説明

エチレン/α−オレフィンのインターポリマーから製造された接着剤

接着剤組成物は、(i)少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマー、(ii)少なくとも1種の粘着付与剤;および(iii)油または低分子量ポリマーを含む。好ましくは、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7から約3.5のM/M、摂氏温度の少なくとも1つの融点T、グラム/立方センチメートルの密度dを有し、ここで、Tおよびdの数値は、関係:T≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)に相当する。該組成物は、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ホットメルト感圧接着剤および熱可塑性マーキング用塗料に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む接着剤組成物、該組成物を製造する方法、ならびにホットメルト接着剤、感圧接着剤および熱可塑性マーキング用組成物などの用途において該組成物を使用する方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年3月15日に出願された米国特許出願第11/376,957号に関連し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
接着剤は、固体材料(例えば、被着材または基材)を表面付着によって一体に保持することができる物質である。接着剤は、古代から広く使用されている。考古学者は、紀元前4000年に遡るバビロンおよび紀元前1500年から1000年のエジプトで接着剤として使用されていた物質の証拠を見出している。最初の接着剤特許は、英国で1750年頃、魚から作られた膠に対して発行された。その後、特許は、天然ゴム、動物骨、魚、デンプン、乳タンパク質またはミルクカゼインを用いる接着剤に対して発行された。19世紀後半からの合成接着剤の開発は、多くの合成接着剤、例えば、ニトロセルロース、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリシロキサン、ポリクロロプレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリシアノアクリレート、ホットメルト接着剤および感圧接着剤をもたらしている。
【0004】
感圧接着剤(PSA)は一般に、被着材への接着をもたらすために必要な圧力が加えられたとき、被着材に結合する接着性材料である。PSAは、永久的であるかまたは除去可能であり得る。除去可能なPSAは、再配置可能な用途、例えば、ポストイット(Post−it(登録商標))メモなどで広く使用されている。感圧接着剤は一般に、ポリマー、粘着付与剤および油に基づいている。一部の一般的なPSAは、ポリマー、例えば、天然ゴム、合成ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ならびにポリ−アルファ−オレフィンに基づいている。PSAは、溶媒系、水系、またはホットメルト系であり得る。PSAはまた、ホットメルト接着剤であり得る。
【0005】
周囲温度でのホットメルト接着剤は一般に固体材料であり、これは、加熱溶融して、冷却および固化後に被着材または基材を一体に保持することができる。一部の用途において、この接着した基材は、基材が熱に耐え得る場合は、ホットメルト接着剤を再溶融することによって引き離すことができる。ホットメルト接着剤は、紙製品、包装材料、合板パネル、台所調理台、乗物、テープ、ラベル、ならびに特に健康および衛生用途における様々な使い捨て商品、例えば、おむつ、病院用パッド、女性用衛生ナプキン、および外科的ドレープに使用され得る。これらのホットメルト接着剤は一般に、ポリマー、粘着付与剤、およびワックスに基づく。一部の一般的なホットメルト接着剤は、エチレン系半結晶性ポリマー(エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)、スチレンブロックコポリマー(SBC)(スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマーおよびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマーなど)、エチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)、およびポリウレタン反応型接着剤(PUR)を含むポリマー成分に基づく。ホットメルト接着剤の望ましい特性の1つは、液体担体の不在であり、それにより、溶媒除去にかかわる費用のかかる工程をなくすことである。
【0006】
ポリマー、粘着付与剤および場合によって少なくとも1種の充填剤または顔料を含む一部の組成物は、熱可塑性マーキング用組成物として使用され得る。このポリマーは、シラン変性石油樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アタクチックポリプロピレン、カルボキシ変性炭化水素樹脂、エステル変性炭化水素樹脂、ポリオレフィンコポリマー、またはそれらの組合せであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
種々のホットメルト接着剤、感圧接着剤、および道路用塗料の利用性にもかかわらず、改善された特性を有する新たな接着剤組成物に対する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接着剤組成物であって、
(i)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約40重量%の少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンブロックコポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは該コポリマーの総重量に基づいて50モル%を超えるエチレンを含み、
(a)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)(ここで、Tおよびdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する)を有するか、または
(b)約1.7から約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)(ここで、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロを超え、最大130J/gのΔHに対して)、
ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対して)
を有する)を特徴とし、ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であるか;または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的にもたない場合、Reおよびdの数値は以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たすか;または
(d)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分は同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、該比較し得るランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(該ポリマー全体に基づいて)を有するか;または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある)を有するか;または
(f)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分は少なくとも0.5から最大約1のブロックインデックスを有することを特徴とするか;または
(g)ゼロ超から最大約1.0の平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有する];
(ii)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約30重量%から約70重量%の少なくとも1種の粘着付与剤;および
(iii)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約30重量%の油または低分子量ポリマー
を含む接着剤組成物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、本発明の組成物を基材に適用する方法であって、
該組成物を基材に非接触方式のスパイラルスプレーによって約100℃から約150℃の範囲の温度で適用する段階を含む方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、本発明の組成物を基材に適用する方法であって、
該組成物を基材に接触方式のスロットダイコーティングによって約100℃から約150℃の範囲の温度で適用する段階を含む方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、本発明組成物を含む物品を提供する。
【0012】
本発明のさらなる態様ならびに本発明の様々な実施形態の特徴および特性は、以下の説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のランダムコポリマー(円で表す)およびチーグラー−ナッタコポリマー(三角で表す)と比較した本発明ポリマー(ひし形で表す)について、融点/密度の関係を示す図である。
【図2】種々のポリマーについて、デルタDSC−CRYSTAFのプロットをDSC融解エンタルピーの関数として示す図である。ひし形はランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し、四角はポリマー実施例1〜4を表し;三角はポリマー実施例5〜9を表す;円はポリマー実施例10〜19を表す。「X」記号は、ポリマー実施例A〜Fを表す。
【図3】発明インターポリマー(四角および円で表す)および従来のコポリマー(三角で表し、種々のAFFINITY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)である)を含む非配向フィルムについて、弾性回復率に対する密度の影響を示す図である。
【図4】実施例5(円で表す)ならびに比較実施例EおよびF(「X」記号で表す)のポリマーについて、TREF分別エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量対その画分のTREF溶出温度のプロットである。ひし形は、従来のランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】実施例5のポリマー(曲線1)および比較実施例F(曲線2)について、TREF分別エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量対その画分のTREF溶出温度のプロットである。四角は実施例Fを表し、三角は実施例5を表す。
【図6】比較のエチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレンコポリマー(曲線3)ならびに異なる量の可逆的連鎖移動剤で製造された本発明の2種のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)について、温度の関数としての貯蔵弾性率の対数グラフである。
【図7】一部の既知のポリマーと比較した、一部の発明ポリマー(ひし形で表す)について、TMA(1mm)対曲げ弾性率のプロットを示す図である。三角は種々のVERSIFY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)を表し;円は種々のランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;四角は種々のAFFINITY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)を表す。
【図8】DSCピーク融点またはATREFピーク温度の逆関数としてランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーについての自然対数エチレンモル分率のプロットである。黒四角は、ATREFにおけるランダム均一分岐エチレン/α−オレフィンコポリマーから得られたデータ点を表し;白四角は、DSCにおけるランダム均一分岐エチレン/α−オレフィンコポリマーから得られたデータ点を表す。「P」は、エチレンモル分率であり;「T」はKelvin単位の温度である。
【図9】「ブロックインデックス」の定義を例証するためにランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーについてフローリ式に基づいて作図されたプロットである。「A」は、完全ランダムポリマー全体を表し;「B」は、純粋な「ハードセグメント」を表し;「C」は、「A」と同じコモノマー含量を有する完全ブロックコポリマー全体を表す。A、B、およびCは、その中に大部分のTREF画分が入る三角形領域を定義する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的定義
「ポリマー」は、同種または異種にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。「ポリマー」という総称は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」ならびに「インターポリマー」という用語を包含する。
【0015】
「インターポリマー」は、少なくとも2種の異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。「インターポリマー」という総称には、「コポリマー」(これは通常、2種の異なるモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)ならびに「ターポリマー」(これは通常、3種の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語が含まれる。これはまた、4種以上の種類のモノマーを重合させることによって製造されるポリマーを包含する。
【0016】
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は一般に、エチレンおよび3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンは、ポリマー全体の大部分のモル分率を構成する、すなわち、エチレンはポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを構成し、ポリマー全体の実質的な残部は、好ましくは3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンである、少なくとも1種の他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成物は、ポリマー全体の約80モルパーセント超のエチレン含量およびポリマー全体の約10から約15、好ましくは約15から約20モルパーセントのオクテン含量を含む。一部の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーには、低収率もしくは少量でまたは化学工程の副生成物として生成されたものは含まれない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1種または複数のポリマーとブレンドできる一方、生成されたままのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、実質的に純粋であり、しばしば、重合工程の反応生成物の主要な成分を含む。
【0017】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、化学的または物理的特性が異なる2種以上の重合ポリマー単位のマルチブロックまたはセグメントを特徴とする重合形態においてエチレンおよび1種または複数の共重合性α−オレフィンコモノマーを含む。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマーであり、好ましくはマルチブロックインターポリマーまたはコポリマーである。「インターポリマー」および「コポリマー」という用語は、本明細書において同義的に用いられる。一部の実施形態において、マルチブロックコポリマーは、以下の式:
(AB)
(式中、nは、少なくとも1、好ましくは1より大きい整数(例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはより大きい)であり、「A」は、ハードブロックまたはセグメントを表し、「B」は、ソフトブロックまたはセグメントを表す)で表され得る。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐または実質的に星形様式とは対照的に、実質的に線状様式で連結されている。他の実施形態において、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。すなわち、ブロックコポリマーは通常、以下のような構造を有しない。
AAA−AA−BBB−BB
さらに他の実施形態において、ブロックポリマーは通常、異なるコモノマー(複数可)を含む第3の種類のブロックを有しない。さらに他の実施形態において、ブロックAおよびブロックBのそれぞれは、そのブロック内に実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAまたはブロックBのいずれも、異なる組成の2つ以上のサブセグメント(またはサブブロック)、例えば、ブロックの残りと実質的に異なる組成を有するチップセグメントを含まない。
【0018】
マルチブロックポリマーは典型的には、種々の量の「ハード」および「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが一般に、ポリマーの重量に基づいて、約95重量パーセントを超える、好ましくは約98重量パーセントを超える量で存在している重合単位のブロックを指す。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)は、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント未満、好ましくは約2重量パーセント未満である。一部の実施形態において、ハードセグメントは、すべてまたは実質的にすべてのエチレンを含む。一方、「ソフト」セグメントは、コモノマー含量(エチレン以外のモノマー含量)が、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセントを超える、好ましくは約8重量パーセントを超える、約10重量パーセントを超える、または約15重量パーセントを超える重合単位のブロックを指す。一部の実施形態において、ソフトセグメント中のコモノマー含量は、約20重量パーセントを超える、約25重量パーセントを超える、約30重量パーセントを超える、約35重量パーセントを超える、約40重量パーセントを超える、約45重量パーセントを超える、約50重量パーセントを超える、または約60重量パーセントを超え得る。
【0019】
ソフトセグメントはしばしば、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセントから約99重量パーセント、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセントから約95重量パーセント、約10重量パーセントから約90重量パーセント、約15重量パーセントから約85重量パーセント、約20重量パーセントから約80重量パーセント、約25重量パーセントから約75重量パーセント、約30重量パーセントから約70重量パーセント、約35重量パーセントから約65重量パーセント、約40重量パーセントから約60重量パーセント、または約45重量パーセントから約55重量パーセントでブロックポリマー中に存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメント重量パーセントおよびハードセグメント重量パーセントは、DSCまたはNMRから得られるデータに基づいて計算され得る。このような方法および計算は、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名前で、2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡され、「Ethylene/α−Olefin Block Interpolymers」と表題された同時出願米国特許出願第11/376,835号に開示されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
「結晶性」という用語は、用いられる場合、示差走査熱量測定法(DSC)または同等の技術によって決定されたとおりの一次転移または結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は、「半結晶性」という用語と同義的に用いることができる。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定法(DSC)または同等の技術によって決定されたとおりの結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0021】
「マルチブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、好ましくは線状に結合された、2つ以上の化学的に区別できる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダントまたはグラフト様であるよりもむしろ、重合エチレン官能性に関して端と端で結合されている化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。好ましい実施形態において、ブロックは、そこに取り込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶性の量、このような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性(アイソタクチックまたはジンジオタクチック)の種類もしくは程度、位置規則性もしくは位置不規則性、分岐の量(長鎖分岐または高分岐を含む)、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的性質において相違する。マルチブロックコポリマーは、コポリマーを製造する独特の方法による多分散性指数(PDIまたはMw/Mn)、ブロック長の両分布、および/またはブロック数分布の独特の分布を特徴とする。より具体的には、連続法で製造される場合、ポリマーは望ましくは、1.7から2.9、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.8から2.2、最も好ましくは1.8から2.1のPDIを有する。バッチまたは半バッチ法で製造される場合、ポリマーは、1.0から2.9、好ましくは1.3から2.5、より好ましくは1.4から2.0、最も好ましくは1.4から1.8のPDIを有する。
【0022】
以下の説明において、本明細書で開示されるすべての数は、「約」または「おおよそ」という語がそれに関連して用いられるかどうかにかかわらず、近似値である。それらは1パーセント、2パーセント、5パーセント、または時に、10から20パーセントだけ変化し得る。下限Rおよび上限Rを有する数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内に入る任意の数が具体的に開示される。特に、その範囲内の以下の数が、具体的に開示される:R=R+k(R−R)(ここで、kは、1パーセント刻みで1パーセントから100パーセントの範囲の変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...、50パーセント、51パーセント、52パーセント、...、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、または100パーセントである)。さらに、上記で定義されたとおりの2つのR数で規定された任意の数値範囲も具体的に開示される。
【0023】
本発明の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、粘着付与剤樹脂、および油または低分子量ポリマーを含む組成物が提供される。この組成物は、様々な用途、特に、ある種のレベルの接着が必要とされる場合に好適である独特の特性を有する。好適な用途の一部の非限定的な例には、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ホットメルト感圧接着剤、熱可塑性マーキング組成物などが含まれる。好ましくは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1種のソフトブロックおよび少なくとも1種のハードブロックを含むマルチブロックコポリマーである。
【0024】
接着剤組成物は一般に、その組成物を処理しやすいように低溶融粘度を有する。この組成物の溶融粘度は、参照により本明細書に組み込まれるASTM D3236によるように約350°F(177℃)で適当なスピンドルを用いてブルックフィールド粘度計で測定され得る。一部の実施形態において、この組成物は、ASTM D3236によって測定された、約177℃で4,600cPs未満、または177℃で約3,000cPs未満、または177℃で約2,000cPs未満、または177℃で約1,000cPs未満の溶融粘度を有する。
【0025】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態で使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「発明インターポリマー」または「発明ポリマー」ともいう)は、化学的または物理的性質が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロックインターポリマー)、好ましくはマルチブロックコポリマーを特徴とする、重合形態でエチレンおよび1種または複数の共重合性α−オレフィンコモノマーを含む。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下のように記載された1つまたは複数の態様を特徴とする。
【0026】
一態様において、本発明の実施形態で使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7から約3.5のM/Mおよび少なくとも1つの摂氏温度単位の融点T、グラム/立方センチメートル単位の密度dを有し、ここで、これらの変数の数値は、以下の関係に相当する:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、好ましくは、
Tm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、より好ましくは
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
【0027】
このような融点/密度の関係は、図1に示される。その融点が、密度低下とともに低下するエチレン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは違って、本発明インターポリマー(ひし形で表す)は、特に密度が約0.87g/ccから約0.95g/ccである場合、密度と実質的に無関係な融点を示す。例えば、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲にある場合、約110℃から約130℃の範囲である。一部の実施形態において、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲にある場合、約115℃から約125℃の範囲である。
【0028】
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態でエチレンおよび1種または複数のα−オレフィンを含み、示差走査熱量測定法(「DSC」)の最高ピーク温度から結晶化分析分別(「CRYSTAF」)最高ピークの温度を引くと定義された、ΔT(摂氏温度)、および融解熱ΔH(J/g)を特徴とし、ΔTおよびΔHは以下の関係を満たす:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
(最大130J/gのΔHに対して)。さらに、ΔTは、130J/gを超えるΔHに対して48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5%を用いて決定され(すなわち、ピークは累積ポリマーの少なくとも5%に相当しなければならない)、そのポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、ΔHは融解熱(J/g)の数値である。より好ましくは、最大CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10%を含む。図2は、発明ポリマーおよび比較実施例ポリマーについてプロットしたデータを示す。積分ピーク面積およびピーク温度は、この装置メーカーにより供給されるコンピュータ図形作成プログラムによって計算される。ランダムエチレンオクテン比較ポリマーについて示される斜めの線は、等式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0029】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶出分別法(「TREF」)を用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、その画分が、同一温度の間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、この比較し得るランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を含み、このブロックインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較し得るインターポリマーのMw/Mnも、このブロックインターポリマーのものの10パーセント以内であり、および/または比較し得るインターポリマーは、このブロックインターポリマーのものの10パーセント以内の総コモノマー含量を有する。
【0030】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムについて測定された、300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を特徴とし、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合、Reおよびdの数値は、以下の関係:
Re>1481−1629(d);好ましくは、
Re≧1491−1629(d);より好ましくは、
Re≧1501−1629(d);さらにより好ましくは、
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0031】
図3は、ある種の発明インターポリマーおよび従来のランダムコポリマーから製造された非配向フィルムについて弾性回復率に対する密度の効果を示す。同じ密度について、本発明インターポリマーは、実質的により高い弾性回復率を有する。
【0032】
一部の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを超える引張強度、好ましくは≧11MPaの引張強度、より好ましくは≧13MPaの引張強度、および/またはクロスヘッド分離速度11cm/分で少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、さらに好ましくは少なくとも800パーセント、最も好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
【0033】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1から50、好ましくは1から20、より好ましくは1から10の貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃);および/または(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、または40パーセント未満の70℃圧縮歪みから下方に0パーセントの圧縮歪みまでを有する。
【0034】
さらに他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、または50パーセント未満の70℃圧縮歪みを有する。好ましくは、このインターポリマーの70℃圧縮歪みは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントまで低下し得る。
【0035】
一部の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱および/または100ポンド/フィート(4800Pa)以下、好ましくは50ポンド/フィート(2400Pa)以下、特に5ポンド/フィート(240Pa)以下、および0ポンド/フィート(0Pa)程度に低いペレットブロッキング強度を有する。
【0036】
他の実施形態において、エチレン/α−インターポリマーは、重合形態で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満または60パーセント未満、最も好ましくは40から50パーセント未満で、下方にゼロパーセントに近い70℃圧縮歪みを有する。
【0037】
一部の実施形態において、マルチブロックコポリマーは、ポアッソン分布よりはむしろシュルツ−フローリー分布に当てはまるPDIを有する。このコポリマーはさらに、多分散ブロック分布およびブロックサイズの多分散分布の両方を有し、かつブロック長の最もあり得る分布を有すると特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて、4以上のブロックまたはセグメントを含むものである。より好ましくは、このコポリマーは、末端ブロックも含めて、少なくとも5、10または20のブロックまたはセグメントを含む。
【0038】
コモノマー含量は任意の適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。さらに、比較的広いTREF曲線を有するポリマーまたはポリマーのブレンドについて、ポリマーは望ましくは、それぞれがTREFを用いて10℃またはそれ未満の溶出温度範囲を有する画分に最初に分別される。すなわち、それぞれの溶出画分は10℃またはそれ未満の収集温度枠を有する。この技術を用いて、このブロックインターポリマーは、比較し得るインターポリマーの対応する画分より高いコモノマーモル含量を有する、少なくとも1つの画分を有する。
【0039】
別の態様において、本発明ポリマーは、好ましくは、化学的または物理的特性が異なる2種以上の重合モノマー単位の複数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)またはセグメントを特徴とする、重合形態でエチレンおよび1種または複数の共重合性コモノマーを含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックインターポリマーであり、このブロックインターポリマーは、40℃から130℃で溶出する(しかし、個々の画分を収集および/または単離することを伴わない)ピーク(しかし、これは単に分子画分ではない)を有し、このピークは、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡張した場合、赤外分光法により推定されるコモノマー含量を有し、同じ溶出温度でかつ半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡張した比較し得るランダムエチレンインターポリマーのピークのものより高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高い平均コモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、この比較し得るランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、このブロックインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較し得るインターポリマーのMw/Mnも、ブロックインターポリマーのものの10パーセント以内であり、および/または比較し得るインターポリマーは、このブロックインターポリマーのものの10重量パーセント以内の総コモノマー含量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器からのメチル対メチレン応答面積の比[CH/CH]に基づき、ここで、最高(最大)ピークはベースラインから特定され、次いで、FWHM面積は決定される。ATREFピークを用いて測定される分布について、FWHM面積は、TとTの間の曲線下面積として定義され、ここで、TおよびTは、ピーク高さを2で除し、次いで、ATREF曲線の左および右部分と交差する、ベースラインに水平な線を引くことによって、ATREFピークの左および右に対して、決定される点である。コモノマー含量の検量線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用いて、NMRからのコモノマー含量をTREFピークのFWHM面積比に対してプロットして作成される。この赤外法のために、検量線は、目的の同じコモノマー種類について作成される。本発明ポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのそのFWHMメチル:メチレン面積比[CH/CH]を用いてこの検量線を参照することによって決定され得る。
【0040】
コモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。この技術を用いるとき、このブロックインターポリマーは、対応する比較し得るインターポリマーより高いコモノマーモル含量を有する。
【0041】
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンからなるインターポリマーについて、このブロックインターポリマーは、(−0.2013)T+20.07)の量以上、より好ましくは(−0.2013)T+21.07)の量以上の、40℃から130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有し、ここで、Tは、℃単位で測定された、比較されているTREF画分のピーク溶出温度の数値である。
【0042】
図4は、いくつかの比較し得るエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)について、コモノマー含量対TREF溶出温度のプロットが、(−0.2013)T+20.07に相当する線(実線)に当てはまっている、エチレンおよび1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフに示す。式(−0.2013)T+21.07についての線は、点線で示される。本発明のいくつかのエチレン/1−オクテンブロックインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分に対するコモノマー含量も示される。ブロックインターポリマー画分のすべては、同等の溶出温度でのいずれの線よりも有意に高い1−オクテン含量を有する。この結果は、本発明インターポリマーの特徴であり、結晶性および非晶質性の両方の性質を有する、ポリマー鎖内の区別されたブロックの存在のためであると考えられる。
【0043】
図5は、下記で検討される実施例5および比較実施例Fについてのポリマー画分のTREF曲線およびコモノマー含量をグラフで示す。両ポリマーについて、40から130℃、好ましくは60℃から95℃で溶出するピークは、それぞれ、10℃未満の温度範囲にわたって溶出する3つの部分に分別する。実施例5について実際のデータは三角で示す。異なるコモノマーを含有するインターポリマーについて適切な検量線を作成することができ、それが、同じモノマーの比較し得るインターポリマー、好ましくはメタロセンまたは他の均一な触媒組成物を用いて製造されたランダムコポリマーから得られるTREF値と当てはめさせる比較として用いられる線であり得ることが、当業者には理解され得る。発明インターポリマーは、同じTREF溶出温度で検量線から決定された値を超える、好ましくは少なくとも5パーセント超える、より好ましくは少なくとも10パーセント超える、コモノマーモル含量を特徴とする。
【0044】
上記の態様および本明細書で記載される特性に加えて、本発明ポリマーは、1つ以上のさらなる特徴によって特徴付けられ得る。一態様において、本発明ポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは化学的または物理的特性が異なる2種以上の重合モノマー単位のマルチブロックまたはセグメントを特徴とした重合形態で、エチレンおよび1種または複数の共重合性コモノマーを含み(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別した場合に、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、その画分が同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマーの画分のものより高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10、15、20または25パーセント高い、コモノマーモル含量を有し、ここで、この比較し得るランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(複数可)を含み、好ましくは同じコモノマー(複数可)であり、このブロック化インターポリマーのものの10%以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較し得るインターポリマーのMw/Mnも、ブロック化インターポリマーのものの10パーセント以内であり、および/または比較し得るインターポリマーはブロック化インターポリマーのものの10パーセント以内で総コモノマー含量を有する。
【0045】
好ましくは、上記インターポリマーは、エチレンおよび少なくとも1種のα−オレフィンからなるインターポリマーであり、特にこれらのインターポリマーは、約0.855から約0.935g/cmのポリマー全体密度を有し、より特に約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについて、このブロック化インターポリマーは、(−0.1356)T+13.89の量以上、より好ましくは(−0.1356)T+14.93の量以上、最も好ましくは(−0.2013)T+21.07の量以上の、40から130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有し、ここで、Tは、℃単位で測定された、比較されているTREF画分のピークATREF溶出温度の数値である。
【0046】
好ましくは、エチレンおよび少なくとも1種のアルファ−オレフィンの上記インターポリマー、特に、約0.855から約0.935g/cmのポリマー全体密度を有するそれらのインターポリマーについて、より特には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについて、このブロック化インターポリマーは、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは(−0.2013)T+21.07の量以上の、40から130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有し、ここで、Tは℃単位で測定された、比較されているTREF画分のピーク溶出温度の数値である。
【0047】
さらに別の態様において、本発明ポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは化学的または物理的特性が異なる2種以上の重合モノマー単位のマルチブロックまたはセグメントを特徴とした重合形態にエチレンおよび1種または複数の共重合性コモノマーを含み(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別したときに、40から130℃で溶出する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有するすべての画分が約100℃を超える融点を有することを特徴とする。約3モルパーセントから約6モルパーセントのコモノマー含量を有するそれらの画分について、すべての画分は約110℃以上のDSC融点を有する。より好ましくは、このポリマー画分は、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有し、式:
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーモルパーセント)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0048】
さらに別の態様において、本発明ポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、化学的または物理的特性が異なる2種以上の重合モノマー単位のマルチブロックまたはセグメントを特徴とした重合形態でエチレンおよび1種または複数の共重合性コモノマーを含み(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別したときに40℃から130℃で溶出する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶出温度を有するすべての画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶出温度(摂氏温度))−136.58
に相当する、DSCで測定した融解エンタルピー(融解熱)を有することを特徴とする。
【0049】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別したときに40℃から130℃で溶出する分子画分を有し、40℃から約76℃未満のATREF溶出温度を有するすべての画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶出温度(摂氏温度))+22.97
に相当する、DSCで測定した融解エンタルピー(融解熱)を有することを特徴とする。
【0050】
赤外検出器によるATREFピークコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char、Valencia、スペイン(http://www.polymerchar.com/)から入手できるIR4赤外検出器を用いて測定することができる。
【0051】
この検出器の「組成モード」は、2800〜3000cm−1の領域に固定狭帯域赤外フィルターである測定センサー(CH)および組成センサー(CH)を備えている。この測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH)炭素を検出し(これは、溶液中のポリマー濃度に直接関係する)、一方、組成センサーはポリマーのメチル(CH)基を検出する。測定シグナル(CH)で除した組成シグナル(CH)の数学的比は、溶液中の測定ポリマーのコモノマー含量に感受性であり、その応答は既知のエチレンアルファ−オレフィンコポリマー標準物質で較正される。
【0052】
ATREF装置とともに使用される場合の検出器は、TREF過程の間に溶出ポリマーの濃度(CH)および組成(CH)のシグナル応答の両方を与える。ポリマーの具体的な較正は、既知のコモノマー含量(好ましくはNMRで測定された)を有するポリマーについてCH対CHの面積比を測定することによって作成され得る。ポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCHおよびCH応答の面積の比の基準較正(すなわち、面積比CH/CH対コモノマー含量)を適用することによって推定され得る。
【0053】
ピークの面積は、適当なベースラインを適用してTREFクロマトグラフからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて計算され得る。半値全幅計算は、ATREF赤外検出器からのメチル対メチレン応答面積の比[CH/CH]に基づき、ここで、最高(最大)ピークは、ベースラインから特定され、次いで、FWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定された分布について、このFWHM面積は、T1およびT2間の曲線下の面積として定義され、ここでT1およびT2は、ピーク高さを2で除し、次いで、ATREF曲線の左および右部分と交差する線をベースラインに対して水平に引くことによって、ATREFピークの左および右に対して決定される点である。
【0054】
このATREF赤外法でのポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外分光法の利用は、原理上、以下の参考文献に記載されたとおりのGPC/FTIR系のものと同じである:Markovich,Ronald P.;Hazlitt,Lonnie G.;Smith,Linley;「Development of gel−permeation chromatography−Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene−based polyolefin copolymers」、Polymeric Materials Science and Engineering(1991年)、65巻、98〜100頁;およびDeslauriers,P.J.;Rohlfing,D.C.;Shieh,E.T.;「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene−1−olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy(SEC−FTIR)」、Polymer(2002年)、43巻、59〜170頁(これらの両方はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0055】
他の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、平均ブロックインデックス(ABI)(これは、ゼロより大きく最大約1.0である)および約1.3を超える分子量分布(M/M)を特徴とする。平均ブロックインデックス(ABI)は、5℃刻みで20℃から110℃の分取TREFで得られるそれぞれのポリマー画分に対するブロックインデックス(「BI」)の重量平均である:
ABI=Σ(wBI
(式中、BIは、分取TREFで得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分に対するブロックインデックスであり、wは、そのi番目の画分の重量パーセントである)。
【0056】
それぞれのポリマー画分について、BIは、2つの以下の式(これらの両方が同じBI値を与える)の1つで定義される:
【0057】
【数1】

