エレベータシステムの表示制御装置
【課題】一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整可能とする。
【解決手段】乗りかご20内に液晶表示装置21、各階床の乗場30に液晶表示装置31が設置されている。エレベータ制御装置10は各階床の乗場呼びボタン33を無効化して輝度調整モードを設定した後、乗りかご20内の戸開ボタン24の操作により液晶表示装置21の輝度を調整する。また、エレベータ制御装置10は、かご停止階の行先階ボタン23が操作されたときに、該当する階床の液晶表示装置31の輝度を調整する。
【解決手段】乗りかご20内に液晶表示装置21、各階床の乗場30に液晶表示装置31が設置されている。エレベータ制御装置10は各階床の乗場呼びボタン33を無効化して輝度調整モードを設定した後、乗りかご20内の戸開ボタン24の操作により液晶表示装置21の輝度を調整する。また、エレベータ制御装置10は、かご停止階の行先階ボタン23が操作されたときに、該当する階床の液晶表示装置31の輝度を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各階床の乗場や乗りかご内に設置された表示装置の輝度調整を行うエレベータシステムの表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの各階床の乗場や乗りかご内には表示装置が設置されており、現在のかご位置(階床数)などを表示している。これらの表示装置として、今までLED(light emitting diode)が用いられていたが、近年では、かご位置だけでなく、様々な情報を詳細に表示するために、液晶表示装置が用いられることが多くなった。
【0003】
しかし、液晶表示装置は周囲の明るさに影響を受けやすいため、各階床の明るさに応じて輝度調整が不可欠であり、点検員が定期的に点検して輝度調整を行っている。この輝度調整に関し、例えば特許文献1では、乗場やかご内のボタンを利用して表示装置の輝度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−333628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乗場やかご内のボタンを利用して輝度調整を行う構成とした場合に、エレベータを利用する一般の人が誤って操作してしまう可能性がある。特に、各階床の乗場には、一般の利用者が多数往来しているため、乗場呼びボタンを押してしまう可能性は高い。
【0006】
この場合、上記特許文献1では、輝度調整中は乗場呼びボタンの長押しによって通常操作との区別を付けているが、一般の利用者が長押し操作することも考えられるため、勝手に輝度を変更されてしまう問題がある。
【0007】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することのできるエレベータシステムの表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、上記各階床の乗場呼びボタンを無効化して輝度調整モードを設定するモード設定手段と、このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第1のボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整する第1の輝度調整手段と、上記モード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第2のボタンの操作によって上記各階床の表示装置の輝度を階床単位で調整する第2の輝度調整手段と、上記第1または第2の輝度調整手段によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示する表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、点検員が持つ保守点検用の端末装置と、この端末装置からの指示に従って輝度調整モードを設定するモード設定手段と、このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記各表示装置の輝度を個別または予め設定されたグループ単位で共通に調整する輝度調整手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各階の乗場呼びボタンを無効化した状態で、乗りかご内のボタン操作により各表示装置の輝度を変更することにより、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することができる。
【0011】
また、保守員が持つ端末装置を用いて、各表示装置の輝度を個別またはグループ単位で共通に調整することにより、上記同様に、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた乗場用輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図3】図3は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた調整状態テーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における乗りかごの構成を示す図である。
【図5】図5は同実施形態における乗場の構成を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるエレベータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は同実施形態におけるエレベータ制御装置の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は同実施形態における乗りかご内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。
【図9】図9は同実施形態における乗りかご内の液晶表示装置に表示される未調整メッセージの一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態の変形例として乗りかご内の液晶表示装置を含めて調整済みと未調整とで区別表示とその調整状態の記録を行う場合の処理を部分的に示すフローチャートである。
【図11】図11は同実施形態の変形例として輝度調整を行う階床が予め決められている場合の乗りかご内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。
【図12】図12は本発明の第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【図13】図13は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた個別輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた共通輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態におけるエレベータ制御装置の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【0015】
本システムは、エレベータ制御装置10を備える。エレベータ制御装置10は、CPU、ROM、RAM等を搭載したコンピュータからなり、エレベータ全体の制御を行う。本実施形態において、このエレベータ制御装置10は、各表示装置の輝度を調整するための表示制御装置として用いられる。各表示装置とは、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21と各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31のことである。
【0016】
ここで、エレベータ制御装置10には、各表示装置の輝度調整に関わる構成要素として、かご用輝度データテーブル11、乗場用輝度データテーブル12、調整状態テーブル13が設けられている。
【0017】
かご用輝度データテーブル11は、乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度データを記憶している。乗場用輝度データテーブル12は、各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31の輝度データを記憶している。図2に乗場用輝度データテーブル12の一例を示す。図2の例では、1階:輝度レベルL5、2階と3階は輝度レベルL3、4階は輝度レベルL4…といったように、各階床毎に輝度レベルが個別に設定されている。
【0018】
調整状態テーブル13は、各階床の液晶表示装置31に対する輝度調整の状態を記録しておくためのテーブルである。図3に調整状態テーブル13の一例を示す。図3の例では、1階:1、2階と3階と5階は0…といったように、各階床毎に調整状態フラグFが設定されている。F=1は調整済み、F=0は未調整を表している。
