説明

エレベータの籠ドア装置

【課題】本発明は、ドアパネルが閉位置の直前でセイフティシューを引込むための機構が簡素であるドアセイフティを備えるエレベータの籠ドア装置を提供する。
【解決手段】籠ドア装置100は、ドアパネル1とベース2とレール3と敷居4とドアセイフティ5とを備える。ドアセイフティ5は、セイフティシュー52とスイッチ53とアーム54とカム55とを備える。スイッチ53は、セイフティシュー52がドアパネル1側に変位したことを検出する。アーム54は、ドアパネル1に装着されるとともにセイフティシュー52に連結されて、このセイフティシュー52をドアパネル1側に変位させる。カム55は、ドアパネル1の移動方向に沿って設けられ、ドアパネル1が閉位置D1のときにセイフティシュー52がドアパネル1側に引込んだ状態になる位置にアーム54を変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアパネルが閉じられた場合にドアパネル側に後退する引込み式のセイフティシューを備えるエレベータの籠ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのドア装置は、乗客や荷物などを挟まないように、障害物を物理的に検知するドアセイフティが装備されている。このドアセイフティは、ドアパネルが移動している間に戸当り側の縁部から突出しているセイフティシューを備える。ドアパネルが閉まる方向に移動しているときにセイフティシューがドアパネル側に押し込まれると、ドアセイフティが備えている検出スイッチでこれを検出して、ドアパネルは移動方向を開く方向に変更される。セイフティシューは、ドアパネルが完全に閉じられた場合に戸当り部に衝突しないように、全閉する直前に引込まれる機構を備えている。
【0003】
特許文献1に記載されたエレベータ用ドアー安全装置は、ドアパネルの位置によってセイフティシューの突出量を調節するリンク機構を備えている。このリンク機構は、一方の端部が乗籠の戸袋側に配置された固定体に連結されている。ドアパネルが移動すると、ドアパネルとセイフティシューとを連結する平行リンクに、リンク機構に設けられたカムが作用することでセイフティシューの突出量が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2620134号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された装置の場合、セイフティシューを変位させるリンク機構は、戸袋に設置される固定体に支持されている。したがって、リンク機構は、ドアパネルが開位置から閉位置まで移動する間、ドアパネルにつながっているように構成されなければならないし、ドアパネルおよびその開閉装置に干渉することなく配置されなければならない。その結果、リンク機構および固定体が嵩張ったものになるため、昇降路における乗籠の容積率を高くすることができないだけでなく、乗籠の重量も増加してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ドアパネルが閉位置の直前でセイフティシューを引込むための機構が簡素であるドアセイフティを備えるエレベータの籠ドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータの籠ドア装置は、ベースとレールと敷居とドアパネルとドアセイフティとを備える。ベースは、乗籠の乗口の上部に設置する。レールは、ベースに取り付ける。敷居は、乗口の下部に設置する。ドアパネルは、乗口を塞ぐ閉位置から乗口を開放する開位置までの間をレールおよび敷居に沿って移動する。ドアセイフティは、少なくともドアパネルが閉じられる閉方向に移動している間にドアパネルと干渉する物体を検出する。そしてドアセイフティは、セイフティシューとスイッチとアームとカムとを備える。セイフティシューは、閉位置から開位置までの間でドアパネルの閉位置側の縁から突出した状態に配置され、ドアパネル側に引込まれる方向へ変位する。スイッチは、セイフティシューがドアパネル側に変位したことを検出する。アームは、ドアパネルに装着されるとともにセイフティシューに連結されて、このセイフティシューをドアパネル側に変位させる。カムは、ドアパネルの移動方向に沿って設けられ、ドアパネルが閉位置のときにセイフティシューがドアパネル側に引込んだ状態になる位置にアームを変位させる。
【0008】
また、カムは、ドアパネルが閉位置に向かって移動するにしたがって、アームをドアパネルの移動方向と交差する方向に案内する傾斜部を有する。このカムは、ドアパネルの上方または下方に配置する。また、アームは、セイフティシューとともに平行リンクを構成する。
【0009】
アームは、ドアパネルが閉位置に向かって移動するにしたがってセイフティシューに対するスイッチの相対位置を保持したままで、セイフティシューをドアパネル側に引込む方向へカムに案内されて変位する。このとき、スイッチは、セイフティシューをドアパネルに連結するリンクの支点を中心に回動するセイフティベースに取り付けられ、アームは、セイフティベースを介してセイフティシューと平行リンクを構成する。
【0010】
カムは、ドアパネルが閉位置にある場合のセイフティシューの引込み量またはドアパネルが移動する途中でセイフティシューが引込まれ始めるタイミングを変化させる調整機構を備えてもよい。さらにカムは、ドアパネルが開位置にある場合にもセイフティシューをドアパネル側に引込んだ状態にする位置にアームを変位させるように構成されてもよい。
【0011】
上述のドアパネルが、乗口の中央で互いに突き当たることで閉位置になる両開きの一対に配置され、それぞれがセイフティシューを有する場合、一方のドアパネルに対して設けられるカムおよび他方のドアパネルに対して設けられるカムは、乗口の中央に対して他方のドアパネル側へ偏心させて配置する。または、一対のドアパネルがそれぞれ閉位置で突き当たる状態で、一方のドアパネルに設けられたセイフティシューは、他方のドアパネル側へ突出し、他方のドアパネルに設けられたセイフティシューは、一方のドアパネルのセイフティシューが突出している量よりも少し大きく引込む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエレベータの籠ドア装置は、閉位置でセイフティシューをドアパネル側に引込むためのアームを、そのセイフティシューが設けられているドアパネルに装着しており、ドアパネルの移動方向に沿って設けられたカムによってこのアームを変化させる。籠ドア装置が、構造的に嵩張ることも無く簡素になる。したがって、このエレベータは、昇降路内の空間を有効に活用して少しでも容積率の高い乗籠を設定することができる。
【0013】
また、ドアパネルの移動方向に対して交差する方向へアームを案内する傾斜部がカムに設けられている発明によれば、アーム及びその先に取り付けられたセイフティシューを変位させるための抵抗を小さくすることができる。そのため、ドアパネルの動作を妨げることなく、ドアパネルを移動させる駆動力を有効に活用できる。また、セイフティシューをドアパネルの側部から突出させておくための力は、セイフティシュー及びアームの重量によって発生させることができる。したがって、部品点数が少なく、構造が簡素化される。カムをドアパネルの下方に配置する場合、アームの一部を敷居に対するドアパネルのガイドとして機能させることができる。
【0014】
アームがセイフティシューともに平行リンクを構成する発明によれば、衝突した物体からどの部分でセイフティシューが力を受けても、その力をアームに対して均等に伝達することができる。また、カムによってアームが変位した場合にセイフティシューが均等に変位するので見栄えもよい。
