説明

エネルギー識別散乱画像システム

被検査物検査システムは、透過経路に沿って光子を出力するための光子源と透過経路を完全に通り抜けるように被検査物を平行移動させるためのコンベアを含む。通過する被検査物との相互作用に応じて透過経路から散乱する光子を検出するために、放射線検出器は透過経路に対してオフセットして配置される。コントローラは、被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年6月16日付けで出願した米国の暫定的な特許出願No.60/691,045の利益を要求し、その内容は参照付けることによってここに含まれる。
【0002】
本発明は、被検査物検査システムに関し、より具体的には、同様の密度を有する物質を識別することができる被検査物検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、エックス線を使用する食品検査産業は、部分及び高さを確認し、食品及び包装の品質を検査し、食品交雑物を識別し、及び/又はプロセスコントロールを提供するために、シンチレーター/フォトダイオード線形配列を採用したシステムが基礎にされている。これらのシステムは、食品、包装、及び交雑物の間にあるエックス線の伝達の違いを検出する能力に依存している。これらのシステムは、食品、及び包装、又は交雑物の間ではっきりと相違する密度を有している製品を検査するのに効果的である。しかし、交雑物、及び/又は包装が検査される食品の密度に近似していると、相違を検出するためのシステムの精度が損なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、交雑物、及び/又は包装は検査される食品に密度が近似しており、それに応じて、検査される食品と、食品及び/又は食品の包装に存在するすべての交雑物との間の相違を検出することができる食品検査産業で使用するためのエックス線システムとその使用方法とが必要とされる。
【0005】
二つ又はそれ以上の物体の成分間での相違を検出するためのエックス線の用途の例は以下の論文において知ることができる:N.J.B.McFarlane,C.R.Bull,R.D.Tillett,R.D.Speller,G.J.Royle、及び、K.R.A.Johnson,J.agric.EngngRes.(2000)75,265−274;による「食品検査においてコンプトンのポテンシャルがエックス線を散乱させる:複数の散乱の効果とサンプル不均質性」、G.Harding,M.Newton、及び、J.Kosanetzky,Phys,Med.Biol.,1990,Vol.35,No1,33−41;による「エネルギー分散エックス線回折エックス線断層写真撮影」、N.J.B.McFarlane,C.R.Bull,R.D.Tillett,R.D.Speller、及び、G.J.Royle,J.agric.Engng,Res.(2001)79(4),407−418による「コンプトン散乱エックス線を用いる食品材料内のガラス検出での時間の制約」、及び、「オイル/水比の測定のためのエネルギー伝播性のエックス線散乱」、サリー州大学、物理学輻射画像処理学部、http://www.ph.surrey.ac.ul<yrmrn/imaging/xray_scatter/index.html.。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は被検査物検査システムである。本システムは、透過経路に沿って光子を出力するための手段と、透過経路を完全に通り抜けるように被検査物を平行移動させるための手段とを含む。通過する被検査物との相互作用に応じて透過経路から散乱する光子を検出するための手段は、透過経路に対してオフセットして配置される。最後に、本システムは、被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定するための手段を含む。被検査物は、複数の物質から構成され、その少なくとも二つは、第一の物質を含み、透過経路上の光子の通路をおよそ同じ範囲にブロックし、透過経路の上の被検査物を抜け出る光子に基づく少なくとも二つの物質間の識別が阻止される。検出された散乱光子は、第一の物質との相互作用に応じて散乱する。
【0007】
このシステムは、透過経路上の被検査物を抜け出た光子を検出するために透過経路内に配置された手段を含み得る。
【0008】
複数の物質は、第一の物質より大きな範囲まで透過経路上の通路光子をブロックする第二の物質を含み得る。決定するための手段は、被検査物内に存在する第二の物質を透過経路上の被検査物を抜け出て検出された光子から決定し得る。
【0009】
光子を出力するための手段は、エックス線源とされ得る。第一の物質は、プラスチックとされ得る。第二の物質は、金属とされ得る。
【0010】
検出するための手段は、コヒーレント散乱光子及びコンプトン散乱光子の少なくとも何れか一方を検出し得る。
【0011】
