説明

エレベータの戸開走行防止装置の点検方法ならびにエレベータ監視装置

【課題】エレベータの戸開走行防止装置の点検作業が効率良く安全に行える点検方法ならびにエレベータ監視装置を提供する。
【解決手段】点検時に戸開走行防止装置20を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器Sの消磁の有無に基づいて戸開走行防止装置20の故障の有無を判定するようにした。その際、かごドアおよび各階床の乗場ドアは閉じたままにしておき、エレベータ監視装置21から戸開走行防止装置20へ点検用信号23,24を出力させる。これにより、ドア閉検出信号および戸開許容ゾーン検出信号の戸開走行防止装置20への供給が遮断されるため、この状態での電磁接触器Sの消磁の有無を動作信号25によってエレベータ監視装置21にフィードバックさせる。該監視装置21の検出部212は、電磁接触器Sが消磁していれば正常と判定し、消磁していなければ戸開走行防止装置20が故障していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの戸開走行防止装置の点検方法と、該戸開走行防止装置の点検作業に用いられるエレベータ監視装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
2008年9月に建築基準法施行令が改正され、エレベータに戸開走行防止装置を設置することが義務付けられた。戸開走行防止装置は、エレベータのかごドアや乗場ドアが開いたまま乗りかごが走行することを防止して安全性を高めるための装置であり、機械室等に設置される。そして、かごドアや乗場ドアが開いていることが検出され、かつ、昇降路内の戸開許容ゾーンを外れた位置で乗りかごの走行が検出されたときに、戸開走行防止装置が巻上機の電動機への給電を遮断したり制動装置を作動させることによって、乗りかごが非常停止されるようになっている。ただし、戸開許容ゾーン内で乗りかごの走行が検出されたときには、戸開走行防止装置が乗りかごを非常停止させることはない。この種の戸開走行防止装置に関する従来技術は、例えば特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
ところで、戸開走行防止装置は定期的に点検して正常に動作することを確認しておく必要がある。従来、戸開走行防止装置を点検する際には、乗りかごを戸開許容ゾーンから外れた位置に停止させたうえで、いずれかの階床の乗場ドアを開けたときに、戸開走行防止装置に設けられた電磁接触器の電磁石が消磁するか否かを確認していた。すなわち、戸開走行防止装置は、その電磁接触器の電磁石が消磁すると、巻上機の電動機や制動装置に対する電力供給が遮断できるように設計されているため、点検時に該電磁石が消磁すれば、戸開走行状態が発生したときに乗りかごは非常停止されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154988号公報
【特許文献2】特開2008−280104号公報
【特許文献3】特開2007−55691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来技術では、戸開走行防止装置の点検時に乗りかごを戸開許容ゾーンから外れた位置に停止させた状態で乗場ドアを開けるため、安全対策に万全の配慮が必要となり、点検作業が煩雑になるという問題があった。また、乗場でドア開閉作業や乗りかごの移動作業等を行うだけでなく、機械室等へ出向いて戸開走行防止装置の動作を直接確認しなければならないため、短時間に効率良く点検作業を行うことが困難となり、点検に要する時間とコストが増大してしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エレベータの戸開走行防止装置の点検作業が効率良く安全に行える点検方法ならびにエレベータ監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかごが戸開許容ゾーン外を走行する戸開走行状態が発生したときに、前記乗りかごの駆動装置および制動装置への電力供給路を開閉可能な電磁接触器が設けられた戸開走行防止装置によって、前記乗りかごを停止させるように設計されたエレベータシステムにおける戸開走行防止装置の点検方法において、前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じているときに、前記戸開走行防止装置を前記戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、前記電磁接触器の消磁の有無に基づいて前記戸開走行防止装置の故障の有無を判定するようにした。
【0008】
このように戸開走行防止装置の点検時に、実際に戸開走行状態を発生させることなく、この戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器の消磁の有無を検出すれば、電磁接触器の消磁が検出されたときには戸開走行防止装置が正常であると判定でき、電磁接触器の消磁が検出されないときには戸開走行防止装置が故障していると判定できる。それゆえ、戸開走行防止装置の点検時に乗場でドア開閉作業や乗りかごの移動作業等を行う必要がなくなり、短時間に効率良く、しかも安全に戸開走行防止装置の点検作業を行うことができる。
【0009】
