説明

エレベータの制御装置

【課題】同一階床にある単独運転エレベータ用の乗場ボタンと群管理運転エレベータ用の乗場ボタンとで同一方向のボタンが押された場合でも、利用者が存在していない場合のように必要のない状況では乗場呼び登録を解除するようにして、円滑な運行を確保する。
【解決手段】建物の各階床に設置され、乗場での利用者の存否を検知する利用者検知手段10を設け、 同一階床にある前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタン4と群管理運転のエレベータ用の乗場ボタン5が押され、かつ、押されたのが同一方向のボタンである場合に、利用者検知手段10を起動し、当該乗場に先に到着した乗りかごに利用者が乗り込んだ否かを判定し、さらに前記乗りかごが移動した後当該乗場に利用者がいなくなったと判定した場合には、登録が残ったままになっているエレベータの乗場呼び登録を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、同一階床に単独運転のエレベータと群管理運転のエレベータの乗場ボタンがあるエレベータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの設置されている建物では、各階床にあるエレベータ乗場には、乗りかごを呼ぶための乗場ボタンが設けられている。この乗場ボタンが押されると、エレベータの制御装置では乗場呼び登録がされ、登録された階床に乗りかごを停止させる。エレベータ乗場の乗場ボタンが誤って押されたり、あるいはいたずらされて押された場合でも、乗りかごはその乗場に必要もないのに停止してしまうことになる。
【0003】
従来のエレベータシステムにも、乗場呼び登録が一旦なされた場合であって、乗場ボタンの操作が一定の条件に該当する場合には、いたずらによる操作であると判定して、乗場呼び登録をキャンセルする機能を有するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−348054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数台のエレベータが運転されている建物においては、エレベータの乗りかごに早く乗りたい利用者が、同じ階床にある乗場ボタンを全て押して、先に到着した乗りかごに乗り込むことがよくある。その場合、各エレベータが群管理運転されていれば、利用者が乗りかごに乗り込んだ後、乗場呼び登録は残ったままにはなることはないので、運行上の支障は生じない。
【0006】
ところが、建物によっては、人荷用の単独運転のエレベータと群管理運転されるエレベータが併設されていることがある。その場合、同一階床には単独運転エレベータ用の乗場ボタンと群管理運転エレベータ用の乗場ボタンとが併存していることになる。
【0007】
エレベータの乗りかごに一刻も早く乗りたい利用者が同じ階床にある乗場ボタンで同一方向のボタンを押した状況では、先に到着した乗りかごに利用者が乗り込んだ後でも、単独運転エレベータと群管理運転エレベータのうち、一方の乗場呼び登録は有効に残ったままである。この状況下では、利用者はいないにも関わらず、別の乗りかごがこの階床に停止することになる。その停止した乗りかごにすでに乗っている利用者からみれば、利用者が乗り込んでこないため、運行が遅延させられたと感じることになる。
【0008】
また、いたずらによって同一階床の乗場ボタンが押された場合にも同様の運行遅延の問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記課題を解決し、同一階床にある単独運転エレベータ用の乗場ボタンと群管理運転エレベータ用の乗場ボタンとで同一方向のボタンが押された場合でも、利用者が存在していない場合のように必要のない状況では乗場呼び登録を解除するようにして、円滑な運行を確保できるようにするエレベータの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、建物に単独運転のエレベータと群管理運転のエレベータとが併設され、前記建物の各階床には前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが設置されたエレベータの制御装置において、前記建物の各階床に設置され、乗場での利用者の存否を検知する利用者検知手段と、 同一階床にある前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが押され、かつ、押されたのが同一方向のボタンである場合に、前記利用者検知手段を起動し、当該乗場に先に到着した乗りかごに利用者が乗り込んだ否かを判定し、さらに前記乗りかごが移動した後当該乗場に利用者がいなくなったと判定した場合には、登録が残ったままになっているエレベータの乗場呼び登録を解除する乗場呼び登録解除手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態によるエレベータの制御装置が適用されるエレベータ乗場の説明図。
