説明

エレクトロルミネッセント効果を有する識別標識およびその製造方法

エレクトロルミネッセントアレンジメントを開示する。このエレクトロルミネッセントアレンジメントは、下記機能層を備える:(a)層Aとしての背面電極;(b)層Bとしての誘電層;(c)層Cとしてのエレクトロルミネッセント層;および(d)層Dとしてのカバー電極。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセントアレンジメント(electroluminescent arrangement)、その製造方法、並びに、特に乗物用の識別/照合標識(distinguishing/identification signs)としての、その使用に関する。本発明は、更に、フロントダイヤフラムブランク(front diaphragm blank)並びにその製造方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス(以降、「EL」に略書する。)は、交流電場による発光顔料または発光団からのルミネッセンス(luminescence)の直接励起を意味すると理解される。
【0003】
エレクトロルミネッセンス技術は近年ますます重要になっている。この技術は、眩光(dazzle)や暗部がなく、かつ、実質的に任意の所望のサイズの均質発光面が形成されることを可能にする。同時に、消費電力および構造体厚(ミリメートル以下のオーダー)が極めて低い。典型的な使用としては、液晶ディスプレイのバックグラウンド照明(background illumination)以外に、文字および/または画像モチーフ付きの透明フィルムのバックライティングが挙げられる。従って、透明エレクトロルミネッセントアレンジメント、例えばガラスまたは透明プラスチックベースのエレクトロルミネッセント発光ボード、であって、例えば情報媒体もしくは広告パネルの役割を果たすか、または装飾用の、透明エレクトロルミネッセントアレンジメントが先行技術で知られている。
【0004】
エレクトロルミネッセント燐光体が間に配置されている2つの伝導性ガラス電極の使用をベースとする硫化亜鉛エレクトロルミネッセントアレンジメントは1950年に既にE.C.PayneによってUS 2,838,715に記述されており、かつ、刊行物“Philosophical Magazine”におけるG.Destriauによる“The New Phenomenon of Electroluminescence and its Possibilities for the Investigation of Crystal Lattice”が参照として言及されており、この関連で、交流電圧場における特定のZnS EL現象の最初の発見が1936年に既にDestriauによってなされている。
【0005】
これらのELエレメントにおいて使用される発光顔料および発光団は、透明有機バインダーまたはセラミックバインダーに埋め込まれる。出発物質は、一般的に、硫化亜鉛であり、これはドーピングまたは共ドーピング(co−doping)および製造手順に依存して、さまざまな比較的狭いバンドの発光スペクトルを生じる。硫化亜鉛をEL層に用いる理由は、一方で、比較的多数の利用可能な硫化亜鉛EL顔料による。同時に、スペクトルの重力の中心は、それぞれの放射光の色を決定する。ELエレメントの発光色は、多数の可能な手段によって所望の色味(color impression)に合わされる。これらの手段としては、発光顔料のドーピングおよび共ドーピング、2種類以上のEL顔料の混合、1種類以上の有機および/または無機の変色および/または色選別(colour−filtering)顔料の添加、EL顔料の有機および/または無機の変色および/または色識別物質でのコーティング、発光顔料が所望されるポリマーマトリックスへの着色剤の混合、並びに変色および/または色選別層またはフィルムのELエレメントの構造体への組み込みが挙げられる。標準的には50ボルトよりも高く200ボルト以下である好適に高い交流電圧および50Hzよりも高く数kHz以下、標準的には400Hz〜2kHz、の周波数を適用すると、一般的に、用いられる硫化亜鉛顔料のドーピングおよび共ドーピングに依存して、比較的広いバンドの発光スペクトルが得られる。
【0006】
生じる発光が見えるように、少なくとも1つのフラット(平面)電極が好ましくはほぼ透明にデザインされる。
【0007】
意図される使用および製造技術に依存して、導電性でかつほぼ透明なコーティングを有するガラス基材またはポリマーフィルムがこの目的に使用されうる。特別な態様において、ELコンデンサ構造体もまたフロント透明電極として薄い層だけがプリントされるかもしくはナイフコートされるか、またはローラーコーティング法、カーテンキャスティング法もしくはスプレー法によって塗布するように基材に配置されうる。原則として、両方のフラット電極はほぼ透明にされてもよく、このようにして、両側に光放射を示す半透明ELエレメントが形成される。
【0008】
エレクトロルミネッセントアレンジメントは、例えば、乗物用自己発光ナンバープレートの分野において使用される。
【0009】
自己発光ナンバープレート(「SLN」と略書する;「自己発光識別標識」や「自己発光識別プレート」ともいう。)は、暗闇において読めるように外部光源によって照らす必要がなく、それ自体が光を発する乗物識別標識である。
【0010】
現在、市販の2つの異なるタイプの自己発光ナンバープレートが存在する:
・1つのタイプの自己発光ナンバープレートでは、後ろに白色LEDが配置されている半透明白色反射プラスチックプレートをエンボスすることによって文字が製造される。3M(登録商標)社によって開発されたこのシステムに関して、一般モデルおよび設計承認(ABG)がドイツ連邦道路庁によって2006年7月10日に認められた。
・第2のタイプの自己発光ナンバープレートでは、透明フィルムに文字がプリントされ、次にこれがエレクトロルミネッセントフィルムに接着される。このエレクトロルミネッセントフィルムは、このフィルムに電圧が印加されると光を発する。この原理によるナンバープレートも同様にドイツ連邦道路庁によって認可されている(2007年2月27日のABG K55)。
【0011】
類似のエレクトロルミネッセントシステムもまた先行プリンティング技術で知られている。
【0012】
例えば、WO 03/064210 A1には、導電性材料からなるかまたは導電性コーティングを備えて直接第1電極を形成するかまたは別の層を通じて第1電極を形成する基体を有するプレート、特に乗物用識別プレートまたはナンバープレート、が記載されている。エレクトロルミネッセント着色を含むコーティングをこの基体または導電性コーティングに適用し、次に、この着色コーティングを導電性透明層で被覆して第2電極を形成する。基体またはエレクトロルミネッセント層を有する基体と第2電極形成用導電性透明層とは、成形、特にエンボスされうる。
【0013】
EP 1 463 654 A1には、プレート、特に乗物識別プレート、が記述されており、これは、可塑的に変形可能な材料、例えば金属、でできた支持体およびエレクトロルミネッセント層構造体を備えて少なくとも1つのフラットコンデンサを形成する。エレクトロルミネッセント層構造体は、ベース電極、絶縁層、作動中に発光する顔料層、および透明カバー電極を有する。別の絶縁層が支持体に適用されており、この絶縁層上にベース電極と少なくとも1つの電力供給導線とを電気的に分離して形成する導電層が少なくとも1つのフラットコンデンサのカバー電極用に配置されている。この別の絶縁層は、まずはじめに支持体の反対側が導電性材料で連続的にコーティングされているプラスチックフィルムであり、前記絶縁層は支持体を通り越えて突出するブラケットを有し、その上にベース電極と電力供給導線の接触に必要な接続導線が形成されている。
【0014】
EP 0 978 220 Aには、EL厚フィルムエレメントを有するプラスチック成形物品が記述されており、ここで、このEL厚フィルムエレメントは三次元成形されており、背面にフィルムの軟化点よりも低い操作温度において熱可塑性材料がスプレーされ、このようにして三次元自己発光成形物品が製造されている。
【0015】
先の優先日のドイツ国特許出願であって、先に公開されていない、“3D−EL−HDVF element and production process and use”とタイトルが付けられたDE 10 2006 031 315には、軟化点未満で常温延伸可能な少なくとも1つのグラフィカルに形成されたプラスチックフィルムおよび少なくとも1つの保護フィルムエレメントからなる、3次元成形され、かつ、グラフィカルに形成されたプラスチックフィルムエレメントの製造方法であって、様々な常温延伸可能なグラフィカルプリンティングを有する、元々フラットであり、かつ、常温延伸可能なフィルムを少なくとも1つの保護フィルムと共に静水圧高圧成形ツールに移動させ、プラスチックフィルムの軟化点未満の処理温度において応力白化が起こらない方法で流体圧縮剤(fluid compression agent)を用いて20barよりも高い圧力において3次元成形し、同時にラミネートし、次に、エッジに沿って切断する、プラスチックフィルムエレメントの製造方法が記述されている。加えて、グラフィカルプリンティングは、無機プリントエレクトロルミネッセント層の順序のように機能特性を伴って提供される。
【0016】
これらの先行技術で知られているエレクトロルミネッセント効果を有する識別標識は、未だ多くの点で欠点を有する。
【0017】
従って、先行技術で知られているエレクトロルミネッセント効果を有する識別標識は、全て、単純、安全、かつ容易に適用可能な識別標識の、例えば乗物の電気回路との接触が可能でないという欠点を有する。例えば、上記EP 1 463 654 Aに記述され、ブラケットとしてデザインされている接触デバイスは、製造が複雑である。加えて、このブラケットは、更なる処理、特にラミネーション、を妨げる。費用対効果の高いロールツーロールラミネーションプロセスは、この実施形態において行うことが困難である。なぜなら、このプロセスにおいて、ブラケットは、2つのエンドレス支持体の間の接触領域に配置され、かつ、後に複雑な手順において機械で外されなければならないからである。更に、ブラケットの暴露は、水分に対する拡散バリアの提供を必要とする。なぜなら、発光団が水分に対して敏感であり、かつ、導体部分が水分の作用下で電食を被るからである。
【0018】
更に、エレクトロルミネッセント効果を有する対応識別標識は、しばしば、例えば乗物用識別標識のエンボスにおいて、3次元成型される。結果として導電性コーティングは、特に電極において、破損および破断しうる。これらの破損は、導電性が電極全体にわたって保証されないことを意味する。
【0019】
これはさておき、対応エレクトロルミネッセントエレメントの常温加工特性(成形性)は、一般的に、常に十分に達成されるわけではない。
【0020】
先行技術で知られているエレクトロルミネッセント効果を有する自動車識別標識では、加えて、基材への結合が十分に達成されない。従って、先行技術で知られているシステムにおけるエレクトロルミネッセントアレンジメントと基材との間の対応遷移(transitions)は十分に安定でなく、また、十分に耐久性がない。更に、遷移は十分な成形特性を示さない。遷移は、もちろん、特にエレクトロルミネッセント効果を有する自動車識別標識をエンボスする場合に重要である。例えば、自動車識別標識をエンボスする場合、一般的に、高さ2mmの2つの角度90°のエンボスが必要である。加えて、当業者に知られているエレクトロルミネッセント特性を有する自動車識別標識の反射特性を改良する必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、本発明は、上記タイプのエレクトロルミネッセントアレンジメントを様々な観点において、特に上で重要と見なした分野において、改良する目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントによって達成される。
【0023】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、下記機能性層を備えることを特徴とする:
(a)構成材料BEとしての背面電極;
(b)構成材料BDとしての誘電層;
(c)構成材料BCとしてのエレクトロルミネッセント層;および
(d)構成材料BAとしてのカバー電極(=正面電極)。
【0024】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、概して、無機厚フィルムACシステムベースであり、これは、例えば常套のフラットベッドおよび/またはシリンダーシルクスクリーンプリントマシーンを使用して製造されうる。従って、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの製造は、常套の入手可能な装置を使用する単純な方法で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】識別英数字「BMS−123」を有する自己発光自動車識別標識の平面図である。
【図2】本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの3次元層構造体を示す図である。
【図3】図1の自己発光自動車識別標識のセクションA/Bを示す図である。
【図4】図3に示すセクションCの詳細図である。
【図5】本発明による自動車識別標識の接触の変形を示す図である。
【図6】図5に示されるセクションAを示す図である。
【図7】図5に示されるセクションBを示す図である。
【図8】図5に示されるセクションBの別の形態を示す図である。
【図9】識別英数字「BMS−123」を有する自己発光自動車識別標識の平面図である。
【図10】自己発光識別標識の平面図である。
【図11】自己発光識別標識の平面図である。
【0026】
本発明によるエレクトロルミネッセントエレメントの構造アレンジメントを下記により詳細に記述する。
【0027】