上記した戸開走行防止装置の点検方法において、点検時に、かごドアおよび乗場ドアが閉じていることを検出するドア閉検出手段から戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあると、戸開走行防止装置をかごドアおよび乗場ドアが開いている場合と等価な動作状態に設定できるため、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定することが容易となる。この場合において、点検時に、乗りかごが戸開許容ゾーン内に位置するか否かを検出する許容ゾーン内かご検出手段から戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあると、戸開走行防止装置を乗りかごが戸開許容ゾーン外に位置した場合と等価な動作状態に設定できるため、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定することが一層容易となる。
【0010】
また、上記の戸開走行防止装置の点検方法において、点検作業者が所持する保守装置の操作によって、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定するようにしてあると、点検作業を一層効率良く行うことができる。この場合において、保守装置の操作によって乗りかごの保守運転が指令可能であると、消磁しているにも拘らず電磁接触器の接点が開かないオン故障を検出することができる。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明は、かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかごが戸開許容ゾーン外を走行する戸開走行状態が発生したときに、前記乗りかごの駆動装置および制動装置への電力供給路が開閉可能な電磁接触器が設けられた戸開走行防止装置によって、前記乗りかごを停止させるように設計されたエレベータシステムに配備されて、前記乗りかごの運転状況が監視可能なエレベータ監視装置において、前記戸開走行防止装置に対して点検用信号を出力する戸開走行モード設定手段と、前記戸開走行防止装置から前記電磁接触器の動作信号が入力される異常判定手段とを備えており、前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じているときに、前記戸開走行モード設定手段が前記戸開走行防止装置を前記戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定可能であり、かつ、前記戸開走行モード設定手段によって前記戸開走行防止装置が前記動作状態に設定されているときに、前記電磁接触器の消磁の有無に基づいて前記異常判定手段が前記戸開走行防止装置の故障の有無を判定するように構成した。
【0012】
このように構成されたエレベータ監視装置は、戸開走行防止装置の点検時に、この戸開走行防止装置を戸開走行状態が発生した場合と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器の消磁の有無が遠隔的に検出できるため、乗場でドア開閉作業や乗りかごの移動作業等を行う必要がなくなり、戸開走行防止装置の動作を直接確認する必要もなくなる。すなわち、実際に戸開走行状態を発生させなくても、エレベータ監視装置によって戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定しておけば、電磁接触器の消磁が検出されたときには戸開走行防止装置が正常であると判定でき、電磁接触器の消磁が検出されないときには戸開走行防止装置が故障していると判定できる。それゆえ、このエレベータ監視装置によって短時間に効率良く、しかも安全に戸開走行防止装置の点検作業を行うことができる。
【0013】
上記した構成のエレベータ監視装置において、戸開走行モード設定手段の点検用信号によって、かごドアおよび乗場ドアが閉じていることを検出するドア閉検出手段から戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあると、戸開走行防止装置をかごドアおよび乗場ドアが開いている場合と等価な動作状態に設定できるため、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定することが容易となる。この場合において、同じく戸開走行モード設定手段の点検用信号によって、乗りかごが戸開許容ゾーン内に位置するか否かを検出する許容ゾーン内かご検出手段から戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあると、戸開走行防止装置を乗りかごが許容ゾーン外に位置した場合と等価な動作状態に設定できるため、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定することが一層容易となる。
【0014】