(式中、Tはi番目の画分に対する分取ATREF溶出温度(好ましくはケルビンで表された)であり、Pはi番目の画分に対するエチレンモル分率であり、これは上記のとおりNMRまたはIRで測定され得る)。PABは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体(分別前)のエチレンモル分率であり、これもNMRまたはIRで測定され得る。TおよびPは、ATREF溶出温度および純粋な「ハードセグメント」(これは、インターポリマーの結晶セグメントを指す)に対するエチレンモル分率である。「ハードセグメント」に対する実際の値が得られない場合、一次近似として、TおよびP値は、高密度ポリエチレンホモポリマーに対するものに設定される。本明細書で行われる計算について、Tは372°Kであり、Pは1である。
【0058】
ABは、同じ組成の、PABのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABは、以下の式:
LnPAB=α/TAB+β
から計算することができ、
【0059】
ここで、αおよびβは、いくつかの既知のランダムエチレンコポリマーを用いて較正によって決定され得る2つの定数である。αおよびβは、装置ごとに変わり得ることが留意されるべきである。さらに、目的のポリマー組成により、およびまた画分として同様の分子量範囲においてそれら自体の検量線を作成することが必要である。若干の分子量効果が存在する。検量線が同様の分子量範囲から得られる場合、このような効果は実質的に無視できる。一部の実施形態において、ランダムエチレンコポリマーは以下の関係:
LnP=−237.83/TATREF+0.639
を満たす。Txoは、同じ組成の、かつPのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREFの温度である。Txoは、LnP=α/Txo+βから計算され得る。逆に、Pxoは、同じ組成の、かつTのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、これは、LnPxo=α/T+βから計算され得る。
【0060】
それぞれの分取TREF画分についてブロックインデックス(BI)がいったん得られると、そのポリマー全体について重量平均ブロックインデックス(ABI)が計算され得る。一部の実施形態において、ABIはゼロを超えるが約0.3未満、または約0.1から約0.3である。他の実施形態において、ABIは約0.3を超え最大約1.0である。好ましくは、ABIは、約0.4から約0.7、約0.5から約0.7、または約0.6から約0.9の範囲でなければならない。一部の実施形態において、ABIは、約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、または約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5、または約0.3から約0.4の範囲である。他の実施形態において、ABIは、約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、または約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0、または約0.9から約1.0の範囲である。
【0061】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー画分を含むことであり、ここでこの画分は約0.1を超え最大約1.0のブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mを有する。一部の実施形態において、このポリマー画分は、約0.6を超え最大約1.0、約0.7を超え最大約1.0、約0.8を超え最大約1.0、または約0.9を超え最大約1.0のブロックインデックスを有する。他の実施形態において、このポリマー画分は、約0.1を超え最大約1.0、約0.2を超え最大約1.0、約0.3を超え最大約1.0、約0.4を超え最大約1.0、または約0.4を超え最大約1.0のブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態において、このポリマー画分は、約0.1を超え最大約0.5、約0.2を超え最大約0.5、0.3を超え最大約0.5、または約0.4を超え最大約0.5のブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態において、このポリマー画分は、約0.2を超え最大約0.9、約0.3を超え最大約0.8、約0.4を超え最大約0.7、または約0.5を超え最大約0.6のブロックインデックスを有する。
【0062】
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについて、本発明ポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、または少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6から、最大値5.0、より好ましくは最大値3.5、特に最大2.7までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満のガラス転移温度Tg、および/または(5)1つでかつ唯一のTを有する。
【0063】
さらに、本発明ポリマーは、単独でまたは本明細書で開示される任意の他の特性と組み合わせて、100℃の温度でlog(G’)が400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を有し得る。さらに、本発明ポリマーは、ブロックコポリマーの特徴であり、かつオレフィンコポリマー、特にエチレンおよび1種または複数のC3〜8脂肪族α−オレフィンのコポリマーについてこれまで知られていない、0から100℃の範囲の温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率を有する(図6に示す)。(本文脈において「比較的平坦」という用語によって、logG’(パスカル)が50から100℃、好ましくは0から100℃で、1オーダー未満で減少することが意味される)。
【0064】
本発明インターポリマーはさらに、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械分析針入度および3kpsi(20MPa)から13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率を特徴とし得る。あるいは、本発明インターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械分析針入度および少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有する。それらは、90mm未満の耐磨耗性(または容積減少)を有すると特徴付けすることができる。図7は、他の既知のポリマーと比較して、本発明ポリマーについてTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明ポリマーは、他のポリマーより著しく良好な可撓性−耐熱性バランスを有する。
【0065】
さらに、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01から2000g/10分、好ましくは0.01から1000g/10分、より好ましくは0.01から500g/10分、特に0.01から100g/10分のメルトインデックスIを有し得る。ある種の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01から10g/10分、0.5から50g/10分、1から30g/10分、1から6g/10分または0.3から10g/10分のメルトインデックスIを有する。ある種の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーに対するメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分または5g/10分である。
【0066】
このポリマーは、約1,000g/モルから5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モルから1,000,000、より好ましくは10,000g/モルから500,000g/モル、特に10,000g/モルから300,000g/モルの分子量Mwを有し得る。本発明ポリマーの密度は、0.80から0.99g/cm、好ましくはエチレン含有ポリマーについて0.85g/cmから0.97g/cmであり得る。ある種の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860から0.925g/cmまたは0.867から0.910g/cmの範囲である。
【0067】
このポリマーを製造する方法は、以下の特許出願および公開に開示されている:2004年3月17日に出願された米国仮出願第60/553,906号;2005年3月17日に出願された米国仮出願第60/662,937号;2005年3月17日に出願された米国仮出願第60/662,939号;2005年3月17日に出願された米国仮出願第60/5662938号;2005年3月17日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/008916号;2005年3月17日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/008915号;2005年3月17日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/008917号;2005年9月29日に公開されたPCT公開第WO2005/090425号;2005年9月29日に公開されたPCT公開第WO2005/090426号;および2005年9月29日に公開されたPCT公開第WO2005/090427号(これらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、このような方法の1つは、付加重合条件下で、エチレンおよび場合によってエチレン以外の1種または複数の付加重合性モノマーを、
a.高いコモノマー組込み指数を有する第1のオレフィン重合触媒、
b.触媒(A)のコモノマー組込み指数の90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組込み指数を有する第2のオレフィン重合触媒、および
c.可逆的連鎖移動剤
を含むことから生じる混合物または反応生成物を含む触媒組成物と接触させる段階を含む。代表的な触媒および可逆的連鎖移動剤は、以下のとおりである。
【0068】
触媒(A1)は、国際公開第03/40195号、2003US0204017、2003年5月2日に出願された米国特許出願第10/429,024号、および国際公開第04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0069】
【化1】