本発明によるエレクトロルミネッセントエレメントは、層BCとしての少なくとも1つのEL層を備える。層BCは、エレクトロルミネッセント効果を有するいくつかの層から形成されていてもよい。この少なくとも1つのエレクトロルミネッセント層(構成材料BC)は、概して、カバー電極(構成材料BA)と誘電層(構成材料BD)との間に配置される。この関連で、エレクトロルミネッセント層が、誘電層(構成材料BD)に直接隣接して配置されるかまたは任意に1以上の別の層が誘電層(構成材料BD)とエレクトロルミネッセント層(構成材料BC)との間に配置される。好ましくは、エレクトロルミネッセント層(構成材料BC)は、誘電層(構成材料BD)に直接隣接して配置される。
【0028】
本発明の別の態様において、少なくとも1つのエレクトロルミネッセント層(構成材料BC)が、概して、背面電極(構成材料BA)と誘電層(構成材料BD)との間に配置される。この関連で、エレクトロルミネッセント層が、誘電層(構成材料BD)に直接隣接して配置されるかまたは任意に1以上の別の層が誘電層(構成材料BD)とエレクトロルミネッセント層(構成材料BC)との間に配置される。好ましくは、エレクトロルミネッセント層(構成材料BC)が誘電層(構成材料BD)に直接隣接して配置される。
【0029】
更に、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて、エレクトロルミネッセント層が、互いに隣り合って配置され、かつ、異なるエレクトロルミネッセント燐光顔料を有する2以上のエレクトロルミネッセント層エレメントからなってエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて異なる色を生じることが可能であることが可能である。
【0030】
別の形態(configuration)では、エレクトロルミネッセント表面の部分領域は、要すれば、例えばその組成に関して、異なって形成されてもよく、かつ、要すれば互いに別々に作動してもよい。このようにして、異なる発光色が生じられ得る。
【0031】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの構造体:
本発明の第1の特に好ましい態様において、エレクトルミネッセントアレンジメントは、以下の層からなる(標準構造体):
a)少なくとも部分的に透明な基材、構成材料A、
b)基材に適用され、かつ、下記構成材料を含む少なくとも1つのエレクトロルミネッセントアレンジメント、構成材料B、
ba)正面電極としての少なくとも部分的に透明な電極、構成材料BA、
bb)任意の絶縁層、構成材料BB、
bc)電場によって励起可能な少なくとも1種類の発光顔料(エレクトロルミノファー、El燐光体)を含む層(エレクトロルミネッセント層または顔料層という。)、構成材料BC、
bd)任意の絶縁層、構成材料BD、
be)背面電極(これは少なくとも部分的に透明であってもよい。)、構成材料BE、
bf)構成材料BAと構成材料BEの両方との電気接触用の1以上の伝導性トラック(conducting track)、構成材料BF。伝導性トラックは、電極BAとBEの前に適用されても、後に適用されても、間に適用されてもよく、好ましくは1つの加工工程において適用される。伝導性トラックは、銀母線(silver bus)の形態で適用されてもよく、好ましくは銀ペーストから作られ、場合によっては更にグラファイト層が銀母線の適用前に適用されてもよい
c)保護層、構成材料CA、またはフィルム、構成材料CB。
【0032】
絶縁層BBとBDは、透明性がなくても(non−transparent)、不透明であっても透明であってもよく、この関連で、2つの絶縁層が存在する場合、これらの層の少なくとも1つは少なくとも部分的に透明でなければならない。
【0033】
更に、1以上の少なくとも部分的に透明なグラフィカルに形成された層は、基材Aの外に配置されかつ/または基材Aとエレクトロルミネッセントアレンジメントとの間に配置されうる。
【0034】
更に、基材の1つの任意の側または両側並びに基材それ自体に紫外線遮断物質を適用し、かつ/または組み込んでもよい。このようにして、発光団の使用期間は大きく伸ばされ、特に有機変換顔料(organic conversion pigment)の退色や色褪せがそれによって劇的に鈍化する。
【0035】
上記層(構成材料A、BおよびC)を別とすると、本発明によるエレクトロルミネッセントエレメント(常套の構造体)は、1以上の反射層を備えうる。反射層は、特に下記のように配置されうる:
−構成材料Aの外側、
−構成材料Aと構成材料BAとの間、
−構成材料BAと構成材料BBとの間、または構成材料BBがない場合、構成材料BAとBCとの間、
−構成材料BDと構成材料BEとの間、
−構成材料BEと構成材料BFとの間、
−構成材料BFと構成材料CAまたはCBとの間、
−構成材料CAまたはCBの外側。
【0036】
好ましくは、存在する場合、反射層は構成材料BCとBDとの間に配置されるか、または、構成材料BDがない場合、BCとBEとの間に配置される。
【0037】
反射層は、好ましくはガラス球、特に中空ガラス球、を含む。ガラス球の直径は、広い範囲で変わりうる。例えば、それらのサイズd50は、概して5μm〜3mm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μmである。中空ガラス球は、好ましくはバインダーに埋め込まれている。加えて、反射層は、金属粒子を含みうる。この態様において、反射層は、好ましくは、構成材料Aの外側および/または構成材料Aと構成材料BAとの間に配置される。
【0038】
本発明の別の態様において、エレクトロルミネッセントエレメントは、以下の層からなる(リバース層構造体):
a)少なくとも部分的に透明な基材、構成材料A、
b)基材に適用され、かつ、下記構成材料を含む少なくとも1つのエレクトロルミネッセントアレンジメント、構成材料B、
be)少なくとも部分的に透明であってもよい背面電極、構成材料BE、
bb)任意の絶縁層、構成材料BB、
bc)電場によって励起される少なくとも1つの発光顔料(エレクトロルミノファー)を含む層(エレクトロルミネッセント層や顔料層という。)、構成材料BC、
bd)任意の絶縁層、構成材料BD、
ba)正面電極としての少なくとも部分的に透明な電極、構成材料BA、
bf)構成材料BA並びに構成材料BEの電気接触用の1以上の伝導性トラック、構成材料BF。伝導性トラックは、電極BAとBEの前に適用されても、後に適用されても、間に適用されてもよく、好ましくは伝導性トラックは1つの加工工程において適用される。伝導性トラックは銀母線の形態で適用され、好ましくは銀ペーストから製造されうる。更に、場合によっては、グラファイト層を銀母線の適用前に適用してもよい
c)少なくとも部分的に透明な保護層、構成材料CAおよび/またはフィルム、構成材料CB。
【0039】
更に、1以上の少なくとも部分的に透明なグラフィカルに形成された層を透明保護層C上に、かつ/または透明保護層CとELアレンジメントとの間に配置してもよい。特に、グラフィカルに形成された層は、保護層の機能を引き継ぐ。
【0040】
上記層(構成材料A、BおよびC)に加えて、本発明によるリバース層構造体を有するエレクトロルミネッセントエレメントは、1以上の反射層を含んでもよい。反射層は、特に下記のように配置されうる:
−構成材料Aの外側、
−構成材料Aと構成材料BEとの間、
−構成材料BEと構成材料BBとの間、
−構成材料BBと構成材料BCとの間、
−構成材料BCと構成材料BDとの間、
−構成材料BDと構成材料BAとの間、
−構成材料BAと構成材料BFとの間、
−構成材料BFと構成材料CAまたはCBとの間、
−構成材料CAまたはCBの上。
【0041】
好ましくは、存在する場合、反射層は、構成材料BCと構成材料BBとの間、構成材料BBが存在しない場合、構成材料BCと構成材料BEとの間に配置される。更に、保護層は、金属粒子を含んでもよい。この態様において、反射層は、好ましくは構成材料Aの外側および/または構成材料Aと構成材料BEとの間に配置される。
【0042】
特に明記しない限り、当業者には、常套の構造に関して言及されている特定の態様および特徴がリバース層構造体および二重側面構造体に適切であるとして当てはまることが明白である。
【0043】
1以上の絶縁層BBおよび/またはBDは、常套の構造体においてもリバース構造体においても、特に構成材料BCが2つの電極、すなわち構成材料BAとBEと、の間の短絡を妨げる厚さを有する場合、省かれうる。
【0044】
本発明によるELアレンジメントの個々の機能層を以下により詳細に説明する。
【0045】
(1)エレクトロルミネッセント層
本発明によるELエレメントは、少なくとも1つのEL層、構成材料BC、を含む。この少なくとも1つのEL層は、第1の部分的に透明な電極の内部表面全体または第1の少なくとも部分的に透明な電極の1以上の部分表面に配置されうる。EL層がいくつかの部分表面に配置される場合、これらの部分表面は、概して、相互間隔が0.5〜10.0mm、好ましくは1〜5mmである。
【0046】
EL層は、概して、EL顔料が中に均質に分散されているバインダーマトリックスで構成される。バインダーマトリックスは、一般的に、電極層への(または任意に適用されてもよい誘電層への)良好な接着が得られるように選択される。好ましい形態において、PVB(ポリビニルブチラール)またはPU(ポリウレタン)ベースのシステムがこの関連でバインダーシステムに使用される。EL顔料に加えて、任意に別の添加剤、例えば色変換有機および/または無機システム、日中および夜間の照明効果用着色添加剤および/または反射および/もしくは光吸収効果顔料、例えばアルミニウムフレーク、ガラスフレークまたはマイカプレートレット、がバインダーマトリックスに存在してもよい。
【0047】
好ましくは、この少なくとも1つのEL層BCは、交流電流厚フィルムパウダーエレクトロルミネッセント(AC−P−EL)発光構造体である。
【0048】
概して、エレクトロルミネッセント層の総質量におけるエレクトロルミネッセント顔料の割合(充填度)は、20〜75wt.%、好ましくは50〜70wt.%である。
【0049】
エレクトロルミネッセント層において使用されるエレクトロルミネッセント顔料の厚さは、概して、1〜50μm、好ましくは5〜25μmである。
【0050】
厚フィルムAC−ELシステムは1947年のDestriau以来よく知られており、概してスクリーンプリンティングによってITO−PETフィルムに適用される。硫化亜鉛エレクトロルミノファーが操作中、特に高温かつ水蒸気雰囲気において、非常に高い分解をするので、最近は、概して、マイクロカプセル化EL顔料が長寿命厚フィルムAC−ELランプ構造体に使用される。しかしながら、本発明によるELエレメントにおいて、下で更に議論するように、非マイクロカプセル化顔料を使用することも可能である。
【0051】
本発明との関連で、ELエレメントは、標準的に100ボルトかつ400Hzの交流電圧によって作動され、このようにして数cd/m〜数百cd/mかそれよりも多い、いわゆる冷光を放出する厚フィルムELシステムを意味すると理解される。一般的に、ELスクリーンプリンティングペーストがそのような無機厚フィルム交流電圧ELエレメントにおいて使用される。
【0052】
そのようなELスクリーンプリンティングペーストは、概して、無機物質ベースで配合される。好適な物質は、例えば元素の周期表の第II族および第IV族の高純度ZnS、CdS、ZnCd1−xS化合物であり、ZnSが特に好ましく使用される。上記物質はドープされるかまたは活性化および要すれば更に共活性化(co−activate)されうる。例えば、銅および/またはマンガンがドーピングに使用される。共活性化は、例えば、塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムを用いて行われる。上記物質におけるアルカリ金属および希土類金属の含量は、これらが存在する場合、概して非常に低い。最も特に好ましくは、ZnSが使用され、これは、好ましくは銅および/またはマンガンを用いてドープされるかまたは活性化され、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素および/またはアルミニウムを用いて共活性化される。
【0053】
標準のEL放出光は、黄色、橙色、緑色、緑青色、青緑色および白色であり、放出光白色または赤色は、好適なEL燐光体(顔料)の混合物によってまたは色変換によって得られることができる。色変換は、概して、変換層の形態で、かつ/またはスクリーンプリンティングインクの高分子バインダー中のもしくはEL顔料が組み込まれる高分子マトリックス中の適切な染料および顔料の混合物によって行われる。
【0054】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントを乗物用識別標識において使用する場合、エレクトロルミネッセントアレンジメントが白色を放出することが好ましい。
【0055】
本発明の別の態様において、EL層の製造に使用されるスクリーンプリンティングマトリックスは、グレージング、カラーフィルタリングまたは色変換染料および/または顔料と共に提供される。発光色白色または日中/夜間照明効果は、このようにして得られる。別の態様において、顔料は、420〜480nmの青色波長領域に発光を有し、かつ、色変換マイクロカプセル化を伴って提供されるEL層において使用される。白色は、このようにして放出されうる。
【0056】
一態様において、EL層における顔料として420〜480nmの青色波長領域に発光を有するAC−P−EL顔料が使用される。加えて、AC−P−ELスクリーンプリンティングマトリックスは、好ましくは、ユーロピウム(II)活性化アルカリ土類オルトシリケート発光顔料、例えば(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu2+、またはYAG発光顔料、例えばYAl12:Ce3+またはTbAl12:Ce3+またはSrGaS:Eu2+またはSrS:Eu2+または(Y,Lu,Gd,Tb)(Al,Sc,Ga)12:Ce3+または(Zn,Ca,Sr)(S,Se):Eu2+ベースの波長変換無機微細粒子を含む。白色発光は更にこのようにしても達成されうる。
【0057】
先行技術に対応して、上記EL顔料はマイクロカプセル化されてもよい。無機マイクロカプセル化技術の結果、良好な半減時間が達成されうる。E.I.du Pont de Nemours and CompaniesからのEL用のELスクリーンプリンティングシステムLuxprint(登録商標)を本明細書中で一例として挙げる。有機マイクロカプセル化技術および様々な熱可塑性フィルムベースのフィルム−ラップラミネートもまた原理的に好適であるが、しかしながら、高価であり、かつ、それほど使用期間を伸ばさないことが証明された。