【図2】本発明の第1実施形態によるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の第2実施形態によるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の第3実施形態によるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第4実施形態によるエレベータの制御装置が適用されるエレベータ乗場の説明図。
【図6】本発明の第4実施形態によるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明によるエレベータの制御装置の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施によるエレベータの制御装置が適用されるエレベータ乗場を示す図である。
建物には、1号機から4号機までの合計4台のエレベータが設置されている。1号機は単独運転のエレベータであり、2号機、3号機および4号機は群管理運転されているエレベータである。エレベータの乗場は、説明を簡略にするために例えば1階から5階までの各階床に設けられているものとする。
【0013】
図1において、参照番号2は、単独運転の1号機エレベータの運行を制御する1号機制御装置である。参照番号3は、2号機、3号機、4号機の群管理運転を管理する群管理制御装置である。
各階床の乗場には、単独運転のエレベータである1号機の乗りかごを呼ぶ乗場ボタン4と、群管理運転のエレベータである2号機と3号機と4号機のうちいずれかの乗りかごを呼ぶ乗場ボタン5が設置されている。乗場ボタン5は、2号機と3号機の間と3号機と4号機の間の2カ所に設けられている。乗場ボタン4、5には、それぞれ上昇ボタンと下降ボタンが設けられている。乗場ボタン4を操作すると、1号機制御装置2には乗場呼びが登録され、1号機の乗りかごが乗場に到着する。これに対して、乗場ボタン5を操作すると、乗場呼びは群管理制御装置3に登録され、この群管理制御装置3は2号機、3号機、4号機の中から、最適の号機を選んで乗場に向かわせるようになっている。
【0014】
各階床の乗場には、乗場での利用者の存否を検知する手段として利用される監視カメラ10が設置されている。この監視カメラ10の映像データは、乗場呼び登録解除部8を構成するコンピュータに送信される。また、乗場呼び登録解除部8には、通信ライン11、12を介して各階床の乗場ボタン4、5と接続されている。
乗場呼び登録解除部8は、監視カメラ10から送信された映像データに2値化などの画像処理を行い利用者の有無を判別する機能を有するほか、図2のフローチャートに従って動作し、一定の条件の下で乗場呼びを解除する機能を有している。
【0015】
次に、図2のフローチャートを参照しながら、乗場呼び登録解除部8の処理内容について説明する。
【0016】
まず、図1において、例えば、3階の乗場にいる利用者が1階に降りようとしているとする。利用者は、早く乗りかごに乗ろうとするために、単独運転のエレベータである1号機を呼ぶ乗場ボタン4の下降ボタンを押すだけなく、さらに、群管理運転のエレベータである2号機と3号機と4号機のいずれかの乗りかごを呼ぶ群管理運転用の乗場ボタン5、5についても下降ボタンを押したものとする。
【0017】
利用者によるこのような乗場ボタン4、5の操作によって(ステップS10のyes)、乗場ボタン4、5からの信号は単独運転の1号機の運転を制御する1号機制御装置2と、群管理運転の2号機乃至4号機を制御する群管理制御装置3とに送信され、それぞれ乗場呼び登録が行われる(ステップS11)。
【0018】
また、3階の乗場にある乗場ボタン4、5からの信号は、乗場呼び登録解除部8にも送信される。この乗場呼び登録解除部8は、受信した乗場ボタンからの信号から、押されたのが同一方向の乗場ボタンか否かを判定する(ステップS12)。
【0019】
3階の乗場で押されたのは、乗場ボタン4、5ともに下降ボタンであるので(ステップS12のyes)、続くステップS13に進んで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場に設置されている監視カメラ10を起動する(ステップS13)。以後、監視カメラ10からの映像データが乗場呼び登録解除部8に送信され、この映像データを処理することで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場には利用者がいることを検知することができる。
【0020】
その後、群管理制御装置3は乗場呼びに応答して、例えば、2号機、3号機、4号機のうち、2号機を割り当て、この2号機の乗りかごが利用者の待つ3階の乗場にいち早く到着したとする。
【0021】
この間も3階の乗場では、監視カメラ10による監視が続いており、利用者が到着した乗りかごに乗り込んだことが検知される(ステップS14のyes)。3階の乗場にいた利用者全員が2号機の乗りかごに乗り込んだあと、2号機の乗りかごは1階に向かって移動することになる。
【0022】
他方、この時点で、単独運転の1号機エレベータでは、3階での乗場呼び登録が依然として有効であるので、1号機のエレベータの乗りかごは、2号機に続いて3階に到着する予定になっている。したがって1号機の乗りかごが到着しても、乗り込む利用者が一人もいない可能性がある。
【0023】
そこで、ステップS15で、乗場呼び登録解除部8は、監視カメラ10からの映像データに基づいて3階の乗場に利用者がいなくなったかどうかを判定する。