また、上記した構成のエレベータ監視装置において、点検作業者が所持する保守装置の操作によって、戸開走行モード設定手段が戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定可能であると共に、異常判定手段の判定結果が保守装置の表示部に表示可能であると、点検作業者は保守装置を操作してからその表示部を見るだけで戸開走行防止装置が点検できることになるため、戸開走行防止装置の点検作業を極めて効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるエレベータの戸開走行防止装置の点検方法は、点検時に、実際に戸開走行状態を発生させることなく、戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器の消磁の有無に基づいて戸開走行防止装置の故障の有無を判定するというものであり、電磁接触器の消磁が検出されたときには戸開走行防止装置は正常であり、電磁接触器の消磁が検出されないときには戸開走行防止装置が故障していると判定できる。それゆえ、戸開走行防止装置の点検時に乗場でドア開閉作業や乗りかごの移動作業等を行う必要がなくなり、短時間に効率良く、しかも安全に戸開走行防止装置の点検作業を行うことができる。
【0016】
また、本発明のエレベータ監視装置によれば、戸開走行防止装置の点検時に、この戸開走行防止装置を戸開走行状態が発生した場合と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器の消磁の有無が遠隔的に検出できるため、乗場でドア開閉作業や乗りかごの移動作業等を行う必要がなくなり、戸開走行防止装置の動作を直接確認する必要もなくなる。それゆえ、このエレベータ監視装置によって短時間に効率良く、しかも安全に戸開走行防止装置の点検作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態例に係るエレベータシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態例に係る戸開走行防止装置の点検作業手順を示すフローチャートである。
【図3】該戸開走行防止装置の回路構成例を示す説明図である。
【図4】該戸開走行防止装置の他の回路構成例を示す説明図である。
【図5】該戸開走行防止装置のさらに他の回路構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態例について図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1を用いて本実施形態例に係るエレベータシステムの全体について説明する。このエレベータシステムにおいては、乗りかご4と釣り合いおもり1が主ロープ2を介して連結されている。この主ロープ2は、乗りかご4の駆動装置である巻上機の綱車3と方向転換プーリ49に巻き掛けられているため、乗りかご4と釣り合いおもり1は昇降路内でつるべ状に吊持されている。巻上機は綱車3を回転駆動するための電動機10を備えており、綱車3が回転駆動されると主ロープ2が駆動されるため、乗りかご4と釣り合いおもり1は昇降路内を上下逆向きに走行する。電動機10は、電源13に接続されたインバータ9を介して、運転制御装置15に駆動制御される。つまり、運転制御装置15からインバータ9にモータ駆動制御信号18が出力されて、電動機10の起動や停止や回転速度等が制御されるようになっている。また、電動機10には乗りかご4を制動するための制動装置8が付設されており、この制動装置8は、電源50に接続されたブレーキ制御装置51を介して、運転制御装置15に駆動制御される。つまり、運転制御装置15からブレーキ制御装置51にブレーキ制御信号19が出力されて、制動装置8が制動状態や開放状態に制御される。なお、特に図示していないが、乗りかご4の運転状況は運転制御装置15等を介してエレベータ監視装置21によって監視できるようになっている。
【0019】
運転制御装置15の入力部16には、乗場や位置検出装置やドアスイッチ等から発信される各種の信号が入力される。例えば、乗場のボタン操作によって発信される乗場呼び信号や、乗りかご4内のボタン操作によって発信されるかご呼び信号や、かごドアスイッチ6ならびに乗場ドアスイッチ7によって発信されるかごドアならびに乗場ドアの開閉状態を示す信号や、乗りかご4が戸開許容ゾーン内に位置するか否かを検出する許容ゾーン内かご検出装置14によって発信される検出信号等が入力部16に入力される。なお、戸開許容ゾーンとは、乗りかご4の戸開走行(かごドアや乗場ドアが開いた状態での走行)が許容される範囲のことである。入力部16が受信した各種の信号は、運転制御プログラム17に基づいて信号処理部(例えばマイクロコンピュータ)で処理されて、上記のモータ駆動制御信号18やブレーキ制御信号19が作成されるようになっている。
【0020】
また、このエレベータシステムには、かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかご4が走行する戸開走行状態が発生したときに、この乗りかご4の走行を停止させるための戸開走行防止装置20が備えられている。戸開走行防止装置20には電磁接触器Sが設けられており、この電磁接触器Sの電磁石の接点11,12を開閉させることによってインバータ9やブレーキ制御装置51への電力供給路が開閉されるようになっている。つまり、電動機10を駆動するインバータ9とその電源13との間に電磁接触器Sの接点12が介設されていると共に、制動装置8を駆動するブレーキ制御装置51とその電源50との間に電磁接触器Sの接点11が介設されている。そのため、電磁接触器Sの電磁石が消磁して接点11,12が開くと、インバータ9および電動機10やブレーキ制御装置51および制動装置8への電力供給が遮断される。
