説明

エレベータの群管理システム

【課題】セキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムにおいて、利用者がセキュリティゲートを通過するときに割当号機の見間違えを防ぐ。
【解決手段】群管理制御装置21は、セキュリティゲート11の第1の読取り部13によって読み取られた利用者が持つセキュリティカードの情報に基づいて利用者を認証する認証部23と、正規の利用者と判定された場合にその利用者の行先階に基づいて各号機の中の最適な号機を割り当てる割当制御部24と、割当制御部24によって決定された割当号機に利用者を特定する情報を付してセキュリティゲート11の表示部15に表示する表示制御部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、セキュリティゲートと乗場行先階登録装置を備えたエレベータの群管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物のセキュリティシステムとエレベータの群管理システムを連動させたシステムとして、セキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムがある。これは、例えば複数の事務所が入るオフィスビルなどの建物において、利用者が建物の基準階などに設置されたセキュリティゲートを通過する際に、利用者が持つセキュリティカードの情報を読み込んで、正当な利用者であると認証できた場合にゲートを開くと共に利用者の行先階を自動登録するシステムである。
【0003】
ここで、利用者の行先階に応答する号機が決定されると、その号機(割当号機)の情報がゲート上に表示される。これにより、利用者はゲートを通過するときに自分が乗車すべき号機を確認でき、その号機の乗場前で待つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−184777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常、ゲート上に表示された割当号機はすぐには消えず、ゲートを通過する利用者が確認できるように多少の間表示されているのが一般的である。このため、後続の利用者がゲートに入ったときに、直前の利用者の割当号機の表示が残っていることがあり、それを自分の号機と見間違えることがある。特に、出勤時間帯など、多数の利用者がゲートを通過する時間帯では、利用者が急いで通過するため、このような見間違いが生じやすい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、セキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムにおいて、利用者がセキュリティゲートを通過するときに割当号機の見間違えを防ぐことのできるエレベータの群管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、セキュリティゲートの先に複数の号機の乗場が設けられ、上記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階に基づいて上記各号機の中の最適な号機を応答させるエレベータの群管理システムにおいて、上記セキュリティゲートの進入口付近に設置され、利用者が所持するセキュリティカードの情報を読み取る第1の読取り手段と、この第1の読取り手段によって読み取られた上記セキュリティカードの情報に基づいて利用者を認証する認証手段と、この認証手段によって正規の利用者と判定された場合にその利用者の行先階に基づいて上記各号機の中の最適な号機を割り当てる割当制御手段と、上記セキュリティゲートの出口付近に設置された表示部と、上記割当制御手段によって決定された割当号機に利用者を特定する情報を付して上記表示部に表示する表示制御手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は一実施形態に係るセキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムの連動システムの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるセキュリティゲートに表示される割当号機と行先階の一例を示す図である。
【図3】図3は同実施形態におけるセキュリティゲートに表示される割当号機とID番号の一例を示す図である。
【図4】図4は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態におけるエレベータの群管理システムに設けられたデータベースの一例を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
まず、セキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムの構成について説明する。図1は一実施形態に係るセキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムの構成を示す図である。
【0011】
オフィスビルなどの建物の基準階にセキュリティゲート11が設置されている。このセキュリティゲート11の出口側には、進入を阻止するための扉12が開閉自在に取り付けられている。セキュリティゲート11の進入口付近には、利用者が所持するセキュリティカード10の情報を読み取る第1の読取り部13が設けられている。このセキュリティカード10には、利用者を識別するための数桁のID(identification)番号と、その利用者の属性情報として行先階(利用階)の情報が予め記録されている。
【0012】
また、セキュリティゲート11の出口付近には、第2の読取り部14と表示部15が設けられている。第2の読取り部14は、表示部15の近くに設置されており、第1の読取り部13と同様にセキュリティカード10の情報を読み取る。なお、読取り部13,14は、所謂「カードリーダー」であり、電磁誘導方式などによりセキュリティカード10の情報を非接触で読み取る機能を有する。
【0013】
表示部15は、液晶パネルなどからなり、割当号機と利用者を特定する情報を表示する。利用者を特定する情報とは、具体的にはセキュリティカード10に記録されているID番号または属性情報としてID番号と共に記録されている行先階のことである。
【0014】