【0070】
触媒(A2)は、国際公開第03/40195号、2003US0204017号、2003年5月2日に出願された米国特許出願第10/429,024号、および国際公開第04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0071】
【化2】

【0072】
触媒(A3)は、ビス[N,N”’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【0073】
【化3】

【0074】
触媒(A4)は、実質的にUS−A−2004/0010103の教示に従って調製された、ビス(2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【0075】
【化4】

【0076】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0077】
【化5】

【0078】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0079】
【化6】

【0080】
触媒(C1)は、実質的に米国特許第6,268,444号の教示に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【0081】
【化7】

【0082】
触媒(C2)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【0083】
【化8】

【0084】
触媒(C3)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【0085】
【化9】

【0086】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手できるビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロリドである。
【0087】
【化10】

【0088】
可逆的移動剤 用いられる可逆移動剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0089】
好ましくは、前述の方法は、相互交換の能力がない複合触媒を用いて、ブロックコポリマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは(2種以上のモノマー、より特にエチレンおよびC3〜20オレフィンまたはシクロオレフィン、最も特にエチレンおよびC4〜20α−オレフィン)の線状マルチブロックコポリマーを形成するための連続溶液法の形態をとる。すなわち、触媒は化学的に別個である。連続溶液重合条件下で、この方法は、モノマーの混合物の高いモノマー転化率での重合に理想的に適している。これらの重合条件下で、可逆的連鎖移動剤から触媒への可逆的移動は連鎖成長に比べて有利となり、マルチブロックコポリマー、特に線状マルチブロックコポリマーが高効率で形成される。
【0090】
本発明インターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、および連続モノマー付加、流動触媒、アニオン性またはカチオン性リビング重合技術によって調製されたブロックコポリマーと区別され得る。特に、等しい結晶化度または弾性率で同じモノマーおよびモノマー含量のランダムコポリマーと比べて、本発明インターポリマーは、融点で測定してより良い(より高い)耐熱性、より高いTMA針入温度、より高温の引張強度、および/または動的機械分析で決定して、より高温のねじれ貯蔵弾性率を有する。同じモノマーおよびモノマー含量を含むランダムコポリマーと比べて、本発明インターポリマーは、特に高温でのより低い圧縮歪み、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度によるより速いセットアップ、より高い回復率(特に高温での)、より良い耐磨耗性、より高い収縮力、ならびにより良い油およびフィラーの受容性を有する。
【0091】
本発明インターポリマーは、結晶化と分岐分布との独特の関係も示す。すなわち、本発明インターポリマーは、特に、同じモノマーおよびモノマー水準を含むランダムコポリマー、または等しい全体密度での、例えば、高密度ポリマーと低密度コポリマーとのブレンドなどのポリマーの物理的ブレンドと比較して、融解熱の関数としてCRYSTAFおよびDSCを用いて測定した最高ピーク温度間で比較的大きい差を有する。これは、本発明インターポリマーのこの独特の特徴が、ポリマー骨格内のブロック中のコモノマーの独特の分布によることと考えられる。特に、本発明インターポリマーは、異なるコモノマー含量の交互のブロック(ホモポリマーのブロックを含む)を含み得る。本発明インターポリマーは、異なる密度またはコモノマー含量のポリマーブロックの数および/またはブロックサイズにおける分布も含み得、これは、シュルツ−フローリー型の分布である。さらに、本発明インターポリマーは、ポリマー密度、弾性率、および形態学に実質的に無関係である独特のピーク融点および結晶化温度プロファイルも有する。好ましい実施形態において、このポリマーの微結晶秩序は、1.7未満、またはさらに1.5未満、1.3未満までに至るPDI値においてさえも、ランダムまたはブロックコポリマーから区別できる特徴的な球晶およびラメラを示す。
【0092】
さらに、本発明インターポリマーは、ブロッキネスの程度またはレベルに影響する技術を用いて調製され得る。これは、触媒および可逆的移動剤の比および種類ならびに重合の温度、および他の重合変数を調節することによって変更され得る、コモノマーの量およびそれぞれのポリマーブロックまたはセグメントの長さである。この現象の驚くべき利点は、ブロッキネスの程度が増加すると、得られるポリマーの光学特性、引裂強度、および高温回復率の特性が向上するという発見である。特に、ポリマー中のブロックの平均数が増加すると、ヘイズは、減少するが、透明度、引裂強度、および高温回復率の特性は増加する。所望の連鎖移動能力(低レベルの連鎖停止を伴う高率の可逆的移動)を有する可逆的移動剤と触媒との組合せを選択することによって、ポリマー停止の他の形態は効果的に抑制される。したがって、本発明の実施形態によれば、エチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合において、あるとしても少しのβ−ヒドリド脱離しか見られず、得られる結晶性ブロックは、高度に、または実質的に完全に線状であり、長鎖分岐は少ししかまたはまったく有しない。
【0093】
高度に結晶性の鎖末端を有するポリマーは、本発明の実施形態によって選択的に調製され得る。エラストマー用途において、非晶質ブロックで停止するポリマーの相対量を減少させると、結晶領域に対する分子間の希釈効果を減少させる。この結果は、水素または他の連鎖停止剤に対する適切な応答を有する可逆的連鎖移動剤および触媒を選択することによって得ることができる。特に、高度に結晶性のポリマーを生じる触媒が、より少ない結晶性ポリマーセグメントを生じる(例えば、より高いコモノマー取り込み、位置誤り、またはアタクチックポリマー形成によって)ことに関与する触媒よりも連鎖停止(例えば、水素の使用による)をより受けやすい場合、高度に結晶性のポリマーセグメントがポリマーの末端部分を優先的に占める。得られる終結基が結晶性であるだけでなく、終結後に、触媒部位を形成する高度に結晶性のポリマーは再度、ポリマー形成の再開始のために利用できる。したがって、当初形成されるポリマーは、別の高度に結晶性のポリマーセグメントである。したがって、得られるマルチブロックコポリマーの両末端は優先的に高度に結晶性である。
【0094】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィンインターポリマーは好ましくは、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンとC〜C20α−オレフィンとのコポリマーが特に好ましい。このインターポリマーは、C〜C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含んでもよい。エチレンとの重合に有用な好適な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが含まれる。このようなコモノマーの例には、C〜C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが含まれる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の好適なモノマーには、スチレン、ハロ−またはアルキル−置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、およびナフテン酸(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が含まれる。
【0095】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーも用いられ得る。本明細書で用いられるようなオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素系化合物のファミリーを指す。触媒の選択に依存して、任意のオレフィンが本発明の実施形態において用いられ得る。好ましくは、好適なオレフィンは、ビニル不飽和を有するC〜C20脂肪族および芳香族化合物、ならびに環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、およびノルボルネン(C〜C20ヒドロカルビルまたはシクロヒドロカルビル基で5および6位において置換されたノルボルネンを含むが、これらに限定されない)である。このようなオレフィンの混合物、およびC〜C40ジオレフィン化合物を有するこのようなオレフィンの混合物も含まれる。
【0096】
オレフィンモノマーの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリジエンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C〜C40ジエン(1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンを含むがこれらに限定されない)、他のC〜C40α−オレフィンなどが含まれるが、これらに限定されない。ある種の実施形態において、α−オレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはそれらの組合せである。ビニル基を有する任意の炭化水素が本発明の実施形態で使用され得るが、モノマーの分子量があまりに高くなると、モノマー利用性、費用、得られたポリマーからの未反応モノマーを都合よく除く能力などの実務上の問題がより厄介となる。
【0097】
本明細書で記載される重合方法は、モノビニリデン芳香族モノマー(スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含む)を含むオレフィンポリマーの製造に適切である。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーは、本明細書での教示に従うことによって調製され得る。場合によって、改良された特性を有する、エチレン、スチレンおよびC〜C20アルファオレフィンを含み、C〜C20ジエンを場合によって含むコポリマーが調製され得る。
【0098】
好適な非共役ジエンモノマーは、6から15個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素ジエンであり得る。好適な非共役ジエンの例には、直鎖非環式ジエン(1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなど)、分岐鎖非環式ジエン(5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンならびにジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体など)、単環脂環式ジエン(1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエンなど)、および多環脂環式縮合および架橋環ジエン(テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン(5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなど)、およびノルボルナジエンが含まれるが、これらに限定されない。EPDMを調製するために通常用いられるジエンの中で、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0099】
本発明の実施形態に従って製造され得る望ましいポリマーの1つのクラスは、エチレン、C〜C20α−オレフィン、特にプロピレン、および場合によって1種または複数のジエンモノマーのエラストマー性インターポリマーである。本発明のこの実施形態における使用のための好ましいα−オレフィンは、式CH=CHR(式中、Rは、1から12個の炭素原子からなる線状または分岐のアルキル基である)で示される。好適なα−オレフィンの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系ポリマーは一般に、当技術分野においてEPまたはEPDMポリマーと称される。このようなポリマー、特にマルチブロックEPDM型ポリマーを調製する際の使用のための好適なジエンには、4から20個の炭素を含む、共役または非共役、直鎖または分岐鎖の環式または多環式ジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0100】
ポリマーを含むジエンは、ジエン(無しを含む)およびα−オレフィン(無しを含む)のより多いまたはより少ない量を含む交互のセグメントまたはブロックを含むので、ジエンおよびα−オレフィンの総量はその後のポリマー特性を失うことなく減少させられ得る。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンモノマーは、ポリマー全体に均一またはランダムにというよりはむしろポリマーのブロックの1つの種類中に優先的に取り込まれるので、それらはより高率的に利用され、その結果、ポリマーの架橋密度はより良好に制御され得る。このような架橋性エラストマーおよびその硬化生成物は、より高い引張強度およびより良い弾性回復率を含めて、有利な特性を有する。
【0101】
一部の実施形態において、異なる量のコモノマーを取り込む2種類の触媒で製造された本発明インターポリマーは、それにより形成されたブロックの重量比95:5から5:95を有する。このエラストマー性ポリマーは望ましくは、ポリマーの総重量に基づいて、20から90パーセントのエチレン含量、0.1から10パーセントのジエン含量、および10から80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、このマルチブロックエラストマー性ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、60から90パーセントのエチレン含量、0.1から10パーセントのジエン含量、および10から40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、10,000から約2,500,000、好ましくは20,000から500,000、より好ましくは20,000から350,000の重量平均分子量(Mw)、3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性、および1から250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。より好ましくは、このようなポリマーは、65から75パーセントのエチレン含量、0から6パーセントのジエン含量、および20から35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0102】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのポリマー構造に少なくとも1個の官能基を取り込むことによって官能基化され得る。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和の単および二官能カルボン酸、エチレン性不飽和の単および二官能無水カルボン酸、それらの塩ならびにそれらのエステルが含まれ得る。このような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフト化され得るか、またはエチレンおよび場合によるさらなるコモノマーと共重合させて、エチレン、官能性コモノマーおよび場合によって他のコモノマー(複数可)のインターポリマーを形成し得る。ポリエチレン上に官能基をグラフトする手段は、例えば、米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号、および同第4,950,541号に記載されており、これらの特許の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。1つの特に有用な官能基は、無水リンゴ酸である。
【0103】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は変わり得る。官能基は通常、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量でコポリマー型官能基化インターポリマー中に存在し得る。官能基は通常、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量でコポリマー型官能基化インターポリマー中に存在する。
【0104】
他の成分
この組成物は、粘度、接着性、保存寿命、安定度および費用を改善および/または制御するために、インターポリマーに加えて、少なくとも2種の他の成分を含み得る。特に、この組成物は、インターポリマーに加えて、粘着付与剤および油または低分子量ポリマーを含む。さらなる成分の非限定的な例には、ワックス、酸化防止剤、UV安定剤、着色剤または顔料、充填剤、流動補助剤、カップリング剤、架橋剤、表面活性剤、溶剤、およびそれらの組合せが含まれる。接着性組成物のための一部の成分は、米国特許第5,750,623号および同第5,143,968号に記載されており、これらの両方は参照により本明細書に組み込まれ、これらのすべては、修正とともにまたは修正なしに本発明の実施形態で用いられ得る。
【0105】
この組成物の粘着付与剤は、粘弾性特性(例えば、貯蔵弾性率、粘性率、タンデルタ)、レオロジー特性(例えば、粘性)、粘着性(すなわち、粘着する能力)、感圧性、および湿潤特性などの組成物の特性を変性し得る。一部の実施形態において、粘着付与剤がこの組成物の粘着性を向上させるために使用される。他の実施形態において、粘着付与剤がこの組成物の粘性を減少させるために使用される。好ましくは、粘着付与剤は、この組成物を感圧接着剤にさせるために使用される。一部の実施形態において、粘着付与剤は、接着表面を水に浸すおよび/または接着表面への接着性を向上させるために使用される。
【0106】
当業者に知られている任意の粘着付与剤が、本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。本明細書で開示される組成物に適切な粘着付与剤は、室温で固体、半固体、または液体であり得る。粘着付与剤の非限定的な例には、(1)天然および変性ロジン(例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、および重合ロジン);(2)天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリロールエステル(例えば、ペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル);(3)天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー(例えば、スチレン/テルペンおよびアルファメチルスチレン/テルペン);(4)ポリテルペン樹脂および水素化ポリテルペン樹脂;(5)フェノール変性テルペン樹脂およびその水素化誘導体(例えば、酸性媒体中、二環式テルペンとフェノールとの縮合から得られる樹脂生成物);(6)脂肪族またはシクロ脂肪族炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体(例えば、オレフィンとジオレフィンとから主としてなるモノマーの重合から得られる樹脂);(7)芳香族炭化水素樹脂およびその水素化誘導体;(8)芳香族変性脂肪族またはシクロ脂肪族炭化水素樹脂およびその水素化誘導体;ならびにそれらの組合せが含まれる。この組成物における粘着付与剤の量は、組成物の総重量の約5から約70重量%、約10から約65重量%、または約15から約60重量%であり得る。
【0107】
他の実施形態において、粘着剤付与剤には、ロジン系粘着付与剤(例えば、Arizona Chemical(Jacksonville、FL)製AQUATAC(登録商標)9027、AQUATAC(登録商標)4188、SYLVALITE(登録商標)、SYLVATAC(登録商標)およびSYLVAGUM(登録商標)ロジンエステル)が含まれる。他の実施形態において、粘着付与剤には、ポリテルペンまたはテルペン樹脂(例えば、Arizona Chemical(Jacksonville、FL)製SYLVARES(登録商標)テルペン樹脂)が含まれる。他の実施形態において、粘着付与剤には、オレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から得られる樹脂などの脂肪族炭化水素樹脂(例えば、ExxonMobil Chemical Company(Houston、Tex.)製ESCOREZ(登録商標)1310LC、ESCOREZ(登録商標)2596またはEastman Chemical Company(Kingsport、Tenn.)製PICCOTAC(登録商標)1095)およびそれらの水素化誘導体;脂環式石油炭化水素樹脂およびその水素化誘導体(例えば、ExxonMobil Chemical Company製ESCOREZ(登録商標)5300および5400シリーズ;Eastman Chemical Company製EASTOTAC(登録商標)樹脂)が含まれる。一部の実施形態において、粘着付与剤には、水素化環状炭化水素樹脂(例えば、Eastman Chemical Company製REGALREZ(登録商標)およびREGALITE(登録商標))が含まれる。さらなる実施形態において、粘着付与剤は、芳香族化合物(例えば、ExxonMobil Chemical Company製ESCOREZ(登録商標)2596またはEastman Chemical Company製PICCOTAC(登録商標)7590)および低軟化点樹脂(例えば、Arizona Chemical(Jacksville、FL)製AQUATAC5527)を含む粘着付与剤変性剤で変性される。一部の実施形態において、粘着付与剤は、少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素樹脂である。他の実施形態において、粘着付与剤は、80℃以上のRing and Ball(R&B)軟化点を有する。Ring and Ball(R&B)軟化点は、ASTM E28に記載された方法によって測定することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
一部の実施形態において、本明細書に開示された組成物における粘着付与剤の性能特性は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーとのその相溶性に直接関係し得る。好ましくは、所望の接着特性を有する組成物は、このインターポリマーと相溶性である粘着付与剤を用いて得られ得る。例えば、相溶性粘着付与剤がインターポリマーに妥当な濃度で添加される場合、所望の粘着特性を生じさせ得る。非相溶性粘着付与剤は、所望の粘着特性を生じ得ないが、それらは他の所望の特性に影響を与えるために使用され得る。例えば、この組成物の特性は、粘着レベルを減少させおよび/または結合強度特性を増加させるために限定された相溶性を有する粘着付与剤の添加によって微調整され得る。
【0109】
さらに、本明細書で開示される組成物は、粘度を減少させおよび/または粘着特性を向上させ得る可塑剤または可塑油もしくはエキステンダー油を含む。当業者に知られている任意の可塑剤が、本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。可塑剤の非限定的な例には、オレフィンオリゴマー、低分子量ポリオレフィン(液体ポリブテンなど)、低分子量非芳香族ポリマー(例えば、Eastman Chemical Company製REGALREZ(登録商標)1018)、フタレート、鉱油(ナフテン油、パラフィン油、または硬化(ホワイト)油(例えば、Kaydol油またはParaLux(商標)油(Chevron U.S.A.Inc.)など)、植物油および動物油とそれらの誘導体、石油誘導油、ならびにそれらの組合せが含まれる。低分子量ポリオレフィンには、100程度に低いMwを有するもの、特に、約100から3000の範囲、約250から約2000の範囲および約300から約1000の範囲のものが含まれる。パラフィン油が特に好ましい。一部の実施形態において、可塑剤には、ポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、ポリピペリレンおよびピペリレンとイソプレンとのコポリマー、ならびに約350から約10,000の平均分子量を有する同様のものが含まれる。他の実施形態において、可塑剤には、通常の脂肪酸のグリセリルエステルおよびその重合生成物が含まれる。
【0110】
一部の実施形態において、好適な不溶性可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート;ポリエチレングリコール400−ジ−2−エチルヘキソエート;2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート;ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、種々の置換シトレート、およびグリセレートを含む群から選択され得る。好適なジプロピレングリコールジベンゾエートおよびペントエリトリトールテトラベンゾエートは、それぞれ、「Benzoflex9−88およびS−552」の商標名の下でVelsicol Chemical Company(Chicago、Ill.)から購入することができる。さらに、好適なポリエチレングリコール400−ジ−2−エチルヘキソエートは、「Tegmer809」の商標名の下でC.P.Hall Company(Chicago、Ill.)から購入することができる。好適な2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、およびブチルベンジルフタレートは、それぞれ、「Santicizer141および160」の商標名の下でMonsanto Industrial Chemical Company(St.Louis、Mo.)から購入することができる。Benzoflexが接着剤組成物において可塑剤として使用される場合、それはおむつコア安定化接着剤においてその結晶化を遅らせ得、これは、おむつおよび成人失禁のより薄いコアを安定化させるために使用される。