【0058】
好適な硫化亜鉛マイクロカプセル化EL発光顔料は、トウォンダのOsram Sylvania,Inc.から商標名GlacierGLOTM Standard,High Brite and Long Lifeのもとで、およびDurel Division of the Rogers Corporationから商標名1PHS001(登録商標)High−Efficiency Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS002(登録商標)High−Efficiency Blue−Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS003(登録商標)Long−Life Blue Encapsulated EL Phosphor、1PHS004(登録商標)Long−Life Orange Encapsulated EL Phosphorのもとで入手可能である。
【0059】
EL層中の好適なマイクロカプセル化顔料の平均粒径は、概して、15〜60μm、好ましくは20〜35μmである。
【0060】
非マイクロカプセル化微粒EL顔料であって、好ましくは使用期間が長いもの、もまた、既に言及したように、本発明によるELエレメントのEL層において使用されうる。好適な非マイクロカプセル化微粒硫化亜鉛エレクトロルミネッセント発光団は、例えば、US 6,248,261およびWO 01/34723に開示されている。これらは、好ましくは立方晶結晶格子構造を有する。非マイクロカプセル化顔料の平均粒径は、好ましくは、1〜30μm、特に好ましくは2〜15μm、最も特に好ましくは5〜10μmである。
【0061】
特に、顔料寸法が10μm未満の、より小さい非マイクロカプセル化EL顔料も使用されうる。
【0062】
従って、好ましくは、顔料、好ましくはZnS顔料の特別な吸湿特性を考慮すると、非カプセル化顔料が本発明による好適なスクリーンプリンティングインクと混合されうる。この関連で、概して、一方でいわゆるITO層(インジウム錫酸化物層)または本質的に伝導性の高分子透明層に対して良好な接着を有し、他方で、良好な絶縁効果を有し、誘電性を強化し、かつ、それによって高い電場強度における絶縁破壊強さの改良をもたらし、加えて、硬化状態において良好な水蒸気バリア効果を示し、かつ、更にEL顔料を保護し、かつ、使用期間を長くするバインダーが使用される。
【0063】
本発明の一態様において、マイクロカプセル化されていない顔料がAC−P−EL発光層において使用される。
【0064】
エレクトロルミネッセント層における好適な顔料の半減時間、すなわち、本発明によるエレクトロルミネッセントエレメントの初期の明るさが半分に低下する時間、は概して100ボルトおよび80ボルトかつ400Hzにおいて、400時間〜5,000時間、特に1,000時間〜3,500時間である。
【0065】
明るさの値(EL発光)は、概して、1〜200cd/m、好ましくは3〜100cd/m、特に好ましくは5〜40cd/mであり、大きな発光面積で、明るさの値は好ましくは1〜50cd/mである。
【0066】
しかしながら、より長い半減時間またはより短い半減時間およびより高い明るさの値またはより低い明るさの値を有する顔料もまた本発明によるELエレメントのEL層において使用されうる。
【0067】
本発明の別の態様において、非電気的活性化発光構造体の場合にELエレメントが少なくとも部分的に透明であるかまたは透明性を確実にするように形成されるように、EL層中に存在する顔料は、平均粒度が小さいか、またはEL層における充填度が低いか、または個々のEL層が幾何学的に非常に小さく形成されるか、または個々の層の間の間隔が非常に大きく選択される。好適な顔料粒径、充填度、発光エレメントの寸法および発光エレメントの間の間隔にこれまで言及してきた。
【0068】
この層は、上記任意にドープされていてもよいZnS結晶、好ましくは上記のようにマイクロカプセル化されたZnS結晶、を、それぞれペーストの重量に対して、好ましくは40〜90wt.%、より好ましくは50〜80wt.%、特に好ましくは55〜70wt.%の量で含む。1成分および好ましくは2成分のポリウレタンがバインダーとして使用されうる。本発明によるとBayer MaterialScience AG製の高可撓性材料、例えばDesmophenおよびDesmodur系のラッカー原料、好ましくはDesmophenおよびDesmodur、またはBASF AG製のLupranate、Lupranol、PluracolもしくはLupraphen系のラッカー原料が好ましい。溶媒として、エトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ100またはこれらの溶媒2種類以上の任意の混合物が、それぞれペーストの総量に対して、好ましくは1〜50wt.%、好ましくは2〜30wt.%、特に好ましくは5〜15wt.%の量で使用されうる。更に、他の高可撓性バインダー、例えば、PMMA、PVAベースのバインダー、特にKuraray Europe GmbH(現Kuraray Specialties)製のモヴィオール(mowiol)およびポバール(poval)またはWacker AG製のポリビオール(polyviol)、またはPVB、特にKuraray Europe GmbH製のモヴィタール(mowital)(B 20 H、B 30 T、B 30 H、B 30 HH、B 45 H、B 60 T、B 60 H、B 60 HH、B 75 H)、またはWacker AG製のピオロフォーム(pioloform)、特にピオロフォーム BR18、BM18またはBT18が使用されうる。高分子バインダー、例えばPVB、を使用する場合、溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、1−メトキシプロパノール−2、ブチルグリコール、メトキシブタノール、ダウアノール(dowanol)、メトキシプロピルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブトキシル、グリコール酸n−ブチルエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、並びに上記溶媒の2種類以上の混合物もまたペーストの総重量に対して1〜30wt.%、好ましくは2〜20wt.%、特に好ましくは3〜10wt.%の量で添加されうる。
【0069】
加えて、流動性および流れを改良するために添加剤0.1〜2wt.%を含んでもよい。流動性改良剤の例は、ブトキシル中の混合比40:60〜60:40のAdditol XL480である。追加の添加剤として、それぞれペーストの総重量に対して0.01〜10wt.%、好ましくは0.05〜5wt.%、特に好ましくは0.1〜2wt.%のレオロジー添加剤、例えばBYK 410、BYK 411、BYK 430、BYK 431またはこれらの任意の混合物、を含んでもよく、これはペースト中の顔料および充填剤の沈降挙動を低減する。
【0070】
本発明による構成材料BCとしてのEL発光顔料層の製造に特に好ましいプリンティングペーストの配合物は以下のものを含む:
【0071】

【0072】

【0073】

【0074】
別の特に好ましい態様において、エレクトロルミネッセントアレンジメントにおけるエレクトロルミネッセント層は、緑色を発光するエレクトロルミネッセント燐光体およびエレクトロルミネッセント層中に均質に分散される色変換顔料ベースである。この目的に関する好適な色変換顔料は、例えば、日本のシンロイヒ株式会社製の“EL Color Converting Pigments FA−000 Series”である。白色発光が得られるように色変換物質、例えばローダミン、を混合することもまた可能である。エレクトロルミネッセントアレンジメントを乗物用識別プレートにおいて使用する場合、白色領域のエレクトロルミネッセンス発光が特に好ましい。
【0075】
加えて、必要な成形/形成特性を有する全ての市販のELペーストがEL層の製造に使用されうる。特に、Dupont製のペーストシステム、特別にはLuxprint系のペーストシステムが好適である。
【0076】
電極
本発明によるELエレメントは、第1の少なくとも部分的に透明な正面電極BAおよび第2電極、背面電極BEを備える。
【0077】
「少なくとも部分的に透明な」という表現は、本発明との関連で、一般的に60%よりも多く、好ましくは70%よりも多く、特に好ましくは80%よりも多く、特別には90%よりも多くの透過率を有する材料で構成される電極を意味すると理解される。
【0078】
背面電極BEは、必ずしも透明である必要はない。
【0079】
電極用の好適な導電性材料は、当業者に既知である。原則として、いくつかのタイプの電極が交流電圧励起を示す厚フィルムELエレメントの製造に利用可能である。これらとしては、一方でスパッタリングまたは蒸着によってプラスチックフィルムに適用されるインジウム錫酸化物電極(インジウム錫酸化物、ITO)が挙げられる。それらは非常に薄く(数百Å)、比較的低いシート抵抗(約60〜600Ω)と組み合わされた高い透明度の利点を有する。
【0080】
更に、ITOもしくはATO(インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物)を有するプリンティングペーストまたは本質的に伝導性の透明ポリマーペーストを使用して、それによってフラット電極をスクリーンプリンティングによって製造してもよい。厚さ約5〜20μmにおいて、そのような電極は、高いシート抵抗(50kΩ以下)と共に比較的小さな透明度しか有さない。それらは、主として任意の所望の構造形態において適用され、実際、構造化表面にも適用されうる。加えて、それらは、比較的良好なラミナビリティ(laminability)を有する。更に、非ITOスクリーンプリンティング層(用語「非ITO」は、インジウム錫酸化物(ITO)ベースでない全てのスクリーンプリンティング層を含む。)、つまり、通常ナノスケールの導電性顔料を有する本質的に伝導性の高分子層、例えばDuPont製の名称7162Eまたは7164のATOプリンティングペースト、本質的に伝導性の高分子システム、例えばAgfa製のOrgacon(登録商標)システム、H.C.Starck GmbH製のBaytron(登録商標)ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)システム、Ormeconシステムと呼ばれる有機金属(PEDT伝導性ポリマーポリエチレン−ジオキシチオフェン)、Panipol OY製の伝導性コーティングまたはプリンティングペーストシステムを、任意に高可撓性バインダー、例えばPU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)、または変性ポリアニリンベースの高可撓性バインダーを伴って、使用してもよい。好ましくは、H.C.Starck GmbH製のBaytron(登録商標)ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)システムをエレクトロルミネッセントエレメントの少なくとも部分的に透明な電極の材料として使用する。導電性ポリマーフィルムの例は、金属酸化物充填剤を伴っていてもいなくてもよいポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール(Handbook of Conducting Polymers,1986年)である。
【0081】
本発明によると、それぞれプリンティングペーストの総重量に対して、10〜90wt.%、好ましくは20〜80wt.%、特に好ましくは30〜65wt.%、のClevios P、Clevios PH、Clevios P AG、Clevios P HCV4、Clevios P HS、Clevios PH 500、Clevios PH 510またはそれらの任意の混合物が、少なくとも部分的に透明な電極BAの製造用のプリンティングペーストの配合物に好ましく使用される。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水または上記化合物の2種、3種類もしくはそれ以上の混合物が溶媒として使用されうる。溶媒の量は、プリンティングペーストにおいて幅広い範囲で変わる。例えば、本発明によるペーストのある配合物は、溶媒55〜60wt.%を含み、本発明による別の配合物においては2種類以上の物質の溶媒混合物約35〜45wt.%が使用される。更に、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604および/またはこれらの物質2種類以上の混合物を界面活性添加剤および結合活性剤として含んでもよい。これらの物質の量は、0.1〜5.0wt.%、好ましくは0.3〜2.5wt.%である(プリンティングペーストの総重量に対する。)。
【0082】
結合剤として、配合物は、例えば、Bayderm Finish 85 UD、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらの任意の混合物を、好ましくは約0.5〜10wt.%、好ましくは3〜5wt.%の量で含みうる。本発明によって使用されるポリウレタン分散体であって、層の乾燥後に伝導性層用バインダーを形成する分散体は、好ましくは水性ポリウレタン分散体である。
【0083】
本発明によると、部分的に透明な電極BAの製造用のプリンティングペーストの特に好ましい配合物は以下のものを含む:
【0084】

【0085】

【0086】
部分的に透明な電極BA用に上記配合物から出発して、一例として、本明細書中で言及した以下の使える状態の市販のプリンティングペーストを本発明によって完成配合物として使用してもよい:Agfa製のOrgacon EL−P1000、EL−P3000、EL−P5000またはEL−P6000系列、好ましくはEL−P3000およびEL−P6000系列(特に成形可能な使用用。)。
【0087】
これらの電極材料を、例えばスクリーンプリンティング、ナイフコーティング、スパッタリング、スプレーイングおよび/またはブラッシングによって対応キャリア材料(基材)上に適用し、次に好ましくは低温、例えば80〜120℃において乾燥してもよい。
