説明

エレクトロルミネセント特性または電子輸送特性を有する化合物

式R(CR=CR)nAr(CR=CR)の化合物、式中、nが0または1であり、Arが鎖もしくは縮合または鎖および縮合の組合せであってよい1〜5の芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールを示し、これはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルまたはシアノにより置換されてよく、五員環の場合、窒素へテロ原子がアリール、またはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノにより任意にさらに置換された置換アリールによりN置換されてよく;RおよびRは独立して、2〜4の縮合芳香環を有するアリールまたは窒素、酸素もしくは硫黄含有ヘテロアリールであり、そのうちの一つが五員環であってよく、アルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノによりさらに置換されてよい1〜5の鎖または縮合芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールにより任意に置換されてよく;RおよびRは独立して水素、メチル、エチルまたはベンジルを示す。また、エレクトロルミネセント特性および/または電子導電特性を有する化合物を製造する方法が提供され、これは芳香族ジアルデヒドを、非置換または1〜4の芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールによりさらに置換されてよい2〜4の縮合した環を有するメチル置換されたヘテロアリール化合物と縮合することを含み、前記アリールまたはヘテロアリール置換基または置換基は一以上のフルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノ置換基により任意に置換される。縮合は、還流下、無水酢酸中で行われる。化合物は、例えば電子輸送層として光学発光ダイオードに組み込まれてよく、実施形態により高い電子移動度、低いターンオン電圧および良好な寿命を提供することができ、あるいは静電イメージング部材に組み込まれてよい。上記の化合物および第二ホストまたは電子輸送材料および/または少なくとも一つのドーパントを含む組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:
Poopathy KATHIRGAMANATHAN, The Little Lancaster House, 1 Lancaster Road, North Harrow HA2 7NN, United Kingdom.
Sivagnanasundram SURENDRAKUMAR, 16 Nolton Place, Edgware, Middlesex HA8 6DL, United Kingdom
本発明は新規な化合物、その製造方法、およびとりわけ光学発光デバイスにおける、例えばエレクトロルミネセント層または電子輸送層中のホストとして、または電子光学デバイス、例えばプレートまたはドラムなどの光導電性部材における電子輸送または他の層としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Kulkarni et al., Chem. Mater.2004,16,4556−4573(この内容は引用により本願に組み込まれる)は、有機発光ダイオード(OLED)の性能を増強するために用いられる電子輸送材料(ETM)に関する文献について概説した。多数の有機材料に加えて、アルミニウムキノレートを含む金属キレートについて検討し、これについてはその優れた特性、例えば高いEA(〜−3.0 eV;これは本発明者らにより−2.9 eVと決定された)およびIP(〜−5.95 eV;これは本発明者らにより約−5.7 eVと決定された)など、良好な熱安定性(Tg 〜172℃)、ならびに真空蒸着によるピンホールのない薄層の迅速な堆積のため、依然として最も広く研究された金属キレートであると説明している。アルミニウムキノレートは依然として、エレクトロルミネセント層を提供する種々の蛍光材料によりドープされるホストとしての使用および電子輸送層としての使用の両方について好ましい材料である。
【発明の概要】
【0003】
本発明に関する課題は、改善された性能を有するOELDを提供することである。本発明に関するさらなる課題は、OLEDのエレクトロルミネセント層および/または電子輸送層における使用、または他のデバイス、例えば光導電性部材の電子輸送層における使用のためのさらなる材料を提供することである。
【0004】
本発明の一実施形態において、本発明は以下の式の化合物を提供する。
【0005】
(CR=CR)Ar(CR=CR)
式中、nは0または1であり;Arは鎖または縮合または鎖および縮合の組合せであってよい1〜5の芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールを表し、これはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルまたはシアノにより置換されてよく、五員環の場合、窒素へテロ原子がアリール、またはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノにより任意にさらに置換された置換アリールによりN置換されてよく;RおよびRは独立して、2〜4の縮合芳香環を有するアリール、または窒素、酸素もしくは硫黄含有ヘテロアリールであり、そのうち一つが五員環であってよく、1〜5の鎖または縮合芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールにより任意に置換されてよく、これはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルまたシアノによりさらに置換されてよく;RおよびRは独立して水素、メチル、エチルまたはベンジルを表わす。
【0006】
実施形態において、nは1であり、RおよびRは独立して1〜3の環窒素原子を含み、上で定義した置換基の何れかにより任意に置換される二環式または三環式ヘテロアリールを示す。いくつかの実施形態においてRおよびRは、五員環を有する縮合した二環式または三環式環構造を示す。他の実施形態において、環はすべて六員環であり、例えばRおよびRはキノリニルを示す。さらなる実施形態において、RおよびRは独立してイミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールを示し、イミダゾールの場合、窒素においてアリールまたはヘテロアリール、例えばフェニルまたは置換されたフェニルにより置換されてもよい。いくつかの実施形態において(しかしジアルデヒドに関連して以下を参照のこと)、Arはフルオロ、フルオロアルキルまたはシアノにより任意に置換されたフェニルまたはナフチルを示す。
【0007】
上述の属の化合物の群は以下の式を有する:
(CH=CH)Ar(CH=CH)
式中、n、R、RおよびArは上で定義した通りである。
【0008】
より具体的な化合物の群は以下の式を有する。
【化1】

【0009】
式中、RおよびRは上で定義した通りである。
【0010】
ある実施形態においてRおよびRは異なり、例えばそれらはその中で環のうちの一つが嵩高い置換基、例えばt−ブチルを有しており、他は有していない同様の環構造であってよい。
【0011】
実施形態において、上述の新規な化合物はOLEDにおける電子輸送材料、さらなるホスト材料を含んでよいエレクトロルミネセント層におけるエレクトロルミネセント材料またはホスト材料として用いられてよく、これは以下で説明する通りドープされる。
【0012】
さらなる実施形態において、上記の化合物はp−ドープされてよく、または電子輸送層を提供するために用いられる場合、例えばリチウム、カリウム、セシウムもしくは別の仕事関数の低い金属によってn−ドープされてもよい。それらは単独または、ドープされないかもしくはn−ドープされた別の有機低分子電子輸送材料との混合物で用いられてよい。それらは無機電子注入層、例えばLiF、または例えば以下に記載する有機低分子電子注入層と共に用いられてよい。
【0013】
OLEDデバイスに組み込まれる場合、上に示した化合物の実施形態は、アルミニウムキノレートよりも大きく、且つジルコニウムキノレートに匹敵するかまたはそれより大きな電子移動度、ならびにアルミニウムキノレートまたはジルコニウムキノレートを用いるデバイスに匹敵するかまたはそれよりも長いデバイス寿命を示した。
【0014】
さらに提供されるのは、エレクトロルミネセント特性および/または電子伝導特性を有する化合物の製造方法であり、これは芳香族ジアルデヒドまたはジケトンを、2〜4の縮合環を有するメチル、エチル、プロピルもしくはベンジル置換されたヘテロアリール化合物と縮合することを含み、これは非置換であってよいか、または1〜5の芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールで置換されてよく、前記アリールもしくはヘテロアリール置換基または置換基は一以上のハロまたはシアノ置換基により任意に置換される。
【0015】
ベンゼン−1,4−ジカルボキサルデヒドが好ましい。用いられてよい他のジアルデヒドは、ベンゼン−1,2−ジカルボキサルデヒド、ベンゼン−1,3−ジカルボキサルデヒド、ナフタレン1,2−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,4−ジカルバルデヒド、ナフタレン2,6−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,8−ジカルバルデヒド、アントラセン−1,4−ジカルバルデヒド、アントラセン−2,3−ジカルバルデヒド、アントラセン−4,9−ジカルバルデヒド、アントラセン−9,10−ジカルバルデヒドおよび2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボキサルデヒドおよびビフェニル−4,4’−ジカルボキサルデヒドのうちのいずれかを含む。縮合は還流下、酸、例えば有機酸の無水物、例えば還流下で用いられてよい無水酢酸の存在下で行われてよい。
【0016】
代表的な複素環式芳香族ジアルデヒドは、2,4−ピリジンジカルボキサルデヒド、9−ベンジルカルバゾール−3,6−ジカルボキサルデヒドおよび2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボキサルデヒドを含む。
【0017】
本発明はまた、上述の化合物、任意に第二ホストまたは電子輸送材料、およびドーパントを含む組成物を提供する。
【0018】
本発明はさらに、第一電極、第二電極、ならびに第一および第二電極の間に上述の化合物または上述の組成物を含む層を有する光学発光ダイオードデバイスを提供する。
【0019】
実施形態において、上述の化合物は電子輸送層に含まれる。他の実施形態において本発明はさらに、第一および第二電極、ならびに蛍光ドーパント、りん光ドーパントまたはイオン蛍光ドーパントによりドープされてよい上述の化合物を含むエレクトロルミネセント層を前記電極の間に有するエレクトロルミネセントデバイスを提供してもよい。
【0020】
本発明はさらに、上述の化合物または組成物を含む静電潜像の作成のためのイメージング部材を提供する。
【0021】
本発明の他の特徴は、注意が向けられる添付の特許請求の範囲で定義される。
【0022】
好ましい特徴の説明
電池の構造
本発明のOLEDはとりわけフラットパネルディスプレイにおいて有用であり、典型的には、間にエレクトロルミネセント層、電子注入および/または輸送層、正孔注入および/または輸送層、ならびに任意に補助的な層を含む多数の薄層が挟まれる陽極および陰極を含む。一以上の層、例えば正孔注入および正孔輸送層を他の方法、例えばスピンコーティングまたはインクジェット印刷により形成するために好都合であってよいが、層は典型的には連続する真空蒸着堆積操作により構築される。
【0023】
典型的なデバイスは透明基板を含み、その上に連続的に陽極層、正孔注入(緩衝)層、正孔輸送層、エレクトロルミネセント層、電子輸送層、電子注入層、および同様に第二透明基板に積層されてよい陽極層が連続的に形成される。アルミニウムまたは他の金属の基板がITO層、正孔注入層、正孔輸送層、エレクトロルミネセント層、電子輸送層、電子注入層およびITOまたは他の透明陰極を支える表面発光OLEDもまた可能であり、光は陰極を通って放射される。更なる可能性は、仕事関数の低いアルミニウムまたはアルミニウム合金の陰極が連続的に電子注入層、電子輸送層、エレクトロルミネセント層、正孔輸送層、正孔注入層およびITOまたは他の透明導電陽極を支える逆転したOLEDであり、光は陽極を通って放射される。必要ならば、正孔阻止層が例えばエレクトロルミネセント層および電子輸送層の間に挿入されてよい。
【0024】
本発明のOLEDは低分子OLED、高分子発光ダイオード(p−OLED)、蛍光により発光するOLED、りん光により発光するOLED(PHOLED)およびイオン蛍光(希土類錯体)により発光するOLEDを含み、単色または多色アクティブもしくはパッシブマトリクスディスプレイを含む。
【0025】
陽極
多くの実施形態においては、陽極はガラスまたは他の透明基板にコーティングされた酸化スズまたはインジウムスズ酸化物の層により形成される。使用されてもよい他の材料は、アンチモンスズ酸化物およびインジウム亜鉛酸化物を含む。必要ならば修飾された陽極は、例えばその後酸素プラズマでITO表面を処理することにより製造されてよく、次にCHFガスをプラズマ処理チャンバー内で分解し、〜1 nmの厚さのCF層を堆積することにより、修飾された陽極として調整されてよい。
【0026】
正孔注入材料
単一の層が陽極とエレクトロルミネセント材料との間に設けられてよいが、多くの実施形態において、そのうちの一方が正孔注入層(緩衝層)であり、もう一方が正孔輸送層である少なくとも二つの層があり、当該二つの層構造はいくつかの実施形態において改善した安定性およびデバイス寿命を提供する(US−A−4720432(VanSlyke et al., Kodak)を参照のこと)。正孔注入層は、それに続く有機層の層形成特性を改善し、正孔輸送層への正孔の注入を促進する。
【0027】
材料および電池の種類に応じた厚さ、例えば0.1〜200 nmであってよい正孔注入層に適切な材料は、正孔注入ポルフィリン化合物(US−A−4356429(Tang, Eastman Kodak)を参照のこと)、例えば亜鉛フタロシアニン銅フタロシアニンおよびZnTpTPを含み、この式を以下に示す:
【化2】