検出するための手段は、透過経路に対して第一の角度で配置された第一の光子検出器を含み得る。検出するための手段は、透過経路に対して第二の角度で配置された第二の光子検出器を含み得る。第一検出器及び第二検出器は、それぞれコヒーレント及びコンプトン散乱光子を検出するために配置され得る。
【0012】
検出するための手段は、室温で操作可能な光子検出器の線形配列を含み得る。光子検出器の線形配列は、入射光子との相互作用に応じて電子正孔ペアを作り出す中核物質、前記中核物質の一つの表面上で配置された第一の電極、前記第一の電極の反対側の中核物質の他の表面上に配置された複数の第二の電極を含み得る。
【0013】
中核物質は、テルル化カドミウム又はテルル化カドミウム亜鉛を含み得る。
【0014】
本発明は、また、(a)透過経路に沿って光子を出力すること;(b)透過経路を完全に通り抜けるように被検査物を平行移動させること;(c)通過する被検査物との相互作用に応じて透過経路から散乱される光子を検出すること;(d)、被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定すること、を含む被検査物検査方法である。被検査物は、少なくとも二つの物質を含み、透過経路上の光子の通路をおよそ同じ範囲までブロックし、透過経路の上の被検査物を抜け出る光子に基づく少なくとも二つの物質間の識別が阻止される。検出された散乱光子は、前記少なくとも二つの物質の第一の物質との相互作用に応じて散乱する。
【0015】
この方法は、透過経路上の被検査物を抜け出る光子を検出すること、被検査物内に存在する第一の物質よりも大きい範囲まで透過経路上の通路光子をブロックし、前記少なくとも二つの物質の第二の物質を透過経路上を抜け出て検出された光子から決定することをさらに含み得る。
【0016】
ステップ(c)は、コヒーレント散乱光子及び/又はコンプトン散乱光子を検出することを含み得る。
【0017】
最後に、本発明は被検査物検査システムである。システムは、放射線源と、扇形状の透過経路に沿って光子を出力するコリメーターとの組み合わせと、透過経路内に配置されることによって決定された被検査物のスライスとの相互作用に応じて透過経路から散乱する光子を検出するために透過経路に対してオフセットして配置された光子検出器とを含む。
手段は、被検査物内の第一の物質を検出された散乱光子から決定するために提供され、被検査物は、第一物質及び第二物質を含み、光子の通路をおよそ同じ範囲までブロックし、透過経路上の被検査物を抜け出る光子に基づく第一の物質及び第二の物質間の識別が阻止される。検出された散乱光子は、第一の物質との相互作用に応じて散乱する。
【0018】
別の光子検出器は、透過経路上の被検査物を抜け出た光子を検出するために透過経路内に配置され得る。
【0019】
第二の物質は、第一の物質より大きな範囲まで透過経路上の通路光子をブロックし、決定するための手段は、被検査物内に存在する第二の物質を透過経路上の被検査物を抜け出た検出光子から決定する。
【0020】
光子検出器は、コヒーレント散乱光子及びコンプトン散乱光子の少なくとも何れか一方を検出するために、透過経路に対して第一の角度で配置され得る。本システムは、透過経路に対して第二の角度で配置される別の光子検出器も含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、同様の要素に同様の参照番号が一致する添付図面を参照して説明される。
【0022】
図1を参照すると、本発明は、検査ステーション8を通過するように、包装され、又は解包された食品6等の被検査物を平行移動させるためのベルトコンベア4を含む被検査物検査システム2である。本発明は、被検査物である食品6を参照して説明される。しかし、これは、本発明を限定して解釈するものではない。
【0023】
図1を参照し続けるとともに、図2を参照すると、検査ステーション8は、エックス線源のように制限のない高エネルギー光子源10、及びベルトコンベア4の反対側の配置された少なくとも一つの線形光子検出器配列12を含む。図1において、光子源10及び検出器配列12は、それぞれベルトコンベア4の上下に配置されて示される。しかし、これは、本発明を限定して解釈するものではなく、要求されるならば、光子源10及び検出器配列12の位置は逆にされ得る。
【0024】
検出器配列12は、光子源10によって出力された光子の透過経路14内に適正に配置される。食品検査を目的とするため、食品6の検査をする間、ベルトコンベア4によって食品6各部が平行移動され、透過経路14を完全に通り抜けるとすぐに、透過経路14は、好ましい扇形状にされる(図においてベストが示される)。より特には、透過経路14と平行移動される食品6各部の間の相互作用は、それ故に、テスト下で食品6のスライスを決定する。より理解されるように、透過経路14を完全に通り抜ける食品6の連続した平行移動は、テスト下で食品6の連続した一連のスライスを決定する。食品6は、図1に例示するような食品6の一つ又は複数の分別した塊という形、又は、ベルトコンベア4上の食品6の連続的な塊という形であるかもしれない。
