説明

エタノール生産微生物の連続培養発酵装置

【課題】基質の完全連続供給を行うことが可能な、生産性の低下を招くことがなく、任意のエタノール生産微生物の連続培養発酵が可能な、エタノール生産微生物の連続培養発酵装置を提供する。
【解決手段】エタノール生産微生物を培養する発酵槽11;該発酵槽に基質液を供給する供給手段12;該発酵槽内の発酵液の量を一定に維持し得るように、該発酵槽から該発酵液を引き抜く引抜手段14;該発酵槽内の該発酵液の濁度を計測する濁度センサー16または該発酵槽内の該発酵液の微生物濃度を計測する微生物濃度センサー;および濁度制御手段17または微生物濃度制御手段を備え、該引抜手段14が、該発酵槽11内の該発酵液を固液分離手段18に供し、該固液分離手段18によって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段14aと、該発酵槽11内の該発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段14bとからなる発酵槽。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノール生産微生物の連続培養発酵装置および連続培養発酵方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、濁度制御または微生物濃度制御をシーケンサー制御によって行うエタノールの連続培養発酵生産技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵産業では、微生物を用いて、各種アミノ酸、有機酸、エタノール、アセトン・ブタノール、核酸関連物質などの生産、または微生物菌体そのものの生産(例えば、酵母菌体の生産)が行われる。これらの工業生産では、糖などの基質を主原料として、ほとんどすべてにおいて回分発酵法が用いられる。回分発酵では、主発酵以外に、培地の仕込み、装置の準備、種発酵、発酵が終わった後の発酵槽の洗浄などを行わなければならず、主発酵以外に要する時間が長い。これらの付帯作業は回分発酵ごとに繰り返されるので、発酵槽の本来の用途である主発酵に用いられる稼働時間は非常に短く、生産効率が低い。
【0003】
この問題を解決するために、培地の仕込み、装置の準備、種発酵、発酵後の発酵槽の洗浄などの付帯作業を省略して主発酵を長時間継続させる流加培養法(半連続発酵、fed-batch cultureともいう)、発酵槽を数基直列に並べて順次基質液を送りながら発酵を行うカスケード法などが開発されている。燃料用エタノール(バイオエタノール)生産の先進国であるブラジルでは、回分発酵終了後に酵母を遠心分離器で濃縮し、その濃縮液に新しい培地を添加することにより、高濃度の酵母で短時間主発酵を行う、繰り返し回分法が広く用いられている(Melle-Boinot process)。
【0004】
しかし、これらのいずれの方法も、基本的には回分発酵であって、付帯作業を必要としない完全連続培養発酵ではない。地球環境問題への対応策としてバイオエタノールの必要性が増す中、工業プロセスとしてのエタノール発酵において、合理化の必要性が益々高まっている。このように、バイオエタノールの生産方法として、エタノール発酵の完全連続化が強く望まれている。
【0005】
本発明者らは、特許文献1において、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)などの嫌気性細菌を用いるアルコール生産細菌の連続培養に関する方法を開示している。この方法では、基質フィードは流加培養を基本にしているが、培養持続時間を可能な限り長くして付帯作業をできる限り省略して、発酵の実質連続化を可能にしている。この方法は、発酵槽内の糖濃度が高くなるので、発酵槽内の糖を消費させるため一時的に基質フィードをストップして、細菌の飢餓状態を形成させる、いわゆるCO制御を特徴とする。すなわち、基質フィードを一時的にストップする操作を行うため、基質の完全連続供給が行われていない。フィードストップに伴う発酵の一時的な減衰化によるロスタイムの発生は、生産性の低下を招く。
【0006】
特許文献1の方法は、フィード開始からフィードストップまでの1サイクルの間にフィードする基質量をフィード液貯槽の重量変化によって、制御する方法であり、発酵槽内の糖濃度を一定に制御する方法ではない。このため、発酵槽内の糖濃度の変動が大きく、エタノール濃度の変化も大きくなる。CO制御で発酵速度を一定に維持していても、この糖およびエタノールの濃度の大きな変化は、微生物の活性の低下を招く。
【0007】