【0021】
次に、戸開走行防止装置20の構成および動作について詳しく説明する。図1において、許容ゾーン内かご検出装置14によって乗りかご4が戸開許容ゾーン内には位置しないことが検出され、かつ、かごドアスイッチ6や乗場ドアスイッチ7によってかごドアや乗場ドアが開いていることが検出された場合、戸開走行防止装置20は電磁接触器Sの電磁石が消磁するように構成されている。電磁接触器Sの電磁石が消磁すると接点11,12が開くので、電源13から電動機10への電力供給が遮断されると共に、電源50から制動装置8への電力供給が遮断される。その結果、電動機10が回転停止状態になると共に制動装置8が制動状態になり、乗りかご4の走行が停止される。
【0022】
なお、戸開許容ゾーンは、乗りかご4が正常に着床した状態(図1参照)を基準として、着床階の床面5から上方および下方へ乗りかご4の位置がずれていても安全性を保てると判断できる該位置ずれの許容範囲として設定される。また、戸開走行防止装置20は、運転制御装置15が出力する制御信号に拘らず、乗りかご4を停止させることができる。したがって、運転制御装置15に異常が発生した場合にも、戸開走行状態発生時には戸開走行防止装置20によって乗りかご4を停止させることができて安全である。
【0023】
この戸開走行防止装置20の点検作業は、図2のフローチャートに示す手順によって行われる。すなわち、点検時には、まず、点検作業者が保守装置22をエレベータ監視装置21に接続する(ステップS1)。なお、保守装置22としては、点検作業者が所持する携帯端末装置等が好適である。また、このとき、乗りかご4は任意の位置に停止させておき、かごドアおよび各階床の乗場ドアは閉じたままにしておく。かごドアおよび各乗場ドアが閉じていれば、かごドアスイッチ6および各乗場ドアスイッチ7から発信されるドア閉検出信号が戸開走行防止装置20に入力されるので、戸開走行防止装置20の制御部201の制御によって電磁接触器Sの電磁石はコイル通電状態に設定され、よって接点11,12は閉じている。
【0024】
次に、点検作業者が保守装置22を操作することによって、エレベータ監視装置21から戸開走行防止装置20に対して所定の点検用信号23,24を出力させる。戸開走行防止装置20に点検用信号23が供給されると、かごドアスイッチ6および各乗場ドアスイッチ7から戸開走行防止装置20に対してドア閉検出信号が供給されなくなる。また、戸開走行防止装置20に点検用信号24が供給されると、乗りかご4が戸開許容ゾーン内に位置するときに許容ゾーン内かご検出装置14から発信される戸開許容ゾーン検出信号が戸開走行防止装置20に対して供給されなくなる。つまり、エレベータ監視装置21から出力される点検用信号23,24によって、ドア閉検出信号および戸開許容ゾーン検出信号の戸開走行防止装置20への供給を遮断する(ステップS2)。こうすることによって戸開走行防止装置20を、かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかご4が戸開許容ゾーン外を走行する戸開走行状態が発生したときと等価な動作状態に設定する。したがって、戸開走行防止装置20が正常であれば、このとき制御部201において電磁接触器Sは電磁石のコイルへの通電が遮断されるため消磁するはずである。
【0025】
ステップS2で戸開走行防止装置20を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したなら、電磁接触器Sの動作信号25をエレベータ監視装置21で取得して、この動作信号25に基づき電磁接触器Sの電磁石が消磁しているか否かを判定する(ステップS3)。なお、動作信号25としては、例えば、電磁接触器Sの電磁石のコイルを流れる電流を検出する電流センサや、該コイルが生成する磁場を検出するホール素子等を利用することができる。その場合、該コイルを流れる電流や該コイルが生成する磁場が検出されなければ電磁石は消磁しているものと判定できる。
【0026】
ステップS3で電磁接触器Sの電磁石が消磁している(YES)と判定された場合、エレベータ監視装置21は、保守装置22に戸開走行防止装置20が正常であることを表示させる(ステップS4−1)。また、ステップS3で電磁接触器Sの電磁石が消磁していない(NO)と判定された場合、エレベータ監視装置21は、保守装置22に戸開走行防止装置20が故障していることを警告マーク等のアラームと共に保守装置22に表示させる(ステップS4−2)。
【0027】
図3は戸開走行防止装置20や許容ゾーン内かご検出装置14の構成を概念的に示したものである。この図を参照しつつ、本実施形態例に係る戸開走行防止装置20の点検方法についてさらに詳しく説明する。
【0028】
許容ゾーン内かご検出装置14は、乗りかご4に取り付けた光電センサ等の位置センサ52,53と、昇降路内に取り付けた検出板54とを備えており、乗りかご4が戸開許容ゾーン内に位置するとき、位置センサ52,53は共に検出板54を検出してそれぞれ位置検出信号26,27を出力する。これらの位置検出信号26,27が出力されると、検出用リレーDZ1,DZ2の各コイルがそれぞれ通電されるため、戸開走行防止装置20の制御部201において、検出用リレーDZ1の接点28が閉じると共に検出用リレーDZ2の接点29が閉じる。しかるに、乗りかご4の位置が戸開許容ゾーンから外れると、位置センサ52,53の少なくとも一方は検出板54を検出しないため、検出用リレーDZ1,DZ2の少なくとも一方のコイルには通電されない。