【0019】
乗りかご20には、バックライト付きの液晶表示装置21とその表示コントローラ22が設けられている。また、乗りかご20内の操作ボタンとして、行先階ボタン23、戸開ボタン24、戸閉ボタン25が設けられている。
【0020】
図4は乗りかご20の構成を示す図である。
【0021】
乗りかご20の乗降口にかごドア26が開閉自在に設けられており、そのかごドア26の近くに液晶表示装置21、行先階ボタン23、戸開ボタン24、戸閉ボタン25が配設されている。
【0022】
液晶表示装置21は、乗りかご20に乗車している利用者に対して、現在のかご位置(階床数)や走行方向などを表示する。行先階ボタン23は、行先階を指定するためのボタンであり、各階床に対応して設けられている。戸開ボタン24は、かごドア26の戸開を指示するためのボタンである。戸閉ボタン25は、かごドア26の戸閉を指示するためのボタンである。これらのボタン23,24,25は、通常、押下式のスイッチボタンで構成される。
【0023】
また、乗場30には、バックライト付きの液晶表示装置31とその表示コントローラ32が設けられ、操作ボタンとして乗場呼びボタン33が設けられている。なお、図1の例では、1階床分の乗場30の構成しか図示されていないが、実際には各階床毎に同様の構成を有する。
【0024】
図5は乗場30の構成を示す図である。
【0025】
乗場30には、乗りかご20の着床位置に乗場ドア34が開閉自在に設けられており、その乗場ドア34の近くに液晶表示装置31、乗場呼びボタン33が配設されている。
【0026】
液晶表示装置31は、乗場30で待機している利用者に対し、現在のかご位置(階床数)や走行方向などを表示する。乗場呼びボタン33は、乗場呼びを登録するためのボタンであり、通常、押下式のスイッチボタンで構成される。
【0027】
また、特定の階(通常、最上階)には、メンテナンス用ユニット35が乗場呼びボタン33の操作パネルの下に取り付けられている。このメンテナンス用ユニット35には、輝度調整モードに切り換えるための図示せぬスイッチが設けられている。点検員は、そのスイッチを操作することで、輝度調整モードへの切り換えを行う。
【0028】
なお、「乗場呼び」とは、各階床の乗場呼びボタン33の操作によって登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報が含まれる。エレベータ制御装置10では、この乗場呼びの信号を受け付けると、乗りかご20をその登録階に応答させる。
【0029】
これに対し、「かご呼び」とは、かご内に設けられた図示せぬ行先階ボタン23の操作によって登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報が含まれる。エレベータ制御装置10では、このかご呼びの信号を受け付けると、乗りかご20をそのかご呼びにて指定された行先階に移動させる。
【0030】
図6はエレベータ制御装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
エレベータ制御装置10は、輝度調整に関する機能として、モード設定部41と、乗りかご用輝度調整部42と、乗場用輝度調整部43と、表示処理部44とを備える。
【0032】
モード設定部41は、各階床の乗場呼びボタン33を無効化して輝度調整モードを設定する。乗りかご用輝度調整部42は、輝度調整モードが設定された状態で、乗りかご20内の戸開ボタン24の操作によって液晶表示装置21の輝度を調整する。乗場用輝度調整部43は、輝度調整モードが設定された状態で、乗りかご20内の行先階ボタン23の操作によって各階床の液晶表示装置31の輝度を調整する。
【0033】
表示処理部44は、乗りかご用輝度調整部42または乗場用輝度調整部43によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示するための処理を行う。「確認可能に表示する」とは、具体的には、その表示装置の輝度調整に用いられたかご内のボタン(戸開ボタン24または行先階ボタン23)を他のボタンと区別して表示することである。
【0034】
次に、本システムによる輝度調整の動作について説明する。
【0035】
図7は第1の実施形態におけるエレベータ制御装置10の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【0036】
点検員は、メンテナンス用ユニット35上の図示せぬスイッチを操作して、エレベータの運転モードを輝度調整モードに切り換える。エレベータ制御装置10は、その切り換え信号を受けて輝度調整モードを設定することにより(ステップS11のYes)、以下のような処理を実行する。
【0037】
すなわち、エレベータ制御装置10は、まず、各階床の乗場呼びボタン33を無効化する(ステップS12)。「乗場呼びボタン33を無効化する」とは、乗場呼びボタン33が押されても、エレベータ制御装置10側で乗場呼びの信号を受け付けないようにすることである。これにより、輝度調整中に一般の利用者が乗場呼びボタン33を誤操作することを防ぐことができる。なお、このときに、例えば「現在、調整中のため、呼びボタンを使用できません」といったようなメッセージを各階床の液晶表示装置31に表示してもよい。
【0038】
続いて、エレベータ制御装置10は、乗りかご20を所定の階(通常、メンテナンス用ユニット35が設置された階=最上階)まで移動させ(ステップS13)、そこで戸開して待機させる(ステップS14)。
【0039】
輝度調整は、乗りかご20を戸開させた状態で、点検員が乗りかご20内の特定のボタンを操作することで行う。本実施形態では、「特定のボタン」として、行先階ボタン23と戸開ボタン24が定められている。
【0040】
ここで、エレベータ制御装置10は、戸開ボタン24が操作されたことを検出すると(ステップS16のYes)、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS17)、その液晶表示装置21の輝度データを変更する(ステップS18)。
【0041】
具体的には、戸開ボタン24が押下されている間、液晶表示装置21の輝度をサイクリックに変化させ、戸開ボタン24の押下が解除されたときのタイミングで、現在の輝度を確定する。より詳しくは、戸開ボタン24が押下されている間、液晶表示装置21に設けられた図示せぬバックライトの光量のレベルを+1ずつ周期的に変えていき、戸開ボタン24の押下が解除されたときに、その光量のレベルを確定する。
【0042】
確定された輝度のデータはエレベータ制御装置10のかご用輝度データテーブル11に記憶される。以後、エレベータ制御装置10は、このかご用輝度データテーブル11に記憶された輝度データに基づいて液晶表示装置21を駆動する。
【0043】
一方、エレベータ制御装置10は、行先階ボタン23が操作されたことを検出すると(ステップS15のYes)、その行先階ボタン23の指定階が現在のかご停止階と同じであるか否かを判断する(ステップS19)。
【0044】
行先階ボタン23の指定階が現在のかご停止階と同じであった場合には(ステップS19のYes)、エレベータ制御装置10は、現在のかご停止階の乗場30に設置されている液晶表示装置31の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS20)、その液晶表示装置31の輝度データを変更する(ステップS21)。
【0045】
すなわち、例えば1階に乗りかご20が停止していたとすると、1階の行先階ボタン23が押された場合に、その1階の乗場30に設置されている液晶表示装置31を調整対象として、当該行先階ボタン23の操作に従って輝度調整を行う。
【0046】
この場合、上記液晶表示装置21の輝度調整と同様に、1階の行先階ボタン23が押下されている間、液晶表示装置31の輝度をサイクリックに変化させ、1階の行先階ボタン23の押下が解除されたときのタイミングで、現在の輝度を確定する。より詳しくは、1階の行先階ボタン23が押下されている間、液晶表示装置31に設けられた図示せぬバックライトの光量のレベルを+1ずつ周期的に変えていき、1階の行先階ボタン23の押下が解除されたときに、その光量のレベルを確定する。
【0047】
なお、かご内にある液晶表示装置21と違って、乗場30の液晶表示装置31はかご外にあるので、点検員2人が組みになり、1人がかご内でボタン操作し、もう1人が乗場30で液晶表示装置31の輝度を確認しながら指示を出すといった作業が好ましい。
【0048】
確定された輝度のデータはエレベータ制御装置10の乗場用輝度データテーブル12に当該階床と関連付けられて記憶される(図2参照)。以後、エレベータ制御装置10は、この乗場用輝度データ記憶部12に記憶された輝度データに基づいて当該階床の液晶表示装置31を駆動する。
【0049】
