説明

エネルギシステム

【課題】 エネルギ効率を高めたエネルギシステムを提供する。
【解決手段】 天然エネルギを再生して得られたエネルギを用いて、水から水素と酸素を製造する装置2と、装置2から得られた酸素を用いて燃料aを燃焼させてエネルギの変換をするエネルギ変換装置3と、エネルギ変換装置3から排気される二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置4と、を備え、水素又は電力の少なくとも一方を供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両又は火力発電システムから排気される排ガスには、二酸化炭素(CO2)が含まれている。近年における地球温暖化防止対策の一環として、地球温暖化の要因となる二酸化炭素を固定化・隔離する研究、又は二酸化炭素を化学原料として利用する研究が、精力的に進められている。
【0003】
火力発電システムは、基本的に、供給される燃料を空気と燃焼させる燃焼器と、燃焼器からの燃焼熱により水を加熱するボイラと、ボイラでの加熱により生じた水蒸気により回転されるタービンと、回転エネルギから発電電力とする発電機と、から構成される。燃焼器から排気される排ガス中の二酸化炭素は、燃焼器の後流側に設置された二酸化炭素(CO2)回収装置において分離濃縮されて、回収される。
【0004】
二酸化炭素を回収する、即ち、二酸化炭素を分離濃縮する技術は、従来から知られており、膜分離法、吸着分離法、及び吸収分離法がある。
【0005】
膜分離法は、分離膜を用いて二酸化炭素を分離する方法であり、設備及び操作が簡易であり、クリーンなプロセスを有し、さらに環境に対する負荷が少ないという特徴がある。理論的には、分離時に必要となるエネルギを低くできる可能性があるが、二酸化炭素を分離する場合には、分離係数、透過速度、又は使用温度などのスペック上、条件を満たす分離膜が未だ開発されておらず、分離膜自体の基礎研究のレベルにある。
【0006】
吸着分離法は、吸着剤を用いてガスを脱着させる方法である。例えば、圧力差を利用するPSA( Pressure Swing Adsorption )法、温度差を利用するTSA( Thermal Swing Adsorption )法、及び圧力差と温度差の両者を利用するPTSA法があり、時間サイクルの短いPSA法が一般的に利用されている。吸着分離法は、乾式のクリーンなプロセスであり、高濃度ガスを処理する場合には、分離エネルギが少なくなるという特徴がある。実際、鉄鋼排ガスのように、排ガス中に二酸化炭素が高濃度含まれていると分離エネルギが少なくなることから、ドライアイス製造としても商業ベースで実用化されている。しかし、火力発電システムのように、排ガスに含まれる二酸化炭素の濃度が、高々13%程度である場合には、分離エネルギが大きくなるという問題を有していた。
【0007】
吸収分離法は、吸収剤を用いて化学的に二酸化炭素を吸収して分離する方法であり、吸収剤の単位重量あたりの二酸化炭素の回収量が多いという特徴がある。しかし、吸収剤に吸収された二酸化炭素を放出させるために多大なエネルギを必要とするなどの問題があり、未だ吸収材自体の基礎研究のレベルにある。
【0008】
そこで、新たに純酸素燃焼による方法が検討されている(非特許文献1参照)。この方法では、発電電力の一部の電力を使用し、PSA(Pressure Swing Adsorption)等の手法により空気から純酸素を製造し、純酸素を燃焼器に導入して燃料の純酸素燃焼を行う。純酸素を用いて燃料を燃焼するため、排ガスには二酸化炭素と水蒸気しか含まれず、二酸化炭素回収装置を簡易にすることができるという利点がある。しかし、発電電力のうち約30%もの多くの電力を、空気から酸素を分離濃縮するために使用しなければならず、エネルギ効率が低下する恐れを有していた。なお、純酸素だけではなく、空気の酸素富化を行う場合も同様である。
【0009】
また、発電電力を用いて水電解により水素を製造し、水電解により副生した酸素を純酸素燃焼に用いるエネルギシステム(水素・酸素供給システム)も開発されている。(特許文献1参照)。このエネルギシステムでは、発電機により発電した発電電力を用いて水を電気分解して、生成した水素を燃料として供給し、生成した酸素の一部を燃焼器に導入して、燃料を純酸素燃焼している。
【特許文献1】特開2004−41967号公報
