エレベータの着床検出装置
【課題】エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるエレベータの着床検出装置を提供する。
【解決手段】その表面に複数の異なる色彩部分12a〜12cが上下方向に並設されている、昇降路にそれぞれ固定されたかご位置検出部材12と、色彩部分12a〜12cの色彩を認識する、乗りかごに設けられた色彩認識センサ11と、色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段13とを備える。
【解決手段】その表面に複数の異なる色彩部分12a〜12cが上下方向に並設されている、昇降路にそれぞれ固定されたかご位置検出部材12と、色彩部分12a〜12cの色彩を認識する、乗りかごに設けられた色彩認識センサ11と、色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置に関し、より詳しくは、乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるように改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータには乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する着床検出装置が設けられている(例えば下記特許文献1を参照)。
この着床検出装置について図8を参照しつつ概説すると、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3には、投光および受光を行う反射型光電センサ4a,4b,4cが上下方向に所定の間隔を開けて取り付けられている。
また、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6のうち、反射型光電センサ4a,4b,4cに対向する部分6aは、これらの反射型光電センサから投光された光線を反射する反射部材を構成している。
【0003】
これにより、乗りかご1が乗場ホールに着床すると、乗りかご1に設けた反射型光電センサ4a,4b,4cの各投光部から投光された光線が、反射部材6aの表面で反射し、再び反射型光電センサの各受光部に戻るため、乗りかご1が乗場ホールに着床したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−224529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来の着床検出装置は、3つの反射型光電センサ4a,4b,4cの全てが作動したときに乗りかごが乗場ホールに着床したと判断するようになっている。
【0006】
具体的に説明すると、乗りかご1が上昇して反射型光電センサ4a,4b,4cが下方から反射部材6aに接近するときには、図9の(1)に模式的に示したように、まず最初に上段の反射型光電センサ4aが反射部材6aを検出する。
さらに乗りかご1が上昇すると、図9の(2)に示したように上段および中段の反射型光電センサ4a,4bが反射部材6aを検出する。
そして、乗りかご1がさらに上昇すると、図9の(3)示したように上段、中段および下段の全ての反射型光電センサ4a,4b,4cが反射部材6aを検出する。
次いで、乗りかご1がさらに上昇すると、図10の(4)示したように中段および下段の反射型光電センサ4b,4cが反射部材6aを検出する。
その後、乗りかご1がさらに上昇すると、図10の(5)に示したように下段の反射型光電センサ4cのみが反射部材6aを検出する。
【0007】
これにより、従来の着床検出装置は、その作動を図11の一覧表に示したように、全ての反射型光電センサ4a,4b,4cが反射部材6aを検出した(3)場合が現れたときに、乗りかご1が乗場ホールに着床したものと判断する。
【0008】
しかしながら、反射型光電センサ4a,4b,4cのいずれかが反射部材6aとは異なる物を検出すると、乗りかごが乗場ホールに着床していないにもかかわらず着床したと判断するため、エレベータの運行制御に支障を来す可能性がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるエレベータの着床検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置であって、
その表面に複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されている、昇降路に固定されたかご位置検出部材と、
前記色彩部分の色彩を認識する、前記乗りかごに設けられた色彩認識センサと、
前記色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより前記乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に記載したエレベータの着床検出装置においては、昇降路に固定されたかご位置検出部材の表面に、複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されているため、乗りかごが昇降して乗場ホールに着床するときに色彩認識センサが認識する色彩が逐次変化する。
このとき、色彩認識センサが認識した色彩に基づいて、その色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置を判別手段が判別することにより、その色彩を認識した時点における乗りかごの上下方向位置を正確に検出することができる。