図2は割当号機と行先階の表示例を示す図である。この例では、割当号機として「B号機」、行先階として「5F」といった情報が表示されている。図3は割当号機とID番号の表示例を示す図である。この例では、割当号機として「B号機」、ID番号として「*****011」といった情報が表示されている。なお、ID番号については他人に知られないように一部(例えば下3桁)の番号のみを表示するものとする。
【0015】
一方、セキュリティゲート11の先には、複数の号機の乗場20が設けられている。図1の例では、A〜D号機の4台が並設されている。セキュリティゲート11を通過した利用者は、この乗場16にて自分に割り当てられた号機を持つ。
【0016】
このような構成において、利用者がセキュリティゲート11を通過するときに、第1の読取り部13にセキュリティカード10をかざすと、そのセキュリティカード10に記録されたID番号により利用者が認証される。正規の利用者であれば、セキュリティゲート11の扉12が開き、利用者はエレベータの乗場20まで行くことができる。
【0017】
一方、セキュリティカード10にID番号と共に記録されていた利用者の行先階が自動登録され、複数の号機の中から最適な号機が割り当てられる。その際、本実施形態では、表示部15に割当号機と共に利用者を特定する情報(行先階またはID番号)が表示される。
【0018】
以下に、上記連動システムを実現するエレベータの群管理システムの具体的な構成について説明する。
【0019】
図4はエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。なお、図1と同一部分には同じ符号を付して、その詳しい説明は省略するものとする。
【0020】
建物の基準階にセキュリティゲート11が設置されており、そのセキュリティゲート11の通過先に各号機のエレベータの乗場20がある。セキュリティゲート11には、図1に示した扉12、第1の読取り部13、第2の読取り部14、表示部15の他に、扉12を開閉駆動する駆動部16、群管理制御装置21との間で情報を送受信するための通信部17などが設けられている。
【0021】
群管理制御装置21は、各号機の運転を群管理制御するための装置である。本実施形態において、この群管理制御装置21には、記憶部22、認証部23、割当制御部24、表示制御部25が備えられている。なお、ここでは便宜上、記憶部22、認証部23、割当制御部24、表示制御部25の全てを群管理制御装置21に配置して記述したが、必ずしも同一装置に配置する必要はなく、別々の装置に配置する構成であっても良い。
【0022】
記憶部22には、図5に示すような利用者管理用のデータベース22aが設けられている。このデータベース22aには、エレベータの利用が許可された各利用者に与えられた数桁のID番号とその利用者の行先階の情報が対応付けて記憶されている。
【0023】
認証部22は、セキュリティゲート11の第1の読取り部13によって読み取られたセキュリティカード10の情報に基づいて、セキュリティゲート11を通過する利用者を認証する。詳しくは、セキュリティカード10に記録されたID番号とデータベース22aに記憶されたID番号との照合により正規の利用者か否かを判別する。
【0024】
割当制御部24は、記憶部22によって正規の利用者と判定された場合に、セキュリティカード10に記録された利用者の行先階に基づいて各号機の中の最適な号機を割り当てる。
【0025】
表示制御部25は、割当制御部24によって決定された割当号機に当該利用者を特定する情報を付してセキュリティゲート11の表示部15に表示する。利用者を特定する情報とは、セキュリティカード10に記録されたID番号および行先階であり、このうちの少なくとも一方を割当号機と共に表示部15に表示する。また、表示制御部25は、第2の読取り部14にて同じセキュリティカード10の情報が読み取られたとき、あるいは、利用者の認証後に一定時間経過したときに表示部15に表示された情報を消去する。
【0026】
また、この群管理制御装置21には、各号機(ここではA〜D号機)に対応した号機制御装置31a,31b,31c,31dが接続されている。これらの号機制御装置31a,31b,31c,31dは、それぞれに個別に各号機の運転を制御するための装置である。具体的には、乗りかご32a,32b,32c,32dを昇降動作させるためのモータの制御やドアの開閉制御などを行う。
【0027】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0028】
図6はエレベータの群管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示される処理は、コンピュータである群管理制御装置21によって実行される。
【0029】
利用者がセキュリティゲート11の入口付近に設置された第1の読取り部13にセキュリティカード10をかざすと、そのセキュリティカード10の情報が非接触で読み取られて群管理制御装置21に転送される(ステップS11のYes)。これにより、群管理制御装置21では、まず、認証部23を通じて利用者のID照合を行う(ステップS12)。すなわち、セキュリティカード10に記録されたID番号とデータベース22aに記憶されたID番号と照合して正規の利用者か否かを判別する。
【0030】
ID番号が一致せず、正規の利用者でないと判定された場合には(ステップS13のNo)、セキュリティゲート11の扉12はロック(閉門)されたままにある。したがって、利用者はセキュリティゲート11を通ってエレベータの乗場20に行くことはできない。
【0031】
一方、ID番号が一致し、正規の利用者であると判定された場合には(ステップS13のYes)、セキュリティゲート11の駆動部16を通じて扉12が開門される(ステップS14)。また、正規の利用者であった場合には、その利用者のセキュリティカード10にID番号と共に記録されていた行先階の情報が割当制御部24に送られる。割当制御部24では、この行先階の情報を乗場呼びとして登録した後(ステップS15)、各号機の中の最適な号機に上記乗場呼びを割り当てる(ステップS16)。なお、この割当制御については一般的に知らせている方法を用いるものとし、ここではその詳しい説明は省略するものとする。
【0032】
割当号機が決定されると、表示制御部25は、その割当号機と共に利用者を特定する情報として行先階またはID番号の一部をセキュリティゲート11の表示部15に転送し、これらの情報を所定の表示形態で表示する(ステップS17)。