【0015】
セイフティシューの変位を検出するスイッチがセイフティベースに設置され、アームがセイフティベースを解してセイフティシューに連結された発明によれば、アームがカムによって変位する場合、セイフティシューに対するスイッチの相対位置を維持したまま、セイフティシューをドアパネル側に引込む方向へ変位させることができる。したがって、セイフティシューをドアパネル側に引込む間も、ドアセイフティとしての機能を活かしたままにすることができる。
【0016】
カムがドアパネルの移動方向に沿って、カムの取付位置を調整する調整機構を有した発明によれば、セイフティシューをドアパネル側に引込む両及び引込むタイミングの調整を容易に行うことができる。この籠ドア装置は、ドアパネルが移動する方向に沿ってカムが配置され、セイフティシューに連結されたアームを変位させることで、セイフティシューをドアパネル側に格納する。したがって、ドアパネルが開位置にあるときにセイフティシューがドアパネル側に引込まれる機能を追加することも容易に行える。
【0017】
また、両開き式の籠ドア装置である場合、それぞれのドアパネルに対応して設けられるカムを乗口の中央よりもどちらかに偏心させて配置する発明によれば、ドアパネルが完全に閉じられる直前まで、ドアセイフティを有効に機能させておくことができる。このとき、ドアパネルが完全に閉じられた状態で、一方のドアパネルのセイフティシューを他方のドアパネル側に突出させ、他方のドアパネルのセイフティシューを一方のドアパネルのセイフティシューが突出している量よりも少し大きく引込む。これによって、両方のドアパネルが完全に閉じられた状態であっても、一方のドアパネルのドアセイフティを機能させておくことができる。両方のドアパネルが移動している間は、それぞれのドアパネルにセイフティシューが設けられているので、どちらのドアパネルに物体が接触しても検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態の籠ドア装置を示す正面図。
【図2】図1に示した籠ドア装置のドアパネルが移動途中である場合のドアセイフティの正面図。
【図3】図2に示したドアセイフティのセイフティシューに障害物が接触した状態の正面図。
【図4】図1に示した籠ドア装置のドアパネルが閉位置にある場合のドアセイフティの正面図。
【図5】図2に示したドアセイフティのカムの調整機構の分解斜視図。
【図6】本発明の第2の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図7】本発明の第3の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図8】図7に示したドアセイフティのセイフティシューに障害物が接触した状態の正面図。
【図9】図7に示した籠ドア装置のドアパネルが閉位置にある場合のドアセイフティの正面図。
【図10】本発明の第4の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図11】図10に示したドアセイフティのセイフティシューに障害物が接触した状態の正面図。
【図12】図10に示した籠ドア装置のドアパネルが閉位置にある場合のドアセイフティの正面図。
【図13】本発明の第5の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図14】本発明の第6の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図15】図14に示したドアセイフティのセイフティシューに障害物が接触した状態の正面図。
【図16】図14に示した籠ドア装置のドアパネルが閉位置にある場合のドアセイフティの正面図。
【図17】本発明の第7の実施形態の籠ドア装置のドアセイフティを示す正面図。
【図18】図17に示した籠ドア装置のドアパネルが閉位置になる直前の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る第1の実施形態のエレベータの籠ドア装置100は、図1から図5を参照して説明する。籠ドア装置100は、エレベータの乗籠の乗口Gに設置される。籠ドア装置100をエレベータホール側から見た状態を図1に示す。この籠ドア装置100は、中央から左右にドアパネル1がスライドする両開き式であって、ベース2と、レール3と、敷居4と、一対のドアパネル1と、ドアセイフティ5とを備える。この他に籠ドア装置100は、ドアパネル1を移動させるためのドア駆動装置6や駆動モータを備えている。
【0020】
ベース2は、乗籠の乗口Gの上部に設置される。レール3は、ドアパネル1が移動する水平方向に沿って、ベース2に取り付けられている。敷居4は、乗口Gの下部に設置されており、ドアパネル1を案内する溝41を有している。ドアパネル1は、レール3に掛けられるハンガーローラ11を上部に有し、敷居4の溝41に挿入されるガイド12を底部に有している。ドアパネル1は、乗口Gを塞ぐ閉位置D1から乗口Gを開放する開位置D2までの間をレール3および敷居4に沿って移動する。
【0021】
ドアセイフティ5は、ドアパネル1が閉じられる方向に移動している間にドアパネル1と干渉する物体を検出するために設けられており、セイフティベース51とセイフティシュー52とスイッチ53とアーム54とカム55とセイフティコントローラ56とをそれぞれのドアパネル1に備えている。セイフティベース51は、ドアパネル1の上部に取り付けられている。セイフティベース51には、セイフティシュー52の上部側のリンク521の支点522が設けられ、スイッチ53とストッパ57とが取り付けられている。
【0022】
セイフティシュー52は、図1に示すように、上部および下部がそれぞれドアパネル1に対して同じ長さのリンク521,523で同じ角度に連結され、平行リンクを構成している。上部側のリンク521は、セイフティベース51に設けられた支点522に装着され、下部側のリンク523は、ドアパネル1に直接設けられた支点524に装着されている。セイフティシュー52は、ドアパネル1の閉位置D1側の縁13よりも一定の寸法が突出した突出位置(第1状態)P1から、ドアパネル1側に引込まれた格納位置(第2状態)P2まで、ドアパネル1の縁と平行を保ったまま変位する。セイフティシュー52は、その自重でドアパネル1の閉位置D1側の縁13から突出する方向に付勢されており、ドアパネル1が閉位置D1から開位置D2まで移動する間、突出位置(第1状態)P1に配置される。
【0023】
セイフティシュー52の上部側のリンク521には、図2に示すように、リンク521の支点522からリンク521と反対側に延びる支持片58が取り付けられている。支持片58は、図2に示すようにセイフティベース51に設置されたストッパ57に当接している。ストッパ57は、セイフティシュー52がドアパネル1の縁13から一定寸法を突出させた突出位置(第1状態)P1で止まるように、セイフティシュー52を保持している。
【0024】
スイッチ53は、図2に示すようにセイフティベース51に取り付けられており、図1に示すようにセイフティコントローラ56に接続されている。スイッチ53は、内蔵する接点を操作するためのレバー531を有している。セイフティシュー52が突出位置(第1状態)P1である場合、レバー531は支持片58の先端によって押さえられている。図3に示すように、ドアパネル1が移動途中である場合にセイフティシュー52がドアパネル1側に変位すると、支持片58がレバー531から離れるので、スイッチ53は開放される。スイッチ53は、開放されたことによって、セイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれるように変位した、つまり図3に示すようにドアパネル1が閉じられる方向に移動している途中でそのドアパネル1に干渉する物体となる障害物Mにセイフティシュー52が接触したことを検出する。
