説明

エレベータの群管理システム

【課題】利用者の操作状況に応じて行先階ボタンと方向ボタンを選択的に表示し、行先階の登録操作に不慣れな利用者でも乗場呼びを簡単に登録できるようにする。
【解決手段】行先階を登録するための行先階ボタンと行先方向を登録するための方向ボタンを切り換え表示可能な操作画面15を有する乗場呼び登録装置14が乗場に設置される。群管理制御装置20は、乗場呼び登録装置14の操作画面15に行先階ボタンが表示されている状態で、利用者が行先階ボタンを操作できるか否かを判断する操作状況判断部22と、利用者が行先階ボタンを操作できないと判断された場合に、乗場呼び登録装置14の操作画面15に方向ボタンを一時的に切り換えて表示する表示制御部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、行先階ボタンと上下方向ボタンを切り換え可能な乗場呼び登録装置を備えたエレベータの群管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エレベータを利用する場合に、利用者が乗場に設置された上方向ボタンもしくは下方向ボタンを操作して乗場呼びを登録し、その登録階に応答した乗りかごに乗車後、行先階のかご呼びを登録するといった操作を行う。
【0003】
これに対し、乗場にて行先階を登録可能な装置(これを乗場行先階登録装置と呼ぶ)を備えたエレベータでは、利用者が乗場にて事前に行先階を登録できるため、乗りかご内での登録操作は不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−28190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した乗場行先階登録装置では、一般的な上下方向ボタンの操作と違い、利用者が自分の行先階を登録操作する必要がある。このため、操作に不慣れな利用者はスムーズに登録できないなどの問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、利用者の操作状況に応じて行先階ボタンと方向ボタンを選択的に表示し、行先階の登録操作に不慣れな利用者でも乗場呼びを簡単に登録できるエレベータの群管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、複数の号機の運転を制御するエレベータの群管理システムにおいて、乗場に設置され、行先階を登録するための行先階ボタンと行先方向を登録するための方向ボタンを切り換え表示可能な操作画面を有する乗場呼び登録装置と、この乗場呼び登録装置の操作画面に上記行先階ボタンが表示されている状態で、利用者が上記行先階ボタンを操作できるか否かを判断する操作状況判断手段と、この操作状況判断手段によって利用者が上記行先階ボタンを操作できないと判断された場合に、上記乗場呼び登録装置の操作画面に上記方向ボタンを一時的に切り換えて表示する表示制御手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は第1の実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は同実施形態における乗場呼び登録装置の操作画面に表示される行先階ボタンの構成を示す図である。
【図3】図3は同実施形態における乗場呼び登録装置の操作画面に表示される方向ボタンの構成を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における乗場呼び登録装置の表示画面に表示される割当号機の表示例を示す図である。
【図5】図5は同実施形態における乗場呼び登録装置の表示画面に表示されるガイダンスの表示例を示す図である。
【図6】図6は同実施形態における群管理制御装置の乗場呼び登録制御部に設けられた管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】図7は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は第2の実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】図9は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。なお、図1の例では、3台のエレベータが群管理された構成が示されているが、この構成に限定されるものではない。また、エレベータが複数台存在する場合には「号機」という言い方をする。
【0011】
号機制御装置11a,11b,11cは、各号機の乗りかご12a,12b,12cに対応して設けられており、図示せぬ巻上機の駆動制御やドアの開閉制御などを含む号機単体での制御を行う。乗りかご12a,12b,12cは、図示せぬ巻上機の駆動により昇降路内を昇降動作する。なお、図1の例では、乗りかご12aをA号機、乗りかご12bをB号機、乗りかご12cをC号機としている。
【0012】