これにより、乗りかご側に設ける色彩認識センサは一つでよいから、従来技術の装置のようにセンサを3つ用いる場合に比較して誤作動の確率を大幅に低減することができるばかりでなく、その構造が簡単であり、取付けや調整を容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータの着床制御装置において、前記判別手段が、前記色彩部分の色彩を予め記憶しており、前記色彩認識センサが認識した色彩と予め記憶している色彩とが相違する場合には異常有りとの情報を送出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、各色彩部分に汚れや異物が付着すると色彩認識センサによる色彩の認識が不安定となるおそれがある。
このとき、請求項2に記載したエレベータの着床制御装置においては、判別手段が各色彩部分の色彩を予め記憶しており、登録されている色彩とは異なる色彩を色彩認識センサ認識したときには、異常有りとの情報を送出する。
これにより、直ちに乗りかごの運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載した手段は、請求項1または2に記載したエレベータの着床制御装置において、前記色彩認識センサに、色彩の認識とは異なる方法で前記かご位置検出部材を検出する他のセンサが並設されていることを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項3に記載したエレベータの着床制御装置においては、色彩認識センサ11が各色彩部分の色彩を認識するときには、他のセンサも同時にかご位置検出部材を検出する。
したがって、色彩認識センサが作動しているのに他のセンサが作動しない場合は、何らかの異常が発生している場合である。
これにより、直ちに乗りかごの運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0016】
なお、かご位置検出部材は、乗場ホールのドア敷居やフェッシャプレート、あるいは乗場ホールのドアを支持するヘッダプレート、若しくは乗りかごの昇降を案内するガイドレール等に取り付けることができる。
また、色彩認識センサは、乗りかごのドア敷居やその近傍、あるいは乗りかごの上部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるエレベータの着床検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の着床検出装置を示す斜視図。
【図2】図1に示した着床検出装置の構造を示すブロック図。
【図3】図1に示した着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図4】図1に示した着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図5】図1に示した着床検出装置の作動を説明する一覧表。
【図6】第1変形例の着床検出装置を示す斜視図。
【図7】第2変形例の着床検出装置を示す斜視図。
【図8】従来の着床検出装置を示す斜視図。
【図9】従来の着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図10】従来の着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図11】従来の着床検出装置の作動を説明する一覧表。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図7を参照し、本発明のエレベータの着床検出装置の一実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1に示した本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、図8に示した従来の着床検出装置と同様に、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3と、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6とを備えている。
そして、かご側ブラケット3には、次述する色彩部分を認識する色彩認識センサ11が設けられている。
また、各階床の各乗場側ブラケット6のうち、色彩認識センサ11に対向する部分6aには、異なる色彩部分12a〜12cが上下方向に並設された色彩板12がそれぞれ貼着されている。
色彩部分12a〜12cは、例えば青色、赤色、緑色に着色することができる。
【0021】
このとき、図2に示したように、上段の色彩部分12aは、各階床毎の基準位置に対して+Z1〜+Z2の範囲に設けられている。
中段の色彩部分12bは、各階床毎の基準位置に対して+Z1〜−Z1の範囲に設けられている。
下段の色彩部分12cは、各階床毎の基準位置に対して−Z1〜−Z2の範囲に設けられている。
なお、各階床毎の基準位置とは、乗場ホールの床面と着床した乗りかごの床面とが面一となったときにおける色彩認識センサ11の上下方向の中心位置を言う。
【0022】
また、図2に示したように、色彩認識センサ11が認識した各色彩部分12a〜12cの色彩に関する情報は上下方向位置判別手段13に送信される。
上下方向位置判別手段13は、各色彩部分12a〜12cの色彩と、その色彩部分の上下方向位置情報とを対比させたマップを内蔵しており、色彩認識センサ11から色彩情報を受信すると、その色彩部分の昇降路内における上下方向位置情報をエレベータの運行制御装置14に送信する。
すると、運行制御装置14は、各色彩部分の昇降路内における上下方向位置情報に基づいて乗りかご1の上下方向位置を算出し、乗りかご1を乗場ホールに着床させるための制御を実行する。