【0025】
透過経路14に焦点を合わせて形成するように、検査ステーション8は、それがベルトコンベア4上の食品6の検査に利用される前に透過経路14を一直線にするために、光子源10とベルトコンベア4との間に配置されたコリメーター手段16を含み得る。
【0026】
コリメーター手段16は、種々の適切な又は好ましい形式を採用することができる。例えば、コリメーター手段16は、一つ又は複数の完全なコリメーター;一つ又は複数の完全なコリメーターと一つ又は複数の半分のコリメーターとの組合せ;及びそのようなものを含み得る。コリメーター手段16を形成するための一つ又は複数のコリメーターの選択は、必要とされるコリメーションの度合いに基づいて、技術的な一般のスキルの一つによって達成される。
【0027】
本願によれば、線形検出器配列12は、2インチから10インチの長さDを持っている。しかし、本願における検出器配列12の長さDは、技術的な一般のスキルの一つによって種々の適切な及び/又は好ましい長さに選択し得るため、これは、本発明を限定して解釈するものではない。
【0028】
とりわけ検出することが困難な食品6内の交雑物18は、プラスチックである。例えば、透過経路14に沿って進み、検出器配列12によって受け取られた光子に基づいて、食品6、例えば肉の体積内のプラスチック交雑物18の断片を検出することは特に難しい。しかし、光子散乱は、食品6内の交雑物18を検出するための基礎として利用し得る。
【0029】
光子散乱は、二つの一般カテゴリー、すなわち、(1)コヒーレント又は弾性散乱、及び、(2)コンプトン又は非弾性散乱に分類できる。透過経路14の方向に対し、交雑物18と相互作用する10−40KeVの間のエネルギーの光子のコヒーレント散乱は、透過経路14に対して一般に10°以下の角度20で発生する。対照的に、10−40keVの間のエネルギーのコンプトン散乱は、一般に透過経路14に対して40°より大きい角度20で発生する。透過経路14に対して10°から40°までの角度の光子散乱は、コヒーレントとコンプトン散乱の組み合わせであると考えられる。散乱されるそれぞれの散乱光子の角度は、光子の入射エネルギーに依存するので、前述の角度は、本発明を限定して解釈するものではない。
【0030】
本発明に基づき、食品6内の交雑物18の存在は、透過経路14上で進んでいる光子と食品内の交雑物18の間との相互作用によって引き起こされたコヒーレント散乱、コンプトン散乱、及び/又はそれらの組合せを検出するために、透過経路14に対して一つ、又は複数の異なる角度20で線形検出器配列12と同じように配置された一つ又は複数の線形検出器配列24によって検出され得る。
【0031】
例えば、検出器配列12に加えて、別の単一な検出器配列24は、コヒーレント散乱又はコンプトン散乱を検出するために配置され得る。もう一つの方法として、一つの単一な検出器配列24の代わりに、1対の検出器配列24が提供され、前記一対の検出器配列24の一方は、コヒーレント散乱を検出するために配置され、前記一対の検出器配列24の他方は、コンプトン散乱を検出するために配置され得る。もう一つの方法として、二つよりも多い検出器配列24は、コヒーレント散乱、コンプトン散乱、及び/又は、コンプトン/コヒーレント散乱のどのような組合せでも検出するために提供され得る。
【0032】
単一な検出器配列24又は複数の検出器配列24のそれぞれが透過経路14に対して配置される角度20は、検出される交雑物18の特殊なタイプと光子エネルギーのために最適化され得る。例えば、10から40keVまでの光子エネルギーで、単一な検出器配列24は、コヒーレント散乱を検出するために透過経路14から起算して1°から20°、好ましくは5°から10°の角度20で配置され得るし、コンプトン散乱を検出するために透過経路14から起算して40°から60°、好ましくは45°から55°で配置され得るし、又は、コンプトン及びコヒーレント散乱の組み合わせを検出するために、透過経路14から起算して、20°から40°、好ましくは25°から30°で配置され得る。もう一つの方法として、第一の検出器配列24は、コヒーレント散乱を検出するために透過経路14から起算して、1°から20°、好ましくは、5°から10°の角度20で配置され得るし、その上、第二の検出器配列24は、コンプトン散乱を検出するために透過経路14から起算して、40°から60°、好ましくは、45°から55°の角度20で配置され得る。さらに、要求されるならば、第三の検出器配列24は、コンプトン及びコヒーレント散乱の組み合わせを検出するために、透過経路14から起算して20°から40°、好ましくは、25°から30°の角度20で配置され得る。
【0033】
検出器配列の数及び角度20は、それぞれの検出器配列が透過経路14に対して配置され、検出されている交雑物18及び/又は透過経路14上の光子源10によって発生されている光子の光子エネルギーに基づき、食品6内の交雑物18を検出するために必要とされるときに選択され得る。それに応じて、上記で説明した検出器配列24の数及び適切な角度20で各検出器配列24を配置することは、本発明を限定して解釈するものではない。