【非特許文献1】CO2回収のための純O2燃焼システムとその事前評価、本庄、佐野、井田、第11回エネルギシステム・経済コンファレンス講演論文集、(pp.407-414、1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したエネルギーシステム(水素・酸素供給システム)の場合、消費燃料Ffuel[mol/sec]当りの酸素生成量Fox[mol/sec]は、下式(1)により与えられる。
【0011】
Fox/Ffuel=LHVfuel/LHVH2・ηpower/100・ηelectrolysis/100・1/2 …式(1)
ここで、LHVfuel[kJ/mol]は燃料の低位発熱量、LHVH2[kJ/mol]は水素の低位発熱量であり241.8kJ/mol、ηpower[%]は火力発電所のエネルギ効率で、一般的には約40%、ηelectrolysis[%]は、水電解のエネルギ効率であり、一般的に約75%である。燃料として炭を用いた場合、低位発熱量が393.5kJ/molであり、計算によれば、炭1mol当り0.24molの酸素が得られることになる。炭の燃焼を反応式(2)に示す。
【0012】
C+O2→CO2 …反応式(2)
生成酸素の全量を燃焼器での純酸素燃焼に用いたとしても、純酸素燃焼に必要な酸素量の24%しか酸素が得られないことが判る。また、炭化水素系燃料であるオクタンを用いた場合でも、計算によれば、純酸素燃焼に必要な酸素量の25%だけしか酸素を得ることができない。このため、水電解により副生した酸素を純酸素燃焼に用いるエネルギシステムでは、マスバランスが成立しないという恐れを有していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、本発明のエネルギシステムは、天然エネルギを再生して得られたエネルギを用いて、水から水素と酸素を製造する装置と、装置から得られた酸素を用いて燃料を燃焼させてエネルギの変換をするエネルギ変換装置と、エネルギ変換装置から排気される二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、を備え、水素又は電力の少なくとも一方を供給することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエネルギシステムによれば、水から製造される酸素を利用して純酸素燃焼をして燃料をエネルギ変換したため、CO2分離回収又は純酸素を製造するためのエネルギを発電電力で賄う必要が無くなり、この結果、エネルギ効率が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係るエネルギシステムを説明する。
【0016】
第1実施形態(図1〜図5)
第1実施形態は、水素と電力の両方を供給するエネルギシステムである。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエネルギシステムの構成図である。エネルギシステム1は、天然エネルギを再生して得られたエネルギを用いて、水から水素と酸素を製造する装置2と、この装置2から得られた酸素を用いて燃料を燃焼させてエネルギの変換をするエネルギ変換装置3と、エネルギ変換装置3から排気される二酸化炭素を回収する二酸化炭素(CO2)回収装置4と、を備える。
【0018】
エネルギ変換装置3は、燃焼器5の後流側に、ボイラ6と、タービン7と、発電機8と、を設置した火力発電装置により構成される。燃焼器5には、燃料貯留部9から燃料供給装置10を介して供給される燃料aと、水から水素と酸素を製造する装置2から供給される酸素bと、が導入され、導入された燃料aと酸素bとは燃焼器5により燃焼されて、燃焼熱によりボイラ6内の水を加熱する。水の加熱により発生した水蒸気はタービン7を回転させて、発電機8によって発電電力cが得られる。燃焼器5から排出される排ガスd中の二酸化炭素は、CO2回収装置4によって分離濃縮される。
【0019】
水から水素と酸素を製造する装置2としては水電解装置11を設置し、水電解装置11は、供給される水eを電解して水素fと酸素bとを生成する。水素fは、図示しない水素パイプライン又は水素ステーションへと供給される。一方の酸素bは、通常、大気中に排出されるが、この酸素bを燃焼器5に供給することで、酸素bを利用して純酸素燃焼して発電をする。
【0020】
水電解装置11の上流側には、太陽電池発電装置12と蓄電装置13とを設置し、水電解装置11は、天然エネルギである太陽光14を太陽電池発電装置12により再生して得られた発電電力gをエネルギ源として用いて、水素fと酸素bを製造する。太陽電池発電装置12の発電電力gは常に変動するため、発電電力gを蓄電装置13に一時的に蓄電可能な構成としている。