【0024】
先行した2号機の乗りかごに利用者全員が乗り込んで、だれももいなくなったと判定された場合には(ステップS15のyes)、ステップ16に進んで、乗場呼び登録解除部8は、単独運転の1号機エレベータの制御装置2に登録されていた乗場呼び登録を解除する。
【0025】
以上のようにして、後続の1号機エレベータでは、3階の乗場呼び登録は解除されるので、利用者がいないにもかかわらず3階乗場に停止してしまうことがなくなり、1号機の乗りかごに乗客が乗っていた場合には運行が遅延してしまうという不都合を確実に防止することができる。
【0026】
第2実施形態
次に、図3は、本発明の第2実施形態による制御装置の乗場呼び登録解除の処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
この第2実施形態は、乗場ボタンを押した利用者がそのまま乗りかごの到着を待たないで乗場を離れてしまうという事態に対応する処理を行う点に特徴がある実施形態である。
【0028】
まず、図1において、例えば、3階の乗場にいる利用者が1階に降りようとしているとする。利用者は、早く乗りかごに乗ろうとするために、単独運転のエレベータである1号機を呼ぶ乗場ボタン4の下降ボタンを押すだけなく、さらに、群管理運転のエレベータである2号機と3号機と4号機のいずれかの乗りかごを呼ぶ群管理運転用の乗場ボタン5についても下降ボタンを押したものとする。
【0029】
利用者によるこのような乗場ボタンの操作によって(ステップS20のyes)、単独運転の1号機の運転を制御する1号機制御装置2、群管理運転の2号機乃至4号機を制御する群管理制御装置3では、それぞれ乗場呼び登録が行われる(ステップS21)。
【0030】
また、3階の乗場にある乗場ボタン4、5からの信号は、乗場呼び登録解除部8にも送信される。この乗場呼び登録解除部8は、受信した乗場ボタンからの信号から、押されたのが同一方向の乗場ボタンか否かを判定する(ステップS22)。
【0031】
3階の乗場では、押されたのは乗場ボタン4、5ともに下降ボタンであるので(ステップS22のyes)、続くステップS23に進んで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場に設置されている監視カメラ10を起動する(ステップS23)。以後、監視カメラ10からの映像データが乗場呼び登録解除部8に送信され、この映像データを処理することで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場には利用者がいることを検知することができる。
【0032】
このようにして3階の乗場では、監視カメラ10による監視が続いているが、乗りかごの到着を待っている利用者が何かの都合で、乗場ボタン4、5を押したあと、乗場を離れる可能性がある。
【0033】
そこで、3階の乗場で利用者が居なくなったことを検知した場合には(ステップS24のyes)、続くステップ25では、予め設定した時間、例えば、30秒間、1分間といった時間内に、利用者が戻ってくるか否かが判定される。利用者が3階の乗場に戻ってきたことが検知された場合(ステップS25のyes)、戻ってきた利用者がエレベータを利用できるようにするために乗場呼び登録を継続させる(ステップS26)。したがって、戻ってきた利用者は、再度、乗場ボタン4または乗場ボタン5を押して乗場呼びをする手間はいらなくなる。
【0034】
この間、群管理制御装置3は乗場呼びに応答して、例えば、2号機、3号機、4号機のうち、2号機を割り当てたとし、この2号機の乗りかごが利用者の待つ3階の乗場にいち早く到着したとする。
【0035】
3階の乗場では、監視カメラ10による監視が続いており、利用者が到着した乗りかごに乗り込んだことが検知される(ステップS27のyes)。その後、2号機の乗りかごは1階に向かって移動することになる。
【0036】
他方、この時点で、単独運転の1号機エレベータでは、3階での乗場呼び登録は依然として有効であるので、1号機のエレベータの乗りかごが、2号機に続いて3階に到着する予定になっている。したがって1号機の乗りかごが到着しても、乗り込む利用者が一人もいない可能性がある。
【0037】
そこで、ステップS28で、乗場呼び登録解除部8は、監視カメラ10からの映像データに基づいて3階の乗場に利用者がいなくなったかどうかを判定する。
【0038】
先行した2号機の乗りかごに利用者が乗り込んで、だれもいなくなったと判定された場合には(ステップS28のyes)、ステップS29に進んで、乗場呼び登録解除部8は、単独運転の1号機エレベータの制御装置2に登録されている乗場呼び登録を解除する。
【0039】
こうして、後続の1号機エレベータでは、3階の乗場呼び登録は解除されるので、利用者がいないにもかかわらず3階乗場に停止してしまうことがなくなり、1号機の乗りかごに乗客が乗っていた場合には運行が遅延してしまうという不都合を確実に防止することができる。
【0040】
以上は、ステップS25で、利用者がすぐに乗場に戻ってきた場合の処理であるが、利用者が乗場に戻ってこなかった場合は、次のような処理が行われる。
【0041】