【0025】
アーム54は、図1に示すように左右両側のドアパネル1にリンク521,523を介してそれぞれ組みつけられている。アーム54は、ドアパネル1の上部及び下部に設けられたリンク521,523の両方に対して、各リンク521,523の支点522,524とセイフティシュー52側の接続部525,526との間の位置に設けられる連結部527,528に接続されており、したがって、セイフティシュー52と同じく平行リンクを成す。アーム54が鉛直方向へ変位するとリンク521,523が回動するので、セイフティシュー52は、ドアパネル1側へ引込まれるように変位する。アーム54は、上端にカム55に案内されるローラ541を備えている。
【0026】
カム55は、図1に示すように、レール3よりも上方の位置のベース2に取り付けられ、各ドアパネル1が移動する範囲に対応させて設けられている。カム55は、図2に示すように、水平部551と閉側傾斜部552と開側傾斜部553とを有している。水平部551は、ドアパネル1が閉位置D1と開位置D2との間を移動する間、アーム54のローラ541をドアパネル1に対して変位させることなく案内する。
【0027】
閉側傾斜部552は、ローラ541を介してアーム54をドアパネル1に対してこのドアパネル1の移動方向と交差する上方へ案内する。閉側傾斜部552と水平部551との境界554は、両方のドアパネル1のセイフティシュー52が互いに衝突する直前にローラ541がカム55と転接する位置に設けられる。そして、閉側傾斜部552の勾配は、セイフティシュー52どうしが接触しないぎりぎりの距離を保ったまま、ドアパネル1が閉位置D1に向けて移動する距離と同じ距離だけドアパネル1側にセイフティシュー52が後退するようにアーム54を上方に変位させる角度に、設定される。したがって、乗口Gの中央C寄りの閉側傾斜部552の端部552aは、ドアパネル1が閉位置D1になったときにセイフティシュー52を格納位置(第2の状態)P2にする高さにアーム54を引き上げる。
【0028】
開側傾斜部553は、閉側傾斜部552と対称的に設けられ、ドアパネル1が開位置D2である場合にセイフティシュー52を格納位置P2にする勾配を有している。
【0029】
セイフティコントローラ56は、図1に示すように、両方のドアパネル1に各々設けられたスイッチ53に接続されている。セイフティシュー52が押し込まれたことをどちらかでも一方のスイッチ53で検出すると、セイフティコントローラ56は、ドア駆動装置6に対してドアパネル1を開位置D2に向かって移動させる戸開信号を出力する。セイフティコントローラ56から出力された戸開信号は、ドア駆動装置6に入力される他の信号に優先して実行される。
【0030】
次に、以上のように構成された籠ドア装置100の動作について説明する。籠ドア装置100は、ドアパネル1が閉位置D1と開位置D2との間を移動する間、セイフティシュー52を突出位置(第1の状態)P1に保持した、図2に示す状態である。また、ドアパネル1の移動に伴ってアーム54のローラ541がカム55の水平部551を転動する。この状態において、図3に示すようにセイフティシュー52に乗客や荷物などの障害物Mが接触することによってセイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれると、リンク521,523が支点522,524を中心に回動する。このとき、アーム54は、リンク521,523に連結されているので、上方へ押し上げられ、ローラ541がカム55の水平部551から離れて浮きあがる。
【0031】
この結果、支持片58がストッパ57から離間するとともにスイッチ53のレバー531が開放されるので、スイッチ53はセイフティシュー52が押し込まれたことを検出する。セイフティコントローラ56は、どちらか一方のスイッチ53の信号を検出すると、戸開信号をドア駆動装置6に向けて出力する。ドア駆動装置6は、ドアパネル1を開位置D2に向けて移動させている場合、ドアパネル1を開位置D2に向けて引き続き移動させる。また、ドアパネル1を閉位置D1に向けて移動させている場合、ドア駆動装置6は、ドアパネル1の移動方向を反転し、ドアパネル1を開位置D2に向けて移動させる。
【0032】
また、ドアパネル1が閉位置D1の直前まで移動し、ローラ541がカム55の閉側傾斜部552に差し掛かると、アーム54が上方へ変位させられる。これにより、リンク521,523が支点522,524を中心に回動し、セイフティシュー52が格納位置P2に向かって引込まれる。図4に示すように、ドアパネル1が閉位置D1に到達し、乗口Gが完全に閉じられると、ローラ541はカム55の閉側傾斜部552の端部552aにちょうど到達する。その結果、アーム54が引き上げられることによって、セイフティシュー52は、ドアパネル1の縁13よりも引込んだ状態の格納位置P2に保持される。
【0033】
セイフティシュー52がアーム54によってある量以上引込まれると、スイッチ53が作動して検出信号を出力するようになる。そこで、カム55によってアーム54が引き上げられ始める閉位置D1近傍にドアパネル1が差し掛かると、スイッチ53が作動する前に、例えば、ローラ541がカム55の閉側傾斜部552に差し掛かりアーム54が変位されると同時に、あるいは、スイッチ53が検出する直前に、セイフティコントローラ56は、スイッチ53を無効にするように制御する。
【0034】
このように、両開きの籠ドア装置100は、ドアパネル1のそれぞれに設けられたセイフティシュー52が互いに接触しない距離にまで接近させた後、その相対距離を保つようにセイフティシュー52を引っ込めつつドアパネル1を閉じる。ドアパネル1が閉位置D1に達する直前までセイフティシュー52が突出して機能した状態であるので、障害物Mなどを確実に検出することができる。また、ドアパネル1が閉位置D1に近づいたときにセイフティシュー52の突出量をドアパネル1の移動に合わせて引っ込める機構としてアーム54とカム55とを備え、そのアーム54が各ドアパネル1に装着されている。この籠ドア装置100は、ドアパネル1が閉じられる直前にセイフティシュー52を引込めるための機構を簡素でかつ小ぢんまりとした構造にすることができる。
【0035】
さらに、本実施形態の籠ドア装置100は、カム55に開側傾斜部553を有している。したがって、ドアパネル1が開位置D2に接近し、ローラ541が開側傾斜部553に差し掛かると、アーム54が引き上げられ始める。これによって、セイフティシュー52は、ドアパネル1側に引込まれ、ドアパネル1が開位置D2に到達するころには格納位置P2に保持される。乗口Gが開かれた状態でセイフティシュー52が乗口Gに突出しないので、ドアパネル1を引込む戸袋を小さく設定することができ、かつ、乗口Gの間口を最大に利用できる。また、籠ドア装置100が開かれた状態における見栄えが良い。
【0036】