そこで、上記の問題点を解決し、工業生産上、十分に堅牢性を備えた制御システムを開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/32265号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、シーケンサー制御によって基質の完全連続供給を行うことが可能であり、フィードストップに伴う発酵の一時的な減衰化によるロスタイムが発生しないため、生産性の低下を招くことがなく、任意のエタノール生産微生物の連続培養発酵が可能な、エタノール生産微生物の連続培養発酵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エタノール生産微生物の連続培養発酵装置を提供し、該装置は、エタノール生産微生物を培養する発酵槽;該発酵槽に基質液を供給する供給手段;該発酵槽内の発酵液の量を一定に維持し得るように、該発酵槽から該発酵液を引き抜く引抜手段;該発酵槽内の該発酵液の濁度を計測する濁度センサーまたは該発酵槽内の該発酵液の微生物濃度を計測する微生物濃度センサー;および濁度制御手段または微生物濃度制御手段を備え、該引抜手段が、該発酵槽内の該発酵液を固液分離手段に供し、該固液分離手段によって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段と、該発酵槽内の該発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段とからなり、そして該濁度制御手段または該微生物濃度制御手段が、該濁度センサーまたは該微生物濃度センサーによる計測値に基づいて、該発酵槽に供給される該基質液と該発酵槽から引き抜かれる該発酵液との流量比をシーケンサー制御によって制御し、それによって該発酵槽内の該エタノール生産微生物の濃度を一定に維持する。
【0011】
1つの実施態様では、上記エタノール生産微生物の培養は、嫌気性環境下で行われる。
【0012】
ある実施態様では、上記エタノール生産微生物は、酵母またはザイモモナス(Zymomonas)属に属する微生物である。
【0013】
他の実施態様では、上記ザイモモナス属に属する微生物は、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)である。
【0014】
さらに他の実施態様では、上記酵母は、アーミング酵母である。
【0015】
1つの実施態様では、上記エタノール生産微生物の培養は、好気性環境下で行われる。
【0016】
ある実施態様では、上記エタノール生産微生物は、遺伝子組換えによりエタノール生産能力を獲得した、好気性環境下で増殖する大腸菌である。
【0017】
1つの実施態様では、さらに、上記発酵槽に空気を通気し得る通気手段が備えられる。
【0018】
1つの実施態様では、上記基質液は、生ゴミ糖化液、デンプン糖化液、セルロース糖化液、モラセス、モラセスを含有するデンプン糖化液、とうもろこしデンプン液、米デンプン液、小麦デンプン液、サゴヤシデンプン液、麦わらセルロース液、稲わらセルロース液、および古紙セルロース液からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0019】
さらに、本発明は、エタノール生産微生物の連続培養発酵方法を提供し、該方法は、基質液を供給する工程;エタノール生産微生物を培養する工程;および該エタノール生産微生物を培養する工程において、発酵液量を一定に維持し得るように、該発酵液を引き抜く工程;を包含し、該エタノール生産微生物を培養する工程において、該発酵液の濁度または微生物濃度に基づいて、供給される該基質液と引き抜かれる該発酵液との流量比を制御し、それによって該エタノール生産微生物の濃度を一定に維持し、そして該濁度または該微生物濃度の制御がシーケンサー制御によって行われる。
【0020】
1つの実施態様では、本発明の方法は、上記装置を用いて行われる。
【0021】
1つの実施態様では、さらに、βラクタム系抗生物質を添加する工程を包含する。
【0022】
ある実施態様では、上記βラクタム系抗生物質は、ペニシリンである。
【0023】
他の実施態様では、上記βラクタム系抗生物質は、上記装置の全部または一部を洗浄する際に添加される。
【0024】
さらに他の実施態様では、上記βラクタム系抗生物質は、上記装置の運転中に添加される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シーケンサー制御によって基質の完全連続供給を行うことが可能であり、フィードストップに伴う発酵の一時的な減衰化によるロスタイムが発生しないため、生産性の低下を招くことがなく、任意のエタノール生産微生物の連続培養発酵が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の連続培養発酵装置の一実施態様を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施態様における制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明のエタノール生産微生物の連続培養発酵方法による培養発酵特性を示す図である。
