説明

エレクトロルミネセンスデバイス

OLEDに、好ましくは半吸収性であり、実施例においては、昇華可能な有機金属化合物で形成されている暗い色もしくは黒色の反射影響層(27)を存在させる。この反射影響層は、電極(29 または22)と、発光層(25)との間に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機物質、ポリマー物質、金属錯体、もしくは、有機のエレクトロルミネセンス物質(electroluminescent material)に基づき、かつ、コントラスト強化層(contrast enhancing layer)を有する、エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
明示しない限り、本明細書中に言及した全ての文書の開示内容は、参照することによって本明細書に含まれる。
【0003】
電流を通したときに発光する物質は、よく知られており、ディスプレイ用途に広く用いられている。液晶デバイスおよび無機半導体系(inorganic semiconductor systems)に基づいたデバイスが広く用いられている。しかしながら、これらはエネルギー消費が高いこと、生産コストが高いこと、量子効率が低いこと、および、フラットパネルディスプレイを生産することができないこと、という欠点を持っている。
【0004】
あるタイプのエレクトロルミネセンスデバイスは、アノードとなる透明な第1電極(例えばインジウムスズ酸化物で被覆したガラス)、オプションとしての正孔輸送層、エレクトロルミネセンス物質の層、オプションとしての電子輸送層、およびカソードを含む層状構造を有する。このカソードは、通常、アルミニウムもしくはアルミニウムを含む合金などの金属である。電流をデバイスに通したときに透明な第1電極を通して発光する。
【0005】
エレクトロルミネセンスデバイスを用いると、ディスプレイの輝度(brightness)と明瞭性(clarity)は背景の色と発光した光の間のコントラストにある程度依存する。例えば、携帯電話などに用いられる単色ディスプレイでは、画面上のメッセージの読みやすさは、画像の明るさと背景の明るさの間のコントラストに依存する。通常、黒色の背景では最も良いコントラストとなるが、前述のタイプのエレクトロルミネセンスデバイスでは、光が幾分か金属カソードから反射するため、コントラストが低くなる。
【0006】
特許出願WO00/350281は、発光領域、発光領域を目視できる側に位置する第1のタイプの電荷キャリアを注入するための第1電極、ならびに、発光領域を目視できない側に位置する第2のタイプの電荷キャリアを注入するための第2電極を備え、グラファイトおよび/または仕事関数が低い金属のフッ化物もしくは酸化物を含む光吸収層を含み、かつ、発光領域を目視できない側に位置する反射影響構造(reflectivity-influencing structure)を有する発光デバイスを開示している。この出願は、また、発光領域、発光領域を目視できる側に位置する第1のタイプの電荷キャリアを注入するための第1電極、ならびに、発光領域を目視できない側に位置する第2のタイプの電荷キャリアを注入するための第2電極を備え、光反射層および第2電極と光反射層の間の光透過間隔層(light-transmissive spacing layer)(その間隔層の厚みは、光反射層の反射面を、発光領域部分から少なくともそのデバイスの光学的モードの波長の約半分の間隔をあける)を含み、かつ、発光領域を目視できない側に位置する反射影響構造を有する発光デバイスも開示している。反射影響構造は、第2電極からの反射を軽減し、デバイスの効率を改善すると記載されている。
【0007】
発光領域は、エレクトロルミネセンス物質を含み、開示された物質は半導体ポリマー物質および/または共役ポリマー物質である。あるいは、発光物質は、例えば、昇華した小さな分子の膜もしくは無機発光材料などの他のタイプの物質であってもよい。有機発光物質は、有機物質、適切なポリマー、好ましくは、全体もしくは部分的に共役しているポリ
マーを一種類以上含むものとすることができる。例示的な物質は、以下の一種類以上の物質の任意の組み合わせを含む:ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(2-メトキシ-5(2'-エチル)ヘキシルオキシフェニレンビニレン)(MEH-PPV)、一種類以上のPPV誘導体(例えば、ジアルコキシ誘導体もしくはジアルキル誘導体)、ポリフルオレン、および/または、ポリフルオレンセグメントを含むコポリマー、PPV類と関連したコポリマー類、ポリ(217-(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン)-(1,4-フェニレン-((4-secブチルフェニル)イミノ)-1,4-フェニレン))(TFB)、ポリ(2,7-(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン)-(1,4-フェニレン-((4-メチルフェニル)イミノ)-1,4-フェニレン-((4-メチルフェニル)イミノ)-1,4-フェニレン))(PFM)、ポリ(2,7-(919-ジ-n-オクチルフルオレン)-(1,4-フェニレン-((4-メトキシフェニル)イミノ)-1,4-フェニレン-((4-メトキシフェニル)イミノ)-1,4-フェニレン))(PFIVIO)、ポリ(2,7-(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン)(F8)、もしくは、ポリ(2,7-(9,9-ジ-n-オクチルフルオレン)-3,6-ベンゾチアゾール)(RBT)である。他の物質には、アルミニウムキノラート(Alq3)などの分子量が小さい物質も含まれる。
【0008】
被膜、もしくは、カソードとエレクトロルミネセンス物質の間の層として提案されている他の物質には、窒化ケイ素、シリコンカーバイド、一酸化ケイ素、酸化クロム/酸化ケイ素混合物、および酸化クロム酸化ケイ素混合物がある。
【0009】
しかしながら、中間の光吸収層は、エレクトロルミネセンスの動作に悪影響を及ぼす。これは、中間層を形成する方法に起因する。例えば、既知で用いられている反射影響物質は、ELデバイスの動作に悪影響を及ぼすスパッタリングでデポジットされる。他の方法は、部分的にもしくは実質的に光を透過するのに十分なほど薄いカソードを生成して、光吸収層をカソードの後ろに置くことである。しかし、これらのタイプの構造は、使用することができるカソードの選択および性質に、悪影響を及ぼす。
【発明の開示】
【0010】
ところで、我々は、この問題を軽減する中間光吸収層を有するエレクトロルミネセンスデバイスを考案した。
【0011】
本発明によると、(i)透明な第1電極、(ii)エレクトロルミネセンス物質の層、および、(iii)第2電極を含み、第2電極とエレクトロルミネセンス物質の層の間に反射影響物質(reflectivity-influencing material)を有しており、この反射影響物質が昇華可能な(sublimable)化合物であるエレクトロルミネセンスデバイスが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
アノードとして作用する第1電極と、カソードとして作用する第2電極を用いると、そのデバイスに電流が流れたときにアノードを通して発光する。
【0013】
第1電極は、好ましくは導電ガラス(conductive glass)もしくはプラスチック物質などのアノードとして作用する透明な物質である。好ましい物質は、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)などの導電ガラスであるが、任意の導電性を有するガラス、または、金属もしくは導電性ポリマーなどの導電層を有するガラスを用いることができる。導電性ポリマー類、ならびに、導電性ポリマーで被覆されたガラスもしくはプラスチック物質も、基板として用いることができる。
【0014】
エレクトロルミネセンス物質の層とカソードの間に、電子輸送物質の層を存在させることができる。この電子輸送物質は、カソードと光吸収物質の間、もしくは、エレクトロルミネセンス物質と光吸収物質の間に存在させることができる。
【0015】
光吸収物質は、電子輸送物質から形成することもでき、電子輸送物質と混合することも
できる。
【0016】
第1電極は、少なくともそのデバイスが発光することができる波長の一部もしくは全部の光に対して、好ましくは、少なくとも部分的に光透過性であり、もっとも好ましくは、実質的に光透過性である。第1電極を、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、TO(酸化スズ)、もしくは、金で構成することができる。第1電極は、好ましくは、発光する部分が見える側(すなわち、予測される観察者の位置と発光部分の間)に配置される。第1電極は層状にすることもできる。ここで、1ピクセル以上と一つ以上の第1電極を含むデバイスは、(第2電極と協調して)各々のピクセルを個々に扱うことができる。
【0017】
第2電極は、カソードとして機能し、例えばアルミニウム、カルシウム、リチウム、銀/マグネシウム合金、希土類金属合金などのような、任意の仕事関数の低い金属とすることができる。アルミニウムが好ましい金属である。アルカリ金属のフッ化物、または希土類金属のフッ化物、もしくはそれらの合金などの、金属フッ化物(metal fluoride)を第2電極として用いることができ、例えば金属フッ化物の層をその表面に有する金属を用いることができる。
【0018】
任意に、バッファー層など、デバイスの機能を向上させるような、他の化合物(LiFなど)の層を存在させることができる。
【0019】
本発明に係るデバイスを図1〜4の図面に図説している。
【0020】
図1は、有機エレクトロルミネセンスデバイスの断面の構造を示している。デバイスは、アノードを構成するために透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の層(2)で被覆された、ガラス基板(1)上に作られる。そのITO被覆基板は、エレクトロルミネセンス物質の薄膜(3)および光吸収物質の層(4)、ならびに、アルミニウム電極(5)で覆われている。
【0021】
図2は、他の層を組み込み、アノードを構成するために透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の層(12)で被覆されたガラス基板(11)を含む、他の有機エレクトロルミネセンスデバイスの断面の構造を示している。そのITO被覆基板は、正孔輸送物質の層(13)、エレクトロルミネセンス物質の薄膜(14)、光吸収物質の層(15)、電子輸送物質の層(16)、ならびに、アルミニウムのカソード(17)で覆われている。
【0022】
使用中にデバイス中を電流が流れると、ガラスの層(1)もしくは(11)を通して発光する。ディスプレイを見ている観察者にとっては、層(4)もしくは(16)が黒く見えると、光のコントラストが良く見える。
【0023】
図3は、他の層を組み込んだ、追加的な有機エレクトロルミネセンスデバイスの断面の構造を示している。デバイスは、アノードを構成するために透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の層(12)で被覆されたガラス基板(11)を含む。そのITO被覆基板は、バッファー層の層(13)、正孔輸送物質の層(14)、エレクトロルミネセンス物質の薄膜(15)、電子輸送物質の層(16)、および光吸収物質の層(17)、金属フッ化物(フッ化リチウムなど)の層(18)ならびに、アルミニウムのカソード(19)で覆われている。
【0024】
図4は、他の層を組み込んだ、さらに追加的な有機エレクトロルミネセンスデバイスの断面の構造を示している。デバイスは、アノードを構成するために透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の層(22)で被覆されたガラス基板(21)を含む。そのITO被覆基板は、正孔輸送物質バッファー層の層(23)、正孔輸送物質の薄膜の層(24)、エレクトロルミネセンス物質の薄膜の層(25)、電子輸送物質の層(26)、光吸収物質の層(27)、金属フッ化物(フッ化リチウムなど)の層(28)ならびに、アルミニウムのカソード(29)で覆われている。
【0025】
反射影響層(reflectivity influencing layer)(ホストもしくはドーパント)は、エレクトロルミネセンス層(ホストとドーパント)よりもアノード(ITO層)に近い場合は、好ましくは、少なくとも一つの介在する層(正孔輸送層など)によって、反射影響層はエレクトロルミネセンス層から物理的に隔離されている。反射影響層(ホストもしくはドーパント)は、エレクトロルミネセンス層(ホストとドーパント)よりもカソード(アルミニウムもしくは他の金属層)に近い場合は、好ましくは、少なくとも一つの介在する層(電子輸送層、または、正孔禁止層(hole blocker layer)および電子輸送層など)によって、反射影響層はエレクトロルミネセンス層から物理的に隔離されている。両方の場合において、その理由は、反射影響層によって(クエンチングなどにより)エレクトロルミネセンス層の効率を減少させないようにするためである。
【0026】
本発明は、単色ディスプレイのOLEDsに適用することができる。あるいは、本発明を、赤、緑、青などのピクセルを有するカラーディスプレイに適用しても良い。この反射影響層は、3種類の異なるタイプのピクセルに共通である。
【0027】
<反射影響物質>
好ましくは、反射影響物質は、半吸収(semi-absorbing)性になるように、光を吸収し、ある実施形態では、黒色、もしくは、ほとんど黒色である。
【0028】
昇華可能であるとは、加熱したときに、分解もしくはその他の化学変化を起こさずに、その物質が固体から気体状態になり(もしくは、本出願においては、中間の溶融相を有する場合も含む)、基板上に凝集すると固体としてデポジットされることを指す。好ましくは、化合物は、真空などの減圧下において400℃まで、さらに好ましくは250℃までの温度で昇華し、必要に応じて、通常の蒸着装置(vapour deposition equipment)を用いることができる。
【0029】
用いることができる昇華可能な反射影響物質には、M(DBM)xの構造式の金属錯体(ここで、Mは、クロム、銅、スズ(II)、スズ(IV)、鉛、パラジウム、白金、ニッケルなどの遷移金属、xはMの価数、DBMはジベンゾイルメタンである)、金属フッ化物、金属フタロシアニン(リチウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、バリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、および、ジルコニルフタロシアニンなど)、C60の金属錯体(マンガンC60化合物、マグネシウムC60化合物、カルシウムC60化合物、バリウムC60化合物、ナトリウムC60化合物、カリウムC60化合物、ルビジウムC60化合物、セシウムC60化合物など(ここでC60は、いわゆるバックミンスターフラーレンもしくは「バッキーボール」と呼ばれる))も含まれる。用いることができる他の有機金属錯体は、テトラシアノキニドジメタン(tetracyanoquinidodimethane)の金属錯体などの導電性の有機化合物である。
【0030】
【化9】