【0023】
次に、図3〜図5を参照し、本実施形態のエレベータの着床検出装置100の作動について説明する。
【0024】
乗りかご1が上昇して色彩認識センサ11が下方から色彩板12に接近すると、図3の(1)に示したように色彩認識センサ11は下段の色彩部分12cの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12cが、その階床の基準位置に対して「−Z2〜−Z1」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「−Z2〜−Z1」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0025】
乗りかご1がさらに上昇すると、図3の(2)に示したように色彩認識センサ11は中段の色彩部分12bの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12bが、その階床の基準位置に対して「−Z1〜+Z1」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「−Z1〜+Z1」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0026】
乗りかご1がさらに上昇すると、図4の(3)に示したように、色彩認識センサ11は上段にある色彩部分12aの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12aが、その階床の基準位置に対して「+Z1〜+Z2」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「+Z1〜+Z2」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0027】
このとき、本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、その作動を図5の表にまとめたように、色彩認識センサ11が各色彩部分の12a〜12cのいずれに対向していても、色彩認識センサ11の上下方向位置、したがって乗りかご1の上下方向位置を確実に検出することができる
【0028】
一方、運行制御装置14は、上下方向位置判別手段13から順次受信した上下方向位置情報に基づいて、その階床の基準位置に対する乗りかご1の上下方向の相対位置を算出する。
このとき、上下方向位置判別手段13から受信する上下方向位置情報の内容が変化した時点は、色彩認識センサ11が上下方向に隣接する2つの色彩部分の境界部分を通過した時点である。
これにより、色彩認識センサ11の上下方向位置が、例えば上下方向に隣接する上段の色彩部分12aと中段の色彩部分12bとの境界部分、したがってその階床の基準位置に対して+Z1であることを検出することができるから、乗りかご1の上下方向位置をより一層正確に検出することができる。
【0029】
すなわち、本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、各階床にそれぞれ設けた色彩板12上の各色彩部分12a〜12cを、乗りかご1に設けた色彩認識センサ11で認識するものであるから、その階床の基準位置に対する乗りかご1の上下方向の相対位置、したがって乗りかご1が乗場ホールに着床したことを確実に検出することができる。
また、乗りかご1に設ける色彩認識センサ11は一つでよいから、従来技術の装置のようにセンサを3つ用いる場合に比較して、誤作動の確率を大幅に低減することができるばかりでなく、その構造が簡単であり、取付けや調整を容易に行うことができる。
【0030】
第1変形例
上述した実施形態の着床検出装置100においては、色彩認識センサ11を乗りかご1のドア敷居2に設けるとともに、乗場ホールのドア敷居5に色彩板12を設けていた。
これに対して、図6に示した第1変形例の着床検出装置110においては、乗りかご1の昇降を案内する左右一対のかご側ガイドレール15L,15Rのうち左側のガイドレール15Lに取り付けたブラケット16によって色彩板12を支持するとともに、乗りかご1の上部に色彩認識センサ11を設ける構造となっている。
このように、色彩認識センサ11および色彩板12を設ける部位は適宜変更することが可能であり、例えば色彩板12を乗場ホールのドア敷居やフェッシャプレートあるいは乗場ドアの開閉を支持するヘッダプレートの近傍に設けることができる。
このとき、昇降路内に差し込んできた光、例えば乗場ホールの照明光が色彩認識センサ11に当たらないように、色彩認識センサ11および色彩板12を設ける位置を選択することが好ましい。
【0031】
第2変形例
図7に示した第2変形例の着床検出装置120は、上述した本発明の着床検出装置100と、遮断型光電センサを用いる従来装置とを組み合わせたものである。
具体的に説明すると、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3には、色彩認識センサ11に加えて遮断型光電センサ21が取り付けられている。
また、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6には、遮断型光電センサ21のための遮断板22が連設されている。
これにより、色彩認識センサ11が色彩板12上の各色彩部分12a〜12cを認識するときには、遮断型光電センサ21が同時に遮断板22を検出する。
したがって、色彩認識センサ11が作動しているのに遮断型光電センサ21が作動しない場合は、色彩認識センサ11あるいは色彩板12に何らかの異常が発生している場合であるから、直ちに乗りかご1の運行を停止して保守点検作業を行うことにより、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0032】