ここで、ある階床の液晶表示装置31の輝度が調整されると、エレベータ制御装置10は、図3に示す調整状態テーブル13の当該階床の調整状態フラグFを“1”にセットする(ステップS22)。また、保守員が調整済みであることを確認できるようにするため、エレベータ制御装置10は、かご内の操作パネルにおける当該階床の行先階ボタン23を他のボタンと区別して表示する(ステップS23)。
【0050】
一方、点検員が他の階床の輝度調整を行うために、他の階床の行先階ボタン23を押下すると、エレベータ制御装置10は、現在のかご停止階以外の階床の行先階ボタン23が押下されたものと判断して(ステップS19)、乗りかご20を戸閉して、その行先階ボタン23で指定された階床へ移動させる(ステップS24)。
【0051】
乗りかご20の移動後は、上記同様にして、その階床の行先階ボタン23を引き続き操作下すれば、その階床の液晶表示装置31の輝度調整を行うことができる。例えば1階から2階へ移動したとすると、その2階の行先階ボタン23の操作によって、2階の液晶表示装置31の輝度を調整することができる。
【0052】
ここで、上記ステップS23で説明したように、輝度調整後に、該当する階床の行先階ボタン23が他のボタンと区別して表示される。図8にその具体例を示す。
【0053】
図8は乗りかご20内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。図中の27は操作パネルであり、そこに各階床(ここでは1階〜4階)の行先階ボタン23a〜23dが配列されている。
【0054】
輝度調整モードが設定されたとき(初期時)、全階床の行先階ボタン23が消灯状態にある。この状態で、例えば1階の行先階ボタン23aを押下して1階の液晶表示装置31の輝度を調整すると、その行先階ボタン23aが点滅して、輝度調整済みであることが明示される。
【0055】
一方、点検員が他の階床の輝度調整を行うために、例えば2階の行先階ボタン23bを押下すると、その行先階ボタン23bが通常通り点灯する。この場合、乗りかご20が2階に着床したときに行先階ボタン23bが消灯する。そして、点検員が再び行先階ボタン23bを押下して2階の液晶表示装置31の輝度を調整すれば、その行先階ボタン23aが点滅して、輝度調整済みであることが明示される。
【0056】
また、図8の例では、3階の行先階ボタン23cと4階の行先階ボタン23dは消灯状態であり、これは輝度未調整であることを表している。
【0057】
このように、各階床の輝度調整状態に応じてかご内のボタン表示を変えることで、どの階の輝度調整を行ったのかを一目で把握でき、調整漏れを防ぐことができる。
【0058】
なお、図8の例では、最初に全ての階床の行先階ボタン23a〜23dを消灯した状態で、輝度調整後に該当するボタンを点滅させるようにしたが、例えば最初に全ての階床のボタン23a〜23dを点灯しておき、輝度調整後に該当するボタンを消灯あるいは点滅するような構成であってもよい。さらに、行先階ボタン23a〜23dが色表示が可能なボタンであれば、調整済みと未調整とで色分けすることでもよい。要するに、各階床の行先階ボタン23a〜23dを調整済みと未調整とで区別表示できれば、どのような表示形態であってもよい。
【0059】
図7のフローチャートに戻って、点検員が各階床の輝度調整作業を終え、上記メンテナンス用ユニット35上の図示せぬスイッチを操作して輝度調整モードを解除すると(ステップS25のYes)、エレベータ制御装置10は、調整状態テーブル13を参照して、未調整階の有無を調べる(ステップS26)。
【0060】
ここで、未調整階があった場合、つまり、調整状態テーブル13に調整状態フラグFが“0”の階床が存在すれば(ステップS26のYes)、エレベータ制御装置10は、その旨の未調整メッセージを乗りかご20内の液晶表示装置21に表示する(ステップS27)。
【0061】
図9は乗りかご20内の液晶表示装置21に表示される未調整メッセージの一例を示す図である。
【0062】
例えば、4階の液晶表示装置31が未調整であったとすると、例えば「4階が未調整です」といった未調整メッセージ51が乗りかご20内の液晶表示装置21に表示される。未調整メッセージ51を乗りかご20内に表示するのは、点検員がその中にいて各階床の調整有無を確認し易いからである。
【0063】
この未調整メッセージ51の表示により、点検員は未調整階があったことを知ることができる。この場合、再び輝度調整モードにして、その未調整階に乗りかご20を移動されば、上記同様にして輝度調整を行うことができる。
【0064】
なお、未調整メッセージ51に加え、さらに各階床の調整結果52を表示することでもよい。これにより、各階床でどのような輝度に調整したのかを把握することができる。また、この調整結果52は、未調整階の有無に関係なく表示することでもよい。
【0065】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、各階床の乗場呼びボタン33を無効化し、乗りかご20内の特定のボタン(行先階ボタン23と戸開ボタン24)の操作により、各表示装置の輝度を変更するようにしたので、輝度調整中に一般の利用者が乗場呼びボタン33を誤操作することを防いで、乗りかご20内で点検員の操作のみによって輝度調整を容易に行うことができる。
【0066】
また、輝度調整中は各階床の行先階ボタン23が調整済みと未調整とで区別表示されるので、点検員はそのボタン表示を見ながら、各階床毎に調整有無を確認して作業を進めることができる。
【0067】
さらに、調整作業後に調整状態テーブル13を参照して未調整の液晶表示装置31があれば、その旨のメッセージが表示されるので、調整漏れを防ぐことができる。
【0068】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態では、各階床の液晶表示装置31に対してのみ、調整済みと未調整との区別表示と、その調整状態の記録を行う構成としたが、さらに、乗りかご20内の液晶表示装置21を含めて行うことでもよい。これは、調整状態テーブル13に乗りかご20内の液晶表示装置21の調整状態を示すフラグFを追加し、図10に示すような処理を行うことで実現できる。
【0069】
すなわち、エレベータ制御装置10は、戸開ボタン24が操作されたことを検出すると(ステップS16のYes)、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS17)、その液晶表示装置21の輝度データを変更する(ステップS18)。
【0070】
ここで、液晶表示装置21の輝度調整が行われた場合に、エレベータ制御装置10は、調整状態テーブル13の液晶表示装置21に対応した調整状態フラグFを“1”にセット(ステップA11)。また、エレベータ制御装置10は、かご内の操作パネルにおける戸開ボタン24を点滅させて、輝度調整済みであることを明示する(ステップA12)。
【0071】
このようにすれば、点検員は乗りかご20内の液晶表示装置21に対する調整有無についても容易に確認することができる。なお、図7のステップS26,S27において、乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度調整が行われていない場合には、その旨のメッセージが表示される。よって、乗場30の液晶表示装置31だけでなく、乗りかご20内の液晶表示装置21についても、調整忘れを防ぐことができる。
【0072】
また、上記第1の実施形態では、全階床の液晶表示装置31を輝度調整する場合を想定したが、例えば輝度調整を行う階床が予め決められている場合には、乗りかご20内のボタンを特殊操作することにより、その調整対象階を除く他の階床を調整済みとして設定しておくこともできる。上記特殊操作としては、具体的には「戸開ボタン24を押下しながら行先階ボタン23を押下する」といった操作である。
【0073】
図11を例にして具体的に説明すると、例えば奇数階(1階と3階)のみ輝度調整を行う場合において、点検員は1階の乗場30にて乗りかご20を戸開した状態で乗り込み、戸開ボタン24を押下しながら、調整対象外となる偶数階(2階と4階)の行先階ボタン23b,23cを押下する。これにより、行先階ボタン23b,23cが点滅して調整済みとして表示されると共に、調整状態テーブル13の該当する階床の調整状態フラグFが“1”にセットされて調整済みとして設定される。
【0074】
このように、輝度調整を行う階床が予め決められている場合には、その調整対象階を除く他の階床を調整済みとして設定しておくことで、調整対象階のみに乗りかご20を移動させながら効率的に輝度調整を行うことができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0076】
上記第1の実施形態では、かご内でのボタン操作により各表示装置の輝度調整を行う構成としたが、第2の実施形態では、保守端末を用いて各表示装置の輝度調整を行うようにしたものである。
【0077】
図12は本発明の第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0078】
