説明

エレクトレット材

【課題】エレクトレット組成物を提供する。
【解決手段】開示されるのは、優れた熱及び帯電安定性を有するエレクトレット組成物である。エレクトレット組成物は、熱可塑性ポリマーと、少なくとも1つの式I
【化1】


(式中、
a’は、モノアシル基又はジアシル基を表し;R1ないしR4は、各々炭素原子数1な
いし6のアルキル基を表し;及びR5及びR6は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし10のアリール基を表すか;又は R5及びR6は一緒に酸素原子を表す。)で表される部分を含む少なくとも1種のヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物との溶融ブレンドを含む。溶融ブレンドに、エレクトレット処理、例えばコロナ処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた熱安定性及び帯電安定性を有するエレクトレット組成物を目的とする。エレクトレット組成物は例えば、ポリオレフィン繊維又はフィルムであり、及びフィルタ材、ワイプ、吸着材、フィルタマスク、吸音材、印刷基板、測定装置又は非接触型のスイッチとして用いられるのに適している。
【背景技術】
【0002】
エレクトレット(エレクトル−(elektr−)は“電気(electricity)”に由来し、そして−エット(−et)は“磁石(magnet)”に由来して造成された。)は、半永久的な帯電又は双極子分極を有する誘電材料である。エレクトレットは、内部及び外部電場を発生し、及び永久磁石と静電的に同等である(Wikipedia
Definition,Entry Electret:Last modified
第22巻 2007年2月)。
特許文献1は、ヒンダードアミン、窒素含有のヒンダードフェノール又は金属含有のヒンダードフェノールからなるエレクトレット材を開示している。
特許文献2は、抗菌性エレクトレット材を開示している。
特許文献3は、性能を向上させる添加剤を含む高効率フィルタ媒体を開示している。
特許文献4は、蒸気凝縮によりエレクトレットを作成する方法を開示している。
特許文献5は、エレクトレットを作成する方法を開示している。
特許文献6は、ヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,057,710号明細書
【特許文献2】米国特許第5,556,618号明細書
【特許文献3】米国特許第6,123,752号明細書
【特許文献4】米国特許第6,743,464号明細書
【特許文献5】米国特許第6,969,484号明細書
【特許文献6】米国特許出願第2003/0216494号明細書
【発明の開示】
【0003】
本発明の対象は、高められた熱及び帯電安定性を有するエレクトレット組成物であって、該組成物は、エレクトレット処理が行われており、また熱可塑性ポリマー並びにその中に配合された有効安定化量の少なくとも1種のヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物であって少なくとも1つの式I
【化1】

(式中、
a’は、モノアシル基又はジアシル基を表し;
1ないしR4は、各々炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し;及び
5及びR6は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし10のアリール基を表すか;又は
5及びR6は一緒に酸素原子を表す。)
で表される部分を含むヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物を含む、組成物である。
【0004】
化合物(I)において、破線は、基及び置換基への結合を表す。
また開示されるのは、高められた熱及び帯電安定性を有するエレクトレット組成物を製造する方法であって、該方法は、熱可塑性ポリマーを、有効安定化量の少なくとも1種のヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物であって上記定義された少なくとも1つの式Iで表される部分を含むヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物と溶融ブレンドし、そしてブレンドにエレクトレット処理を行うことを含む、方法である。
熱可塑性ポリマーは、持続性又は長寿命の捕捉電荷を保有する能力を有する非導電性ポリマーである。該ポリマーは例えば、ポリオレフィン、ハロゲン化ビニルポリマー(例えばポリ塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド又はフルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)である。
熱可塑性ポリマーは例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー及びポリプロピレンブレンドである。プロピレンコポリマーは、90.0%まで、好ましくは50.0%までの種々の割合でコモノマーを含み得る。コモノマーの例は:1−オレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテン、イソブチレン、シクロオレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン又はエチリデンノルボルネのようなオレフィン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン又はノルボルナジエンのようなジエン;またアクリル酸誘導体及びマレイン酸無水物のような不飽和カルボン酸無水物である。
【0005】
使用され得るポリプロピレンブレンドは、ポリプロピレンとポリオレフィンとの混合物である。例えば、ポリプロピレンと、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW HDPE)、超高分子量高密度ポリエチレン(UHMW HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、枝分れ状低密度ポリエチレン(BLDPE)及び小割合のジエンを含むエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)からなる群より選択されるポリエチレンとからなる群より選択されたポリエチレンとの混合物が例示される。
ポリマーは、とりわけポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)又は直鎖状低密度ポリエチレン、又はそれらのブレンド又はコポリマーである。ポリマーは、ポリオレフィンと、極性基を含むポリマー、例えばポリエステル又はポリアミドとのブレンドであり得る。
熱可塑性組成物を含むエレクトレット組成物は、不織ウェブ、フィルム、又は織布の形態にある。エレクトレット組成物は特に、不織繊維ウェブである。
【0006】
エレクトレット処理は、いかなる既知の処理でもあり得る。エレクトレット処理は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、米国特許第6,284,339号明細書、米国特許第5,256,176号明細書及び米国特許第6,926,961号明細書において教示されている。エレクトレット処理は、電気に対するいかなる曝露でもあり、例えば、ハイドロチャージ、摩擦電気チャージ又はコロナ処理である。エレクトレット処理は、とりわけコロナ処理である。
本発明に従うエレクトレット組成物は、エレクトレット処理が行われた熱可塑性組成物である。
【0007】
ヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物は、例えば特許文献6に開示されている