【0021】
水電解装置11と太陽電池発電装置12との間には電力管理装置15を設置し、この電力管理装置15は、エネルギシステム1内に設置された制御装置16の制御信号hに基づき、太陽電池発電装置12の発電電力g、並びに蓄電装置13から水電解装置11への発電電力gの給電、発電機8から発電電力cの供給を管理する。
【0022】
制御装置16は、電力供給の電力デマンドに基づき、電力管理装置15と燃料供給装置10とに制御信号h、制御信号iを送ることで発電電力量を制御する。この制御装置16は、太陽電池発電装置12によって発電された発電電力量の信号jと蓄電装置13での蓄電量の信号kを制御装置に送り、発電電力量を制御する。
【0023】
発電機8から得られた発電電力cは、電力管理装置15を経由して、配電線又は図示しない設備装置に配電される。
【0024】
次に、エネルギシステム1の処理シークエンスを図2に基づき説明する。
【0025】
まず、電力デマンドを読み込み(St1)、必要な燃料量を算出し(St2)、算出された燃料量を供給する(St3)。次に、純酸素燃焼に必要な酸素量を算出し(St4)、水電解に必要な電力量を算出する(St5)。その後、発電電力を水電解装置11に供給し(St6)、発電機8からの発電電力を電力供給して(St7)、スタートに戻る。
【0026】
本実施の形態におけるエネルギシステム1は、純酸素燃焼の火力発電と太陽エネルギを用いて、水から水素と酸素を得る太陽電池発電装置12と、水電解装置11の酸素を用いて純酸素燃焼をするよう組み合わせをしたものである。純酸素燃焼のマスバランスが、アベレージとして成立している際の、火力発電装置の出力Psolar [kW]と水電解装置の出力Ppower [kW]の比r[-]は、下式(3)により与えられる。
【0027】
r=Psolar/Ppower=2・mox・LHVH2/LHVfuel・100/ηpower・fpower/100・1/ksolar … 式(3)
ここで、mox[-]は、燃料を完全燃焼させるのに必要な酸素の化学量論比であり、炭素であれば1、オクタンであれば12.5である。 fpower[%]は、火力発電装置の平均稼動率であり、通常35%程度である。ksolar [-]は、有効日射係数であり、例えば、太陽電池発電装置であれば稼働率[%]/100の意味であり、日本の平均では0.125、砂漠等日照条件の良い地域では0.2の値となる。一般的な火力発電装置は、一基で25万kW程度であるため、炭素燃焼で計算すると、出力の比[-]は5.4となり、134万kWの水電解装置となる。水電解装置の効率が30%であれば、約2km四方のソーラー水素プラントサイズとなる。
【0028】
なお、図1に示すエネルギシステム1では、水素と電力の両方を供給する構成としたが、水素のみを供給するエネルギシステム17(図3)、電力のみを供給するエネルギシステム18(図4)としても良い。例えば、図3に示すエネルギシステム17では、発電機8からの発電電力cが蓄電装置13に蓄電される。図4に示すエネルギシステム18では、水電解装置11に燃料電池システム19が接続されており、水電解装置11から導入される水素fを燃料として発電を行い、発電機からの発電電力と共に発電電力c、lを供給する。
【0029】
図3及び図4に示すエネルギシステム17、18は、図1に示すエネルギシステム1に比べて、電力又は水素のいずれかのみを供給したためエネルギ効率が低下するが、システム全体の制御が容易となる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、常に酸素のマスバランスを成立させた状態で純酸素燃焼により発生するCO2を回収することが可能となるだけではなく、従来使用しない副生酸素を用いて純酸素燃焼をしたため、発電電力の一部を用いて純酸素の製造を行う必要が無くなる。この結果、エネルギシステム全体のエネルギ効率を高めることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、太陽電池発電装置による発電電力を直接蓄電装置に配電する例を示したが、電力管理装置を介して行っても良く、電力管理装置内での発電電力の昇降圧を行っても良い。
【0032】
第2実施形態(図5)
第2実施形態では、天然エネルギを再生して得られたエネルギを用いて、水から水素と酸素を製造する装置を改良したエネルギシステムを説明する。