【0029】
戸開走行防止装置20の制御部201においては、許容ゾーン内かご検出装置14から位置検出信号26,27が出力されるとそれぞれ閉じる検出用リレーDZ1,DZ2の接点28,29と、エレベータ監視装置21の信号発生部211から点検用信号23が出力されるとオフ動作する点検用スイッチ33とが直列に接続されている。同様に、かごドアスイッチ6と、各階床の乗場ドアスイッチ7(最下階乗場ドアスイッチ71や最上階乗場ドアスイッチ72を含む)と、信号発生部211から点検用信号24が出力されるとオフ動作する点検用スイッチ34とが直列に接続されている。そして、前者の直列接続部と後者の直列接続部とが並列に接続され、この並列接続部の一端が信号作成部55に接続されて他端が電磁接触器Sに接続されている。つまり、前者と後者の直列接続部の少なくとも一方が遮断されていなければ、電磁接触器Sは信号作成部55から制御信号が与えられるため電磁石のコイルに通電されるが、前者と後者の直列接続部が両方とも遮断されると、電磁接触器Sの電磁石はコイルに通電されなくなる。
【0030】
エレベータの通常運転時において、エレベータ監視装置21の信号発生部211は点検用信号23,24を無信号(またはスイッチオン信号)とするので、点検用スイッチ33,34は閉じている。したがって、例えば、通常運転時に乗りかご4が戸開許容ゾーン内に位置しているときには、接点28,29および点検用スイッチ33を含む直列接続部が遮断されていないため、電磁接触器Sは電磁石のコイルに通電されている。つまり、図1において、電磁接触器Sの電磁石の接点11,12は閉じており、電動機10および制動装置8への電力供給は遮断されていないため、運転制御装置15からの指令によってインバータ9やブレーキ制御装置51が制御されて乗りかご4は通常運転される。また、乗りかご4の位置が戸開許容ゾーンを外れている場合でも、かごドアと各階床の乗場ドアがすべて閉扉状態のときには、かごドアスイッチ6と各階床の乗場ドアスイッチ7と点検用スイッチ34とを含む直列接続部が遮断されていないため、電磁接触器Sは電磁石のコイルに通電されており、よって乗りかご4は通常運転されて昇降路内を走行できる。
【0031】
しかるに、乗りかご4が戸開許容ゾーンを外れた位置にあるときに、かごドアまたはいずれかの階床の乗場ドアが開くと、信号作成部55と電磁接触器Sとの導通が遮断されるため、電磁接触器Sは制御信号が与えられず電磁石が消磁する。その結果、電磁接触器Sの電磁石の接点11,12が開いて、電動機10および制動装置8への電力供給が遮断されるため、運転制御装置15から制御信号が出力されても、電動機10は回転駆動されず制動装置8は制動状態となる。したがって、戸開走行した乗りかご4は非常停止される。例えば、着床してかごドアや乗場ドアが開いているときに乗りかご4が動き出すと、戸開走行状態となるが、戸開走行防止装置20によって乗りかご4はすぐに停止されるため、エレベータ利用者の安全が確保できる。
【0032】
したがって、戸開走行防止装置20は定期的に点検して正常に動作することを確認しておく必要がある。本実施形態例において、戸開走行防止装置20を点検する際には、前述したように、乗りかご4を昇降路内の任意の位置に停止させ、かごドアおよび各乗場ドアを閉じた状態にしたまま、保守装置22を操作することによって、点検用スイッチ33,34をオフ動作させる点検用信号23,24をエレベータ監視装置21の信号発生部211から戸開走行防止装置20の制御部201へ出力させる。なお、通常運転時に信号発生部211が点検用信号23,24を無信号としている場合には、点検用信号23,24を発信させることで点検用スイッチ33,34をオンからオフに切り替えることができる。また、通常運転時に信号発生部211がスイッチオン信号としての点検用信号23,24を戸開走行防止装置20に出力している場合には、保守装置22の操作によって信号発生部211が点検用信号23,24をスイッチオフ信号に切り替えるようにしておけばよい。いずれの場合も、点検用信号23,24によって点検用スイッチ33,34をオフ動作させることで、図3から明らかなように、信号作成部55と電磁接触器Sとの導通が遮断される。これにより、戸開走行防止装置20は、前述したように戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定されるため、戸開走行防止装置20が正常であれば、電磁接触器Sの電磁石は消磁するはずである。つまり、このとき電磁石が消磁しなければ、電磁接触器Sに何らかの故障が発生しているものと判断できる。
【0033】
図3に示すように、電磁接触器Sの消磁の有無は動作信号25によってエレベータ監視装置21の検出部212へフィードバックされるため、検出部212は消磁の有無に基づいて電磁接触器Sが故障しているか否かを判定することができる。本実施形態例では、この検出部212の判定結果が保守装置22の表示部221に表示されるようにしてある。
【0034】