本ヒドロキシルアミンエステル化合物は、少なくとも1つの式I
【化2】

(式中、
a’は、モノアシル基又はジアシル基を表し;
1ないしR4は、各々炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し;及び
5及びR6は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし10のアリール基を表すか;又は
5及びR6は一緒に酸素原子を表す。)
で表される部分を含む。
好ましくは、式中のRa’が炭素原子数2ないし18のアルカノイル基又は炭素原子数
3ないし6のアルケノイル基を表すところの、部分Iを含む化合物である。
式(I)において、ドット線は基又は置換基への結合を表す。
モノアシル基Ra’は、例えばC基及び酸官能基を含む1塩基性有機酸から誘導された
アシル基であり、例えば部分式−C(=O)−H、−C(=O)−炭素原子数1ないし19のアルキル基、−C(=O)−炭素原子数2ないし19のアルケニル基、−C(=O)−炭素原子数2ないし4のアルケニル−炭素原子数6ないし10のアリール基、−C(=O)−炭素原子数6ないし10のアリール基、−C(=O)−O−炭素原子数1ないし6のアルキル基、−C(=O)−O−炭素原子数6ないし10のアリール基、−C(=O)−NH−炭素原子数1ないし6のアルキル基、−C(=O)−NH−炭素原子数6ないし10のアリール基及び−C(=O)−N(炭素原子数1ないし6のアルイキル)2基の上
記定義されたアシル基の1つである。
a’がモノアシル基を表す場合、基(I)を含むヒドロキシルアミンエステルは、単
量体又は2量体構造である。そのため、2量体構造は、4位において適する2価置換基を有し、そしてこれらは、それらの4位を介して化合物(I)により末端位において次々と置換される(α,ω−置換)。
【0008】
用語ヒドロキシルアミンエステルは、モノマー及びオリゴマー化合物の両方、及びまた式Iで表される化合物により形成されたポリマーを包含する。
ジアシル基Ra’は例えば、C基及び2個の酸官能基を有する1塩基性有機酸から誘導
されたジアシル基、例えば脂肪族、芳香族又は脂環式ジカルボン酸から誘導されたジアシル基であり得る。
適する脂肪族ジカルボン酸は、2ないし40個の炭素原子を有し、例えば、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及び二量体酸(オレイン酸のような不飽和脂肪族カルボン酸の2量化生成物)、アルキル化マロン酸及びコハク酸、例えばオクタデシルコハク酸である。
適する脂環式ジカルボン酸は例えば、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−及び1,4−(ジカルボキシメチル)シクロヘキサン又は4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸である。
適する芳香族ジカルボン酸は例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、及びまた1,3−、1,4−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシ−3−(p−カルボキシフェニル)インダン、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン又はビス(p−カルボキシフェニル)エタンである。
好ましくは、芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
さらに適するジカルボン酸は、−CO−NH−基を含むものである。これらは、米国特許第4,002,600号明細書に記載されている。また適するのは、N−ヘテロ環式環を含むジカルボン酸であり、例えばカルボキシアルキル化、カルボキシフェニル化又はカルボキシベンジル化モノアミン−s−トリアジンジカルボン酸から誘導されたもの(米国特許第3,697,520号明細書及び米国特許明細書第4,034,019号明細書参照)、モノ−ヒダントイン又はビス−ヒダントイン、ハロゲン化又は非ハロゲン化ベンズイミダゾール又はパラベン酸から誘導されたものである。カルボキシアルキル基は、3ないし20個の炭素原子を含み得る。
【0009】
a’がジアシル基を表し、及び適する官能基、例えばヒドロキシ基又はアミノ基が4
位において存在する場合、式Iで表される基を含む化合物は、ポリマー構造、例えばポリエステル、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート又はポリイミドエステルである。
例えば、ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式IA
【化3】

[式中、
nは、1ないし4の整数を表し、
aは、アシル基を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、各々互いに独立して、水素原子又はメチル基を表し;及び
Gは、以下の意味を有する:
nが1を表す場合、
Gは、水素原子、少なくとも1個の酸素原子により中断され得る炭素原子数1ないし18のアルキル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、グリシジル基、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、不飽和の又は芳香族カルボン酸の、カルバミン酸の又はリン含有の酸の1価基、或いは1価シリル基、好ましくは2ないし18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル基を表し、ここで、カルボン酸は、1ないし3個の−COOZ1基(
式中、Z1は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得;或いは
nが2を表す場合、
Gは、炭素原子数2ないし12のアルキレン基、炭素原子数4ないし12のアルケニレ
ン基、キシリレン基、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の、ジカルバミン酸の又はリン含有の酸の2価酸基、或いは2価シリル基、好ましくは2ないし36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の、8ないし14個の炭素原子を有する脂環式又は芳香族ジカルボン酸の、又は8ないし14個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルバミン酸のアシル基を表し、ここで、ジカルボン酸は、1又は2個の−COOZ1基(式中、Z1は上記定義されたとおりである。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得;或いは
nが3を表す場合、
Gは、脂肪族、脂環式又は芳香族トリカルボン酸の3価酸基を表し、ここで、該基は、−COOZ1(式中、Z1は上記定義されたとおりである。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得、又は芳香族トリカルバミン酸の又はリン含有の酸の3価酸基、又は3価シリル基を表し;及び
nが4を表す場合、
Gは、脂肪族、脂環式又は芳香族テトラカルボン酸の4価酸基を表す。]
で表されるものである。
【0010】
例えば、本ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式中、nが1又は2を表す場合、R1’、R2’及びR3’は各々水素原子を表し、及びRa’は炭素原子数2ないし18のアルカノイル基又は炭素原子数3ないし6のアルケノイル基を表し、及びGは12ないし18個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のアシル基を表すか又は4ないし12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸のジアシル基を表すところの、式(IA)で表されるものである。
炭素原子数1ないし18個のアルキル基として定義されるGは、以下に定義され得るか、又は例えば、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基又はn−オクタデシル基であり得る。
Gとしてのカルボン酸の1価アシル基は例えば、酢酸、ヘキサン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸又はβ−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアシル基であり、好ましくはステアリン酸、アクリル酸又はメタクリル酸のアシル基である。
1価シリル基Gは、例えば基−(Cn2n)−Si(Z’)2Z”(式中、nは2ないし5の整数を表し、及びZ’及びZ”は各々互いに独立して、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし4のアルコキシ基を表す。)であり得る。
Gとしてのジカルボン酸の2価酸基は例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ジブチルマロン酸、ジベンジルマロン酸、ブチル(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸又はビシクロヘプテンジカルボン酸の酸基であり得る。
Gとしてのトリカルボン酸の3価基は例えば、トリメリト酸、クエン酸又はニトリロトリ酢酸の酸基であり得る。
Gとしてのテトラカルボン酸の4価基は例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸の又はピロメリト酸の4価酸基であり得る。
Gとしてのジカルバミン酸の2価基は例えば、ヘキサメチレンジカルバミン酸基又は2,4−トルイレンジカルバミン酸基であり得る。
【0011】
好ましい化合物は、式中、nは1又は2を表し、R1’、R2’及びR3’は各々水素原
子を表し、及びRaは炭素原子数2ないし18のアルカノイル基又は炭素原子数3ないし
6のアルケノイル基を表し、及びGは12ないし18個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のアシル基又は4ないし12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸のジアシル基を表すところの、化合物(IA)である。
【0012】
ヒドロキシルアミンエステルは、式IB
【化4】