本実施形態において、セイフティシュー52がドアパネル1側に引込まれるべき方向と、アーム54がカム55によって引き上げられる方向とは、互いに直交するように設定されている。したがって、障害物Mなどが接触してセイフティシュー52が押し込まれる場合も、アーム54がカム55によって引き上げられる場合もリンク521,523が支点522,524を中心に回動する構造であれば、図1から図4に示した以外の形状であっても良い。例えば、支点522,524から上方へ延びる第1枝部にセイフティシュー52を連結し、支点522,524から閉位置D1側へほぼ水平に延びる第2枝部にアーム54を連結したL字形状のリンク、または、支点522,524から下方へ延びる第1枝部にセイフティシュー52を連結し、支点522,524からドアパネル1の開位置D2側へほぼ水平に延びる第2枝部にアーム54を連結したL字形状のリンク、あるいは、支点522,524から閉位置D1側に延びた位置に設けられる屈曲部にアーム54を連結し、屈曲部から上方に向かって延びた先端部にセイフティシュー52を連結したリンクなどを採用することができる。このとき支点522,524から第1枝部と第2枝部が延びたL字形状のリンクを採用する場合は、セイフティシュー52を突出位置P1に維持できるように捩りコイルバネなどを支点522,524に装着する。
【0037】
また、籠ドア装置100において、ドアパネル1が開位置D2である場合に乗口G側へセイフティシュー52が突出するように設定される、あるいは、セイフティシュー52を乗口Gに突出させない位置にドアパネル1の開位置D2が設定されるのであれば、開側傾斜部553は必ずしも必須のものではない。また、アーム54は、セイフティシュー52の上部及び下部のリンク521,523の両方に連結されて平行リンクを成す代わりに、上部のリンク521にのみ連結され、スロットとピンあるいはリブなどのガイド機構によってアーム54をドアパネル1が移動する方向に対して交差する方向へ案内することができる構造を有していてもよい。
【0038】
本実施形態において、アーム54がローラ541を介してカム55に懸架された状態である間は、リンク521に直接的にアーム54の重量が掛かることは無い。しかし、障害物Mがセイフティシュー52に触れるなど、セイフティシュー52が格納位置P2へ押し込まれた場合、セイフティシュー52とアーム54とを合わせた重量分の荷重がセイフティシュー52を突出させる方向に作用する。そこで、この重量を相殺するために、ドアパネル1が移動している間にセイフティシュー52を格納しない程度のトルクを捩りコイルバネのようなものでセイフティシュー52を引込める方向にリンク521,523に付与しておいても良い。
【0039】
本実施形態の籠ドア装置100は、両開き式の場合を例に説明した。この場合、この籠ドア装置100の片方のドアパネル1に設けたドアセイフティ5は、片開き式の籠ドア装置のドアセイフティとしても適用することができる。このときドアパネル1が2枚戸、3枚戸であっても、同じ機構で対応することができる。また、セイフティシュー52をドアパネル1側に格納し始める位置を決定するカム55の水平部551と閉側傾斜部552との境界554は、片開き式の籠ドア装置の戸当り部にセイフティシュー52が当らないぎりぎりの位置、あるいは、戸当り部にセイフティシュー52が接触していてもスイッチ53が作動しない範囲内の位置に設定される。
【0040】
本実施形態では、両開き式の籠ドア装置100のドアパネル1のそれぞれに設けられるセイフティシュー52が戸閉直前に互いに衝突しないぎりぎりの距離を保つように設定された場合を例に説明した。セイフティシュー52は、押し込まれたことを検出するために必要なストロークが設定される。したがって、スイッチ53が作動して検出信号を出力しない範囲であれば、セイフティシュー52どうしが互いに押し合っていても良い。つまり、ドアパネル1が閉位置D1に到達する直前にセイフティシュー52どうしが隙間無く当接する状態にすることも可能である。
【0041】
セイフティシュー52がドアパネル1側に引込まれる開始位置を決定するカム55の水平部551と閉側傾斜部552との境界、または、ドアパネル1が閉位置D1にある場合のセイフティシュー52の引込み量は、図5に示す調整機構7によって微調節することができる。調整機構7は、カム55をベース2に固定する部分に設けられる。調整機構7は、例えば、カム55の固定孔として設けられる水平方向に延びた長孔71と、ベース2の取付け位置側に設けられる鉛直方向に延びた長孔72と、これらを締結するボルト73及びナット74とで構成される。カム55の固定孔として設けられる長孔71とベース2の取付け位置に設けられる長孔72は、互いに交差する方向に長くなるように配置されていれば同じ機能を果たす。したがってカム55側に鉛直方向に延びた長孔72を設け、ベース2側に水平方向に延びた長孔71を設けても良いし、互いに斜めに交差するようにそれぞれに長孔71,72を配置しても良い。調整機構7として双方に設けられた長孔71,72を利用することで、ドアパネル1が閉位置D1にある場合のセイフティシュー52の引込み量、すなわちセイフティシュー52の格納位置P2、及びドアパネル1が移動する途中でセイフティシュー52が引込まれ始めるタイミングを調整することができる。
【0042】
以下、本発明に係る第2から第7の実施形態の籠ドア装置100について説明する。この際、第1の実施形態の籠ドア装置100と同じ機能を有する構成は、各図中において同一の符号を付す。また、図示されていない構成であっても第1の実施形態における籠ドア装置100と同じ構成を有している場合、同じ符号を用いて説明する。その際は、該当する符号の詳細を第1の実施形態における記載及び図面から参酌する。また、第2から第6の実施形態の籠ドア装置100は、片側(右側)のドアパネル1のみを図示している。
【0043】
各実施形態の籠ドア装置100は、第1の実施形態と同様の両開き式の籠ドア装置100として各実施形態において図示するものを左右対称に構成したものでも良いし、図示した右側のドアパネル1のみを備える片開き式の籠ドア装置であっても良いし、図示したのと鏡像に各構成が配置された左側のドアパネル1のみを備える片開き式の籠ドア装置であっても良い。このように、以下の各実施形態に示す籠ドア装置100は、両開き式であっても片開き式であっても、同じ機能を有することができる。
【0044】
本発明に係る第2の実施形態の籠ドア装置100は、図6を参照して説明する。この籠ドア装置100は、両開き式の籠ドア装置である。なお、図6は右側のドアパネル1及びこれに設けられるドアセイフティ5を図示している。籠ドア装置100の左側のドアパネル1に設置されるドアセイフティ5は、図6に示したものと鏡像に構成される。この籠ドア装置100は、カム55に対してアーム54のローラ541が下方から当接している。したがって、閉位置D1側のカム55の端部に設けられる閉側傾斜部552、および開位置D2側のカム55の端部に設けられる開側傾斜部553は、第1の実施形態の籠ドア装置100のカム55と比べると上下逆さまに設けられている。また、アーム54とリンク521,523の連結部527,528は、支点522,524を挟んでセイフティシュー52と反対側に延びたリンク521,523の端部に設けられている。
【0045】
閉側傾斜部552は、水平部551から斜め下方に延びており、その勾配は、セイフティシュー52どうしが接触しないぎりぎりの距離を保ったまま、ドアパネル1が閉位置D1に向けて移動する距離と同じ距離だけドアパネル1側にセイフティシュー52が後退するようにアーム54を下方に変位させる角度に設定される。したがって、乗口Gの中央C寄りの閉側傾斜部552の端部552aは、ドアパネル1が閉位置D1になったときにセイフティシュー52を格納位置(第2の状態)P2にする高さにアーム54を押し下げる。開側傾斜部553は、閉側傾斜部552と対称的に設けられ、ドアパネル1が開位置D2である場合にセイフティシュー52を格納位置P2にする勾配を有している。
【0046】