【0088】
更に、酸化錫(NESA)ペーストを更に対応電極材料として使用してもよい。
【0089】
好ましい代わりの態様において、導電性コーティングの適用を、真空中でまたは熱分解によって行う。
【0090】
特に好ましくは、代わりの態様において、導電性コーティングは、真空中でまたは熱分解によって製造される金属または金属酸化物の、薄く、かつ、十分に透明な層であって、好ましくはシート抵抗が5mΩ〜3,000Ω/スクエア、特に好ましくはシート抵抗が0.1〜1,000Ω/スクエア、最も特に好ましくは5〜30Ω/スクエアであり、かつ、更に好ましい態様において、昼光透過率が少なくとも60%よりも高く(60〜100%)、特に76%よりも高い(76〜100%)。
【0091】
更に、導電性ガラスもまた電極として使用されうる。
【0092】
特に好ましいタイプの導電性高透明性ガラス、特にフロートガラス、は、高い表面硬度を有し、かつ、表面電気抵抗が概して数ミリオームから3,000Ω/スクエアまでの非常に広い範囲で調節されうる熱分解によって製造される層である。
【0093】
そのような熱分解によってコートされるガラスは、容易に成形/形成され、かつ、良好な耐引掻き性を有し、特にスクラッチは、導電性表面層の電気の遮断をもたらさず、概してシート抵抗のわずかな増加をもたらすだけである。
【0094】
更に、熱分解によって製造される伝導性表面層は、熱処理に起因して、次の材料適用においてガラス基材に対する非常に高い接着が生成するように広範囲に拡散され、かつ、表面に固定され、このことは同様に本発明に非常に有利である。加えて、そのようなコーティングは均質性が良好であり、従って、広い表面積全体にわたって表面抵抗のばらつきがわずかである。この特性は、同様に本発明に有利である。
【0095】
導電性であり、かつ、透明性の高い薄層は、実質的により有効かつ費用対効果がよくガラス基材上に製造され、これは高分子基材、例えばPET、PMMAまたはPC、よりも好ましく本発明に使用される。ガラスコーティングの場合、シートの電気抵抗は、同等の透明度の高分子フィルムの電気抵抗よりも平均で10倍有利であり、例えばPETフィルムにおける30〜100Ω/スクエアと比較してガラス層の場合3〜10Ω/スクエアである。
【0096】
背面電極構成材料BEは、−少なくとも部分的に透明な電極の場合のように−フラット電極であるが、透明であったり少なくとも部分的に透明であったりする必要がない。これは、概して、存在する場合、絶縁層に適用される。絶縁層が存在しない場合、背面電極は、電場によって励起される少なくとも1種類の発光物質を含む層に適用される。代わりの態様において、背面電極は基材Aに適用される。
【0097】
背面電極は、概して、無機または有機物質ベースの導電性材料から、例えば金属、例えば銀、から形成され、好ましくは静水高圧形成プロセスを使用して本発明による3次元形成シートエレメントを製造する場合にダメージを受けない材料が使用される。好適な電極としては、更に、特に高分子導電性コーティングも挙げられる。この場合、少なくとも部分的に透明な電極との関連で既に言及されているコーティングが使用されうる。
【0098】
更に、少なくとも部分的に透明でない当業者に既知の高分子導電性コーティングを用いてもよい。
【0099】
背面電極用プリンティングペーストの配合物は、この関連で、部分的に透明な電極の配合物と一致してもよい。
【0100】
しかしながら、この配合物とは異なって、本発明によって以下の配合物を背面電極に使用してもよい。
【0101】
それぞれプリンティングペーストの総重量に対して30〜90wt.%、好ましくは40〜80wt.%、特に好ましくは50〜70wt.%、の伝導性ポリマーClevios P、Clevios PH、Clevios P AG、Clevios P HCV4、Clevios P HS、Clevios PH、Clevios PH 500、Clevios PH 510またはそれらの任意の混合物を背面電極製造用プリンティングペースト配合物に使用する。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水またはこれらの溶媒の2種類、3種類もしくはそれ以上の混合物を溶媒として使用してもよい。使用される溶媒の量は、広い範囲で変わりうる。従って、本発明によるペーストの1つの配合物は、溶媒55〜60wt.%を含み、本発明による別の配合物において、3種類の溶媒の溶媒混合物約40wt.%が使用される。更に、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604またはこれらの物質の2種類以上の混合物が、界面活性添加剤および結合活性剤として、好ましくは0.7〜1.2wt.%の量で使用されうる。配合物は、バインダーとして、例えばUD−85、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらの任意の混合物を0.5〜1.5wt.%含みうる。
【0102】
本発明による別の態様において、背面電極はグラファイトで充填されていてもよい。これは、グラファイトを上記配合物に添加することによって達成されうる。上記背面電極用配合物とは異なり、一例として本明細書中で既に言及した以下の使える状態の市販のプリンティングペーストを本発明に従って使用してもよい:Agfa製のOrgacon EL−P1000、EL−P3000、EL−P5000またはEL−P6000系列、好ましくはEL−P3000およびEL−P6000系列(成形可能な使用用。)。この場合、更にグラファイトを添加してもよい。
【0103】
Orgacon EL−P4000系列のプリンティングペースト、特にOrgacon EL−P4010およびEL−4020、もまた特に背面電極に使用されうる。両方が任意の所望の比で互いに混合されてもよい。Orgacon EL−P4010およびEL−4020は既にグラファイトを含んでいる。
【0104】
商業的にも得られるグラファイトペースト、例えばAcheson製のグラファイトペースト、特にElectrodag 965 SSまたはElectrodag 6017 SS、は背面電極としても使用されうる。
【0105】
背面電極BEの製造用の本発明によるプリンティングペーストの特に好ましい配合物は、以下のものを含む:
【0106】

【0107】

【0108】
本発明との関連で、本質的に伝導性のポリマーを電極材料として使用することも可能である。本質的に伝導性のポリマーから形成される対応電極のシート抵抗は、概して、100〜2000Ω/スクエア、特に好ましくは200〜1500Ω/スクエア、特に200〜1000Ω/スクエア、特別には300〜600Ω/スクエアであるべきである。
【0109】
加えて、上記導電性材料は、キャリア材料として形成される基材に適用されうる。金属ホイル、金属層および熱可塑性樹脂フィルムが例えばキャリア材料として好適である。
【0110】
背面電極は、−少なくとも部分的に透明なカバー電極の場合のように−フラット電極であるが、透明であったり少なくとも部分的に透明であったりする必要がない。この電極は、概して、無機または有機ベースの導電性材料、例えば金属、例えば銀、で構成される。好適な電極は、更に、特に高分子導電性コーティングである。この関連で、少なくとも部分的に透明なカバー電極との関連で既に上で言及したコーティングを使用してもよい。加えて、当業者に知られており、少なくとも部分的に透明でない高分子導電性コーティングを使用してもよい。
【0111】
従って、好適な背面電極の材料は、好ましくは金属、例えば銀、炭素、ITOシルクスクリーンプリンティング層、ATOシルクスクリーンプリンティング層、非ITOシルクスクリーンプリンティング層、言い換えると標準的にナノスケールの導電性顔料を含む本質的に伝導性の高分子システム、例えばDuPont製の参考識別(reference identification)7162Eまたは7164を有するATOシルクスクリーンプリンティングペースト、本質的に伝導性のポリマーシステム、例えばAgfa製のOrgacon(登録商標)System、H.C.Starck GmbH製のBaytron(登録商標)ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)システム、Ormeconと呼ばれる有機金属からのシステム(PEDT伝導性ポリマーポリエチレン−ジオキシチオフェン)、Panipol Oy製の導電性コーティングおよびプリンティングインクシステムからなる群から選択され、かつ、任意に高可撓性バインダー、例えばPU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)または変性ポリアニリンベースのバインダー、を有していてもよく、導電性を改良するために、これらの材料に、金属、例えば銀、または炭素が、添加されてもよく、かつ/または、層として組み込まれてもよい。
【0112】
更に、カバー電極BAがナノ構造を有する粒子を含むことが可能である。
【0113】
背面電極BEがナノ構造を有する粒子を含むことも可能である。
【0114】
第3の形態において、カバー電極BAと背面電極BEの両方がナノ構造を有する粒子を含む。
【0115】
本発明の範囲内で、用語「ナノ構造を有する粒子」は、シングルウォール・カーボンナノチューブ(SWCNT)、マルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNT)、ナノホーン、ナノディスク、ナノコーン(すなわち、円錐形ジャケットを有する構造体)、金属ナノワイヤーおよび上記粒子の組み合わせからなる群から選択されるナノスケール材料構造体を意味すると理解される。炭素ベースのナノ構造を有する対応粒子は、例えば、カーボンナノチューブ(シングルウォールおよびマルチウォール)、カーボンナノファイバー(ヘリンボン、プレートレットタイプ、スクリュータイプ)などからなる。
【0116】
これらのシングルウォール・カーボンナノチューブの製造は当業者に既知であり、先行技術における対応プロセスが参照されうる。これらとしては、例えば、触媒化学気相蒸着CCVDが挙げられる。
【0117】
これらの方法は、しばしば、直径、長さ、キラリティおよび電子特性に関して異なるフラクション(fractions)を製造する。それらは、束の形態で生じ、しばしば無定形炭素の部分と混合されている。SWCNTはこれらのフラクションから分離される。
【0118】
これまでSWCNTに関して知られている分離方法は、ジアゾニウム塩で処理された金属SWCNTにおける電子移動効果ベース、誘電泳動ベース、半導体カーボンナノチューブのオクタデシルアミンに対する特定の化学親和力ベース、および一本鎖DNAでカバーされたカーボンナノチューブベースである。これらの方法の選択性は、更に、予め処理された分散体の激しい遠心分離およびイオン交換クロマトグラフィの使用によっても改良されうる。本発明との関連で、好ましくは純粋なフラクションのシングルウォール・カーボンナノチューブが使用される。すなわち、直径、長さ、キラリティおよび電子特性からなる群から選択されるパラメータの観点から違いが50%以下、特に好ましくは40%以下、特に30%以下、特別には20%以下、最も特別には10%以下のシングルウォール・カーボンナノチューブのフラクションが使用される。
【0119】
金属ナノワイヤーに関しては、WO 2007/022226 A2参照。そこに開示されているナノワイヤーに関する開示を参照することによって本発明に組み込む。WO 2007/022226 A2に記述されている、高導電性であり、かつ、十分に透明な銀ナノワイヤーが本発明に特に好適である。
【0120】
ナノ構造を有する別の粒子の製造は当業者に既知であり、先行技術の関連書類に記述されている。
【0121】
伝導性トラック、電極の接続
発光コンデンサ構造体を有する大面積発光エレメントの場合、表面伝導性は、均一発光密度に関して重要な役割を果たす。大面積発光エレメントの場合、特に比較的大きな電流が流れる半導体LEP(発光ポリマー)、PLEDおよび/またはOLEDシステムで、伝導性トラック、すなわち、構成材料BF、としていわゆる母線(busbar)がしばしば使用される。この場合、非常に高導電性のトラックが交差によって形成される。このようにして、大きな表面積が、例えば、4つの小さなエリアに細分される。発光表面の中間領域における電圧降下は、それによって大きく減少し、発光密度の均一性および発光領域の中心における輝度の低下が小さくなる。
【0122】
硫化亜鉛の場合、本発明による一態様において用いられる特定のEL場、概して、100ボルトよりも大きく、200ボルト以下の交流電圧、が印加され、良好な誘電材料または良好な絶縁体が用いられる場合、非常に低い電流が流れる。従って、本発明によるZnS厚フィルムAC−ELエレメントの場合、電流負荷の問題は半導体LEPまたはOLEDシステムの場合よりも実質的に小さく、母線の使用は必要不可欠ではなく、代わりに、母線を使用せずに大面積発光エレメントを取り付けていてもよい。
【0123】
好ましくは、本発明によると、DIN A3よりも小さな面積で銀母線が電極層BAまたはBEのエッジのみにプリントされる場合、十分であり、DIN A3よりも大きな面積では、本発明によると銀母線が少なくとも1つの追加の伝導性トラックを形成する場合が好ましい。
【0124】
電気接続は、例えば、錫、亜鉛、銀、パラジウム、アルミニウムおよび別の好適な伝導性金属、またはそれらの組み合わせおよび混合物もしくは合金を含む導電性かつ加熱処理可能な(stovable)ペーストを使用することによって製造されうる。
【0125】
この関連で、導電性接触ストリップを、一般的に、スクリーンプリンティング、ブラシ適用、インクジェット、ナイフコーティング、ローラー適用、スプレーイングによって、またはディスペンサー適用もしくは当業者に既知の類似の適用方法によって、導電性かつ少なくとも部分的に透明な薄いコーティングに適用し、次に、基材のエッジに沿って横方向に標準的に適用されたストリップがハンダ、クランピングもしくはプラグイン接続によって効果的に導電的に接触するように、オーブンにおいて一般的に熱処理する。
【0126】
非常に小さな電気出力しか導電性コーティングに引き起こされる必要がない場合、バネ接触または炭素充填ゴムエレメントまたはいわゆるゼブラゴムストリップ(zebra rubber strips)が十分である。