[式中、
nは、1又は2を表し、及び Ra、R1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義されたとおりであり;
1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし5のヒ
ドロキシアルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基、炭素原子数7又は8のアラルキル基、炭素原子数2ないし18のアルカノイル基、炭素原子数3ないし5のアルケノイル基又はベンゾイル基又は基:
【化5】

(式中、Ra、R1’、R2’及びR3’は、上記定義されたとおりである。)
を表し;及び
2は、以下の意味を有する:
nが1を表す場合、
2は、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし8のア
ルケニル基、炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基、置換基としてヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基又はカルバミド基を有する炭素原子数1ないし4のアルキル基、グリシジル基又は基−CH2−CH(OH)−Z又はCONH−Z(式中、Zは
、水素原子、メチル基又はフェニル基を表す。)を表し;又は
nが2を表す場合、
2は、炭素原子数2ないし12のアルキレン基、炭素原子数6ないし12のアリーレ
ン基、キシリレン基又は−CH2CH(OH)−CH2−又は−CH2−CH(OH)−C
2−O−D−O−基(式中、Dは、炭素原子数2ないし10のアルキレン基、炭素原子
数6ないし15のアリーレン基、炭素原子数6ないし12のシクロアルキレン基を表す。)を表すか;又はG1がアルカノイル基、アルケノイル基又はベンゾイル基を表さない場
合、G2はまた、1−オキソ−炭素原子数2ないし12のアルキレン基、脂肪族、脂環式
又は芳香族ジカルボン酸の又はジカルバミン酸の2価基又は−CO−基を表し得るか;
又はnが1を表す場合、G1及びG2は一緒に脂肪族、脂環式又は芳香族1,2−ジカルボン酸又は1,3−ジカルボン酸の2価基を表し得る。]
で表されるものであり得る。
【0013】
炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数1ないし18のアルキル置換基は、上記式(IA)の下で定義されたとおりである。
炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基は、好ましくはシクロヘキシル基である。
炭素原子数7又は8のアラルキル基G1は、好ましくは2−フェニルエチル基又はベン
ジル基である。
炭素原子数2ないし5のヒドロキシアルキル基G1は、好ましくは2−ヒドロキシエチ
ル基又は2−又は3−ヒドロキシプロピル基である。
炭素原子数2ないし18のアルカノイル基G1は、例えばプロピオニル基、ブチリル基
、オクタノイル基、ドデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、好ましくはアセチル基であり得る。
炭素原子数3ないし5のアルケノイル基G1は、好ましくはアクリロイル基である。
炭素原子数2ないし8のアルケニル基G2は、例えばアリル基、メタリル基、2−ブテ
ニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基又は2−オクテニル基であり得る。
ヒドロキシ−、シアノ−、アルコキシカルボニル−又はカルバミド−置換された炭素原子数1ないし4のアルキル基G2は、例えば2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、メトキシカルボニルメチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−アミノカルボニルプロピル基又は2−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基であり得る。
炭素原子数2ないし12のアルキレン基G2は、例えばエチレン基、プロピレン基、2
,2−ジメチルプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基である。
炭素原子数6ないし15のアリーレン基G2は、例えばo−、m−又はp−フェニレン
基、1,4−ナフチレン基又は4,4’−ビフェニレン基であり得る。
炭素原子数6ないし12のシクロアルキレン基G2は、好ましくはシクロヘキシレン基
である。
【0014】
例えば、本ヒドロキシルアミンエステルは、式IC
【化6】

[式中、
nは1又は2を表し、及びRa、R1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義されたとおりであり;及び
3は、nが1を表す場合、炭素原子数2ないし8のアルキレン基、炭素原子数2ない
し8のヒドロキシアルキレン基又は炭素原子数4ないし24のアシルオキシアルキレン基を表し、或いはnが2を表す場合、基(−CH22C(CH2−)2を表す。]
で表されるものである。
【0015】
例えば、本ヒドロキシルアミンエステルは、式中、Ra、R1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義されたとおりであり、及びG3は、炭素原子数2ないし8のアルキレン基
又は炭素原子数4ないし24のアシルオキシアルキレン基を表すところの、式ICで表されるものである。
炭素原子数2ないし8のアルキレン基又は炭素原子数2ないし8のヒドロキシアルキレン基G3は、例えばエチレン基、1−メチル−エチレン基、プロピレン基、2−エチルプ
ロピレン基又は2−エチル−2−ヒドロキシメチルプロピレン基であり得る。
炭素原子数4ないし22のアシルオキシアルキレン基G3は、例えば2−エチル−2−
アセトキシメチルプロピレンであり得る。
【0016】
ヒドロキシルアミンエステルは、式ID、IE又はIF
【化7】