なお、ドアパネル1が閉位置D1に接近しているとき、それぞれのドアパネル1に設けられたセイフティシュー52は、各々のスイッチ53が作動しない範囲で互いに押し込みあっていても良い。また、リンク521,523は、支点522,524を中心にセイフティシュー52がドアパネル1の縁13から突出するように付勢される。したがって、支点522,524を中心とするセイフティシュー52及びアーム54の重量バランスがアーム54側に偏っている場合、捩りコイルバネなどによって付勢力を補う。
【0047】
以上のように構成された籠ドア装置100は、カム55によって変位するアーム54の方向が上下逆であることを除いて、第1の実施形態の籠ドア装置100と同じようにドアセイフティ5が作動する。
【0048】
本発明に係る第3の実施形態の籠ドア装置100は、図7から図9を参照して説明する。この籠ドア装置100は、ドアセイフティ5のカム55をドアパネル1よりも下方に設置している。具体的には、敷居4の上面よりも低い範囲にカム55が設置されている。ドアセイフティ5のセイフティベース51は、ドアパネル1の下部よりにおいて第1の実施形態と同様に固定されている。セイフティシュー52は、上部及び下部がドアパネル1に対して同じ長さのリンク521,523によって平行リンクを構成するように連結されている。
【0049】
上部側のリンク521は、ドアパネル1に設けられる支点522に装着され、下部側のリンク523は、セイフティベース51に設けられた支点524に装着される。アーム54は、下部側のリンク523の支点524と接続部526との間の連結部528に連結され、カム55に向かって下方に延びている。このアーム54は、カム55によって押し上げられた場合、ドアパネル1の縁13とほぼ平行に移動するように平行リンクを構成していてもよいし、ガイドによって案内されていてもよい。
【0050】
セイフティシュー52は、ドアパネル1の閉位置D1側の縁13よりも一定の寸法が突出した突出位置P1から、ドアパネル1側に引き込まれた格納位置P2までの間を、縁13と平行を保ったままで変位する。セイフティシュー52は、その自重によって、突出位置P1に維持される。セイフティベース51上のスイッチ53及びストッパ57の配置は、第1の実施形態の場合と同じである。
【0051】
以上のように構成された籠ドア装置100において、図7に示すようにドアパネル1が移動している間、アーム54のローラ541がカム55の水平部551に沿って案内され、セイフティシュー52は、突出位置P1である。図8に示すように、セイフティシュー52に障害物Mなどが接触してセイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれると、支点522,524を中心にリンク521,523が回動する。そして、一定寸法以上押し込まれると、スイッチ53は、レバー531が開放され、セイフティシュー52が押し込まれたことを検出する。
【0052】
また、図9に示すように、ドアパネル1が閉位置D1になると、アーム54のローラ541が閉側傾斜部552を上り、アーム54によって下部側のリンク523が押し上げられる。閉側傾斜部552は、第1の実施形態と同様に、ドアパネル1が閉位置D1に達したときにセイフティシュー52がドアパネル1の縁13よりも内側に引込まれた格納位置P2になる角度に、設けられている。この籠ドア装置100は、他の実施形態と同様に開位置D2側にドアパネル1がある場合にもセイフティシュー52がドアパネル1側に引込まれるように、開側傾斜部553を有している。
【0053】
閉位置D1直前及び開位置D2直前でセイフティシュー52を格納位置P2に引込み始めるタイミングは、ドアパネル1の移動方向に沿って閉側傾斜部552および開側傾斜部553の位置を変えることによって、任意に設定することができる。また、セイフティシュー52の引込み速さ及び引込み量は、閉側傾斜部552及び開側傾斜部553の角度を変えることで調整できる。
【0054】
第3の実施形態中において、ドアパネル1のガイド12は、図7から図9に図示されていないが、図1に示した第1の実施形態におけるドアパネル1のように設けられていてもよいし、アーム54の一部をガイドとして活用してもよい。
【0055】
本発明に係る第4の実施形態の籠ドア装置100は、図10から図12を参照して説明する。この籠ドア装置100は、両開き式の籠ドア装置であって、第1の実施形態の籠ドア装置100と同様に左右対称に構成されているので、図10から図12には右半分を図示している。図10及び図12に示すようにドアセイフティ5のセイフティベース51は、上部側のリンク521の支点522を中心にドアパネル1に対して回動自在に組みつけられている。アーム54は、上部及び下部のリンク521,523の支点522,524に対して開位置D2側に離れた位置に設けられたアーム54用の連結部527,528に接続されている。
【0056】
アーム54のローラ541は、図10から図12に示すように、下方からカム55に当接している。カム55の閉側傾斜部552及び開側傾斜部553は、それぞれ第2の実施形態のように、水平部551から斜め下方に向かって延びている。したがって、閉側傾斜部552及び開側傾斜部553は、アーム54をドアパネル1に対してこのドアパネル1の移動方向と交差する下方へ案内する。閉側傾斜部552と水平部551との境界は、なだらかな円弧に形成され、両方のドアパネル1のセイフティシュー52が互いに衝突する直前にローラ541がカム55に転接している位置に設けられる。閉側傾斜部552の勾配は、セイフティシュー52どうしが接触しないぎりぎりの距離を保ったまま、ドアパネル1が閉位置D1に向けて移動する距離と同じ距離だけドアパネル1側にセイフティシュー52が後退するようにアーム54を下方に変位させる角度に設定される。
【0057】
上部のリンク521の支点522に対応するアーム54用の連結部527は、セイフティベース51上に設けられている。下部のリンク523の支点524に対応するアーム54用の連結部528は、下部のリンク523の支点524に回動自在に装着された補助リンク529の回動端に設けられている。この補助リンク529は、支点524からリンク523側に延びた係止片529aを有している。上部のリンク521がセイフティベース51に対して支持片58によって保持されている場合に支点522を中心とするリンク521とアーム54用の連結部527との相対角度と同じ角度に、係止片529aは、補助リンク529を下部のリンク523に対して保持する。そして、上部のリンク521がセイフティベース51に対して回動するのと同じ方向に、下部のリンク523は補助リンク529に対して回動自在である。
【0058】
この結果、アーム54は、セイフティベース51を介してセイフティシュー52と平行リンクを構成している。つまり、上部のリンク521はストッパ57に支持片58を当接させ、下部のリンク523は係止片529aに当接することによって、セイフティシュー52が突出位置P1に保持される。このとき、セイフティベース51及び補助リンク529には、セイフティシュー52の重量によって、リンク521,523の支点522,524を中心とするトルクがそれぞれ掛かる。しかし、アーム54のローラ541がカム55の水平部551に下方から当接しているとともに、セイフティシュー52の重量によってセイフティベース51が支点522を中心に回らないように掛止するベースストッパ571がドアパネル1に設けられている。したがって、セイフティシュー52及び補助リンク529は、図10に示した状態で保持されている。
【0059】