【0111】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、コストを低減することに加えて溶融粘度を低下させ得るワックスを場合によって含み得る。当業者に知られている任意のワックスが本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。好適なワックスの非限定的な例には、石油ワックス、ポリオレフィンワックス(低分子量ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、合成ワックス、約55から約110℃の融点を有するパラフィンおよび微結晶ワックス、フィッシャー−トロプシュワックスならびにそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態において、ワックスは約400から約6,000g/モルの数平均分子量を有する低分子量ポリエチレンホモポリマーまたはインターポリマーである。特に、このような平均分子量を有する本発明インターポリマーは、ポリマー成分として用いられているより高い分子量の発明ポリマーに加えて、ワックスとして使用され得る。使用される場合、本組成物中のワックスの量は、本組成物の総重量の0超から約50重量%、約10から約45重量%、または約25から約40重量%であり得る。
【0112】
一部の実施形態において、粘着付与剤対エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーの比は、約3.2:1から約10:1、好ましくは約3.5:1から約8:1、およびより好ましくは約4.0:1から約6.0:1の範囲である。さらに、この油または低分子量ポリマー対エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーの比は、約1.2:1から約3.0:1、好ましくは約1.3:1から約2.5:1の範囲、より好ましくは約1.5:1から約2.0:1の範囲の量であり得る。
【0113】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、酸化防止剤または安定剤を場合によって含み得る。当業者に知られている任意の酸化防止剤が、本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。好適な酸化防止剤の非限定的な例は、アミン系酸化防止剤(アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルまたはアラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミンなど);ヒンダードフェノール化合物(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、Ciba Geigy(New York)製IRGANOX(商標));オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート(例えば、Ciba Geigyから市販されているIRGANOX(商標)1076)およびそれらの組合せが含まれる。使用される場合、組成物中の酸化防止剤の量は、組成物の総重量の0超から約1重量%、約0.05から約0.75重量%、または約0.1から約0.5重量%であり得る。
【0114】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、UV放射による組成物の劣化を防止または減少させ得るUV安定剤を場合によって含み得る。当業者に知られている任意のUV安定剤は、本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。好適なUV安定剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジンカーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケルクエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール酸化防止剤、金属塩、亜鉛化合物およびそれらの組合せが含まれる。使用される場合、組成物中のUV安定剤の量は、組成物の総重量の0超から約1重量%、約0.05から約0.75重量%、または約0.1から約0.5重量%であり得る。
【0115】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、着色剤または顔料を場合によって含み得る。当業者に知られている任意の着色剤または顔料が、本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。好適な着色剤または顔料の非限定的な例には、無機顔料(二酸化チタンおよびカーボンブラックなど)、フタロシアニン顔料、および他の有機顔料(IRGAZIN(登録商標)、CROMOPHTAL(登録商標)、MONASTRAL(登録商標)、CINQUASIA(登録商標)、IRGALITE(登録商標)、ORASOL(登録商標)など、これらのすべてがCiba Specialty Chemicals(Tarrytown、NY)から入手できる)が含まれる。使用される場合、組成物中の着色剤または顔料の量は、組成物の総重量の0超から約10重量%、約0.1から約5重量%、または約0.5から約2重量%であり得る。
【0116】
本明細書で開示される組成物はまた、芳香剤(香料または他の着臭剤など)を場合によって含み得る。このような芳香剤は、例えば、組成物からの放出ライナーの除去後に芳香を放出し得るマクロカプセルなどの放出剤に含まれ得る。
【0117】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、充填剤を場合によって含み得る。当業者に知られている任意の充填剤が本明細書で開示される接着剤組成物に使用され得る。好適な充填剤の非限定的な例には、砂、タルク、ドロマイト、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、フェルドスパー、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水酸化アルミナ、ガラスビーズ、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、バライト、木粉、およびそれらの組合せが含まれる。使用される場合、組成物中の充填剤の量は、組成物の総重量の約0超から約60重量%、約1から約50重量%、または約5から約40重量%であり得る。
【0118】
本組成物を処方する際、特に溶融状態で、添加剤がエチレン/α−オレフィンインターポリマーから相分離しないように、それぞれの添加剤が本明細書で開示されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーと相溶性であることが好ましい。一般に、添加剤とエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの相溶性が増加すると、ヒルデブランド溶解度パラメータなどのそれらの溶解度パラメータ間の差が減少する。一部のヒルデブランド溶解度パラメータは、溶媒について、Barton,A.F.M.、Handbook of Solubility and Other Cohesion Parameters、第2版、CRC Press、Boca Raton、FL(1991年);モノマーおよび代表的ポリマーについて、Polymer Handbook、第3版、J.Brandrup & E.H.Immergut編、John Wiley、NY、519〜557頁(1989年);および多くの市販のポリマーについて、Barton,A.F.M.、Handbook of Polymer−Liquid Interaction Parameters and Solubility Parameters、CRC Press、Boca Raton、FL(1990年)に表化されており、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。コポリマーのヒルデブランド溶解度パラメータは、Barton,A.F.M.、Handbook of Solubility and Other Cohesion Parameters、CRC Press、Boca Raton、12頁(1990年)に二元コポリマーについて記載されたように、コポリマーを構成するそれぞれのモノマーの個々のヒルデブランド溶解度パラメータの容量分率重み付けを用いて計算され得る。ポリマー材料のヒルデブランド溶解度パラメータの大きさもBarton、446〜448頁に記されたように、ポリマーの分子量に弱く依存していることが知られている。したがって、所与のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに対して好ましい分子量範囲が存在し、接着強度は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの分子量または粘着付与剤などの添加剤を操作することによってさらに制御され得る。一部の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、粘着付与剤、可塑剤または油、およびワックスなどの添加剤との間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は、0超から約10MPa1/2、約0.1から約5MPa1/2、約0.5から約4.0MPa1/2、または約1から約3.0MPa1/2の範囲に入る。
【0119】
添加剤とエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの相溶性は、曇り点測定および動的機械分析によって決定することもできる。曇り点温度は、成分が透明液相から固相に冷却するとき、それが固化し始めるまたは「曇る」温度である。例えば、ワックスについて、曇り点は通常、そのワックスの融点に近似している。一般に、曇り点温度が低いほど、相溶性は高くなる。曇り点測定は、National Distillers and Chemical Corporationによる「Adhesives and Coatings Manual」(1983年)に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
動的機械分析(DMA)は、添加剤とエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの相溶性特性を特定するための別の技術であり得る。一次ガラス転移温度(Tg)を有する粘着付与剤などの添加剤が、二次Tgを有するエチレン/α−オレフィンインターポリマーと相溶性である場合、DMAは一般に、1つの単独のガラス転移域を示すが、二次Tgは、一次Tgの寄与により異なる温度にシフトする。これは、粘着付与剤とエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの親密な混合(溶解)を示す。非相溶性の場合、DMAは、粘着付与剤およびエチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれぞれに対する別々の相転移を検出し得る。
【0121】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物の調製
一部の実施形態において、本明細書で開示される組成物は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、粘着付与剤、可塑剤および任意選択の他の添加剤を含む接着剤組成物である。エチレン/α−オレフィンインターポリマーと添加剤とをブレンドすることは、添加剤の成分の実質的に均一な分布をもたらし得る任意の知られている方法によって行われ得る。本組成物の成分は、当業者に知られている方法を用いてブレンドされ得る。好適なブレンド方法の非限定的な例には、溶融ブレンド、溶媒ブレンドなどが含まれる。
【0122】
一部の実施形態において、本組成物の成分は、米国特許第4,152,189号においてGuerinらによって記載されたような方法によって溶融ブレンドされる。すなわち、すべての溶媒は(使用される場合)、約5トールから約10トールの圧力で約100℃から約200℃または約150℃から約175℃の適当な高温に加熱することによって成分から除去される。次いで、これらの成分は、所望の割合で容器中に秤量される。次いで、このブレンドは、攪拌しながら容器の内容物を約150℃から約175℃に加熱することによって形成される。
【0123】
他の実施形態において、本組成物の成分は、溶媒ブレンドを用いて処理される。ブレンド中の成分は、用いられる溶媒に実質的に可溶性である。
【0124】
分散的混合、分配的混合、または分散的および分配的混合の組合せを与える物理的ブレンド装置は、均一なブレンドを調製する際に有用であり得る。物理的ブレンドのバッチおよび連続の両方法を用いることができる。バッチ法の非限定的な例には、BRABENDER(登録商標)混合装置(例えば、C.W.Brabender Instruments,Inc.(South Hackensack、N.J.)から入手できるBRABENDER PREP CENTER(登録商標)、Sigmaブレンド混合装置、またはBANBURY(登録商標)内部混合装置およびロールミル装置(Farrel Company(Ansonia、Conn.)から入手できる)を用いるそれらの方法が含まれる。一部の実施形態において、配合物をブレンドするために要する混合時間は、5分から20分の範囲、好ましくは10分から15分の範囲である。連続法の非限定的な例には、単軸押出、二軸押出、ディスク型押出、往復単軸押出、およびピンバレル単軸押出が含まれる。
【0125】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分散液も種々の組成物の配合において使用され得る。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,574,091号では、適切な界面活性剤、例えば、エトキシル化フェノールの硫酸塩(例えば、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)α−スルホ−ω(ノニルホノキシ)アンモニウム塩)などの安定化および乳化の量の存在下でのオレフィンコポリマーの水分散液の調製が教示されている。このような方法もエチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分散液を製造するために使用され得る。さらなる好適な方法は、米国特許第5,539,021号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む組成物の適用
本明細書で開示される組成物は、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ホットメルト感圧接着剤として、または熱可塑性マーキング用組成物として使用され得る。ホットメルト接着剤または感圧接着剤を必要とするまたは含む任意の物品を製造するために適用され得る。好適な物品の非限定的な例には、紙製品、包装材料、積層木製パネル、台所調理台、乗物、ラベル、使い捨ておむつ、病院用パッド、女性用衛生ナプキン、外科的ドレープ、テープ、ケース、カートン、トレー、医療機器、および包帯が含まれる。さらなる実施形態において、この接着剤組成物は、テープ、ケース、カートン、トレー、医療機器、および包帯に使用され得る。
【0127】
一部の実施形態において、本組成物は、ホットメルト接着剤として使用される。このようなホットメルト接着剤組成物は、特に、乳製品または食品の冷凍庫包装のためなどの低温使用のための包装を含む産業用途において、および衛生使い捨て消費者用物品、例えば、おむつ、女性用ケアパッド、ナプキンなどにおいて使用され得る。一部の他の好適な用途には、製本、木工およびラベル貼りが含まれる。
【0128】
本明細書で開示される組成物は、PSAとして使用され得る。このようなPSA組成物は、シート製品(例えば、装飾用、反射用、および画像用)、ラベルストック、およびテープバッキングに適用され得る。この基材は、所望の用途に依存した任意の適切な種類の材料であり得る。ある種の実施形態において、基材は、不織布、紙、ポリマーフィルム[例えば、ポリプロピレン(例えば、二軸配向ポリプロピレン(BOPP))、ポリエチレン、ポリ尿素、ポリブチレンまたはポリエチレン−ポリプロピレンコポリマー、しかし、ナイロンなどの完全または部分的ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリレート(ポリ(メチルメタクリレート)など)(ブレンドにおけるのみ)など、またはポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、およびそれらのブレンドであってもよい]、または放出ライナー(例えば、シリコン処理したライナー)を含む。
【0129】
好ましくは、本組成物は、健康および衛生関連用途のためのホットメルトPSAとして使用され得る。一部の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を含む物品をさらに含み得る。特に、本組成物は、不織布ラミネートおよび弾性不織布ラミネートにおける接着剤として使用され得る。このような不織布ラミネート材料は、特に、おむつ構成接着剤、組立て接着剤、弾性おむつタブ、トレーニングパンツの側面、レッグギャザー、女性用衛生物品、水泳パンツ、失禁用衣類、獣医製品、保護衣、包帯、ヘルスケア品目(外科医ガウン、外科的ドレープ、滅菌包装、拭き取り繊維(wipe)など)などの用途における衛生および医療マーケットにおいて用途が見出されている。これらの材料は、フィルター(気体および液体)、自動車および海洋用保護カバー、家具インテリア用品(寝具、絨毯下敷物、壁装材、床材、窓用ブラインド、スクリムなど(これらに限定されない)を含む他の不織布用途にも使い道を見出し得る。これらの接着剤の使用は、おむつおよび女性用衛生製品などの用途のバッキングシートのダウンゲージングなどの有利点を可能とさせ得る。
【0130】
さらに他の実施形態において、本組成物は、テープを形成するために用いられ得る。例えば、PSAまたはホットメルト接着剤組成物が、テープのバッキングの少なくとも一面に適用される。次いで、本接着剤組成物は架橋されて、そのせん断強度をさらに向上させ得る。任意の適切な架橋方法(例えば、放射線(紫外線または電子ビームなど)への曝露)または架橋剤添加剤(例えば、フェノールおよびシランの硬化剤)が用いられ得る。
【0131】
本明細書で開示される接着剤組成物は、当技術分野で知られている任意の仕方、特に、テープ、ケース、カートン、トレー、医療機器、健康および衛生用途ならびに包帯を製造するために従来使用されたそれらの方法で所望の基材に適用または接着され得る。他の実施形態において、本接着剤組成物は、関連装置を用いて、塗布ヘッドまたはノズルで適用され得る。本接着剤組成物は、必要に応じて他の従来の形態に加えて、細線、ドットまたはスプレーコーティングとして適用され得る。
【0132】
好ましくは、本接着剤組成物は、スパイラルスプレー技術によって適用され得る。本発明の組成物は、従来のこのような接着剤組成物と比べて低温で適用され得る。特に、本組成物は、約110℃から約150℃の範囲、好ましくは約115℃から140℃の範囲、より好ましくは約120℃から約130℃の範囲の温度で適用され得る。本組成物は、「An Update on Hot Melt Adhesive Fiberization」、Adhesives Age、1994年2月にNORDSON Corporationによって記載されたものなどのスパイラルスプレー方法によって適用され得る。典型的なコーティング重量およびスプレーパターンは、1から10gsmの範囲であるとともにパターン幅が1/4インチから5インチであり得る。
【0133】
本発明はさらに、本発明の接着剤組成物を適用する方法であって、該接着剤を基材上に約110℃から約150℃、好ましくは約115℃から140℃、より好ましくは約120℃から約130℃の範囲で適用する段階を含む方法を提供する。特に、該方法は該接着剤をスパイラルスプレーによって適用する段階を含む。一部の実施形態において、該基材は、ポリエチレンバッキングシートである。さらなる実施形態において、該方法は、該接着剤を適用後に該基材上の該接着剤上に不織布シートを適用することによってラミネートを形成する段階をさらに含む。好ましい実施形態において、該不織布シートは、スパンボンドポリプロピレンシートを含む。本発明の方法は、従来の接着剤に比べて低い適用温度のために、基材の溶け落ちのリスク減少および接着剤の熱安定性向上などの利点を与え得る。
【0134】
一部の実施形態において、本接着剤組成物は、溶融押出技術を用いて適用され得る。本接着剤組成物は、連続またはバッチ方法のいずれかで適用され得る。バッチ法の例は、本接着剤組成物が接着される基材と複合体構造を形成するために接着剤を放出することができる表面との間に本接着剤組成物の一部を置くことである。連続形成法の例には、加熱されたフィルムダイから本接着剤組成物を引き出し、その後引き出された組成物を移動プラスチックウェブまたは他の適切な基材に接触させる段階が含まれる。
【0135】
他の実施形態において、本接着剤組成物は、溶剤ベースの方法を用いてコーティングされ得る。例えば、溶媒ベース接着剤組成物は、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ロッドコーティング、カーテンコーティング、およびエアナイフコーティングなどの方法でコーティングされ得る。次いで、コーティングされた溶剤ベース接着剤組成物を乾燥させ、溶媒を除去する。好ましくは、適用される溶媒ベース接着剤組成物は、乾燥を促進させるためにオーブンによって与えられるものなどの高温下に置かれる。
【0136】
一部の実施形態において、本明細書で開示される組成物は、道路をマーキングするための熱可塑性マーキング用組成物として使用される。この熱可塑性マーキング用組成物は、ホットメルト押出道路マーキング、ホットメルトスプレー道路マーキング、ホットメルト手適用道路マーキング、着色ホットメルトでマーキングされた自転車用車線、シミュレーションまたは訓練道路マーキング、予備成形された押出交通標識記号またはテープ、柔軟でソフトなスポーツ/運動場表面マーキング、船舶上の安全マーキング、または反射交通安全コーティングの形態であり得る。熱可塑性マーキング用組成物の一般的な配合および説明は、米国特許第6,552,110号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、この熱可塑性マーキング用組成物は、本明細書で開示されるエイレン/α−オレフィンインターポリマー、粘着付与剤、充填剤および場合によって顔料を含む。好ましくは、充填剤はガラスビーズまたはガラスミクロスフェアである。
【0137】
充填剤は、熱可塑性マーキング用組成物に40から90重量パーセント、好ましくは50から90重量パーセントの量で与えられる。特に好ましい実施形態において、充填剤は、以下の組合せを含む:0から60重量パーセントの砂、0から100重量パーセントのドロマイトまたはタルク、0から50重量パーセントのガラスミクロスフェア、および1から20重量パーセントの顔料。
【0138】
熱可塑性コーティング用組成物が反射特性を有することが望ましい場合、反射性無機充填剤が用いられる。1つの特に好ましい反射性無機充填剤はガラスミクロスフェアである。反射性無機充填剤が用いられる場合、通常、熱可塑性コーティング用組成物に少なくとも5重量パーセント、好ましくは少なくとも10重量パーセント、より好ましくは少なくとも20重量パーセントの量で与えられる。反射性無機充填剤は、熱可塑性コーティング用組成物に70以下、好ましくは50重量パーセント以下、より好ましくは40重量パーセント以下の量で与えられる。
【0139】
ある種の無機充填剤は通常、配合物のコストを低減するために用いられる。1つの好適な増量剤はドロマイトクレーである。用いられる場合、ドロマイト充填剤は、熱可塑性コーティング用組成物の少なくとも10重量パーセント、より好ましくは少なくとも20重量パーセント、最も好ましくは少なくとも30重量パーセントの量で与えられる。ドロマイト充填剤は通常、熱可塑性コーティング用組成物の80重量パーセント以下、より好ましくは75重量パーセント以下、最も好ましくは70重量パーセント以下の量で与えられる。
【0140】
熱可塑性マーキング用組成物は、それらがこの産業で用いられる種々の技術によって適用されるために容易に設計され得るという点で有利である。例えば、いまや単一の配合物を開発することが可能であり、これは押出、スクリード、またはスプレー技術で有用に適用され得る。
【0141】
熱可塑性マーキング用組成物は、好ましくは、米国特許第6,552,110号の実施例2に示された技術に従って測定して、少なくとも1.0N/mm、好ましくは少なくとも1.2N/mm、より好ましくは少なくとも1.3N/mm、最も好ましくは少なくとも1.5N/mmの接着性を示す。米国特許第6,552,110号は参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
熱可塑性マーキング用組成物は、好ましくは、米国特許第6,552,110号の実施例2に示された技術に従って測定して、少なくとも70、好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも76、最も好ましくは少なくとも78の輝度率を示す。
【0143】
熱可塑性マーキング用組成物は、良好な低温耐磨耗性をさらに示す。本主題配合物は、改良された低温可撓性および低温接着性を示し、高温で改良された発煙および低臭特性を示す。本主題配合物は、広い潜在的範囲の、特に150℃から250℃の温度での利用温度を示し、これによりそれらは異なる手段での利用に好適となる。例えば、比較的低い利用温度、すなわち、約150から170℃の温度で適用される本組成物の能力により、それらは押出コーティング技術による利用に好適となり:一方、比較的高い利用温度、すなわち、200℃から250℃の温度で適用される本組成物の能力により、それらはスプレーコーティング技術による利用に好適となる。本主題配合物は、好ましくは、吸塵に対して耐性であり、さらに好ましくは、均一なエチレンポリマーを系と比べてより少ない粘度変動を示す。
【0144】
この主題配合物は、スプレー、スクリード、および押出技術によって有用に適用される。さらに、この主題配合物は、実施テープとして提供され得、これはその表面上に置かれ、例えば、ガス炎で、場合によって、圧延によるようにいくらかの加圧下で、加熱することによってその表面に結合する。
【0145】
熱可塑性マーキング組成物の例示的な用途は、ホットメルト押出道路マーキング;ホットメルトスプレー道路マーキング;ホットメルト手適用道路マーキング;スプレーまたは押出で適用される着色ホットメルトでマーキングされた自転車車線;氷表面運転のためのシミュレーション/訓練道路のマーキング;予備成形された押出交通標識記号(例えば、矢印、文字など)およびテープ(例えば、交通安全用、情報用、図様用など)(プレマークまたはホットメルトテープとも呼ばれる);タータンなどの柔軟でソフトなスポーツ/運動場表面のマーキング(例えば、テニスコート、屋外および屋内スポーツ床などのマーキングにおいて);船舶、油田掘削装置などの上の安全マーキング;およびガラスビーズまたは他の反射性/自己白熱顔料を伴うトンネル、コンクリート、金属のための反射性交通安全コーティングにおいてである。