【化8】

【化9】

[式中、
nは1又は2を表し、及びRa、R1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義されたとおりであり;及び
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、アリル基、ベンジル基、グ
リシジル基又は炭素原子数2ないし6のアルコキシアルキル基を表し;及び
5は、以下の意味を有する:
nが1を表す場合、
5は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし5のア
ルケニル基、炭素原子数7ないし9のアラルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基、炭素原子数2ないし4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルコキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、グリシジル基又は基:−(CH2p−COO−Q又は−(CH2p−O−CO−Q(式中、pは1又は2を表し、及びQは炭素原子数1ないし4のアルキル基又はフェニル基を表し;又は
nが2を表す場合、
5は、炭素原子数2ないし12のアルキレン基、炭素原子数4ないし12のアルケニ
レン基、炭素原子数6ないし12のアリーレン基、基−CH2−CH(OH)−CH2−O−D−O−CH2−CH(OH)−CH2−(式中、Dは、炭素原子数2ないし10のアルキレン基、炭素原子数6ないし15のアリーレン基又は炭素原子数6ないし12のシクロアルキレン基を表す。)、又は基−CH2CH(OZ’)CH2−(OCH2−CH(OZ
’)CH22−(式中、Z’は、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、アリル基、ベンジル基、炭素原子数2ないし12のアルカノイル基又はベンゾイル基を表す。)を表し;
1及びT2は、各々互いに独立して、水素原子、各々水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換され得る炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基又は炭素原子数7ないし9のアラルキル基を表すか、又は
1及びT2は、それらに結合する炭素原子と一緒に炭素原子数5ないし14のシクロアルカン環を形成する。]
で表されるものであり得る。
【0017】
置換基炭素原子数1ないし12のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基又はn−ドデシル基である。
炭素原子数1ないし18のアルキル基として定義される置換基は、例えば上記言及された基、又は例えばn−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基又はn−オクタデシル基である。
炭素原子数2ないし6のアルコキシアルキル基は、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、第3ブトキシメチル基、2−エトキシエチル基、2−又は3−エトキシ−n−プロピル基、2−n−ブトキシエチル基、2−第3ブトキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基又は2−又は3−n−プロポキシ−n−プロピル基である。
【0018】
炭素原子数3ないし5のアルケニル基G5は、例えば1−プロペニル基、アリル基、メ
タリル基、2−ブテニル基又は2−ペンテニル基であり得る。
炭素原子数7ないし9のアラルキル基G5、T1及びT2は、好ましくは2−フェネチル
基又はベンジル基である。T1及びT2が炭素原子と一緒にシクロアルカン環を形成する場合、該環は、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン又はシクロドデカン環であり得る。
炭素原子数2ないし4のヒドロキシアルキル基G5は、例えば2−ヒドロキシエチル基
、2−又は3−ヒドロキシ−n−プロピル基又は2−、3−又は4−ヒドロキシ−n−ブチル基であり得る。
炭素原子数6ないし10のアリール基G5、T1及びT2は、各々水素原子又は炭素原子
数1ないし4のアルキル基により置換され得る好ましくはフェニル基又はα−又はβ−ナフチル基である。
炭素原子数2ないし12のアルキレン基G5は、例えばエチレン基、プロピレン基、2
,2−ジメチルプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基であり得る。
炭素原子数4ないし12のアルケニレン基G5は、好ましくは2−ブテニレン基、2−
ペンテニレン基又は3−ヘキセニレン基である。
炭素原子数6ないし12のアリーレン基G5は、例えばo−、m−又はp−フェニレン
基、1,4−ナフチレン基又は4,4’−ビフェニレン基であり得る。
炭素原子数2ないし12のアルカノイル基Z’は、例えば好ましくはアセチル基であり、及びまたプロピオニル基、ブチリル基、n−オクタノイル基又はn−ドデカノイル基であり得る。
炭素原子数2ないし10のアルキレン基、炭素原子数6ないし15のアリーレン基及び炭素原子数6ないし12のシクロアルキレン基Dは、式IBの下で定義されたとおりである。
【0019】
本ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式IG
【化10】

[式中、
nは1又は2を表し、及びG6は基:
【化11】

(式中、
a、R1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義されたとおりであり、及びR3’及
びR4’は各々、水素原子又はメチル基を表すか、又は一緒に置換基=Oを形成し;
Eは、−O−又は−NG1−を表し;
Aは、炭素原子数2ないし6のアルキレン基又は−(CH23−O−を表し、及びxは0又は1のいずれかを表し;
1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし5のヒ
ドロキシアルキル基又は炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基を表す。)
を表し;
7は、G6と同一であるか、又は基−NG910、−OG11、−NHCH2OG11又は−N(CH2OG112を表し;
nが1を表す場合、G8はG6又はG7と同一であり;及び
nが2を表す場合、G8は基−E−B−E−(式中、Bは、炭素原子数2ないし8のア
ルキレン基、又は1又は2個の−NG9−基により中断された炭素原子数2ないし8のア
ルキレン基を表し、及びG9は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基又は炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基又は基:
【化12】

を表し;
10は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基又は炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基を表し、及びG11は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基又はフェニル基を表し;及び
9及びG10は、一緒に炭素原子数4又は5のアルキレン基又は炭素原子数4又は5の
オキサアルキレン基を表す。]
で表されるものであり得る。
【0020】
9及びG10は、さらに一緒になり得、例えば炭素原子数4又は5のアルキレン基、炭
素原子数4又は5のオキサアルキレン基、例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン基又は3−オキサペンタメチレン基、又は対応する炭素原子数4又は5のチアアルキレン基、例えば基
【化13】

であり得る。
炭素原子数1ないし12のアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基又はn−ドデシル基である。
炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基は、例えば2−ヒドロキシエチル基、2−又は3−ヒドロキシプロピル基又は2−、3−又は4−ヒドロキシ−n−ブチル基である。炭素原子数2ないし6のアルキレン基Aは、例えばエチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、テトラメチレン基又はヘキサメチレン基であり得る。
【0021】
ヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物は、式IH
【化14】

(式中、
nは、2よりも大きい整数を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、式IAの下で定義
されたとおりであり;及びBは、2価置換基を表す。)
で表されるものであり得る。
Bは、例えば炭素原子数1ないし12のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基又はテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基、炭素原子数6ないし15のアリーレン基、例えば基:
【化15】

(式中、Xは2価置換基、例えば上記定義された炭素原子数1ないし12のアルキレン基、−O−、−(C=O)−、−S−又は−S(=O)2−を表す。)
である。
【0022】
式(IH)で表される本ポリエステルはまた、基
【化16】

