第4,723,958号明細書、米国特許第5,840,329号明細書、米国特許第5,508,040号明細書および米国特許第5,472,708号明細書、米国特許出願公開第2003-124196号明細書、米国特許出願公開第2004-028729号明細書および米国特許出願公開第2003-0133978号明細書に記載されている。
【0055】
例えば、カプセル剤は2つまたは3つの錠剤を含有する。カプセル剤中の第一の錠剤は、剤形の摂取に続いて非常に急速にエスシタロプラムを放出することができ、一方でカプセル中の第二の錠剤が摂取に続いてゆっくりとエスシタロプラムを放出し、そして場合により、第三の錠剤がさらにゆっくりとしたエスシタロプラムの放出を提供する。通常、前記剤形は3つを超える錠剤を含有しないが、4つまたはそれ以上の錠剤を有する剤形も本発明の範囲内に包含される。当業者であれば、カプセル剤の放出プロファイルが各錠剤の放出速度および力価の組み合わせによって達成できることは理解することができる。
【0056】
本発明における錠剤は、慣用の混合、粉砕、および医薬品製剤分野において公知の錠剤化技術によって製造することができる。放出調節錠剤は、例えば、回転式錠剤プレス(rotary tabletting press)に適したパンチおよびダイによる直接圧縮、射出成形もしくは圧縮成形、造粒後の圧縮、あるいは、泥膏の形成および該泥膏の型中への成形または押出物の短い長さへの切り出しによって製造することができる。
【0057】
ポリエチレンオキシドをヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはエチルセルロースと組み合わせて使用した場合には、目標である調節された放出よりも溶出速度をさらに遅くすることができる。遅い放出は、形成された疎水性マトリックス錠剤がポリマーの侵食というメカニズムによって薬剤を放出することによるものである。疎水性マトリックスからの侵食は非常に遅いので、易溶性活性成分の溶出速度もまた遅くなる。ラクトースまたは微結晶性セルロースは、錠剤の放出速度を調節するための増量剤成分として使用することができる。
【0058】
錠剤を直接圧縮により製造する場合には滑沢剤の添加が有用であり、圧力を緩めた場合に粉末の流れを促進するために、そして錠剤のキャッピング(錠剤の一部が壊れる)を防ぐために重要である。有用な滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウムおよび硬化植物油(好ましくはステアリン酸およびパルミチン酸の水素化および精製トリグリセリド)が含まれる。好ましい実施態様において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。24時間放出製剤では、ステアリン酸マグネシウムが好ましくは約0.25重量%〜約5重量%、好ましくは約0.5重量%〜約4重量%の範囲の量で存在する。錠剤硬度、粉末流動性および錠剤摩損度を高めるために、ならびにダイの壁への付着を減少させるために追加の賦形剤を添加することもできる。
【0059】
他の実施態様において、前記剤形は、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩のビーズを含むことができる。ビーズは、慣用の固形経口放出調節剤形、例えば錠剤よりも優れた効果をもたらす。ビーズは用量に比例し、すなわち、異なる割合および量のビーズを用いることにより異なる用量を得ることができる。ビーズはまた、異なる溶出特性を有する1種またはそれ以上のタイプのビーズを混合することによって、または多層コーティングを用いることによって、多様な溶出プロファイルを可能にする。放出調節錠剤製剤を用いてもこのように多様な溶出プロファイルを得ることは不可能である。ビーズはまた、広い範囲の薬物ローディング(drug loading)を可能とする。異なる溶出プロファイルがビーズまたは錠剤の異なる組成を組み合わせることにより得られることは当業者には理解されるところである。
【0060】
別の実施態様において、前記剤形は、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含有するマトリックス錠剤またはマトリックスビーズであってもよい。マトリックスが制御する放出法においては、親油性物質、例えば高級アルコール類、ワックス類または不溶性の熱可塑性材料が使用される。放出は、活性成分の周囲媒体への拡散速度により、そして、もしマトリックス自身が侵食される場合にはその侵食速度により制御される。
【0061】
親水性マトリックスを含む調合物においては、該マトリックスは不溶性の親水性ポリマー、例えばセルロースエステル、カルボキシビニルエステル、またはアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルからなることができる。体液との接触において、マトリックスが水化され、膨潤し、非常に密なポリマーのネットワークを形成することにより、可溶性の活性成分がこのポリマーを通って拡散する。さらに、マトリックスの膨潤を調節するために、脂質、特にポリエチレンオキシドを添加することができる。これらの調合物は、造粒、およびその後のポリマー、活性成分および種々の佐剤から形成される混合物の圧縮によって得ることができる。
【0062】
パルス放出型製剤および徐放性製剤のための放出調節投薬単位は、例えば、薬剤または薬剤含有調合物をコーティング材料、例えばポリマー系材料とともに製造することができる。放出遅延投薬単位を得るためにコーティングを使用する場合に、特に好ましいコーティング材料には、限定はされないが生体内で分解でき、段階的に加水分解され、そして/または段階的に水に溶解可能なポリマー類が含まれる。「コーティング重量」または投薬単位あたりのコーティング材料の相対量が、通常、摂取と薬剤放出との間の時間間隔を決定付ける。
【0063】
効果的放出のために好適なコーティング材料には、限定はされないが、以下が含まれる:セルロース系ポリマー類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースエステル-エーテルフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートのアルカリ塩、セルロースアセテートフタレートのアルカリ土類金属塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等から形成されるアクリル酸ポリマー類およびコポリマー類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル(EudragitおよびAcryl-EZE(R)として市販されている)、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルのコポリマー(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのターポリマー(商標名Eudragit(R)として市販されている)が特に好ましい);ビニルポリマーおよびコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテートフタレート、ビニルアセテートクロトン酸コポリマー、およびエチレンビニルアセテートコポリマー;およびセラック、アンモニア化セラック、セラック-アセチルアルコールおよびセラックn-ブチルステアレート。
【0064】
カプセル化された錠剤からなる剤形に関して所望のパルス型放出プロファイルおよび放出調節プロファイルを得るために、第一の錠剤には特定の量の材料が付与されており、第二の錠剤には活性成分の放出を第一錠剤よりも遅らせるかまたは延長するためにより多くの材料または異なる材料が付与されており、そしてそれに続く錠剤は、活性成分の放出を先の各錠剤よりもさらに遅らせるためにより多くの材料または異なる材料を有している。放出調節錠剤およびビーズ、例えば第二のパルスを、第一のパルスをもたらす活性薬剤でさらにコーティングできることは、当業者には理解されるところである。前記錠剤は放出調節ポリマーでコーティングすることもできる。同じように、カプセル化された剤形(薬剤含有投薬単位がビーズまたは粒子である)に関しては、ビーズまたは粒子の第一画分には特定の量の材料が付与されており、第二の画分には活性成分の放出を第一画分よりも遅らせるかまたは延長するためにより多くのコーティング材料または異なる材料が付与されており、そしてそれに続く画分は、活性成分の放出を先の各画分よりもさらに遅らせるために何らかの材料でコーティングされている。
【0065】
例えば、前記剤形が2つの錠剤(または同様に薬剤含有粒子もしくはビーズの2つの群)を含有する場合には、剤形の摂取後に第一の錠剤が非常に急速に、第一の錠剤の全重量100%を基準として約50%未満の薬剤が放出されるように放出する。その後、摂取後にゆっくりとエスシタロプラムを放出する第二の錠剤が残りの薬剤を放出する。当業者であれば、異なる量の種々のコーティング材料で製造された投薬単位に対する個々の放出プロファイルを評価することによって、好ましいポリマー系材料を決定することができる。当業者であれば、重量増加が、使用されるコーティング材料およびポリマー類に依存することは理解できるであろう。
【0066】
あるいは、放出遅延投薬単位、例えば錠剤、ビーズまたは粒子は、薬剤を適当な材料、例えばプラスチック、親水性ポリマーまたは脂肪族化合物内にコーティングすることによって製剤化することができる。不溶性プラスチックマトリックスは、例えば、塩化ポリビニルまたはポリエチレンを含むことができる。放出遅延投薬単位用のマトリックスを得るために有用な親水性ポリマーには、限定はされないが、適当なコーティング材料として上述したものが含まれる。薬剤をマトリックス材料と混合してすぐに、該混合物を錠剤に圧縮するか、または個々の薬剤含有粒子に加工することができる。
【0067】
個々の投薬単位は、着色コーティングを施して提供することができ、これは、対応する放出遅延プロファイルを有する錠剤、ビーズまたは粒子フラクションの同定に使用される単一の色を有する。これは例えば、青色コーティングを即放性錠剤、ビーズまたは粒子フラクション用に使用でき、赤色コーティングを「中程度」の放出錠剤、ビーズまたは粒子フラクション用に使用できる、ということである。この方法では、製造の間の間違いを容易に回避することができる。色は、コーティング製造時または錠剤化時に、薬学的に許容される着色剤をコーティングに組み入れることによって導入される。着色剤は天然または合成のいずれのものでもよい。天然着色剤には、クロロフィル、anattenes、ベータ-カロチン、アリザリン、インジゴ、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、カルミン酸および6,6'-ジブロモインジゴのような顔料が含まれる。合成着色剤は、酸性染料および塩基性染料の両者(例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、オキサジン類、チアジン類、ピラゾロン類、キサンテン類、インジゴイド類、アントラキノン類、アクリジン類、ローズアニリン類、フタレイン類およびキノリン類)を含む染料である。例えば、染料または顔料は、コーティング溶液の製造の間に組み入れることができる。
【0068】