【0034】
図3及び図4を参照して、各検出器配列12及び24は、室温半導体線形配列とされることが好ましい。各検出器配列12及び24は、テルル化カドミウム(CT)、又はテルル化カドミウム亜鉛(CZT)などの材料から形成された中核物質26を含み、それの結晶格子構造と相互作用する高エネルギー光子に応じて電子正孔ペアを生成する。各検出器配列12及び24は、それの光子入力側の連続カソード28、及びカソード28の反対の中核物質26の一側にある複数の分割アノード30を含む。カソード28は、電源32に接続され、中核物質26内に作成されたホールがカソード28に引き付けられ、中核物質26内で発生された電子36が一つ又は複数のアノード30に向けて引き付けられると、アノード30に関連して適切な電位にカソード28が偏る。
【0035】
図3は、模範的な検出器配列12又は24の寸法を含む。しかし、図3中に示された寸法は、本発明を限定して解釈するものではない。
【0036】
各アノード30は、検出器配列12又は24の画素(又は、ピクセル)を表している。各アノード30は、電荷増幅器38に接続されている。各増幅器38の出力は、入射光子エネルギーと比例している高さを持つシグナルを形成するセミガウシアンである。各増幅器38の出力は、一つ又は複数のコンパレーターと接続され、そのそれぞれは、入射光子のエネルギーを決定するために、プリセット閾値を持っている。各コンパレーターの出力は、各コンパレーター40の出力をサンプリングするため及びそこから入射光子のエネルギーを決定するために稼働するコントローラ42に接続される。
【0037】
オペレーションにおいて、光子44が中核物質26と相互作用している時に、複数の電子正孔ペアは、前記光子44のエネルギーと比例して作り出される。電場46の影響下は、電源32によって、カソード28と各アノード30との間で、適切な電気バイアスのアプリケーションに応じて中核物質26内に作り出され、電子36及びホール34は、それぞれアノード30及びカソード28に移動する。各アノード30に達する電子は、シグナルを形成するセミガウシアンを作り出すために、対応した増幅器38によって拡大される。このシグナルは、それぞれが異なるプリセット閾値48を有する一つ又は複数のコンパレーター40内に入力される。コンパレーターのそれぞれは、対応する閾値48を超えた対応する増幅器38によるシグナルを形成するセミガウシアンの出力時間に対応した所用時間を有する信号を出力するために設定される。適当な時に、コントローラ42は、各コンパレーター40の出力をサンプリングし、そこから、技術的に知られている方法で入射光子のエネルギーを決定する。
【0038】
コントローラ42は、多くの異なるエネルギーレベルを有する入射光子のカウントを蓄積するために稼働可能である。従って、例えば、各増幅器38の出力は、それぞれが入射光子の異なったエネルギーに対応する異なる閾値を有し、増幅器38の一つによって第二の閾値ではないが第一の閾値を超えて出力する信号の検出に応じる複数のコンパレーター40の入力に接続されると、コントローラ42は、入射光子のエネルギーのレコードとして第一の閾値と関連したカウンターを増加し得る。従って、三つのコンパレーターが、15keV、30keV、及び40keVの対応する光子エネルギーレベルを越えている信号振幅を検出するようにセットされたそれらのそれぞれの閾値を有していれば、コントローラ42は、それが表している光子エネルギーレベルの関数として各信号振幅のカウントを蓄積し得る。例えば、信号振幅が15KeVに対応する閾値48を越えているが、30keVに対応する閾値48を超えていないと、コントローラ42は、15keVに対応する閾値48を超えているが、30keVに対応した閾値48を超えていない信号振幅のカウントを維持するために確立された第一のカウンターの値を増加する。同様に、30keVに対応する閾値48を超えた各信号振幅は、30keVに対応する閾値48を超えているが、40keVに対応する閾値48を超えていない信号振幅のカウントを維持するために確立されたカウンターの値だけをコントローラ42に増加させる。信号振幅が30keVに対応する閾値48を越えている時に、コントローラ42は、対応するコンパレーター40の出力がその対応する閾値48を超えていることを示したとしても、15keVに対応する閾値48を超えた信号振幅のカウントを維持するために確立されたカウンターの値を増加しないように稼働する。最後に、40keVに対応する閾値48を超えている各信号振幅のために、コントローラ42は、40keVに対応する閾値48を超えた信号振幅の数のカウントを維持するために確立されたカウンターの値だけを増加する。信号振幅が40keVに対応する閾値48を超えている時、コントローラ42は、それらの対応する閾値48を超えていることを対応するコンパレーター40の出力が示していたとしても、15及び30KeVに対応する閾値48を超えた信号振幅のカウントを維持するために確立されたカウンターの値を増加しないように稼働する。