第3変形例
本発明の着床検出装置100は、色彩認識センサ11が各色彩部分12a〜12cの色彩を認識することによって作動する構造である。
このとき、各色彩部分12a〜12cに汚れや異物が付着すると、色彩認識センサ11による色彩の認識が不安定となるおそれがある。
そこで、上下方向位置判別手段13は、各色彩部分12a〜12cの色彩を予め記憶しており、記憶している色彩とは異なる色彩を色彩認識センサ11が認識したときには、異常有りとの情報を運行制御装置14に報告する。
これにより、直ちに乗りかご1の運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0033】
以上、本発明に係るエレベータの着床検出装置の一実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては3つの異なる色彩部分を上下方向に並設した場合を例にとって説明したが、5つの異なる色彩部分を上下方向に並設することもできる。
さらに、上下方向に隣接する2つの色彩部分の間に隙間を設けた場合には、上下方向位置の検出精度が低下するとともに判別のためのロジックが複雑になるが、その様に構成することもまた可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 乗りかご
2 かご側のドア敷居
3 かご側ブラケット
4 反射型光電センサ
5 乗場側のドア敷居
6 乗場側ブラケット
11 色彩認識センサ
12 色彩板(かご位置検出部材)
13 上下方向位置判別手段
14 運行制御装置
100 一実施形態の着床検出装置
110 第1変形例の着床検出装置
120 第2変形例の着床検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置に関し、より詳しくは、乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるように改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータには乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する着床検出装置が設けられている(例えば下記特許文献1を参照)。
この着床検出装置について図8を参照しつつ概説すると、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3には、投光および受光を行う反射型光電センサ4a,4b,4cが上下方向に所定の間隔を開けて取り付けられている。
また、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6のうち、反射型光電センサ4a,4b,4cに対向する部分6aは、これらの反射型光電センサから投光された光線を反射する反射部材を構成している。
【0003】
これにより、乗りかご1が乗場ホールに着床すると、乗りかご1に設けた反射型光電センサ4a,4b,4cの各投光部から投光された光線が、反射部材6aの表面で反射し、再び反射型光電センサの各受光部に戻るため、乗りかご1が乗場ホールに着床したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−224529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来の着床検出装置は、3つの反射型光電センサ4a,4b,4cの全てが作動したときに乗りかごが乗場ホールに着床したと判断するようになっている。
【0006】
具体的に説明すると、乗りかご1が上昇して反射型光電センサ4a,4b,4cが下方から反射部材6aに接近するときには、図9の(1)に模式的に示したように、まず最初に上段の反射型光電センサ4aが反射部材6aを検出する。
さらに乗りかご1が上昇すると、図9の(2)に示したように上段および中段の反射型光電センサ4a,4bが反射部材6aを検出する。
そして、乗りかご1がさらに上昇すると、図9の(3)示したように上段、中段および下段の全ての反射型光電センサ4a,4b,4cが反射部材6aを検出する。
次いで、乗りかご1がさらに上昇すると、図10の(4)示したように中段および下段の反射型光電センサ4b,4cが反射部材6aを検出する。
その後、乗りかご1がさらに上昇すると、図10の(5)に示したように下段の反射型光電センサ4cのみが反射部材6aを検出する。
【0007】
これにより、従来の着床検出装置は、その作動を図11の一覧表に示したように、全ての反射型光電センサ4a,4b,4cが反射部材6aを検出した(3)場合が現れたときに、乗りかご1が乗場ホールに着床したものと判断する。
【0008】
しかしながら、反射型光電センサ4a,4b,4cのいずれかが反射部材6aとは異なる物を検出すると、乗りかごが乗場ホールに着床していないにもかかわらず着床したと判断するため、エレベータの運行制御に支障を来す可能性がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるエレベータの着床検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置であって、
その表面に複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されている、昇降路に固定されたかご位置検出部材と、
前記色彩部分の色彩を認識する、前記乗りかごに設けられた色彩認識センサと、