【0031】
ここで、Mは金属で、nはMの価数、R1、R2、R3およびR4は、水素、F、あるいは、同じ基であっても異なる基であっても良いヒドロカルビル基、あるいは、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、または、チオフェニル基から選択される。また、R1、R2、ならびにR3は、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成することができ、モノマーと共重合できる。
【0032】
用いることができるその他の昇華可能な反射影響物質には、Mqnのような金属キノラート(metal quinolate)が含まれる。ここで、Mは、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Cr(III)、NbO、VO、TaO(VB族)などの金属もしくは金属酸化物であり、nはMの価数である。これらのキノラートは、8-ヒドロキシキノリンおよび置換された8-ヒドロキシキノリンの金属錯体である。用いることができる他のキノラートは、Euq3(バソフェナントロリン)およびEuq3(フェナントロリン)などの希土類のキノラート錯体である。特に、銅キノラートは、昇華しやすく、薄膜にしたときに吸収ピークが約450nmで吸収エッジが500nm周辺であるという良好な光吸収特性を有し(バンドギャップ約2.4エレクトロンボルト)、良好な反射率を有し、かつ、セルの他の層の機能を阻害しないので、好ましい特性が組み合わさっている。銅キノラートは、OLEDsに用いられる他の化合物に比べて低い温度である230℃周辺で十分な蒸発速度に達することができるなど、真空蒸着によるOLEDsの製造過程とも相性が良い。
【0033】
更なる例は、黒色で、導電性を有し、Cu(I)Cu(II)L3(ここで、Lは以下で、Lαなどと特定される)のように、価数が混在している任意の導電性の希土類フタロシアニン錯体である。
【0034】
<エレクトロルミネセンス物質の概説>
原則として、無機物質、ポリマー性物質、無機錯体、有機金属化合物を含む任意のエレクトロルミネセンス物質を使用することができる。
【0035】
無機物質には、例えば、ZnS:ドーパントなどのII/VI族の化合物、GaAsなどのIII/V族の化合物が含まれる。
【0036】
特に、本発明は、半吸収性の層などの反射影響層を発光性のポリマーと組み合わせて使用することを意図している。このような有機エレクトロルミネセンス物質には、PPV(下
記参照)などの導電性(共役性)ポリマー、ならびに、ペリレン色素などの蛍光色素とすることができる分子固体、Alq3、Ir(III)L3などの金属錯体、Tb(III)錯体などの希土類キレート、チオフェン6量体(sexithipphene)などのオリゴマーが含まれる。
【0037】
【化10】

【0038】
好ましい種類のエレクトロルミネセンス物質には、金属錯体、または、共役アリール物質もしくは共役ヘテロアリール物質(以下の物質など)としてもよいホスト物質が含まれる。例えば、アルミニウムキノラートもしくはジルコニウムキノラートのような金属キノラートに蛍光物質もしくは特許出願WO2004/058913に開示した色素をドープしても良い。
【0039】
【化11】

【0040】
好ましくは、そのホストは、ドーパントとして少量の蛍光物質をドープし、ドープ量はドープされた混合物の重量に対して5〜15%であるのが好ましい。この参照により本願に含まれるUS 4769292で考察されているように、蛍光物質の存在によって、発光波長の露光寛容度(latitude)を広い範囲から選ぶことができるようになる。特に、US4769292で開示しているように、有機金属錯体と正孔-電子再結合に反応して発光する能力を有する少量の蛍光物質とを混合することにより、ルミネセンス領域から放射される色相(the hue
light)を修正することができる。理論上、正孔-電子再結合の親和力が完全に同一である、混合に適したホスト物質および蛍光物質が発見された場合、それぞれの物質が、ルミネセンス領域に正孔と電子を送りこむことにより発光する。知覚される色相は、双方の発光の視覚的な重ねあわせとなる。しかしながら、こうしたホスト物質および蛍光物質のバランスには、大きな制限が課されているため、蛍光物質は、有利な光放射サイトを与えるものを選ぶのが好ましい。有利な光放射サイトを与える蛍光物質が、少ない比率だけ存在する場合でも、この蛍光物質に因る新たなピーク発光波長強度の方が優勢となり、典型的なホスト物質のピーク発光波長強度(peak intensity wavelength emissions)を、完全に打ち消すことができる。この効果をもたらすに充分な蛍光物質の最低限の比率は様々であるが、いかなる例においても、有機金属錯体のモル数に対して、ホスト物質の比率は10モルパーセント以上必要となることはなく、また、蛍光物質が1モルパーセント以上必要となることは稀である。一方、蛍光物質の存在量をきわめて少量、ホスト物質のモル数に対して通常10-3 モルパーセント未満、に制限し、ホスト物質の波長特性における発光を保持することができる。したがって、有利な光放射サイトを与えることができる蛍光物質の選択によって、全体的または部分的である放出波長シフトを実現することができる。これによって、有用な用途に適合するように選択され考察された、本発明のELデバイスのスペクトル放射が許容される。
【0041】
有利な光放射サイトを与える蛍光物質の選択においては、蛍光物質の特性とホスト物質の特性とを関連づける必要がある。前記ホストは、有利な光放射分子位置を与える前記蛍光物質によって送りこまれた正孔と電子を集めるものと見做すことができる。ホストの存在下における、色相放射を修正できる蛍光物質の選択に関連して、このふたつの物質の還元電位の比較がまず重要となる。放射光の波長シフトを示す前記蛍光物質は、前記ホストに較べ、負の還元電位が小さい。エレクトロンボルト単位で計測された還元電位は、測定技術に応じた文献で広く報告されている。還元電位は、絶対値よりも差分値とするのが望ましいため、許容しうる任意の還元電位測定技術によって、前記蛍光物質およびホスト物質の双方の還元電位を同様に測定できるのは明らかである。好ましい酸化還元電位測定技術は、R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15 に報告されている。
【0042】
ホストの存在下における、色相放射を修正できる蛍光物質の選択に関連する、第二の重要な点は、ふたつの物質のバンドギャップ電位の比較である。放射光の波長シフトを示す蛍光物質は、ホストに較べ、低いバンドギャップポテンシャルを有する。分子のバンドギャップポテンシャルは、分子の基底状態と第1一重項状態を分けるエレクトロンボルト(eV)の差のポテンシャルとして得られる。バンドギャップポテンシャルとその測定技術は、文献に広く報告されている。ここで報告しているバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色移動する吸収波長におけるエレクトロンボルト(eV)として計測しており、また、吸収ピークの十分の一程度となる。バンドギャップポテンシャルは、絶対値よりも差分値とするのが望ましいため、許容しうる任意のバンドギャップ測定技術によって、蛍光物質およびジルコニウム2-メチルキノラートの双方のバンドギャップを同様に測定できるのは明らかである。測定技術の実例は、F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5 に開示されている。
【0043】
蛍光物質無しで自身が発光能を有するホスト物質では、前記ホスト物質および蛍光物質のスペクトル結合(spectral coupling)が起こったときに、前記ホスト単独の放射特性の波長における発光の隠蔽と、前記蛍光物質の特性の波長における放射の増大が観察される。スペクトル結合は、前記ホスト単独の放射特性波長と、前記ホストが無いときの前記蛍光物質の吸収光波長との間に、重なるところがあるということを意味している。ホストの発光波長が前記蛍光物質単独の極大吸収の ±25nm であるとき、最適なスペクトル結合が起こる。実際には、ピーク幅ならびにピークの浅色および深色曲線に依って、好都合な
スペクトル結合は、100nm以上異なるピーク放射および吸収波長において起こる。前記有機金属錯体と蛍光物質との間に最適ではないスペクトル結合が予想される際、蛍光物質を浅色置換するよりも、深色置換するほうが、より効率的な結果が得られる。
【0044】
有用な蛍光物質はキノラートもしくは他のホストと混ぜて、本発明に係るELデバイスのルミネセンス領域(the luminescent zones)を構成する前述の厚みの範囲を満たす薄膜中に配合することができる物質である。結晶有機金属錯体(crystalline organo metallic complexes)が薄膜形成(thin film formation)に有用なものでなくても、ホスト中に制限された量の蛍光物質を存在させて、単独では薄膜形成できない蛍光物質を使用することができる。好ましい蛍光物質は、ホストと共通相(common phase)を形成する化合物である。色素は有機金属錯体中に分子レベルで分散させやすいので、蛍光色素は好ましい種類の蛍光物質を構成する。ホスト中に蛍光色素を分散させる任意の便利な技術を用いることができるが、好ましい蛍光色素は、そのホスト物質とともに真空蒸着することができるものである。
【0045】
前述の想定したその他の判断基準を満たすならば、蛍光レーザー色素(fluorescent laser dyes)は本発明に係る有機ELデバイスに用いるのに特に有用な蛍光物質であることがわかる。用いることができるドーパントには、ジフェニルアクリジン、クマリン類、ペリレンおよびそれらの誘導体が含まれる。有用な傾向色素はUS4769292で開示されている。好ましいドーパントは、以下の構造式を持つようなクマリン類である。
【0046】
【化12】