第2の実施形態では、保守端末60がエレベータ制御装置10に接続されており、そのエレベータ制御装置10には個別輝度データテーブル14と共通輝度データテーブル15とが設けられている。
【0079】
保守端末60は、点検員が携帯する保守点検用の端末装置である。点検員は、この保守端末60をエレベータ制御装置10に接続することにより、各表示装置の輝度調整を行うことができる。各表示装置とは、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21と、各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31のことである。
【0080】
なお、保守端末60とエレベータ制御装置10との接続形態は、無線であっても有線であってもよく、本発明ではその接続形態に特に限定されるものではない。
【0081】
個別輝度データテーブル14は、各表示装置の輝度データを個別に設定するためのテーブルである。図13に個別輝度データテーブル14の一例を示す。図13の例では、1階:輝度レベルL5、2階と3階は輝度レベルL3、4階は輝度レベルL4…、また、かご内:輝度レベルL2といったように、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度レベルが個別に設定されている。
【0082】
共通輝度データテーブル15は、各表示装置の輝度データを共通に設定するためのテーブルである。この場合、全ての表示装置を同じ輝度データに設定することでも、グループ単位に分けて設定することでもよい。図14に共通輝度データテーブル15の一例を示す。図14の例では、奇数階と偶数階、そして、かご内の3つのグループG1,G2,G3に分け、これらのグループG1,G2,G3に対して輝度レベルL5、L3、L2が共通に設定されている。
【0083】
このような構成において、点検員が携帯する保守端末60をエレベータ制御装置10に接続した状態で、そのエレベータ制御装置10に設けられた個別輝度データテーブル14または共通輝度データテーブル15の内容を任意に変更することができる。変更後、保守端末60から輝度調整のコマンドを送る。その際、個別または共通で調整するのかを指定することにより、以下のような処理が実行される。
【0084】
図15は第2の実施形態におけるエレベータ制御装置10の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【0085】
エレベータ制御装置10は、保守端末60からのコマンドを受けて、エレベータの運転モードを輝度調整モードに設定すると(ステップB11のYes)、個別調整であるのか共通調整であるのかを判断する(ステップB12)。
【0086】
ここで、個別調整の場合には(ステップB12のYes)、エレベータ制御装置10は、個別輝度データテーブル14に記憶された輝度データに基づいて、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度を調整する(ステップB13)。この場合、各表示装置毎に個別に輝度レベルが設定されることになる。
【0087】
一方、共通調整の場合には(ステップB12のNo)、エレベータ制御装置10は、共通輝度データテーブル15に記憶された輝度データに基づいて、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度をグループ単位で調整する(ステップB13)。図14の例であれば、グループG1に属する奇数階の液晶表示装置31に対しては輝度レベルL5、グループG2に属する偶数階の液晶表示装置31に対しては輝度レベルL3、そして、グループG3に属する乗りかご20内の液晶表示装置21に対しては輝度レベルL2に設定されることになる。
【0088】
なお、輝度調整モードが設定されている状態で、保守端末60により特定のコマンドをエレベータ制御装置10に送信することで、未設定の表示装置の輝度をすべて確定することもできる。
【0089】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、一般の利用者に気にすることなく、点検員が保守端末60を用いて各表示装置の輝度を簡単に調整することができる。また、建物の環境に応じて、各表示装置の輝度を個別または共通に調整して、利用者が見やすい表示状態を維持することができる。
【0090】
また、上記各実施形態では、液晶表示装置の輝度を調整する場合を例にして説明したが、例えばLEDなどの他の表示装置の輝度を調整する場合も同様に適用可能である。LEDの場合には、LEDの発光量を調整することになる。
【0091】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…エレベータ制御装置、11…かご用輝度データテーブル、12…乗場用輝度データテーブル、13…調整状態テーブル、14…個別輝度データテーブル、15…共通輝度データテーブル、20…乗りかご、21…液晶表示装置、22…表示コントローラ、23,23a〜23d…行先階ボタン、24…戸開ボタン、25…戸閉ボタン、26…かごドア、27…操作パネル、30…乗場、31…液晶表示装置、32…表示コントローラ、33…乗場呼びボタン、34…乗場ドア、35…メンテナンス用ユニット、41…モード設定部、42…乗りかご用輝度調整部、43…乗場用輝度調整部、44…表示処理部、51…未調整メッセージ、52…調整結果、60…保守端末。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各階床の乗場や乗りかご内に設置された表示装置の輝度調整を行うエレベータシステムの表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの各階床の乗場や乗りかご内には表示装置が設置されており、現在のかご位置(階床数)などを表示している。これらの表示装置として、今までLED(light emitting diode)が用いられていたが、近年では、かご位置だけでなく、様々な情報を詳細に表示するために、液晶表示装置が用いられることが多くなった。
【0003】
しかし、液晶表示装置は周囲の明るさに影響を受けやすいため、各階床の明るさに応じて輝度調整が不可欠であり、点検員が定期的に点検して輝度調整を行っている。この輝度調整に関し、例えば特許文献1では、乗場やかご内のボタンを利用して表示装置の輝度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−333628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乗場やかご内のボタンを利用して輝度調整を行う構成とした場合に、エレベータを利用する一般の人が誤って操作してしまう可能性がある。特に、各階床の乗場には、一般の利用者が多数往来しているため、乗場呼びボタンを押してしまう可能性は高い。
【0006】
この場合、上記特許文献1では、輝度調整中は乗場呼びボタンの長押しによって通常操作との区別を付けているが、一般の利用者が長押し操作することも考えられるため、勝手に輝度を変更されてしまう問題がある。
【0007】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することのできるエレベータシステムの表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、上記各階床の乗場呼びボタンを無効化して輝度調整モードを設定するモード設定手段と、このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第1のボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整する第1の輝度調整手段と、上記モード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第2のボタンの操作によって上記各階床の表示装置の輝度を階床単位で調整する第2の輝度調整手段と、上記第1または第2の輝度調整手段によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示する表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、点検員が持つ保守点検用の端末装置と、この端末装置からの指示に従って輝度調整モードを設定するモード設定手段と、このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記各表示装置の輝度を個別または予め設定されたグループ単位で共通に調整する輝度調整手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各階の乗場呼びボタンを無効化した状態で、乗りかご内のボタン操作により各表示装置の輝度を変更することにより、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することができる。
【0011】