【0028】
正孔注入層は、過フッ化炭化水素ガスのプラズマ重合により形成される過フッ化炭化水素に基づく導電性ポリマー(US−A−6208075(Hung et al; Eastman Kodak)を参照のこと)、トリアリールアミンポリマー(EP−A−0891121(Inoue et al., TDK Corporation)を参照のこと)、またはフェニレンジアミン誘導体(EP−A− 1029909(Kawamura et al., Idemitsu)を参照のこと)、またはUS−A−6436559(Ueno, Canon)および6720573(Se−Hwan, LG Chemical Co., Ltd.)に記載される材料であってもよい。
【0029】
正孔輸送材料
用いられてもよい正孔輸送層は、好ましくは20〜200 nmの厚さである。
【0030】
正孔輸送材料の一つのクラスは、スピンコーティングにより層として堆積されてよい高分子材料を含む。前記高分子正孔輸送材料は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロールおよびポリアニリンを含む。他の正孔輸送材料は、複合ポリマー、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、およびPPVを含むコポリマーである。他の好ましい高分子は、ポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン、例えばポリ(2−メトキシ−5−(2−メトキシペンチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシペンチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(2−ドデシルオキシ−1,4−フェニレンビニレン)、およびアルコキシ基を可溶化する長い鎖である少なくとも一つのアルコキシ基を有する他のポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン);ポリフルオレンおよびオリゴフルオレン;ポリフェニレンおよびオリゴフェニレン;ポリアントラセンおよびオリゴアントラセン;ならびにポリチオフェンおよびオリゴチオフェンである。
【0031】
正孔輸送材料のさらなるクラスは、昇華可能な低分子を含む。例えば芳香族アミン、例えば以下の一般式(a)〜(g)の低分子が用いられてよい。
【化3−1】

【化3−2】

【0032】
式中、(a)〜(g)の式のいずれかにおいて基Rは同じまたは異なってよく、水素;置換および非置換脂肪族基;置換ならびに非置換芳香族の複素環および多環式構造;ハロゲン;およびチオフェニル基から選択され;式(a)中メチル基は、例えばアルキル、アリールまたはアリールアミノによりさらに置換されてよいC〜Cアルキル、または単環もしくは多環アリールまたはヘテロアリールにより置換されてよい。
【0033】
さらに、正孔輸送材料は以下を含む。
【化4】

【0034】
式中、上記式の何れかに出現する場合、基R〜Rは同じまたは異なってよく、水素;置換および非置換脂肪族基;置換ならびに非置換芳香環、複素環および多環式構造;ハロゲン;およびチオフェニル基から選択される。
【0035】
特に好ましい正孔輸送材料は、少なくとも2つの芳香族第三級アミン基を含む芳香族第三級アミン(例えば、ビフェニルジアミンに基づくものまたは「星形(starburst)」配置のもの)であり、以下にその代表的なものを示す:
【化5−1】