【0047】
式中の R1 は、水素、カルボキシ基、アルカノイル基(alkanoyl)、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基、および複素環芳香族基、から成る群から選ばれ、 R2 は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、カルボキシ基、アルカノイル基、およびアルコキシカルボニル基、から成る群から選ばれ、 R3 は、水素およびアルキル基から成る群から選ばれ、 R4 はアミノ基であり、 R5 は水素であるか、あるいは、 R1 もしくは R2 は、ともに縮合炭素環を形成し、かつ/または、 R4 および R6 のうち少なくとも一方と縮合環を閉環する R4 を形成するアミノ基である。アルキル基は、それぞれの例において、1〜5個の炭素原子から成り、好ましくは1〜3個の炭素原子から成る。前記アリール基は、好ましくはフェニル基である。縮合炭素環は、好ましくは五員環、六員環もしくは七員環である。複素環芳香族基は、炭素原子、および、酸素と硫黄と窒素から成る群から選ばれる一個または二個のヘテロ原子を含む、五員環もしくは六員環の複素環を含む。アミノ基は、一級、二級もしくは三級アミノ基とすることができる。アミノ基の窒素原子が、隣接する置換基とともに縮合環を閉環するとき、前記環は好ましくは五員環もしくは六員環である。例えば、前記窒素原子が、隣接する置換基(R3 もしくは R5 )と単環を構成するとき、R4 はピラン環形状をとることができ、あるいは、前記窒素原子が隣接する置換基 R3および R5 の双方と複数の環を形成するときは、R4 はジュロリジン(julolidine)環形状(クマリンの縮合ベンゾ環を含む)をとることができる。
【0048】
以下は、レーザー色素として有用であることが知られている蛍光クマリン類色素の例である。FD-1 7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、FD-2 4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、FD-3 4-メチルウンベリフェロン (4-Methylumbelliferone )、FD-4 3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、FD-5 3-(2'-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、FD-6 7-アミノ-3-フェニルクマリン、FD-7 3-(2'-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、FD-8 7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-9 2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノラジノ[9,9a,1-gh]クマリン (2,3,5,6-1H,4H-Tetrahydro-8-methylquinolazino [9,9a,1-gh]coumarin )、FD-10 シクロペンタ[c]ジュロリジノ[9,10-3]-11H-ピラン-11-オン (Cyclopenta[c]julolindino[9,10-3]-11H-pyran-11-one )、FD-11 7-アミノ-4-メチルクマリン、FD-12 7-ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、FD-13 7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-14 7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-15 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジン-10-オン ( 1,2,4,5,3H,6H,10H-Tetrahydro-8- trifluoromethyl[1]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizin-10-one )、FD-16 4-メチル-7-(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩 (4-Methyl-7-(sulfomethylamino) coumarin sodium salt)、FD-17 7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-18 7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン、FD-19 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-カルボエトキシ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン (1,2,4,5,3H,6H,10H-Tetrahydro-carbethoxy[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one )、FD-20 9-アセチル-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン ( 9-Acetyl-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[l] benzopyrano[9,9a,1-gh] quinolizino-10-one )、FD-21 9-シアノ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン (9-Cyano-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one )、FD22 9-(t-ブトキシカルボニル)-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン ( 9-(t-Butoxycarbonyl)-1,2,4,5, 3H,6H,10H-tetrahyro[1]benzopyrano [9,9a,1-gh]quinolizino-10-one )、FD-23 4-メチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、FD-24 4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン (Trifluoromethylpiperidino[3,2-g]coumarin )、FD-25 9-カルボキシ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン (9-Carboxy-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[1]benzopyrano[9,9a,1gh]quinolizino-10-one )、FD-26 N-エチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g] (N-Ethyl-4-trifluoromethylpiperidino[3,2-g] )。
【0049】
他のドーパントは、以下の構造式のようなビスベンゼンスルホン酸塩、ならびに、ペリレンおよびペリレン誘導体である。
【0050】
【化13】

【0051】
他のドーパントは、例えば、蛍光ジシアノメチレンピランやチオピラン類色素である、蛍光 4-ジシアノメチレン-4H-ピラン類、および 4-ジシアノメチレン-4H-チオピラン類のような色素である。有用な蛍光色素は、シアニン類、メロシアニン類、複雑なシアニン類およびメロシアニン類(すなわち、三核、四核、多核のシアニン類およびメロシアニン類
)、オキソノール類( oxonols )、ヘミオキソノール類、スチリル類、メロスチリル類、ストレプトシアニン類( streptocyanines )、を含む、公知のポリメチン色素( polymethine dyes )から選択することもできる。前記シアニン類色素は、メチン結合( methine linkage )、ならびに、例えば、ピリジニウム( pyridinium )、キノリニウム(quinolinium )、イソキノリニウム、オキサゾリウム( oxazolium )、チアゾリウム(thiazolium )、セレナゾリウム(selenazolium )、インダゾリウム(indazolium )、ピラゾリウム(pyrazolium )、ピロリウム(pyrrolium )、インドリウム( indolium )、3H-インドリウム( 3H-indolium )、イミダゾリウム(imidazolium )、オキサジアゾリウム(oxadiazolium )、チアジオキサゾリウム(thiadioxazolium )、ベンゾオキサゾリウム(benzoxazolium )、ベンゾチアゾリウム(benzothiazolium )、ベンゾセレナゾリウム(benzoselenazolium )、ベンゾテルラゾリウム(benzotellurazolium )、ベンズイミダゾリウム(benzimidazolium ), 3H-ベンゾインドリウム もしくは 1H-ベンゾインドリウム( 3H-or 1H-benzoindolium )、ナフトオキサゾリウム( naphthoxazolium )、ナフトチオアゾリウム( naphthothiazolium )、ナフトセレナゾリウム( naphthoselenazolium )、ナフトテルラゾリウム( naphthotellurazolium )、カルバゾリウム(
carbazolium )、ピロロピリジニウム( pyrrolopyridinium )、フェナントロチアゾリウム( phenanthrothiazolium )、及びアセナフトチアゾリウム( acenaphthothiazolium )の四級塩からの誘導体であるような、アゾリウム( azolium )もしくはアジニウム( azinium )核のような塩基性複素環二核(two basic heterocyclic nuclei)、によって結合されたものを含む。他の有用な蛍光色素の区分としては、 4-オキソ-4H-ベンズ-[d,e]アントラセン、および、ピリリウム( pyrylium )、チアピリリウム(thiapyrylium )、セレナピリリウム(selenapyrylium )、テルロピリリウム(telluropyrylium )色素がある。
【0052】
アルミニウムキノラートの場合、以下の化合物は、赤色ドーパントとして機能する。
【0053】
【化14】

【0054】
また、アルミニウムキノラートの場合、以下の化合物は、緑色ドーパントとして機能する。
【0055】
【化15】

【0056】
ビフェニルアルミニウムビスキノラート(BAlQ2)化合物の場合、化合物ペリレンは、青色ドーパントとして機能する。
【0057】
さらに、共役芳香族系化合物などの有機ホスト、および、ジアリールアミンアントラセン化合物類などの有機ドーパントに基づく青色発光物質は、WO2006/090098(Kathirgamanathan et al.)に開示されている。好適なホストの例として、以下の化合物に言及できる。
【0058】
【化16】

【0059】
ドーパントとしては、青色発光の置換アントラセン(とりわけ、9,10-ビス(4-メチルベンジル)-アントラセン、9,10-ビス(2,4-ジメチルベンジル)-アントラセン、9,10-ビス(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、1,4-ビス(2,3,5,6-テトラメチルベンジル)-アントラセン、9,10-ビス(4-メトキシベンジル)-アントラセン、9,10-ビス(9H-フルオレン-9-yl)-アントラセン、2,6-ジ-t-ブチルアントラセン、2,6-ジ-t-ブチル-9,10-ビス(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、2,6-ジ-t-ブチル-9,10-ビス(ナフタレン-1-イルメチル)-アントラセン)に言及できる。
【0060】
青色発光OLEDsには、TCTAをホストとして用いてもよく、以下に説明する青色りん光物質とドープしてもよい(WO2005/080526を参照(Kathirgamanathan et al.))。
【0061】
【化17】

【0062】
キノラートおよび置換されたキノラートなどを基にした様々な青色発光物質が文献に報告されているが、キノラートを基にした物質は稀である。例えば、以下の特許文献、出願書類、および出版物で言及されていることがあり、それらの文献は参照することにより本明細書に含まれる。
【0063】
US5141671(Bryan、Kodak):フェノラート配位子と二つの8-キノリノラト配位子を含
むアルミニウムキレート。
【0064】
WO 00/32717(Kathirgamanathan):真空デポジットが可能なリチウムキノラート、ならびに、他の置換されたリチウムキノラート(ここで、2位、3位、4位、5位、6位および7位の置換基は同じ基であっても異なる基であっても良く、それらの置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、スルホン酸、エステル、カルボン酸、アミノ基、およびアミド基から選択されるか、あるいはそれらの置換基が、芳香族基、多環の基、もしくは複素環基をなしてもよい)。
【0065】
US 2006/0003089(Kathirgamanathan):アルキルリチウムもしくはアルコキシリチウムと8-ヒドロキシキノリンをアセトニトリル中で反応させることにより生成したリチウムキノラート。
【0066】
Misra、http://www.ursi.org//Proceedings/ProcGA05/pdf/D04.5(01720).pdf:1×10-5Torrで真空デポジットすることができる青色有機エレクトロルミネセンス物質、ビス-(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェニルシロキシ)アルミニウム(III)。
【0067】
その他の種類の化合物もまた青色発光体として用いることができる。例えば、WO 03/006573(Kathirgamanathan et al.)は、以下の構造のピラゾロンの金属錯体を開示している。
【0068】
【化18】