また、本実施形態の籠ドア装置100は、少なくとも上部または下部あるいはその両方のリンク521,523の支点522,524に装着された捩りコイルバネを備えている。捩りコイルバネは、アーム54をカム55に向けて付勢する方向へセイフティベース51または補助リンク529あるいはこれらの両方にトルクを付与する。これにより、ドアパネル1が開位置D2から閉位置D1までの間を移動するとき、図11に示すようにセイフティシュー52が乗客や荷物などの障害物Mに接触することによって格納位置P2側に押し込まれても、捩りコイルバネは、セイフティベース51がセイフティシュー52とともに回動しないように保持する。
【0060】
なお、セイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれた場合にセイフティベース51や補助リンク529をその場に保持しておくものとして、捩りコイルバネを支点522,524に装着する代わりに、アーム54を押し上げる方向に付勢するものであれば、圧縮コイルバネまたは引張コイルバネであっても良い。
【0061】
この他の構成は、第1及び第2の実施形態の籠ドア装置100と同じである。したがって、同じ構成には、図中に同一の符号を付し、該当する説明を第1または第2の実施形態から参酌するものとして、ここでの説明を省略する。
【0062】
次に、この籠ドア装置100の動作について説明する。この籠ドア装置100は、ドアパネル1を閉位置D1から開位置D2まで移動させる間、図10に示すように、アーム54のローラ541をカム55の水平部551に転接させている。そして、セイフティシュー52は、その自重によって支持片58をストッパ57に当接させるとともに下部のリンク523を529aに当接させることで、突出位置P1に保持される。
【0063】
この状態において、図11に示すようにセイフティシュー52に乗客や荷物あるいは障害物Mなどが接触することによってセイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれると、セイフティシュー52がリンク521,523を介して支点522,524を中心に回動する。このとき、セイフティベース51及び補助リンク529に連結されたアーム54は、支点522,524に装着された捩りコイルバネによって、カム55の水平部551へローラ541を押し当てるように付勢されている。したがって、セイフティシュー52がセイフティベース51に対して相対的に回動するため、支持片58がスイッチ53のレバー531を開放する。これにより、スイッチ53は、セイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれたことを検出することができる。ドア駆動装置6は、ドアパネル1を閉方向に移動させている場合、セイフティコントローラ56から出力される戸開信号を受け取ると、ドアパネル1の移動方向を開方向に反転する。
【0064】
また、図12に示すように、アーム54は、ドアパネル1が閉位置D1に向かって移動するにしたがってカム55に案内され、セイフティシュー52に対するスイッチ53の相対位置を保持したままで、セイフティシュー52をドアパネル1側に引込む方向へ変位させる。つまり、ドアパネル1が閉位置D1に接近し、ローラ541が水平部551と閉側傾斜部552との境界554に差し掛かると、アーム54が押下げられ始める。このとき、セイフティベース51上に設けられたストッパ57が上部のリンク521の支持片58に当接しているとともに、補助リンク529の係止片529aが下部のリンク523に当接している。
【0065】
したがって、セイフティシュー52は、図12に示すようにセイフティベース51及び補助リンク529との相対位置を保ったまま支点522,524を中心に格納位置P2に向かって回動する。スイッチ53のレバー531も支持片58によって押さえられた状態に保たれている。突出位置P1よりもドアパネル1側に少し引っ込んだ状態のセイフティシュー52に障害物Mが接触した場合にも、セイフティシュー52が押し込まれたことをスイッチ53で検出することができる。このように、第4の実施形態の籠ドア装置100は、セイフティシュー52が格納位置P2に達するまで、ドアセイフティ5としての機能を有効な状態に保つことができる。
【0066】
本発明に係る第5の実施形態の籠ドア装置100は、図13を参照して説明する。この籠ドア装置100は、両開き式の籠ドア装置であって、左右対称に構成されている。そこで図13には右半分を図示し、左半分は図13に対して鏡像に構成されるものとしてここでの記載を省略する。この籠ドア装置100において、カム55は、第4の実施形態の籠ドア装置100のカム55と比較すると上下逆様に設けられている。アーム54のローラ541は、カム55に対して上方から転接する。
【0067】
カム55の閉側傾斜部552及び開側傾斜部553は、斜め上方に向かって延びている。閉側傾斜部552の勾配は、ドアパネル1が閉位置D1に接近したときに対向するもう一つのセイフティシュー52と接触しないぎりぎりの距離を保ったまま、ドアパネル1が閉位置D1に向けて移動する距離とほぼ同じ距離だけドアパネル1側にセイフティシュー52を引っ込めるようにアーム54を上方へ変位させる角度に設定されている。
【0068】
アーム54用の連結部527,528は、リンク521,523の支点522,524よりも閉位置D1寄りに設けられている。上部のリンク521に設けられる支持片58は、図13に示すように、リンク521の途中から延びている。下部のリンク523は、セイフティシュー52、支点524、連結部528の関係が上部のリンク521及びセイフティベース51と同じになるように形成されている。下部のリンク523は、セイフティシュー52との接続部526と支点524との間にアーム54用の連結部528を有している。アーム54の下端には、この連結部528に接続されるカムスロット542を有している。カムスロット542は、下部のリンク523の支点524を中心とする円弧に形成されている。ローラ541がカム55の水平部551に転接しセイフティシュー52が突出位置P1にあるときに、カムスロット542の下端にアーム54用の連結部528が掛止されている。
【0069】
このように構成された籠ドア装置100は、開位置D2から閉位置D1まで移動する間、ドアパネル1の移動に伴ってローラ541は、カム55の水平部551を転動する。障害物Mが接触するなどによって、セイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれると、支点522,524を中心にリンク521,523を介してセイフティシュー52が回動する。このとき、セイフティベース51及びアーム54は、それぞれの自重によってベースストッパ571に当接した状態に保たれている。
【0070】
また、ドアパネル1が閉位置D1に接近し、ローラ541がカム55の水平部551と閉側傾斜部552との境界554を超えて閉側傾斜部552に沿って転動すると、アーム54が上方に引き上げられる。これによって、連結部527,528でアーム54と連結されたセイフティベース51及び下部のリンク523とが支点522,524を中心に回動する。上部のリンク521に設けられた支持片58はセイフティベース51に設けられているストッパ57に当接しているので、セイフティベース51が回動するのに伴って上部のリンク521も回動する。
【0071】
つまり、セイフティシュー52が支点522,524を中心に上部及び下部のリンク521,523を介して回動させられる。その結果、セイフティシュー52は、ドアパネル1側の格納位置P2に向かって引込まれる。また、この籠ドア装置100は、開側傾斜部553も備えている。したがって、ドアパネル1が開位置D2に接近すると、閉位置D1に接近したときと同様にセイフティシュー52がドアパネル1側の格納位置P2に引込まれる。