【化5−2】

【0036】
可能な更なる材料は、α−NBPよりも広いバンドギャップを有する正孔輸送材料であり、且ついくつかの実施形態において励起を発光層に閉じ込めることを促進することのできる4,4’,4”−トリス(カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)である。
【0037】
さらに、芳香族アミンであるスピロ結合した分子、例えばスピロ−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−スピロ−9,9’−ビフルオレン)を含む。
【0038】
低分子正孔輸送材料のさらなるクラスはWO 2006/061594(Kathirgamanathan et al)に開示され、ジアミノジアントラセンに基づく。典型的な化合物は以下を含む:
9−(10−(N−ナフタレン−1−イル)−N−フェニルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−(ナフタレン−1−イル)−N−フェニルアントラセン−10−アミン;
9−(10−(N−ビフェニル−N−2−m−トリルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−ビフェニル−N−2−m−トリルアミノ−アントラセン−10−アミン;および
9−(10−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−フェニル−N−m−トリルアントラセン−10−アミン。
【0039】
エレクトロルミネセント材料
原則として、いずれかのエレクトロルミネセント材料が用いられてよい。エレクトロルミネセント層は、発光性材料として金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムもしくは白金錯体、ボロン錯体または希土類錯体を含んでよい。蛍光色素、例えばペリレン色素、金属錯体、例えばAlq、AlqLタイプのいわゆる「青色」アルミニウムキノレート、ここでqはキノレート、Lは一価陰イオンアリールオキシ配位子を示す、例えばビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニル−フェノラート)Al(III)、Ir(III)L、リチウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレートまたはハフニウムキノレート、希土類キレート、例えばTb(III)錯体、デンドリマーまたはオリゴマー、例えばセキシチオフェン、または高分子発光材料であってよい分子固体を含む。
【0040】
エレクトロルミネセント材料の好ましい一つのクラスは、蛍光、りん光、またはイオンりん光(希土類)であってよい一以上の色素によりドープされたホスト材料を含む。本願においてホスト材料として記載される新規な化合物の使用は、本発明の一部を形成し、それらは適切なドーパント、実施例においては一以上のドーパントによりドープされる場合、赤色、緑色および青色発光体を提供する。「エレクトロルミネセントデバイス」の語は、エレクトロフォスフォレセントデバイスを含む。
【0041】
好ましくはホストは、ドーパントとして少ない量、ドープされた混合物のうち好ましくは0.01〜25重量%の量の蛍光材料によりドープされる。その内容が引用により含まれるUS−A−4769292(Tang et al., Kodak)で検討される通り、蛍光材料の存在は広い範囲の発光波長からの選択を可能にする。特にUS−A−4769292に開示される通り、有機金属錯体と、正孔−電子再結合に応答して発光することのできる少量の蛍光材料とを混合することにより、発光域から発せられる光の色調を変更することができる。理論的には、正確に同じ正孔−電子再結合親和性を有する混合のためにホスト材料および蛍光材料を見出すことができた場合、各材料は正孔および電子の注入に際して発光域で発光すべきである。知覚される発光の色調は、両方の発光の視覚的な統合だろう。しかしながら、そのようなホスト材料と蛍光材料とのバランスを強いることは制限的であるため、発光に有利な部位を提供する蛍光材料を選択することが好ましい。発光に好ましい部位を提供する蛍光材料がごく少ない割合で存在する場合、ホスト材料に典型的なピーク強度波長の発光は、蛍光材料に起因する新しいピーク強度波長の発光のため完全に排除することができる。
【0042】
この効果を達成するために十分な蛍光材料の最小割合は変化するが、ホスト材料に基づき約10モルパーセントを超える蛍光材料を使用する必要はなく、1モルパーセントを超える蛍光材料を使用する必要はほとんどない。他方、存在する蛍光材料を非常に少ない量、典型的にはホスト材料に基づき約10モルパーセント未満に限定することは、ホスト材料に特徴的な波長での発光を保持することになり得る。従って、有利な発光部位を提供することのできる蛍光材料の割合を選択することにより、発光波長の全体的なシフトまたは部分的なシフトのいずれかを実現し得る。これにより、選択され、バランスが取られるELデバイスのスペクトル発光を、機能させる用途に適合させることができる。蛍光色素の場合、典型的な量は0.01〜5重量%、例えば2〜3重量%である。りん光色素の場合、典型的な量は0.1〜15重量%である。イオンりん光材料の場合、典型的な量は0.01〜25重量%または最高100重量%までである。
【0043】
発光に有利な部位を提供することのできる蛍光材料の選択には必ず、蛍光材料の特性をホスト材料の特性に関連づけることを伴う。ホストは、発光のための分子部位を提供する蛍光材料を有する、注入された正孔および電子のためのコレクターとみなすことができる。ホスト中に存在する場合、発光の色調を変更することができる蛍光材料を選択するために重量な関係の一つは、2つの材料の還元電位の比較である。発光波長のシフトを示す蛍光材料は、ホスト材料よりも還元電位が高い。還元電位はエレクトロンボルトで決定されるが、これはそれらの決定のための種々の技術と共に文献で広く報告されてきた。それは所望の絶対値よりもむしろ還元電位の比較であるため、蛍光とホストの両方の還元電位が同様に測定されるとすれば、還元電位測定のための容認されたいずれかの技術が用いられ得ることは明らかである。好ましい酸化還元電位の測定技術はR. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15により報告される。
【0044】
ホスト材料に存在する場合、発光の色調を変更することができる蛍光材料を選択するための第二の重要な関係は、2つの材料のバンドギャップ電位の比較である。発光波長のシフトを示す蛍光材料は、ホストよりも低いギャップ電位を示した。分子のバンドギャップ電位は、その基底状態と第一一重項状態とを分離するエレクトロンボルト(eV)の差と考えられる。バンドギャップ電位およびその決定のための技術は文献に広く報告されてきた。報告されたバンドギャップ電位は、吸収ピークに対して深色性の吸収波長でのエレクトロンボルト(eV)であり、吸収ピークの大きさの10分の1の大きさである。それは所望の絶対値よりもむしろバンドギャップ電位の比較であるため、蛍光とホストの両方のバンドギャップが同様に測定されるならば、バンドギャップ測定のためのいずれかの容認される技術が用いられてよいことが明らかである。一つの説明的な測定技術がF. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5に開示される。
【0045】
ホストおよび蛍光材料のスペクトルのカップリングが達成される場合、発光材料がない場合にそれ自体が発光可能なホスト材料によって、ホスト単独に特徴的な発光波長での発光の抑制および蛍光材料に特徴的な波長での発光の増強が起こることが観察された。「スペクトルカップリング」により、単独のホストに特徴的な発光波長とホスト材料がない場合の蛍光材料の吸収波長との間に重複部分が存在することが示される。最適なスペクトルカップリングは、ホストの発光波長が蛍光材料単独での最大吸収の±25 nm以内である場合に起こる。実際には、ピークの幅ならびに浅色性および深色スロープの幅に依存して最高100 nmまたはそれ以上異なる、ピーク発光および吸収波長で有利なスペクトルカップリングが起こり得る。ホストおよび蛍光材料の最適未満のスペクトルカップリングが予想される場合、蛍光材料の浅色移動に比べて深色移動がより効率的な結果を生ずる。
【0046】
有用な蛍光材料は、ホスト材料と混合し、本発明のELデバイスの発光帯を形成する上述の厚さ範囲を満たす薄層に加工することができるものである。結晶有機金属錯体が薄層の形成に適さないのに対して、ホストに存在する限られた量の蛍光材料は、単独では薄層を形成することの出来ない蛍光材料の使用を可能にする。好ましい蛍光材料はホストとともに共通の相を形成するものである。色素はホスト中での分子レベルでの分布に適しているため、蛍光色素は蛍光材料の好ましいクラスを構成する。ホスト中に蛍光色素を分散させるためのいずれかの都合のよい技術が用いられてもよいが、好ましい蛍光色素はホスト材料とともに真空蒸着され得るものである。
【0047】
ホスト材料の一つのクラスは金属錯体、例えば金属キノレート、例えばWO 2004/058913に開示される蛍光材料または色素によりドープされてよいリチウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレートまたはハフニウムキノレートなどを含む。
【0048】
キノレート、例えばアルミニウムキノレートまたは「青色」キノレート(例えばその内容が引用により本願に組み込まれるJ.C. Deaton et al., Inorg. Chim. Acta (2007), doi:10.1016/j.ica.2007.07.008を参照のこと)を含むホストの場合:
(a)例えば以下の化合物が赤色ドーパントとして働いてよく:
【化6】

【0049】
(b)例えば以下の化合物が緑色ドーパントとして働いてよく:
【化7】

【0050】
式中、RはC〜Cアルキル、単環式アリール、二環式アリール、単環式ヘテロアリール、二環式ヘテロアリール、アラルキルまたはチエニル、好ましくはフェニルである;且つ
(c)ビフェニルオキシアルミニウムビスキノレート(BAlQ)またはアルミニウムキノレートには、化合物ペリレンおよび9−(10−(N−(ナフタレン−8−イル)−N−フェニルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−(ナフタレン−8−イル)−N−フェニルアントラセン−10−アミンが青色ドーパントとして働いてよい。
【0051】
ホストの他の好ましいクラスは、縮合芳香族を、例えば置換基、例えばアルキル(特にメチル)、アルコキシおよびフルオロを有してよく、且つ蛍光材料または色素によりドープされてもよい4〜10のアリールまたはヘテロアリール環と結合する低分子である。
【0052】
上記の種類の系の例は、以下の化合物(化合物H)
【化8】

【0053】
に基づくホストとしての青色発光材料、およびドーパントとしてのペリレンまたは9−(10−(N−(ナフタレン−8−イル)−N−フェニルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−(ナフタレン−8−イル)−N−フェニルアントラセン−10−アミンである。芳香族低分子であるホスト材料のさらなる例を以下に示す:
【化9】

【0054】
2,9−ビス(2−チオフェン−イル−ビニル)−[1,10]フェナントロリンは、上述の通り、エレクトロルミネセント層においてホストとして使用されてよく、あるいは単独で存在してもよい。
【0055】
青色発光材料は有機ホスト(例えば、上記の縮合芳香族化合物)およびWO 2006/090098(Kathirgamanathan et al.)にドーパントとして開示されるジアリールアミンアントラセン化合物に基づいてよい。例えばCBPは、青色発光置換アントラセン、とりわけ9,10−ビス(−4−メチルベンジル)−アントラセン、9,10−ビス−(2,4−ジメチルベンジル)−アントラセン、9,10−ビス−(2,5−ジメチルベンジル)−アントラセン、1,4−ビス−(2,3,5,6−テトラメチルベンジル)−アントラセン、9,10−ビス−(4−メトキシベンジル)−アントラセン、9,10−ビス−(9H−フルオレン−9−イル)−アントラセン、2,6−ジ−t−ブチルアントラセン、2,6−ジ−t−ブチル−9,10−ビス−(2,5−ジメチルベンジル)−アントラセンおよび2,6−ジ−t−ブチル−9,10−ビス−(ナフタレン−1−イルメチル)−アントラセンによりドープされてよい。
【0056】
さらに青色発光材料はホストとしてTCTAを用いてよく、以下に示す青色りん光材料(WO 2005/080526 (Kathirgamanathan et al.)を参照のこと)によりドープされてよい:
【化10−1】

【化10−2】

【0057】
CBPまたはTAZと共に用いられてよい緑色りん光材料の例を以下に示す(WO 2005/080526を参照のこと):
【化11】

【0058】
CBPまたはTAZと共に用いられてよい赤色りん光材料の例を以下に示す(WO 2005/080526を参照のこと):
【化12】

【0059】
さらなるドーパントとして、蛍光レーザー色素が有機ELデバイスにおいて使用するために有用であると認められる。用いられてよいドーパントは、ジフェニルアクリジン、クマリン、ペリレン、およびそれらの誘導体を含む。有用な蛍光ドーパントはUS 4769292に開示される。好ましいドーパントの一つのクラスはクマリンである。以下はレーザー色素として有用な既知の蛍光クマリン色素の実例である:
FD−1 7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、
FD−2 4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、
FD−3 4−メチルウンベリフェロン、
FD−4 3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、
FD−5 3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、
FD−6 7−アミノ−3−フェニルクマリン、
FD−7 3−(2’−N−メチルベンズイミダゾリル)−7−N,Nジメチルアミノクマリン、
FD−8 7−ジエチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、
FD−9 2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−メチルキノラジノ[9,9a,1−gh]クマリン、
FD−10 シクロペンタ[c]ジュロリンジノ[9,10−3]−11H−ピラン−11−オン、
FD−11 7−アミノ−4−メチルクマリン、
FD−12 7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、
FD−13 7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、
FD−14 7−ジメチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、
FD−15 1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gh]キノリジン−10−オン、
FD−16 4−メチル−7−(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩、
FD−17 7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、
FD−18 7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリン、
FD−19 1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−カルベトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gh]キノリジノ−10−オン、
FD−20 9−アセチル−1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gh]キノリジノ−10−オン、
FD−21 9−シアノ−1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gh]キノリジノ−10−オン、
FD22 9−(t−ブトキシカルボニル)−1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ[1]−ベンゾピラノ−[9,9a,1−gh]キノリジノ−10−オン、
FD−23 4−メチルピペリジノ[3,2−g]クマリン、
FD−24 4−トリフルオロメチルピペリジノ[3,2−g]クマリン、
FD−25 9−カルボキシ−1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gh]キノリジノ−10−オン、
FD−26 N−エチル−4−トリフルオロメチルピペリジノ[3,2−g]クマリン。
【0060】
他のドーパントは、ビスベンゼンスルホン酸(昇華よりもむしろスピンコーティングによる堆積を必要とする)の塩、例えば
【化13】