【0146】
1つの好ましい用途において、本主題熱可塑性マーキング用組成物は、エンボス加工道路マーキングで用いられる。エンボス加工道路マーキングは、表面上にマーキング組成物を押出し;ガラスビーズなどの反射性粒子をその押出マーキングに適用し;溝または他のうねを生じるように押出マーキングをエンボス加工することによって形成される。このようなエンボス加工マーキングは、それらが、特に雨天において、向上した水はけおよび改善された夜間反射特性を与える点で望ましい。本発明の熱可塑性マーキング組成物は、それらが、低温条件下でさえも、必要な程度の可撓性、接着性、および磨耗性を与えるので、エンボス加工道路マーキング用途において有利である。
【0147】
具体的実施形態
1.接着剤組成物であって、
(i)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約40重量%の少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンブロックコポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは該コポリマーの総重量に基づいて50モル%を超えるエチレンを含み、
(a)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)(ここで、Tおよびdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する)を有するか、または
(b)約1.7から約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)(ここで、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロを超え、最大130J/gのΔHに対して)、
ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対して)
を有する)を特徴とし、ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であるか;または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的にもたない場合、Reおよびdの数値は以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たすか;または
(d)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分は同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、該比較し得るランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(該ポリマー全体に基づいて)を有するか;または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある)を有するか;または
(f)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分は少なくとも0.5から最大約1のブロックインデックスを有することを特徴とするか;または
(g)ゼロ超から最大約1.0の平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有する];
(ii)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約30重量%から約70重量%の少なくとも1種の粘着付与剤;および
(iii)該接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約30重量%の油または低分子量ポリマー
を含む接着剤組成物。
【0148】
2.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、密度d(グラム/立方センチメートル)(ここで、Tおよびdの数値は以下の関係:
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
に相当する)を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0149】
3.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7から約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロを超え最大130J/gのΔHに対して)、
ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対して)
を有する)を特徴とし、ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である、実施形態1に記載の組成物。
【0150】
4.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定して300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有する(ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的にもたない場合、Reおよびdの数値が以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たす)、実施形態1に記載の組成物。
【0151】
5.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1491−1629(d)
を満たす、実施形態4に記載の組成物。
【0152】
6.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1501−1629(d)
を満たす、実施形態4に記載の組成物。
【0153】
7.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1511−1629(d)
を満たす、実施形態4に記載の組成物。
【0154】
8.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを用いて分画した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分は、同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、前記比較し得るランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づいて)を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0155】
9.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲である)を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0156】
10.ホットメルト接着剤組成物、感圧接着剤組成物または熱可塑性マーキング用組成物である、実施形態1に記載の組成物。
【0157】
11.該α−オレフィンが、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエン、またはそれらの組合せである、実施形態1に記載の組成物。
【0158】
12.該粘着付与剤が、該組成物全体の重量で約15重量%から約75重量%の範囲で存在する、実施形態1に記載の組成物。
【0159】
13.該粘着付与剤が、80℃以上のR&B軟化点を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0160】
14.該油が、該組成物全体の重量で0重量%から約30重量%の範囲の量で存在する、実施形態1に記載の組成物。
【0161】
15.可塑剤、ワックス、酸化防止剤、UV安定剤、着色剤または顔料、充填剤、流動補助剤、カップリング剤、架橋剤、表面活性剤、溶剤、芳香剤およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、実施形態1に記載の組成物。
【0162】
16.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.85から約0.88g/ccの密度を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0163】
17.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.86から約0.875g/ccの密度を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0164】
18.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約5から約50g/10分のメルトインデックスを有する、実施形態1に記載の組成物。
【0165】
19.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約10から約30g/10分のメルトインデックスを有する、実施形態1に記載の組成物。
【0166】
20.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、該組成物全体の重量で約10%から約75%の範囲で存在する、実施形態1に記載の組成物。
【0167】
21.該添加剤が、鉱油、液体ポリブテン、またはそれらの組合せである可塑剤である、実施形態15に記載の組成物。
【0168】
22.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分が少なくとも0.5から最大約1のブロックインデックスを有することを特徴とする、実施形態1に記載の組成物。
【0169】
23.実施形態10に記載の組成物でコーティングされた基材を含む物品。
【0170】
24.医療機器、包帯、または衛生物品である、実施形態23に記載の物品。
【0171】
25.実施形態1に記載の組成物を基材に適用する方法であって、
該組成物を該基材に約100℃から約150℃の範囲の温度で適用する段階を含む方法。
【0172】
26.非接触方式のスパイラルスプレーまたは接触方式のスロットダイコーティングによって該接着剤を適用する段階を含む、実施形態25に記載の方法。
【0173】
27.該温度が約115℃から約140℃の範囲である、実施形態25に記載の方法。
【0174】
28.該温度が約120℃から約130℃の範囲である、実施形態25に記載の方法。
【0175】
29.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、密度d(グラム/立方センチメートル)(ここで、Tおよびdの数値は、以下の関係:
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
に相当する)を有する、実施形態25に記載の方法。
【0176】
30.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7から約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)(ここで、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロ超から最大130J/gのΔHに対して)、
ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対して)
を有する)を特徴とし、ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である、実施形態25に記載の方法。
【0177】
31.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定した300パーセント歪みおよび1サイクルにおける弾性回復率Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有する(ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的にもたない場合、Reおよびdの数値は、以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たす)、実施形態25に記載の方法。
【0178】
32.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1491−1629(d)
を満たす、実施形態25に記載の方法。
【0179】
33.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1501−1629(d)
を満たす、実施形態25に記載の方法。
【0180】
34.該Reおよびdの数値が、以下の関係:
Re>1511−1629(d)
を満たす、実施形態25に記載の方法。
【0181】
35.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分が同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、前記比較し得るランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づいて)を有する、実施形態25に記載の方法。
【0182】
36.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)対G’(100℃)の比が、約1:1から約から約9:1の範囲である、実施形態25に記載の方法。
【0183】
37.該組成物が、ホットメルト接着剤組成物、感圧接着剤組成物または熱可塑性マーキング用組成物である、実施形態25に記載の方法。
【0184】
38.該α−オレフィンが、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエン、またはそれらの組合せである、実施形態25に記載の方法。
【0185】
39.該粘着付与剤が、該組成物全体の重量で約15重量%から約75重量%の範囲で存在する、実施形態25に記載の方法。
【0186】
40.該粘着付与剤が、80℃以上のR&B軟化点を有する、実施形態25に記載の方法。
【0187】
41.該油が、該組成物全体の重量で0重量%から約30重量%の範囲の量で存在する、実施形態25に記載の方法。
【0188】
42.可塑剤、ワックス、酸化防止剤、UV安定剤、着色剤または顔料、充填剤、流動補助剤、カップリング剤、架橋剤、表面活性剤、溶剤、芳香剤およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、実施形態25に記載の方法。
【0189】
43.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.85から約0.88g/ccの密度を有する、実施形態25に記載の方法。
【0190】
44.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.86から約0.875g/ccの密度を有する、実施形態25に記載の方法。
【0191】
45.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約5から約50g/10分のメルトインデックスを有する、実施形態25に記載の方法。
【0192】
46.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約10から約30g/10分のメルトインデックスを有する、実施形態25に記載の方法。
【0193】
47.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、該組成物全体の重量で約10%から約75%の範囲で存在する、実施形態25に記載の方法。
【0194】
48.該添加剤が、鉱油、液体ポリブテン、またはそれらの組合せである可塑剤である、実施形態42に記載の方法。
【0195】
49.該エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、該画分が少なくとも0.5から最大約1のブロックインデックスを有することを特徴とする、実施形態25に記載の方法。
【0196】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例証するために提示するが、示した具体的な実施形態に本発明を限定することは意図しない。別に示されない限り、部およびパーセントのすべては重量による。数値はすべて近似値である。数値範囲が示される場合、述べられた範囲外の実施形態が本発明の範囲内に依然として入り得ると理解されるべきである。各実施例で記載された具体的詳細は、本発明の必要な特徴と解釈されるべきではない。
【0197】
試験方法
以下の実施例では、以下の分析技術を用いる:
試料1〜4およびA〜Cに対するGPC法
160℃に設定した加熱針を備えた自動化処理取扱ロボットを使用して、それぞれの乾燥ポリマー試料に300ppmのイオノールで安定させた十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを加えて、30g/mLの最終濃度を得る。小さいガラス攪拌棒をそれぞれの試験管に入れ、試料を、250rpmで回転する加熱軌道振とう機上で160℃に2時間加熱する。次いで、この濃縮ポリマー溶液を、自動化液体処理ロボットおよび160℃に設定した加熱針を使用して1mg/mlに希釈する。
【0198】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて、各試料の分子量データを決定する。2.0ml/分の流量に設定したGilson350ポンプを使用して、直列に配置し、160℃に加熱した3つのPlgel 10マイクロメートル(μm)Mixed B300mm×7.5mmカラムに、300ppmのイオノールで安定させたヘリウムパージ1,2−ジクロロベンゼンを移動相としてポンプで送る。Polymer Labs製ELS 1000検出器を、250℃に設定したエバポレータ、165℃に設定したネブライザー、60〜80psi(400〜600kPa)Nの圧力で1.8SLMに設定した窒素流量とともに使用する。ポリマー試料を160℃に加熱し、各試料を液体処理ロボットおよび加熱針を用いて250μlループ中に注入する。2つの切り替えループおよび重複注入を用いるポリマー試料の連続的分析を用いる。試料データを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて解析する。ピークを手作業で積分し、分子量情報をポリスチレン標準検量線に対して未補正で報告する。
【0199】
標準CRYSTAF法
分岐分布は、PolymerChar(Valencia、スペイン)から市販されているCRYSTAF200装置を用いて結晶化分析分別(CRYSTAF)によって決定する。試料を1,2,4−トリクロロベンゼン中に160℃で1時間溶解し(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化させる。試料採取温度は、0.2℃/分の冷却速度で95から30℃の範囲に及ぶ。赤外線検出器を使用して、ポリマー溶液濃度を測定する。累積溶解濃度を、温度が低下する間にポリマーが結晶化するときに測定する。累積プロファイルの分析導関数は、ポリマーの短鎖の分岐分布を反映する。
【0200】
CRYSTAFのピーク温度および面積をCRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、PolymerChar、Valencia、スペイン)に含まれたピーク分析モジュールによって特定する。CRYSTAFピーク検出ルーチンにより、ピーク温度をdW/dT曲線における最大値として特定し、およびその微分曲線における特定されたピークのいずれかの側の最大の正の変曲間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメータは、70℃の温度限界を有し、ならびにその温度限界より上では0.1、およびその温度限界未満では0.3の平滑化パラメータを用いる。
【0201】
DSC標準法(試料1から4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定結果は、RCS冷却補助装置および自動試料採取器を備えたTAIモデルQ1000DSCを用いて決定する。50ml/分の窒素パージガス流量を用いる。試料を薄膜に加圧成形し、プレス内において約175℃で溶融し、次いで、室温(25℃)に空冷する。次いで、3〜10mgの材料を6mm直径のディスクに切断し、正確に重さを量り、軽量アルミ製パン中に入れ(約50mg)、次いで、クリンプして閉じる。試料の熱挙動を以下の温度プロファイルで調査する。試料を180℃に急速加熱し、前の熱履歴すべてを除くために3分間恒温保持する。次いで、試料を10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2の加熱曲線を記録する。
【0202】
DSC融解ピークは、−30℃と融解終点との間に引いた直線ベースラインに関して熱流量(W/g)の最大として測定する。融解熱は、直線ベースラインを用いて−30℃と融解終点との間の融解曲線下の面積として測定する。
【0203】
GPC法(試料1〜4およびA〜Cは除く)
ゲル透過クロマトグラフシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210装置またはPolymer Laboratories Model PL−220装置のいずれかからなる。カラムおよびカルーセル区画は140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories 10ミクロンMixed−Bカラムを用いる。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンである。試料は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む50ミリリットルの溶媒中0.1gのポリマーの濃度で調製する。試料は、160℃で2時間軽く攪拌することによって調製する。用いる注入容量は100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0204】
GPCカラム設定の較正は、個々の分子量間に少なくとも10の間隔を有する6つの「カクテル」混合物に配置した、580から8,400,000の範囲の分子量を有する21個の分子量分布が狭いポリスチレン標準物質で行う。標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、1,000,000以上の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.025グラム、および1,000,000未満の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準物質を80℃で穏やかに攪拌しながら30分間溶解させる。狭い標準物質混合物を最初に流し、分解を最小にするために最も高い分子量成分から低くなる順に流す。このポリスチレン標準ピーク分子量を、(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci.Polym.Let.、6巻、621頁(1968年)に記載のとおりの)以下の式:
polyethylene=0.431(Mpolystyrene
を用いてポリエチレン分子量に変換する。
【0205】
ポリエチレン相当分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を用いて行う。
【0206】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みは、ASTM D395に従って測定する。試料を、合計厚み12.7mmに達するまで、厚み3.2mm、2.0mm、および0.25mmの直径25.4mmの円形ディスクを積み重ねることによって調製する。このディスクを以下の条件下で熱プレスで成形した12.7cm×12.7cmの圧縮成形プラックから切り出す:190℃で圧力ゼロ3分間、その後に190℃で86MPa2分間、その後にプレス機内で86MPaにおいて冷流水により冷却。
【0207】
密度
密度測定用の試料は、ASTM D1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、B法を用いて試料加圧成形の1時間以内に行う。
【0208】
曲げ弾性率/割線係数/貯蔵弾性率
試料は、ASTM D1928を用いて圧縮成形する。曲げおよび2パーセント割線係数は、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率は、ASTM D5026−01または同等の方法に従って測定する。
【0209】
光学特性
厚み0.4mmのフィルムを熱プレス(Carver Model #4095−4PR1001R)を用いて圧縮成形する。このペレットをポリテトラフルオロエチレンシート間に置き、190℃において55psi(380kPa)で3分間、その後に、1.3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次いで、このフィルムをプレス機内において1.3MPaで冷流水により1分間冷却する。この圧縮成形フィルムを光学測定、引張挙動、回復率、および応力緩和のために用いる。
【0210】
透明度は、ASTM D1746で特定されるようにBYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
【0211】
45°光沢は、ASTM D−2457で特定されるようにBYK Gardner Glossmeter Microgloss 45°を用いて測定する。
【0212】
内部曇り度は、ASTM D1003手順Aに基づくBYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。鉱油をこのフィルム表面に塗布して、表面の引っかき傷を除去する。
【0213】
機械的特性−引張り、ヒステリシス、および引裂き
一軸引張りにおける応力−歪み挙動は、ASTM D1708の微小引張り試験片を用いて測定する。試料は、Instronによって21℃において500%/分−1で伸張させる。引張り強度および破断点伸びを、5個の試験片の平均から報告する。
【0214】
100%および300%ヒステリシスは、Instron(商標)装置によりASTM D1708微小引張り試験片を用いて、100%および300%歪みへの繰り返し負荷から決定する。試料を21℃で3サイクルの間、267%/分−1で負荷をかけ、そして負荷を軽減する。300%および80℃での繰り返し実験を、環境室を用いて行う。80℃の実験において、試料は試験前に試験温度で45分間平衡させる。21℃、300%歪み繰り返し実験において、最初の負荷軽減サイクルからの150%歪みでの収縮応力を記録する。すべての実験に対する回復率パーセントは、負荷がベースラインに戻った歪みを用いて最初の負荷軽減サイクルから計算する。回復率パーセントは、
【0215】
【数2】