カプセル化錠剤に関しては、カプセル中におけるそれぞれ個々の錠剤の重量は、通常、約50 mg〜約700 mgの範囲、好ましくは約60 mg〜約600 mgの範囲にある。錠剤の重量が増量剤や方法の選択に基づいて上記の重量と相違し得ることは当業者には理解されるところである。個々の錠剤は、慣用の方法によって製造することができる。本明細書における錠剤を形成させるのに好ましい方法は、粉状、結晶質もしくは粒状薬剤含有調合物の、単独でのまたは希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤等と組み合わせての直接圧縮によるものである。圧縮した錠剤はまた、湿式造粒法または乾式造粒法によって製造することもできる。錠剤はまた、適当な水溶性滑沢剤を含む湿った材料とともに出発して、圧縮よりむしろ成形することもできる。薬剤含有粒子またはビーズはまた、慣用の方法、例えば流体の分散を用いる方法によって製造することもできる。
【0069】
慣用のコーティング方法および装置を、投薬単位、例えば薬剤含有錠剤、ビーズまたは粒子をコーティングするために使用することができる。例えば、放出遅延コーティング組成物は、コーティングパン、エアレススプレー技術または流動層コーティング装置を用いて塗布することができる。錠剤、ビーズ、薬剤粒子および放出遅延剤形を製造するための材料、装置および方法については、「Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, eds. Lieberman et al. (New York: Marcel Dekker, Inc., 1989), and Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 6th Ed. (Media, Pa.: Williams & Wilkins, 1995)」に記載されている。
【0070】
個々の薬剤含有投薬単位に存在する任意成分には、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、安定剤、界面活性剤および着色剤が含まれるが、これらに限定はされない。
【0071】
希釈剤(「増量剤」とも呼ばれる)は通常、圧縮に関して実践的なサイズを得ることができるように錠剤のかさを増加させるために含まれるものである。好適な希釈剤には、第二リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、微結晶性セルロース、パウダーシュガー、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定はされない。
【0072】
結合剤は、錠剤製剤に粘着性を付与するために使用され、これによって錠剤は圧縮後にも損なわれていない状態を維持する。好適な結合剤には、デンプン(トウモロコシデンプンおよびα化デンプンが含まれる)、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス類、天然ゴム類および合成ゴム類(例えば、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびVeegum)および合成ポリマー類(例えばポリメタクリレートおよびポリビニルピロリドン(PVP))、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定はされない。
【0073】
滑沢剤は、錠剤製造を容易化するために使用される。好適な滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびポリエチレンングリコールが含まれるが、これらに限定はされない。好ましくは、投薬単位には、約1重量%未満(投薬単位の重量に対して)の滑沢剤が含まれる。
【0074】
崩壊剤は、投与後の錠剤の崩壊または「解体(「breakup」)」を促進するために使用される。適当な崩壊剤には、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、架橋ポリマー、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定はされない。
【0075】
界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性界面活性剤であり得る。好適な陰イオン性界面活性剤には、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムイオンのような陽イオンとともにカルボキシレート、スルホネートおよびスルフェートイオンを含有するものが含まれるが、これらに限定はされない。他の好適な界面活性剤には、長アルキル鎖スルホネートおよびアルキルアリールスルホネート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート;ジアルキルナトリウムスルホスクシネート、例えばナトリウムビス-(2-エチルヘキシル)-スルホスクシネート;および硫酸アルキル、例えばラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定はされない。
【0076】
必要な場合には、錠剤は、非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤および保存剤等を含むこともできる。
【0077】
本明細書において上述したように、1つの実施態様において、個々の薬剤錠剤、ビーズまたは粒子は閉じられたカプセル内に含まれる。カプセル材料は硬くても軟らかくてもよく、当業者であれば理解できるように、通常、無味で、容易に投与され、そして水溶性である化合物、例えばゼラチン、デンプンまたはセルロースを含む。好ましいカプセル材料はゼラチンである。カプセルは好ましくは例えばゼラチンバンドを用いて密閉される。例えば、摂取後短時間で溶出するようなカプセル化医薬を製造するための材料および方法が記載されている「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 2000)」を参照。
【0078】
一部の実施態様において、本発明は、各ビーズが約1μm〜約1000μmの直径を有するコア、約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分および放出調節コーティングを含有する、複数のビーズを含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを提供する経口剤形を提供する。さらなる実施態様において、前記剤形は、約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する。
【0079】
典型的な実施態様において、放出調節ポリマーは、エチルセルロース(Surelease(R))、メタクリレート(Eudragit(R))、メタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl-eze(R))、およびこれらの混合物(これらに限定はされない)を含むことができる。一部の実施態様において、前記経口剤形は、放出調節ポリマー層上にコーティングされたトップコーティングを含むことができる。例えば、トップコーティングは、HPMC(Opadry(R))、HPC(Klurel(R))、Eudragit(R)RL、Eudragit(R) ElOO、Eudragit(R) E 12.5、Eudragit(R)E PO、Eudragit(R) NE、およびこれらの混合物(これらに限定はされない)を含むことができる。
【0080】
他の実施態様において、本発明は、複数のビーズを含有する経口剤形であって、各ビーズが、ビーズ1グラムあたり約500〜約800 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約30 mg〜約300 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約20 mg〜約60 mgの第一のポリマーを含む第一の薬剤成分;ビーズ1グラムあたり約50〜約300 mgの放出調節コーティング;ビーズ1グラムあたり約50 mg〜約150 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約5〜約50 mgの第二のポリマーを含む第二の薬剤成分;および場合により、ビーズ1グラムあたり約5〜約25 mgのトップコーティング、を含み、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有する経口剤形を提供する。
【0081】
典型的な実施態様において、第一の薬剤成分は、ビーズ1グラムあたり約675 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、第一のポリマーはビーズ1グラムあたり約37 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;放出調節コーティングはビーズ1グラムあたり約163 mgのsureleaseを含み;第二の薬剤成分はビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、そして第二のポリマーはビーズ1グラムあたり約21 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;そしてトップコーティングはビーズ1グラムあたり約17 mgのopadry clearを含む。
【0082】
一部の実施態様において、本発明は、本明細書において示されるビーズを1つまたはそれ以上含有するカプセル剤を提供する。例えば、本発明は、約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約2 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。
【0083】
他の例において、本発明は、約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約4 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。
【0084】
他の例において、本発明は、約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約5 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。さらに別の例において、本発明は、約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約10.0 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。他の例において、本発明は、約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約20 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。さらに別の例において、本発明は、約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する薬剤カプセルを提供する。
【0085】
他の実施態様において、本発明は、パルス型放出エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩(好ましくはシュウ酸エスシタロプラム)を含有する剤形以外の剤形において投与された抗うつ薬を用いた治療を原因とする有害事象を患っている患者を治療する方法を提供する。このような有害事象の例には、悪心、不眠、傾眠、発汗過多、疲労またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定はされない。前記方法には、(a)前記抗うつ薬での治療を中止すること;および(b)本発明のパルス型剤形を用いて患者を治療すること、が含まれる。1つの実施態様において、前記抗うつ薬は即放性剤形、好ましくは即放性シュウ酸エスシタロプラム剤形である。