【0061】
など、ペリレン、ならびにペリレン誘導体およびドーパントを含む。他のドーパントは、色素、例えば蛍光性の4−ジシアノメチレン−4H−ピランおよび4−ジシアノメチレン−4H−チオピラン、例えば蛍光性のジシアノメチレンピランおよびチオピラン色素などである。有用な蛍光性色素は既知のポリメチン色素の中から選択されてもよく、これはシアニン、錯体シアニンおよびメロシアニン(即ち、単核、四核ならびに多核シアニンおよびメロシアニン)、オキソノール、ヘミオキソノール、スチリル、メロスチリルおよびストレプトシアニンを含む。シアニン色素は、メチン結合により結合された2つの基本的な複素環核、例えばアゾリウムまたはアジニウム核などを含むが、これは例えばピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、セレナゾリウム、インダゾリウム、ピラゾリウム、ピロリウム、インドリウム、3H−インドリウム、イミダゾリウム、オキザジアゾリウム、チアジオキサゾリウム、ベンゾキサゾリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾセレナゾリウム、ベンゾテルラゾリウム、ベンズイミダゾリウム、3H−または1H−ベンゾインドリウム、ナフトキサゾリウム、ナフトチアゾリウム、ナフトセレナゾリウム、ナフトテルラゾリウム、カルバゾリウム、ピロールピリジニウム、フェナントロチアゾリウム、およびアセナフトチアゾリウム第四級塩に由来するものである。蛍光色素の有用な他のクラスは、4−オキソ−4H−ベンズ−[d,e]アントラセンおよびピリリウム、チアピリリウム、セレナピリリウムおよびテルロピリリウム色素である。
【0062】
更なる青色発光材料は以下の特許出願および公報に開示され、これは引用により本願に組み込まれる:
US−A−5141671(Bryan, Kodak)−フェノラート配位子および2つの8−キノリノラート配位子を含むアルミニウムキレート。
【0063】
WO 00/32717(Kathirgamanathan)−真空蒸着可能なリチウムキノレートおよび他の置換されたリチウムのキノレート、ここで置換基は2,3,4,5,6および7において同じまたは異なってよく、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、スルホン酸、エステル、カルボン酸、アミノおよびアミド基から選択されるか、または芳香族、多環式または複素環基である。
【0064】
US 2006/0003089(Kathirgamanathan)−リチウムアルキルまたはアルコキシドをアセトニトリル中、8−ヒドロキシキノリンと反応させることにより調製されるリチウムキノレート。
【0065】
Misra, http://www.ursi.org/Proceedings/ProcGA05/pdf/D04.5(01720).pdf 青色有機エレクトロルミネセント材料であるビス−(2−メチル 8−キノリノラート)(トリフェニルシロキシ)アルミニウム(III) 1×10−5Torrで真空蒸着可能。
【0066】
WO 03/006573(Kathirgamanathan et al)−金属ピラゾロン。
【0067】
WO 2004/084325(Kathirgamanathan et al)−ボロン錯体。
【0068】
WO 2005/080526(Kathitgamanathan et al)−青色りん光イリジウムに基づく錯体。
【0069】
Ma et al., Chem. Comm. 1998, 2491−2492 7−アザインドレートを有する架橋配位子としての四核亜鉛(II)化合物[ZnO(AID)]の調製および結晶構造。この化合物を、インジウムスズ酸化物によりコーティングされたガラス基板上に真空蒸着(<200 °C, 2 X 10−6 Torr)して薄い均一層を形成することにより、とりわけ単層のLEDを製造することが報告された。
【0070】
用いてもよいさらなるエレクトロルミネセント材料は、キノレート、例えばアルミニウムキノレート、リチウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレート、ハフニウムキノレートなどを含む。
【0071】
用いられてもよいさらに多くのエレクトロルミネセント材料は、WO 2004/050793(ピラゾロン)、WO 2004/058783(ジイリジウム金属錯体)、WO 2006/016193(ジベンゾチオフェニル金属錯体)およびWO 2006/024878(チアントラセン金属錯体)に開示される;その内容が引用により本願に組み込まれるWO 2006/ 040593も参照されたい。特に、希土類金属は緑色および赤色発光体として用いられてよい。さらに、エレクトロルミネセント材料として、導電性ポリマー、例えばポリアニリン、フェニレンビニレンポリマー、フルオレンホモポリマーおよびコポリマー、フェニレンポリマーが用いられてよく、これらを以下に示す:
【化14】