として定義される。
【0216】
式中、εは、繰り返し負荷に対して取られた歪みであり、εは、負荷が最初の負荷軽減サイクルの間にベースラインに戻る場合の歪みである。
【0217】
応力緩和は、環境室を備えたInstron(商標)装置を用いて50パーセント歪みおよび37℃で12時間測定する。ゲージ形状は76mm×25mm×0.4mmであった。環境室中37℃で45分間平衡後、試料を333%/分−1で50%歪みに伸張させた。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントを、以下の式:
【0218】
【数3】

(式中、Lは0時間における50%歪みでの負荷であり、L12は12時間後の50パーセント歪みでの負荷である)
を用いて計算した。
【0219】
引張りノッチ付引裂き実験は、Instron(商標)装置を用いて0.88g/ccまたはそれ未満の密度を有する試料について行う。その形状は、試験片長の半分において試料中に2mmのノッチを有するゲージ片76mm×13mm×0.4mmからなる。試料を、破断するまで21℃において508mm/分−1で伸張させる。引裂きエネルギーは、最大負荷における歪みまでの応力−伸び曲線下の面積として計算する。少なくとも3個の試験片の平均を報告する。
【0220】
TMA
熱機械分析(針入温度)は、180℃および10MPa成形圧で5分間成形し、次いでエアクエンチした、直径30mm×厚み3.3mmの圧縮成形ディスクについて行う。用いた装置は、Perkin−Elmerから入手できるTMA7ブランドである。試験において、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を1Nの力で試料ディスクの表面に当てる。温度を25℃から5℃/分で上昇させる。プローブの針入距離を温度の関数として測定する。プローブが試料中に1mm針入したとき実験は終了する。
【0221】
DMA
動的機械分析(DMA)は、熱プレス機内で、180℃において10MPaで5分間成形し、次いで、このプレス機内で90℃/分で水冷した圧縮成形ディスクについて測定する。試験は、ねじり試験用の二重片もち固定具を備えたARES制御歪みレオメーター(TA instruments)を用いて行う。
【0222】
1.5mmのプラックを加圧成形し、寸法32×12mmの棒に切断する。この試料を10mm(グリップ間隔ΔL)だけ離した固定具間の両端でクランプし、−100℃から200℃(1ステップ当たり5℃)の連続的温度ステップ下に置く。各温度で、ねじり弾性率G’を10rad/秒の角周波数で測定し、その歪み増幅を、トルクが十分であり、かつ測定値が依然として線形領域にあることを確実にするために0.1パーセントと4パーセントの間で維持する。
【0223】
10gの初期静的力を維持して(自動引張りモード)、熱膨張が起こるときの試料の緩みを防止する。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特にポリマー試料の融点または軟化点を超えて増加する。試験は、最高温度においてまたは固定具間の間隙が65mmに達したときに終了する。
【0224】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちIは、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定する。メルトインデックス、すなわちI10も、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定する。
【0225】
ATREF
分析昇温溶出分別(ATREF)分析は、米国特許第4,798,081号およびWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat,I.R.;Determination of Branching Distribution in Polyethylene and Ethylene Copolymer、J.Polym.Sci.、20巻、441〜455頁(1982年)に記載された方法に従って行い、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。分析する組成物は、トリクロロベンゼンに溶解させ、その温度を0.1℃/分の冷却速度で20℃に徐々に下げることによって、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を入れたカラム中で結晶化させる。カラムは赤外線検出器を備えている。次いで、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20から120℃に徐々に上昇させることにより、結晶化ポリマー試料をカラムから溶出させることによって、ATREFクロマトグラム曲線を作成する。
【0226】
13C NMR分析
試料は、10mmNMR管中0.4gの試料に、テトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約3gを添加することによって調製する。この試料を、この管およびその内容物を150℃に加熱することによって溶解および均一化させる。100.5MHzの13C共鳴周波数に相当する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計またはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて、データを収集する。データは、6秒パルス反復遅延により1データファイル当たり4000の減衰シグナル(transient)を用いて取得する。定量分析のための最小シグナル対ノイズを得るために、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトル幅は、25,000Hzであり、最小ファイルサイズは32Kのデータポイントである。試料を10mmの広帯域プローブ中130℃で分析する。コモノマー取り込みは、Randallのトライアッド法(Randall,J.C;JMS−Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29、201〜317頁(1989年)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を用いて決定する。
【0227】
TREFによるポリマー分別
大規模TREF分別は、15〜20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に160℃で4時間攪拌することにより、溶解させることによって行う。ポリマー溶液は、30〜40メッシュ(600〜425μm)球状の技術的品質ガラスビーズ(Potters Industries、HC30Box20、Brownwood、TX、76801から入手できる)とステンレス鋼製の直径0.028インチ(0.7mm)カットワイヤーショット(Pellets,Inc.、63 Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120から入手できる)との60:40(v:v)混合物で充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)スチールカラム上に15psig(100kPa)窒素で圧入する。カラムを、最初に160℃に設定した熱制御オイルジャケット中に浸す。このカラムを最初に、125℃に弾道的(ballistically)に冷却し、次いで、1分当たり0.04℃で20℃に徐々に冷却し、1時間保持する。この温度を1分当たり0.167℃で増加させながら、未使用のTCBを約65ml/分で導入する。
【0228】
分取TREFカラムからの約2000ml分の溶出液を16のステーションの加熱されたフラクションコレクターに収集する。約50から100mlのポリマー溶液が残るまでロータリエバポレータを用いてポリマーをそれぞれの画分中で濃縮する。濃縮溶液を一晩放置させ、その後、過剰のメタノールを添加し、ろ過し、すすぎ洗いする(最終すすぎ洗いを含めて約300〜500mlのメタノール)。このろ過工程は、5.0μmポリテトラフルオロエチレン被覆ろ紙(Osmonics Inc.から入手できる、カタログ番号Z50WP04750)を用いて3位置の真空補助ろ過ステーションで行う。ろ過した画分を真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させ、化学天秤で重さを量り、その後、さらに試験する。
【0229】
溶融強度
溶融強度(MS)は、直径2.1mmの、約45度の入口角を有する20:1ダイを取り付けたキャピラリーレオメータを用いることによって測定する。190℃で10分間試料を平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。試料を、2.4mm/秒の加速度でダイの100mm下に位置する一組の加速ニップに一軸延伸する。必要な張力をニップロールの巻取り速度の関数として記録する。試験の間に到達する最大張力が溶融強度と定義される。引取共振(draw resonance)を示すポリマー溶融の場合に、引取共振の発生前の張力を溶融強度とみなした。融解強度は、センチニュートン(「cN」)で記録する。
【0230】
触媒
「一晩」という用語は、用いられる場合、約16〜18時間の時間を指し、「室温」という用語は、20〜25℃の温度を指し、「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsopar E(登録商標)の商品名の下で入手できるC6〜9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を指す。本明細書における化合物の名称がその構造表示と一致しない場合、その構造表示が優先するものとする。すべての金属錯体の合成およびすべてのスクリーニング実験の準備はドライボックス技術を用いて乾燥窒素雰囲気中で行った。用いた溶媒のすべて、HPLC等級であり、その使用前に乾燥させた。
【0231】
MMAOは、Akzo−Nobel Corporationから市販されている変性メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサンを指す。
【0232】
触媒(B1)の調製は、以下のとおり行う。
【0233】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。この溶液は急速に鮮黄色に変わる。周囲温度で3時間攪拌後、揮発性物質を真空下で除去して、鮮黄色の結晶性固体を得る(97パーセント収率)。
【0234】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
5mLのトルエン中(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2ミリモル)の溶液を、50mLのトルエン中Zr(CHPh)(500mg、1.1ミリモル)の溶液に徐々に添加する。得られた暗黄色溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去して、赤褐色固体として所望の生成物を得る。
【0235】
触媒(B2)の調製は、以下のとおりに行う。
【0236】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0ミルモル)をメタノール(90mL)中に溶解させ、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67ミリモル)を添加する。この反応混合物を3時間攪拌し、次いで、−25℃に12時間冷却する。得られた黄色固体沈殿物をろ過により収集し、冷メタノール(2×15mL)で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させる。収量は、11.17gの黄色固体である。H NMRは、異性体の混合物として所望の生成物と一致する。
【0237】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
200mLのトルエン中(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2ミルモル)の溶液を、600mLのトルエン中Zr(CHPh)(5.28g、11.6ミリモル)の溶液に添加する。得られた暗黄色溶液を25℃で1時間攪拌する。この溶液を680mLのトルエンでさらに希釈し、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0238】
共触媒1 実質的に米国特許第5,919,9883号の実施例2に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手できる)、HClおよびLi[B(C]の反応で調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(以下、アルメニウムボラートという)のメチルジ(C14〜18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0239】
共触媒2 米国特許第6,395,671号の実施例16に従って調製される、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマネ)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14〜18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0240】
可逆的移動剤
用いられる可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ−(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
【0241】
実施例1〜4、比較例A〜C
一般的なハイスループット並列重合条件
重合は、Symyx technologies,Inc.から入手できるハイスループット並列重合反応器(PPR)を用いて行い、米国特許第6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,362,309号、同第6,306,658号、および同第6,316,663号に実質的に従って操作する。エチレン共重合は、使用される全触媒に基づいて1.2当量(MMAOが存在する場合は、1.1当量)の共触媒1を用いて、必要時にエチレンを用いて130℃および200psi(1.4MPa)で行う。一連の重合は、予め秤量したガラス管が取り付けられている6×8の配列の48の個々の反応器セルを収容した並列圧力反応器(PPR)中で行う。各反応器セル中の作業容量は6000μLである。各セルは、個々の攪拌パドルによって攪拌されながら、温度および圧力が制御される。モノマーガスおよびクエンチガスは、PPRユニット中に直接配管し、自動弁で制御する。液体試薬は、シリンジで各反応器セルにロボットで添加し、リザーバー溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1または共触媒1/MMAO混合物、可逆的移動剤、および触媒または触媒混合物である。共触媒1とMMAOの混合物、または2つの触媒の混合物を用いる場合、これらの試薬は反応器に加える直前に小バイアルで予備混合する。試薬が実験で省かれる場合、それ以外は上記の添加の順序が維持される。重合は、所定のエチレン消費に達成するまで、約1〜2分行う。COでクエンチした後、反応器を冷却し、ガラス管は取り出す。これらの管は遠心分離/真空乾燥ユニットに移し、60℃で12時間乾燥させる。乾燥したポリマーを入れた管を、秤量し、この重量と風袋重量との間の差によりポリマーの正味収量が得られる。結果は表1に含める。表1においておよび本出願での他の箇所において、比較化合物は、星印()で示される。
【0242】
実施例1〜4は、極めて狭いMWDの形成によって証明されるような本発明の線状ブロックポリマー、特に、DEZが存在する場合は、単峰性(monomodal)のコポリマーおよびDEZの非存在下では、二峰性(bimodal)の広い分子量分布生成物(個々に生成されたポリマーの混合物)の合成を実証する。触媒(A1)は触媒(B1)よりオクテンを多く取り込むことが知られていることから、本発明の得られたコポリマーの異なるブロックまたはセグメントは、分岐または密度に基づいて区別できる。
【0243】
【表1】