が、例えば脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールから誘導された適するジオールにより部分的に置換されているところの化合物に相当し得る。
脂肪族ジオールは2ないし12個の炭素原子を含み得、脂環式ジオールは5ないし8個の炭素原子を含み得、及び芳香族ジオールは6ないし15個の炭素原子を含み得る。
【0023】
150ないし40000の範囲にある分子量を有するポリオキシアルキレングリコールがまた可能である。
芳香族ジオールは、2個のヒドロキシ基が芳香族炭化水素基に、又は種々の芳香族炭化水素基に結合された化合物である。
ポリエステルは、少量の、例えば存在するジカルボン酸に基づき0.1ないし3.0モル%の2官能性より大きい官能性モノマー(例えば、ペンタエリトリトール、トリメリト酸、1,3,5−トリ(ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸
又は2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン)により枝分れされ得る。
【0024】
適する脂肪族ジオールは、直鎖状の及び枝分れ状の脂肪族グリコール、特に分子内に2ないし12個の、好ましくは2ないし6個の炭素原子を有するもの、例えばエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオールである。
適する脂環式ジオールは、例えば1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンである。さらに適するジオールは、例えば1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、p−キシリレングリコール又は2,5−ジクロロ−p−キシリレングリコール、2,2−(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのような芳香族−脂肪族ジオール、及びまたジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのようなポリオキシアルキレングリコールである。アルキレンジオールは、好ましくは直鎖状であり、及び特に2ないし4個の炭素原子を含む。
好ましいジオールは、アルキレンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンである。特に好ましいのは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,2−及び1,3−プロピレングリコールである。
さらに適する脂肪族ジオールは、β−ヒドロキシアルキル化された、特にβ−ヒドロキシエチル化されたビスフェノール、例えば2,2−ビス[4’−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンである。
【0025】
適する脂肪族ジオールの他の群は、米国特許第3,867,400号明細書及び第3,954,790号明細書に記載されるヘテロ環式ジオールからなる。例は:N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン、メチレンビス[N−(β−ヒドロキシエチル)−5−メチル−5−エチルヒダントイン]、メチレンビス[N−(β−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン]、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾロン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)(テトラクロロ)ベンズイミダゾロン又はN,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)(テトラブロモ)ベンズイミダゾロンである。
【0026】
適する芳香族ジオールは、1個の芳香族単位を有するジフェノール、特に各々の芳香族単位上にヒドロキシ基を有する2個の芳香族単位を有するジオールである。芳香族単位は、フェニレン基又はナフチレン基のような芳香族炭化水素基を意味するものと理解される。例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール又は1,5−、2,6−及び2,7−ジヒドロキシナフタレンの他に、ビスフェノールビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル又はチオエーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビフェニル、フェニルヒドロキノン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニルビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ジフェニルビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ジフェニルビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−又は2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−又は1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン及び特に2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)及び1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)が言及される。
【0027】
置換されたか又は未置換のアルキレン基の例は、メチレン基、エチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基及びメチルフェニルメチレン基である。
シクロアルキリデン基の例は、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基及びシクロオクチリデン基である。
炭素原子数6ないし10のアリール基は、例えばフェニル基又はナフチル基であるが、炭素原子数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基もまた含まれる。アルキル置換されたフェニル基の例は、エチルベンゼン基、トルエン基、キシレン基及びその異性体、メシチレン又はイソプロピルベンゼンである。
アルキル基は、枝分れ状の又は枝分れしていない基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第2ブチル基、イソブチル基、第3ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イコシル基又はドコシル基である。
【0028】
熱可塑性ポリマーへのヒドロキシルアミンの添加は、ポリマーが溶融され且つ添加剤と混合されるすべての慣用の混合機中で行われ得る。適する機械は当業者に既知である。それらは優先的に、混合機、ニーダー及び押出機である。
プロセスは好ましくは、加工の間に添加剤を導入することにより押出機中で行われる。特に好ましい加工機は、一軸スクリュー押出機、逆回転及び同一回転二軸スクリュー押出機、遊星ギア押出機、リング押出機又はコニーダーである。真空が適用され得る少なくとも1つのガス除去区画付きの加工機が使用され得る。
適する押出機及びニーダーは例えば、Handbuch der Kunststoffextrusion,Vol.1 Grundlagen,編者 F.Hensen,W.Knappe,HPotente,1989,pp.3−7,ISBN:3−446−14339−4(Vol.2 Extrusionsanlagen 1986,ISBN 3−446−14329−7)に記載されている。
例えば、スクリュー長は、1ないし60スクリュー直径であり、好ましくは35ないし48スクリュー直径である。スクリューの回転速度は、好ましくは1分当り10ないし600回転(rpm)であり、非常に特に好ましくは25ないし300rpmである。
最大処理量は、スクリュー直径、回転速度及び駆動力による。本発明の方法はまた、言及したパラメータを変えるか又は投与量を供給する計量機を使用することにより、最大処理量よりも低い水準で行われ得る。
多くの成分が添加される場合、これらは前混合され得るか又は個々に添加され得る。
【0029】
ポリマーは、添加剤の配合の間、十分な期間で高温にさらされる必要がある。温度は一般に、ポリマーの軟化点よりも上である。
本発明の方法の好ましい態様において、280℃よりも低い範囲の温度、特におよそ160℃ないし280℃の範囲の温度が使用される。特に好ましい方法の改変においては、およそ200℃ないし270℃の範囲の温度が使用される。
上記のヒドロキシルアミンエステルは、ポリマー鎖の分解に影響するところの配合の間に、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー及びポリプロピレンブレンドの分子量を低減するのに適している。例えば、狭い分子量分布を有する非常に均質なポリプロピレンポリ
マーが提供される。そのようなポリプロピレンは、エレクトレット用途において優れている。
配合はまた択一的に、ポリマーの分解をまだ引き起こさない温度にて行われ得る(潜在性の化合物)。この方法で製造されたポリマーはその後、2回目の加熱を受け得、そして所望のポリマー分解が生じるような十分な期間の間、高温を受け得る。
【0030】
本発明の方法及び組成物において、上記のヒドロキシルアミンエステルを含む化合物は、ポリマー量に基づき、およそ0.001ないし5.0質量%、特に0.01ないし2.0質量%及び特に好ましくは0.02ないし1.0質量%の濃度で存在する。ヒドロキシルアミンエステルは、別々の化合物として又は混合物としてポリマーに添加され得る。
ポリマー内への添加剤の配合は、例えば、上記のヒドロキシルアミンエステル又はその混合物、及び所望により他の添加剤を、プロセス技術において慣用の方法を用いてポリマーに混合することにより、行われ得る。
ヒドロキシルアミンエステルはまた、これら化合物が例えばおよそ1.0ないし25.0質量%の濃度で存在するマスターバッチの形態でポリマーに添加され得る。本発明はそれ故、本発明の化合物がおよそ1.0ないし25.0質量%の濃度で存在し、及び熱可塑性ポリマーに添加され得る濃縮物をさらに提供する。
【0031】
本発明の別の局面は、本発明のヒドロキシルアミンエステルとの特定の他の添加剤との併用である。これら特定の他の添加剤は、ヒドロキシルアミンエステルと同様の手法にて配合される。
例えば、本発明のヒドロキシルアミンエステル化合物以外のヒンダードアミン光安定剤(HALS)の安定剤の類がまた、本発明の方法及び組成物において使用される。
本立体障害性アミン安定剤は、少なくとも1つの式
【化17】