【0086】
他の実施態様において、本発明は、パルス型放出エスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩(好ましくはシュウ酸エスシタロプラム)を含有する剤形以外の剤形において投与された抗うつ薬を用いた治療を原因とする性機能障害を患っている患者を治療する方法を提供する。このような性機能障害の例には、射精障害、無オルガズム症および/または性欲減退が含まれるが、これらに限定はされない。前記方法には、(a)前記抗うつ薬での治療を中止すること;および(b)本発明のパルス型剤形を用いて患者を治療すること、が含まれる。1つの実施態様において、抗うつ薬は放出調節シュウ酸エスシタロプラム剤形である。
【0087】
他の実施態様において、本発明は、有効量の本発明剤形を患者に投与することにより、それを必要とする患者におけるCNS障害を治療する方法を提供する。本発明の剤形を用いて治療できるCNS障害の例には、大うつ病性障害、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害(パニック発作を含む)、急性ストレス障害、摂食障害(例えばビンジ・イーティング(binge eating)、過食症、食欲不振および肥満)、恐怖症、気分変調、月経前症候群、月経前不快気分障害、認知障害、衝動調節障害、気分障害、神経症性障害、急性ストレス障害、注意欠陥過活動性障害および薬物乱用が含まれるが、これらに限定はされない。前記剤形はまた、慣用のSSRIを用いた初期治療に応答しなかった患者、特に慣用のSSRIを用いた初期治療に応答しなかった大うつ病性障害の患者を効果的に治療することもできる。前記剤形はさらに、治療または軽減を必要とする患者における自殺念慮を治療または軽減するために、および脳卒中後の無障害生存を改善するために使用することができる。
【0088】
定義
本明細書において使用される場合に、「エスシタロプラム」という語句には、好ましくはそのR-エナンチオマーを3、2、1、0.5または0.2重量%未満(l-[3-(ジメチル-アミノ)プロピル]-l-(p-フルオロフェニル)-5-フタランカルボニトリルの全重量100%を基準として)含有するl-[3-(ジメチル-アミノ)プロピル]-l-(p-フルオロフェニル)-5-フタランカルボニトリル、すなわち、97、98、99、99.5または99.8重量%のエナンチオマー純度を有するS-シタロプラムが含まれる。例えば、エスシタロプラムは、そのR-エナンチオマーを3%〜0.2%重量%(l-[3-(ジメチル-アミノ)プロピル]-l-(p-フルオロフェニル)-5-フタランカルボニトリルの全重量100%を基準として)含むことができる。
【0089】
エスシタロプラムの薬学的に許容される塩には、有機および無機酸により形成される酸付加塩が含まれるが、これらに限定はされない。このような有機酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、シュウ酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸およびテオフィリン酢酸、および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリンが挙げられるが、これらに限定はされない。上記の無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸が挙げられるが、これらに限定はされない。エスシタロプラムの好ましい薬学的に許容される塩には、シュウ酸エスシタロプラムおよび臭化水素酸エスシタロプラムが含まれるが、これらに限定はされない。「エスシタロプラム」という語句にはまた、エスシタロプラムおよびその薬学的に許容される塩の多形体、水和物、溶媒化合物および非晶形が含まれる。エスシタロプラムおよびその薬学的に許容される塩は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6に記載されるように製造することができる。例えば、国際公開第03/011278号パンフレット、および米国特許出願公開第2004/0167209号明細書、および米国特許出願第10/851,763号明細書および米国特許出願第10/948,594号明細書に記載されているようなシュウ酸エスシタロプラムおよび臭化水素酸エスシタロプラムの結晶もまた使用することができる。本明細書で参照される比較用のエスシタロプラム「即放性」錠剤は、好ましくは米国食品医薬品局に承認された等量(5、10または20 mgのエスシタロプラム)の新薬申請番号21-323の錠剤である。特に言及しない限り、エスシタロプラムの量はエスシタロプラム遊離塩基の量を表す。エスシタロプラムの任意であり所望である量に対して、ある塩を特定の量だけ使用すべきであることは当業者には理解されることである。例えば、1.28 mgのシュウ酸エスシタロプラムは1.0 mgエスシタロプラム遊離塩基に相当する。所望の量のエスシタロプラム遊離塩基を供給するために使用されるべき塩の量を決定することは、従来技術の範囲内である。
【0090】
「治療的に有効な量」は、状態、障害または状況を治療するために哺乳類に投与された場合に、このような治療を達成するのに十分な活性成分の量を意味する。「治療的に有効な量」は、活性成分、治療される状態、障害または状況およびその重篤度、ならびに治療される哺乳類の年齢、体重、身体状態および応答性に応じて変わり得るものである。本発明の1つの実施態様において、エスシタロプラムの治療的に有効な量は、CNS障害(気分障害、大うつ病性障害、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、およびパニック発作を含む恐慌性障害を含む)を治療するのに有効な量である。
【0091】
「薬学的に許容される」という語句は、動物またはヒトでのインビボでの使用において生物学的にまたは薬理的に適合することを意味し、好ましくは、動物、特にヒトにおける使用に関して、連邦の規制当局または州政府によって承認されていること、または米国薬局方もしくはその他の一般的に認知される薬局方に記載されていることを意味する。
【0092】
本明細書において使用される場合に、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」および「治療する(treating)」という語句は以下のうちの1つまたはそれ以上を表す:
(a)例えばCNS障害(例えば、気分障害、大うつ病性障害、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、およびパニック発作を含む恐慌性障害)を含む、対象者における障害の少なくとも1つの症状を軽減または緩和すること;
(b)特定の刺激(例えば、重圧、組織障害および寒い気温)に対して応答する対象者を含む(これらに限定はされない)、対象者が直面する障害の発現の強度および/または期間を軽減または緩和すること;および
(c)発病(すなわち障害の臨床症状発現前の期間)を抑制すること、遅らせること、および/または障害を発現または悪化させるリスクを減少すること。
【0093】
「パニック発作」という語句には、パニック発作が生じる恐慌性障害, 特定恐怖症, 社会恐怖症および広場恐怖症を含むパニック発作に関連するいずれの疾患も含まれるが、これらに限定はされない。これらの疾患はさらに、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM IV)(第4版、1994)において定義されている。パニック発作は、多くの場合は死が差し迫っている感じを伴って、強烈な不安、恐れまたは恐怖が突然発現する個別的な期間である。発作の間には、動悸、発汗、振せん、息切れの感覚、窒息感、胸の痛みまたは不快、悪心、目眩感、非現実感、自制心を失うことへのもしくは気が狂うことへの恐れ、死への恐れ、感覚異常および悪寒または顔面紅潮のような症状が現れる。
【0094】
恐慌性障害は、パニック発作が不意に頻発し、継続的な不安が存在することによって特徴付けられる。広場恐怖症は、逃げることが困難なまたはパニック発作が生じた場合に助けられないような場所または状況に関する、あるいはこれらを避けようとする不安である。特定恐怖症および社会恐怖症(以前はともに単に恐怖症としていた)は、特定の対象物もしくは状況(飛行機、高所、動物、血を見ること)または社会的に行動する状況が存在することまたは予測されることに対しての過剰または不合理である、著しく継続的な恐れによって特徴付けられる。
【0095】
パニック発作が起こる障害は、発作の発生の予測可能性によって互いに区別される。例えば、恐慌性障害では発作は予測不能であり特定の事象と関連しないが、一方で、特定恐怖症では発作は特定の刺激が引き金となる。
【0096】
「恐慌性障害の治療」という表現には、パニック発作の数の減少または予防、および/またはパニック発作の重症度の軽減が含まれ得る。
【0097】
「約」または「およそ」という語句は、当業者によって決定される特定の値に関して許容することができる誤差範囲内を意味し、それは1つにはその値が測定または決定される方法に依存する(すなわち測定システムの制約)。例えば「約」は、当技術分野の慣例によれば、1(またはそれ以上の)標準偏差以内を意味しうる。あるいは、組成物に関して「約」は10%まで、好ましくは5%までの範囲を意味することができる。
【0098】
「即放」という語句は、本明細書においては、約30分におけるエスシタロプラムの80重量%以上の放出として定義される。USP 24/NF 19 1088 2000:2051。溶出試験時間は通常、30〜60分である。溶出される活性成分量に関する代表的な規格(表示量(Q)のパーセントで表される)は80%溶出の範囲であり、「FDA guidance for Industry: Dissolution Testing of IR Solid dosage forms, August 1997, p. 5」では、60分未満におけるNLT 85%を境界線として提案している。
【0099】
「遅い放出(delayed release)」、「徐放(sustained release)」および「放出調節(modified release)」という語句は、長期間にわたる活性成分の放出を表し、これにより、即放性製剤と比較した場合の最高血中濃度の低下およびTmaxの延長が得られる。これらの語句にはまた、一連の即放性パルスを介した期間にわたっての放出も含まれる。20 mgのLexapro(R) 錠剤(即放性シュウ酸エスシタロプラム錠剤)に関する薬物動態プロファイルを図1に示す。最高血中濃度は、投与の約2〜4時間後に観察された。
【0100】
「バイオアベイラビリティー」という語句は、活性成分または活性部分、例えばエスシタロプラムが薬剤製品から吸収され、体系的に利用可能になる速度および程度を表す。
【0101】
「使用環境への導入」という語句は、本発明製剤のそれが投与される患者の胃液との接触、または胃液を模した液体との接触を意味する。
【0102】
本明細書で使用される場合に「パルス投与(pulsatile)」は、複数のエスシタロプラム用量が間隙を有する時間間隔で放出されることを意味する。
【0103】
本明細書において記載される薬物動態パラメータには、血中濃度−時間曲線下面積(AUC0-tおよびAUC0-∞)、最高血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)および終末相消失半減期(T1/2)が含まれる。最高濃度到達時間Tmaxは、Cmaxに対応する時間として決定した。最後の測定可能濃度に対応する時刻までの血中濃度−時間曲線下面積(AUC0-t)は、以下の線形台形公式を使った数値積分法によって算出した:
【0104】
【数1】