【0033】
図5に、本発明の第2の実施形態に係るエネルギシステムの構成図を示す。なお、図1と同一の構成には同一符号を用いて、その説明を省略する。エネルギシステム20は、水から水素と酸素を製造する装置2として水熱分解装置21を設置し、水熱分解装置21には、太陽熱22を集める集熱装置23を接続している。集熱装置23により集めた熱エネルギを用いて、水熱分解装置21において、水eを熱化学的に分解し、酸素bと水素fにする。
【0034】
水熱分解装置21と燃焼器5との間には、酸素貯留装置24と、酸素供給装置25とを設置している。酸素貯留装置24は、生成する酸素bの量が変動するため、液化等の手法を用いて貯留する。酸素供給装置25は、制御装置16の制御信号mに基づき、燃焼器5に酸素bを供給する。
【0035】
なお、第1実施形態では蓄電装置13を設置したが、本実施形態では、熱化学的に水素を製造したため畜電装置13に替えて畜熱装置を設けても良い。
【0036】
本実施の形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られることはもちろんである。
【0037】
また、本実施の形態によれば、酸素貯留装置24を設置したため、天候が悪い場合であっても酸素の供給が可能となり、燃焼器5での純酸素燃焼を平滑化でき、制御系をシンプルにすることができる。また、酸素過剰による純酸素利用率の低下、酸素不足による燃料利用率の低下、未反応酸素ないしは未反応燃料の混合によるCO2回収装置4の負荷増大を防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態のように、酸素貯留装置24を設けた場合には、畜電装置を設置しなくても良い。酸素貯留装置を高圧タンクとした場合には、高圧水電解による水電解装置にすると良く、これにより昇圧のエネルギの損失を無くすことができる。
【0039】
第3実施形態(図6)
第3実施形態では、第2実施形態において説明した図5に示すエネルギシステムを改良したエネルギシステムを説明する。
【0040】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るエネルギシステムの構成図である。なお、図1と同一の構成には同一符号を用いて、その説明を省略する。エネルギシステム26は、発電機6の後流側に電力管理装置27と、純酸素製造装置28と、を設置している。
【0041】
制御装置16からの制御信号oに基づき、電力管理装置27から純酸素製造装置28に発電電力cが供給される。純酸素製造装置28に空気pを導入し、PSA等により純酸素を製造する。純酸素製造装置28から窒素qが排出されると同時に、生成された純酸素nは燃焼器5に導入される。なお、純酸素nは、酸素貯留装置24に貯留しても良い。
【0042】
また、火力発電装置並びに太陽光からの水熱分解装置の規模を、前述したマスバランス可能なバランスで設計すれば、発電電力cの一部を用いて純酸素製造装置28を運転するのは、天気が悪い日が続く等のイレギュラーな場合のみに限定することができる。この結果、発電電力による純酸素製造装置28の運転によるエネルギ効率の低下を抑制することができる。一方、昼間等のように、太陽光からの酸素製造が可能な場合には、水熱分解装置21からの酸素bを用いて純酸素燃焼し、夜間等のように太陽光を利用できない場合には、発電電力cの一部を用いて純酸素製造装置24を運転しても良い。
【0043】
なお、純酸素製造装置28は、空気から酸素濃度の高い空気を製造する酸素製造装置、即ち、酸素富化製造装置を用いても良い。
【0044】
本実施の形態によれば、第2実施形態と同様の効果が得られることはもちろんである。
【0045】
また、本実施の形態によれば、太陽光からの酸素製造量が不足している場合でも、純酸素燃焼に必要な純酸素製造を補填することが可能であり、これに伴い、酸素貯留装置を小型化して、エネルギシステム自体を小規模にすることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態によれば、純酸素製造装置を設置したため、集熱装置及び水熱分解装置の規模も小さくでき、立地条件に制約されることも無くなる。
【0047】
以上、前述した第1実施形態から第3実施形態までを挙げて説明したが、本発明は、その文言、数値に限定されるものではない。
【0048】
例えば、水から水素と酸素を製造する装置2は、水電解装置11に限定されず、水を熱化学的に分解して水素を製造する熱化学的水素製造装置、又は光触媒による水素製造装置であっても良い。