(式中、破線は、基又は置換基への結合を表し;
1、G2、G3、G4及びG5は、独立して炭素原子数1ないし8のアルキル基を表すか
、或いはG1とG2又はG3とG4が一緒にペンタメチレン基を表す。)
で表される部分を含む。
ヒンダードアミンは、例えば米国特許第5,004,770号明細書、第5,204,473号明細書、第5,096,950号明細書、第5,300,544号明細書、第5,112,890号明細書、第5,124,378号明細書、第5,145,893号明細書、第5,216,156号明細書、第5,844,026号明細書、第5,980,783号明細書、第6,046,304号明細書、第6,117,995号明細書、第6,271,377号明細書、第6,297,299号明細書、第6,392,041号明細書、第6,376,584号明細書及び第6,472,456号明細書、及び2000年11月16日出願の米国特許出願第09/714,717号明細書、及び2002年8月6日出願の米国特許出願第10/485,377号明細書に開示されている。
上記引用された米国特許第6,271,377号明細書、第6,392,041号明細書及び第6,376,584号明細書が、ヒンダードヒドロキシルアミン安定剤を開示している。
【0032】
適するヒンダードアミンは、
1)1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オクタデシルアミノピペリジン
2)ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
3)ビス(1−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
4)ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イル)セバケート
5)ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
6)ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
7)ビス(1−アシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
8)ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル−3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート
9)2,4−ビス[1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ−s−トリアジン
10)ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)アジペート
11)2,4−ビス[1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジニ−4−イル)ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジン
12)1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
13)1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
14)1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
15)ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート
16)ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)アジペート
17)2,4−ビス{N−[1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル]−N−ブチルアミノ}−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン
18)4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
19)ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニ−4−イル)−p−メトキシベンジリデンマロネート
20)4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
21)ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート
22)1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン
23)2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカン
24)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート
25)トリス(2−ヒドロキシ−3−(アミノー(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)プロピル)ニトリロトリアセテート
26)テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート
27)テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート
28)1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)
29)3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
30)8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
31)3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン
32)3−ドデシル−1−(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン
33)N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン
34)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジニ−4−イル)−ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンとN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン)の反応生成物
35)1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合物
36)N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−第三オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物
37)N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物
38)N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物
39)N,N’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環状縮合物
40)2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物
41)2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物
42)7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物
43)ポリ[メチル−(3−オキシ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)プロピル)]シロキサン、CAS登録番号182635−99−0
44)マレイン酸無水物−炭素原子数18ないし22のα−オレフィン−コポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンの反応生成物
45)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンにより末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合生成物であるオリゴマー化合物
46)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−1,2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンにより末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ニ−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合生成物であるオリゴマー化合物
47)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンにより末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−プロポキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合生成物であるオリゴマー化合物
48)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−1−アシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンにより末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−アシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンの縮合生成物であるオリゴマー化合物
49)1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと塩化シアヌルの反応により得られた生成物と、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イルブチルアミンとの反応により得られた生成物
からなる群より選択される。
また含まれるのは、上記言及された化合物のいずれかの立体障害性N−H、N−メチル、N−メトキシ、N−プロポキシ、N−オクチルオキシ、N−シクロヘキシルオキシ及びN−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)類似体である。
【0033】
ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステルはまた、本発明の方法及び組成物において有利に使用される。ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステルは、例えば米国特許出願第2004/0106767号明細書において開示されている。ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステルは、式
【化18】

[式中、
6は、イソプロピル基、第3ブチル基、シクロヘキシル基又は1ないし3個の炭素原
子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
7は、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基、シクロヘキシル基又は1ない
し3個の炭素原子数1ないし4のアルキル基により置換されたシクロヘキシル基を表し、
8は、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換の又は炭素原子数1ないし4の
アルキル置換されたフェニル基又はナフチル基を表し、
9は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、未置換の又は炭素原子数1
ないし4のアルキル置換されたフェニル基又はナフチル基;又は
【化19】

(式中、Mr+はr価の金属カチオンを表す。)
に対応し、
pは、1、2、3、4、5又は6を表し、及び
rは、1、2又は3を表す。]
で表されるものである。
例えば、本ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステルは、式P1又はP2:
【化20】

で表される化合物である。
【0034】
本発明の方法及び組成物は、芳香族トリス−アミド核剤の類からの添加剤をさらに含み得る。トリス−アミド核剤は、例えば米国特許出願第2005/0203226号明細書及び2004年2月9日に出願された第10/544,508号明細書、及び国際公開第2004/072168号パンフレットに開示されている。
芳香族トリス−アミドは、例えば式
【化21】