各号機の乗りかご12a,12b,12cには、それぞれにかご呼びを登録するためのかご呼び登録装置13a,13b,13cが設置されている。「かご呼び」とは、かご室内で登録される呼びの信号のことである。これらのかご呼び登録装置13a,13b,13cには各階床のボタンが設けられており、そのボタンの押下操作により行先階を指定する構成になっている。例えば、A号機の乗りかご12a内で利用者がかご呼び登録装置13aを操作して行先階を指定すると、その指定された行先階がかご呼びとしてA号機の号機制御装置11aに送られる。
【0013】
ただし、かご呼び登録装置13a,13b,13cを用いたかご呼びの登録操作(かご室内での行先階の登録操作)は、後述する乗場呼び登録装置14を用いて乗場で行先階を登録した場合には不要となる。
【0014】
各階の乗場には乗場呼び登録装置14が設置されている。乗場呼び登録装置14は、乗場にて利用者が乗場呼びを登録するための装置である。「乗場呼び」とは、乗場で登録される呼びの信号のことである。この乗場呼び登録装置14には、行先階または行先方向(上方向/下方向)を乗場呼びとして登録するための操作画面15と、割当号機やガイダンスなどを表示するための表示画面16が設けられている。
【0015】
乗場呼び登録装置14の操作画面15は、タッチパネルで構成されている。通常は、図2に示すようにテンキーからなる行先階ボタン17が操作画面15にデフォルト表示されている。この行先階ボタン17をタッチ操作して行先階を指定すると、その行先階と登録階(利用者が登録操作を行った階)の2つの情報を1つの組とした乗場呼びが群管理制御装置20に送られる。
【0016】
また、利用者の操作状況に応じて、図3に示すような方向ボタン18に切り換えられる。この方向ボタン18は、上方向への移動を指定するための上方向ボタンと、下方向への移動を指定するための下方向ボタンからなる。利用者がこの方向ボタン18をタッチ操作して、上方向または下方向の行先方向を指定すると、その行先方向と登録階の2つの情報を1つの組とした乗場呼びが群管理制御装置20に送られる。
【0017】
ここで、乗場呼び(行先階または行先方向)が正しく登録されると、乗場呼び登録装置14の表示画面16に割当号機に関する情報が表示される。割当号機とは、乗場呼びが割り当てられた号機のことである。図4に割当号機の表示例を示す。
【0018】
また、行先階ボタン17から方向ボタン18に切り換えられると、乗場呼び登録装置14の表示画面16に方向ボタン18に関するガイダンスが表示される。図5に方向ボタン18に関するガイダンスの表示例を示す。
【0019】
また、図1に示すように、乗場の乗場呼び登録装置14の近傍にはカメラ19が設置されている。このカメラ19は、乗場で乗場呼び登録装置14を操作する利用者を撮影し、その撮影により得られた映像を群管理制御装置20に送る。
【0020】
群管理制御装置20は、各号機(乗りかご12a,12b,12c)の運転を群管理制御する装置である。本実施形態において、この群管理制御装置20には、乗場呼び登録制御部21、操作状況判断部22、表示制御部23、ガイダンス部24、割当制御部25、かご呼び登録制御部26が備えられている。これらは、マイクロプロセッサ上のソフトウェアにて実行される処理部であり、図1のように各部間で情報の授受が可能となっている。
【0021】
なお、ここでは便宜上、乗場呼び登録制御部21、操作状況判断部22、表示制御部23、ガイダンス部24、割当制御部25、かご呼び登録制御部26のすべてを群管理制御装置20に配置して記述したが、必ずしも同一装置に配置する必要はなく、別々の装置に配置するものであっても良い。
【0022】
乗場呼び登録制御部21は、図6に示すような管理テーブル21aを有し、各階の乗場に設置された乗場呼び登録装置14から送られてくる乗場呼びの情報とその乗場呼びを割り当てた号機の情報を関連付けて管理テーブル21aに記憶する。
【0023】
この場合、乗場呼び登録装置14の操作画面15に図2の行先階ボタン17が表示された状態で乗場呼びが登録されると、行先階と登録階を含む乗場呼びの情報が管理テーブル21aに記憶されることになる。これに対し、乗場呼び登録装置14の操作画面15に図3の方向ボタン18が表示された状態で乗場呼びが登録されると、行先方向と登録階を含む乗場呼びの情報が管理テーブル21aに記憶されることになる。
【0024】
図6の例では、登録階:1F、行先階:10F、割当号機:A号機が管理テーブル21aに登録されている。これは、1Fの乗場呼び登録装置14の操作画面15に行先階ボタン17が表示された状態で、利用者が行先階ボタン17の操作により10Fを行先階として登録し、そのときにA号機が割り当てられたことを意味している。
【0025】
また、登録階:1F、行先方向:上方向、割当号機:C号機が管理テーブル21aに登録されている。これは、1Fの乗場呼び登録装置14の操作画面15に方向ボタン18が表示された状態で、利用者が方向ボタン18の操作により上方向を行先方向として登録し、そのときにC号機が割り当てられたことを意味している。