前記色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより前記乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に記載したエレベータの着床検出装置においては、昇降路に固定されたかご位置検出部材の表面に、複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されているため、乗りかごが昇降して乗場ホールに着床するときに色彩認識センサが認識する色彩が逐次変化する。
このとき、色彩認識センサが認識した色彩に基づいて、その色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置を判別手段が判別することにより、その色彩を認識した時点における乗りかごの上下方向位置を正確に検出することができる。
これにより、乗りかご側に設ける色彩認識センサは一つでよいから、従来技術の装置のようにセンサを3つ用いる場合に比較して誤作動の確率を大幅に低減することができるばかりでなく、その構造が簡単であり、取付けや調整を容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータの着床制御装置において、前記判別手段が、前記色彩部分の色彩を予め記憶しており、前記色彩認識センサが認識した色彩と予め記憶している色彩とが相違する場合には異常有りとの情報を送出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、各色彩部分に汚れや異物が付着すると色彩認識センサによる色彩の認識が不安定となるおそれがある。
このとき、請求項2に記載したエレベータの着床制御装置においては、判別手段が各色彩部分の色彩を予め記憶しており、登録されている色彩とは異なる色彩を色彩認識センサ認識したときには、異常有りとの情報を送出する。
これにより、直ちに乗りかごの運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載した手段は、請求項1または2に記載したエレベータの着床制御装置において、前記色彩認識センサに、色彩の認識とは異なる方法で前記かご位置検出部材を検出する他のセンサが並設されていることを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項3に記載したエレベータの着床制御装置においては、色彩認識センサ11が各色彩部分の色彩を認識するときには、他のセンサも同時にかご位置検出部材を検出する。
したがって、色彩認識センサが作動しているのに他のセンサが作動しない場合は、何らかの異常が発生している場合である。
これにより、直ちに乗りかごの運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0016】
なお、かご位置検出部材は、乗場ホールのドア敷居やフェッシャプレート、あるいは乗場ホールのドアを支持するヘッダプレート、若しくは乗りかごの昇降を案内するガイドレール等に取り付けることができる。
また、色彩認識センサは、乗りかごのドア敷居やその近傍、あるいは乗りかごの上部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを確実に検出できるエレベータの着床検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の着床検出装置を示す斜視図。
【図2】図1に示した着床検出装置の構造を示すブロック図。
【図3】図1に示した着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図4】図1に示した着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図5】図1に示した着床検出装置の作動を説明する一覧表。
【図6】第1変形例の着床検出装置を示す斜視図。
【図7】第2変形例の着床検出装置を示す斜視図。
【図8】従来の着床検出装置を示す斜視図。
【図9】従来の着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図10】従来の着床検出装置の作動を説明する模式図。
【図11】従来の着床検出装置の作動を説明する一覧表。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図7を参照し、本発明のエレベータの着床検出装置の一実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1に示した本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、図8に示した従来の着床検出装置と同様に、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3と、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6とを備えている。
そして、かご側ブラケット3には、次述する色彩部分を認識する色彩認識センサ11が設けられている。
また、各階床の各乗場側ブラケット6のうち、色彩認識センサ11に対向する部分6aには、異なる色彩部分12a〜12cが上下方向に並設された色彩板12がそれぞれ貼着されている。
色彩部分12a〜12cは、例えば青色、赤色、緑色に着色することができる。
【0021】
このとき、図2に示したように、上段の色彩部分12aは、各階床毎の基準位置に対して+Z1〜+Z2の範囲に設けられている。
中段の色彩部分12bは、各階床毎の基準位置に対して+Z1〜−Z1の範囲に設けられている。