【0039】
明らかに、より多くの解像度が要求されるならば、異なる閾値48を有する一つ又は複数の追加のコンパレーター40が提供され得る。
【0040】
適切な所要時間のためのカウンターの適切な数が蓄積されれば、コントローラ42は、技術的に知られている方法で処理するために、画像処理システム(示しない)にこれらのカウントを出力し得る。
【0041】
重要なことには、本発明に従って、エネルギービンニング(binning)は、透過経路14に対して適切な角度20でそれぞれが配置された一つ又は複数の検出器配列24によって散乱光子を検出したのと同様に、透過経路14上で進み、一つ又は複数の検出器配列24によって検出された光子のために機能し得る。
【0042】
検出器配列24の中核物質26と相互作用している散乱光子のエネルギーを分類する能力は、食品6内の一つ又は複数の交雑物18の正確な識別を容易にする。
【0043】
透過経路14に対する適切な角度20での検出器配列24の固有の配置によって見られ得る場合、前記検出器配列24は、食品内の一つ又は複数の交雑物の存在のために検出し得る。前記検出器配列24に衝突している散乱光子のエネルギーは、決定されるとともに食品内でさらに一つ又は複数の交雑物に利用され得る容器に配置され得る。複数の検出器配列24は、それぞれが透過経路14に対する異なる角度20で配置され、食品内の一つ又は複数の交雑物の存在を検出するためにも利用され得る。
【0044】
各検出器配列24は、透過経路14内に配置された検出器配列12との組合せで利用され得る。しかし、検出器配列12は、除外され得るし、そして、散乱光子を検出することが上述されたように、一つ又は複数の検出器配列24は配置され得るので、これは、本発明を限定して解釈するものではない。
【0045】
本発明は、好適な実施例に関して説明されている。明らかな部分修正及び変更は、先行している詳細な説明を読み、理解することでその他を想到するであろう。本発明は、添付のクレーム又はそれに同等の範囲内で、すべての部分修正と変更が含まれて解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明に対応する被検査物の検査システムの側部概略図である;
【図2】図2は図1中のII−II線断面である;
【図3】図3は図1及び2の中で示された模範的な検出器配列のアノード側の平面図である。
【図4】図4は、検出器配列を偏らせるため、及び、検出器配列の中核物質と相互作用する光子のエネルギーレベルのカウントを検出して蓄えるために利用された回路のブロック線図に結合された模範的な検出器配列の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過経路に沿って光子を出力するための手段;
透過経路を完全に通り抜けるように被検査物を平行移動させるための手段;
通過する被検査物との相互作用に応じて透過経路から散乱される光子を検出するために透過経路に対してオフセットして配置された手段;及び
被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定するための手段を含み、
被検査物は、複数の物質から構成され;
前記複数の物質の少なくとも二つは、第一の物質を含み、透過経路上の光子の通路をおよそ同範囲までブロックし、透過経路上の被検査物を抜け出る光子に基づく少なくとも二つの物質間の識別が阻止され;そして
検出された散乱光子は、第一の物質との相互作用に応じて散乱される、ことを特徴とする被検査物検査システム。
【請求項2】
透過経路上の被検査物を抜け出る光子を検出するために透過経路内に配置された手段を含む請求項1記載のシステム。
【請求項3】
複数の物質は、第一の物質より大きな範囲まで透過経路上の通路光子をブロックする第二の物質を含み;そして、
決定するための手段は、被検査物内に存在する第二の物質を透過経路上の被検査物を抜け出た検出光子から決定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
光子を出力するための手段は、エックス線源であり;
第一の物質はプラスチックであり;そして、
第二の物質は金属である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
検出するための手段は、コヒーレント散乱光子及びコンプトン散乱光子の少なくとも何れか一方を検出する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
検出するための手段は、透過経路に対して第一の角度で配置された第一の光子検出器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