【0072】
この籠ドア装置100は、ドアパネル1が閉じられる場合、ドアパネル1に設けられたセイフティシュー52が互いに接触する直前まで接近し、そこからはドアパネル1が近づくのと同じ量だけセイフティシュー52をドアパネル1側に引込む。セイフティシュー52が引込まれる際、セイフティベース51が支点522を中心にセイフティシュー52とともに回動し、支持片58がスイッチ53を押さえている状態を維持している。したがって、セイフティシュー52が引込まれる量よりも大きくセイフティシュー52が障害物Mなどによって押し込まれると、スイッチ53が作動して物体が接触したことを検知する。つまり、この籠ドア装置100は、セイフティシュー52が引込まれていく間も、ドアセイフティ5としての機能を有効な状態に保つことができる。
【0073】
第5の実施形態においても第4の実施形態と同様に、セイフティシュー52は、障害物Mに接触した場合、アーム54やセイフティベース51と独立して回動する。つまり、セイフティシュー52をドアパネル1側に押し込む際に必要な力は、セイフティシュー52の自重によるものとなる。
【0074】
なお、セイフティシュー52を引込む際もドアセイフティ5の機能を有効に保つ機構は、図13に示したカム55に対応するリンク521,523、アーム54、セイフティベース51の組み合わせにおいて、異なる構造でも良い。例えば、リンク521,523の支点522,524とアーム54の連結部527,528とをセイフティベース51上に同軸に配置し、セイフティベース51の回動中心となるボスを支点522,524及び連結部527,528の軸に対して開位置D2側に離してドアパネル1に配置する。あるいは、リンク521,523の支点522,524及びアーム54用の連結部527,528をそれぞれセイフティベース51上に個別に設け、セイフティベース51を支点522,524及び連結部527,528よりも開位置D2寄りの部分で、ドアパネル1に設けられたボスに対して回動自在に連結する。このとき、リンク521,523の支点522,524はアーム54の連結部527,528よりもボスから離れた閉位置D1寄りに配置する。下部のリンク523は、補助リンク529の回動端に配置される支点に連結する。補助リンク529は、ボスに対して真下の位置に設けられる補助ボスに回動可能に固定する。アーム54の下端は、補助リンク529の中間の位置に設けられる連結部528に接続する。前者の組み合わせ、または、後者の組み合わせのいずれでも、第5の実施形態と同じ機能及び効果を発揮する。
【0075】
本発明に係る第6の実施形態の籠ドア装置100は、図14から図16を参照して説明する。この籠ドア装置100は、両開き式の籠ドア装置であって、カム55をドアパネル1の下方に配置している。この第6の実施形態の籠ドア装置100は、第4の実施形態の籠ドア装置100のドアセイフティ5を第3の実施形態の籠ドア装置100のドアセイフティ5に応用した構成を有している。つまり、ドアセイフティ5のセイフティベース51がドアパネル1の下部側のリンク523の支点524と同軸に設けられており、ドアパネル1よりも下方、敷居4の上面より低い範囲に配置されたカム55に、アーム54のローラ541が下方から転接している。
【0076】
セイフティシュー52は、上部及び下部がドアパネル1に対して同じ長さのリンク521,523によって平行リンクを構成するように連結されている。上部側のリンク521は、ドアパネル1に設けられる支点522に装着され、下部側のリンク523は、セイフティベース51の回動軸心と同軸に設けられる支点524に装着される。セイフティベース51に対するスイッチ53、ストッパ57及びベースストッパ571の配置は、第4の実施形態の籠ドア装置100について図10に示したのと同じである。アーム54は、セイフティベース51に対して連結部527で連結されているだけで、上部のリンク521とはつながっていない。アーム54は、第4の実施形態のように、補助リンク529を介して連結されていてもよい。
【0077】
ドアパネル1が移動している間、図14に示すように、アーム54がカム55の水平部551に係合し、セイフティベース51がベースストッパ571によって係止され、リンク523に取り付けられた支持片58がストッパ57で保持されている。したがって、セイフティシュー52は、自重によって、突出位置P1に維持されている。そして、図15に示すように、セイフティシュー52に障害物Mが衝突してセイフティシュー52がドアパネル1側に押し込まれた場合、セイフティシュー52がリンク521,523によって回動する。
【0078】
このとき、セイフティベース51及びアーム54から独立させて、セイフティシュー52のみを回動させるために、セイフティベース51をベースストッパ571に押し当てる方向のトルクが加わるような機構が採用される。具体的には、リンク521,523を中心にセイフティベース51をベースストッパ571に押し当てる方向の回転トルクを発生させる捩りコイルバネ、または、アーム54を上方へ押し上げる方向に作用する圧縮バネが装着される。セイフティベース51とベースストッパ571との間に引っ張りバネを装着してもよい。
【0079】
ドアパネル1が図16に示すように閉位置D1に到達すると、カム55の閉側傾斜部552によってアーム54が引き下げられる。その結果、セイフティベース51が支点524を中心に回動し、これに伴って、セイフティシュー52が格納位置P2へ引込まれる。第4及び第5の実施形態の籠ドア装置100と同様に、ドアパネル1が閉位置D1に接近してセイフティシュー52がドアパネル1側に引込まれる途中であっても、ドアセイフティ5の機能を有効な状態に維持できる。
【0080】
障害物Mが接触した場合、セイフティベース51に対してセイフティシュー52が独立して回動するようにバネなどの付勢手段を設ける代わりに、図14から図16に示したカム55の上側からアーム54のローラ541が転接するように配置する。その自重によってセイフティベース51が支点524を中心にベースストッパ571からはなれる方向へ回動することを、アーム54によって保持することができる。
【0081】
本発明に係る第7の実施形態の籠ドア装置100は、図17および図18を参照して説明する。両開き式の籠ドア装置100の場合、左右のセイフティシュー52に対応するカム55の閉側傾斜部552の端部552aの高さを左右で変えることによって、左右のセイフティシュー52の突出量に差を設けたり、片方のセイフティシュー52のみがドアパネル1側に引っ込むように設定したりすることも可能である。一方のドアパネル1に対して設けられるカム55、及び、他方のドアパネル1に対して設けられるカム55を乗口Gの中央Cに対して、どちらか一方のドアパネル1の側へ偏心させて配置する。
【0082】
第7の実施形態では、図17に示すようにカム55の位置を左側に偏心させている。また、図18に示すように閉位置D1側に偏らせて取り付けられるカム55の閉側傾斜部552は、偏心させていない場合に比べて低く、開位置D2側に偏らせて取り付けられるカムの閉側傾斜部552は、偏心させていない場合に比べて高く、水平部551から斜めに延びている。このほかの点は、第1の実施形態の籠ドア装置100と同じである。
【0083】
このように構成された籠ドア装置100は、図18に示すように一対のドアパネル1がそれぞれ閉位置D1で突き当たる直前の状態において、それぞれのドアパネル1に設けられたセイフティシュー52の突出量が異なる。そして、ドアパネル1が互いに当接した閉位置D1において、一方のドアパネル1に設けられたセイフティシュー52は他方のドアパネル1側へ突出し、他方のドアパネル1に設けられたセイフティシュー52は一方のドアパネル1のセイフティシュー52が突出している量よりも少し大きく引込まれる。