【0105】
[式中、Ciは、対応する試料採取時点tiにおける血漿中メマンチン濃度であり、nは、最後の定量可能濃度まで(最後の定量可能濃度を含む)の時点の数である]。
【0106】
終末相半減期(T1/2)の推定値は、以下の等式を使って算出した:
【0107】
【数2】

【0108】
[式中、λzは終末相消失速度定数である]。
【0109】
時刻0から無限大までの血中濃度−時間曲線下面積は、以下の等式に従って算出した:
【0110】
【数3】

【0111】
[式中、Clastは最後の測定可能濃度である]。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は単なる本発明の例証であって、いかなる場合にも本発明の範囲を限定すると解釈されるものではなく、当業者においては、本願の開示に基づく本発明に包含される多くの改変および等価物も明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲の語句によってのみ限定されるものであり、特許請求の範囲によって与えられる全範囲の等価物を伴うものである。全ての部およびパーセントは、特に言及しない限り重量によるものである。
【0113】
実施例1:即放性錠剤
大うつ病性障害および全般性不安障害の治療用に、シュウ酸エスシタロプラムが最近米国でLexapro(R)として上市されている。Lexapro(R)は、5、10および20 mgの即放性(ER)錠剤(シュウ酸塩として)として入手することができる。シュウ酸エスシタロプラムIR錠剤製剤の例を表1に示す。示したIR錠剤の力価は、錠剤あたり2.5〜40 mgエスシタロプラムの範囲である(エスシタロプラム遊離塩基の重量に基づいて計算される)。表1Bは、即放性エスシタロプラム錠に関する薬物動態パラメーター(Cmax、AUCおよびTmax)を示す(10 mg錠を使用し、データを2、4、5、8、15、16、20、25および30mg用量の測定に外挿した)。図1は、10 mgエスシタロプラム錠剤、8 mgエスシタロプラムIRビーズ(計算値)、放出調節ビーズI、放出調節ビーズIIおよび放出調節ビーズIIIに関する薬物動態プロファイルを示す。
【0114】
表1 エスシタロプラムの即放性製剤
【0115】
【表1】