【0127】
銀、パラジウム、銅または金充填ポリマー接着剤ベースのペーストが伝導性接着剤ペーストとして好ましく使用される。例えばz方向に導電性接着剤を有する錫めっき銅ホイルの、粘着性導電性ストリップも同様に接触圧によって適用されうる。
【0128】
この場合、接着層は、一般的に、数N/cmの表面圧力を加えることによって均一にプレスされ、それによって、実施に依存して、0.013オーム/cm(例えば、A−8451ハイムシューのD & M International社製の伝導性銅ホイルテープVE 1691)または0.005オーム(例えば、米国テキサス州オースティンの3M Electrical Products Division製のテープ1183;MIL−STD−200 Method 307に従って、5psi/3.4N/cmに維持して1平方インチの表面積にわたって測定。)または0.001オーム(例えば、3M社製のテープ1345)または0.003オーム(例えば、Holland Shielding Systems BV社製のテープ3202)の値が達成される。
【0129】
しかしながら、接触は、当業者に既知のあらゆる常套の方法、例えばクリンピング(crimping)、プラグイン、クランピング、リベッティングまたはボルト締め/ねじ止め(screwing)、によって行われうる。
【0130】
誘電層
本発明によるELエレメントは、好ましくは、少なくとも1つの誘電層(構成材料BD)であって、背面電極(構成材料BE)とEL層(構成材料BC)との間に提供される誘電層を備える。
【0131】
好適な誘電層は当業者に既知である。好適な層は、しばしば、高誘電作用パウダー、例えばチタン酸バリウム、を含み、これは好ましくはフルオレン含有プラスチックまたはシアノベースの樹脂に分散されている。特に好適な粒子の例は、好ましくは1.0〜2.0μmの範囲の、チタン酸バリウム粒子である。これらは、高充填度で、100以下の比誘電率を生じうる。
【0132】
誘電層の厚さは、一般的に、1〜50μm、好ましくは2〜40μm、特に好ましくは5〜25μm、特別には8〜15μmである。
【0133】
本発明によるELエレメントは、一態様において、更に別の誘電層も含んでもよく、これらの層は互いの上に配置され、共に絶縁効果を改良するか、または、別の誘電層はフローティング電極層(floating electrode layer)によって隔てられる。第2の誘電層の使用は、第1の誘電層の品質およびピンホール自由度に依存しうる。
【0134】
充填剤として、無機絶縁材料が使用され、これらは文献で当業者に知られており、例えば以下のものが挙げられる:BaTi、SrTiO、KNbO、PbTiO、LaTaO、LiNbO、GeTe、MgTiO、Bi(TiO、NiTiO、CaTiO、ZnTiO、ZnTiO、BaSnO、Bi(SnO、CaSnO、PbSnO、MgSnO、SrSnO、ZnSnO、BaZrO、CaZrO、PbZrO、MgZrO、SrZrO、ZnZrOおよび鉛ジルコネート−チタネート混合晶またはこれらの充填剤の2種類以上の混合物。本発明による好ましい充填剤は、BaTiOまたはPbZrOまたはそれらの混合物、好ましくは絶縁層を製造するために使用されるペースト中に、それぞれペーストの総重量に対して充填量5〜80wt.%、好ましくは10〜75wt.%、特に好ましくは40〜70wt.%である。特に好適な粒子の例は、好ましくは1.0〜2.0μmの、チタン酸バリウム粒子である。これらは、高充填度で、100以下の比誘電率を生じうる。
【0135】
1成分または好ましくは2成分ポリウレタンシステムがこの層のバインダーとして使用されうる。好ましくはBayer MaterialScience AGから入手可能なシステム、特に好ましくはDesmodurおよびDesmophenまたはBASF AG製のLupranate、Lupranol、PluracolもしくはLupraphen系列のラッカー原料;Degussa AG(Evonik)製の、好ましくはvestanate、特に好ましくはvestanate TおよびB;またはDow Chemical Company製の、好ましくはvorastarである。更に、高可撓性バインダーも使用されうる。例えばPMMA、PVA、特にKuraray Specialties Europe GmbH製のmowiolおよびpovalもしくはWacker AG製のpolyviol、またはPVB、特にKuraray Specialties Europe GmbH製のmowital(B 20 H、B 30 T、B 30 H、B 30 HH、B 45 H、B 60 T、B 60 H、B 60 HH、B 75 H)、もしくはWacker AG製のpioloform、特にpioloform BR18、BM18またはBT18ベースの高可撓性バインダーである。特にフルオレン含有プラスチックまたはシアノベースの樹脂もまたバインダーマトリックスとして使用されうる。
【0136】
溶媒として、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、1−メトキシプロピルアセテート−2、トルエン、キシレン、solvesso 100、shellsol Aまたはこれらの溶媒の2種類以上の混合物が使用されうる。例えばPVBをバインダーとして使用する場合、ペーストは、更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、1−メトキシプロパノール−2、ブチルグリコール、メトキシブタノール、ダウアノール、メトキシプロピルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブトキシル、グリコール酸n−ブチルエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、並びに上記溶媒の2種類以上の混合物、ペーストの総重量に対して1〜30wt.%、好ましくは2〜20wt.%、特に好ましくは3〜10wt.%も含みうる。更に、特性を改良するために添加剤、例えば流動性改良剤およびレオロジー添加剤、を添加してもよい。流動性改良剤の例は、混合比40:60〜60:40のブトキシル中のAdditol XL480である。ペーストは、別の添加剤を、いずれの場合もペーストの総重量に対して、0.01〜10wt.%、好ましくは0.05〜5wt.%、特に好ましくは0.1〜2wt.%含んでもよい。ペースト中の顔料および充填剤の沈降挙動を低減させるレオロジー添加剤として、例えば、BYK 410、BYK 411、BYK 430、BYK 431またはこれらの任意の混合物が使用されうる。
【0137】
構成材料BBおよび/またはBDとしての本発明による絶縁層の製造に関するプリンティングペーストの特に好ましい配合物は、以下のものを含む:
【0138】

【0139】

【0140】

【0141】
カバー層
構成材料AおよびBに加えて、本発明によるELエレメントは、エレクトロルミネッセントエレメントまたは場合によっては存在するグラフィカル表示の破壊を防ぐために、保護層(構成材料CA)を含む。保護層に好適な材料は当業者に既知である。好適な保護層CAは、例えば、耐高温保護ラッカー、例えばポリカーボネートおよびバインダーを含む保護ラッカー、である。そのような保護ラッカーの例は、ヴァイセンブルクのProell製のNoriphan(登録商標)HTRである。
【0142】
代わりに、保護層は、更に可撓性ポリマー、例えばポリウレタン、PMMA、PVAまたはPVB、ベースで配合されてもよい。Bayer MaterialScience AG製のポリウレタンがこの目的に使用されうる。この配合物は、更に充填材とともに提供されてもよい。当業者に既知のあらゆる充填剤がこの目的に好適である。例えば無機金属酸化物、例えばTiO、ZnO、リトポンなど、がプリンティングペーストに対して10〜80wt.%の充填度、好ましくは20〜70wt.%の充填度、特に好ましくは40〜60%の充填度で提供される。更に、この配合物は、流動性改良剤並びにレオロジー添加剤、を含んでいてもよい。溶媒として、例えば、エトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ100またはこれらの溶媒の2種類以上の混合物が使用されうる。
【0143】
本発明によると、保護ラッカーCAの特に好ましい配合物は、例えば、以下のものを含む:
【0144】

【0145】

【0146】
基材
本発明によるELエレメントは、それぞれの電極の片側または両側に基材、例えばガラス、プラスチックフィルムなどを備えうる。
【0147】
本発明によるELエレメントにおいて、少なくとも、透明電極と接触している基材がグラフィカルにガラス質で半透明にデザインされ、かつ、内側を不透明にカバーしていると好ましい。不透明カバーデザインは、信号を発する目的で高解像度グラフィカルデザインによって不透明にカバーされ、かつ/または(例えば赤−緑−青という点で)ガラス質に半透明に形成されている大面積のエレクトロルミネッセンス領域を意味すると理解される。
【0148】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、背面電極BEを通じて背面基材、例えばアルミニウム基材、に適用されうる。この関連で、エレクトロルミネッセントアレンジメントは、背面電極に適用される接着層を通じて基材に接続されうる。
【0149】
本発明の更なる態様において、本発明によるELアレンジメントにおいて、保護ラッカーの層が基材と背面電極との間に提供されうる。保護ラッカーの層が本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントに提供される場合、保護ラッカーの層に適用される接着層を通じてエレクトロルミネッセントアレンジメントが対応基材に接続されうる。
【0150】
常温硬化接着システム並びに高温硬化接着システムが接着システムとして使用されうる。
【0151】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて用いられる接着システムは、1成分システムとして、並びに2成分システムとして配合されうる。
【0152】
接着システムは、1つの変形において、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、PVCまたは熱可塑性ウレタンエラストマーを含有するシステムベースでありうる。これらの中で、熱可塑性ウレタンエラストマーベースの接着システムが特に好ましい。
【0153】
従って、特別な態様において、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)ベースの接着システムが、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの結合に使用される。
【0154】
接着システムは、フィルムとして配合されうる。すなわち、接着システムは、フィルムの形態で使用されうる。この態様は、簡素化されたフィルムの取り扱いのために、対応するELシステムの製造を簡素化する。
【0155】
フィルムとして形成された接着層用の材料の例としては、商標Dureflex(登録商標)、Platilon(登録商標)および/またはWalopur(登録商標)で知られているフィルムが挙げられ、これらは熱可塑性ウレタンエラストマーベースである。
【0156】
対応するフィルムベースの接着システムを使用する場合、フィルムをキャリアフィルムと共に使用してもよい。この場合、フィルムの形態の接着層の厚さは0.01〜2mm、特に好ましくは0.02〜0.5mm、特別には0.15〜0.40mmである。
【0157】
別の基材(カバー基材)を本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおけるカバー電極BA上に提供してもよい。
【0158】
カバー基材は、同様に、上記接着システムを使用して本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントに固定される。ここでも、熱可塑性ポリウレタンエラストマーベースのシステムが好ましい。
【0159】
本発明によるアレンジメントによって生じるエレクトロルミネッセンスはカバー基材を通して発光するので、カバー基材が透明になるように形成されることが好ましい。
【0160】
本発明の変形において、カバー基材は上部、すなわち、エレクトロルミネッセントアレンジメントの外側を向く面、がマットであってもよい。
【0161】
加えて、透明電極BAと接触する基材がガラス転移温度Tg未満で常温延伸加工可能なフィルムであることが好ましい。このようにして、好ましくは応力白化がない、得られるELエレメントの3次元加工の可能性が提供される。
【0162】
更に、背面電極BEと接触する基材が、同様に、Tg未満で常温延伸加工可能なフィルムであることが好ましい。このようにして、好ましくは応力白化がない、得られるELエレメントの3次元加工の可能性が提供される。
【0163】
従って、ELエレメントは3次元加工可能であり、曲率半径は2mm未満、好ましくは1mm未満になりうる。この関連で、ワーキングアングル(working angle)は60°よりも大きく、好ましくは75°よりも大きく、特に好ましくは90°よりも大きく、特別には105°よりも大きい。
【0164】
更に、ELエレメントが3次元加工可能であり、特にTg未満で常温延伸加工可能であり、かつ、このようにして精密加工3次元成形を受ける場合が好ましい。
【0165】
3次元加工エレメントは、射出成形用金型において熱可塑性材料を用いて少なくとも片側に成形されうる。
【0166】
本発明によるELエレメントの製造
標準的に上で言及したペースト(スクリーンプリンティングペースト)を透明プラスチックフィルムまたはガラスに適用し、次にこれがほぼ透明な導電性コーティングを構成し、それによって視覚表示側の電極を形成する。次に、誘電材料(存在する場合)および背面電極をプリンティング技術および/またはラミネーション技術によって得る。
【0167】
しかしながら、逆の製造プロセスもまた可能であり、逆の製造プロセスにおいては、まず最初に金属化フィルムの形態で背面電極を製造するかまたは背面電極を使用し、この電極に誘電材料を適用する。次に、EL層およびこれに続いて透明でかつ導電性の上部電極を適用する。次に得られるシステムを任意に透明カバーフィルムでラミネート化し、それによって水蒸気に対して、かつ、更に機械的ダメージに対して保護してもよい。