以上説明したように、本実施形態例に係る戸開走行防止装置20の点検方法は、エレベータ監視装置21からの点検用信号23,24によって、戸開走行防止装置20を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、電磁接触器Sの消磁の有無に基づいて戸開走行防止装置20の故障の有無を判定するというものなので、乗場でドア開閉作業や乗りかご4の移動作業等を行う必要がなく、戸開走行防止装置20の動作を直接確認する必要もない。したがって、短時間に効率良く、しかも安全に戸開走行防止装置20の点検作業を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態例では、保守装置22を操作することによってエレベータ監視装置21による戸開走行防止装置20の点検を実行し、その点検結果が保守装置22の表示部221に表示されるようにしてある。そのため、点検作業者は保守装置22を操作してからその表示部221を見るだけで、戸開走行防止装置20の点検結果が把握できることになる。また、この点検結果を保守装置22に自動的に記憶させることも容易なため、作業効率は極めて良好になる。
【0036】
なお、上記の実施形態例では、戸開走行防止装置20の点検時に、許容ゾーン内かご検出装置14の検出信号(戸開許容ゾーン検出信号)が戸開走行防止装置20へ供給されないようにしているが、戸開走行防止装置20に対する該検出信号の供給は遮断せずに、予め乗りかご4を戸開許容ゾーンを外れた位置に停止させておいてもよい。その場合は、戸開走行防止装置20に対するドア閉検出信号の供給を遮断するだけで、この戸開走行防止装置20を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定できることになる。
【0037】
また、上記の実施形態例では、電磁接触器Sの電磁石のコイル電流や磁場を検出するセンサ(電流センサやホール素子等)を用いて消磁の有無を判定すると説明したが、電磁接触器Sに設けられた動作確認用接点の開閉状態に基づいて消磁の有無を判定することもできる。さらに、かかるセンサの検出結果と動作確認用接点の検出結果とを併用すれば、消磁しているにも拘らず電磁接触器Sの接点11,12が接点融着等の要因で開かないというオン故障を検出することが可能となる。なお、図2のフローチャートで電磁接触器Sの消磁を確認した後に、エレベータ監視装置21から運転制御装置15に保守運転指令を与えて乗りかご4が走行しないことを確認すれば、オン故障を検出することはできる。
【0038】
また、戸開走行防止装置20の制御部201に、図4に示すような論理回路39を用いることもできる。図4に示す回路構成例について説明すると、乗りかご4が戸開許容ゾーン内に位置していることが許容ゾーン内かご検出装置14によって検出されると、戸開許容ゾーン検出信号36,37として共に「1」が論理回路39の論理積回路100に入力される。しかるに、乗りかご4が戸開許容ゾーン外に位置していることが検出されたときには、戸開許容ゾーン検出信号36,37のうち少なくとも一方が「0」になるため、論理積回路100の出力信号は「0」になる。また、かごドアおよび各階床の乗場ドアがすべて閉じているとき、つまり、かごドアスイッチ6および各階床の乗場ドアスイッチ7がすべて閉じているときには、走行許可信号38として「1」が論理回路39の論理積回路101に入力される。しかるに、かごドアおよび各乗場ドアのいずれかが開くと、かごドアスイッチ6および各乗場ドアスイッチ7のうちのいずれかが開くため、走行許可信号38は「0」となり、よって論理積回路101の出力信号は「0」になる。一方、エレベータ監視装置21から論理積回路100,101に入力される点検用信号23,24は、通常運転時には共に「1」に設定されているが、戸開走行防止装置20の点検時には共に「0」に設定される。論理積回路100,101の各出力信号は論理和回路102に入力され、この論理和回路102から電磁接触器Sへ出力される信号が「1」のときには、電磁接触器Sに制御信号が与えられて電磁石のコイルに通電される。また、論理積回路100,101の出力信号が共に「0」で論理和回路102の出力信号が「0」のときには、電磁接触器Sに制御信号が与えられないためコイルへの通電が遮断されて電磁石は消磁する。
【0039】
図4の回路構成例についてさらに詳しく説明すると、エレベータの通常運転時には、乗りかご4の位置が戸開許容ゾーン内であれば、論理積回路100に入力される信号はすべて「1」なので、この論理積回路100の出力信号は「1」となる。この場合、論理和回路102の出力信号が「1」で、戸開走行防止装置20の電磁接触器Sは電磁石のコイルに通電された状態になっているため、図1に示す接点11,12は閉じている。また、乗りかご4が戸開許容ゾーン外に位置している場合には、論理積回路100の出力信号は「0」となるが、通常運転時であればかごドアおよび各階床の乗場ドアはすべて閉じているので、論理積回路101に入力される信号は「1」となり、よって論理積回路101の出力信号が「1」で論理和回路102の出力信号も「1」となる。そのため、この場合も電磁接触器Sの接点11,12は閉じており、乗りかご4は運転制御装置15からの制御信号に従って昇降路内を走行できる。
【0040】
図4において、乗りかご4が戸開許容ゾーン外に位置していると共に、かごドアおよび各階床の乗場ドアのいずれかが開いている場合には、前述したように論理積回路100,101の出力信号が共に「0」になるため、論理和回路102の出力信号は「0」となり、よって戸開走行防止装置20の電磁接触器Sには制御信号が与えられなくなる。その結果、電磁接触器Sは電磁石のコイルへの通電が遮断されて消磁するため、接点11,12が開いて、電動機10や制動装置8への電力供給路が遮断される。したがって、乗りかご4は非常停止し、運転制御装置15から制御信号が与えられても走行不能となる。