【0116】
表1B 即放性エスシタロプラム錠剤に関する薬物動態パラメーター
【0117】
【表2】

【0118】
即放性(IR)錠剤は、以下のように製造することができる。PK製ツインシェルブレンダーに篩にかけた薬剤物質およびタルク(USP)を入れ、混合する。篩にかけたケイ化微結晶性セルロース(NF)およびクロスカルメロース(NF)をツインシェルブレンダーに添加して、混合する。篩にかけたステアリン酸マグネシウム(NF)をツインシェルブレンダーに添加し、混合する。その後、混合物を回転式錠剤プレス(rotary tablet press)において、特定のコア錠剤重量に圧縮する。多孔型のコーティングパンにおいて、OPADRY(R)White分散剤を用いて、IR錠剤にフィルムコーティングを施すことにより、重量が約2%増加する。
【0119】
8 mgのシュウ酸エスシタロプラムIR錠剤製剤の例を表2に示す。
【0120】
表2 エスシタロプラムの非売品錠剤(8 mg)
【0121】
【表3】

【0122】
実施例2:即放性ビーズ
即放性ビーズは、シュガー・スフィアー(sugar spheres)を活性薬剤と層状にすることにより、シュウ酸エスシタロプラムの製剤を用いて製造することができる(表3)。
【0123】
表3 即放性エスシタロプラムビーズ
【0124】
【表4】

【0125】
追加的な賦形剤、例えば抗酸化剤、pH調整剤を添加できることは当業者において理解されるところである。
【0126】
即放性ビーズの製造方法には、HPC結合剤(またはPVP)を水と混合し、溶解するまで撹拌することが含まれる。シュウ酸エスシタロプラムを添加し、混合を15分間続ける。場合により、タルクを添加し、混合を少なくとも30分間続けることにより、懸濁液が形成される。予め温めておいたシュガー・スフィアー(USP)を、流動層塗布装置(fluidized bed coater)(例えば、Glatt Fluid Air(Ramsey, NJ)製GPCG3)を用いて、懸濁液の層により、以下の工程パラメーター(バッチサイズ=1.0〜3.0 Kg)を用いてコーティングする:生成物温度=35〜55℃;Air flow=200〜350 m3/h;噴霧速度=9〜42 gm/分;噴霧圧力=1.5〜2.0 bar。コーティングされたビーズを流動層で約15分間乾燥し、その後、適当な保管容器に送り込む。他の適当な工程パラメーターもまた許容されることは当業者に理解されるところである。場合により、薬剤を層状に重ねたビーズはさらに、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)でコーティングすることができる。ビーズの製造に関する他の方法、例えば押し出し球状化(extrusion spheronization)も、適当な賦形剤とともに使用できることは当業者に理解されるところである。
【0127】
100 mg/gのエスシタロプラムおよび200 mg/gのエスシタロプラムを有する即放性ビーズ製剤をそれぞれ表4および5に示す。
【0128】
表4 エスシタロプラムIRビーズ(100 mg/g)
【0129】
【表5】

【0130】
表5 エスシタロプラムIRビーズ(200 mg/g)
【0131】
【表6】

【0132】
100 mg/gのエスシタロプラムおよび200 mg/gのエスシタロプラムを有する典型的な即放性ビーズ製剤の溶出データ(0.1N HCl、バスケット100 rpm)を表6に示す。
【0133】
表6 100 mg/gおよび200 mg/gエスシタロプラムIRビーズの溶出データ
【0134】
【表7】

【0135】
典型的なIRビーズ製剤を用いることによって、適当な量の所望のビーズをカプセルに充填することにより、エスシタロプラムの種々の剤形を製造することができる。例えば、4 mg、8 mgおよび16 mgのエスシタロプラムカプセル剤を表7に示すように製造することができる。
【0136】

表7 100 mg/gおよび200 mg/gのIRビーズを用いて製造される、4、8および16 mgのエスシタロプラムを有するカプセル剤の組成
【0137】
【表8】

【0138】
実施例3:放出調節ビーズ
放出調節ビーズは、即放性ビーズ(例えば実施例2を参照)をポリマーでコーティングすることにより製造することができる。コーティング溶液は、撹拌子を用いてエチルセルロースポリマー分散剤(Surelease(R), Colorcon, West Point, PA)を水と少なくとも15分間、または完全に溶解するまで混合することにより製造される。コーティング溶液の処方の例を表8に示す。
【0139】
表8 典型的なコーティング溶液の組成
【0140】
【表9】

【0141】
即放性ビーズを異なる重量増加(例えば、3、6.5、9%)が得られるようにコーティング溶液でコーティングすることにより、異なる放出調節溶出プロファイルを得ることができる。即放性ビーズは、流動層塗布装置(例えば、Glatt Fluid Air(Ramsey, NJ)製GPCG3)を使用し、以下の工程パラメーター(バッチサイズ=1.0〜3.0 Kg)を用いることによりコーティングを施すことができる:生成物温度=38〜45℃;Air flow=200〜350 m3/h;噴霧速度=15〜22 gm/分;噴霧圧力=1.0〜2.0 bar。異なるポリマー濃度および塗布量も許容されることは当業者に理解されるところである。コーティングされたビーズは、流動層において45〜55℃の内部温度で1時間以内で乾燥される。
【0142】
その後場合により、約2重量%〜約5重量%のシールコートをビーズに施すこともできる。シールコーティング溶液(表9)は、撹拌子を用いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry Colorcon)を水と完全に溶解するまで混合することにより製造される。該ビーズは、流動層塗布装置(例えば、Glatt Fluid Air(Ramsey, NJ)製GPCG3)を使用し、以下の工程パラメーター(バッチサイズ=1.0〜3.0 Kg)を用いることによりコーティングされる:生成物温度=40〜50℃;Air flow=200〜350 m3/h;噴霧速度=9〜42 gm/分;噴霧圧力=1.5〜2.0 bar。コーティングされたビーズを、流動層において45〜55℃の内部温度で1時間以内で乾燥する。あるいは、コーティングされたビーズは、オーブンにおいて約40〜50℃で約72時間以内に乾燥することができる。
【0143】
表9 任意のシールコーティング溶液
【0144】
【表10】

【0145】
3種の異なる放出調節ビーズを製造した:遅い放出(MRビーズI);中程度の放出(MRビーズII);および速い放出(MRビーズIII)。典型的なビーズ製剤のそれぞれの組成を表10〜12に示す。
【0146】
表10 91.5 mg/gエスシタロプラムMRビーズ(遅い放出:MRビーズI)の処方
【0147】
【表11】