【0026】
操作状況判断部22は、乗場呼び登録装置14の近傍に設置されたカメラ19の映像に基づいて利用者の操作状況を判断する。表示制御部23は、操作状況判断部22によって利用者が行先階ボタン17を操作できないと判断された場合に、乗場呼び登録装置14の操作画面15に方向ボタン18を一時的に切り換えて表示する。
【0027】
ガイダンス部24は、表示制御部23によって行先階ボタン17に切り換えた際に、その旨をガイダンスする(図5参照)。
【0028】
割当制御部25は、表示制御部23によって表示された行先階ボタン17または方向ボタン18の操作によって登録された乗場呼びを各号機の中の最適な号機に割り当て、その号機を割当号機として登録階に応答させる。
【0029】
なお、乗場呼びに対するエレベータの割当て方法については、一般的に知られている方法を用いるものとする。一般的には、例えば各号機の乗りかごの位置や方向などの情報、さらに、行先階が指定されている場合にはその行先階の情報などに基づいて評価値を求め、最も評価が高い評価値を有する号機を最適号機として割り当てる方法などが用いられる。
【0030】
かご呼び登録制御部26は、方向ボタン18の操作により乗場呼びが登録された場合に、その号機内でのかご呼びの登録を一時的に許可する。すなわち、図1の例で、方向ボタン18の操作によって登録された乗場呼びがC号機に割り当てられたとすると、乗りかご12c内に設けられたかご呼び登録装置13cによるかご呼びの登録を許可する。
【0031】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
【0032】
図7は第1の実施形態におけるエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、コンピュータである群管理制御装置20によって実行される。
【0033】
各階の乗場に設けられた乗場呼び登録装置14の操作画面15に、図2に示したテンキーからなる行先階ボタン17がデフォルトで表示されている(ステップA11)。この状態で任意の階の乗場呼び登録装置14に利用者が近づくと、群管理制御装置20は、その階に設置されたカメラ19の映像から利用者を認識する(ステップA12)。なお、カメラ映像から人物を認識する方法やその人物の動きを認識する方法については、一般的に知られている画像認識技術を用いるものとし、ここではその詳しい説明を省略するものとする。
【0034】
ここで、群管理制御装置20は、カメラ19の映像を用いて利用者の操作状況を監視し、乗場呼び登録装置14の操作画面15の前で利用者が一定時間(例えば、30秒)以上立ち止まっているか否かを判断する(ステップA13)。利用者が行先階ボタン17を操作している状態を確認できれば(ステップA13のNo)、群管理制御装置20は、利用者が行先階を登録できるものと判断する(ステップA14)。
【0035】
行先階が登録されると(ステップA15のYes)、群管理制御装置20は、その行先階と登録階の情報を含む乗場呼びを乗場呼び登録制御部21の管理テーブル21aに記憶した後、各号機の中から当該乗場呼びを割り当てる号機(割当号機)を決定する(ステップA16)。
【0036】
割当号機が決定されると、群管理制御装置20は、乗場呼び登録装置14の表示画面16に割当号機に関する情報を表示して(図4参照)、利用者を当該号機の乗場に案内する(ステップA17)。このとき、当該号機に対しては既に利用者の行先階が登録済みなので、群管理制御装置20は、当該号機のかご室内でのかご呼びの登録を禁止しておく(ステップA18)。具体的には、例えばA号機であれば、乗りかご12a内に設置されたかご呼び登録装置13cの操作を無効とするようにA号機の号機制御装置11aを制御する。これにより、利用者が乗りかご12aに乗車したときに誤ってかご呼びを登録することを防ぐことができる。
【0037】
一方、カメラ19の映像から乗場呼び登録装置14の操作画面15の前で利用者が一定時間以上立ち止まっている状態が確認された場合には(ステップA13のYes)、群管理制御装置20は、利用者が行先階を登録できないものと判断する(ステップA19)。この場合、群管理制御装置20は、乗場呼び登録装置14の表示画面16に方向ボタン18に関するガイダンス(図5参照)を表示し(ステップA20)、乗場呼び登録装置14の操作画面15に方向ボタン18を一時的に切り換えて表示する(ステップA21)。
【0038】
なお、ここで言う「一時的」とは、利用者が操作画面15上の方向ボタン18を視認してから押下操作するまでの数秒間程度の時間のことである。この一時的な時間が経過すると、操作画面15上の操作ボタンは行先階ボタン17に切り換えられる。
【0039】
方向ボタン18は、一般的なエレベータの乗場呼びボタンとして使われているものであり、上方向ボタンまたは下方向ボタンを押下するだけの構成である(図3参照)。したがって、誰でも簡単に操作することができる。