【図4】実施例1による完全連続培養発酵によるエタノール発酵の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のエタノール生産微生物の連続培養発酵装置は、エタノール生産微生物を培養する発酵槽11;発酵槽に基質液を供給する供給手段12;発酵槽の発酵液量を一定に維持し得るように、発酵槽から発酵液を引き抜く引抜手段14;発酵槽の発酵液の濁度を計測する濁度センサー16;および濁度制御手段17を備える。引抜手段14は、発酵槽11の該発酵液を固液分離手段18に供し、固液分離手段18よって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段14aと、発酵槽11の発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段14bとからなる。さらに、濁度制御手段17は、濁度センサー16による計測値に基づいて、発酵槽11に供給される基質液と発酵槽11から引き抜かれる発酵液との流量比を制御し、それによって発酵槽11内のエタノール生産微生物の濃度を一定に維持し、そして濁度制御がシーケンサー制御によって行われる。
【0028】
なお、本発明のエタノール生産微生物の連続培養発酵装置は、濁度センサー16の代わりに微生物濃度センサーを用いてもよく、濁度制御手段17の代わりに微生物濃度制御手段を用いてもよい。
【0029】
本発明のエタノール生産微生物の連続培養発酵装置およびエタノール生産微生物の連続培養発酵方法を、添付の図面を参照して説明する。
【0030】
図1に示す本発明の連続培養発酵装置10は、エタノール生産微生物を培養する発酵槽11、発酵槽に基質液を供給する供給手段12、基質液を貯蔵する供給タンク13、固液分離手段18よって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段14a、発酵槽11の発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段14b、発酵槽11から引き抜かれた発酵液およびろ液を貯蔵するハーベストタンク15、発酵槽11の発酵液の濁度を計測する濁度センサー16、濁度制御手段17、および温度センサー19を備える。
【0031】
発酵槽11は密閉型であり、発酵槽内の発酵液の濁度を計測する濁度センサー16を備える。濁度センサー16としては、例えば、濁度測定用のレーザー光透過式、散乱光式などのセンサーが挙げられる。また、発酵槽11は、一般的に、発酵液の温度を計測する温度センサー19を備える。
【0032】
濁度センサー16の代わりに用い得る微生物濃度センサーとしては、例えば、近赤外レーザーセンサーが挙げられる。微生物濃度センサーは、特に、アーミング酵母(後述)の連続培養発酵の場合に好ましく用いられる。微生物濃度センサーを用いる場合、濁度制御手段17の代わりに微生物濃度制御手段が用いられ得る。
【0033】
さらに、発酵槽11は、発酵液を固液分離して循環させる固液分離手段18を備える。固液分離手段18としては、例えば、クロスフローろ過器、遠心分離器、浸透膜などが挙げられる。これらの中でも、クロスフローろ過器が好ましい。
【0034】
発酵槽に基質液を供給する供給手段12は、特に限定されない。供給手段12としては、例えば、ポンプ、供給タンク13から発酵槽11に滴下し得る手段などが挙げられる。供給手段12は、発酵槽11と供給タンク13との間に設けられる。
【0035】
発酵槽から発酵液を引き抜く引抜手段14は、固液分離手段18よって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段14aと、発酵槽11の発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段14bとからなる。ろ液引抜手段14aおよび発酵液引抜手段14bは、特に限定されない。
【0036】
ろ液引抜手段14aとしては、例えば、ポンプ、バルブなどが挙げられる。好ましくは、ろ液引抜手段14aはポンプであり得る。
【0037】
発酵液引抜手段14bとしては、例えば、電磁弁、空気作動ダイヤフラム弁などが挙げられる。好ましくは、発酵液引抜手段14bは電磁弁であり得る。
【0038】
ろ液引抜手段14aは、引き抜かれた発酵液(ろ液)を貯蔵するハーベストタンク15と発酵槽11に設けられた固液分離手段18との間に設けられる。このような構成によって、発酵液中の液体部分のみを引き抜いてハーベストタンク15に貯蔵し、固形分は固液分離手段18から発酵槽11に返送されるため、発酵液は濃縮され得る(すなわち、エタノール生産微生物の濃度が高まる)。
【0039】
一方、発酵液引抜手段14bは、ハーベストタンク15と発酵槽11との間に設けられる。発酵液をろ過せずにそのまま引き抜くため、発酵液の固形分濃度を下げ得る(すなわち、エタノール生産微生物の濃度が下がる)。
【0040】