(式中、
1、R2及びR3は、互いに独立して炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子
数1ないし10のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし10のアルキル)アミノ基、炭素原子数1ないし10のアルキルオキシ基又はヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし20のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、1ないし3個の炭素原子数1ないし10のアルキル基により置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、シクロヘキシルメチル基、1、2又は3個の炭素原子数1ないし10のアルキル基により置換されたシクロヘキシルメチル基、炭素原子数5ないし9のシクロアルケニル基、1ないし3個の炭素原子数1ないし10のアルキル基により置換された炭素原子数5ないし9のシクロアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1ないし10のアルキル基、炭素原子数1ないし10のアルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、トリハロゲンメチル基、トリハロゲンメトキシ基、ベンゾイル基、フェニルアミノ基、アシルアミノ基及びフェニルアゾ基からなる群より選択された1ないし3個の置換基により置換されたフェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、炭素原子数1ないし10のアルキル基、炭素原子数1ないし10のアルコキシ基及びヒドロキシ基からなる群より選択された1ないし3個の置換基によりフェニル上で置換された炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、ナフチル基、炭素原子数1ないし10のアルキル基により置換されたナフチル基、アダマンチル基、又は5又は6員環のヘテロ環基を表す。)
で表されるものである。
【0035】
芳香族トリス−アミドは、例えば式
【化22】

[式中、
1、R2及びR3、又はY1、Y2及びY3、又はZ1、Z2及びZ3は、互いに独立して未
置換の、或いは1ないし3個のヒドロキシ基により置換された炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個のヒドロキシ基により置換された炭素原子数2ないし20のアルケニル基;
酸素原子又は硫黄原子により中断された炭素原子数2ないし20のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された(炭素原子数3ないし12のシクロアルキル)−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたビス[炭素原子数3ないし12のシクロアルキル]−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された5ないし20個の炭素原子を有する2環式又は3環式炭化水素基;
未置換の、或いは炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数1ないし20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし20のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1ないし3個の置換基により置換されたフェニル基;
未置換の、或いは炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基及びヒドロキシ基からなる群より選択された1ないし3個の置換基により置換されたフェニル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたフェニルエテニル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたビフェニル−(炭素原子数1ないし10のアルキル)基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたナフチル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたナフチル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたナフトキシメチル基;
ビフェニレニル基、フルオレニル基、アントリル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された5−又は6−員環のヘテロ環基;
少なくとも1つのハロゲン原子を含む炭素原子数1ないし20の炭化水素基;又は
トリ(炭素原子数1ないし10のアルキル)シリル(炭素原子数1ないし10のアルキル)基を表すが;
但し、
基R1、R2及びR3、又は、Y1、Y2及びY3、又は、Z1、Z2及びZ3の少なくとも1
つは、
未置換の、或いは少なくとも1個のヒドロキシ基により置換された枝分れ状の炭素原子数3ないし20のアルキル基;
酸素原子又は硫黄原子により中断された炭素原子数2ないし20のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された(炭素原子数3ないし12のシクロアルキル)−炭素原子数1ないし10のアルキル基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された5ないし20個の炭素原子を有する2環式又は3環式炭化水素;
未置換の、或いは炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数1ないし20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし20のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基及びニトリロ基からなる群より選択された1ないし3個の置換基により置換されたフェニル基;
未置換の、或いは炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基、フェニル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基及びヒドロキシ基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたビフェニル−(炭素原子数1ないし10のアルキル)基;
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換されたナフチル−炭素原子数1ないし20のアルキル基;或いは
トリ(炭素原子数1ないし10のアルキル)シリル(炭素原子数1ないし10のアルキル)基を表す。]
で表されるものである。
【0036】
好ましい態様に従うと、
基R1、R2及びR3、又は、Y1、Y2及びY3、又は、Z1、Z2及びZ3の少なくとも1
つは、枝分れ状の炭素原子数3ないし20のアルキル基、又は
未置換の、或いは1ないし3個の炭素原子数1ないし20のアルキル基により置換された炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基を表す。
特に好ましい態様に従うと、基R1、R2及びR3、又は、Y1、Y2及びY3、又は、Z1
、Z2及びZ3の少なくとも1つは、枝分れ状の炭素原子数3ないし10のアルキル基である。
ヒンダードアミン光安定剤、ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステル及び芳香族トリス−アミド核剤の他の添加剤が、本ヒドロキシルアミンエステルと同量で用いられる。
【0037】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。すべてのパーセンテージは、特記されない限り質量パーセントによる。
【実施例】
【0038】
実施例1
以下のヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物は、米国特許出願第2003/0216494号明細書に従い製造される。
【化23】

【化24】

上記ヒドロキシルアミンエステル化合物をそれぞれ、0.05質量%の量でポリプロピレン中に溶融配合した。ステアリン酸カルシウム0.1質量部をまたポリプロピレン中に配合した。得られた顆粒をメルトブローン法により紡糸して、不織布を得た。布にコロナ処理を行った。不織布は優れた熱安定性を示した。布はまた、長期にわたり電荷を保持し、即ち布は良好な帯電安定性を有していた。
【0039】
実施例2
35、25又は12のメルトフローインデックス(MFI)を有するポリプロピレンをタンブル混合して、ポリマーの質量に基づき、立体障害性アミン(HALS)5.0質量%、立体障害性ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸モノエステル(HPPME)2.0質量%、又は芳香族トリスアミド(TA)0.5質量%を含ませた。
これら混合物を、レイシュトリッツ(Leistritz)27mm2軸スクリュー押
出機を用いてそれぞれ配合した。溶融物を水中に通して冷却し、そしてストランドをコンエアー−ジェトロモデル304ペレット機(Conair−Jetro Model304pelletizer)によりペレットへと転換した。収集されたペレットをマスターバッチとみなす。ポリプロピレンを適切な量のマスターバッチ及び本ヒンダードヒドロキシルアミンエステル(HHAE)とともに各々等量でタンブル混合した。タンブル混合は、ヘラ型の低速RPMミキサーであるマリオンミキサーSPS1224(Marion Mixer SPS 1224)を介した。これらを最終混合物とみなした。各々45kgの最終混合物を、500mmレイフェンハウザーメルトブローイングパイロットライン(Reifenhauser Melt Blowing Pilot Line)を用いて、メルトブローンした不織布へと転換した。ポリプロピレンウェブをその後、コロナ放電により処理した。
試料を、100cm2の試験領域を用い1分当り32Lで塩化ナトリウムエアゾールを
噴霧するTSI濾過試験機(TSI Filter Tester)(8130型)を用いて試験した。結果を以下の表に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