【0069】
ここで、上記の構造において、
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、銀、金、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、カドミウム、もしくは、クロムで、
nはMの価数で、
R1、R2、ならびにR3は、同じであっても異なっていても良く、水素、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環および多環の環状構造をした基、フルオロカーボン、ハロゲン、または、ニトリル基から選択される。
【0070】
WO 03/006573に開示されている特定の化合物は、以下に示す構造と以下のテーブルで説明する特性を有する。
【0071】
【化19】

【0072】
【表1】

【0073】
更なる例として、WO 2004/084325(Kathirgamanathan et al.)は、以下の構造の青色エレクトロルミネセンス化合物であるホウ素錯体を開示している。
【0074】
【化20】

【0075】
ここで、Ar1は、図示したとおり、ホウ素への配意結合を形成するための環窒素原子を有する非置換または置換の単環式ヘテロアリールもしくは多環式ヘテロアリールで、隣接位が窒素原子ではないという条件の下に任意に、一つ以上の追加的な環窒素原子を有する。XおよびZは、炭素もしくは窒素で、Yは炭素であるか、または、XとZのいずれも窒素原子でない場合にオプションとして窒素である。前述の置換基は、存在する場合には、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、置換もしくは非置換のヒドロカルビルオキシ基、フルオロカーボン、ハロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、もしくは、チオフェニル基から選択される。
Ar2は、単環式アリール基、多環式アリール基、もしくはヘテロアリール基を表し、任意に、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、置換もしくは非置換のヒドロカルビルオキシ基、フルオロカーボン、ハロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、もしくは、チオフェニル基から選択された一つ以上の置換基で置換されており、
R1は、水素、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ハロヒドロカルビル基もしくはハロ基を表し、
R2およびR3は、独立に、任意に、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基、もしくはジアルキルアミノ基の一つ以上で置換されている、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、ハロ基、または、単環式アリール基もしくは多環式アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基もしくはヘテロアラルキル基を表す。好ましくは、置換基は6原子よりも多い炭素原子を有さない。例示的な化合物とその性質を以下に説明する。
【0076】
【化21】

【0077】
Ma et al., Chem. Comm. 1998, 2491-2492には、[Zn4O(AID)6]に7-アザインドラートが二座配位子として配位した亜鉛(II)の4核化合物の調製方法と結晶構造が開示されている。この化合物は、簡単に調製することができて、大気や湿度に対しても安定で、室温において、長寿命で量子収率が高く、強い青色の光ミネセンスを示すという、青色LEDデバイスを形成するのに望ましい性質を有すると報告されている。とりわけ、均質の薄膜を形成するために、インジウムスズ酸化物被覆ガラス基板上に、この化合物の真空デポジション(< 200℃, 2 x 10-6Torr)することによる単層LEDの形成が報告されている。
【0078】
イリジウムをベースにした青色りん光錯体は、WO 2005/080526(Gamanathan et al.)に開示されており、参照することにより、本明細書に含まれる。
【0079】
赤色発光OLEDsでは、ホストをCBPもしくはTAZにすることがあり、ドーパントは以下に説明するりん光発光物質の一つ以上とすることがある(WO 2005/080526参照(Kathirgamanathan et al.))。
【0080】
【化22】

【0081】
緑色発光OLEDsでは、ホストをCBPもしくはTAZにすることがあり、ドーパントは以下に説明するりん光発光物質の一つ以上とすることがある(WO 2005/080526参照(Kathirgamanathan et al.))。
【0082】
【化23】

【0083】
エレクトロルミネセンス層を形成するエレクトロルミネセンス物質は、WO98/58037、PCT/GB98/01773、PCT/GB99/03619、PCT/GB99/04030、PCT/GB99/04024、PCT/GB99/04028およびPCT/GB00/00268の特許出願書類に開示されているような既知の任意のエレクトロルミネセンス物質を用いることもできる。これらの文献は参照することにより本明細書に含まれる。
【0084】
好ましいエレクトロルミネセンス物質は、本発明のエレクトロルミネセンス物質として用いることができるエレクトロルミネセンス化合物であり、一般構造式(Lα)nMで表される。ここで、Mは希土類、ランタニドもしくはアクチニドであり、Lαは有機錯体、nはMの価数(valence state)である。
【0085】
本発明で用いることができる、他の有機エレクトロルミネセンス化合物は、以下の構造式のものである。
【0086】
【化24】

【0087】
ここで、LαとLpは有機配位子であり、Mは希土類、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、nは金属Mの価数である。配位子Lαは同じであっても、異なっていてもよく、同じもしくは異なっている複数の配位子Lpがあってもよい。
【0088】
例えば、(L1)(L2)(L3)(L・・・)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、(L1)(L2)(L3)(L・・・)が同じもしくは違う有機錯体であって、(Lp)は中性配位子である。その配位子(L1)(L2)(L3)(L・・・)の総電荷は金属Mの価数に等しい。3価のMに対応する3つの基Lαの場合は、錯体が構造式(L1)(L2)(L3)M(Lp)であり、その異なる基(L1)(L2)(L3)は同じであっても異なっていてもよい。
【0089】
Lpは単座配位子、二座配位子、もしくは、多座配位子であり、1つもしくは複数の配位子Lpが存在する可能性がある。
【0090】
好ましくは、Mは、不完全な内殻を有する金属イオンであり、好ましいとされる金属は、Sm(III)、Eu(II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III)U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Yb(III)そして、さらに好ましくは、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Gd(III)、Er(III)、Yt(III)から選択される。
【0091】
さらに、本発明で用いられる可能性がある有機エレクトロルミネセンス化合物は、一般構造式(Lα)nM1M2であり、ここでM1は上述のMと同様であり、M2は非希土類金属であり、Lαは上述と同様であり、そしてnはMとMを組み合わせた価数(combined valence state)である。また、錯体は1つもしくは複数の中性配位子Lpを含むことで、錯体は一般構造式(Lα)nM1M2(Lp)となる可能性があり、ここでLpは上述と同様である。金属Mは、希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドではない任意の金属である。用いられる金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅(I)、銅(II)、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、異なる価数を有する遷移金属の第1族、第2族、第3族の金属(例えば、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、イットリウム)を含む。
【0092】
例えば、(L1)(L2)(L3)(L・・・)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタノイドもしくはアクチノイドで、(L1)(L2)(L3)(L)と(Lp)が同じもしくは違う有機錯体である。
【0093】
さらに、本発明で用いることができる有機金属錯体は、2核、3核、多核の有機金属錯体である。例えば、(Lm)xM1←M2(Ln)yの構造式の、例えば、以下のものである。
【0094】
【化25】

【0095】
ここでLは、架橋している配位子であり、M1は希土類金属であり、M2はM1もしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xはM1の価数であり、そしてyはM2の価数である。これらの錯体において、金属−金属結合があってもよく、もしくは、M1とM2との間で1つもしくは複数の架橋する配位子を有してもよく、そして、LmとLnの基が同じであっても、異なっていてもよい。3核とは、金属−金属結合によって結合されている3つの希土類金属があることを意味する。すなわち、以下の構造式のものである。
【0096】
【化26】

【0097】
ここで、M1、M2、およびM3は、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、xはM1の価数であり、yはM2の価数であり、zはM3の価数である。Lpは、LmおよびLnと同じであってもよいし、異なっていてもよい。希土類金属および非希土類金属は、金属−金属結合によって、ならびに/あるいは、中間で架橋する原子、配位子、もしくは分子基(molecular group)を介することによって、ともに結合することができる。例えば、金属は架橋する配位子によって結合されてもよい。例えば、以下のものである。
【0098】
【化27】

ここで、Lは架橋する配位子である。
【0099】
多核とは、金属−金属結合によって、および/もしくは、中間で配位子を介することによって、結合された金属が3つ以上あることを意味している。
【0100】
【化28】

ここで、M1、M2、M3、およびM4は、希土類金属であり、Lは架橋する配位子である。
【0101】
好ましくは、Lαは以下の構造式のようなαジケトンから選択される。
【0102】
【化29】

【0103】
ここで、R1、R2、ならびにR3は、同じであっても異なっていても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、または、チオフェニル基から選択される。また、R1、R2、ならびにR3は、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成することができ、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。Xは、Se、S、もしくは、Oであり、Yは、水素、置換もしくは非置換の芳香族、複素環および多環などの環状構造をした基などの、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、または、ニトリルである。
【0104】
βジケトンは、ポリマーで置換したβジケトンとすることができ、ポリマー、オリゴマー、もしくはデンドリマーで置換されたβジケトンの置換基は、直接、ジケトンに結合するか、または、1つもしくは複数の-CH基を介して、すなわち以下のように結合するか、
【0105】
【化30】

【0106】
もしくは、フェニル基を介して、例えば以下の構造のように、結合することができる。
【0107】
【化31】

【0108】
ここで、「ポリマー」とは、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマー(1つもしくは2つの置換されたフェニル基、さらには、(IIIc)で示されるような3つの置換されたフェニル基を有する)とすることができる。さらにここでRは水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。
【0109】
R1および/もしくはR2および/もしくはR3の例として、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン(phenanthrene)、アントラセン(anthracene)、ナフチル基、および、フルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0110】
また、様々なLα基のいくつかは、カルボキシラート基(carboxylate groups)のような同じであっても異なっても良い荷電をした基であってもよく、その結果、L1基は上述で定義されたようでな基である可能性があり、L2基、L3…基は、以下のような荷電された基であってもよい。
【0111】
【化32】

【0112】
ここで、Rは上述で定義されたようなR1であるか、もしくは、L1基、L2基が上述で定義されたような基であり、そして、L3…基などが他の荷電された基である。
また、R1、R2、R3は、以下のものである可能性もある。
【0113】
【化33】

ここでXは、O、S、SeもしくはNHである。
【0114】
好ましいR1部分は、トリフルオロメチル(CF3)であり、ジケトン等の例としては、ベンゾイルトリフルオロアセトン(banzoyltrifluoroacetone)、p-クロロベンゾイルトリフルオロアセトン(p-chlorobenzoyltrifluoroacetone)、p-ブロモトリフロオロアセトン(p-bromotrifluoroacetone)、p-フェニルトリフルオロアセトン(p-naphthoyltrifluoroacetone)、1-ナフトイルトリフルオロアセトン(1-napthoyltrifluoroacetone)、2-ナフトイルトリフルオロアセトン(2-napthoyltrifluoroacetone)、2-フェナトイルトリフルオロアセトン(2-phenathoyltrifluoroacetone)、3-フェナントイルトリフルオロアセトン(3-phenanthoyltrifluoroacetone)、9-アントロイルトリフルオロアセトントリフルオロアセトン(9-anthroyltrifluoroacetonetrifluoroacetone)、、シンナモイルトリフルオロアセトン(cinnamoyltrifluoroacetone)、および、2-テノイルトリフルオロアセトン(2-thenoyltrifluoroacetone)がある。
【0115】
様々なLα基は、下記の構造式の同じ配位子であっても異なる配位子であってもよい。
【0116】
【化34】