供給手段12、ろ液引抜手段14a、発酵液引抜手段14b、および濁度センサー16は、それぞれ濁度制御手段17と接続されている。濁度制御手段17は、濁度センサー16によって計測された発酵槽11内の発酵液の濁度に応じて、供給手段12によって供給される基質液と、ろ液引抜手段14aおよび発酵液引抜手段14bによって引き抜かれる発酵液(ろ液)との流量比を制御している。濁度制御は、シーケンサー制御によって行われ、予めプログラムされた濁度と流量比とのデータに従って作動する。濁度制御については、以下で詳細に説明する。
【0041】
本発明の連続培養発酵装置10は、嫌気性環境下および好気性環境下のいずれの環境下の培養でも用いられ得る。
【0042】
なお、好気性環境下で培養を行う場合、本発明の連続培養発酵装置10は、発酵槽11に空気を通気し得る通気手段(図示せず)を備えることが好ましい。通気手段としては、例えば、散気管、スパージャーなどが挙げられる。
【0043】
本発明の連続培養発酵装置10は、必要に応じて、CO排出量を計測するためのCOセンサーなどを備えてもよい。
【0044】
次いで、エタノール生産微生物の連続培養発酵方法を、図1を参照して説明する。
【0045】
本発明の連続培養発酵方法で培養されるエタノール生産微生物は、特に限定されない。例えば、嫌気性環境下で培養されるエタノール生産微生物としては、エタノール発酵を行う酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae CSI-1 JCM15097)、アーミング酵母など)、エタノール発酵を行うザイモモナス(Zymomonas)属に属する細菌(例えば、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis))などが挙げられる。
【0046】
アーミング酵母としては、例えば、グルコアミラーゼを細胞表層に提示し、かつα−アミラーゼを分泌または細胞表層に提示するように形質転換された酵母、β−グルコシターゼを細胞表層に発現する酵母、エンドβ1,4−グルカナーゼを細胞表層に提示するように形質転換された酵母、セロビオヒドロラーゼを細胞表層に提示するように形質転換された酵母などが挙げられる。
【0047】
一方、好気性環境下で培養されるエタノール生産微生物としては、遺伝子組換えによりエタノール生産能力を獲得した大腸菌などが挙げられる。
【0048】
糖濃度10〜12質量%程度に調整した初発培地(基質液)を殺菌調製して発酵槽11に供給し、エタノール生産微生物を接種する。例えば、酵母を用いる場合、種培養した培養液を、発酵槽11に供給した基質液の5質量%程度に添加して発酵を開始する。
【0049】
発酵槽11の温度は、エタノール生産微生物に応じて所定値になるように管理されており、発酵槽11に設けられた撹拌機(図示せず)により発酵槽11の内容物は、一定の速度でゆっくりと撹拌されている。
【0050】
エタノール生産微生物(例えば、酵母)が増殖し、一定の濃度に到達すると、エタノール生産微生物の濃度を上昇させるため、発酵液の濃縮を行う。すなわち、基質液を供給しながら、固液分離手段18で分離されたろ液をハーベストタンク15に引き抜き、固形分を発酵槽11に返送して発酵液の濃縮を行う。この間、濁度センサー16によって発酵液の濁度を監視しながら、目的とする発酵液の濁度に到達するまで発酵液の濃縮を続ける。ハーベストタンク15に引き抜いた発酵液中の糖濃度は少し高くなるが、ハーベストタンク15内に存在するエタノール生産微生物によって、ハーベストタンク15内の液は、蒸留されるまで滞留している間に、エタノールに変換される。
【0051】
濁度センサー16の代わりに微生物濃度センサーを用いる場合は、濁度の代わりにエタノール生産微生物の濃度を監視し、目的とするエタノール生産微生物の濃度に到達するまで発酵液の濃縮を続ける。
【0052】
濁度(またはエタノール生産微生物濃度)が目標値に達したら、基質連続供給による連続発酵に移る。連続発酵は、エタノール生産微生物濃度を一定に保つ濁度制御培養である。濁度制御は、ろ液引抜手段14aによる固液分離手段18で分離されたろ液の引き抜き、および発酵液引抜手段14bによる発酵槽11からの発酵液の引き抜きによって行われ、それによって発酵槽11内の発酵液のエタノール生産微生物濃度を一定に保つ。基質液は、供給手段12の流速設定によって、発酵槽11内の濁度(エタノール生産微生物濃度)を一定に維持し得る量が供給される。予め求めておいた供給速度は、酵母の比活性に基づき、エタノール生産微生物の濃度と発酵液量との積で与えられる。
【0053】
基質液は、供給タンク13に貯蔵されており、供給手段12によって発酵糟11に供給される。その結果、発酵槽内でエタノール発酵が行われ、基質糖からエタノールが生成し、COが発生する。
【0054】
原料となる基質液は、エタノール生産の原料となる糖を含有するものであれば限定されない。基質液としては、例えば、ブドウ糖、スクロース、とうもろこし、米、小麦、サゴヤシなど各種穀物糖化液;とうもろこし、米、小麦、サゴヤシなどのデンプン液;麦わら、稲わら、古紙などのセルロース液;ケーン、ビートなどから得られるモラセスなど各種農産物;生ゴミ糖化液などが挙げられる。これらの中でも、生ゴミ糖化液、デンプン糖化液、セルロース糖化液、モラセス、またはモラセスを含有するデンプン糖化液が好ましい。