【0084】
つまり、閉位置D1側にカム55を偏らせて配置した方のセイフティシュー52は、開位置D2側にカム55を偏らせて配置した方のドアパネル1の縁13よりも入り込んだ状態で、両方のドアパネル1が乗口Gの中央Cで閉じられる。したがって、ドアパネル1が完全に閉じられるまでドアセイフティ5の機能が有効な状態に維持される。つまり、ペット用のリードなどひも状の細いものや薄い荷物が障害物Mとなってもこれらを確実に検知することができる。したがって、これらを検出した場合には、ドアパネル1の移動方向を開位置D2に向けて反転させてドアパネル1を開放し、障害物Mとなっているものを排除できるようにする。
【0085】
どちらか一方のセイフティシュー52を突出位置P1に置いたままドアパネル1を閉位置D1にするのであれば、そのドアセイフティ5のカム55の閉側傾斜部552を設けず、その代わりに相手側のドアセイフティ5のセイフティシュー52の引込み量を大きくする。
【0086】
本発明の第1から第7の実施形態において、セイフティシュー52の引き込み量は、カム55の閉側傾斜部552及び開側傾斜部553の傾斜の長さおよび角度を変えるだけでなく、リンク521,523の各支点522,524から接続部525,526までの距離および支点523,524からアーム54の連結部527,528までの距離の比率を変えることによっても、変化させることができる。
【符号の説明】
【0087】
1…ドアパネル、2…ベース、3…レール、4…敷居、5…ドアセイフティ、7…調整機構、13…縁、51…セイフティベース、52…セイフティシュー、53…スイッチ、54…アーム、55…カム、100…籠ドア装置、521,523…リンク、522,524…支点、552…閉側傾斜部、553…開側傾斜部、G…乗口、C…中央、D1…閉位置、D2…開位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗籠の乗口の上部に設置されるベースと、
前記ベースに取り付けられたレールと、
前記乗口の下部に設置される敷居と、
前記乗口を塞ぐ閉位置から前記乗口を開放する開位置までの間を前記レールおよび前記敷居に沿って移動するドアパネルと、
前記ドアパネルが少なくとも閉じられる閉方向に移動している間に前記ドアパネルと干渉する物体を検出するドアセイフティと
を備え、前記ドアセイフティは、
前記閉位置から前記開位置までの間で前記ドアパネルの前記閉位置側の縁から突出した状態に配置され前記ドアパネル側に引込まれる方向へ変位するセイフティシューと、
前記セイフティシューが前記ドアパネル側に変位したことを検出するスイッチと、
前記ドアパネルに装着されるとともに前記セイフティシューに連結されてこのセイフティシューを前記ドアパネル側に変位させるアームと、
前記ドアパネルの移動方向に沿って設けられ前記ドアパネルが前記閉位置のときに前記セイフティシューが前記ドアパネル側に引っ込んだ状態になる位置に前記アームを変位させるカムと
を備えることを特徴とするエレベータの籠ドア装置。
【請求項2】
前記カムは、前記ドアパネルが前記閉位置に向かって移動するにしたがって前記アームを前記ドアパネルの移動方向と交差する方向に案内する傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項3】
前記カムは、前記ドアパネルの上方または下方に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項4】
前記アームは、前記セイフティシューとともに平行リンクを構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項5】
前記アームは、前記ドアパネルが前記閉位置に向かって移動するにしたがって前記カムに案内され、前記セイフティシューに対する前記スイッチの相対位置を保持したままで、前記セイフティシューを前記ドアパネル側に引込む方向へ変位させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項6】
前記スイッチは、前記セイフティシューを前記ドアパネルに連結するリンクの支点を中心に回動するセイフティベースに取り付けられ、
前記アームは、前記セイフティベースを介して前記セイフティシューと平行リンクを構成する
ことをと特徴とする請求項5に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項7】
前記カムは、前記ドアパネルが前記閉位置にある場合の前記セイフティシューの引込み量または前記ドアパネルが移動する途中で前記セイフティシューが引込まれ始めるタイミングを変化させる調整機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項8】
前記カムは、前記ドアパネルが前記開位置にある場合にも前記セイフティシューを前記ドアパネル側に引込んだ状態にする位置に前記アームを変位させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項9】
前記ドアパネルは、前記乗口の中央で互いに突き当たることで前記閉位置になる両開きの一対に設けられ、それぞれ前記セイフティシューを有し、
一方の前記ドアパネルに対して設けられる前記カムおよび他方の前記ドアパネルに対して設けられる前記カムは、前記乗口の中央に対して他方の前記ドアパネル側へ偏心させて配置する
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項10】
一対の前記ドアパネルがそれぞれ前記閉位置で突き当たる状態で、
一方の前記ドアパネルに設けられた前記セイフティシューは、他方の前記ドアパネル側へ突出し、
他方の前記ドアパネルに設けられた前記セイフティシューは、一方の前記ドアパネルのセイフティシューが突出している量よりも少し大きく引込む
ことを特徴とする請求項9に記載のエレベータの籠ドア装置。
【請求項11】
乗籠の乗口の上部に設置されるベースと、
前記ベースに取り付けられたレールと、
前記乗口の下部に設置される敷居と、
前記乗口の中央で互いに突き当たることで前記乗口を塞ぐ閉位置から互いに離れる方向へ移動することで前記乗口を開放する開位置までの間を前記レールおよび前記敷居に沿って移動する両開きの一対のドアパネルと、
少なくとも前記ドアパネルが閉じられる閉方向に移動している間に前記ドアパネルと干渉する物体を検出するドアセイフティと
を備え、前記ドアセイフティは、
前記閉位置から前記開位置までの間で前記ドアパネルの前記閉位置側の縁から突出した状態に配置され前記ドアパネル側に引込まれる方向へ変位するセイフティシューと、
前記セイフティシューが前記ドアパネル側に変位したことを検出するスイッチと、
前記セイフティシューに連結されてこのセイフティシューを前記ドアパネル側に変位させるアームと、
前記閉位置で前記セイフティシューが一方の前記ドアパネルの縁から突出した状態に残すように一方の前記ドアパネルの前記アームを変位させる第1のカムと、
前記閉位置で一方の前記ドアパネルに設けられた前記セイフティシューを回避する十分な距離だけ他方の前記ドアパネルに設けられた前記セイフティシューを後退させるように他方のドアパネルの前記アームを変位させる第2のカムと
を備えることを特徴とするエレベータの籠ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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