【0040】
方向ボタン18の操作により利用者の行先方向(上方向/下方向)が登録されると(ステップA22のYes)、群管理制御装置20は、その行先方向と登録階の情報を含む乗場呼びを乗場呼び登録制御部21の管理テーブル21aに記憶した後、各号機の中から当該乗場呼びを割り当てる号機(割当号機)を決定する(ステップA23)。
【0041】
ここで、方向ボタン18の操作により行先方向が乗場呼びとして登録された場合には、各号機の中で既に行先階ボタン17の操作により行先階が登録済みの号機を除いて、その乗場呼びの割当制御を行うものとする。これにより、行先階が登録済みの号機の運行効率を損なうことなく、行先方向を登録した利用者に対して最適な号機を割り当てることができる。
【0042】
割当号機が決定されると、群管理制御装置20は、乗場呼び登録装置14の表示画面16に割当号機に関する情報を表示して(図4参照)、利用者を当該号機の乗場に案内する(ステップA24)。その際、当該号機に対しては利用者の行先階が未登録であるので、群管理制御装置20は、当該号機のかご室内でのかご呼びの登録を一時的に許可する(ステップA25)。具体的には、例えばC号機であれば、乗りかご12c内に設置されたかご呼び登録装置13cの操作を一時的に有効とするようにC号機の号機制御装置11cを制御する。これにより、利用者が乗りかご12cに乗車したときに、かご呼び登録装置13cの操作により行先階をかご呼びとして登録することができる。
【0043】
このように、利用者の操作状況に応じて、乗場呼び登録装置14の操作画面15に表示する操作ボタンを行先階ボタン17から方向ボタン18に切り換えることで、行先階の登録操作に不慣れな利用者であっても、乗場呼びを簡単に登録でき、登録階に応答した号機に乗って目的とする階へ移動することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0045】
上記第1の実施形態では、乗場呼び登録装置14の近傍に設置されたカメラ19を用いて利用者の操作状況を判断した。これに対し、第2の実施形態では、乗場呼び登録装置14の操作ログ(操作の記録)を用いて利用者の操作状況を判断するようにしたものである。
【0046】
図8は第2の実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0047】
第2の実施形態では、図1に示したカメラ19はなく、乗場呼び登録装置14が群管理制御装置20に設けられた操作状況判断部27に接続されている。操作状況判断部27は、乗場呼び登録装置14の操作ログに基づいて利用者の操作状況を判断する。この操作状況判断部27によって利用者が行先階ボタン17を操作できないと判断された場合には、上記第1の実施形態と同様に表示制御部23によって方向ボタン18への切り換えが行われる。
【0048】
図9は第2の実施形態におけるエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、コンピュータである群管理制御装置20によって実行される。
【0049】
各階の乗場に設けられた乗場呼び登録装置14の操作画面15に、図2に示したテンキーからなる行先階ボタン17がデフォルトで表示されている(ステップB11)。この状態で任意の階の乗場呼び登録装置14に利用者が近づいて、行先階ボタン17を操作したとする。群管理制御装置20は、このときの乗場呼び登録装置14の操作ログを取得して、利用者の操作状況を判断する(ステップB12)。
【0050】
ここで、行先階ボタン17の操作が開始されてから一定時間(例えば、30秒)以内に所定の手順で行先階が登録された場合には(ステップB13→B14のNo)、群管理制御装置20は、利用者が行先階を登録できるものと判断し、そのときに登録された行先階を受け付ける(ステップB15)。
【0051】
以後は、図7のステップA16〜A18と同様である。
すなわち、群管理制御装置20は、行先階と登録階の情報を含む乗場呼びを乗場呼び登録制御部21の管理テーブル21aに記憶した後、各号機の中から当該乗場呼びを割り当てる号機(割当号機)を決定する。そして、乗場呼び登録装置14の表示画面16に割当号機に関する情報を表示すると共に、当該号機のかご室内でのかご呼びの登録を禁止する。
【0052】
一方、行先階ボタン17の操作が開始されてから一定時間(例えば、30秒)経過しても所定の手順で行先階が登録されなかった場合には(ステップB13のYes)、利用者が登録方法を知らずに操作している可能性が高い。このような場合には、群管理制御装置20は、利用者が行先階を登録できないものと判断する(ステップB16)。また、例えば不停止階や存在しない階など、無効な階が登録された場合も同様であり(ステップB14のYes)、群管理制御装置20は、利用者が行先階を登録できないものと判断する(ステップB16)。
【0053】