また、保守員が持つ端末装置を用いて、各表示装置の輝度を個別またはグループ単位で共通に調整することにより、上記同様に、一般の利用者による誤操作を防いで、乗場やかご内の表示装置の輝度を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた乗場用輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図3】図3は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた調整状態テーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は同実施形態における乗りかごの構成を示す図である。
【図5】図5は同実施形態における乗場の構成を示す図である。
【図6】図6は同実施形態におけるエレベータ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は同実施形態におけるエレベータ制御装置の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は同実施形態における乗りかご内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。
【図9】図9は同実施形態における乗りかご内の液晶表示装置に表示される未調整メッセージの一例を示す図である。
【図10】図10は同実施形態の変形例として乗りかご内の液晶表示装置を含めて調整済みと未調整とで区別表示とその調整状態の記録を行う場合の処理を部分的に示すフローチャートである。
【図11】図11は同実施形態の変形例として輝度調整を行う階床が予め決められている場合の乗りかご内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。
【図12】図12は本発明の第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【図13】図13は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた個別輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態におけるエレベータ制御装置に設けられた共通輝度データテーブルの一例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態におけるエレベータ制御装置の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【0015】
本システムは、エレベータ制御装置10を備える。エレベータ制御装置10は、CPU、ROM、RAM等を搭載したコンピュータからなり、エレベータ全体の制御を行う。本実施形態において、このエレベータ制御装置10は、各表示装置の輝度を調整するための表示制御装置として用いられる。各表示装置とは、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21と各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31のことである。
【0016】
ここで、エレベータ制御装置10には、各表示装置の輝度調整に関わる構成要素として、かご用輝度データテーブル11、乗場用輝度データテーブル12、調整状態テーブル13が設けられている。
【0017】
かご用輝度データテーブル11は、乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度データを記憶している。乗場用輝度データテーブル12は、各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31の輝度データを記憶している。図2に乗場用輝度データテーブル12の一例を示す。図2の例では、1階:輝度レベルL5、2階と3階は輝度レベルL3、4階は輝度レベルL4…といったように、各階床毎に輝度レベルが個別に設定されている。
【0018】
調整状態テーブル13は、各階床の液晶表示装置31に対する輝度調整の状態を記録しておくためのテーブルである。図3に調整状態テーブル13の一例を示す。図3の例では、1階:1、2階と3階と5階は0…といったように、各階床毎に調整状態フラグFが設定されている。F=1は調整済み、F=0は未調整を表している。
【0019】
乗りかご20には、バックライト付きの液晶表示装置21とその表示コントローラ22が設けられている。また、乗りかご20内の操作ボタンとして、行先階ボタン23、戸開ボタン24、戸閉ボタン25が設けられている。
【0020】
図4は乗りかご20の構成を示す図である。
【0021】
乗りかご20の乗降口にかごドア26が開閉自在に設けられており、そのかごドア26の近くに液晶表示装置21、行先階ボタン23、戸開ボタン24、戸閉ボタン25が配設されている。
【0022】
液晶表示装置21は、乗りかご20に乗車している利用者に対して、現在のかご位置(階床数)や走行方向などを表示する。行先階ボタン23は、行先階を指定するためのボタンであり、各階床に対応して設けられている。戸開ボタン24は、かごドア26の戸開を指示するためのボタンである。戸閉ボタン25は、かごドア26の戸閉を指示するためのボタンである。これらのボタン23,24,25は、通常、押下式のスイッチボタンで構成される。
【0023】
また、乗場30には、バックライト付きの液晶表示装置31とその表示コントローラ32が設けられ、操作ボタンとして乗場呼びボタン33が設けられている。なお、図1の例では、1階床分の乗場30の構成しか図示されていないが、実際には各階床毎に同様の構成を有する。
【0024】
図5は乗場30の構成を示す図である。
【0025】
乗場30には、乗りかご20の着床位置に乗場ドア34が開閉自在に設けられており、その乗場ドア34の近くに液晶表示装置31、乗場呼びボタン33が配設されている。
【0026】
液晶表示装置31は、乗場30で待機している利用者に対し、現在のかご位置(階床数)や走行方向などを表示する。乗場呼びボタン33は、乗場呼びを登録するためのボタンであり、通常、押下式のスイッチボタンで構成される。
【0027】
また、特定の階(通常、最上階)には、メンテナンス用ユニット35が乗場呼びボタン33の操作パネルの下に取り付けられている。このメンテナンス用ユニット35には、輝度調整モードに切り換えるための図示せぬスイッチが設けられている。点検員は、そのスイッチを操作することで、輝度調整モードへの切り換えを行う。
【0028】
なお、「乗場呼び」とは、各階床の乗場呼びボタン33の操作によって登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報が含まれる。エレベータ制御装置10では、この乗場呼びの信号を受け付けると、乗りかご20をその登録階に応答させる。
【0029】
これに対し、「かご呼び」とは、かご内に設けられた図示せぬ行先階ボタン23の操作によって登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報が含まれる。エレベータ制御装置10では、このかご呼びの信号を受け付けると、乗りかご20をそのかご呼びにて指定された行先階に移動させる。
【0030】
図6はエレベータ制御装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
エレベータ制御装置10は、輝度調整に関する機能として、モード設定部41と、乗りかご用輝度調整部42と、乗場用輝度調整部43と、表示処理部44とを備える。
【0032】
モード設定部41は、各階床の乗場呼びボタン33を無効化して輝度調整モードを設定する。乗りかご用輝度調整部42は、輝度調整モードが設定された状態で、乗りかご20内の戸開ボタン24の操作によって液晶表示装置21の輝度を調整する。乗場用輝度調整部43は、輝度調整モードが設定された状態で、乗りかご20内の行先階ボタン23の操作によって各階床の液晶表示装置31の輝度を調整する。
【0033】
表示処理部44は、乗りかご用輝度調整部42または乗場用輝度調整部43によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示するための処理を行う。「確認可能に表示する」とは、具体的には、その表示装置の輝度調整に用いられたかご内のボタン(戸開ボタン24または行先階ボタン23)を他のボタンと区別して表示することである。
【0034】
次に、本システムによる輝度調整の動作について説明する。
【0035】
図7は第1の実施形態におけるエレベータ制御装置10の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【0036】
点検員は、メンテナンス用ユニット35上の図示せぬスイッチを操作して、エレベータの運転モードを輝度調整モードに切り換える。エレベータ制御装置10は、その切り換え信号を受けて輝度調整モードを設定することにより(ステップS11のYes)、以下のような処理を実行する。