【0168】
本発明の一態様において、伝導性トラック(銀母線)が、第1の層として基材Aに適用されうる。しかしながら、本発明によると、伝導性トラックは、好ましくは電極BAおよびBEに適用され、2つの加工段階においてそれぞれ個々に電極に適用されるか、または、1つの加工段階において共同で電極に適用される。
【0169】
EL層は、標準的には、スクリーンプリンティングまたはディスペンサー適用またはインクジェット適用を用いるプリンティング技術、またはナイフコーティング手順またはローラーコーティング法またはカーテンキャスティング法(curtain casting method)または転写法によって適用されるが、好ましくはスクリーンプリンティングを用いて適用される。EL層は、好ましくは、電極の表面に適用されるかまたは任意に背面電極に適用されてもよい絶縁層に適用される。これに続いて、一般的に、少なくとも2つの交流電圧供給リードが、フラット電極の少なくとも一方の互いに間隔を開けて配置される2つの地点に取り付けられる。
【0170】
本発明によるELアレンジメントの別の形態
少なくとも2つのEL層を使用することによって、異なるエレクトロルミネッセント燐光顔料を含む隣接して配置されたエレクトロルミネッセント層を少なくとも2つ選択することによって、位置的におよび波長が異なる発光場を生じることも更に可能である。
【0171】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、交流電圧周波数が200Hzから1,000Hzを上回るまで範囲のエレクトロルミネッセンス電圧源によって作動されうる。この関連で、コーディングがこのようにして機械によって、例えば光電子センサを用いてまたはカメラを用いて、照合されうるように、数Hzの範囲のコーディングを生じてもよい。更に、例えば、自動車識別標識の有効性またはライセンスおよび別のセキュリティ関連特性の有効性もそれによってチェックされうる。
【0172】
本発明は、更に、屋内におけるかまたは屋外使用、好ましくは建物の屋外ファサード、設備、装置、陸上車、航空機、水上乗物、電気もしくは電子デバイス、または広告分野における使用、用の装飾エレメントおよび/または発光エレメントとしての、上記のようなエレクトロルミネッセントアレンジメントの使用も提供する。
【0173】
この関連で、エレクトロルミネッセントアレンジメントは、視覚的に信号を発するエレメントとしてデザインされ、ここで、電圧レベル、電圧差、周波数および/または周波数差は、音楽音源の大きさのレベルおよび周波数応答によって、かつ/または電子、感覚および/もしくはコンピュータ制御された調節によって制御され、かつ、調整される。
【0174】
更に、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、組み合わされた安全ガラスエレメントとしてまたは絶縁ガラスエレメントとしてデザインされうる。
【0175】
従って、エレクトロルミネッセントアレンジメントは、測定可能かつ/または感覚的に検出可能な量、特に、ノイズ、スモーク、振動、速度、大気湿度および/または温度、に関する視覚的インジケータとして使用されうる。
【0176】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、特に自己発光自動車識別標識の構成要素として好適である。しかしながら、この目的に関して、対応自動車識別標識番号を有する自動車識別標識を提供するためにエレクトロルミネッセントアレンジメントが加工工程を受けることが必要である。これは、一般的に、対応する活字および数字がナンバープレートから前方へ押し出されるようにナンバープレートの背面から施行される加工工程によって行われる。従って、この領域は黒い不透明体にされうる。
【0177】
しかしながら、このエンボスで、電極コーティングにクラックが生じるという問題が発生しうる。この結果として、電極の伝導性は、制限されるかまたは更に部分に遮断される。
【0178】
更に、電力供給に起因する過負荷がある場合、このことは本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントのカバー電極および/または背面電極の破壊をもたらしうる。
【0179】
本発明は、好ましくは金属グリッドをそれぞれの電極に組み込むので、この問題を包括的に解決する。従って、本発明の特別な態様において、少なくとも1つの電極、背面電極BEまたはカバー電極BAのいずれか、が金属グレーチングまたはグリッドを含むことが想定される。金属グレーチングまたはグリッドは、−(常套の)電極それ自体とは対照的に−より容易に3次元加工可能であり、金属グレーチングまたはグリッドの伸張性のために、破壊する頻度が著しく少なく、概して、議論しているタイプのエレクトロルミネッセントアレンジメントに一般的に必要でない著しく大きな作用のもとでのみ破壊し、乗物識別標識の構成部品として使用する場合、破壊する頻度が著しく少ない。
【0180】
この関連で、金属グリッドは、直交ストランドまたは交差ストランドを有する金属グリッドインレイであってもよい。
【0181】
更に、金属グリッドは、別の形態において、直交するワープ・ストランド(warp strands)とウェフト・ストランド(weft strands)とからなる。
【0182】
金属グリッドは、一般的に、異種金属を使用して製造されうる。従って、金属グリッドが銀、銅、金、白金、黄銅、鉄およびニッケルからなる群から選択される実質的に1種類の金属からなることが可能である。金属グリッドが実質的に銀からなる場合が特に好ましい。導電率に依存して、導体の厚さは5μm〜2mm、好ましくは10〜200μmである。グリッドは、チェスボードパターンの形態であっても、ヘア・ワイヤ(hare wire)の形態であっても、任意の別の形状であってもよい。
【0183】
電極材料の導電性が遮断される場合、−遮断のタイプおよび理由とは無関係に−この場合、電極の導電性は追加の金属グリッドによって維持され続けうる。従って、ダメージの場合においても、機能モジュールは、能力が実質的に影響を受けずに作動しうる。それによって疲労特性が改良される。
【0184】
本発明の別の変形において、議論中のタイプのエレクトロルミネッセントアレンジメントにおける対応金属グリッドの使用を主張する。ここで、意図される用途は、エレクトロルミネッセントアレンジメントの加工に起因する電極の導電性の断絶(破損)のブリッジングにある。
【0185】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの電極の接触は様々な方法で行われうる。
【0186】
従って、本発明の第1の態様において、背面電極および/またはカバー電極を電力供給リードによって接触させることが可能である。それぞれの電力供給リードは、好ましくは、エレクトロルミネッセンス場の外側に配置され、好ましくは全EL表面にわたって均一なEL発光をもたらすように形成される。母線としてデザインされるこの電力供給リードに関して、局所電流密度をできるだけ小さく保つために、できるだけ大きな面積にわたってカバー電極および背面電極に流れる交流電流を供給することが都合がよい。そうでなければ、厚みの小さい背面電極およびカバー電極に関して、高すぎる電流密度に関する燃焼または気化に起因する少なくとも局所的なダメージの危険がある。
【0187】
対応母線は、伝導性の高いプリンティングペーストによって形成されうる。これらのペーストは、例えば、不透明な銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペーストである。好適なプリンティングペーストは、シート抵抗に関して基本的にいずれの制限も受けない。しかしながら、標準的に、それらのシート抵抗は、10mΩ/スクエア未満から数百mΩ/スクエアまでである。
【0188】
特に、表面積および相互間隔が大きく、かつ、比較的抵抗の高い透明電極層で、均一EL発光のために母線を使用することが好適である。
【0189】
一形態において、背面電極BE用の母線は、背面電極BEと下記別の保護ラッカーとの間に提供される。
【0190】
一形態において、カバー電極BA用の母線は、カバー電極BAとカバー基材との間に提供される。
【0191】
母線は、例えば、接触ストリップによって対応エレクトロルミネッセンスコンバータ(インバータ)に接続されうる。
【0192】
対応導電性ストリップは、一般的に、スクリーンプリンティング、ブラシ塗布(brush application)、インクジェット、ナイフコーティング、ローラーを用いて、スプレーによってまたはディスペンサー塗布(dispenser application)または当業者に既知の類似の塗布方法を用いて、導電性でかつ少なくとも部分的に透明な薄いコーティングに塗布され、次に、標準的に基材エッジに沿って外側に塗布されるストリップが、ハンダ、クランピング(clamping)、クリンピング(crimping)、リベッティング、結合またはプラグイン接続を用いて良好に電気を通す方法で接触するように、一般的にオーブンにおいて熱処理されうる。
【0193】
本発明の特別な態様において、背面電極および/またはカバー電極の接触は、更に、場合によっては母線を通じて直接、背面において接触エレメントを通して背面基材まで行われうる。この場合、エレクトロルミネッセントアレンジメントに少なくとも2つの電気接触用のくぼみが層構造の方向に垂直に提供される。例えばスクリューコネクション(screw connection)、リベットコネクション(rivet connection)または鋸歯状コネクション(sawtooth−shape connection)の形態の、接触エレメントを、ポジティブロッキングの方法(positive locking manner)でこれらのくぼみに挿入する。接触エレメントは、これらの接触エレメントを通じて対応するカバー電極と背面電極とに電気接触があるようにデザインされる。このそれぞれの電極との接触は、更に、既に上に記述した利点を伴って既に記述した介在して接続される母線を通じてももたらされうる。従って、電力供給が、接触エレメント/電極接触部位においてのみではなく、母線/電極接触部位における大きい面積にわたっても行われるので、このことは特に好ましい。
【0194】
この態様における本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて提供されるくぼみは、好ましくは、エレクトロルミネッセントアレンジメントのエッジ領域に形成される。
【0195】
エレクトロルミネッセントアレンジメントの機械的固定もまた対応接触エレメントを通じて可能である。
【0196】
このタイプの本発明による特に好ましい接触を、本発明に関連する図に、より詳細に記述する。
【0197】
背面電極および/またはカバー電極の接触の精密な性質とは無関係に、これらの接続は、エレクトロルミネッセンスインバータ(コンバータ)に接続される。
【0198】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントが乗物における自己発光識別標識として使用される場合、この電力供給は乗物の電気回路によって提供されうる。
【0199】
この関連で、乗物の運転手がそれぞれの照明条件とは無関係に、かつ、エレクトロルミネッセンス機能のスイッチを入れずに、常に、例えば自動車識別標識の、十分な照明を保証されるように、乗物を出発させるときにエレクトロルミネッセントアレンジメントに電流を自動的に供給することが更に可能である。
【0200】
エレクトロルミネッセントアレンジメントを乗物用識別標識として使用する場合、ELアレンジメントのカバー基材をプラスチックフィルムとして形成することが好ましい。この場合、カバー基材がポリカーボネートまたはポリカーボネートブレンドベースのフィルムである場合もまた更に好ましい。ポリカーボネート(PC)は、優れた透明性を有し、熱的におよび機械的に高度にストレスに適するプラスチック材料である。これを乗物用識別標識の構成部品として使用する場合、この材料が衝撃強さ、耐引掻き性および熱安定性に関する非常に厳しい要求を満たすので、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント用のカバー基材としての使用に特に好適である。
【0201】
更に、本発明によってポリカーボネートフィルムの形態で提供されるカバー基材は、カバー基材が鏡面反射効果を生じないように、カバー基材の表面が耐引掻き性表面粗さを有することを確実にする。加えて、本発明によるシステムの使用期間は、黄変効果および脆化効果が十分に避けられるという事実のおかげで改良される。
【0202】
本発明の一態様において、ポリカーボネートフィルムは、少なくとも1つの側にマットな表面を有し、残りの側にグラフィカル形態を有する。
【0203】
好適なポリカーボネートフィルムは、特に、材料Makrofol(登録商標)、Bayfol(登録商標)、Marnot(登録商標)またはProTek(登録商標)で作られたポリカーボネートフィルムである。対応ポリカーボネートフィルムの厚さは、一般的に、50〜350μm、特に好ましくは75〜300μm、特別には100〜250μmの範囲にある。
【0204】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの別の構造は、特に乗物識別標識として使用する場合、特別な制限を受けない。例えば、白色ラッカーの層をカバー基材に適用することが可能である。例えば、次に反射層を白色ラッカーの層に提供してもよい。白色ラッカーを本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて使用する場合、反射層は、接着剤によって白色ラッカーの層に接続されうる。この接着システムに関連して、上記実施が参照される。
【0205】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントが例えば乗物用識別標識として使用されるように、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントとの関連で使用する場合、反射層を実質的に透明にデザインすることが好ましい。
【0206】