下段の色彩部分12cは、各階床毎の基準位置に対して−Z1〜−Z2の範囲に設けられている。
なお、各階床毎の基準位置とは、乗場ホールの床面と着床した乗りかごの床面とが面一となったときにおける色彩認識センサ11の上下方向の中心位置を言う。
【0022】
また、図2に示したように、色彩認識センサ11が認識した各色彩部分12a〜12cの色彩に関する情報は上下方向位置判別手段13に送信される。
上下方向位置判別手段13は、各色彩部分12a〜12cの色彩と、その色彩部分の上下方向位置情報とを対比させたマップを内蔵しており、色彩認識センサ11から色彩情報を受信すると、その色彩部分の昇降路内における上下方向位置情報をエレベータの運行制御装置14に送信する。
すると、運行制御装置14は、各色彩部分の昇降路内における上下方向位置情報に基づいて乗りかご1の上下方向位置を算出し、乗りかご1を乗場ホールに着床させるための制御を実行する。
【0023】
次に、図3〜図5を参照し、本実施形態のエレベータの着床検出装置100の作動について説明する。
【0024】
乗りかご1が上昇して色彩認識センサ11が下方から色彩板12に接近すると、図3の(1)に示したように色彩認識センサ11は下段の色彩部分12cの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12cが、その階床の基準位置に対して「−Z2〜−Z1」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「−Z2〜−Z1」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0025】
乗りかご1がさらに上昇すると、図3の(2)に示したように色彩認識センサ11は中段の色彩部分12bの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12bが、その階床の基準位置に対して「−Z1〜+Z1」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「−Z1〜+Z1」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0026】
乗りかご1がさらに上昇すると、図4の(3)に示したように、色彩認識センサ11は上段にある色彩部分12aの色彩を認識し、その色彩情報を上下方向位置判別手段13に送信する。
上下方向位置判別手段13は、受信した色彩情報と内蔵しているマップとを対比することにより、この色彩部分12aが、その階床の基準位置に対して「+Z1〜+Z2」の範囲に設けられていることを判別する。
そして、上下方向位置判別手段13は、この「+Z1〜+Z2」という上下方向位置情報を運行制御装置14に送信する。
【0027】
このとき、本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、その作動を図5の表にまとめたように、色彩認識センサ11が各色彩部分の12a〜12cのいずれに対向していても、色彩認識センサ11の上下方向位置、したがって乗りかご1の上下方向位置を確実に検出することができる
【0028】
一方、運行制御装置14は、上下方向位置判別手段13から順次受信した上下方向位置情報に基づいて、その階床の基準位置に対する乗りかご1の上下方向の相対位置を算出する。
このとき、上下方向位置判別手段13から受信する上下方向位置情報の内容が変化した時点は、色彩認識センサ11が上下方向に隣接する2つの色彩部分の境界部分を通過した時点である。
これにより、色彩認識センサ11の上下方向位置が、例えば上下方向に隣接する上段の色彩部分12aと中段の色彩部分12bとの境界部分、したがってその階床の基準位置に対して+Z1であることを検出することができるから、乗りかご1の上下方向位置をより一層正確に検出することができる。
【0029】
すなわち、本実施形態のエレベータの着床検出装置100は、各階床にそれぞれ設けた色彩板12上の各色彩部分12a〜12cを、乗りかご1に設けた色彩認識センサ11で認識するものであるから、その階床の基準位置に対する乗りかご1の上下方向の相対位置、したがって乗りかご1が乗場ホールに着床したことを確実に検出することができる。
また、乗りかご1に設ける色彩認識センサ11は一つでよいから、従来技術の装置のようにセンサを3つ用いる場合に比較して、誤作動の確率を大幅に低減することができるばかりでなく、その構造が簡単であり、取付けや調整を容易に行うことができる。
【0030】
第1変形例
上述した実施形態の着床検出装置100においては、色彩認識センサ11を乗りかご1のドア敷居2に設けるとともに、乗場ホールのドア敷居5に色彩板12を設けていた。
これに対して、図6に示した第1変形例の着床検出装置110においては、乗りかご1の昇降を案内する左右一対のかご側ガイドレール15L,15Rのうち左側のガイドレール15Lに取り付けたブラケット16によって色彩板12を支持するとともに、乗りかご1の上部に色彩認識センサ11を設ける構造となっている。
このように、色彩認識センサ11および色彩板12を設ける部位は適宜変更することが可能であり、例えば色彩板12を乗場ホールのドア敷居やフェッシャプレートあるいは乗場ドアの開閉を支持するヘッダプレートの近傍に設けることができる。
このとき、昇降路内に差し込んできた光、例えば乗場ホールの照明光が色彩認識センサ11に当たらないように、色彩認識センサ11および色彩板12を設ける位置を選択することが好ましい。
【0031】
第2変形例
図7に示した第2変形例の着床検出装置120は、上述した本発明の着床検出装置100と、遮断型光電センサを用いる従来装置とを組み合わせたものである。