【0148】
表11 92.8 mg/gエスシタロプラムMRビーズ(中程度の放出:MRビーズII)の処方
【0149】
【表12】

【0150】
表12 94.6 mg/gエスシタロプラムMRビーズ(速い放出:MRビーズIII)の処方
【0151】
【表13】

【0152】
図2〜4は、それぞれ、遅い放出(MRビーズI);中程度の放出(MRビーズII);および速い放出(MRビーズEI)に関する溶出プロファイルを示す。表13は、即放性エスシタロプラム(近年上市されているLexapro(R))、遅い放出(MRビーズI)、中程度の放出(MRビーズII)および速い放出(MRビーズEI)に関する薬物動態パラメーター(Cmax、AUCおよびTmax)を示す。
【0153】
表13 IRおよびMR製剤の平均±SD薬物動態パラメーター(8 mgの用量に標準化)
【0154】
【表14】

【0155】
実施例4:放出調節錠剤
放出調節エスシタロプラムはマトリックス製剤として製造することができる。3種の異なる放出調節錠剤を製造した:遅い放出(MR錠剤I);中程度の放出(MR錠剤II);および速い放出(MR錠剤III)。典型的な錠剤製剤のそれぞれの組成を表14〜16に示す。
【0156】
表14 エスシタロプラム放出調節錠剤(遅い放出:MR錠剤I)の処方
【0157】
【表15】

【0158】
表15 エスシタロプラム放出調節錠剤(中程度の放出:MR錠剤II)の処方
【0159】
【表16】

【0160】
表16 エスシタロプラム放出調節錠剤(速い放出:MR錠剤III)の処方
【0161】
【表17】

【0162】
図5〜7は、それぞれ、遅い放出(MR錠剤I);中程度の放出(MR錠剤II);および速い放出(MR錠剤III)に関する溶出プロファイルを示す。遅い放出の錠剤(MR錠剤I)はHPMCを用いて製造され、放出速度は、HPMCの量を調節することによって最適化することができる。中程度の放出の錠剤(MR錠剤II)は、単一のポリマーまたは2種以上のポリマーの組み合わせ、例えばポリエチレンオキシド(POLYOX)および/またはHPMC(Synchron)を用いて製剤化することができる。通常、ポリマーの分子量を増加させると、ゲル強度が増加し、薬剤の拡散が減少する。従って、ポリマー濃度を一定に維持する一方で分子量を増加させることにより、放出速度が減少する。さらに、増量剤、例えば水不溶性ProSolvまたは水溶性ラクトースを溶出速度を調節するために使用することができる。他の賦形剤には、流動促進剤としてのタルクおよび滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムが含まれる。速い放出の錠剤(MR錠剤II)製剤は、単独のポリマーを使用してもまたは多数のポリマーを組み合わせて使用してもよい。使用できる他の賦形剤には、増量剤としてのラクトース、流動促進剤としてのタルク、および滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0163】
放出調節エスシタロプラム錠剤は、即放性錠剤(例えば実施例1参照)を放出遅延ポリマー(例えば、Eudragit(Acryl-EZE(R)))でコーティングすることによって製造することもできる。本願の開示に基づいて、異なるポリマー、例えばセルロースアセテートフタレートを種々の溶出プロファイルを得るために使用できること、およびポリマーによって放出速度をpH 5.5〜pH 7.4に調節できることは、当業者には理解されるところである。
【0164】
実施例5:2つのパルスを有する単一錠剤
2つのパルスを有する単一錠剤は以下のように製造することができる:5 mgのエスシタロプラム(実施例1参照)を含む即放性錠剤をEudragit(Acryl-EZE(R))でコーティングすることにより、放出遅延錠剤が得られる。その後、該錠剤をHPMC(Opadry)結合剤を用いてエスシタロプラムでコーティングすることができる。該錠剤は、場合によりシールコートHPMC(Opadry)でさらにコーティングすることができる。典型的な単一錠剤製剤を表17に示す。
【0165】
表17 エスシタロプラムの単一錠剤製剤
【0166】
【表18】

【0167】
適当な多孔型のパンコーター(pan coater)(Accela Coater, Thomas Engineering, III)においてコーティングを施すことができる。即放性パルスは、急速に、例えば0.1 N HClにおいて60分未満で放出される。残りの薬剤は、pH>5.5で実質的に放出される(すなわち、曝露の約2時間後)。
【0168】
図4は、2つのパルスを有する典型的な単一錠剤(すなわちパルス型錠剤)に関する溶出プロファイルを示す。この放出プロファイルは、第一パルスが急速に放出され、それに続いて第二パルスがpH>5.5への曝露において放出されることを示す。パルス型放出製剤を製造するために種々のポリマーを使用できることは当業者において理解されるところである。
【0169】
実施例6:カプセル製剤
最適化された薬物動態パラメーターを有する経口剤形を得るためにカプセル製剤を製造することができる。例えば、血中濃度-時間曲線下面積(AUC0-tおよびAUC0-∞)として測定した場合に、個体に最大量のエスシタロプラムを付与する一方で、最高血中濃度(Cmax)を最小限にする経口剤形を提供することが望ましい。さらに、特定の量の後に最高血中濃度(Cmax)を付与する、すなわちTmaxを制御することが望ましい。同一または異なる溶出および/または薬物動態パラメーターを有する多数のビーズまたは錠剤を含むカプセル調合物を使用することにより、所望の経口剤形を得ることができる。
【0170】
例えば、50%の即放性ビーズ(実施例2参照)および50%の中程度の放出のビーズ(MRビーズII)(実施例3参照)からなるカプセルを製造することができる。例えば、エスシタロプラムの8 mg剤形は、40 mgの即放性ビーズおよび43 mgの中程度の放出のビーズ(MRビーズII)を添加することにより製造することができる。従って、表18に示すように、多様な量のエスシタロプラムビーズを有する剤形(例えば、2mg、4 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、16 mg、20 mgおよび30 mg)を製造することができる。
【0171】
表18 50%の即放性ビーズおよび50%の中程度の放出のビーズ(MRビーズII)からなるエスシタロプラムの剤形
【0172】
【表19】

【0173】
50%のIRビーズ(実施例2参照)および50%のMRビーズII(実施例3参照)からなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイルを図9に示す。薬物動態プロファイルは図1に示すデータを用いて計算された。図9はまた、エスシタロプラムの8 mg即放性錠剤(実施例1参照)に関して計算された薬物動態プロファイルを示す。表19は、エスシタロプラムの50%のIRビーズおよび50%のMRビーズII剤形ならびに即放性錠剤に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0174】
表19 エスシタロプラムの50%のIRビーズおよび50%のMRビーズII(計算)および8 mg即放性錠剤の(平均±SD)血漿薬物動態パラメーター
【0175】
【表20】