本発明に関して、中空ガラス球を使用することによって反射が増加することが有利であることもまた証明されている。従って、本発明の別の特定の態様において、エレクトロルミネッセントアレンジメントは中空ガラス球を含有する。
【0207】
反射特性を改良するために、中空ガラス球をカバー基材に添加してもよい。
【0208】
加えて、中空ガラス球が本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントとの関連で使用される場合、中空ガラス球を反射層に添加することも更に可能である。
【0209】
更に、中空ガラス球をカバー基材と反射層の両方に添加することが可能である。
【0210】
これらの変形の1つにおいて中空ガラス球が本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントにおいて使用される場合、これらの平均径は、好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜100μm、特別には15〜50μmである。対応中空ガラス球の比重量は、好ましくは0.05〜10g/cm、特に好ましくは0.1〜5g/cm、特別には0.15〜1g/cmである。対応中空ガラス球は、例えば、水に不溶な化学的に安定なソーダ石灰ホウケイ酸ガラスベースであり、商品名Scotchlite(登録商標)Glass Bubbles S60またはS60HSのもとで市販されている。
【0211】
これらの対応中空ガラス球は、例えばカバー基材または反射層のバインダーマトリックスに適用されうる。
【0212】
上記エレクトロルミネッセントアレンジメントは、好ましくは自動車識別標識に使用される。
【0213】
従って、背面基材として金属基材、好ましくはアルミニウム基材、を使用することが好ましい。特にこれはアルミニウムシート材料でありうる。
【0214】
乗物用識別標識がエンボスされるように、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、全体として、好ましくは常温加工可能であり、従って応力白化フリーであるようにデザインされる。識別標識は、特に、3次元加工され、この関連で、その曲率半径は2mm未満、好ましくは1mm未満である。ワーキングアングルは、この関連で、60°よりも大きく、好ましくは75°よりも大きく、特に好ましくは90°よりも大きく、特に105°よりも大きい。
【0215】
特に、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、乗物のナンバープレート用の正面ダイヤフラムブランク(front diaphragm blank)として使用される。正面ダイヤフラムブランクとしてのエレクトロルミネッセントアレンジメントの提供は、この関連で、好ましくはパンチングツール、カッティングツールおよび/またはレーザージェットシステムによってアーク形フォーマット(arc−shaped format)からもたらされる。
【0216】
正面ダイヤフラムブランクにおいて、エンボスは後ろから乗物の識別標識に適用される。次に、正面のエンボスによって形成される隆起は概して黒色領域として不透明に着色される。
【0217】
対応ブランクの層厚は、概して50〜350μm、特に好ましくは75〜300μm、特別には100〜250μmである。
【0218】
乗物のナンバープレートの識別標識において使用される本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、概して、エレクトロルミネッセンスによって得られる白色光に加えて、更に特定の波長の色を発光するように形成される。このようにして、追加のグラフィカル形態が任意に達成されうる。追加の波長特異発光は、例えばアレンジメント上に透かしの形でシンボルを生じうる。この関連で、透かしは、更に、偽造の恐れがない識別標識を作るために、時間分解された形で隠されて配置されうる。
【0219】
本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントは、複数のレタープレスシートフォーマットを使用する常套のフラット−ベッド(flat−bed)および/またはシリンダースクリーンプリンティングマシーンにおいて製造され、更に、製造中に、例えばプリンティング技術によって別のセキュリティ特性と共に、提供されうる。
【0220】
従って、本発明は、上記エレクトロルミネッセントアレンジメントを備える識別標識、特に乗物用識別標識、であって、フレームに固定されており、かつ、ELエレメントの少なくとも2つの電気接続がELインバータ(コンバータ)につながれており、このELインバータが、概して、次に乗物の電気回路に接続されており、好ましくは乗物を始動すると自動的に電流を供給し、このようにしてELフィルムにルミネッセンスを引き起こす識別標識も提供する。
【0221】
本発明の実施のいくつかの例を以下に図面を用いてより詳細に説明する。これらの態様は本発明の具体的な形態を示すが、本発明はこれらの態様に制限されない。
【0222】
参照数字:
1:自己発光識別標識
2:穿孔(くぼみ)
3:穿孔(くぼみ)
4:アルミニウムの背面基材
5:TPUベースの接着層
6:エレクトロルミネッセントアレンジメント
7:カバー基材
8:エレクトロルミネッセンスの方向
9:TPUベースの接着層
10:高分子バインダーマトリックス
11:中空ガラス球
12:正面隆起
13:光輝表面、正面
14:フレーム
15:フィルムの形態の反射層
16:電気接触エレメント
17:カバー電極
18:カバー電極の母線
19:背面電極
20:背面電極の母線
21:エレクトロルミネッセンスインバータ
22:圧迫帯(compression sleeve)
23:誘電層/絶縁層
24:エレクトロルミネッセント層
25:接触面
26:くぼみ
27:接触面
28:くぼみ
29:シーリングO−リング/フラットシーリングリング
30:セキュリティエンボス
31:固定デバイス
32:ゴムシール
33:ゴムシール
34:接触面
35:接触面
36:伝導性ワイヤー
37:絶縁体
38:非発光エッジ
39:EL場
【0223】
図1には、一例として識別英数字「BMS−123」を有する自己発光自動車識別標識1が平面図で示されている。電気接触は、参照数字2および3によって特定される2つの穿孔(穴)によってもたらされ、自動車識別標識の乗物への機械的固定もまたこれらの穴2および3を用いてもたらされる。
【0224】
図2は、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの3次元層構造体を示している。この図に示されるエレクトロルミネッセントアレンジメントのベースは、アルミニウムでできた金属加工可能背面基材4である。TPUベースの接着層5がこの背面基材4に配置されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6がこの接着層5に隣の層として提供されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6の、接着層5を介する背面基材4へのラミネートは、対応圧力および温度領域を合わせることによって行われる。カバー基材7が、本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6に適用されている。カバー基材は、材料Makrofol(登録商標)またはBayfol(登録商標)のポリカーボネートフィルムからなる。3次元層構造体をグラフィカルに示す。電気接触用穿孔2および3は、図式のみで示される。
【0225】
図3に、自己発光自動車識別標識1を通るセクションA/B(図1による。)を示す。エレクトロルミネッセンス方向8並びにセクションCが図示されており、セクションCは次の図4により詳細に記述されている。
【0226】
図4には、図3に示されているセクションCがより詳細に図示されている。この図に図示されているエレクトロルミネッセントアレンジメントのベースもまたアルミニウムでできた加工可能な金属背面基材4であって、この上にTPUの接着層5が提供されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6は、この接着層5の上に隣の層として提供されている。TPUの別の接着層9を用いて、エレクトロルミネッセントアレンジメント6は、中空ガラス球11を含む高分子バインダーマトリックス10が提供されている。TPUは、同様にこの層におけるバインダーとしても使用される。次に層厚100〜250μmのポリカーボネートフィルムのカバー基材7をこの構造体上にラミネートする。自己発光自動車識別標識1は3次元加工され、それによって隆起12が正面に形成されており、これは黒く不透明に保たれる。自己発光自動車識別標識1の隆起12を含まない領域は光輝表面13を有する。この3次元層構造体がグラフィカルに図示されている。
【0227】
本発明による自動車識別標識に関する接触の変形を図5に図示する。この場合、自動車識別標識はフレーム14を備えている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの構造は、先の図に既に記述されている構造と同じであり、TPUの第1接着層5が適用されているアルミニウム基材4からなる。エレクトロルミネッセントアレンジメント6がTPUの接着層5に適用されており、次にポリカーボネートフィルムからなるカバー基材7がアレンジメント6に適用されている。TPUの別の接着層9およびフィルムの形態の反射層15がこのカバー基材に適用されている。自己発光自動車識別標識1は3次元に加工されており、それによって隆起12が正面に形成されており、これは黒く不透明に保たれる。電気接触は、自動車識別標識のエッジ領域に提供される電気接触エレメント16を通じてもたらされる。電気接触エレメント16aは導電的にカバー電極17に接続されている。接触エレメント16aとカバー電極17との間の電気接触は、カーボンおよび銀ペーストによって形成される母線20を通じてもたらされる。電気接触エレメント16bは、導電的に背面電極19に接続されている。接触エレメント16bと背面電極19との間の電気接触は、カーボンおよび銀ペーストによって形成される母線18を通じてもたらされる。接触エレメントは導電的にエレクトロルミネッセンスインバータ21に接続されている。それぞれの接触エレメントは、自動車識別標識1の背面に提供される圧迫帯22によって適所に固定されている。図5は、2つのセクションAとBとを示しており、これらは次の図に、より詳細に記述されている。図5には、カバー電極17および背面電極19は示されていないが、図示されるELエレメント6の構成部品である。
【0228】
図5に図示されるセクションAを図6に記述している。セクションAは、カバー電極17の接触を示す。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの構造は、先の図に既に記述されているものと同じであり、アルミニウム基材4からなり、これにTPUの第1接着層5が適用されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6はTPUの接着層5に適用されており、アレンジメント6は、背面電極19、誘電層23、エレクトロルミネッセント層24およびカバー電極17からなる。ポリウレタンフィルムからなるカバー基材7が、次にカバー電極17に適用されている。TPUベースの別の接着層9およびフィルムの形態の反射層15がカバー基材7に適用されている。カバー電極の接触は、参照数字25によって特定される接触面を通じてもたらされる。接触エレメント16aは、図6に示されていないが、ポジティブロッキングの方法でくぼみ26に挿入される形状を有し、カバー電極17の接触面25に導電的に接触する。くぼみ26は、穴2または3と同一である。
【0229】
図5に図示されるセクションBを図7に記述している。セクションBは、背面電極19の接触を示す。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの構造は、先の図に既に記述されているものと同じであり、アルミニウム基材4からなり、これにTPUの第1接着層5が適用されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6はTPUの接着層5に適用されており、アレンジメント6は、背面電極19、誘電層23、エレクトロルミネッセント層24およびカバー電極17からなる。ポリカーボネートフィルムからなるカバー基材7が、次にカバー電極17に適用されている。TPUベースの別の接着層9およびフィルムの形態の反射層15がカバー基材7に適用されている。接触は参照数字27によって特定される接触面を通じてもたらされる。接触エレメント16bは、図6に示されていないが、ポジティブロッキングの方法でくぼみ28に挿入される形状を有し、背面電極19の接触面27に導電的に接触する。電極同士の接触は、母線によってもたらされる。
【0230】
図8には、図5に図示されるセクションBが別の形態で示されている。図8に示されるこの形態において、背面電極の電気接触は、同時に機械的固定の役割を果たす。セクションBは、背面電極19の接触を示す。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメントの構造は、先の図に既に記述されているものと同じであり、アルミニウム基材4を備え、これにTPUの第1接着層5が適用されている。本発明によるエレクトロルミネッセントアレンジメント6は、TPUベースの接着層5に適用されており、前記アレンジメント6は、背面電極19、誘電層23、エレクトロルミネッセント層24およびカバー電極17からなる。ポリカーボネートフィルムからなるカバー基材7が、次にカバー電極17に適用されている。TPUベースの別の接着層9およびフィルムの形態の反射層15がカバー基材7に適用されている。自動車識別標識1はフレーム14に配置されている。自動車識別標識1の正面に対する固定は、接触エレメント16bの下に配置されるシーリングO−リング29またはフラットシーリングリングを用いてもたらされる。セキュリティエンボス30が接触エレメント16b上に提供されており、それによってコードが照合され、かつ、このようにして例えば自動車識別標識の有効性およびライセンスおよび類似のセキュリティ関連項目の有効性がチェックされうる。本発明による自動車識別標識1は、鋸歯状キャッチ、リベットまたはねじ山の形態の固定デバイス31によって接触エレメント16bを通じて背面に機械的に固定される。別のゴムシール32および33が接触エレメント16bに提供されている。接触面34および35が、接触エレメント16bに提供されており、これらはポジティブロッキングで背面電極19の母線20と接触している。エレクトロルミネッセントアレンジメントを作動させるのに必要とされる電流は、エレクトロルミネッセンスインバータ21(図示せず。)から絶縁体37によって絶縁される伝導性ワイヤー36を通じて供給される。