【0049】
また、天然エネルギは、太陽エネルギ(太陽光)に限定されず、風力、水力、地熱エネルギなど、場合によっては原子力の高温排熱をも利用することができ、酸素が副生するエネルギであれば良い。
【0050】
エネルギ変換装置3は、火力発電装置に限定されず、溶鉱炉への熱供給装置、温水供給装置など、燃料を純酸素燃焼によりエネルギを変換する装置であれば、適用することが可能である。
【0051】
エネルギ変換装置3に供給する燃料は、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料に限定されず、バイオマスであっても良い。なお、本発明の実施の形態に係るエネルギシステムにおいて化石燃料を用いた場合には、CO2ニュートラルで大気中のCO2量の増加を無くし、また、バイオマスであれば、逆に大気中のCO2を減らす事ができる。また、水素供給量をデマンド信号としても良い。
【0052】
なお、前述した各実施形態では、水から水素と酸素を製造する例を用いたが、水素は、「酸化によってエネルギ又は水素等の燃料を生成するエネルギキャリア」、水は、「上記エネルギキャリアの酸化体」に置き換えても適用することが可能である。より具体的には、Al、Mg等の金属をエネルギキャリアとして水と反応させて、水素を発生させて、金属酸化物又は金属水酸化物を使用済燃料として回収し、太陽熱等で金属に再生するエネルギ循環システムとしても良い。このエネルギ循環システムによれば、使用済燃料の再生工程にて副生する酸素が得られるため、純酸素燃焼をする火力発電とのハイブリッド化が可能となる。
【0053】
さらに、太陽電池発電装置12は、火力発電装置とは別地域に設置して、送電線又は電力グリッドを介して給電しても良い。設置基準が弾力化し、本エネルギシステムを実現し易くなる。電力グリッド自身がエネルギバッファ機能を有しており、太陽エネルギの蓄電装置または畜熱装置などのエネルギ貯留装置、あるいは酸素貯留装置の小型化、又は無くすことも可能になる。また、水素供給は、貯留して輸送しても、パイプラインへの供給でも、水素ステーションとしてFCVに供給しても良い。
【0054】
また、各実施形態においては、電力デマンドに基づいてシステムの負荷を制御したが、酸素量に基づきシステムの負荷を制御しても良い。太陽エネルギを貯留するエネルギ貯留装置(バッテリ、畜熱器など)あるいは酸素貯留装置を小型化又は無くすことも可能になり、エネルギシステム全体の低コスト化を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るエネルギシステムの構成図である。
【図2】図2は、図1に示すエネルギシステムの処理シークエンスを示す図である。
【図3】図3は、図1に示すエネルギシステムの改良例である。
【図4】図4は、図1に示すエネルギシステムの改良例である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係るエネルギシステムの構成図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態に係るエネルギシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1…エネルギシステム,
2…水から水素と酸素を製造する装置,
3…エネルギ変換装置,
4…二酸化炭素回収装置,
5…燃焼器,
6…ボイラ,
7…タービン,
8…発電機,
9…燃料貯留部,
10…燃料供給装置,
11…水電解装置,
12…太陽電池発電装置,
13…蓄電装置,
14…太陽光,
15…電力管理装置,
16…制御装置,
a…燃料,
b…酸素,
c,g…発電電力,
d…排ガス,
e…水,
f…水素,
h、i…制御信号,
j…発電量信号,
k…蓄電量信号,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然エネルギを再生して得られたエネルギを用いて、水から水素と酸素を製造する装置と、前記装置から得られた酸素を用いて燃料を燃焼させてエネルギの変換をするエネルギ変換装置と、前記エネルギ変換装置から排気される二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、を備え、水素又は電力の少なくとも一方を供給することを特徴とするエネルギシステム。
【請求項2】
前記天然エネルギは、太陽光、風力、水力及び地熱の中から選択される少なくとも一種のエネルギであることを特徴とする請求項1記載のエネルギシステム。