検出するための手段は、透過経路に対して第二の角度で配置された第二の光子検出器を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第一及び第二の検出器は、それぞれコヒーレント及びコンプトン散乱光子を検出するために配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
検出するための手段は、室温で操作可能な線形配列の光子検出器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
線形配列の光子検出器は、入射光子との相互作用に応じて電子正孔ペアを作り出す中核物質;
前記中核物質の一つの面上に配置された第一の電極;そして、
第一の電極の反対側の前記中核物質の別の面上に配置された複数の第二の電極を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
中核物質は、テルル化カドミウム、又はテルル化カドミウム亜鉛で構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
(a) 透過経路に沿って光子を出力すること;
(b) 透過経路を完全に通り抜けるように被検査物を平行移動させること;
(c) 通過する被検査物との相互作用に応じて透過経路から散乱される光子を検出すること;そして
(d) 被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定することを含み;
被検査物は、複数の物質を含み、その複数の物質の少なくとも二つは、第一の物質を含み、透過経路上の光子の通路をおよそ同範囲までブロックし、透過経路上の被検査物を抜け出る光子に基づく少なくとも二つの物質間の識別が阻止され;そして、
検出された散乱光子は、第一の物質との相互作用に応じて散乱される、ことを特徴とする被検査物検査方法。
【請求項13】
透過経路上の被検査物を抜け出る光子を検出することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
被検査物内に存在する第一の物質より大きな範囲まで透過経路上の通路光子をブロックする第二の物質を透過経路上の被検査物を抜け出た検出光子から決定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(c)は、コヒーレント散乱光子及び/又はコンプトン散乱光子を検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
放射線源と扇形状の透過経路に沿って光子を出力するためのコリメーターとの組み合わせ;
透過経路内に完全に配置されることによって決定された被検査物のスライスとの相互作用に応じて透過経路から散乱される光子を検出するために透過経路に対してオフセットして配置された光子検出器;
被検査物内に存在する第一の物質を検出された散乱光子から決定するための手段;を含み、
被検査物は、第一の物質及び第二の物質を含み、透過経路上の光子の通路をおよそ同範囲までブロックし、透過経路上の被検査物を抜け出る光子に基づく第一及び第二の物質間の識別が阻止され;そして、
検出された散乱光子は、第一の物質との相互作用に応じて散乱される、ことを特徴とする被検査物検査システム。
【請求項17】
透過経路上の被検査物を抜け出た光子を検出するために透過経路内に配置された別の光子検出器をさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
第二の物質は、第一の物質よりも大きな範囲まで透過経路上の通路光子をブロックし;そして、
決定するための手段は、被検査物内に存在する第二の物質を透過経路上の被検査物を抜け出た検出光子から決定することを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
光子検出器は、コヒーレント散乱光子及びコンプトン散乱光子の少なくとも何れか一方を検出する、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
光子検出器は、透過経路に対して第一の角度で配置され;そして、
該システムは、透過経路に対して第二の角度で配置される別の光子検出器を含んでいる、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544256(P2008−544256A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517123(P2008−517123)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/023417
【国際公開番号】WO2006/138521
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(502334032)トゥー‐シックス・インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】