ここで、XはO、S、もしくは、Seであり、R1、R2、およびR3は上述と同様である。
【0117】
様々なLα基は、以下のようなキノラート誘導体(quinolate derivatives)で、同じであっても異なっていてもよい。
【0118】
【化35】

【0119】
ここで、Rは脂肪族、芳香族、もしくは、複素環であるヒドロカルビル基、カルボキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、あるいは、アルコキシ基であり、例えば、8-ヒドロキシキノラート誘導体もしくは、以下の構造のものである。
【0120】
【化36】

【0121】
ここで、R、R1、およびR2は上述と同様であるか、もしくは、HまたはFである。例えば、R1とR2は、アルキル基もしくはアルコキシ基である。
【0122】
【化37】

【0123】
上で述べたような様々なLα基は、同じカルボキシラート基であっても、異なるカルボキシラート基であってもよく、例えば、以下の構造のものである。
【0124】
【化38】

【0125】
ここで、R5は、置換もしくは非置換の芳香族、多環もしくは複素環、ポリピリジル基であり、また、R5を2-エチルヘキシル基とすることでLnは2-エチルヘキサン酸イオン(2-ethylhexanoate)とすることができ、または、R5をイス型構造とすることでLnは2-アセチルシクロヘキサン酸イオン(2-acetyl cyclohexanoate)とすることができ、あるいは、Lαは、以下の構造とすることができる。
【0126】
【化39】

【0127】
ここで、Rは上述と同様であり、例えば、アルキル基、アレニル基、アミノ基、または、環状もしくは多環のような縮合環である。
【0128】
また、様々なLα基は、以下のものでもよい。
【0129】
【化40】

ここで、R、R1、R2は上述と同様である。
【0130】
Lp基は、以下の構造から選択することができる。
【0131】
【化41】

【0132】
ここで、それぞれのPhは同じであっても異なっていてもよく、フェニル基(OPNP)もしくは置換されたフェニル基、他の置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環基または多環基、ナフチル基、アントラセン、フェナントレン、もしくはピレン基のような置換もしくは非置換の縮合した芳香族基であってもよい。その置換基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、芳香族基、複素環基、多環基、フッ素のようなハロゲン基、シアノ基、アミノ基、置換されたアミノ基などであってもよい。例は、後述するスキームの化合物1、化合物2a、および化合物2bであり、R、R1、R2、R3、およびR4は、同じ基であっても異なった基であっても良く、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造の基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。また、R、R1、R2、R3、およびR4は、置換および非置換の縮合芳香族、複素環および多環の環状構造の基を形成でき、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。R、R1、R2、R3、およびR4は、また、ビニル基や、以下の構造の基のような不飽和のアルキレン基であってもよい。
【0133】
【化42】

ここでRは上述と同様である。
【0134】
【化43】

【0135】
また、Lpは、以下の構造式の化合物である可能性がある。
【0136】
【化44】

ここで、R1、R2、およびR3は上述で述べたものであり、例えば、化合物3として示したバソフェン(bathophen)(ここでRは上述と同様である)であるか、もしくは、以下の構造である。
【0137】
【化45】

ここで、R1、R2、およびR3は上述のものである。
【0138】
また、Lpは、以下の構造としてもよい。
【化46】

ここで、Phは上述と同様である。
【0139】
Lpのキレートの別の例は、スキーム2に示したもの、
【0140】
【化47】

【0141】
および、例えばスキーム3で示されるフルオレンおよびフルオレン誘導体
【0142】
【化48】

【0143】
ならびに、スキーム4〜6で示されている構造式の化合物である。
【0144】
【化49】

【0145】
【化50】

【0146】
【化51】

【0147】
LαおよびLpの具体例としては、トリピリジル(tripyridyl)およびTMHD、ならびにTMHD錯体、α,α’,α’’トリピリジル(α,α’,α’’tripyridyl)、クラウンエーテル類(crown ethers)、シクラン類(cyclans)、クリプタン類(cryptans)、フタロシアナン類(phthalocyanans)、ポルフォリン(porphoryins)、エチレンジアミンテトラミン(EDTA、ethylene diamine tetramine)、DCTA、DTPA、およびTTHAである。ここでTMHDは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato)であり、OPNPはジフェニルホスホンイミドトリフェニルホスホラン(diphenylphosphonimidetriphenylphosphorane)である。ポリアミンの構造式は、スキーム7に示している。
【0148】
【化52】

【0149】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、リチウムキノラートのような金属キノラート類(metal quinolates)、および、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体、ならびに、スカンジウム錯体のような非希土類金属錯体を含んでいる。ここで錯体は、例えば、トリス-(1,3-ジフェニル-1-3-プロパンジオン)(DBM、Tris -(1,3-diphenyl-1-3-propanedione))のようなβ-ジケトンの錯体であり、適した金属錯体は、Al(DBM)3、Zn(DBM)2およびMg(DBM)2、Sc(DBM)3などである。
【0150】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、下記の構造の金属錯体を含む。
【0151】
【化53】

【0152】
ここで、Mは希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドとは別の金属であり、nはMの価数であり、R1、R2およびR3は、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、またはニトリルから選択され、また、RとRは環状構造を形成してもよく、R1、R2およびR3は、モノマー(例えば、スチレン)と共重合する可能性がある。好ましくは、Mはアルミニウムであり、R3はフェニル基もしくは、置換したフェニル基である。
【0153】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、下記の構造のエレクトロルミネセンスジイリジウム化合物を含む。
【0154】
【化54】

【0155】
ここで、R1、R2、R3およびR4は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、なら
びに、置換および非置換のヒドロカルビル基から選択され、好ましくはR1、R2、R3およびR4は、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択され、またR1、R2およびR3は、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合することができ、さらに、L1およびL2は、同じもしくは異なっている有機配位子であり、より好ましくは、L1およびL2は、フェニルピリジンおよび置換したフェニルピリジン類から選択される。
【0156】
使用することができる他のイリジウム錯体には、以下の構造のエレクトロルミネセンス錯体が含まれる。
【0157】
【化55】

【0158】
ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、または白金のいずれかであり、nは1もしくは2である。R1、R4、およびR5は、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基またはカルボキシ基、フルオロカルビル(fluorocarbyl)基、ハロゲン、ニトリル、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、チオフェニル基から選択され、p、sおよびtは独立に、0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよく、R2およびR3は、同じ基であっても異なる基であっても良く、置換および非置換のヒドロカルビル基とハロゲンから選択され、qおよびrは独立して0、1、もしくは2である。さらに、以下の構造の錯体も含まれる。
【0159】
【化56】

【0160】
ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2であり、R1〜R5は、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基またはカルボキシ基、フルオロカルビル(fluorocarbyl)基、ハロゲン、ニトリル、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N-アルキルアミド基、N-アリールアミド基、スルホニル基、ならびに、チオフェニル基から選択され、R2およびR3は、さらにアルキルシリル基またはアリールシリル基である可能性があり、p、sおよびtは独立に、0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよく、qおよびrは独立して0、1、もしくは2で、qもしくはrが2であるという条件の下で、それらの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよい。また以下の構造の化合物も含まれる。
【0161】
【化57】

【0162】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマー(例えば、スチレン)と共重合をすることができ、さらに、ここでR4およびR5は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択されてもよく、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合をすることもでき、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、n+2はMの価数である。また以下の構造の化合物も含まれる。
【0163】
【化58】

【0164】
ここで、R1およびR2は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基から選択され、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2である。また以下の構造のエレクトロルミネセンス化合物も含まれる。
【0165】
【化59】

【0166】
ここで、Mは金属で、XはOもしくはSであり、nはMの価数であり、RおよびR1は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、シアノ基、
置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基から選択される。Mは、例えば、チタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルおよびMOqxの化合物(ここで、qは、XXXVfに示すように、キノラートもしくはチオキシナートで、n+2がMの価数)である。
【0167】
他のエレクトロルミネセンス構造では、二種類のエレクトロルミネセンス有機錯体の層からエレクトロルミネセンス層が構成されている。ここで、第2のエレクトロルミネセンス金属錯体もしくは有機金属錯体(ガドリニウム錯体もしくはセリウム錯体など)のバンドギャップは、第1のエレクトロルミネセンス金属錯体もしくは有機金属錯体(ユウロピウム錯体もしくはテルビウム錯体など)のバンドギャップよりも大きい。
【0168】
用いることができる別のエレクトロルミネセンス化合物は以下の構造である。
【0169】
【化60】