利用者が行先階を登録できないものと判断すると、群管理制御装置20は、乗場呼び登録装置14の表示画面16に方向ボタン18に関するガイダンス(図5参照)を表示し(ステップB17)、乗場呼び登録装置14の操作画面15に方向ボタン18を一時的に切り換えて表示する(ステップB18)。
【0054】
以後は、図7のステップA22〜A25と同様である。
すなわち、方向ボタン18の操作により利用者の行先方向(上方向/下方向)が登録されると、群管理制御装置20は、その行先方向と登録階の情報を含む乗場呼びを乗場呼び登録制御部21の管理テーブル21aに記憶した後、各号機の中から当該乗場呼びを割り当てる号機(割当号機)を決定する。その際、各号機の中で既に行先階ボタン17の操作により行先階が登録済みの号機を除いて、乗場呼びの割当制御を行う。
【0055】
そして、乗場呼び登録装置14の表示画面16に割当号機に関する情報を表示して(図4参照)、利用者を当該号機の乗場に案内すると共に、当該号機のかご室内でのかご呼びの登録を一時的に許可する。
【0056】
このように、乗場呼び登録装置14の操作ログから利用者の操作状況を判断して方向ボタン18に切り換えることができる。これにより、行先階の登録操作に不慣れな利用者でてあっても乗場呼びを簡単に登録でき、目的とする階へ移動することができる。また、上記第1の実施形態の構成と比べると、カメラ19を必要としない分、コスト的に安価に実現できるといった利点もある。
【0057】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、利用者の操作状況に応じて行先階ボタンと方向ボタンを選択的に表示し、行先階の登録操作に不慣れな利用者でも乗場呼びを簡単に登録できるエレベータの群管理システムを提供することができる。
【0058】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
11a,11b,11c…号機制御装置、12a,12b,12c…乗りかご、13a,13b,13c…かご呼び登録装置、14…乗場呼び登録装置、15…操作画面、16…表示画面、17…行先階ボタン、18…方向ボタン、19…カメラ、20…群管理制御装置、21…乗場呼び登録制御部、21a…管理テーブル、22…操作状況判断部、23…表示制御部、24…ガイダンス部、25…割当制御部、26…かご呼び登録制御部、27…操作状況判断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の号機の運転を制御するエレベータの群管理システムにおいて、
乗場に設置され、行先階を登録するための行先階ボタンと行先方向を登録するための方向ボタンを切り換え表示可能な操作画面を有する乗場呼び登録装置と、
この乗場呼び登録装置の操作画面に上記行先階ボタンが表示されている状態で、利用者が上記行先階ボタンを操作できるか否かを判断する操作状況判断手段と、
この操作状況判断手段によって利用者が上記行先階ボタンを操作できないと判断された場合に、上記乗場呼び登録装置の操作画面に上記方向ボタンを一時的に切り換えて表示する表示制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの群管理システム。
【請求項2】
上記操作状況判断手段は、
上記乗場呼び登録装置の近傍に設置されたカメラの映像に基づいて、利用者が上記行先階ボタンを操作できるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項3】
上記操作状況判断手段は、
上記乗場呼び登録装置の操作ログに基づいて、利用者が上記行先階ボタンを操作できるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項4】
上記表示制御手段によって上記方向ボタンに切り換えた際に、その旨をガイダンスするガイダンス手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項5】
上記方向ボタンの操作により行先方向が乗場呼として登録された場合に、上記各号機の中で既に上記行先階ボタンの操作により行先階が登録済みの号機を除いて上記乗場呼びの割当制御を行う割当制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項6】
上記各号機の乗りかご内に設置され、上記乗りかご内で利用者の行先階をかご呼びとして登録するためのかご呼び登録装置と、
上記方向ボタンの操作により行先方向が乗場呼びとして登録された場合に、上記乗場呼びが割り当てられた号機内でのかご呼びの登録を一時的に許可するかご呼び登録制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−52952(P2013−52952A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191593(P2011−191593)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】