【0041】
また、図4において、戸開走行防止装置20の点検時には、エレベータ監視装置21から論理積回路100,101に入力される点検用信号23,24が共に「0」に設定されるため、戸開許容ゾーン検出信号36,37や走行許可信号38に拘らず論理和回路102の出力信号は「0」となる。ただし、前述したように戸開走行防止装置20の点検時には、乗りかご4はかごドアを閉じたまま昇降路内の任意の位置に停止させておき、各階床の乗場ドアもすべて閉じたままにしておく。点検用信号23,24によって論理和回路102の出力信号が「0」になると、戸開走行防止装置20が正常であれば電磁接触器Sの電磁石が消磁するはずなので、消磁の有無を動作信号25によってエレベータ監視装置21へフィードバックさせることにより、戸開走行防止装置20が故障しているか否かを判定できる。
【0042】
次に、図5を参照しつつ、戸開走行防止装置20のさらに他の回路構成例について説明する。図5はコンピュータソフトウェアによって動作するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を用いた回路構成例を示しており、戸開走行防止装置20の制御部201にCPU46やI/F回路(インターフェース回路)44,45等が配設されている。
【0043】
図5において、戸開許容ゾーン検出信号やドア閉検出信号や点検用信号23,24に関する情報はI/F回路44を介してCPU46に入力される。なお、前述したように、戸開許容ゾーン検出信号は許容ゾーン内かご検出装置14から発信され、ドア閉検出信号はかごドアスイッチ6や乗場ドアスイッチ7から発信され、点検用信号23,24はエレベータ監視装置21から発信される。これら各信号の情報に基づいてCPU46は、RAM(Randam Access Memory)41を作業領域としながら、ROM(Read Only Memory)42等の記憶装置に格納されたデータに基づいて、戸開走行防止装置20の動作状態が通常運転モードと戸開走行モードと点検モードのいずれであるのかを判断する。そして、判断結果が通常運転モードのときには電磁接触器Sの電磁石のコイルへ通電し、戸開走行モードのときには該コイルへの通電を遮断するように、電磁接触器Sの通電に関する指令を作成し、該指令をI/F回路45を介して電磁接触器Sに与える。したがって、エレベータの通常運転時には、図1に示す接点11,12が閉じられているため乗りかご4を走行させることができ、戸開走行状態が発生したときには、電磁接触器Sを消磁させて接点11,12を開くことにより乗りかご4を非常停止させることができる。
【0044】
また、図5において、CPU46が戸開走行防止装置20の動作状態を点検モードと判断したときには、CPU46の判断処理回路が無限ループ等の動作異常となるように、予めコンピュータソフトウェアによって設定しておく。このようなCPU46の動作異常はWDT(ウォッチドッグタイマ)40によって検出され、WDT40は動作異常を検出すると、電磁接触器Sの電磁石のコイルへの通電を遮断する指令(異常検出信号48)をI/F回路45を介して電磁接触器Sに与える。これにより、戸開走行防止装置20は戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定されるため、電磁接触器Sの消磁の有無を動作信号25によってエレベータ監視装置21へフィードバックさせることにより、戸開走行防止装置20が故障しているか否かを判定できる。
【0045】
なお、以上説明した実施形態例に限らず、本発明の技術的思想の範囲内において他の種々の実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、図3において、各接点28,29や各ドアスイッチ6,7等を信号源の代わりに電磁接触器Sのコイル用電源に接続すれば、これらの接点やスイッチを介して該コイルに直接通電する回路構成の戸開走行防止装置20が得られるが、その場合も本発明は容易に適用できる。また、図1における制動装置8として、電動機10の駆動を停止させる電磁ブレーキのほか、主ロープ2を把持して駆動停止させる非常用ブレーキ等、乗りかご4を制動するための各種の制動装置を適用することができる。さらに、エレベータシステムが設置されている場所から地理的に離れた場所に在る監視センタ等からエレベータ監視装置21を遠隔操作して戸開走行防止装置20の点検を行い、点検結果を通信回線を介して該監視センタで受信するようにしてよい。
【符号の説明】
【0046】
1 釣り合いおもり
2 主ロープ
3 綱車
4 乗りかご
5 着床階の床面
6 かごドアスイッチ(ドア閉検出手段)
7 乗場ドアスイッチ(ドア閉検出手段)
8 制動装置
9 インバータ
10 電動機(駆動装置)
11,12 (電磁接触器の)接点
13,50 電源
14 許容ゾーン内かご検出装置
15 運転制御装置
16 入力部
17 運転制御プログラム
18 モータ駆動制御信号
19 ブレーキ制御信号
20 戸開走行防止装置
21 エレベータ監視装置
22 保守装置
23,24 点検用信号
25 動作信号
26,27 位置検出信号
28,29 (検出用リレーの)接点
33,34 点検用スイッチ
39 論理回路
40 WDT