【0033】
図2に割当号機と行先階の表示例、図3は割当号機とID番号の表示例を示す。どちらの例も2つの情報を上下に表示しているが、左右に表示することでも良い。要はセキュリティゲート11を通過する利用者が表示部15の画面上で割当号機と自分の行先階またはID番号を同時に視認できれば、どのような表示形態であっても良い。
【0034】
また、表示部15の近くに設置された第2の読取り部14にて同じ利用者のセキュリティカード10の情報が読み取られると(ステップS18)、表示制御部25は、これを表示消去の指示として受け取り、セキュリティゲート11の表示部15に表示されている情報(割当号機と行先階またはID番号)を消去する(ステップS20)。
【0035】
一方、利用者を認証後、セキュリティカード10の読取りがない状態で一定時間経過しした場合には(ステップS19のYes)、表示制御部25は、利用者が第2の読取り部14でセキュリティカード10をかざし忘れて通過したものと判断し、セキュリティゲート11の表示部15に表示されている情報を消去する(ステップS20)。なお、何らかの理由で利用者がセキュリティゲート11を通過せずに戻ってしまった場合でも同様であり、一定時間経過後に表示部15の情報が消去される。
【0036】
このように、利用者がセキュリティゲート11を通過する際に、割当号機にその利用者を特定する情報を付してセキュリティゲート11の表示部15に表示することで、利用者は自分に割り当てられた号機であることを認識することできる。したがって、混雑時に多数の利用者がセキュリティゲート11を通る場合に、直前に通った利用者に対する割当号機の表示が残っていても、自分の割当号機と見間違えて乗場20に行ってしまうことを防ぐことができる。
【0037】
さらに、割当号機の表示をセキュリティカード10の2度の読取りにより消去することができるため、後続の利用者が見間違えることを確実に防ぐことができる。また、セキュリティカード10の2度の読取りがなくとも、一定時間経過後には自動的に消去される。したがって、例えば利用者がセキュリティゲート11の第2の読取り部14を素通りしてしまったり、エレベータの乗場20には行かずに途中で戻ってしまったような場合に、同じ利用者に対する割当号機の情報が表示されている状態をなくして、後続利用者の見間違えを防止することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、図2および図3に示したように、割当号機と共に行先階またはID番号を表示する構成としたが、行先階とID番号の両方を表示するようにしても良い。このようにすれば、利用者が自分の割当号機をより確実に認識できるようになる。なお、この場合もID番号については、すべてを表示するのではなく、一部のみを表示することで、他人にID番号を知られることを防ぐものとする。
【0039】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、セキュリティゲートと乗場行先階登録装置の連動システムにおいて、利用者がセキュリティゲートを通過するときに割当号機の見間違えを防ぐことのできるエレベータの群管理システムを提供することができる。
【0040】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10…セキュリティカード、11…セキュリティゲート、12…扉、13…第1の読取り部、14…第2の読取り部、15…表示部、16…駆動部、17…通信部、20…乗場、21…群管理制御装置、22…記憶部、22a…データベース、23…認証部、24…割当制御部、25…表示制御部、31a,31b,31c,31d…号機制御装置、32a,32b,32c,32d…乗りかご。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティゲートの先に複数の号機の乗場が設けられ、上記セキュリティゲートを通過した利用者の行先階に基づいて上記各号機の中の最適な号機を応答させるエレベータの群管理システムにおいて、
上記セキュリティゲートの進入口付近に設置され、利用者が所持するセキュリティカードの情報を読み取る第1の読取り手段と、
この第1の読取り手段によって読み取られた上記セキュリティカードの情報に基づいて利用者を認証する認証手段と、
この認証手段によって正規の利用者と判定された場合にその利用者の行先階に基づいて上記各号機の中の最適な号機を割り当てる割当制御手段と、
上記セキュリティゲートの出口付近に設置された表示部と、
上記割当制御手段によって決定された割当号機に利用者を特定する情報を付して上記表示部に表示する表示制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの群管理システム。
【請求項2】
上記セキュリティカードには、利用者のID番号および行先階の情報が記録されており、
上記表示制御手段は、
上記利用者を特定する情報として、上記ID番号および上記行先階のうちの少なくとも一方を上記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項3】
上記表示制御手段は、
上記ID番号を表示する際に、上記ID番号の一部の情報のみを上記表示部に表示することを特徴とする請求項2記載のエレベータの群管理システム。
【請求項4】
上記表示部の近くに設置され、利用者が所持するセキュリティカードの情報を読み取る第2の読取り手段を備え、
上記表示制御手段は、
上記第2の読取り手段にて上記第1の読取り手段と同じセキュリティカードの情報が読み取られた場合に上記表示部に表示された情報を消去することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
【請求項5】
上記表示制御手段は、
利用者が認証されてから一定時間経過しても上記第2の読取り手段にて上記セキュリティカードの読み取りがなかった場合には上記表示部に表示された情報を消去することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67489(P2013−67489A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206974(P2011−206974)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】