すなわち、利用者が乗場に戻ってこなかった場合(ステップS25のNO)は、ステップS30に進み、乗場呼び登録解除部8は、単独運転の1号機エレベータの制御装置2に登録されている乗場呼び登録と、2号機乃至4号機を管理する群管理制御部3に登録されている乗場呼び登録を全て解除する。
【0042】
乗場呼び登録が全て解除される結果、いたずらなどによる乗場ボタン操作4、5によって、乗場呼び登録がされても、エレベータを停止させず済むので、エレベータ運行の遅延を確実に防止することができる。
【0043】
第3実施形態
次に、図4は、本発明の第3実施形態による制御装置の乗場呼び登録解除の処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
この第3実施形態は、第1実施形態の乗場呼び登録解除の処理の必要度が高い出勤時間帯、例えば、午前7時〜10時の時間帯や、必要度の低いそれ以外の時間帯は乗場呼び解除の処理を伴わない通常のエレベータ運転を行うようにした実施形態である。
【0045】
図4において、早朝、昼間、夜間は、エレベータの通常運転が行われている(ステップS32)。この時間帯では、エレベータの利用者は出勤時間帯にくらべると少ないため、利用者がいない乗場に残った乗場呼び登録をあえて解除しないでも、運行上の支障はないからである。
【0046】
そこで、例えば、午前7時〜午後10時というように、出勤者が増えてくる時間帯が始まると(ステップS33のyes)、ステップS10乃至ステップS16の乗場呼び登録解除の処理が行われることになる。この乗場呼び登録解除の処理内容は、第1実施形態の図2のフローチャートに示したステップS10乃至ステップS16と同一であるのでその説明は省略する。
【0047】
出勤時間帯が終わると(ステップS34のyes)、乗場呼び登録解除の処理を伴わない通常のエレベータ運転に切り替わる(ステップS35)。
【0048】
以上のようにして、出勤時間帯のように、乗客が集中するため効率良く乗客を運ぶ必要の高い時間帯には、利用者がいないにもかかわらず乗場に停止してしまうことがなくなり、急いでいる乗客のニーズに合わせてエレベータを運行することができ、乗客の集中しない他の時間帯には同じ乗場で同一方向の乗場ボタンが押される度に監視カメラ10を起動する必要はなくなり、運行制御を省力化することができる。
【0049】
なお、この実施形態では、出勤時間帯に実施する乗場呼び登録解除は、第1実施形態の図2のフローチャートに示された内容の処理を実施したが、第2実施形態の図3のフローチャートに示された内容の処理を実施するようにしてもよい。
【0050】
第4実施形態
次に、図5は、本発明の第4実施形態が適用される階床の乗場を示す。図6は、本発明の第4実施形態による乗場呼び登録解除の処理手順を示すフローチャートである。
【0051】
この第4実施形態では、図6に示されるように、各階床の乗場には、乗場ボタン4、5の他に、乗場にいる利用者に音声で案内をする音声案内装置12が設置されている。
【0052】
以下、図6を参照して乗場呼び登録解除の処理内容について説明する。
【0053】
まず、図5において、例えば、3階の乗場には利用者が一人だけいるものとする。利用者は、早く乗りかごに乗ろうとするために、単独運転のエレベータである1号機を呼ぶ乗場ボタン4の下降ボタンを押すだけなく、さらに、群管理運転のエレベータである2号機と3号機と4号機のいずれかの乗りかごを呼ぶ群管理運転用の乗場ボタン5についても下降ボタンを押したものとする。
【0054】
利用者によるこのような乗場ボタン4、5の操作によって(ステップS40のyes)、単独運転の1号機の運転を制御する1号機制御装置2、群管理運転の2号機乃至4号機を制御する群管理制御装置3では、それぞれ乗場呼び登録が行われる(ステップS41)。
【0055】
また、3階の乗場にある乗場ボタン4、5からの信号は、乗場呼び登録解除部8にも送信される。この乗場呼び登録解除部8は、受信した乗場ボタン4、5からの信号から、押されたのが同一方向の乗場ボタンか否かを判定する(ステップS42)。
【0056】
3階の乗場では、押された乗場ボタン4、5ともに下降ボタンであるので(ステップS42のyes)、続くステップS43に進んで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場に設置されている監視カメラ10を起動する(ステップS43)。以後、監視カメラ10からの映像データが乗場呼び登録解除部8に送信され、この映像データを処理することで、乗場呼び登録解除部8は、3階の乗場には利用者がいることを検知することができる。
【0057】
この実施形態では、乗場呼び登録解除部8は、利用者が何人であるかも判別する(ステップS44)。このときは利用者は一人だけであると判別すると、続くステップS45では、音声案内装置12から、その利用者に注意を喚起する内容を案内することになる。例えば、一人で、複数の乗場ボタンを押すと、エレベータの運行に遅延をきたすことがあります、といったような内容の音声を出力する。
【0058】
その後、乗場呼びに応答して、例えば、群管理制御装置3は2号機、3号機、4号機のうち、2号機を割り当て、この2号機の乗りかごが利用者の待つ3階の乗場にいち早く到着したとする。
【0059】