【0055】
基質液が供給される一方、発酵槽11内の発酵液量を一定(エタノール生産微生物の濃度を一定)に維持するため、ろ液引抜手段14aによって、固液分離手段18で分離されたろ液がハーベストタンク15に引き抜かれるか、あるいは発酵液引抜手段14bによって、発酵液が直接ハーベストタンク15に引き抜かれる。
【0056】
供給手段12によって発酵糟11に供給される基質液と、ハーベストタンク15に引き抜かれる発酵液(ろ液)との流量比は、濁度制御手段17によって制御され、それによってエタノール生産微生物の濃度を一定に維持し得る。例えば、発酵槽11に供給される基質液は、エタノール生産微生物によって基質の糖からエタノールに変換されるに伴い、大きく比重が変わる(すなわち、供給される基質液と引き抜かれる発酵液とでは、比重が異なる)。したがって、発酵槽11の発酵液量およびエタノール生産微生物の濃度を一定に維持するためには、基質液の流量と発酵液の引き抜き流量とを、その比重の違いに応じて調節する必要がある。
【0057】
具体的には、発酵槽11の発酵液量およびエタノール生産微生物の濃度を一定に維持するために(設定値Th1)、発酵槽11内のエタノール生産微生物の濃度が低下しすぎた場合、ハーベストタンク15に引き抜かれるろ液の流量を増加させ、メタノール生産微生物を含む固形分を発酵槽11に返送すればよい。また、発酵槽11内のエタノール生産微生物の濃度が上昇しすぎた場合、供給手段12によって発酵糟11に供給される基質液の流量を増加させるか、あるいは発酵液引抜手段14bによって、発酵液自体を直接ハーベストタンク15に引き抜けばよい。本発明の連続培養発酵方法では、これらの制御は発酵液の濁度に基づいて行われ、濁度の制御は、シーケンサー制御によって行われる。図2に制御処理を表すフローチャートを示す。
【0058】
グルコースを基質とする、嫌気環境下でのエタノール発酵におけるCO発生量とエタノール生産との関係式は、以下の反応式で与えられる。
12→2COH+2CO (1)
【0059】
すなわち、グルコース1モルから2モルのエタノールを生成するとき、2モルのCOが発生するので、CO排出量をモニターすれば、エタノール生産量を知ることができる。
【0060】
例えば、完全嫌気環境下で増殖およびエタノール発酵の両方とも行う酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)は、空気を全く必要とせずにエタノール発酵を行い得る。したがって、式(1)の化学量論に基づいて発酵が進むとき、CO発生速度をモニターすれば、発酵液量一定で、濁度一定の培養系においては、エタノール生成量だけでなく、その生産速度、基質消費速度、酵母比活性など全ての培養に関するパラメータを得ることができる。
【0061】
エタノール生産微生物を培養する工程において、発酵槽11内に乳酸菌が存在すると、エタノール発酵以外に乳酸発酵も進行し、エタノール発酵が阻害される。そこで、乳酸菌を死滅させるために、例えば、βラクタム系抗生物質(例えば、ペニシリン)を添加する工程を包含してもよい。βラクタム系抗生物質の添加は、連続培養発酵装置10の全部または一部を洗浄する際、あるいは連続培養発酵装置10の運転中(すなわち、基質中)に添加され得る。
【0062】
好気性環境下で増殖するエタノール生産微生物(例えば、遺伝子組換えによりエタノール生産能力を獲得した、好気性環境下で増殖する大腸菌など)を培養する場合、エタノール生産微生物を培養する工程において、空気を通気(曝気)することが好ましい。
【0063】
本発明のエタノール生産微生物の連続培養発酵方法による培養発酵特性を図3に示す。図3に示すように、基質供給は連続的に行われ、供給される基質液と引き抜かれる発酵液との流量比を制御することによって、発酵槽の発酵液量は一定に保たれる。濁度を制御することによって培養液の微生物の濃度は一定に保たれるので、発酵液のエタノール生成比活性は一定に維持される。したがって、図3に示すように、発酵液糖濃度およびエタノール濃度の変動がなくなって、培養系は安定する。
【0064】
図3中のWは発酵液の質量を示し、Vは発酵液の体積を示す。原料の基質液(糖液)の比重は約1であり、培養発酵開始時はW=Vとなる。培養発酵が進むと、エタノールが発生して発酵液の比重が小さくなるため、発酵槽11から引き抜かれる発酵液の質量は、W=0.85×Vとなる。原料は、状態によって増減するものの、ほぼ一定の割合で供給される。微生物がある程度の濃度(濁度)になると、原料は迅速にエタノールに変換されるため、固液分離手段18で分離したろ液を引き抜く。この引き抜く速度は、微生物の濃度(濁度)の変化に応じて制御する。微生物の濃度(濁度)が設定値よりも高くなると、発酵液を直接ハーベストタンク15に引き抜く。引き抜かれた発酵液には、少しの糖が残存しており、共に引き抜かれた微生物によって最後までアルコールに変換される。糖が無くなれば微生物は死滅するが、発酵槽11内ではなくハーベストタンク15内なので、問題はない。このように、微生物の濃度(濁度)が一定になるように、微生物を含む発酵液は断続的に引き抜かれる。したがって、発酵槽11の中のアルコール生産速度をほぼ一定にすることが可能となる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