【請求項3】
前記水から水素と酸素を製造する装置は、水を電解して水素と酸素を製造する水電解装置、水を熱化学的に分解して水素を製造する熱化学的水素製造装置、及び太陽光をエネルギ源として水から直接水素を製造する直接水素製造装置の中から選択される少なくともいずれか一つの装置であることを特徴とする請求項1又は2記載のエネルギシステム。
【請求項4】
前記エネルギ変換装置は、火力発電装置、溶鉱炉への熱供給装置、及び温水供給装置の中から選択される少なくとも一つの装置であることを特徴とする請求項1記載のエネルギシステム。
【請求項5】
前記エネルギ変換装置によりエネルギ変換して得られた電力は、配電線に供給されることを特徴とする請求項4記載のエネルギシステム。
【請求項6】
さらに、前記天然エネルギを再生して得られたエネルギを貯留するエネルギ貯留装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項7】
さらに、水から製造した酸素を貯留する酸素貯蔵装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項8】
さらに、前記エネルギ変換装置からの出力に基づき、酸素濃度の高い空気又は純酸素を製造する純酸素製造装置を備え、前記純酸素製造装置から得られた酸素濃度の高い空気又は純酸素を前記エネルギ変換装置に供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項9】
さらに、前記水から水素と酸素を製造する装置から製造される酸素の生成量を検出する酸素生成量検出装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項10】
前記酸素貯蔵装置は、圧力タンクであり、前記水から水素と酸素を製造する装置は、高圧水電解装置であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項11】
前記純酸素製造装置により製造された酸素濃度の高い空気又は純酸素の少なくとも一方を貯留する純酸素貯留装置を備えることを特徴とする請求項8記載のエネルギシステム。
【請求項12】
前記酸素貯蔵装置と、前記純酸素貯留装置と、を共通にしたことを特徴とする請求項7又は11記載のエネルギシステム。
【請求項13】
前記エネルギ変換装置からの出力デマンドに基づき、前記純酸素製造装置への負荷、又はエネルギ変換装置への負荷の少なくとも一方を制御する信号を送る制御装置を備えることを特徴とする請求項8、11及び12のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項14】
前記酸素生成量検出装置からの信号に基づき、前記エネルギ変換装置への負荷を制御する信号を送る制御装置を備えることを特徴とする請求項9記載のエネルギシステム。
【請求項15】
前記エネルギ変換装置からの出力デマンドに基づき、前記水から水素と酸素を製造する装置への負荷を制御する信号を送る制御装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギシステム。
【請求項16】
前記酸素生成量検出装置からの信号と、前記エネルギ変換装置からの出力デマンドに基づき、前記純酸素製造装置への負荷、又は前記エネルギ変換装置への負荷の少なくとも一方を制御する信号を送る制御装置を備えることを特徴とする請求項9又は13記載のエネルギシステム。
【請求項17】
前記酸素生成量検出装置からの信号と、前記エネルギ変換装置の出力デマンドとに基づき、前記前記水から水素と酸素を製造する装置への負荷、又は前記エネルギ変換装置への負荷の少なくとも一方を制御する信号を送る制御装置を備えることを特徴とする請求項11又は13記載のエネルギシステム。
【請求項18】
前記蓄電装置の蓄電量に基づき、前記水から水素と酸素を製造する装置への負荷を制御する信号を送る制御装置を有することを特徴とする請求項6又は15記載のエネルギシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−245017(P2007−245017A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72462(P2006−72462)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】