この間も3階の乗場では、監視カメラ10による監視が続いており、利用者が到着した乗りかごに乗り込んだことが検知される(ステップS46のyes)。3階の乗場にいた利用者全員が2号機の乗りかごに乗り込んだあと、2号機の乗りかごは1階に向かって移動することになる。
【0060】
他方、この時点で、単独運転の1号機エレベータでは、3階での乗場呼び登録は依然として有効であるので、1号機のエレベータの乗りかごは、2号機に続いて3階に到着する予定になっている。したがって1号機の乗りかごが到着しても、乗り込む利用者は一人もいないことになる。
【0061】
そこで、ステップS47で、乗場呼び登録解除部8は、監視カメラ10からの映像データに基づいて3階の乗場に利用者がいなくなったかどうかを確認する。
【0062】
先行した2号機の乗りかごに利用者が乗り込んで、だれももいなくなったと判定された場合には(ステップS47のyes)、ステップ48に進んで、乗場呼び登録解除部8は、単独運転の1号機エレベータの制御装置2に登録されている乗場呼び登録を解除する。
【0063】
以上のようにして、後続の1号機エレベータでは、3階の乗場呼び登録は解除されるので、利用者がいないにもかかわらず3階乗場に停止してしまうことがなくなり、1号機の乗りかごに乗客が乗っていた場合には運行が遅延してしまうという不都合を確実に防止することができる。
【0064】
その上で、乗場に一人しかない利用者が複数の乗場ボタンを一度に押した場合には、エレベータの運行遅延の原因になることに注意を喚起することができるので、そのような乗場ボタンの操作が運行遅延につながることを利用者に周知させることが可能になり、複数の乗場ボタンを一度に押す操作をする利用者を次第に減らすことに役立つ。
【0065】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
【符号の説明】
【0066】
2…単独運転の1号機の制御装置、3…群管理制御装置、4…1号機の乗場ボタン、5…2号機〜5号機の乗場ボタン、8…乗場呼び登録解除部、10…監視カメラ、12…音声案内装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に単独運転のエレベータと群管理運転のエレベータとが併設され、前記建物の各階床には前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが設置されたエレベータの制御装置において、
前記建物の各階床に設置され、乗場での利用者の存否を検知する利用者検知手段と、
同一階床にある前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが押され、かつ、押されたのが同一方向のボタンである場合に、前記利用者検知手段を起動し、当該乗場に先に到着した乗りかごに利用者が乗り込んだ否かを判定し、さらに前記乗りかごが移動した後当該乗場に利用者がいなくなったと判定した場合には、登録が残ったままになっているエレベータの乗場呼び登録を解除する乗場呼び登録解除手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
【請求項2】
前記乗場呼び登録解除手段は、前記利用者検知手段を起動後、当該乗場に利用者がいなかった場合には、あらかじめ設定した時間内に利用者が当該乗場に戻ってくるか否かを判別し、利用者が戻ってきた場合には、乗場呼び登録を継続することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
【請求項3】
前記乗場呼び登録解除手段は、前記利用者検知手段を起動後、当該乗場に利用者がいなかった場合には、あらかじめ設定した時間内に利用者が当該乗場に戻ってくるか否かを判別し、前記設定時間内に利用者が当該乗場に戻ってこなかった場合には、乗場呼び登録をすべて解除することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
【請求項4】
前記乗場呼び登録解除手段は、あらかじめ設定した時間帯のみに、同一階床にある前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが押され、かつ、押されたのが同一方向のボタンであるか否かを判別することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの制御装置。
【請求項5】
同一階床にある前記単独運転のエレベータ用の乗場ボタンと前記群管理運転のエレベータ用の乗場ボタンが押され、かつ、押されたのが同一方向のボタン場合には、そのボタン操作がエレベータの運行を遅延させる原因となる旨を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの制御装置。
【請求項6】
前記利用者検知手段は、各階床に設置されている監視カメラからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49561(P2013−49561A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189387(P2011−189387)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】