【0244】
表1のポリマーのさらなる特性データは、図を参照して決定される。より具体的なDSCおよびATREF結果により以下が示される:
【0245】
実施例1のポリマーのDSC曲線は、115.7℃の融点(Tm)を示し、158.1J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃に最高ピークを示し、52.9パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は81.2℃である。
【0246】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、109.7℃の融点(Tm)を有するピークを示し、214.0J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、46.2℃に最高ピークを示し、57.0パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、63.5℃である。
【0247】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、120.7℃の融点(Tm)を有するピークを示し、160.1J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、66.1℃に最高ピークを示し、71.8パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、54.6℃である。
【0248】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、104.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、170.7J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、30℃に最高ピークを示し、18.2パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、74.5℃である。
【0249】
比較例AのDSC曲線は、90.0℃の融点(Tm)を示し、86.7J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、48.5℃に最高ピークを示し、29.4パーセントのピーク面積を有する。これらの値の両方は、密度が低い樹脂と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、41.8℃である。
【0250】
比較例BのDSC曲線は、129.8℃の融点(Tm)を示し、237.0J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、82.4℃での最高ピークを示し、83.7パーセントのピーク面積を有する。これらの値の両方は、密度が高い樹脂と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、47.4℃である。
【0251】
比較例CのDSC曲線は、125.3℃の融点(Tm)を示し、143.0J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、81.8℃に最高ピークを示し、34.7パーセントのピーク面積を有し、および52.4℃に低い結晶ピークを示す。これら2つのピークの間の間隔は、高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間の差は、43.5℃である。
【0252】
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合を、内部攪拌機を備えたコンピュータ制御オートクレーブ反応器で行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手できるIsopar(商標)E)、2.70ポンド/時間(1.22kg/時間)でのエチレン、1−オクテン、および水素(用いる場合)を、温度制御用のジャケットおよび内部熱電対を備えた3.8Lの反応器に供給する。この反応器への溶媒供給はマスフローコントローラで測定する。変速ダイアフラムポンプにより、反応器に対する溶媒流量および圧力を制御する。ポンプの排出時に、側流を取って、触媒および共触媒1注入ラインおよび反応器攪拌機にフラッシュフローを設ける。これらの流れは、Micro−Motionマスフローメーターで測定し、制御バルブによってまたはニードルバルブの手動調節によって制御する。残存する溶媒は、1−オクテン、エチレン、および水素(用いる場合)と合わせて、反応器に供給する。マスフローコントローラを用いて、水素を必要に応じて反応器に送る。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を用いて制御する。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプおよびマスフローメーターを用いて測定し、触媒フラッシュ溶媒と合わせて、反応器の底部に導入する。反応器は、液体を充満させて激しく攪拌しながら500psig(3.45MPa)で稼動する。生成物は反応器の頂部にある出口ラインから取り出す。反応器からの出口ラインはすべて、蒸気トレースおよび断熱が施されている。重合は、小量の水を任意の安定剤または他の添加剤と一緒に出口ラインに添加し、この混合物を静的ミキサーに通すことによって停止させる。次いで、生成物の流れを、脱揮前に熱交換器を通すことによって加熱する。ポリマー生成物は、脱揮押出機および水冷ペレタイザを用いて押出すことによって回収する。プロセスの詳細および結果は表2に含める。選択したポリマー特性を表3に示す。
【0253】
【表2】

【0254】
【表3】

【0255】
得られたポリマーは、前の実施例と同様に、DSCおよびATREFで試験する。結果は以下のとおりである:
【0256】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、119.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、60.0J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、47.6℃に最高ピークを示し、59.5パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、72.0℃である。
【0257】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、115.2℃の融点(Tm)を有するピークを示し、60.4J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、44.2℃に最高ピークを示し、62.7パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、71.0℃である。
【0258】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、121.3℃の融点を有するピークを示し、69.1J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、49.2℃に最高ピークを示し、29.4パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、72.1℃である。
【0259】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、123.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、67.9J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、80.1℃に最高ピークを示し、12.7パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、43.4℃である。
【0260】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、124.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、73.5J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、80.8℃に最高ピークを示し、16.0パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、43.8℃である。
【0261】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、115.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、60.7J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、40.9℃に最高ピークを示し、52.4パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、74.7℃である。
【0262】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、113.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、70.4J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、39.6℃に最高ピークを示し、25.2パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、74.1℃である。
【0263】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、113.2℃の融点(Tm)を有するピークを示し、48.9J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない(したがって、さらなる計算のためのTcrystafは、30℃に設定する)。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、83.2℃である。
【0264】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、114.4℃の融点(Tm)を有するピークを示し、49.4J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、33.8℃に最高ピークを示し、7.7パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、84.4℃である。
【0265】
実施例14のポリマーのDSC曲線は、120.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、127.9J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、72.9℃に最高ピークを示し、92.2パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、47.9℃である。
【0266】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、114.3℃の融点(Tm)を有するピークを示し、36.2J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、32.3℃に最高ピークを示し、9.8パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、82.0℃である。
【0267】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、116.6℃の融点(Tm)を有するピークを示し、44.9J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、48.0℃に最高ピークを示し、65.0パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、68.6℃である。
【0268】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、116.0℃の融点(Tm)を有するピークを示し、47.0J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、43.1℃に最高ピークを示し、56.8パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、72.9℃である。
【0269】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、120.5℃の融点(Tm)を有するピークを示し、141.8J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、70.0℃に最高ピークを示し、94.0パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、50.5℃である。
【0270】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、174.8J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、79.9℃に最高ピークを示し、87.9パーセントのピーク面積を有する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、45.0℃である。
【0271】
比較例DのポリマーのDSC曲線は、37.3℃の融点(Tm)を有するピークを示し、31.6J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値の両方は、密度が低い樹脂と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、7.3℃である。
【0272】
比較例EのポリマーのDSC曲線は、124.0℃の融点(Tm)を有するピークを示し、179.3J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、79.3℃に最高ピークを示し、94.6パーセントのピーク面積を有する。これらの値の両方は、密度が高い樹脂と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、44.6℃である。
【0273】
比較例FのポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示し、90.4J/gの融解熱を有する。対応するCRYSTAF曲線は、77.6℃に最高ピークを示し、19.5パーセントのピーク面積を有する。これら2つのピークの間の間隔は、高結晶性および低結晶性ポリマーの両方の存在と一致する。DSCのTmとTcrystafとの間のΔは、47.2℃である。
【0274】
物理的特性試験
ポリマー試料は、物理的特性、例えば、TMA温度試験によって証明されるような高温耐性、ペレットブロッキング強度、高温回復率、高温圧縮永久歪みおよび貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)について評価する。いくつかの市販のポリマーをこの試験に含める:比較実施例Gは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyから入手できる)であり、比較実施例Hは、弾性の、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyから入手できる)であり、比較実施例Iは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyから入手できる)であり、比較実施例Jは、水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymers LLCから入手できる)であり、比較実施例Kは、熱可塑性加硫物(TPV、架橋エラストマーをその中に分散して含むポリオレフィンブレンド)である。結果を表4に示す。
【0275】
【表4】

【0276】
表4において、比較実施例F(これは、触媒A1およびB1を用いる同時重合から得られる2つのポリマーの物理的ブレンドである)は、約70℃の1mm針入温度を有するが、実施例5〜9は、100℃以上の1mm針入温度を有する。さらに、実施例10〜19は、85℃を超える1mm針入温度を有し、ここで、大部分は90℃を超えるかさらに100℃を超える1mmTMA温度を有する。これは、新規なポリマーが、物理的ブレンドに比べてより高温でより良い寸法安定性を有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は、良好な約107℃の1mmTMA温度を有するが、約100パーセントの極めて不良な(高温70℃)圧縮永久歪みを有し、また高温(80℃)の300パーセント歪み回復の間に回復できなかった(試料は破断した)。したがって、例示されたポリマーは、一部の市販の高性能熱可塑性エラストマーでさえも得られない特性の独特の組合せを有する。
【0277】
同様に、表4は、本発明ポリマーに対して、6以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的ブレンド(比較例F)は、9の貯蔵弾性率比を有し、および同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)は、(89)を超える大きさの程度の貯蔵弾性率比を示す。ポリマーの貯蔵弾性率比はできるだけ1に近いことが望ましい。このようなポリマーは、温度に比較的影響されず、このようなポリマーから製造された二次加工品は、広い温度範囲にわたって有用に用いることができる。低い貯蔵弾性率比および温度依存性というこの特徴は、エラストマー用途において、例えば、感圧接着剤配合物において特に有用である。
【0278】
表4のデータはまた、本発明ポリマーが改善されたペレットブロッキング強度を有することを実証する。特に、実施例5は、0MPaのペレットブロッキング強度を有し、顕著なブロッキングを示す比較例FおよびGに比べて、試験条件下で自由に流動することを意味する。大きなブロッキング強度を示すポリマーの大量輸送は貯蔵または輸送に際し、製品同士の凝集またはくっつきを起こし、不良な取扱特性をもたらし得ることから、ブロッキング強度は重要である。
【0279】
本発明ポリマーに対する高温(70℃)圧縮永久歪みは、一般的に良好であり、一般的に約80パーセント未満、好ましくは約70パーセント未満、特に約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較例F、G、HおよびJはすべて、100パーセントの70℃圧縮永久歪み(最大可能値、回復がないことを示す)を有する。良好な高温圧縮永久歪み(低い数値)は、ガスケット、窓枠、O−リングなどの用途に特に必要とされる。
【0280】
【表5】

【0281】
表5は、新規なポリマーおよび種々の比較ポリマーについて、周囲温度での機械的特性の結果を示す。本発明ポリマーは、ISO4649に従って試験した場合、非常に良好な耐磨耗性を有し、一般的に約90mm未満、好ましくは約80mm未満、特に約50mm未満の容積減少を示すことが理解され得る。この試験において、数字が大きいほど、容積減少が大きく、結果としてより低い耐磨耗性を示す。
【0282】
本発明ポリマーの引張ノッチ付引裂強度によって測定した引裂強度は一般に、表5に示されるように、1000mJまたはそれを超える。本発明ポリマーの引裂強度は、3000mJ程度の大きさ、またはさらに5000mJの程度の大きさであり得る。比較ポリマーは一般に、750mJ以下の引裂強度を有する。
【0283】
表5はまた、本発明ポリマーが、一部の比較試料より良好な150パーセント歪みでの収縮応力(より高い収縮応力値で実証される)を有することを示す。比較実施例F、GおよびHは、400kPaまたはそれ未満の150パーセント歪みでの収縮応力値を有するが、本発明ポリマーは、500kPa(実施例11)から約1100kPa(実施例17)程度までの150パーセント歪みでの収縮応力値を有する。150パーセントを超える収縮応力値を有するポリマーは、弾性用途、例えば、弾性繊維および織物、特に不織布などに極めて有用である。その他の用途には、おむつ、衛生、および医療用衣類のウェストバンド用途、例えば、タブおよび弾性バンドが含まれる。
【0284】
表5はまた、応力緩和(50パーセント歪みでの)も、例えば、比較例G*と比べて、本発明ポリマーについて改善される(少ない)ことを示す。より低い応力緩和は、体温での長期間にわたる弾性の保持が望まれるおむつおよびその他の衣類などの用途で、ポリマーがその力をより良好に保持することを意味する。
【0285】
光学特性
【表6】