【0170】
ここで、Phは非置換もしくは置換のフェニル基であり、その置換基は、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、R、R1およびR2は、水素、または、置換または非置換の芳香族、複素環および多環のような環状構造を有する基などの置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基、あるいは、ニトリルであってもよい。
【0171】
Rおよび/またはR1および/またはR2および/またはR3の例としては、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基、およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、ならびに、フルオレン基、t-ブチルのようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0172】
用いることができる更なるエレクトロルミネセンス物質には、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラートなどの金属キノラートが含まれる。
【0173】
さらに他のエレクトロルミネセンス物質には、金属キノラート(アルミニウムキノラートもしくはジルコニウムキノラートなど)に特許出願WO2004/058913に開示したように蛍光物質または色素をドープした、ホスト物質が含まれる。好ましくは、そのエレクトロル
ミネセンス化合物は、ドーパントとして少量の蛍光物質をドープし、ドープ量はドープされた混合物の重量に対して5〜15%であるのが好ましい。この参照により本願に含まれるUS 4769292で考察されているように、前記蛍光物質の存在によって、発光波長の露光寛容度(latitude)を広い範囲から選ぶことができるようになる。
【0174】
特に、US4769292で開示しているように、有機金属錯体と正孔-電子再結合に反応して発光する能力を有する少量の蛍光物質とを混合することにより、ルミネセンス領域から放射される色相(the hue light)を修正することができる。理論上、本出願では、正孔-電子再結合の親和力が完全に同一である、混合に適したホスト物質および蛍光物質が発見された場合、それぞれの物質が、そうしたルミネセンス領域に正孔と電子を送りこむことにより発光する。知覚される色相は、双方の発光の視覚的な重ねあわせとなる。しかしながら、ホスト物質および蛍光物質のバランスには、大きな制限が課されているため、蛍光物質は、有利な光放射サイトを与えるものを選ぶのが好ましい。有利な光放射サイトを与える蛍光物質が、少ない比率だけ存在する場合でも、この蛍光物質に因る新たなピーク発光波長強度の方が優勢となり、典型的なホスト物質のピーク発光波長強度(peak intensity wavelength emissions)を、完全に打ち消すことができる。この効果をもたらすに充分な蛍光物質の最低限の比率は様々であるが、いかなる例においても、有機金属錯体のモル数に対して、ホスト物質の比率は10モルパーセントよりも多く必要となることはなく、また、蛍光物質が1モルパーセント以上必要となることは稀である。一方、こうした蛍光物質の存在量をきわめて少量、ホスト物質のモル数に対して通常10-3 モルパーセント未満、に制限し、ホスト物質の波長特性における発光を保持することができる。したがって、有利な光放射サイトを与えることができる蛍光物質の選択によって、全体的または部分的である放出波長シフトを実現することができる。これによって、有用な用途に適合するように選択され考察された、本発明のELデバイスのスペクトル放射が許容される。
【0175】
有利な光放射サイトを与える蛍光物質の選択においては、蛍光物質の特性とホスト物質の特性とを関連づける必要がある。ホストは、有利な光放射分子位置を与える蛍光物質によって送りこまれた正孔と電子を集めるものと見做すことができる。ホストの存在下における、色相放射を修正できる蛍光物質の選択に関連して、このふたつの物質の還元電位の比較がまず重要となる。放射光の波長シフトを示す蛍光物質は、ホストに較べ、負の還元電位が小さい。エレクトロンボルト単位で計測された還元電位は、測定技術に応じた文献で広く報告されている。還元電位は、絶対値よりも差分値とするのが望ましいため、許容しうる任意の還元電位測定技術によって、蛍光物質およびホスト物質の双方の還元電位を同様に測定できるのは明らかである。好ましい酸化還元電位測定技術は、R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15 に報告されている。
【0176】
ホストの存在下における、色相放射を修正できる蛍光物質の選択に関連する、第二の重要な点は、ふたつの物質のバンドギャップ電位の比較である。放射光の波長シフトを示す蛍光物質は、ホストに較べ、低いバンドギャップポテンシャルを有する。分子のバンドギャップポテンシャルは、分子の基底状態と第1一重項状態を分けるエレクトロンボルト(eV)の差のポテンシャルとして得られる。バンドギャップポテンシャルとその測定技術は、文献に広く報告されている。ここで報告しているバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色移動する吸収波長におけるエレクトロンボルト(eV)として計測しており、また、吸収ピークの十分の一程度となる。バンドギャップポテンシャルは、絶対値よりも差分値とするのが望ましいため、許容しうる任意のバンドギャップ測定技術によって、蛍光物質およびジルコニウム2-メチルキノラートの双方のバンドギャップを同様に測定できるのは明らかである。測定技術の実例は、F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5 に開示されている。
【0177】
蛍光物質無しで自身が発光能を有する物質であるアルミニウムキノラートもしくはジル
コニウムキノラートについては、前記キノラートおよび蛍光物質のスペクトル結合(spectral coupling)が起こったときに、こうしたキノラート単独の放射特性の波長における発光の隠蔽と、蛍光物質の特性の波長における放射の増大が観察される。スペクトル結合は、キノラート単独の放射特性波長と、キノラートが無いときの蛍光物質の吸収光波長との間に、重なるところがあるということを意味している。キノラートの発光波長が蛍光物質単独の極大吸収の ±25nm であるとき、最適なスペクトル結合が起こる。実際には、ピーク幅ならびにピークの浅色および深色曲線に依って、好都合なスペクトル結合は、100nm以上異なるピーク放射および吸収波長において起こる。ジルコニウム2-メチルキノラートと蛍光物質との間に最適ではないスペクトル結合が予想される際、こうした蛍光物質を浅色置換するよりも、深色置換するほうが、より効率的な結果が得られる。
【0178】
有用な蛍光物質はキノラートもしくは他のホストと混ぜて、本発明に係るELデバイスのルミネセンス領域(the luminescent zones)を構成する前述の厚みの範囲を満たす薄膜中に配合することができる物質である。結晶有機金属錯体(crystalline organo metallic complexes)が薄膜形成(thin film formation)に有用なものでなくても、ホスト中に制限された量の蛍光物質を存在させて、単独では薄膜形成できない蛍光物質を使用することができる。好ましい蛍光物質は、ホストと共通相(common phase)を形成する化合物である。色素は有機金属錯体中に分子レベルで分散させやすいので、蛍光色素は好ましい種類の蛍光物質を構成する。ホスト中に蛍光色素を分散させる任意の便利な技術を用いることができるが、好ましい蛍光色素は、そのホスト物質とともに真空蒸着することができるものである。
【0179】
前述の想定したその他の判断基準を満たすならば、蛍光レーザー色素は本発明に係る有機ELデバイスに用いるのに特に有用な蛍光物質であることがわかる。用いることができるドーパントには、ジフェニルアクリジン、クマリン類、ペリレンおよびそれらの誘導体が含まれる。有用なドーパントはUS4769292に開示されている。好ましいドーパントは、以下の構造式を持つようなクマリン類である。
【0180】
【化61】

【0181】
式中の R1 は、水素、カルボキシ基、アルカノイル基(alkanoyl)、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基、および複素環芳香族基、から成る群から選ばれ、 R2 は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、カルボキシ基、アルカノイル基、およびアルコキシカルボニル基、から成る群から選ばれ、 R3 は、水素およびアルキル基から成る群から選ばれ、 R4 はアミノ基であり、 R5 は水素であるか、あるいは、 R1 もしくは R2 は、ともに縮合炭素環を形成し、かつ/または、 R4 および R6 のうち少なくとも一方と縮合環を閉環する R4 を形成するアミノ基である。アルキル基は、それぞれの例において、1〜5個の炭素原子から成り、好ましくは1〜3個の炭素原子から成る。前記アリール基は、好ましくはフェニル基である。縮合炭素環は、好ましくは五員環、六員環もしくは七員環である。複素環芳香族基は、炭素原子、および、酸素と硫黄と窒素から成る群から選ばれる一
個または二個のヘテロ原子を含む、五員環もしくは六員環の複素環を含む。アミノ基は、一級、二級もしくは三級アミノ基とすることができる。アミノ基の窒素原子が、隣接する置換基とともに縮合環を閉環するとき、前記環は好ましくは五員環もしくは六員環である。例えば、前記窒素原子が、隣接する置換基(R3 もしくは R5 )と単環を構成するとき、R4 はピラン環形状をとることができ、あるいは、前記窒素原子が隣接する置換基 R3および R5 の双方と複数の環を形成するときは、R4 はジュロリジン(julolidine)環形状(クマリンの縮合ベンゾ環を含む)をとることができる。
【0182】
以下は、レーザー色素として有用であることが知られている蛍光クマリン類色素の例である。FD-1 7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、FD-2 4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、FD-3 4-メチルウンベリフェロン、FD-4 3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、FD-5 3-(2'-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、FD-6 7-アミノ-3-フェニルクマリン、FD-7 3-(2'-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、FD-8 7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-9 2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノラジノ[9,9a,1-gh]クマリン、FD-10 シクロペンタ[c]ジュロリジノ[9,10-3]-11H-ピラン-11-オン、FD-11 7-アミノ-4-メチルクマリン、FD-12 7-ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、FD-13 7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-14 7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-15 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジン-10-オン、FD-16 4-メチル-7-(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩、FD-17 7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、FD-18 7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン、FD-19 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-カルボエトキシ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、FD-20 9-アセチル-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、FD-21 9-シアノ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、FD22 9-(t-ブトキシカルボニル)-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、FD-23 4-メチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、FD-24 4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、FD-25 9-カルボキシ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、FD-26 N-エチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]。
【0183】
他のドーパントは、以下の構造式のようなビスベンゼンスルホン酸塩、ならびに、ペリレンおよびペリレン誘導体である。
【0184】
【化62】

【0185】
他のドーパントは、例えば、蛍光ジシアノメチレンピランやチオピラン類色素である、蛍光 4-ジシアノメチレン-4H-ピラン類、および 4-ジシアノメチレン-4H-チオピラン類のような色素である。有用な蛍光色素は、シアニン類、メロシアニン類、複雑なシアニン類およびメロシアニン類(すなわち、三核、四核、多核のシアニン類およびメロシアニン類)、オキソノール類( oxonols )、ヘミオキソノール類、スチリル類、メロスチリル類、ストレプトシアニン類( streptocyanines )、を含む、公知のポリメチン色素( polymethine dyes )から選択することもできる。前述のシアニン類色素は、メチン結合( me
thine linkage )、ならびに、例えば、ピリジニウム( pyridinium )、キノリニウム(quinolinium )、イソキノリニウム、オキサゾリウム( oxazolium )、チアゾリウム(thiazolium )、セレナゾリウム(selenazolium )、インダゾリウム(indazolium )、ピラゾリウム(pyrazolium )、ピロリウム(pyrrolium )、インドリウム( indolium )、3H-インドリウム( 3H-indolium )、イミダゾリウム(imidazolium )、オキサジアゾリウム(oxadiazolium )、チアジオキサゾリウム(thiadioxazolium )、ベンゾオキサゾリウム(benzoxazolium )、ベンゾチアゾリウム(benzothiazolium )、ベンゾセレナゾリウム(benzoselenazolium )、ベンゾテルラゾリウム(benzotellurazolium )、ベンズイミダゾリウム(benzimidazolium ), 3H-ベンゾインドリウム もしくは 1H-ベンゾインドリウム( 3H-or 1H-benzoindolium )、ナフトオキサゾリウム( naphthoxazolium
)、ナフトチオアゾリウム( naphthothiazolium )、ナフトセレナゾリウム( naphthoselenazolium )、ナフトテルラゾリウム( naphthotellurazolium )、カルバゾリウム( carbazolium )、ピロロピリジニウム( pyrrolopyridinium )、フェナントロチアゾリウム( phenanthrothiazolium )、及びアセナフトチアゾリウム( acenaphthothiazolium )の四級塩からの誘導体であるような、アゾリウム( azolium )もしくはアジニウム( azinium )核のような塩基性複素環二核(two basic heterocyclic nuclei)、によって結合されたものを含む。他の有用な蛍光色素の区分としては、 4-オキソ-4H-ベンズ-[d,e]アントラセン、および、ピリリウム( pyrylium )、チアピリリウム(thiapyrylium )、セレナピリリウム(selenapyrylium )、テルロピリリウム(telluropyrylium )色素がある。
【0186】
<正孔輸送物質>
正孔輸送層がある場合、正孔輸送物質は、α-NBP、WO2006/061594に開示されているようなジアミノアントラセン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、非置換もしくは置換のアミノ置換芳香族化合物のポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類などのような、アミン錯体(amine complex)とすることができる。ポリアニリン類の例としては以下の構造の化合物と前述の構造式(1)に示した他のモノマーの少なくとも一つとのポリマーがある。
【0187】
【化63】