【0037】
すなわち、エレベータ制御装置10は、まず、各階床の乗場呼びボタン33を無効化する(ステップS12)。「乗場呼びボタン33を無効化する」とは、乗場呼びボタン33が押されても、エレベータ制御装置10側で乗場呼びの信号を受け付けないようにすることである。これにより、輝度調整中に一般の利用者が乗場呼びボタン33を誤操作することを防ぐことができる。なお、このときに、例えば「現在、調整中のため、呼びボタンを使用できません」といったようなメッセージを各階床の液晶表示装置31に表示してもよい。
【0038】
続いて、エレベータ制御装置10は、乗りかご20を所定の階(通常、メンテナンス用ユニット35が設置された階=最上階)まで移動させ(ステップS13)、そこで戸開して待機させる(ステップS14)。
【0039】
輝度調整は、乗りかご20を戸開させた状態で、点検員が乗りかご20内の特定のボタンを操作することで行う。本実施形態では、「特定のボタン」として、行先階ボタン23と戸開ボタン24が定められている。
【0040】
ここで、エレベータ制御装置10は、戸開ボタン24が操作されたことを検出すると(ステップS16のYes)、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS17)、その液晶表示装置21の輝度データを変更する(ステップS18)。
【0041】
具体的には、戸開ボタン24が押下されている間、液晶表示装置21の輝度をサイクリックに変化させ、戸開ボタン24の押下が解除されたときのタイミングで、現在の輝度を確定する。より詳しくは、戸開ボタン24が押下されている間、液晶表示装置21に設けられた図示せぬバックライトの光量のレベルを+1ずつ周期的に変えていき、戸開ボタン24の押下が解除されたときに、その光量のレベルを確定する。
【0042】
確定された輝度のデータはエレベータ制御装置10のかご用輝度データテーブル11に記憶される。以後、エレベータ制御装置10は、このかご用輝度データテーブル11に記憶された輝度データに基づいて液晶表示装置21を駆動する。
【0043】
一方、エレベータ制御装置10は、行先階ボタン23が操作されたことを検出すると(ステップS15のYes)、その行先階ボタン23の指定階が現在のかご停止階と同じであるか否かを判断する(ステップS19)。
【0044】
行先階ボタン23の指定階が現在のかご停止階と同じであった場合には(ステップS19のYes)、エレベータ制御装置10は、現在のかご停止階の乗場30に設置されている液晶表示装置31の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS20)、その液晶表示装置31の輝度データを変更する(ステップS21)。
【0045】
すなわち、例えば1階に乗りかご20が停止していたとすると、1階の行先階ボタン23が押された場合に、その1階の乗場30に設置されている液晶表示装置31を調整対象として、当該行先階ボタン23の操作に従って輝度調整を行う。
【0046】
この場合、上記液晶表示装置21の輝度調整と同様に、1階の行先階ボタン23が押下されている間、液晶表示装置31の輝度をサイクリックに変化させ、1階の行先階ボタン23の押下が解除されたときのタイミングで、現在の輝度を確定する。より詳しくは、1階の行先階ボタン23が押下されている間、液晶表示装置31に設けられた図示せぬバックライトの光量のレベルを+1ずつ周期的に変えていき、1階の行先階ボタン23の押下が解除されたときに、その光量のレベルを確定する。
【0047】
なお、かご内にある液晶表示装置21と違って、乗場30の液晶表示装置31はかご外にあるので、点検員2人が組みになり、1人がかご内でボタン操作し、もう1人が乗場30で液晶表示装置31の輝度を確認しながら指示を出すといった作業が好ましい。
【0048】
確定された輝度のデータはエレベータ制御装置10の乗場用輝度データテーブル12に当該階床と関連付けられて記憶される(図2参照)。以後、エレベータ制御装置10は、この乗場用輝度データ記憶部12に記憶された輝度データに基づいて当該階床の液晶表示装置31を駆動する。
【0049】
ここで、ある階床の液晶表示装置31の輝度が調整されると、エレベータ制御装置10は、図3に示す調整状態テーブル13の当該階床の調整状態フラグFを“1”にセットする(ステップS22)。また、保守員が調整済みであることを確認できるようにするため、エレベータ制御装置10は、かご内の操作パネルにおける当該階床の行先階ボタン23を他のボタンと区別して表示する(ステップS23)。
【0050】
一方、点検員が他の階床の輝度調整を行うために、他の階床の行先階ボタン23を押下すると、エレベータ制御装置10は、現在のかご停止階以外の階床の行先階ボタン23が押下されたものと判断して(ステップS19)、乗りかご20を戸閉して、その行先階ボタン23で指定された階床へ移動させる(ステップS24)。
【0051】
乗りかご20の移動後は、上記同様にして、その階床の行先階ボタン23を引き続き操作下すれば、その階床の液晶表示装置31の輝度調整を行うことができる。例えば1階から2階へ移動したとすると、その2階の行先階ボタン23の操作によって、2階の液晶表示装置31の輝度を調整することができる。
【0052】
ここで、上記ステップS23で説明したように、輝度調整後に、該当する階床の行先階ボタン23が他のボタンと区別して表示される。図8にその具体例を示す。
【0053】
図8は乗りかご20内の操作パネルのボタン表示例を示す図である。図中の27は操作パネルであり、そこに各階床(ここでは1階〜4階)の行先階ボタン23a〜23dが配列されている。
【0054】
輝度調整モードが設定されたとき(初期時)、全階床の行先階ボタン23が消灯状態にある。この状態で、例えば1階の行先階ボタン23aを押下して1階の液晶表示装置31の輝度を調整すると、その行先階ボタン23aが点滅して、輝度調整済みであることが明示される。
【0055】
一方、点検員が他の階床の輝度調整を行うために、例えば2階の行先階ボタン23bを押下すると、その行先階ボタン23bが通常通り点灯する。この場合、乗りかご20が2階に着床したときに行先階ボタン23bが消灯する。そして、点検員が再び行先階ボタン23bを押下して2階の液晶表示装置31の輝度を調整すれば、その行先階ボタン23aが点滅して、輝度調整済みであることが明示される。
【0056】
また、図8の例では、3階の行先階ボタン23cと4階の行先階ボタン23dは消灯状態であり、これは輝度未調整であることを表している。
【0057】
このように、各階床の輝度調整状態に応じてかご内のボタン表示を変えることで、どの階の輝度調整を行ったのかを一目で把握でき、調整漏れを防ぐことができる。
【0058】
なお、図8の例では、最初に全ての階床の行先階ボタン23a〜23dを消灯した状態で、輝度調整後に該当するボタンを点滅させるようにしたが、例えば最初に全ての階床のボタン23a〜23dを点灯しておき、輝度調整後に該当するボタンを消灯あるいは点滅するような構成であってもよい。さらに、行先階ボタン23a〜23dが色表示が可能なボタンであれば、調整済みと未調整とで色分けすることでもよい。要するに、各階床の行先階ボタン23a〜23dを調整済みと未調整とで区別表示できれば、どのような表示形態であってもよい。
【0059】
図7のフローチャートに戻って、点検員が各階床の輝度調整作業を終え、上記メンテナンス用ユニット35上の図示せぬスイッチを操作して輝度調整モードを解除すると(ステップS25のYes)、エレベータ制御装置10は、調整状態テーブル13を参照して、未調整階の有無を調べる(ステップS26)。
【0060】
ここで、未調整階があった場合、つまり、調整状態テーブル13に調整状態フラグFが“0”の階床が存在すれば(ステップS26のYes)、エレベータ制御装置10は、その旨の未調整メッセージを乗りかご20内の液晶表示装置21に表示する(ステップS27)。
【0061】
図9は乗りかご20内の液晶表示装置21に表示される未調整メッセージの一例を示す図である。
【0062】
例えば、4階の液晶表示装置31が未調整であったとすると、例えば「4階が未調整です」といった未調整メッセージ51が乗りかご20内の液晶表示装置21に表示される。未調整メッセージ51を乗りかご20内に表示するのは、点検員がその中にいて各階床の調整有無を確認し易いからである。
【0063】
この未調整メッセージ51の表示により、点検員は未調整階があったことを知ることができる。この場合、再び輝度調整モードにして、その未調整階に乗りかご20を移動されば、上記同様にして輝度調整を行うことができる。
【0064】
なお、未調整メッセージ51に加え、さらに各階床の調整結果52を表示することでもよい。これにより、各階床でどのような輝度に調整したのかを把握することができる。また、この調整結果52は、未調整階の有無に関係なく表示することでもよい。