【0286】
表6に報告される光学的特性は、実質的に配向を欠く圧縮成形フィルムに基づく。ポリマーの光学的特性は、重合に用いられる可逆的連鎖移動剤の量の変化から生じる結晶サイズの変化により、広範囲に変わり得る。
【0287】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7および比較例Eのポリマーの抽出試験を行う。この実験において、ポリマー試料は、ガラスフリット抽出シンブル(thimble)中に秤量し、Kumagawa式抽出器中に取り付ける。試料とともに抽出器を窒素でパージし、500mL丸底フラスコに350mLのジエチルエーテルを入れる。次いで、フラスコを抽出器に取り付ける。このエーテルを攪拌しながら加熱する。エーテルがシンブル中に凝縮し始める時間を記録し、抽出を窒素下で24時間進行させる。この時点で、加熱を止め、溶液を冷却させる。抽出器中に残存するすべてのエーテルをフラスコに戻す。フラスコ中のエーテルを周囲温度において真空下で蒸発させ、得られた固形物を窒素パージして乾燥する。すべての残留物を、ヘキサンの連続洗浄を用いて秤量した瓶に移す。次いで、合わせたヘキサン洗浄物を別の窒素パージを用いて蒸発させ、残留物を40℃で一晩、真空下で乾燥させる。抽出器に残存するすべてのエーテルを窒素パージして乾燥させる。
【0288】
次いで、350mLのヘキサンを入れた第2の清浄な丸底フラスコをこの抽出器に接続する。ヘキサンを攪拌しながら加熱還流させ、還流下で24時間維持し、その後へキサンがシンブル中に凝縮していることを最初に認める。次いで、加熱を止め、フラスコを冷却させる。抽出器中に残存するすべてのヘキサンをフラスコに移して戻す。ヘキサンを周囲温度において真空下で蒸発させることによって除去し、フラスコ中に残存するすべての残留物を連続的ヘキサン洗浄を用いて秤量した瓶に移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージによって蒸発させ、残留物を40℃で一晩真空乾燥させる。
【0289】
抽出後にシンブル中に残存するポリマー試料は、シンブルから秤量した瓶に移し、40℃で一晩真空乾燥させる。結果を表7に含める。
【0290】
【表7】

【0291】
追加のポリマー実施例19A〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、コンピュータ制御完全混合反応器で行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手できるIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテン、および水素(用いる場合)を合わせて、27ガロンの反応器に供給する。反応器への供給は、マスフローコントローラで測定する。供給流の温度は、グリコール冷却熱交換器を用いて制御し、その後、反応器に入れる。触媒成分溶液は、ポンプおよびマスフローメーターを用いて計量する。反応器は、液体を充満させて約550psigの圧力で稼動させる。反応器を出る際に、このポリマー溶液に水および添加剤を注入する。この水が触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。次いで、反応器後溶液を2段階脱揮に備えて加熱する。溶媒および未反応モノマーは、脱揮工程中に除去する。ポリマー溶融物は、水中ペレット切断のためにダイにポンプで送る。
【0292】
工程の詳細および結果は図7aに含める。選択したポリマーの特性を表7b〜7cに示す。

【0293】
【表8】

【0294】
【表9】

【0295】
【表10】

【0296】
実施例20−エチレン/α−オレフィンインターポリマー
連続溶液重合は、コンピュータ制御完全混合反応器で行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手できるISOPAR(商標)E)、エチレン、1−オクテン、および水素(該当する場合)を合わせて、102Lの反応器に供給する。反応器への供給は、マスフローコントローラで測定する。供給流の温度は、グリコール冷却熱交換器を用いて制御し、その後、反応器に入れる。触媒成分溶液は、ポンプおよびマスフローメーターを用いて計量する。反応器は、液体を充満させて約550psigの圧力で稼動させる。反応器を出る際、このポリマー溶液に水および添加剤を注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。次いで、反応器後溶液を2段階脱揮に備えて加熱する。溶媒および未反応モノマーを脱揮工程中に除去する。ポリマー溶融物は、水中ペレット切断のためにダイにポンプで送る。工程の詳細および結果は、表8および表9に含める。
【0297】
実施例20の試験
標準CRYSTAF法。分岐分布は、PolymerChar、Valencia、スペインから市販されているCRYSTAF200装置を用いて結晶化分析分別(CRYSTAF)によって決定した。試料を1,2,4−トリクロロベンゼン中に160℃で1時間溶解させ(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化させる。試料採取温度は、0.2℃/分の冷却速度で95から30℃の範囲にわたった。赤外線検出器を用いて、ポリマー結晶化濃度を測定する。累積可溶物濃度は、その温度が低下する間にポリマーが結晶化するときに測定した。累積プロファイルの分析導関数は、ポリマーの短鎖の分岐分布を反映する。
【0298】
CRYSTAFピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、PolymerChar、Valencia、スペイン)に含まれたピーク解析モジュールにより特定した。CRYSTAFピーク検出ルーチンにより、dW/dT曲線中の最大としてピーク温度およびその微分曲線中の特定ピークのいずれかの側の最大の正の変曲間の面積を特定した。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメータは、70℃の温度限界を有し、その温度限界を超えて0.1、その温度限界未満で0.3の平滑化パラメータを有した。各実施例のCRYSTAFピーク温度および面積は、以下の表9に記載する。
【0299】
DSC標準法 示差走査熱量法の結果は、RCS冷却付属装置およびオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000DSCを用いて決定した。50ml/分の窒素パージガス流量を用いた。試料を薄膜に加圧成形し、プレス機内において約175℃で溶融させ、次いで、室温(25℃)に空冷した。次いで、試料(約3〜10mg)を直径6mmのディスクに切断し、正確に秤量し、軽アルミ製パン中に入れ(約50mg)、次いでクリンプして閉じた。試料の熱挙動を以下の温度プロファイルで調査した。試料を180℃に急速に加熱し、前のすべての熱履歴を除去するために3分間恒温保持した。次いで、試料を10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃に加熱した。冷却および第2の加熱曲線を記録した。溶融ピーク(T)および冷却ピーク(T)を決定した。
【0300】
小さい溶融または冷却ピークが見られる場合、ピークはTm2またはTc2と記した。各試料の融解熱TおよびTを以下の表9に記載する。
【0301】
GPC法。ゲル透過クロマトグラフシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220装置のいずれかで構成した。カラムおよびカルーセル区画は140℃で操作した。3つのPolymer Laboratories 10−micron Mixed−Bカラムを使用した。溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンであった。試料は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。試料を160℃で2時間軽く攪拌することによって調製した。用いた注入容積は100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分であった。
【0302】
GPCカラム設定の較正は、個々の分子量間に少なくとも10の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置された580から8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行った。この標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入した。ポリスチレン標準物質を、1,000,000以上の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中に0.025グラム、1,000,000未満の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製した。ポリスチレン標準物質を穏やかに攪拌しながら80℃で30分間溶解させた。狭い標準物質混合物を最初に、および分解を最小にするために最高分子量の成分から減少する順に流した。ポリスチレン標準ピーク分子量は、(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci.、Polym.Let.、6巻、621頁(1968年)に記載されたとおりの)以下の式:Mpolyethylene=0.431(Mpolystyrene)を用いて、ポリエチレン分子量に変換した。ポリエチレン相当分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を用いて行った。表9に、重量平均分子量M、数平均分子量M、およびそれらの比M/Mを報告する。
【0303】
密度。密度測定の試料は、ASTM D1928に従って調製した。密度測定は、参照により本明細書に組み込まれるASTM D792、B法を用いて試料加圧成形の1時間以内に行った。各試料の密度は、以下の表9に記載する。
【0304】
メルトインデックス。メルトインデックスIは、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定した。メルトインデックスI10も、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定する。各試料のI、I10およびI10/I比は、以下の表9に記載する。
【0305】
【表11】

【0306】
【表12】

【0307】
接着剤配合物の調製のための一般手順
接着剤配合物は、Sigmaブレードミキサーを用いて調製した。Sterlo Hot Oil温度制御装置に付属した1kg容量のReadco Sigmaブレードミキサーを350°Fで油を用いて45分間予備加熱する。ポリマー実施例20を窒素下で入れて、15分間混合する。粘着付与剤を4分の1量で添加し、このバッチをさらに45分混合し、その後、油を添加する。油は徐々に添加し、このバッチをさらに30分混合し、その後すべての成分を添加する。0.7kgのバッチを調製する。
【0308】
配合接着剤のための粘度の好ましい範囲は、Brookfield粘度で測定して、350°F(177℃)で約100から約300,000cP、より好ましくは約100から約150,000cP、最も好ましくは約100から約50,000cPであり、これらのすべては、350°F(177℃)で測定する。
【0309】
接着剤試験手順
Brookfield粘度
溶融粘度は、使い捨てアルミ製試料室を備えたBrookfield Laboratories DVII+ Viscometerを用いて、ASTM D3236(これは参照により本明細書に組み込まれる)によって決定する。一般に、30から100,000センチポイズ(cP)の範囲の粘度を測定するために適切なSC−31スピンドルを用いる。粘度がこの範囲外にある場合、そのポリマーの粘度に適切である代わりのスピンドルを用いなければならない。試料を、切断刃を用いて、1インチ幅、5インチ長の試料室に適合させるように十分小さい断片に切断する。使い捨て管に8〜9gのポリマーを入れる。試料をその室に入れ、そして次にBrookfield Thermoselの中に挿入し、曲ニードルノーズプライヤで所定位置に固定する。試料室は、Brookfield Thermoselの底部に適合する底部上にノッチを有し、スピンドルが挿入され回転する場合、その室を回転させないことを確実にする。試料を所望の温度(170℃/338°F)に加熱する。粘度計装置を下げ、スピンドルを試料室中に沈ませる。粘度計のブラケットがThemoselに並ぶまで下げ続ける。粘度計のスイッチを入れ、40から70パーセントの範囲にトルク読み取りをもたらすせん断速度に設定する。読み取りは、約15分間毎分、または値が安定するまで行い、次いで、最終の読み取りを記録する。
【0310】
剥離試験法
ポリエチレン/不織布ラミネートを、300mm/分の剥離速度に設定したInstron材料試験装置を用いて剥離させ、平均力を線インチ当たりポンド(pli)で33秒間または材料の165mmについて記録する。各ラミネートの20個の試料を剥離し、20個の測定値の平均を標準偏差とともに記録する。初期剥離は、ラミネートを室温で24時間平衡化させた後に室温で剥離することを意味する。室温エージング剥離は、ラミネートを室温で24時間エージングし、次いで、剥離前にさらに2週間エージングすることを意味する。40℃エージング剥離は、ラミネートを室温で24時間、次いで、40℃で2週間、次いで室温で24時間平衡化させ、次いで剥離することを意味する。37℃剥離は、RTで24時間その接着を調整し、次いで、その構造物を37℃に設定した室に1時間置き、それらを37℃で剥離することを意味する。
【0311】
【表13】

【0312】
スパイラルスプレー接着試験
【0313】
【表14】

【0314】
接着剤配合物および粘度は表10に示す。各接着剤配合物は、Dittbernerアプリケータおよび1.25インチのPE隙間へのノズルを備えた、Acumeter Laboratories Spray Coater Model CL310.5の0.020インチスパイラルスプレーノズルを用いて、おむつ構成物に使用され得るなどの、ポリエチレンバックシート、DH215 1ミル(Clopay)に表11に示した温度、および350フィート/分のラインスピードで適用する。他の処理パラメータも表11に示す。ノズルでの空気圧を平方インチ当たりポンド(psi)で測定する。次いで、スパンボンドポリプロピレン不織布シート、BBA SB 603 16.9gsm(BBA Nonwovens Simpsonville Inc.)をバックシートの接着剤配合物側に対して加圧して、ラミネートを形成する。上記表11に見られ得るように、配合物1は、250°Fで適用することができない配合物Aのものと等しいかまたはより良い結果とともにかなり低い温度で適用され得る。特に、配合物1の初期剥離強度は、線インチ当たり5.5ポンドであり、エージングとともに15.2pliおよび14.2pliに増加する。これらのすべては、おむつ構成物または同様のこのような人の衛生物品に有用である。
【0315】
本発明を限定された数の実施形態に関して説明してきたが、一実施形態の具体的特徴は、本発明の他の実施形態に帰属されるべきではない。単一の実施形態は本発明のすべての態様を代表しない。一部の実施形態において、本組成物または方法は、本明細書に記述されない多くの化合物またはステップを含み得る。他の実施形態において、本組成物または方法は、本明細書に列挙されないいずれの化合物またはステップを含まないか、または実質的に有しない。説明した実施形態からの変形および変更が存在する。最後に、本明細書で開示される任意の数は、その数を説明する際に「約」または「おおよそ」という語が用いられているか否かにかかわらず、近似値を意味すると解釈されるべきである。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内に入るそれらの変更または変形のすべてに及ぶことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物であって、
(i)前記接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約40重量%の少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンブロックコポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは前記コポリマーの総重量に基づいて50モル%を超えるエチレンを含み、
(a)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)(ここで、Tおよびdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する)を有するか、または
(b)約1.7から約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)(ここで、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロを超え、最大130J/gのΔHに対して)、
ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対して)
を有する)を特徴とし、ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であるか;または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300パーセント歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的にもたない場合、Reおよびdの数値は以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たすか;または
(d)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、前記画分は同じ温度間で溶出する比較し得るランダムエチレンインターポリマー画分のものより少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、ここで、前記比較し得るランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内でメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(前記ポリマー全体に基づいて)を有するか;または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある)を有するか;または
(f)TREFを用いて分別した場合、40℃と130℃の間で溶出する分子画分を有し、前記画分は少なくとも0.5から最大約1のブロックインデックスを有することを特徴とするか;または
(g)ゼロ超から最大約1.0の平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有する];
(ii)前記接着剤組成物の総重量に基づいて、約30重量%から約70重量%の少なくとも1種の粘着付与剤;および
(iii)前記接着剤組成物の総重量に基づいて、約10重量%から約30重量%の油または低分子量ポリマー
を含む接着剤組成物。
【請求項2】
ホットメルト接着剤組成物、感圧接着剤組成物または熱可塑性マーキング用組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粘着付与剤が、前記組成物全体の重量で約15重量%から約75重量%の範囲で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記粘着付与剤が、80℃以上のR&B軟化点を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記油が、前記組成物全体の重量で0重量%から約30重量%の範囲の量で存在する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
可塑剤、ワックス、酸化防止剤、UV安定剤、着色剤または顔料、充填剤、流動補助剤、カップリング剤、架橋剤、表面活性剤、溶剤、芳香剤およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.85から約0.88g/cc、好ましくは約0.86から約0.875g/ccの密度を有する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約5から約50g/10分、好ましくは約10から約30g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、前記組成物全体の重量で約10%から約75%の範囲で存在する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の組成物でコーティングされた基材を含む物品。
【請求項11】
医療機器、包帯、または衛生物品である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の組成物を基材に適用する方法であって、
前記組成物を前記基材に約100℃から約150℃、好ましくは約115℃から約140℃、より好ましくは約120℃から約130℃の範囲の温度で適用する段階を含む方法。
【請求項13】
前記接着剤を非接触方式のスパイラルスプレーまたは接触方式のスロットダイコーティングによって適用する段階を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−537002(P2010−537002A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522017(P2010−522017)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073831
【国際公開番号】WO2009/029476
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】