【0072】
混合したホスト材料もまた文献に開示され、本発明に従うOLEDデバイスに用いられてよい。
【0073】
種々の参考文献が、さらに特性を向上させる試みにおいてOLEDのための添加剤および混合したホストを開示する。Jarikov et al., J. Appl. Phys., 100, 014901(2006)は、LEL添加剤として平坦且つ強固な多環式芳香族炭化水素(PAH)、例えばペリレンを開示する。Jarikov et al.はさらに、有機発光ダイオード(OLED)の発光層(LEL)の添加剤としてペリレン誘導体を報告する。これらの分子はLELに添加される際、直ちに発光凝集体を形成する。これらの多環式芳香族炭化水素の添加は例えば、Alq+ジベンゾ[b,k]ペリレンを混合したホストにおいてドープされていないOLEDおよびドープされたOLEDの半減期(t50)を30〜150倍増加させる。著者らはさらにJ. Appl. Phys., 102, 104908(2007)において、半減期を延長する発光層(LEL)添加剤の相乗効果、および有機発光ダイオード(OLED)中の改善された電子注入および輸送を報告する。ジ−(2−ナフチル)ペリレン(DNP)はLEL添加剤として働き、OLEDの操作寿命を2桁以上延長すると言われている。2−フェニル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(PADN)を電子輸送層(ETL)として使用し、4,7−ジフェニル−1,10−フェントロリン(BPhen)の別の層を電子注入層(EIL)として用い、著者らはトリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq)製の従来のETL層に対して有意に改善した電荷再結合帯への電子送達を有することを主張する。引用によりその内容が本願に組み込まれるUS−A−7175922(Jarikov et al)も参照されたい。J.C. Deaton et al(上記)は、共ホスト(co−host)としての「青色」アルミニウムキノレートを有するα−NBPホストおよびイリジウムドーパントを記載する。りん光デバイスのための低濃度のドーパントにより非常に良好な収率が得られ、混合したホストデバイスが増加した電力効率を提供することが見出された。これは5.4eVのイオン化電位を有する正孔輸送NPBを、より高い6.02eVのイオン化電位を有する主に電子輸送性の「青色」アルミニウムキノレートに混合することにより、正孔を発光層に注入するためのエネルギー障壁が下がることによって説明されるという仮説が立てられた。
【0074】
US−A−6392250(Aziz et al、この内容は引用により本願に組み込まれる)は、正孔輸送材料、例えば芳香族四級アミン、電子輸送材料、例えばキノレート、およびドーパント材料の混合物を含む混合領域を含む有機発光デバイスについて開示する。例えば、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)およびトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)が正孔輸送材料および電子輸送材料としてそれぞれ用いられ、N,N’−ジメチルキナクリドン(DMQ)、5,6,11,12−テトラフェニルナフトラセン(ルブレン)およびナイルレッド色素(Milwaukee, Wis.のAldrich Chemicalsより入手可能)がドーパントとして用いられてよい。
【0075】
US 2002/0074935(Kwong et al)もまたPtOEPまたはビス(ベンゾチエニル−ピリジナート−NΛC)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)をドーパントとして含む発光層ならびに同じ割合のNPBおよびAlqをホスト材料として含む発光層を有するデバイスを記載する。混合されたホストエレクトロルミネセント混合層は、ヘテロ構造のデバイスのヘテロ接合境界面に通常存在する電荷の蓄積を実質的に低減する役割を果たし、それにより有機金属の分解を低減し、デバイスの安定性および効率を増強することが説明される。
【0076】
US2004/0155238(Thompson et al.)では、OLEDデバイスの発光層は、電荷担体材料とりん光発光体とを組み合わせた広いバンドギャップの不活性ホストマトリクスを含む。電荷担体化合物は正孔または電子を輸送することができ、電荷担体材料およびりん光発光体が反対の極性の電荷を輸送するように選択される。
【0077】
M. Furugori et al.はUS 2003/0141809において、ホスト材料は発光層の他の正孔または電子輸送材料と混合されるりん光デバイスを開示する。当該文献は、複数のホスト材料を用いるデバイスが所定の電圧でより高い電流およびより高い効率を示すことを記載する。
【0078】
T. Igarashi et al.はWO 2004/062324において、少なくとも一つの電子輸送化合物、少なくとも一つの正孔輸送化合物、およびりん光ドーパントを含む発光層を有するりん光デバイスを開示する。
WO 2006/076092(Kondakova et al.、この内容は引用により本願に組み込まれる)は、陰極、陽極および、それらの間に位置する発光層(LEL)を含み、これは正孔輸送共ホスト、例えば芳香族第三級アミン、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(TNB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ−]ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス−ジフェニルアミノ−テルフェニルまたは2,6,2’,6’−テトラメチル−N,N,N’,N’−テトラフェニル−ベンジジンなど、および少なくとも一つの電子輸送共ホスト、例えば置換された1,2,4−トリアゾール、例えば3−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾールなど、または置換された1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(ジフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリカルバゾロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(N−フェニル−1−ナフチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(N−フェニル−1−ナフチルアミノ)−1,3,5−トリアジンおよび4,4’,6,6’−テトラフェニル−2,2’−ビ−1,3,5−トリアジンなどをりん光発光体とともに含み、各々の共ホスト材料の三重項エネルギーはりん光発光体の三重項エネリギーよりも大きく、さらに励起子遮断層を含み、これは陽極上にある隣接する発光層の三重項エネルギー2.5eVと同じかまたはそれよりも大きいエネルギーの正孔輸送材料を含み、置換されたトリアリールアミン、例えば4,4’,4”−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、N,N−ビス[2,5−ジメチル−4−[(3−メチルフェニル)−フェニルアミノ]フェニル]−2,5−ジメチル−N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニル−1,4−ベンゼンジアミンであってよい。デバイスは改善された効率および低減された駆動電圧を示すと考えられている。
【0079】
US−A−7045952(Lu, Universal Display Corporation)は、有機発光デバイスを開示し、これは陽極および陰極の間に配置され、これらと電気的に接続される発光領域を有し、発光領域は(i)第一ホスト材料を含む第一単一ホスト発光層および(ii)第一単一ホスト発光層に直接的に接触する混合ホスト発光層を含み、混合ホスト発光層は第一ホスト材料および第二ホスト材料を含み、第一単一ホスト発光層および混合ホスト発光層はそれぞれさらにりん光発光材料を含む。
【0080】
電子輸送材料
上述した通り、上で示した化合物は電子輸送層においてその成分として構成するか、または当該層全体を提供する。好ましくは上述のET層における化合物の含有量は少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%である。それらは単独で用いられてよく、例えば仕事関数の低い金属または仕事関数の低い金属の錯体によりドープされてよく、またはそれらは他の既知の電子輸送材料との混合物において用いられてもよい。
【0081】
本発明の化合物は他の低分子電子輸送材料、例えば上記のKulkarni et alに記載されるものとの混合物において用いられてよい。例えばそれらは、電子輸送層において用いられてもよく、これはキノレートまたは置換されたキノレート、例えばアルミニウムもしくはジルコニウムキノレート、または2−メチルキノレート、または例えばフェナントロリン化合物、例えばバソフェンおよび4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンを含んでもよい。
【0082】
WO 2008/078115(Kathirgamanathan et al.)の主題である好ましいフェナントロリンの属は、式
[Ar](CH=CH−R)
の化合物を含み、式中、nは1〜4の整数であり;[Ar]は多環式芳香族または複素環式芳香族骨格、例えば一以上のアルキルまたはアルコキシ基により任意に置換されたフェナントロリン骨格であり、Rはメチル、メトキシ、アリールまたはヘテロアリールにより任意に置換された五員環ヘテロアリール基、またはメチル、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはシアノにより任意に置換されたフェニルまたはナフチル、またはビフェニル、または置換されたビフェニルである。代表的な化合物は2,9−ビス(4,4’−トリフルオロメチルスチニル)フェナントロリン、2,9−ビス((E)−2−(5−(チオフェン−2−イル)チオフェン−2−イル)ビニル)−1,10−フェナントロリン、2,9−ビス(4,4’−シアノスチレニル)フェナントロリンおよび2,9−ビス(2,2’−ビニル−5,5’−フェニルチオフェニル)フェナントロリンを含む。本発明の化合物が既存の電子輸送材料と組み合わせて用いられる場合、それらは相対量、例えば重量で約1:1で用いられるか、あるいは本発明の化合物が主要な成分であってよい。
【0083】
ドーパント、例えば仕事関数の低い金属、例えばリチウム、セシウムまたはカリウムなどが存在してよい。多成分電子輸送層の場合、層の種々の成分が真空蒸着により共蒸着されてよい。
【0084】
本発明の化合物が、例えば上記式(a)〜(g)の芳香族窒素含有低分子正孔輸送材料と組み合わせて用いられてよく、これは例えば少量、0.01〜10重量%の電子輸送材料に組み込まれる場合、窒素上で孤立電子対により電子を供与する。
【0085】
式の化合物は、上で示した通り、その内容が引用により本願に組み込まれる我々の国際出願WO 2008/081178の特許請求の範囲に記載されるいずれかの化合物と混合してもよい。前記化合物は以下の式を有する。
【化15】

【0086】
式中、Rは一以上のC〜Cアルキル、アルコキシもしくはシアノにより置換されてよい1〜5の環状アリール(多環式を含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基であり;
およびRはともに、一以上のC〜Cアルキル、アルコキシもしくはシアノにより置換されてよい1〜5の環状アリール(多環式を含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基を形成し;
は水素、C〜Cアルキルまたはアリールであり、且つ
Arは一以上のC〜Cアルキルまたはアルコキシ基により置換されてよい単環、二環、もしくは三環アリールまたはヘテロアリール、またはそれらのオリゴマーである。化合物の好ましい亜属は以下の式を有する:
【化16】

【0087】
式中、Rはフェニルまたは一以上のC〜Cアルキル基により置換されたフェニルであり、RおよびRはともにフェニルまたは一以上のC〜Cアルキル基により置換されたフェニルを形成する。
【0088】
が水素である上記式の化合物は、第一級芳香族または複素環芳香族アミンが芳香族または複素環芳香族アルデヒドと反応し、シッフ塩基を形成し、その後シッフ塩基がリチウム化合物、例えばリチウムアルコキシド、例えばリチウムt−ブトキシドと反応する。Rがアルキル、アリールまたはヘテロアリールである上記式の化合物は同様に第二級芳香族または複素環芳香族アミンから出発し調製されてよい。
【0089】
上述の属の真空昇華可能な化合物は以下を含む。
【化17】

【0090】
溶解処理可能な他の化合物は以下を含む:
【化18】

【0091】
電子注入材料
何れかの既知の電子注入材料が用いられてよく、LiFが典型的である。他の可能性にはBaF、CaF、およびCsFが含まれる。電子注入剤のさらなるクラスは、電子注入特性を有する昇華可能またはコーティング可能な、例えばスピンコーティング可能な低分子を含む。低分子電子注入材料の層は好ましくは約0.3 nmの厚さであり、好ましくはマグネシウムの3.7eV未満の仕事関数を有し、これは本発明のための低い仕事関数と考えられる。いくつかの実施形態において、電子注入材料は仕事関数の低い金属、例えばリチウム、カリウムまたはセシウムによりドープされてよい。リチウムに基づく低分子電子注入材料の場合、ドーピングは金属リチウムにより行われてよい。
【0092】
金属キノレートは陰極の仕事関数を下げることができ、エレクトロルミネセントデバイスがより低い電圧で作動し、デバイスの寿命および性能を向上させることを可能にする。いくつかの実施形態においてキノレートは、以前に用いられていたリチウムフルオライドよりも優れていることが見出された。それらは、以下の表から明らかな通り(qはキノレートを示す)、有意により低い蒸着温度を有する。
【表1】

【0093】
適切な金属キノレートは、アルカリ金属キノレートおよびアルカリ土類キノレートを含む。好ましい金属キノレートは以下の式を有する。
【化19】

【0094】
式中、Mは金属であり;nは、キノレートと錯体形成する際のMの原子価状態であり;同じまたは異なってよいRおよびRはC〜Cアルキルおよび置換または非置換単環式もしくは多環式アリールもしくはヘテロアリール、アラルキ(C〜C)イルまたはアリールオキシから選択される。リチウムキノレートおよびリチウム2−メチルキノレートは好ましい化合物であり、好ましくはリチウムアルキルまたはアルコキシドと置換または非置換8−ヒドロキシキノリンとのアセトニトリルを含む溶媒中の反応の結果である。上述のリチウムキノレートは高い純度を有し、容易に昇華可能である。
【0095】
陰極上に直接堆積された電子注入層は代わりに以下の式の化合物を含んでよい。
【化20】

【0096】
式中、Rは一以上のC〜Cアルキルまたはアルコキシ置換基により置換されてよい1〜5の環アリール(多環式アリールまたはアリール置換された多環式アリールを含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基であり;
およびRはともに、一以上のC〜Cアルキルまたはアルコキシ置換基により置換されてよい1〜5の環状アリール(多環式またはアリール置換された多環式アリールを含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基を形成する。上記式の化合物は単独で、または他の電子注入材料、例えばキノレート、例えばリチウムまたはジルコニウムキノレートなどと組み合わせて用いられてよい。シッフ塩基は好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%の電子注入層を構成する。
【0097】
上に示された式において、Rは多環式アリール、例えばナフチル、アントラセニル、テトラセニル、ペンタセニルもしくはペリレン、またはピレン化合物であってよく、環中に配置された最高5までの芳香環、例えばビフェニルを有してもよい。好ましくはフェニルまたは置換されたフェニルである。RおよびRはともにRと同じ基を形成してよく、好ましくはフェニルまたは置換フェニルである。置換基が存在する場合、それらはメチル、エチル、プロピル、またはt−ブチルを含むブチル置換されてよく、あるいはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはt−ブトキシを含むブトキシ置換されてよい。特定の化合物は以下を含む。
【化21】