【0188】
(ここでRはオルト位、もしくはメタ位にあり、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基もしくは以下に示す基である。
【0189】
【化64】

【0190】
ここでRはアルキル基もしくはアリール基で、R'は水素、C1-6アルキル基もしくはC1-6アリール基である。)
【0191】
またあるいは、正孔輸送物質は、ポリアニリンとすることができる。本発明で用いることができるポリアニリン類は、以下の一般的構造を有している。
【0192】
【化65】

【0193】
ここでpは1〜10、nは1〜20、Rは先に定義したとおりであり、かつXがアニオンであり、好ましくは、Cl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン(arylsulphonate)、アレーンジカルボン酸イオン(arenedicarboxylate)、ポリスチレンスルホン酸イオン(polystyrenesulphonate)、ポリアクリル酸イオン(polyacrylate)、アルキルスルホン酸イオン(alkylsulphonate)、ビニルスルホン酸イオン(vinylsulphonate)、ビニルベンゼンスルホン酸イオン(vinylbenzene sulphonate)、セルローススルホン酸イオン(cellulose sulphonate)、ショウノウスルホン酸イオン(camphor sulphonate)、セルロース硫酸イオン(cellulose sulphate)、もしくは、全フッ素置換ポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択される。
【0194】
アリールスルホン酸類イオンの例としては、p-トルエンスルホン酸イオン(p-toluenesulphonate)、ベンゼンスルホン酸イオン(benzenesulphonate)、9,10-アントラキノン-スルホン酸イオン(9,10-anthraquinone-sulphonate)およびアントラセンスルホン酸イオン(anthracenesulphonate)がある。アレーンジカルボン酸イオンの例としてフタル酸イオン(phthalate)があり、アレーンカルボン酸の例として、安息香酸イオン(benzoate)がある。
【0195】
我々は、ポリアニリンなどの、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの、プロトン化されたポリマーは、蒸発(evaporate)しにくいか、または蒸発しないことを発見した。しかしながら、驚くべきことに、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーが脱プロトン化されると、簡単に蒸発できるようになること、すなわちポリマーが蒸発可能(evaporable)であることを、我々は見出した。
【0196】
好ましくは、蒸発可能な、アミノ置換芳香族化合物(amino substituted aromatic compound)の非置換もしくは置換ポリマーの脱プロトン化されたポリマーが用いられる。そのアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換の脱プロトン化されたポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物で、処理して脱プロトン化することにより生成できる。プロトン化の程度は、プロトン化したポリアニリンの形成と脱プロトン化で調節することができる。ポリアニリン類の調製方法は、A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319, 1989に記載されている。ポリアニリンの伝導率はプロトン化の程度に依存し、伝導率が最大となるのは、例えば約50%のように、プロトン化の程度が40%と60%の間であるときである。好ましくは、ポリマーは実質的に完全に脱プロトン化されている。ポリアニリンは、例えば以下のようなオクタマー単位(octamer unit)、すなわちpが4であるようなもの、を形成する可能性がある。
【0197】
【化66】

【0198】
こうしたポリアニリンは1 x 10-1 Siemen cm-1 の桁以上の導電率を有する可能性がある。芳香族環は非置換であるか、もしくは例えばエチル基のようなC1から20のアルキル基などで置換されている可能性がある。
【0199】
ポリアニリンはアニリンのコポリマーである可能性があり、好ましいコポリマーは、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとのコポリマー、またはo-トルイジン(o-toluidine)とo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミン、もしくはアミノアントラセン類とのコポリマーである。使用することができるその他のアミノ置換芳香族化合物のポリマーには、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類など、さらには、任意の他の縮合ポリ芳香族化合物のポリマーが含まれる。ポリアミノアントラセン類、および、それらを作る方法はUS Patent 6153726に開示されている。芳香族環は非置換であっても良いし、例えば先に定義したR基で置換されているものでも良い。
【0200】
その他の正孔輸送物質は共役高分子(conjugated polymer)で、用いることができる共役高分子は、US 5807627、WO 90/13148、およびWO 92/03490に開示もしくは参照されている、任意の共役高分子とすることができる。
【0201】
好ましい共役高分子は、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)および、PPVを含むコポリマーである。その他の好ましい高分子は、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)などのポリ(2,5-ジアルコシキフェニレンビニレン)、ならびに、長鎖可溶化性アルコキシ基(long chain solubilising alkoxy group)であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)類である。PPVのフェニレン環は、任意に1箇所以上置換することができ、例えば個々に、アルキル基(好ましくはメチル基)、またはアルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。任意のポリ(アリーレンビニレン)(poly(arylenevinylene))には、用いることができるその置換誘導体も含まれ、ポリ(p-フェニレンビニレン) のフェニレン環は、アントラセン環もしくはナフタレン環のような縮合環系に置き換えることがで
き、それぞれのポリ(フェニレンビニレン)部分のビニレン基の数が例えば7つ以上になるように増やすこともできる。
【0202】
共役高分子はUS 5807627、WO90/13148、およびWO92/03490に開示された方法で作ることができる。
【0203】
その他のいくつかの正孔輸送物質の構造式をスキーム8〜12の図に示した。ここで、R、R1、R2、およびR3は同じであっても異なっていても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類あるいはチオフェニル基から選択されるものであり、R、R1、R2、およびR3は置換および非置換の縮合芳香族環、複素環、および多環の環構造を形成する可能性もあり、スチレンなどのモノマーとコポリマーを作る可能性がある。XはSe、SもしくはOであり、Yは水素、置換および非置換の芳香族基、複素環基、ならびに多環の環状構造のような、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン類、チオフェニル基もしくはニトリル基である可能性がある。R1および/もしくはR2および/もしくはR3の例には、脂肪族基、芳香族基および複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換ならびに非置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン、アントラセン、ナフチル基、および、フルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびにカルバゾール基のような複素環基が含まれる。
【0204】
正孔輸送層(hole transporting layer)の厚さは20nm〜200nmが好ましい。
【0205】
ポリアニリンなどのアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、前述のとおり、他の正孔輸送物質とともにバッファー層として用いることができる。
【0206】
【化67】

【0207】
【化68】

【0208】
【化69】

【0209】
【化70】

【0210】
【化71】

【0211】
<電子輸送物質>
電子注入物質は電流が通ったときに電子を輸送する物質である。電子注入物質には、例えばアルミニウムキノラート、リチウムキノラートなどの金属キノラート(metal quinolate)のような金属錯体、9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquinodimethane)、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、または、スキーム13および14に示した構造式の化合物であって、フェニル環が先に定義した置換基Rで置換されている化合物とす
ることもできる。
【0212】
【化72】

【0213】
【化73】

【0214】
〔調製例1〕
{ビス(キン-8-オラート)銅錯体(Cuq2)の合成}
【0215】
【化74】

【0216】
8-ヒドロキシキノリン(5.92g、40.76mmol)をTHF(50mL)に溶かした溶液を、銅(II)アセチルアセトン(5.01g、19.13mmol)をTHF(100mL)に懸濁させた液に攪拌しながら加えた。直後に、茶色の懸濁液となり、それを3時間還流した。茶色の固体をろ別し、THFでよく洗浄し、減圧オーブン中で80℃において8時間、乾燥させると、6.2gの生成物が得られた(収率92%)。昇華点:290℃、10-6Torr。分析用サンプルの収率(6.2gから5.7g)。融点:339℃(DSCピーク)。この化合物の真空中での蒸発速度は図5(2×10-5Paの気圧での蒸発温度に対するÅ/s-1単位で表した膜の蒸発速度を表したもの)に示したとおりであった。
分析値 計算値 C18H12N2O2Cu C : C, 61.45; H, 3.44; N, 7.96
実験値 C, 61.23; H, 3.38; N, 7.80
【0217】
〔調製例2〕
{ビス(キン-8-オラート)バナジル錯体(VOq2)の合成}
【0218】
【化75】

【0219】
8-ヒドロキシキノリン(5.90g、40.64mmol)をTHF(50mL)に溶かした溶液を、バナジル(IV)アセチルアセトン(5.02g、18.94mmol)をTHF(80mL)に懸濁させた液に攪拌しながら加えた。直後に、茶色の懸濁液となり、それを3時間還流した。茶色の固体をろ別し、THFでよく洗浄し、減圧オーブン中で80℃において8時間、乾燥させると、4.77gの生成物が得られた(収率71%)。昇華点:295℃、10-6Torr。分析用サンプルの収率(4.7gから4.2g)。融点:350℃(DSCピーク)。Tg:151℃。
分析値 計算値 C18H12N2O3V C : C, 60.86; H, 3.41 ; N, 7.89
実験値 C, 60.37; H, 3.31; N, 7.74
【0220】
〔調製例3〕
{2,9,16,23-テトラフェノキシ-29H,31H-フタロシアニンバナジル錯体}
この化合物(VOTPOPc)はAldrichから購入し(カタログ番号41、438-7、CAS番号:[109738-21-8])、使用前に昇華(一回)することにより精製した。
【0221】
【化76】

【0222】
〔調製例4〕
{デバイス構成}
予めITO被覆されたガラス片(10 x 10cm2)を用いた。Solciet Machine(株式会社アルバック、茅ヶ崎、日本)を用いた真空蒸着によって、ITOの上に順に層を形成することによりデバイスを形成した。個々のピクセルの活性領域(active area)は3mm x 3mmであった。被覆電極は、V-硬化性粘着剤(V-curable adhesive)と共にガラスバックプレート(glass back plate)を用いて不活性雰囲気下(窒素)で封入された。ITO電極を常に正極(positive terminal)に接続してエレクトロルミネセンスの研究を行った。電流と電圧の関係についての研究はコンピュータ制御されたKeithly 2400 source meterで行われた。
【0223】
{実施例1}
デバイスは上記の方法で形成され、以下のとおりである。
ITO/ZnTP TP (20)/α-NBP(75)/AlQ3.DPQA (75:0.2)/ZrQ4 (20)/KL(x)/LiF(0.3)/Al
ITO/ZnTP TP (20)/KL(x)/α-NBP(75)/AlQ3.DPQA (75:0.2)/ ZrQ4(20)/LiF(0.3)/Al
ここで、ZnTP TPは、亜鉛フタロシアニン(以下に示す構造)を表し、α-NBPは以下に示す構造を有し、KL(x)はCuQ2の厚みをnmで示したものである。デバイスの性能を測定し、結果を図5〜21に示した。同様のセルで、CuQ2を含まないもののスペクトルを図22に示した。LiFの厚みとの関係において、括弧で囲まれている数値は0.3nmおよび0.5nmであるが、この違いによって生ずる差は実験誤差の範囲内であった。
【0224】
【化77】