具体的に説明すると、乗りかご1のドア敷居2の端部に固定されたかご側ブラケット3には、色彩認識センサ11に加えて遮断型光電センサ21が取り付けられている。
また、各階床のドア敷居5の端部に固定された乗場側ブラケット6には、遮断型光電センサ21のための遮断板22が連設されている。
これにより、色彩認識センサ11が色彩板12上の各色彩部分12a〜12cを認識するときには、遮断型光電センサ21が同時に遮断板22を検出する。
したがって、色彩認識センサ11が作動しているのに遮断型光電センサ21が作動しない場合は、色彩認識センサ11あるいは色彩板12に何らかの異常が発生している場合であるから、直ちに乗りかご1の運行を停止して保守点検作業を行うことにより、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0032】
第3変形例
本発明の着床検出装置100は、色彩認識センサ11が各色彩部分12a〜12cの色彩を認識することによって作動する構造である。
このとき、各色彩部分12a〜12cに汚れや異物が付着すると、色彩認識センサ11による色彩の認識が不安定となるおそれがある。
そこで、上下方向位置判別手段13は、各色彩部分12a〜12cの色彩を予め記憶しており、記憶している色彩とは異なる色彩を色彩認識センサ11が認識したときには、異常有りとの情報を運行制御装置14に報告する。
これにより、直ちに乗りかご1の運行を停止して保守点検作業を行うことができるから、エレベータの運行をより一層安定させることができる。
【0033】
以上、本発明に係るエレベータの着床検出装置の一実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては3つの異なる色彩部分を上下方向に並設した場合を例にとって説明したが、5つの異なる色彩部分を上下方向に並設することもできる。
さらに、上下方向に隣接する2つの色彩部分の間に隙間を設けた場合には、上下方向位置の検出精度が低下するとともに判別のためのロジックが複雑になるが、その様に構成することもまた可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 乗りかご
2 かご側のドア敷居
3 かご側ブラケット
4 反射型光電センサ
5 乗場側のドア敷居
6 乗場側ブラケット
11 色彩認識センサ
12 色彩板(かご位置検出部材)
13 上下方向位置判別手段
14 運行制御装置
100 一実施形態の着床検出装置
110 第1変形例の着床検出装置
120 第2変形例の着床検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置であって、
その表面に複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されている、昇降路に固定されたかご位置検出部材と、
前記色彩部分の色彩を認識する、前記乗りかごに設けられた色彩認識センサと、
前記色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより前記乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とするエレベータの着床検出装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記色彩部分の色彩を予め記憶しており、前記色彩認識センサが認識した色彩と予め記憶している色彩とが相違する場合には異常有りとの情報を送出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの着床検出装置。
【請求項3】
前記色彩認識センサには、色彩の認識とは異なる方法で前記かご位置検出部材を検出する他のセンサが並設されていることを特徴とする請求項1または2に記載したエレベータの着床検出装置。
【請求項1】
エレベータの乗りかごが乗場ホールに着床したことを検出する装置であって、
その表面に複数の異なる色彩部分が上下方向に並設されている、昇降路に固定されたかご位置検出部材と、
前記色彩部分の色彩を認識する、前記乗りかごに設けられた色彩認識センサと、
前記色彩認識センサが認識した色彩とその色彩の色彩部分の昇降路内における上下方向位置とを対比することにより前記乗りかごの上下方向位置を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とするエレベータの着床検出装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記色彩部分の色彩を予め記憶しており、前記色彩認識センサが認識した色彩と予め記憶している色彩とが相違する場合には異常有りとの情報を送出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの着床検出装置。
【請求項3】
前記色彩認識センサには、色彩の認識とは異なる方法で前記かご位置検出部材を検出する他のセンサが並設されていることを特徴とする請求項1または2に記載したエレベータの着床検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−37580(P2011−37580A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186435(P2009−186435)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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