【0098】
その化学式が上に示されたリチウム化合物はMS測定からクラスター化合物またはオリゴマーを形成することができると考えられており、ここにおいて上に示される式の2〜8分子は三量体、四量体、六量体または八量体オリゴマーの形態で会合する。前記リチウム化合物がいくつかの実施形態において六員環中に代替のLiおよびO原子中心構造を有する三量体単位で会合し、これらの三量体単位はさらに対になって会合してよいと考えられている。リチウムキノレート中の前記構造の存在は結晶学により検出された(引用によりその内容が本願に組み込まれるBegley et al.、ヘキサキス(μ−キノリン−8−オレート)ヘキサリチウム(I):Acta Cryst.(2006),E62,m1200−m1202、中心対称性の二重積み重ね三量体を参照のこと)。このタイプのオリゴマー状構造の形成は、真空昇華により比較的低温で堆積させることのできる本発明の多くの化合物の揮発性に関与するLi−O結合に対してより大きな共有結合特性を付与すると考えられている。しかしながら、他の構造、例えば立方体形状も可能である。
【0099】
陰極
その上に電子注入材料の層がある陰極は、いくつかの実施形態において仕事関数の低い金属である。金属電極は複数の金属層、例えばより仕事関数の高い金属、例えば基板上に堆積したアルミニウム、およびより仕事関数の低い金属、例えばより仕事関数の高い金属の上に堆積されたカルシウムなどからなってよい。いくつかの金属の仕事関数を以下の表1に示す。
【表2】

【0100】
いくつかの実施形態において他の陰極材料、例えばカルシウムが用いられてよいが、多くの実施形態においてはアルミニウムが単独で用いられるか、または例えばマグネシウムまたは銀などの元素と合金にされてもよい。ある実施形態において、陰極は電子注入または電子輸送層により近い合金、例えばLi−Ag、Mg−AgまたはAl−Mgの第一層、および電子注入または電子輸送層からより遠い純粋なアルミニウムの第二層を含んでよい。陰極材料は、ガラス製か、あるいは硬いかまたは柔軟であってよいプラスチック製であってよく、且つ光学的に透明であってよい透明板状材料上にあってもよい。プラスチック基板に関して、硬いかまたは柔軟な透明プラスチック材料が用いられてよく、これは好ましくは寸法安定性で、比較的高いTgの水(水蒸気を含む)に対して不浸透性である材料である。PENは好ましい材料であり、用いられてよい他の材料はPES、PEEKおよびPETを含む。プラスチックは導電性のフィルムによりコーティングされてよく、動作条件下で発生する水分、例えば大気中の水分に対する耐性を向上させるバリアコーティングを有してもよい。
【0101】
以下の例を参照して、本発明がどのように実施されて良いかについて以下に記載する。
【0102】
調製方法
A−STの合成
1,4−[ビス(2,2’−キノリニル)ビニル]ベンゼン
【化22】

【0103】
2−メチルキノリン(キナルジン、46.8g;0.35モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(25.0g;0.1745モル)との混合物を無水酢酸(70ml)中で6時間還流した。反応混合物を一晩冷却させた。メタノールを反応混合物に添加し、生成物を吸引下、濾過した。濾過ケーキを脱イオン水、次にメタノールにより完全に洗浄した。深黄色の結晶固体を80℃で8時間、真空下で乾燥した。収量定量的。Mp246℃(DSC、開始)。生成物を昇華精製した。
【0104】
A−Ph−STの合成
(a)2−メチル−6−フェニルキノリン
【化23】

【0105】
還流2−エトキシエタノール中、フェニルボロン酸およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)とのSuzukiカップリングにより6−ブロモ−2−メチルキノリンから2−メチル−6−フェニルキノリンを調製した。6−ブロモ−2−メチルキノリン(8.9g;40mmol)の2−エトキシエタノール(100 ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1g;0.86 mmol)を添加し、反応混合物を室温で10分攪拌した。次にエトキシエタノール(50 ml)中のフェニルボロン酸(5 g;41 mmol)を、その後水(50 ml)中の水溶性炭酸ナトリウム(8.4g;79 mmol)を添加した。反応混合物を磁石により攪拌し、16時間還流した。冷却した反応混合物をクロロホルム(3x100 ml)により抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を濃縮した。溶媒を有する残渣をシリカゲルカラムにより濾過し、無色の溶液を蒸発させた。残渣をペトロレウム・スピリット(30〜40℃)により粉末にし、エーテルから再結晶し、オフホワイト色の固体5.5g(63%)を得た;Mp 95℃(DSC、開始)。元素分析によりC87.60、H5.98、N6.32であることが見出された。C1613NはC87.64、H5.98およびN6.39%を必要とする。
【0106】
(b)1,4−[ビス(6,6’−フェニル−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化24】

【0107】
2−メチル−6−フェニルキノリン(5.2 g、24 mmol)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(1.6 g;無水酢酸(20 ml)中、12 mmol)を6時間、窒素雰囲気下で還流した。冷却した反応混合物にメタノール(50 ml)および水(10 ml)を添加し、光沢のある黄色固体を濾過し、メタノール、水、および最後にジエチルエーテルでよく洗浄した。生成物を真空下80℃で乾燥した。収量4.6g(72%)。Mp312℃(DSC、開始)。生成物を昇華によりさらに精製した。
【0108】
A−BP−STの合成
(a)6−ビフェニル−2−メチルキノリン
【化25】

【0109】
2−エトキシエタノール(80 ml)の6−ブロモ−2−メチルキノリン(5.0 g;22.5 mmol)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1 g;0.86 mmol)を添加し、反応混合物を10分窒素雰囲気下、室温で攪拌した。4−ビフェニルボロン酸(4.7 g;23.7 mmol)を添加し、その後エトキシエタノール(20 ml)を添加した。次に水(50 ml)中の炭酸ナトリウム(10 g;9.4 mmol)水溶液を添加した。反応混合物を磁石により攪拌し、窒素の下で18時間還流した。冷却した反応混合物をクロロホルム(3x100ml)により抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を濃縮した。溶液をシリカゲルカラムにより濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をペトロレウム・スピリット(30〜40℃)およびエーテルにより粉末にし、オフホワイト色固体、4.1 g(62%)を得た;生成物をクロロホルム−メタノールから再結晶し、UVランプ下で紫外蛍光を示す無色の固体を得た。Mp206℃(DSC、開始)。元素分析によりC89.35、H5.82、N4.78を見出した;C2217NはC89.65、H5.37およびN4.98%を必要とする。
【0110】
(b)1,4−[ビス(6,6’−ビフェニル−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化26】

【0111】
6−ビフェニル−2−メチルキノリン(3.0 g;0.010モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(0.7;0.005モル)との混合物を無水酢酸(25 ml)中で16時間還流した。冷却の際に分離した固体をメタノール添加後に単離した。生成物を濾過し、水、メタノールおよび最後にジエチルエーテルで洗浄した。収量3.2g;(91%)。生成物を昇華精製した。Mp256℃(DSC、開始)、約355℃でDSCに小さな隆起が現れた。
【0112】
A−DF−STの合成
(a)6−(2’,4’−ジフルオロフェニル)2−メチルキノリン
【化27】

【0113】
6−ブロモ−2−メチルキノリン(4.7 g;0.021 mol)の2−エトキシエタノール(80 ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.5 g;0.0004 mol)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下、室温で5分攪拌した。2,4−ジフルオロフェニルボロン酸(3.5 g;0.022 mol)、その後エトキシエタノール(20 ml)を添加した。水(50 ml)中の炭酸ナトリウム(10 g;0.094 mol)を添加し、反応混合物を磁石により攪拌し、窒素の下、90℃で16時間加熱した。冷却した反応混合物をセライトのパッド、hyflo supercelにより濾過し、次に脱イオン水の添加後、ジクロロメタン(3x100ml)により抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を除去し、残渣を得て、これをエーテルにより粉末にし、冷蔵庫で冷却して固体を得た。これを濾過し、真空下60℃で乾燥し、無色の固体を得た。収量3.9g(72%)。Mp86℃(DSC、開始)。元素分析によりC73.76、H4.39、N5.38を見出した;C1611NFはC 75.28、H 4.34およびN 5.49%を必要とする。
【0114】
(b)1,4−[ビス(6,6’−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化28】

【0115】
6−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−2−メチルキノリン(3.5 g;0.014モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(0.95;0.00685モル)との混合物を18時間、無水酢酸(35 ml)中で還流した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(50 ml)を添加した。分離した固体を濾過し、メタノール、脱イオン化水およびジエチルエーテルで洗浄した。生成物を75℃、真空下乾燥し、収量は3.2g(76%)であった。Mp268℃(DSC、開始)。生成物は2度昇華精製した。
【0116】
A−Np−STの合成
(a)6−(1−ナフチル)−2−メチルキノリン
【化29】