【0065】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、各階床の乗場呼びボタン33を無効化し、乗りかご20内の特定のボタン(行先階ボタン23と戸開ボタン24)の操作により、各表示装置の輝度を変更するようにしたので、輝度調整中に一般の利用者が乗場呼びボタン33を誤操作することを防いで、乗りかご20内で点検員の操作のみによって輝度調整を容易に行うことができる。
【0066】
また、輝度調整中は各階床の行先階ボタン23が調整済みと未調整とで区別表示されるので、点検員はそのボタン表示を見ながら、各階床毎に調整有無を確認して作業を進めることができる。
【0067】
さらに、調整作業後に調整状態テーブル13を参照して未調整の液晶表示装置31があれば、その旨のメッセージが表示されるので、調整漏れを防ぐことができる。
【0068】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態では、各階床の液晶表示装置31に対してのみ、調整済みと未調整との区別表示と、その調整状態の記録を行う構成としたが、さらに、乗りかご20内の液晶表示装置21を含めて行うことでもよい。これは、調整状態テーブル13に乗りかご20内の液晶表示装置21の調整状態を示すフラグFを追加し、図10に示すような処理を行うことで実現できる。
【0069】
すなわち、エレベータ制御装置10は、戸開ボタン24が操作されたことを検出すると(ステップS16のYes)、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21の輝度調整指示があったものと判断し(ステップS17)、その液晶表示装置21の輝度データを変更する(ステップS18)。
【0070】
ここで、液晶表示装置21の輝度調整が行われた場合に、エレベータ制御装置10は、調整状態テーブル13の液晶表示装置21に対応した調整状態フラグFを“1”にセット(ステップA11)。また、エレベータ制御装置10は、かご内の操作パネルにおける戸開ボタン24を点滅させて、輝度調整済みであることを明示する(ステップA12)。
【0071】
このようにすれば、点検員は乗りかご20内の液晶表示装置21に対する調整有無についても容易に確認することができる。なお、図7のステップS26,S27において、乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度調整が行われていない場合には、その旨のメッセージが表示される。よって、乗場30の液晶表示装置31だけでなく、乗りかご20内の液晶表示装置21についても、調整忘れを防ぐことができる。
【0072】
また、上記第1の実施形態では、全階床の液晶表示装置31を輝度調整する場合を想定したが、例えば輝度調整を行う階床が予め決められている場合には、乗りかご20内のボタンを特殊操作することにより、その調整対象階を除く他の階床を調整済みとして設定しておくこともできる。上記特殊操作としては、具体的には「戸開ボタン24を押下しながら行先階ボタン23を押下する」といった操作である。
【0073】
図11を例にして具体的に説明すると、例えば奇数階(1階と3階)のみ輝度調整を行う場合において、点検員は1階の乗場30にて乗りかご20を戸開した状態で乗り込み、戸開ボタン24を押下しながら、調整対象外となる偶数階(2階と4階)の行先階ボタン23b,23cを押下する。これにより、行先階ボタン23b,23cが点滅して調整済みとして表示されると共に、調整状態テーブル13の該当する階床の調整状態フラグFが“1”にセットされて調整済みとして設定される。
【0074】
このように、輝度調整を行う階床が予め決められている場合には、その調整対象階を除く他の階床を調整済みとして設定しておくことで、調整対象階のみに乗りかご20を移動させながら効率的に輝度調整を行うことができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0076】
上記第1の実施形態では、かご内でのボタン操作により各表示装置の輝度調整を行う構成としたが、第2の実施形態では、保守端末を用いて各表示装置の輝度調整を行うようにしたものである。
【0077】
図12は本発明の第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0078】
第2の実施形態では、保守端末60がエレベータ制御装置10に接続されており、そのエレベータ制御装置10には個別輝度データテーブル14と共通輝度データテーブル15とが設けられている。
【0079】
保守端末60は、点検員が携帯する保守点検用の端末装置である。点検員は、この保守端末60をエレベータ制御装置10に接続することにより、各表示装置の輝度調整を行うことができる。各表示装置とは、乗りかご20内に設置された液晶表示装置21と、各階床の乗場30に設置された液晶表示装置31のことである。
【0080】
なお、保守端末60とエレベータ制御装置10との接続形態は、無線であっても有線であってもよく、本発明ではその接続形態に特に限定されるものではない。
【0081】
個別輝度データテーブル14は、各表示装置の輝度データを個別に設定するためのテーブルである。図13に個別輝度データテーブル14の一例を示す。図13の例では、1階:輝度レベルL5、2階と3階は輝度レベルL3、4階は輝度レベルL4…、また、かご内:輝度レベルL2といったように、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度レベルが個別に設定されている。
【0082】
共通輝度データテーブル15は、各表示装置の輝度データを共通に設定するためのテーブルである。この場合、全ての表示装置を同じ輝度データに設定することでも、グループ単位に分けて設定することでもよい。図14に共通輝度データテーブル15の一例を示す。図14の例では、奇数階と偶数階、そして、かご内の3つのグループG1,G2,G3に分け、これらのグループG1,G2,G3に対して輝度レベルL5、L3、L2が共通に設定されている。
【0083】
このような構成において、点検員が携帯する保守端末60をエレベータ制御装置10に接続した状態で、そのエレベータ制御装置10に設けられた個別輝度データテーブル14または共通輝度データテーブル15の内容を任意に変更することができる。変更後、保守端末60から輝度調整のコマンドを送る。その際、個別または共通で調整するのかを指定することにより、以下のような処理が実行される。
【0084】
図15は第2の実施形態におけるエレベータ制御装置10の輝度調整時の処理動作を示すフローチャートである。
【0085】
エレベータ制御装置10は、保守端末60からのコマンドを受けて、エレベータの運転モードを輝度調整モードに設定すると(ステップB11のYes)、個別調整であるのか共通調整であるのかを判断する(ステップB12)。
【0086】
ここで、個別調整の場合には(ステップB12のYes)、エレベータ制御装置10は、個別輝度データテーブル14に記憶された輝度データに基づいて、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度を調整する(ステップB13)。この場合、各表示装置毎に個別に輝度レベルが設定されることになる。
【0087】
一方、共通調整の場合には(ステップB12のNo)、エレベータ制御装置10は、共通輝度データテーブル15に記憶された輝度データに基づいて、各階床の液晶表示装置31と乗りかご20内の液晶表示装置21の輝度をグループ単位で調整する(ステップB13)。図14の例であれば、グループG1に属する奇数階の液晶表示装置31に対しては輝度レベルL5、グループG2に属する偶数階の液晶表示装置31に対しては輝度レベルL3、そして、グループG3に属する乗りかご20内の液晶表示装置21に対しては輝度レベルL2に設定されることになる。
【0088】
なお、輝度調整モードが設定されている状態で、保守端末60により特定のコマンドをエレベータ制御装置10に送信することで、未設定の表示装置の輝度をすべて確定することもできる。
【0089】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、一般の利用者に気にすることなく、点検員が保守端末60を用いて各表示装置の輝度を簡単に調整することができる。また、建物の環境に応じて、各表示装置の輝度を個別または共通に調整して、利用者が見やすい表示状態を維持することができる。
【0090】
また、上記各実施形態では、液晶表示装置の輝度を調整する場合を例にして説明したが、例えばLEDなどの他の表示装置の輝度を調整する場合も同様に適用可能である。LEDの場合には、LEDの発光量を調整することになる。