【0225】
{実施例2}
デバイスは上記の方法で形成され、以下のとおりである。
ITO/ZnTP TP (20)/α-NBP(75)/AlQ3.DPQA (75:0.2)/ZrQ4(20)/KL(x)/LiF(0.3)/Al
この場合には、KL(x)はVOq2を表す。デバイスの性能を測定し、結果を図23〜24に示した。
【0226】
{実施例3}
デバイスは上記の方法で形成され、以下のとおりである。
ITO/ZnTP TP (20)/α-NBP(75)/AlQ3.DPQA (75:0.2)/Zrq4(20)//KL(x)/LiF(0.3)/Al
この場合には、KL(x)はVOTPOPcを表す。デバイスの性能を測定し、結果を図25〜26に示した。
【図面の簡単な説明】
【0227】
本文中に図面の簡単な説明に該当する記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 透明な第1電極、
(ii) エレクトロルミネセンス物質の層、および、
(iii) 第2電極
を連続的に備え、
電極のうちの一つとエレクトロルミネセンス物質の層の間に反射影響物質の層があり、前記反射影響物質が昇華可能な化合物である
ことを特徴とするエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項2】
前記反射影響物質の層が、少なくとも一つの介在する層によって、前記エレクトロルミネセンス物質の層から隔離されている
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記介在する層もしくは複数の前記介在する層の一つは、正孔輸送層である
ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記介在する層もしくは複数の前記介在する層の一つは、電子輸送層である
ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記エレクトロルミネセンス物質はエレクトロルミネセンス有機ポリマーを含む
ことを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記エレクトロルミネセンス物質は、蛍光物質もしくはりん光物質をドープしたホストを含む
ことを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ホストは、金属錯体もしくは有機金属化合物であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ホストは、低分子の共役芳香族であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記反射影響物質が半透明であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記反射影響物質が銅キノラート(Cuq2)であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記反射影響物質がVOq2であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記反射影響物質がVOTPOPcであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記反射影響物質が
M(DBM)xの構造式の金属錯体(ここで、Mは、クロム、銅、スズ(II)、スズ(IV)、鉛、パラジウム、白金、ニッケルなどの遷移金属、xはMの価数、DBMはジベンゾイルメタンである)、
金属フッ化物、
リチウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、バリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、および、ジルコニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、
マンガンC60化合物、マグネシウムC60化合物、カルシウムC60化合物、バリウムC60化合物、ナトリウムC60化合物、カリウムC60化合物、ルビジウムC60化合物、セシウムC60化合物などのC60の金属錯体(ここでC60は、いわゆるバックミンスターフラーレンもしくは「バッキーボール」と呼ばれる)
テトラシアノキニドジメタンの金属錯体
Mqnのような金属キノラート(ここでMはSn(II)、Sn(IV)、Cr(III)、NbOなどの金属もしくは金属酸化物であり、nはMの価数である)
Euq3(バソフェナントロリン)およびEuq3(フェナントロリン)などの希土類のキノラート錯体、希土類フタロシアニン、およびCu(I)Cu(II)L3(ここで、Lは明細書中の記載により特定される)のように、価数が混合している任意の導電性の錯体
から選択されることを特徴とする
請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記エレクトロルミネセンス物質が、以下の構造の有機金属錯体であって、
【化1】

ここで、LαおよびLpが有機配位子で、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、nが金属Mの価数であり、配位子Lαが同じであるか、もしくは異なっていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
同じであるか、もしくは異なっている可能性がある、複数の配位子Lpを有することを特徴とする、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
前記エレクトロルミネセンス物質が、構造式(Ln)nM1M2もしくは(Ln)nM1M2(Lp)の有機金属錯体であり、
ここで、LnはLα、Lpは中性配位子であり、M1は希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、M2は非希土類金属であり、そして、nがM1とM2を組み合わせた価数であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記エレクトロルミネセンス物質が、以下の構造式
【化2】

(ここで、Lは架橋する配位子であり、M1は希土類金属であり、そして、M2はM1もしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xがM1の価数であり、yがM2の価数である)、
または、
【化3】

(ここで、M1、M2およびM3は、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、そして、xがM1の価数であり、yがM2の価数であり、zがM3の価数であり、さらに、LpがLmとLnと同じもしくは異なっていてもよい)か、
あるいは、
【化4】

(ここで、M4はM1であり、Lは架橋する配位子であり、そして、希土類金属および非希土類金属は、金属−金属結合すること、および/または、中間で架橋する原子、配位子もしくは分子基を介することによってともに結合することができ、あるいは、金属−金属結合すること、および/もしくは、中間の配位子を介することによって結合する3つ以上の金属を有する)、
2核、3核、もしくは多核の有機金属錯体である、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記非希土類金属M2が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、ならびに、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル
、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、およびイットリウムなどの遷移金属の第1、第2ならびに第3族の金属から選択される、
ことを特徴とする請求項16または請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記Lαが本明細書中の構造式(IV)から(XVII)である、
ことを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記Lpが、前述のスキーム1〜7、もしくは、本明細書中(XVIII)から(XXV)の構造式のいずれかである、
ことを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドが、Sm(III)、Eu (II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III) U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、およびEr(III)から選択される、
ことを特徴とする請求項14から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記エレクトロルミネセンス物質は金属キノラートであることを特徴とする、請求項1〜4記載のデバイス。
【請求項23】
前記金属キノラートはリチウムキノラートであることを特徴とする、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記エレクトロルミネセンス物質が、エレクトロルミネセンス非希土類金属錯体である、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記エレクトロルミネセンス物質が、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体もしくはスカンジウム錯体である、
ことを特徴とする請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
前記エレクトロルミネセンス物質がβ-ジケトン錯体である、
ことを特徴とする請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
前記エレクトロルミネセンス物質が、Al(DBM)3、Zn(DBM)2およびMg(DBM)2、Sc(DBM)3であり、(DBM)がトリス-(1,3-ジフェニル1-1-3-プロパンジオン)である、
ことを特徴とする請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
複数の前記電極と前記エレクトロルミネセンス層の間に正孔輸送物質の層があることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
正孔輸送物質および前記発光金属化合物が一層に混合されていることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記正孔輸送物質はα-NBPであることを特徴とする、請求項28もしくは29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記正孔輸送物質が芳香族アミン錯体(aromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項28もしくは29記載のデバイス。
【請求項32】
前記正孔輸送物質が、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチ
ルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類および置換ポリシラン類から選択された、ポリマーの膜であることを特徴とする、請求項28もしくは29記載のデバイス。
【請求項33】
前記正孔輸送物質が明細書中の(II)もしくは(III)の構造の化合物の膜、または、前述のスキーム8〜12にあるような構造の化合物の膜であることを特徴とする、請求項28もしくは29記載のデバイス。
【請求項34】
前記正孔輸送物質が共役ポリマーであることを特徴とする、請求項28もしくは29記載のデバイス。
【請求項35】
前記共役ポリマーは、ポリ(アリーレンビニレン)もしくはその置換誘導体であるか、または、
前記共役ポリマーは、ポリ(p-フェニレンビニレン)-PPVおよびPPVを含むコポリマーから選択され、
前記フェニレン環は任意に一箇所以上置換されることを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記ポリ(p-フェニレンビニレン)中の前記フェニレン環は、アントラセン環もしくはナフチレン環などの縮合環系に置き換えられていることを特徴とする請求項35に記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項37】
各々のポリフェニレンビニレン部分中のビニレン基の数が1以上であることを特徴とする請求項35もしくは36のいずれかに記載のデバイス。
【請求項38】
前記共役ポリマーは、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、および、少なくとも一つのアルコキシ基が長鎖可溶化性アルコキシ基である、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)類から選択される
ことを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項39】
アミノ置換芳香族化合物の前記ポリマーは、以下の一般式を有するアニリンモノマーをと、前述の構造式(I)に示した他のモノマーの少なくとも一つとのコポリマーであり、
【化5】

ここでRはオルト位、もしくはメタ位にあり、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基もしくは以下に示す基で、
【化6】

ここでR''はアルキル基もしくはアリール基で、R'''は水素、C1-6アルキル基もしくはC1-6アリール基であることを特徴とする請求項31に記載のデバイス。
【請求項40】
前記コポリマーは以下の構造を有し、
【化7】

ここで、pは1〜10、nは1〜20、Rは水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基、pは1〜20、nは1〜50、Xはアニオンであることを特徴とする請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
コポリマーの平均分子量が30000オーダーであることを特徴とする請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
pが4であることを特徴とする請求項40もしくは41に記載のデバイス。
【請求項43】
アミノ置換芳香族化合物の前記非置換ポリマーもしくは前記置換ポリマーは、脱プロトン化されていることを特徴とする請求項39〜42のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項44】
アミノ置換芳香族化合物の前記非置換ポリマーもしくは前記置換ポリマーは、蒸発可能な脱プロトン化されたポリマーであることを特徴とする請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
置換芳香族化合物のポリマーは、以下の構造を有することを特徴とする請求項43もしくは44に記載のデバイス。
【化8】

【請求項46】
Xが、Cl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン、アレーンジカルボン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリアクリル酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ビニルスルホン酸イオン、ビニルベンゼンスルホン酸イオン、セルローススルホン酸イオン、セルロース硫酸イオンもしくは、全フッ素置換ポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択されることを特徴とする請求項40〜45のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項47】
コポリマーは、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとのコポリマー、またはo-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、もしくは、o-フェニレンジアミンとのコポリマーであることを特徴とする請求項39〜45の
いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項48】
アミノ置換芳香族化合物のポリマーは、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類から選択されることを特徴とする請求項39に記載のデバイス。
【請求項49】
前記カソードと前記光吸収物質の層の間に電子輸送物質の層があることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項50】
シアノアントラセン、9,10-ジシアノアントラセン、ポリスチレンスルホン酸、アルミニウムキノラート、およびリチウムキノラート、または、前述のスキーム13に示す構造から選択された電子輸送物質を有することを特徴とする請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記電子輸送物質がジルコニウムキノラートであることを特徴とする請求項49に記載のデバイス。
【請求項52】
前記第2電極がアルミニウム、カルシウム、リチウム、もしくは銀/マグネシウム合金であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項53】
前記第1電極が透明な導電性ガラスもしくはプラスチック物質、導電性ポリマー、または、導電性ポリマーを被覆したガラスもしくはプラスチック物質であることを特徴とする、前述の請求項のいずれか一項に記載のデバイス。

【公表番号】特表2009−515331(P2009−515331A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538429(P2008−538429)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050374
【国際公開番号】WO2007/052083
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】