図1に記載の構成を有する装置を用いて、完全嫌気環境下(100%CO)で、0.7hr−1前後の大きな希釈率で集積培養して分離した酵母(サッカロマイセス・セレビシエCSI-1 JCM15097)を使用した。この酵母は、分離条件から明らかなように100%CO環境下で増殖するとともに、エタノール発酵を行い得る。種酵母は、YMブロス(Difco Laboratories社)を培地とし、規定濃度(5質量%〜10質量%)に調整した。培地を試験管に10mL分注し115℃で10分間加熱滅菌し調製した後に酵母を接種し、30℃で24時間静置培養した。
【0067】
主発酵では、食品工業用グルコース(水分10質量%)を糖濃度13質量%となるよう水道水に溶解した後、CSL(コーン・スティープ・リカー)0.5質量%を添加し、pHを5.5に調整して、120℃で10分間加熱滅菌して調製した基質液を用いた。これに上記の方法で調製した種酵母培養液100mLを添加し、100rpmの回転数で撹拌を行い、37℃で発酵を開始した。培養中pHの変動は多少あるが、酵母増殖およびエタノール生成に特に影響はないので、培養中のpH制御は行わなかった。
【0068】
発酵開始から15時間後、酵母の増殖が頭打ちとなったので、発酵液の循環濃縮を行い、酵母濃度を上昇させた。発酵槽外に設置したクロスフローろ過器(日本ポール株式会社製、0.45μm、0.1mカートリッジ)に培養液を循環し、ろ液を発酵槽外ハーベスト槽に抜き出して、基質供給槽から初発培地と同じ組成の培地を補充して、発酵槽液量を一定に維持しながら酵母濃度の上昇を図った。
【0069】
このようにして、発酵開始約24時間で酵母濃度約4g/Lに達した。以後連続発酵の全時間にわたりレーザー濁度計(ASR社製Model LA−301型)によって、酵母濃度は4.0±0.2g/Lに制御できた。酵母濃度が一定となったところで、グルコース/スクロースアナライザー(YSI社製)によって発酵液中の残基質濃度を測定したところ、グルコース濃度3g/Lであった。そこで、食品工業用グルコース(水分10質量%)を糖濃度15質量%(150g/L)となるよう水道水に溶解した後、CSL0.5質量%を添加し、pHを5.5に調整して、120℃で10分間加熱滅菌したものを基質液として、上記のシーケンサーによる連続発酵を行った。
【0070】
総容量3L発酵槽に、張り込み1.9Lで培養し、基質供給速度950mL/h(dilution rate 0.5hr−1)で完全連続基質供給116時間(立ち上がり時間を除く)行った結果を、図4および表1に示す。CO発生速度(FLC)の平均値は0.6L/min(図4)であるから、1時間のCO発生量は36Lである。これは式(1)により1.5molのエタノールに相当するので、1.9Lの培養液量あたり69g/hrのエタノールを生産したことになる。すなわち、この連続発酵装置における単位培養液量あたりのエタノール生産性(容積生産性)は36.3g/Lhr(45.3mL/Lhr)となり、特許文献1の方法によるエタノール発酵よりも、優れた生産性を有する。
【0071】
この連続発酵期間中のエタノール収量(ハーベスト量)は7125gで、供給グルコース量の積算値は15000gであった。したがって、この連続発酵のエタノール収率は47.5%であった。
【0072】
【表1】

【0073】
(実施例2)
シード(種)に用いた酵母、発酵条件、および主発酵に用いた装置は、実施例1と同様である。
【0074】
初発培地および供給基質液の糖源として、ケーンモラセスを用いた。すなわち、タイ国産モラセスを水道水で5.3倍に希釈し、pHを5.5に調整し、120℃で10分間オートクレーブ滅菌したものを用いた。この培地2Lを予め滅菌した発酵槽に入れ、実施例1で調製した種酵母発酵液100mLを添加し、100rpmの回転数で撹拌し、37℃で発酵を開始した。培養中pHの変動は多少あるが、酵母増殖、エタノール生成に特に影響はないので、培養中のpH制御は行わなかった。
【0075】
発酵の手順および制御方法は実施例1と全く同じである。
【0076】
供給レートは1L/h(dilution rate 0.5hr−1)で、連続培養315時間継続した。発酵結果を表2に示す。エタノール生産量13547gをハーベストしたが、この間フィードしたモラセスの総糖量から非資化性糖を引いたフィード液基質消費量は28514gであった。したがって、この連続発酵のエタノール収率は47.5%であった。
【0077】
【表2】

【0078】