【0117】
6−ブロモ−2−メチルキノリン(32.5;0.145モル)を2−エトキシエタノール(200 ml)に溶解し、窒素の下、磁石により攪拌し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.1 g;0.0044モル)、その後2−エトキシエタノール(25 ml)を添加した。室温で5分攪拌した後、1−ナフタレンボロン酸(25.0 g;0.145モル)、その後2−エトキシエタノール(75 ml)を添加した。水(200 ml)中の炭酸水素ナトリウム(35 g;0.42モル)を一度に添加し、反応混合物を窒素雰囲気下、90℃で20時間、攪拌および加熱した。1時間後、反応混合物はオレンジ色となった。 反応混合物を冷却し、ジクロロメタン(100ml)を添加し、当該反応混合物を吸引の下、セライト、シリカゲルを上部に有する層を用いて濾過した。濾液にさらにジクロロメタン(250 ml)を添加し、脱イオン水(2x300 ml)、最後に塩水(250 ml)により抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を除去し濃い液体を得た。ジエチルエーテルによる粉末化および冷蔵庫での冷却により薄黄色固体を得た。生成物を真空下80℃で乾燥した(22 g;56%)。Mp111℃(DSC、開始)。元素分析によりC 89.16, H 5.58, N 5.15であることを見出し; C2015NはC 89.19、H 5.61およびN 5.20 %を必要とする。
【0118】
(b)1,4−[ビス(6,6’−ナフチル−2,2’キノリン−2−イル)ビニル)]ベンゼン
【化30】

【0119】
6−ナフチル−2−メチルキノリン(11 g;0.041モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(2.75 g;0.02モル)との混合物を無水酢酸(30 ml)中、6時間還流した。この時間中に反応混合物から黄色固体を分離した。冷却した反応混合物にメタノール(50 ml)を添加し、生成物を吸引下、濾過した。濾過ケーキを脱イオン化水、次にメタノールにより洗浄し、無水酢酸のいずれの痕跡も除去した。真空下80℃で乾燥した生成物は収量9.5g(73%)であった。Mp276℃(DSC、開始)。生成物をさらに昇華により精製した。
【0120】
A−PyR−STの合成
(a)6−ピレニル−2−メチルキノリン
【化31】

【0121】
6−ブロモ−2−メチルキノリン(4.5;20ミリモル)を2−エトキシエタノール(30 ml)に溶解し、窒素の下、磁石により攪拌した溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1g;0.9ミリモル)を添加した。室温で5分攪拌した後、1−ピレンボロン酸(5.0g;20ミリモル)、その後2−エトキシエタノール(10 ml)を添加した。水(60 ml)中の炭酸水素ナトリウム(10g;94ミリモル)を一度の添加し、反応混合物を90℃、窒素雰囲気下、18時間攪拌および加熱した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタン(100 ml)を添加し、反応混合物をシリカゲルの層により濾過した。濾液にさらにジクロロメタン(50 ml)を添加し、脱イオン化水(2x100 ml)により抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を除去し、所望の生成物を得た。生成物を真空下、80℃で乾燥し、収量は4.5 g(67%)であった。Mp133℃(DSC、開始)。元素分析により、C 90.80, H 5.09, N 4.32であることを見出し;C26H17NはC 90.93, H 4.99およびN 4.08 %を必要とする。
【0122】
(b)1,4−[ビス(6,6’−ピレニル−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化32】

【0123】
6−ピレニル−2−メチルキノリン(3.0 g;9.1ミリモル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(0.61 g;4.5 mmol)との混合物を無水酢酸(20 ml)中、18時間還流し、室温まで冷却させた。メタノール(25 ml)を黄緑色の反応混合物に添加し、吸引下、生成物を濾過した。濾過ケーキをメタノール、脱イオン化水、ジエチルエーテル、最後にメタノールで完全に洗浄した。真空下80℃で生成物を乾燥した。収量2.9g(83%)。生成物はさらに昇華により乾燥した。Mp266℃(DSC、開始)、282(DSC、ピーク)。
【0124】
A−QOx−STの合成
1,4−[ビス(2,2−キノキサリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化33】

【0125】
2−メチルキノキサリン(10 g;0.0693モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(4.65 g;0.035モル)との混合物を無水酢酸(30 ml)中6時間還流し、反応混合物を室温まで冷却させた。過剰なメタノールおよび少量の水を反応混合物に添加し、分離した赤褐色の固体を濾過し、メタノールで完全に洗浄し、真空下80℃で乾燥した。収量6.2 g(46%)。生成物を昇華により精製した。Mp266℃。
【0126】
A−Th−STの合成
(a)2−メチル−6−(2−チエニル)キノリン
【化34】

【0127】
6−ブロモ−2−メチルキノリン(17.4 g;0.078モル)の2−エトキシエタノール(100 ml)の溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.7 g;0.0023 mol)を添加し、反応混合物を室温、窒素雰囲気下で5分攪拌した。2−チエニルボロン酸(10.0 g;0.078 mol)、その後エトキシエタノール(70 mol)を添加した。水(100 ml)中の炭酸水素ナトリウム(20 g;0.24 mol)を添加し、反応混合物を磁石により攪拌し、90℃、窒素の下、16時間加熱した。冷却した反応混合物をセライトのパッドhyflo supercelにより濾過し、次に脱イオン化水の添加後、ジクロロメタン(2x150 ml)により抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を除去し、淡褐色の液体を得た。液体を減圧下蒸留し、エトキシエタノールを除去した。残渣をジエチルエーテルにより粉末にし、冷蔵庫で冷却し、オフホワイト色の固体10.6 g(61%)を得た;Mp87℃(DSC、開始)。元素分析によりC 74.72、H 4.92、N 6.12、S 13.43であることが見いだされ;C1411NSはC 74.63, H 4.92, N 6.21およびS 14.24%を必要とする。
【0128】
(b)1,4−[ビス(6,6’−(2−チエニル)−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン
【化35】

【0129】
2−メチル−6−(2−チエニル)キノリン(10.25 g;0.046モル)とベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(3.1;0.023モル)との混合物を無水酢酸(35 ml)中、18時間還流した。反応混合物を室温まで冷却させ、メタノール(50 ml)を添加した。黄緑色の固体を分離した。固体を吸引下、濾過し、濾過ケーキをメタノール、脱イオン化水、最後にメタノールおよびジエチルエーテルにより完全に洗浄した。生成物を真空下、75℃で乾燥した、収量9.5g;(76%)。Mp330℃(DSC、開始)。生成物を昇華精製した。
【0130】
上記化合物の性質を以下の表に示す。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0131】
デバイスの構造
あらかじめエッチングしたITOコーティングされたガラス片(10x10cm)を用いた。SolcietMachine、ULVAC Ltd.Chigasaki,Japanを用いて真空蒸着によりITO上に順次層を形成することにより、デバイスを製造した。各画素の活性範囲は3mm掛ける3mmであった。コーティングされた電極を、ガラス裏板を用いてUV硬化性の接着剤により不活性雰囲気下(窒素)、封入した。エレクトロルミネセント研究はITO電極により行われ、これは常に正極に接続されていた。電流密度対電圧の研究はコンピュータ制御のKeithly2400ソースメータにより行われた。
【0132】
例1
緑色および赤色発光を有するデバイスは、正極層、緩衝層、正孔輸送層、エレクトロルミネセント層(ドープされた材料)、電子輸送層、電子注入層、および陰極層からなる上述の方法により形成され、層の組成は図1および2に示される通りであり、層の厚さはnmである。CIE色彩調整および電流密度−電圧特性を図1および2に示した。
【0133】
種々の試験化合物についての以下の結果によりデバイスの性能をさらに評価した。
【表4】

【0134】
上記表において、BPhenは4,7−ジフェニル−1,9−フェントロリンである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】緑色蛍光デバイスーETLの比較
【図2】赤色発光デバイスーETLの比較

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式R(CR=CR)Ar(CR=CR)の化合物、
式中、nは0または1であり;
Arは鎖または縮合または鎖および縮合の組合せであってよい1〜5の芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールを表し、これはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルまたはシアノにより置換されてよく、五員環の場合、窒素へテロ原子がアリール、またはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノにより任意にさらに置換された置換アリールによりN置換されてよく;
およびRは独立して、2〜4の縮合芳香環を有するアリール、または窒素、酸素もしくは硫黄含有ヘテロアリールであり、そのうち一つが五員環であってよく、1〜5の鎖または縮合芳香環を有するアリールまたはヘテロアリールにより任意に置換されてよく、これはアルコキシ、フルオロ、フルオロアルキルまたシアノによりさらに置換されてよく;
およびRは独立して水素、メチル、エチルまたはベンジルを表わす。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、以下のいずれかの特徴を有する化合物:
(i)nが1である;
(ii)Arがフルオロ、フルオロアルキルもしくはシアノにより任意に置換されるフェニルまたはナフチルを表わす;
(iii)Arがベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド残基を表す;
(iv)Arがベンゼン−1,2−ジカルボキシアルデヒド、ベンゼン−1,3−ジカルボキシアルデヒド、ナフタレン1,2−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,4−ジカルバルデヒド、ナフタレン2,6−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,8−ジカルバルデヒド、アントラセン−1,4−ジカルバルデヒド、アントラセン−2,3−ジカルバルデヒド、アントラセン−4,9−ジカルバルデヒド、アントラセン−9,10−ジカルバルデヒドまたはビフェニル−4,4’−ジカルボキシアルデヒド残基を表わす;
(v)RおよびRは独立して、1、2または3つの環窒素原子を有する二環式ヘテロアリールを表わす;
(vi)RおよびRは独立してキノリニルを表し、これは単環式であるアリールまたはヘテロアリールによって置換されてもされていなくてもよく、あるいは鎖または縮合し、且つさらにアルコキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、シアノまたはチオフェニルによりさらに置換されてよい2つのアリールまたはヘテロアリール環を有してよい;
(vii)RおよびRは独立してイミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールを有し、イミダゾールの場合、窒素においてアリールまたはヘテロアリールにより置換されてよい;
(viii)Rおよび/またはRはメチルである。
【請求項3】
以下の式を有する請求項1に記載の化合物:
(CH=CH)Ar(CH=CH)
式中、n、R、RおよびArは請求項1または2で定義した通りである。
【請求項4】
以下の式を有する化合物
【化1】