41 RAM
42 ROM
44,45 I/F回路
46 CPU
48 異常検出信号
49 方向転換プーリ
51 ブレーキ制御装置
52,53 光電センサ等の位置センサ
54 検出板
100,101 論理積回路
102 論理和回路
201 (戸開走行防止装置の)制御部
211 信号発生部(戸開走行モード設定手段)
212 検出部(異常判定手段)
221 表示部
S 電磁接触器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかごが戸開許容ゾーン外を走行する戸開走行状態が発生したときに、前記乗りかごの駆動装置および制動装置への電力供給路を開閉可能な電磁接触器が設けられた戸開走行防止装置によって、前記乗りかごを停止させるように設計されたエレベータシステムにおける戸開走行防止装置の点検方法において、
前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じているときに、前記戸開走行防止装置を前記戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定したうえで、前記電磁接触器の消磁の有無に基づいて前記戸開走行防止装置の故障の有無を判定するようにしたことを特徴とするエレベータの戸開走行防止装置の点検方法。
【請求項2】
請求項1の記載において、点検時に、前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じていることを検出するドア閉検出手段から前記戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあることを特徴とするエレベータの戸開走行防止装置の点検方法。
【請求項3】
請求項2の記載において、点検時に、前記乗りかごが前記戸開許容ゾーン内に位置するか否かを検出する許容ゾーン内かご検出手段から前記戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあることを特徴とするエレベータの戸開走行防止装置の点検方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、点検作業者が所持する保守装置の操作によって、前記戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定するようにしたことを特徴とするエレベータの戸開走行防止装置の点検方法。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記保守装置の操作によって前記乗りかごの保守運転が指令可能であることを特徴とするエレベータの戸開走行防止装置の点検方法。
【請求項6】
かごドアまたは乗場ドアが開いたまま乗りかごが戸開許容ゾーン外を走行する戸開走行状態が発生したときに、前記乗りかごの駆動装置および制動装置への電力供給路を開閉可能な電磁接触器が設けられた戸開走行防止装置によって、前記乗りかごを停止させるように設計されたエレベータシステムに配備されて、前記乗りかごの運転状況が監視可能なエレベータ監視装置において、
前記戸開走行防止装置に対して点検用信号を出力する戸開走行モード設定手段と、前記戸開走行防止装置から前記電磁接触器の動作信号が入力される異常判定手段とを備えており、前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じているときに、前記戸開走行モード設定手段が前記戸開走行防止装置を前記戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定可能であり、かつ、前記戸開走行モード設定手段によって前記戸開走行防止装置が前記動作状態に設定されているときに、前記電磁接触器の消磁の有無に基づいて前記異常判定手段が前記戸開走行防止装置の故障の有無を判定するように構成したことを特徴とするエレベータ監視装置。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記戸開走行モード設定手段の点検用信号によって、前記かごドアおよび前記乗場ドアが閉じていることを検出するドア閉検出手段から前記戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあることを特徴とするエレベータ監視装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記戸開走行モード設定手段の点検用信号によって、前記乗りかごが前記戸開許容ゾーン内に位置するか否かを検出する許容ゾーン内かご検出手段から前記戸開走行防止装置へ供給される信号が遮断されるようにしてあることを特徴とするエレベータ監視装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項の記載において、点検作業者が所持する保守装置の操作によって、前記戸開走行モード設定手段が前記戸開走行防止装置を戸開走行状態発生時と等価な動作状態に設定可能であると共に、前記異常判定手段の判定結果が前記保守装置の表示部に表示可能であることを特徴とするエレベータ監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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