【0176】
別の実施例において、37.5%の即放性ビーズ(実施例2参照)および62.5%の中程度の放出のビーズ(MRビーズII)(実施例3参照)からなるカプセルを製造することができる。例えば、エスシタロプラムの8 mg剤形は、30 mgの即放性ビーズおよび54 mgの中程度の放出のビーズ(MRビーズII)を添加することにより製造することができる。従って、表20に示すように、多様な量のエスシタロプラムを有する剤形(例えば、2mg、4 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、16 mg、20 mgおよび30 mg)を製造することができる。
【0177】
表20 37.5%の即放性ビーズおよび62.5%の中程度の放出のビーズ(MRビーズII)からなるエスシタロプラムの剤形
【0178】
【表21】

【0179】
37.5%の即放性ビーズ(実施例2参照)および62.5%のMRビーズII(実施例3参照)からなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイルを表10に示す。薬物動態プロファイルは図1に示すデータを用いて計算された。図10はまた、エスシタロプラムの8 mg即放性錠剤(実施例1参照)に関して計算された薬物動態プロファイルを示す。表21は、エスシタロプラムの37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズII剤形ならびに即放性錠剤に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0180】
表21 エスシタロプラムの37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズII(計算)および8 mg即放性錠剤の(平均±SD)血漿薬物動態パラメーター
【0181】
【表22】

【0182】
別の実施例において、50%の即放性ビーズ(実施例2参照)および50%の遅い放出のビーズ(MRビーズI)(実施例3参照)からなるカプセルを製造することができる。例えば、エスシタロプラムの8 mg剤形は、40 mgの即放性ビーズおよび44 mgの遅い放出のビーズ(MRビーズI)を添加することにより製造することができる。従って、表22に示すように、多様な量のエスシタロプラムを有する剤形(例えば、2mg、4 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、16 mg、20 mgおよび30 mg)を製造することができる。
【0183】
表22 50%の即放性ビーズおよび50%の遅い放出のビーズ(MRビーズI)からなるエスシタロプラムの剤形
【0184】
【表23】

【0185】
50%のIRビーズ(実施例2参照)および50%のMRビーズI(実施例3参照)からなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイルを図11に示す。薬物動態プロファイルは図1に示すデータを用いて計算された。図11はまた、エスシタロプラムの8 mg即放性錠剤(実施例1参照)に関して計算された薬物動態プロファイルを示す。表23は、エスシタロプラムの50%のIRビーズおよび50%のMRビーズI剤形ならびに即放性錠剤に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0186】
表23 エスシタロプラムの50%のIRビーズおよび50%のMRビーズI(計算)および8 mg即放性錠剤の(平均±SD)血漿薬物動態パラメーター
【0187】
【表24】

【0188】
別の実施例において、37.5%の即放性ビーズ(実施例2参照)および62.5%の遅い放出のビーズ(MRビーズI)(実施例3参照)からなるカプセルを製造することができる。例えば、エスシタロプラムの8 mg剤形は、30 mgの即放性ビーズおよび55 mgの遅い放出のビーズ(MRビーズI)を添加することにより製造することができる。従って、表24に示すように、多様な量のエスシタロプラムを有する剤形(例えば、2mg、4 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、16 mg、20 mgおよび30 mg)を製造することができる。
【0189】
表24 37.5%の即放性ビーズおよび62.5%の遅い放出のビーズ(MRビーズI)からなるエスシタロプラムの剤形
【0190】
【表25】

【0191】
37.5%のIRビーズ(実施例2参照)および62.5%のMRビーズI(実施例3参照)からなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイルを図12に示す。薬物動態プロファイルは図1に示すデータを用いて計算された。図12はまた、エスシタロプラムの8 mg即放性錠剤(実施例1参照)に関して計算された薬物動態プロファイルも示す。表25は、エスシタロプラムの37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズII剤形ならびに即放性錠剤に関する薬物動態プロファイルを示す。
【0192】
表25 エスシタロプラムの37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズI(計算)および8 mg即放性錠剤の(平均±SD)血漿薬物動態パラメーター
【0193】
【表26】

【0194】
別の実施例において、カプセルは即放性成分および放出調節成分の両方を有するビーズを含むことができる。ビーズの即放性成分は、最適化された即放性ビーズと同一の処方を有することができる。同様に、放出調節成分は、最適化された放出調節ビーズと同一の処方を有することができる。従って、向上した薬物動態パラメータを有する剤形を製造することができる。例えば、前記経口剤形は、血中濃度-時間曲線下面積(AUC0-tおよびAUC0-∞)として測定した場合に最大量のエスシタロプラムを個体に提供する一方で、得られる最高血中濃度(Cmax)を最小限にする。
【0195】
放出調節成分は、実施例3に記載されるように製造することができる。例えば、放出調節成分は、遅い放出(MRビーズI);中程度の放出(MRビーズII);または速い放出(MRビーズIII)であることができる。本願の開示に基づいて他の放出調節をビーズの放出調節成分として使用できることは、当業者においては理解されるところである。放出調節成分は即放性成分を用いて層状にすることができる。即放性成分は実施例2に記載される層化技術を用いて製造することができる。その後、即放性の層は、トップコーティングでさらにコーティングすることができる。放出調節成分および即放性成分を含むビーズは、表26に示されるように製造することができる。
【0196】
表26 放出調節成分(MRビーズII成分を基礎とする)および即放性成分を有する単一のビーズ。IR成分とMR成分の比は50:50である。
【0197】
【表27】

【0198】
表26に記載されるビーズを用いることにより、種々の用量のエスシタロプラム(例えば、2 mg、4 mg、5 mg、8 mg、10 mg、15 mg、16 mg、20 mgおよび30 mg)を有するカプセル剤を表27に示すように製造することができる。例えば、カプセルに49 mgのビーズを充填することにより、エスシタロプラムの8 mg剤形を製造することができる。表28は、表27の放出調節カプセル剤に関して計算した薬物動態パラメーターを示す。従って、種々の量のエスシタロプラムを有する剤形を製造することができる。
【0199】