(実施例3)
シード(種)に用いた酵母、発酵条件、および主発酵に用いた装置は、実施例1と同様である。
【0079】
初発培地および供給基質液の糖源にはサゴデンプン糖化液にモラセスを添加したものを用いた。サゴデンプン(マレーシア国産)200g/L濃度に水道水に懸濁調製しスラリーとした後、攪拌しながらpHを6に調整し、デンプン消化酵素であるTermamyl 120L(Novo)を1gデンプンあたり0.5μL加え、水浴を用いて90℃で1時間液化処理を行った。冷却後、pHを4.5に調整し、デンプン糖化酵素であるDextrozyme(Novo)を1gデンプンあたり0.6μL加え、恒温槽内で60℃にて24時間糖化処理を行い、グルコース濃度175g/Lの糖液を得た。これを、水でグルコース濃度150g/Lとなるよう希釈し、実施例2において用いたモラセス5.3倍希釈液を1:1(v/v)で混合し、pHを5.5に調整後、オートクレーブ滅菌処理したものを培地・基質液として用いた。
【0080】
発酵の手順および制御方法は実施例1と全く同じである。
【0081】
供給レートは1L/h(dilution rate 0.5hr−1)で、連続培養210時間継続した。この間のサゴデンプン糖化液のグルコース量は31500g、エタノール生成量14.9kg、収率は47.5%であった。
【0082】
(実施例4)
主発酵培地および供給基質液は生ゴミを原料とする発酵想定したモデル生ゴミ糖化液である。
【0083】
ご飯(白米)250g、キャベツ50g、茹で人参50g、バナナ(可食部)50g、およびサシミ50gに適量の水を加えて、ジューサーミキサーで粉砕ジュース化した後、全量1Lの水を加えて希釈した。攪拌しながらpHを4.5に調整し、乾物にDextrozyme (Novo)0.6μ/gを加え、恒温槽を用いて60℃で24時間糖化処理を行った。糖化後のグルコース濃度85g/Lの糖液を得た。これをそのままオートクレーブ滅菌処理して、培地・基質液として用いた。
【0084】
生ゴミや食品残査をエタノール発酵の原料にする場合は、各種の乳酸菌が混入していて、連続発酵の長時間継続を妨害する。そのため、生ゴミを原料とするこの実施例では、特許文献1の実施例5および6と同様βラクタム系抗生物質を用いて乳酸菌による雑菌汚染対策を講じた連続発酵を行った。
【0085】
上記のように調製したモデル生ゴミを糖化し、固形残査をろ過分離した糖液を培地とした。窒素栄養源は、生ゴミに豊富に含まれるので、特に添加する必要はない。この糖液を発酵槽に仕込み、加熱蒸気殺菌した後冷却し、初発培地とした。そこに滅菌した冷水にペニシリンGカリウムを溶解させたものを、最終濃度10IU/mL(IUは国際単位)になるように初発培地に添加し、種酵母(シード)としてサッカロマイセス・セレビシエ培養液100mLを加えて発酵開始した。
【0086】
実施例1と同様に、回分培養で酵母濃度を上昇させ、酵母濃縮を行って酵母濃度を目標値まで上昇させる。酵母濃度が目標に達したら初発培地同様の手順でペニシリンGカリウムを冷水に溶解し、最終濃度10IU/mLになるように添加した基質液をフィードしながら、濃縮培養を行い、培養液酵母の濃縮を行った。
【0087】
また、濃縮に用いるクロスフローろ過器もあらかじめコンタミ対策を講じておく必要がある。このため、培養に使用する前にろ過器のペニシリン洗浄による無菌化を行った。即ち、ペニシリンGカリウムを濃度10IU/mLに溶解した滅菌水をフィルター内に充填し、温度30℃で2時間インキュベートし、クロスフローろ過器の膜内や配管細部に残存するコンタミ菌を死滅させた。このようにして無菌化したろ過器を発酵槽の循環ラインに取り付けて培養液の濃縮を行った。
【0088】
発酵の手順および制御方法は、実施例1と同様である。
【0089】
フィード液供給レートは培地フィード速度1.2L/h(dilution rate 0.6hr−1)である。
【0090】
発酵液において乳酸菌の汚染は全くなく、発酵は安定して350時間にわたり継続した。培養103時間目における培養結果を表3に示す。ここに示されるように、発酵槽引き抜き液のエタノール濃度は46.5g/L、発酵液糖濃度は0で、ここまでのエタノール生成量は3429g、生ゴミ糖からのエタノール収率は47.8%であった。
【0091】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、シーケンサー制御によって基質の完全連続供給を行うことが可能であり、フィードストップに伴う発酵の一時的な減衰化によるロスタイムが発生しないため、生産性の低下を招くことがなく、任意のエタノール生産微生物の連続培養発酵が可能である。したがって、バイオエタノールなどエタノールの製造に有用である。
【符号の説明】
【0093】
10 エタノール生産微生物の連続培養発酵装置
11 発酵槽
12 供給手段
13 供給タンク
14 引抜手段
14a ろ液引抜手段
14b 発酵液引抜手段
15 ハーベストタンク
16 濁度センサー
17 濁度制御手段