【0231】
図9には、識別英数字「BMS−123」を有する自己発光自動車識別標識1が一例として平面図で示されている。この態様において、2つの穿孔(穴)2と3とが電気接触および機械的固定のために提供されている。2つの穿孔2と3とは、原則として、実質的に任意の位置に配置され、好ましくは左側と右側のエッジに提供される。というのも、この場合に、更に最良の機械的固定も可能であり、2つの導電性フラット電極17および19(図示せず。)が非常に都合よく配置されうるからである。この実施において、カバー電極17の接触が左側の穴の領域で起こり、背面電極19の接触が右側の穴の領域で起こる。標準的に、小さなエッジ領域が暗いままであり、かつ、2つの穴の周りの領域が同様にEL発光場なしに実施されるが、ハッチング付で示されるEL場は、ほぼ全域にわたって広がる。
【0232】
図10には、自己発光識別標識1が平面図において図式で示されており、ここで、単純に母線18を有するカバー電極17が図示されている。カバー電極17は、好ましくは、スクリーンプリンティング技術によって製造され、それによって高い精度で配置されうる。カバー電極17は、標準的には、薄い白色半透明プリンティングを含むグラフィカルプリンティングに直接隣接してカバー基材7としての透明フィルム(図示せず)上に配置され、好ましくは約0.5mm〜約3.0mmの小さなエッジ領域がフリーのままにされる。同様に、右側の穴を囲む領域は背面電極接触の実施のためにフリーのままにされる。カバー電極17は、できるだけ透明かつできるだけ高導電率でなければならず、好ましくは、これがクラック形成なしの識別標識のエンボスのために十分に常温加工によって実施されるようにデザインされる。母線18もまたこの図10に示されており、これは幅数ミリメートルのエッジ領域を有する通常の形態の母線で配置され、加えて、左側の穴領域においてカバー電極17の接触領域をカバーする。
【0233】
図11には、自己発光識別標識1が平面図において図式で図示されており、この関連で、単純にグリッド状の母線を有する背面電極19が示されている。コストと機能性の理由で、好ましくは典型的には5〜100Ω/スクエアのシート抵抗を有するカーボンペーストが背面電極19として使用される。カーボンペーストのシート伝導率は、グリッドのように配置された銀ペースト(銀フリース)によって、典型的に100mΩ/スクエア未満から20mΩ/スクエア未満までのシート抵抗で提供され、銀ペーストは右側の穴の領域に配置され、ここでは背面電極19の接触を改良することが意図されている。原則として、加えて、銀ペーストもまた母線の標準の配置の方法でエッジに沿って配置されうる。この場合、背面電極19は透明にされる必要がないので、グリッド状の配置が選択されてもよく、標準の銀ペーストは比較的良好に常温加工可能であり、カーボンペーストの潜在的に高い抵抗を避けるので、識別標識のエンボス処置における追加のセキュリティを提供する。加えて、クラック形成がなく、従って、シート抵抗率の増加がないカーボンペーストの常温加工性は、1パーセントの10分のいくつかから数パーセントまでのMWCNT(マルチウォール・カーボンナノチューブ)を混合することによって改良されうる。常套のMWCNTは既に数μmの長さを有し、このようにしてパーコレーションを常套のグラファイト粒子との組み合わせで改良する。銀ペースト中のMWCNTの混合物は、同様に有用であり、かつ、この関連で更に、高い抵抗率をもたらすクラック形成の危険なしに、加工性も改良する。様々な層のELコンデンサの好適なアレンジメントで、グリッド状背面電極強化用の銀ペーストインプレッション(silver paste impression)が同時にカバー電極17(図示せず。)用の母線の役割を果たすことができ、この1つの銀ペーストインプレッションのみが、2つの接触穴2と3との領域の導電性を強化することを強調することが重要である。この関連で、グリッド状銀ペーストインプレッションは、実質的にいずれの任意のグラフィカル形態を有してもよく、特に識別標識用のエンボスの領域において、微細なグリッドパターンで仕上げられてもよく、特に均一グリッドとして形成される必要はなく、連続的断面を有してデザインされてもよい。カバー電極17(図示せず。)および背面電極19の電気接触は、同一接触エレメントによってもたらされる。ELエレメントが交流電圧を用いて作動されるので、極性を考慮に入れる必要はない。正面電極の場合、透明導電性層が銀ペーストの下に配置され、背面電極の場合、カーボンペースト層が下に配置されるので、両方の接触で、比較的強い表面圧が銀ペースト上にかけられる。従って、電気接触は、微細な、シャープなエッジを有する導電性エレメントを用いてマイクロ単位の穴の開いたまたはナノ単位の穴の開いた方法において、並びにクリンピングの方法において実施されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記機能層
(a)構成材料BEとしての背面電極(19);
(b)構成材料BDとしての誘電層(23);
(c)構成材料BCとしてのエレクトロルミネッセント層(24);および
(d)構成材料BAとしてのカバー電極(17);
の構造体を備えることを特徴とする、エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項2】
該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)が背面電極(19)を通じて背面基材(4)に適用されていることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項3】
該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)が接着層(5)を通じて背面基材(4)に接続され、該接着層(5)が背面電極(19)と背面基材(4)との間に提供されていることを特徴とする、請求項2に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント。
【請求項4】
別のカバー基材(7)がカバー電極(17)に提供されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項5】
該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)が接着層(9)を通じてカバー基材(7)に接続され、該接着層(9)がカバー電極(17)とカバー基材(7)との間に提供されていることを特徴とする、請求項4に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項6】
該接着システムが、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、PVCまたは熱可塑性ウレタンエラストマーを含有するシステムベースであることを特徴とする、請求項3または5に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項7】
該接着システムがフィルムとして形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項8】
白色ラッカーの層が該カバー基材(7)に適用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項9】
反射層(15)が白色ラッカーの層に提供されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項10】
該反射層(15)および/またはカバー基材(7)が中空ガラス球(11)を含有することを特徴とする、請求項9に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項11】
該中空ガラス球(11)の平均径が10〜200μmであることを特徴とする、請求項10に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項12】
該カバー電極(17)の組成物および/または該背面電極(19)の組成物がマルチウォール・カーボンナノチューブおよび/またはシングルウォール・カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項13】
該背面電極(19)および/またはカバー電極(17)が母線(18、20)によって接触されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項14】
該背面電極(19)が母線(20)によって接触され、該母線(20)が背面電極(19)と保護ラッカーおよび/または背面基材(4)との間に提供されていることを特徴とする、請求項13に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項15】
該カバー電極(17)が母線(18)によって接触され、該母線(18)がカバー電極(17)とカバー基材(7)との間に提供されていることを特徴とする、請求項13に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項16】
該少なくとも2つの電極の電気接触が背面基材(19)の背面において提供されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項17】
該少なくとも2つの電極の電気接触が該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)のエッジ領域において行われていることを特徴とする、請求項16に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項18】
該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)の少なくとも2つの電気接触がくぼみ(2、3)および接触エレメント(16a、16b)であって、スクリューコネクション、リベットコネクションまたは鋸歯状コネクションとして形成され、かつ、ポジティブロッキングの方法で該くぼみ(2、3)に挿入される接触エレメント(16a、16b)によってもたらされ、対応電極(17、19)の電気接触をもたらしていることを特徴とする、請求項16または17に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント。
【請求項19】
該背面電極(19)またはカバー電極(17)の少なくとも一方が金属グリッドまたはグレーチングを備えることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項20】
該金属グリッドが実質的に、銀、銅、金、白金、黄銅、鉄およびニッケルからなる群から選択される金属からなることを特徴とする、請求項19に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント。
【請求項21】
該金属グリッドが実質的に銀からなることを特徴とする、請求項20に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント。
【請求項22】
該エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)が自動車識別標識(1)のフレームにおいて使用されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)の自動車用識別標識における使用。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメントを備えるフロントダイヤフラムブランク。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメントからアーチ形フォーマットを製造し、次にこのアーチ形フォーマットからブランクを、特にレーザー処理によって、予め決定したサイズに切り取るか、打ち抜くか、または形成することを特徴とする、フロントダイヤフラムブランクの製造方法。
【請求項26】
様々な模様のアーチ形フォーマットを使用することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
プリンティング技術を用いて追加のセキュリティ機能と共に該ブランクを提供することを特徴とする、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)を備える識別標識、特に乗物用識別標識(1)であって、該識別標識がフレーム(14)に固定されており、かつ、該少なくとも2つの電気接触がELインバータ(21)に接続されており、要すれば次に乗物の電気回路に接続され、要すれば乗物を発車させると自動的に電流が供給され、このようにしてELフィルムを発光させることを特徴とする、識別標識、特に乗物用識別標識(1)。
【請求項29】
特にエレクトロルミネッセントアレンジメント(6)を加工するときの、エレクトロルミネッセントアレンジメント(6)の電極(17、19)の導電率の低減を避けるための、請求項19〜21のいずれか一項に記載の金属グリッドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−537392(P2010−537392A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522339(P2010−522339)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061126
【国際公開番号】WO2009/027387
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】