表27 表26のビーズを含むエスシタロプラム剤形
【0200】
【表28】

【0201】
表28 エスシタロプラムの放出調節カプセルに関して計算した薬物動態パラメーター
【0202】
【表29】

【0203】
本発明の範囲は、本明細書において記載される特定の実施態様に限定されない。当業者であれば、上記の記載および添付の図から、本明細書において記載された発明にさらに種々の改変を施すことが可能である。このような改変も、特許請求の範囲に含まれるものである。また、全ての値がおよそであり、説明のために供されるものであることは理解されよう。特許、特許出願、刊行物、生成物の記載、およびプロトコールが本願を通して引用され、これらの開示は、全体として参照することによってすべての目的に関して本明細書に組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】図1は、10 mgエスシタロプラム錠剤、8 mgエスシタロプラムIRビーズ(計算)、放出調節ビーズI、放出調節ビーズIIおよび放出調節ビーズIIIに関する薬物動態プロファイルを示す。
【図2】図2は、実施例3に従って製造された遅い放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズI)に関する溶出プロファイルを示す。
【図3】図3は、実施例3に従って製造された中程度の放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズII)に関する溶出プロファイルを示す。
【図4】図4は、実施例3に従って製造された速い放出のエスシタロプラムビーズ(MRビーズIII)に関する溶出プロファイルを示す。
【図5】図5は、実施例4に従って製造された遅い放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤I)に関する溶出プロファイルを示す。
【図6】図6は、実施例4に従って製造された中程度の放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤II)に関する溶出プロファイルを示す。
【図7】図7は、実施例4に従って製造された速い放出のエスシタロプラム錠剤(MR錠剤III)に関する溶出プロファイルを示す。
【図8】図8は、実施例5に従って製造された2つのパルスを有する単一錠剤の溶出プロファイルを示す。
【図9】図9は、50%のIRビーズおよび50%のMRビーズIIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【図10】図10は、37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズIIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【図11】図11は、50%のIRビーズおよび50%のMRビーズIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。
【図12】図12は、37.5%のIRビーズおよび62.5%のMRビーズIからなるエスシタロプラムの8 mg剤形に関して計算した薬物動態プロファイル、およびエスシタロプラムのIR剤形に関する薬物動態プロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2 mg〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形であって、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約30 ng/ml未満の平均Cmax;および
約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する前記経口剤形。
【請求項2】
剤形が約5 mg〜約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1記載の経口剤形。
【請求項3】
剤形が約4 mg〜約16 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1記載の経口剤形。
【請求項4】
剤形が約8時間を超える平均Tmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項5】
剤形が約10.0 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項6】
剤形が約5.0 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項7】
剤形が約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項8】
剤形が約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項9】
剤形が約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項10】
剤形が錠剤、カプセル剤、ビーズおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の経口剤形。
【請求項11】
剤形が約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約2 ng/ml未満の平均Cmax;および
約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項12】
剤形が約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約4 ng/ml未満の平均Cmax;および
約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項13】
剤形が約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約5 ng/ml未満の平均Cmax;および
約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項14】
剤形が約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax
約10 ng/ml未満の平均Cmax;および
約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項15】
剤形が約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約20 ng/ml未満の平均Cmax;および
約600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項16】
剤形が約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含み、そして、以下:
約6時間を超える平均Tmax;
約30 ng/ml未満の平均Cmax;および
約900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞
を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項1記載の経口剤形。
【請求項17】
約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形であって、約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し、そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを提供する、前記経口剤形。
【請求項18】
剤形が約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項17記載の経口剤形。
【請求項19】
剤形が約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、請求項17記載の経口剤形。
【請求項20】
剤形が約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約2 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項21】
剤形が約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約4 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項22】
剤形が約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約5 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項23】
剤形が約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約10 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項24】
剤形が約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約18 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項25】
剤形が約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩、ならびに約900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞および約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを含む、請求項17記載の経口剤形。
【請求項26】
即放性成分および放出調節成分を含有する複合剤形(composite dosage forms)であって、
即放性成分が約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む第一の活性成分を含み、この第一活性成分の約80%が前記剤形の使用環境への導入後の最初の約4時間以内に溶出し、そして
放出調節成分が約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む第二の活性成分を含み、この第二活性成分の約70%〜約80%が前記剤形の使用環境への導入後約4時間〜約24時間以内に溶出する、前記の複合剤形。
【請求項27】
即放性成分がエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含むビーズ、錠剤または粒子を含む、請求項26記載の複合剤形。
【請求項28】
放出調節成分がエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含むビーズ、錠剤または粒子を含む、請求項26記載の複合剤形。
【請求項29】
複数個のビーズを含む経口剤形であって、各ビーズが、
約1μm〜約1000μmの直径を有するコア;
約2〜約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分;および
放出調節コーティングを含有し、
約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有し;そして約30 ng/ml未満の平均Cmaxを含むインビボ血漿プロファイルを提供する、前記の経口剤形。
【請求項30】
剤形が約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボ血漿プロファイルを提供する、請求項29記載の経口剤形。
【請求項31】
放出調節ポリマーがエチルセルロース(Surelease(R))、メタクリレート(Eudragit(R))、メタクリル酸コポリマー・タイプC(Acryl-eze(R))、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項29記載の経口剤形。
【請求項32】
放出調節ポリマー層上にコーティングされたトップコーティングをさらに含む、請求項29記載の経口剤形。
【請求項33】
トップコーティングがHPMC(Opadry(R))、HPC、Eudragit(R) RL、Eudragit(R) E100、Eudragit(R) E12.5、Eudragit(R) EPO、Eudragit(R) NEおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項32記載の経口剤形。
【請求項34】
複数のビーズを含有する経口剤形であって、各ビーズが、
ビーズ1グラムあたり約500〜約800 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約30 mg〜約300 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約20 mg〜約60 mgの第一のポリマーを含む第一の薬剤成分;
ビーズ1グラムあたり約50〜約300 mgの放出調節コーティング;
ビーズ1グラムあたり約50 mg〜約150 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩およびビーズ1グラムあたり約5〜約50 mgの第二のポリマーを含む第二の薬剤成分;および
場合により、ビーズ1グラムあたり約5〜約25 mgのトップコーティング、
を含み、
約4時間〜約24時間以内に約70%〜約80%の活性成分が溶出する溶出速度を有する、前記の経口剤形。
【請求項35】
第一の薬剤成分がビーズ1グラムあたり約675 mgの糖を含むコア、ビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、第一のポリマーがビーズ1グラムあたり約37 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;
放出調節コーティングがビーズ1グラムあたり約163 mgのsureleaseを含み;
第二の薬剤成分がビーズ1グラムあたり約105 mgのシュウ酸エスシタロプラムを含み、そして第二のポリマーがビーズ1グラムあたり約21 mgのヒドロキシプロピルセルロースを含み;そして、
トップコーティングがビーズ1グラムあたり約17 mgのopadry clearを含む、
請求項34記載の経口剤形。
【請求項36】
約2 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約2 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約60 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項37】
約4 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約4 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約120 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項38】
約5 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約5 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約150 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項39】
約10 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約10 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約300 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項40】
約20 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約20 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約600 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項41】
約30 mgのエスシタロプラムまたはその薬学的に許容される塩を含む薬剤カプセルであって、請求項34記載の経口剤形を含み、そして約6時間を超える平均Tmax、約30 ng/ml未満の平均Cmaxおよび約900 ng h/mlを超える平均AUC0-∞を含むインビボでの血漿プロファイルを提供する、前記の薬剤カプセル。
【請求項42】
請求項1記載の剤形の治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、中枢神経系障害を治療する方法。
【請求項43】
中枢神経系障害が気分障害、不安障害、月経前不快気分障害、月経前症候群、神経症性障害、急性ストレス障害、摂食障害、恐怖症、気分変調、認知障害、衝動調節障害、注意欠陥過活動性障害および薬物乱用からなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
気分障害が大うつ病性障害である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
不安障害が全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害および恐慌性障害からなる群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項46】
摂食障害がビンジ・イーティング(binge eating)、過食症、食欲不振および肥満からなる群から選択される、請求項42記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−519969(P2009−519969A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545969(P2008−545969)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/062064
【国際公開番号】WO2007/070840
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】