本発明の添加剤は、濾過効率及び濾過効率損失において測定されたように、熱及び帯電安定性を有するポリプロピレンを与えるのに効果的であった。
【0040】
ヒンダードヒドロキシルアミンエステル(HHAE):
【化25】

立体障害性ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸モノエステル(HPPME):
【化26】

立体障害性アミン(HALS):
【化27】

芳香族トリス−アミド(TA):
【化28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高められた熱及び帯電安定性を有するエレクトレット組成物を製造する方法であって、該方法は、熱可塑性ポリマーを、有効安定化量の少なくとも1種のヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物であって少なくとも1つの式I
【化1】

(式中、
a’は、モノアシル基又はジアシル基を表し;
1ないしR4は、各々炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し;及び
5及びR6は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数6ないし10のアリール基を表すか;又は
5及びR6は一緒に酸素原子を表す。)
で表される部分を含むヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物と溶融ブレンドし;そしてブレンドにエレクトレット処理を行うことを含む、方法。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーは、不織ポリプロピレンウェブである、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項3】
前記エレクトレット処理は、コロナ処理である、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項4】
前記ヒンダードヒドロキシルアミンエステル化合物は、式IA
【化2】

[式中、
nは、1ないし4の整数を表し、
aは、アシル基を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、各々互いに独立して、水素原子又はメチル基を表し;及び
Gは、以下の意味を有する:
nが1を表す場合、
Gは、水素原子、少なくとも1個の酸素原子により中断され得る炭素原子数1ないし18のアルキル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、グリシジル基、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、不飽和の又は芳香族カルボン酸の、カルバミン酸の又はリン含有の酸の1価基、或いは1価シリル基、好ましくは2ないし18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、3ないし5個の炭素原
子を有するα,β−不飽和カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル基を表し、ここで、カルボン酸は、1ないし3個の−COOZ1基(
式中、Z1は、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得;或いは
nが2を表す場合、
Gは、炭素原子数2ないし12のアルキレン基、炭素原子数4ないし12のアルケニレン基、キシリレン基、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の、ジカルバミン酸の又はリン含有の酸の2価酸基、或いは2価シリル基、好ましくは2ないし36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の、8ないし14個の炭素原子を有する脂環式又は芳香族ジカルボン酸の、又は8ないし14個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルバミン酸のアシル基を表し、ここで、ジカルボン酸は、1又は2個の−COOZ1基(式中、Z1は上記定義されたとおりである。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得;或いは
nが3を表す場合、
Gは、脂肪族、脂環式又は芳香族トリカルボン酸の3価酸基を表し、ここで、該基は、−COOZ1(式中、Z1は上記定義されたとおりである。)により、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において置換され得、又は芳香族トリカルバミン酸の又はリン含有の酸の3価酸基、又は3価シリル基を表し;及び
nが4を表す場合、
Gは、脂肪族、脂環式又は芳香族テトラカルボン酸の4価酸基を表す。]
で表されるものである、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項5】
前記ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式IC
【化3】

[式中、
nは1又は2を表し、及びRaはアシル基を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、独立して、水素原子又はメチル基を表し;及び
3は、nが1を表す場合、炭素原子数2ないし8のアルキレン基、炭素原子数2ない
し8のヒドロキシアルキレン基又は炭素原子数4ないし24のアシルオキシアルキレン基を表し、或いはnが2を表す場合、基(−CH22C(CH2−)2を表す。]
で表されるものである、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項6】
前記ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式IC
【化4】

(式中、
aはアシル基を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、独立して、水素原子又はメチル基を表し、及び
3は、炭素原子数2ないし8のアルキレン基又は炭素原子数4ないし24のアシルオ
キシアルキレン基を表す。)
で表されるものである、請求項1に記載のエレクトレット組成物。
【請求項7】
前記ヒンダードヒドロキシルアミンエステルは、式IG
【化5】

[式中、
nは1又は2を表し、及びG6は基:
【化6】

(式中、
aはアシル基を表し、及びR1’、R2’及びR3’は、独立して、水素原子又はメチル基を表し、及びR3’及びR4’は各々、水素原子又はメチル基を表すか、又は一緒に置換基=Oを形成し;
Eは、−O−又は−NG1−を表し;
Aは、炭素原子数2ないし6のアルキレン基又は−(CH23−O−を表し、及びxは
0又は1のいずれかを表し;
1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし5のヒ
ドロキシアルキル基又は炭素原子数5ないし7のシクロアルキル基を表す。)
を表し;
7は、G6と同一であるか、又は基−NG910、−OG11、−NHCH2OG11又は−N(CH2OG112を表し;
nが1を表す場合、G8はG6又はG7と同一であり;及び
nが2を表す場合、G8は基−E−B−E−(式中、Bは、炭素原子数2ないし8のア
ルキレン基、又は1又は2個の−NG9−基により中断された炭素原子数2ないし8のア
ルキレン基を表し、及びG9は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基又は炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基又は基:
【化7】

を表す。)を表し;
10は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基又は炭素原子数1ないし4のヒドロキシアルキル基を表し、及びG11は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基又はフェニル基を表し;及び
9及びG10は、一緒に炭素原子数4又は5のアルキレン基又は炭素原子数4又は5の
オキサアルキレン基を表す。]
で表されるものである、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマー中に、ヒンダードアミン光安定剤、ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又はモノエステル及び芳香族トリス−アミド核剤からなる群より選択された添加剤がさらに配合される、請求項1に記載のエレクトレット組成物を製造する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により得られたエレクトレット組成物。

【公表番号】特表2009−533505(P2009−533505A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504685(P2009−504685)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053146
【国際公開番号】WO2007/115963
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】