式中、RおよびRは請求項1または2で定義した通りである。
【請求項5】
以下のいずれかの化合物:
2,2’−ビス(ビニルキノリニル)−1,4−ベンゼン;
6,6−ビス(フェニル−2,2−ビニルキノリニル)ベンゼン;
6,6−ビス(ビフェニル−2,2−ビニルキノリニル)ベンゼン
6,6−ビス(2,4−フルオロフェニル−2,2−ビニルキノリニル)ベンゼン;
6,6−ビス(ナフチル−2,2−ビニルキノリニル)ベンゼン
6,6’−ビス(1,1’−ピレニル−2,2’−ビニルキノリニル)ベンゼン;
1,4−[ビス(2,2−キノキサリン−2−イル)ビニル]ベンゼン;
4−[ビス(6,6’−(2−チエニル)−2,2’キノリン−2−イル)ビニル]ベンゼン。
【請求項6】
エレクトロルミネセント特性および/または導電特性を有する化合物を製造する方法であって、非置換、または1〜5の芳香環を有するアリールもしくはヘテロアリールによりさらに置換されてよい2〜4の縮合環を有するメチル−、エチル−、プロピル−またはベンジル−置換されたヘテロアリール化合物と、芳香族ジアルデヒドまたはジケトンとを縮合することを含み、前記アリールもしくはヘテロアリール置換基または置換基は任意に一以上のハロまたはシアノ置換基により置換される化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、以下のいずれかの特徴を有する方法:
(i)当該芳香族ジアルデヒドはベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒドである;
(ii)当該芳香族ジアルデヒドは、ベンゼン−1,2−ジカルボキシアルデヒド、ベンゼン−1,3−ジカルボキシアルデヒド、ナフタレン1,2−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,4−ジカルバルデヒド、ナフタレン2,6−ジカルバルデヒド、ナフタレン−1,8−ジカルバルデヒド、アントラセン−1,4−ジカルバルデヒド、アントラセン−2,3−ジカルバルデヒドまたはビフェニル−4,4’−ジカルボキサルデヒドのいずれかである;
(iii)芳香族ジアルデヒドは芳香族複素環ジアルデヒドである;
(iv)芳香族ジアルデヒドは2,4−ピリジンジカルボキサルデヒド、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボキサルデヒドまたは9−ベンジルカルバゾール−3,6−ジカルボキサルデヒドである;
(v)縮合が有機酸のアルデヒドの存在下で行われる;
(vi)縮合が還流下、無水酢酸中で行われる。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物およびドーパントを含む組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であって、第二ホストまたは電子輸送材料を含む組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物であって、以下のいずれかの特徴を有する組成物:
(i)請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物が当該組成物の少なくとも50重量%を含む;
(ii)第二ホストまたは電子輸送材料が低分子を含む;
(iii)第二ホストまたは電子輸送材料が金属キノレートまたは置換された金属キノレートを含む;
(iv)第二ホストまたは電子輸送材料がフェナントロリン化合物を含む;
(v)第二ホストまたは電子輸送材料がまたは4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンを含む;
(vi)第二ホストまたは電子輸送材料が以下の式の化合物を含む
[Ar](CH=CH−R)
式中、nが1〜4の整数であり;[Ar]が一以上のアルキルまたはアルコキシ基により任意に置換される多環式芳香族または複素環芳香族骨格であり;Rが、メチル、メトキシ、アリール、もしくはヘテロアリールにより任意に置換された五員環へテロアリール基であるか、またはメチル、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはシアノにより任意に置換されたフェニルまたはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換されたビフェニルである;
(vii)第二ホストまたは電子輸送材料が、2,9−ビス(4,4’−トリフルオロメチルスチレニル)フェナントロリン、2,9−ビス((E)−2−(5−(チオフェン−2−イル)チオフェン−2−イル)ビニル)−1,10−フェナントロリン、2,9−ビス(4,4’−シアノスチレニル)フェナントロリンおよび2,9−ビス(2,2’−ビニル−5,5’−フェニルチオフェニル)フェナントロリンのいずれかを含む。
【請求項11】
請求項8または9の何れかに記載の組成物であって、当該第二ホスト、電子輸送材料またはドーパントが以下のいずれかである組成物:
(i)電子輸送を増加させるために効果的な量の窒素含有芳香族化合物;
(ii)電子輸送を増加させるために効果的な量の以下の式(a)〜(g)いずれかの昇華可能な窒素含有低分子;
【化2−1】

【化2−2】

式中、式(a)〜(g)のいずれかの基Rが同じであるかまたは異なってよく、水素;置換および非置換脂肪族基;置換ならびに非置換芳香環、芳香族複素環および多環式構造;ハロゲン;およびチオフェニル基から選択され、式(a)において当該メチル基が、例えばアルキル、アリールもしくはアリールアミノによりさらに置換されてよいC〜Cアルキルまたは単環式もしくは多環式アリールまたはヘテロアリールにより置換されてよい;
(iii)電子輸送を促進させるために効果的な量の以下のいずれかの化合物;
【化3−1】

【化3−2】

4,4’,4”−トリス(カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)、
(2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−スピロ−9,9’−ビフルオレン)、
9−(10−(N−(ナフタレン−1−イル)−N−フェニルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−(ナフタレン−1−イル)−N−フェニルアントラセン−10−アミン、
9−(10−(N−ビフェニル−N−2−m−トリルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−ビフェニル−N−2−m−トリルアミノ−アントラセン−10−アミン、
9−(10−(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)アントラセン−9−イル)−N−フェニル−N−m−トリルアントラセン−10−アミン;
(iv)仕事関数の低い金属;
(v)仕事関数の低い金属のキノレートまたは置換されたキノレート;
(vi)リチウムキノレートまたはリチウム2−メチルキノレート;
(vii)アルミニウムキノレートまたは青色アルミニウムキノレート;
(viii)ジルコニウムキノレート;
(ix)以下の式の化合物
【化4】

式中、Rが、一以上のC〜Cアルキル、アルコキシもしくはシアノにより置換されてよい1〜5の環アリール(多環式を含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基であり;RおよびRが共に、C〜Cのアルキル、アルコキシもしくはシアノにより置換されてよい1〜5の環アリール(多環式を含む)、アラルキルまたはヘテロアリール基を形成し;
が水素、C〜Cアルキルまたはアリールであり;
Arが、一以上のC〜Cアルキルまたはアルコキシ基により置換されてよい単環、二環もしくは三環アリールまたはヘテロアリール、またはこれらのオリゴマーである;
(x)以下の式の化合物:
【化5】

【請求項12】
第一電極、第二電極、および当該第一および第二電極の間の請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物、または請求項8または9に記載の組成物を含む層を有する光学発光ダイオードデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスであって、当該層が電子輸送層であるデバイス。
【請求項14】
請求項12または13に記載のデバイスであって、以下のいずれかの特徴を有するデバイス:
(i)エレクトロルミネセント層が金属またはメタロイド錯体を含む;
(ii)エレクトロルミネセント層が、ホストまたはルミネセント材料として、金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムもしくは白金錯体、ボロン錯体、または希土類錯体を含む;
(iii)エレクトロルミネセント層がジルコニウムまたはハフニウムキノレートをドーパントによりドープされたホスト材料として含む;
(iv)エレクトロルミネセント層が、ドーパントによりドープされたホスト材料としてアルミニウムキノレートまたは「青色」アルミニウムキノレートを含む;
(v)エレクトロルミネセント材料が、アセトニトリル中でリチウムアルキルまたはアルコキシドから作られ、ドーパントによりドープされたリチウムキノレートを含む;
(vi)エレクトロルミネセント層が、芳香族第三級アミンをドーパントによりドープされたホスト材料として含む;
(vii)エレクトロルミネセント層が、発光共役ポリマーもしくはコポリマーまたはデンドリマーを含む;
(viii)ZnTpTPを含む正孔注入層を具備する;
(viii)α−NBP、TPDまたはm−MTDATAを含む正孔輸送層を具備する;
(ix)当該デバイスがフラットパネルディスプレイである。
【請求項15】
請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物を含むエレクトロルミネセント層を有する光学発光ダイオードデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、以下のいずれかの特徴を有するデバイス:
(i)当該化合物が少なくとも一つの蛍光ドーパントによりドープされる;
(ii)当該化合物が少なくとも一つのりん光ドーパントによりドープされる;
(iii)当該化合物が少なくとも一つのイオンりん光ドーパントによりドープされる。
【請求項17】
請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物または請求項8または9に記載の組成物を含む静電潜像の作成のためのイメージング部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−517665(P2011−517665A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550264(P2010−550264)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050180
【国際公開番号】WO2009/112854
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】