18 固液分離手段
19 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール生産微生物の連続培養発酵装置であって、
エタノール生産微生物を培養する発酵槽;
該発酵槽に基質液を供給する供給手段;
該発酵槽内の発酵液の量を一定に維持し得るように、該発酵槽から該発酵液を引き抜く引抜手段;
該発酵槽内の該発酵液の濁度を計測する濁度センサーまたは該発酵槽内の該発酵液の微生物濃度を計測する微生物濃度センサー;および
濁度制御手段または微生物濃度制御手段;
を備え、
該引抜手段が、該発酵槽内の該発酵液を固液分離手段に供し、該固液分離手段によって分離されたろ液を引き抜くろ液引抜手段と、該発酵槽内の該発酵液を直接引き抜く発酵液引抜手段とからなり、そして
該濁度制御手段または該微生物濃度制御手段が、該濁度センサーまたは該微生物濃度センサーによる計測値に基づいて、該発酵槽に供給される該基質液と該発酵槽から引き抜かれる該発酵液との流量比をシーケンサー制御によって制御し、それによって該発酵槽内の該エタノール生産微生物の濃度を一定に維持する、装置。
【請求項2】
前記エタノール生産微生物の培養が、嫌気性環境下で行われる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エタノール生産微生物が、酵母またはザイモモナス(Zymomonas)属に属する微生物である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ザイモモナス属に属する微生物が、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記酵母が、アーミング酵母である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記エタノール生産微生物の培養が、好気性環境下で行われる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エタノール生産微生物が、遺伝子組換えによりエタノール生産能力を獲得した、好気性環境下で増殖する大腸菌である、請求項1または6に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記発酵槽に空気を通気し得る通気手段を備える、請求項1、6および7のいずれかの項に記載の装置。
【請求項9】
前記基質液が、生ゴミ糖化液、デンプン糖化液、セルロース糖化液、モラセス、モラセスを含有するデンプン糖化液、とうもろこしデンプン液、米デンプン液、小麦デンプン液、サゴヤシデンプン液、麦わらセルロース液、稲わらセルロース液、および古紙セルロース液からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から8のいずれかの項に記載の装置。
【請求項10】
エタノール生産微生物の連続培養発酵方法であって、
基質液を供給する工程;
エタノール生産微生物を培養する工程;および
該エタノール生産微生物を培養する工程において、発酵液量を一定に維持し得るように、該発酵液を引き抜く工程;
を包含し、
該エタノール生産微生物を培養する工程において、該発酵液の濁度または微生物濃度に基づいて、供給される該基質液と引き抜かれる該発酵液との流量比を制御し、それによって該エタノール生産微生物の濃度を一定に維持し、そして該濁度または該微生物濃度の制御がシーケンサー制御によって行われる、方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかの項に記載の装置を用いて行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、βラクタム系抗生物質を添加する工程を包含する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記βラクタム系抗生物質が、ペニシリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記βラクタム系抗生物質が、前記装置の全部または一部を洗浄する際に添加される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記βラクタム系抗生物質が、前記装置の運転中に添加される、請求項12または13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−92041(P2011−92041A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247396(P2009−247396)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(390006264)関西化学機械製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】