【0091】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…エレベータ制御装置、11…かご用輝度データテーブル、12…乗場用輝度データテーブル、13…調整状態テーブル、14…個別輝度データテーブル、15…共通輝度データテーブル、20…乗りかご、21…液晶表示装置、22…表示コントローラ、23,23a〜23d…行先階ボタン、24…戸開ボタン、25…戸閉ボタン、26…かごドア、27…操作パネル、30…乗場、31…液晶表示装置、32…表示コントローラ、33…乗場呼びボタン、34…乗場ドア、35…メンテナンス用ユニット、41…モード設定部、42…乗りかご用輝度調整部、43…乗場用輝度調整部、44…表示処理部、51…未調整メッセージ、52…調整結果、60…保守端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、
上記各階床の乗場呼びボタンを無効化して輝度調整モードを設定するモード設定手段と、
このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第1のボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整する第1の輝度調整手段と、
上記モード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第2のボタンの操作によって上記各階床の表示装置の輝度を調整する第2の輝度調整手段と、
上記第1または第2の輝度調整手段によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示する表示処理手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項2】
上記第1のボタンとは、戸開ボタンであり、
上記第1の輝度調整手段は、上記戸開ボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整し、
上記表示処理手段は、当該表示装置の輝度調整後に上記戸開ボタンを他のボタンと区別にして表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項3】
上記第2のボタンとは、上記乗りかごの停止階に対応した行先階ボタンであり、
上記第2の輝度調整手段は、上記行先階ボタンの操作によって上記乗りかごの停止階に設置された表示装置の輝度を調整し、
上記表示処理手段は、当該表示装置の輝度調整後に上記行先階ボタンを他のボタンと区別にして表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項4】
上記第2の輝度調整手段は、上記乗りかごの停止階以外の行先階ボタンが操作された場合には、その行先階ボタンによって指定された階床の表示装置を調整対象とし、上記乗りかごを当該階床まで移動させることを特徴とする請求項3記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項5】
上記各階床の乗場に設置された表示装置の調整状態を記録する調整状態テーブル手段を備え、
上記表示処理手段は、上記輝度調整モードが解除されたときに、上記調整状態テーブル手段を参照して未調整の表示装置を検出して、その旨のメッセージを上記乗りかご内の表示装置に表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項6】
上記調整状態テーブル手段は、上記乗りかご内に設置された表示装置を含めて、これらの表示装置の調整状態を記録することを特徴とする請求項5記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項7】
上記各表示装置は、バックライト付きの液晶表示装置からなり、
上記第1および第2の輝度調整手段は、上記バックライトの光量を調整することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項8】
乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、
点検員が持つ保守点検用の端末装置と、
この端末装置からの指示に従って輝度調整モードを設定するモード設定手段と、
このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記各表示装置の輝度を個別または予め設定されたグループ単位で共通に調整する輝度調整手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項9】
上記各表示装置は、バックライト付きの液晶表示装置からなり、
上記輝度調整手段は、上記バックライトの光量を調整することを特徴とする請求項8記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項1】
乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、
上記各階床の乗場呼びボタンを無効化して輝度調整モードを設定するモード設定手段と、
このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第1のボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整する第1の輝度調整手段と、
上記モード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記乗りかご内に設けられた第2のボタンの操作によって上記各階床の表示装置の輝度を調整する第2の輝度調整手段と、
上記第1または第2の輝度調整手段によって輝度調整された表示装置を確認可能に表示する表示処理手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項2】
上記第1のボタンとは、戸開ボタンであり、
上記第1の輝度調整手段は、上記戸開ボタンの操作によって上記乗りかご内の表示装置の輝度を調整し、
上記表示処理手段は、当該表示装置の輝度調整後に上記戸開ボタンを他のボタンと区別にして表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項3】
上記第2のボタンとは、上記乗りかごの停止階に対応した行先階ボタンであり、
上記第2の輝度調整手段は、上記行先階ボタンの操作によって上記乗りかごの停止階に設置された表示装置の輝度を調整し、
上記表示処理手段は、当該表示装置の輝度調整後に上記行先階ボタンを他のボタンと区別にして表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項4】
上記第2の輝度調整手段は、上記乗りかごの停止階以外の行先階ボタンが操作された場合には、その行先階ボタンによって指定された階床の表示装置を調整対象とし、上記乗りかごを当該階床まで移動させることを特徴とする請求項3記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項5】
上記各階床の乗場に設置された表示装置の調整状態を記録する調整状態テーブル手段を備え、
上記表示処理手段は、上記輝度調整モードが解除されたときに、上記調整状態テーブル手段を参照して未調整の表示装置を検出して、その旨のメッセージを上記乗りかご内の表示装置に表示することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項6】
上記調整状態テーブル手段は、上記乗りかご内に設置された表示装置を含めて、これらの表示装置の調整状態を記録することを特徴とする請求項5記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項7】
上記各表示装置は、バックライト付きの液晶表示装置からなり、
上記第1および第2の輝度調整手段は、上記バックライトの光量を調整することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項8】
乗りかご内と各階床の乗場のそれぞれに表示装置を備えたエレベータシステムの表示制御装置において、
点検員が持つ保守点検用の端末装置と、
この端末装置からの指示に従って輝度調整モードを設定するモード設定手段と、
このモード設定手段によって輝度調整モードが設定された状態で、上記各表示装置の輝度を個別または予め設定されたグループ単位で共通に調整する輝度調整手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステムの表示制御装置。
【請求項9】
上記各表示装置は、バックライト付きの液晶表示装置からなり、
上記輝度調整手段は、上記バックライトの光量を調整することを特徴とする請求項8記載のエレベータシステムの表示制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−143980(P2011−143980A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4391(P2010−4391)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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