説明

エレベーター装置

【課題】部品員数を低減することのできるエレベーター装置の提供。
【解決手段】乗場出入口の昇降路側に設けられ、固定ローラー317b及び可動ローラー317cを有するドアロック手段317、及びかごから乗場側に突出するようにして設けられ、固定ローラー317b及び可動ローラー317cに対向可能な係合板311を備え、ドアロック手段317と係合板311が係合したときに、乗場ドアとかごドアを連動して開閉するドア装置と、かごの着床位置を検出するかご位置検出装置4とが設けられたエレベーター装置において、かご位置検出装置4の光電手段42を係合板311に設けるとともに、かご位置検出装置4の検出体41を、互いに略水平に配置される固定ローラー317b及び可動ローラー317cとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗場ドアとかごドアを連動して開閉するドア装置、及びかごの着床位置を検出するかご位置検出装置が設けられたエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベーター装置にあっては、乗場出入口の昇降路側に設けられ、固定ローラー及び可動ローラーを有するドアロック手段、及びかごから乗場側に突出するようにして設けられ、固定ローラー及び可動ローラーに対向可能な係合板を備え、ドアロック手段と係合板が係合した時に、乗場ドアとかごドアを連動して開閉するドア装置と、かごの着床位置に対応するようにして昇降路側に固定された検出体、及びかご枠部に設けられ、検出体と対向可能な光電手段とを備え、かごの着床位置を検出するかご位置検出装置とが設けられており、エレベーターの据付け時等には、ドア装置の調整、及びかご位置検出装置の調整をそれぞれ別途行う必要があった。すなわち、かごと昇降路に設けられた機器、かごと乗場に設けられた機器の装着場所の異なる2種類の機器について、それぞれの機器の相互位置の調整作業が必要であり、作業性を低下させる要因となっていた。
【0003】
そこで、従来、前述した問題点を解決するため、上下方向に配置される固定ローラーと可動ローラーとの間に遮光板を設けてかご位置検出装置の検出体とするとともに、ドア装置の係合板に、遮光板の所在を介して動作し、かごが乗場に対する戸開閉可能域にいることを検出する光電手段を設け、調整作業等の作業性の向上を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−209040(段落番号0016〜0022、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した文献1に示すものでは、光電手段と対向可能な遮光板をドアロック手段に別途設ける必要があることから、部品員数低減の観点からさらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、部品員数を低減することのできるエレベーター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、乗場出入口の昇降路側に設けられ、固定ローラー及び可動ローラーを有するドアロック手段、及びかごから乗場側に突出するようにして設けられ、前記固定ローラー及び前記可動ローラーに対向可能な係合板を備え、前記ドアロック手段と前記係合板が係合したときに、乗場ドアとかごドアを連動して開閉するドア装置と、前記かごの着床位置に対応するようにして昇降路側に配置される検出体、及び前記係合板に設けられ、前記検出体と対向可能な光電手段を備え、前記かごの着床位置を検出するかご位置検出装置とが設けられたエレベーター装置において、前記固定ローラー及び前記可動ローラーが、互いに略水平に配置されるとともに、前記検出体を、前記固定ローラー及び前記可動ローラーとしたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明では、かごが乗場との対向位置以外を昇降中には、光電手段の光軸は遮られないため、かごが着床位置以外にあることが判断される。一方、かごが目的階に到着し、係合板の間に固定ローラー及び可動ローラーが配置されると、光電手段の光軸が遮られ、かごが着床位置にあることが判断される。このように、ドア装置に具備される固定ローラー及び可動ローラーを、かご位置検出装置の検出体として用いることにより、従来のように特別な検出体、すなわち、遮光板をドアロック手段に別途設ける必要がなく、したがって、部品員数の低減を図ることができる。
【0009】
また、本発明は、前記光電手段は、前記かごの正規着床位置を検出する正規着床位置検出用のものと、この正規着床位置検出用の上下に配置され、前記かごの着床位置ずれを検出する着床位置ずれ検出用のものとが備えられることを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明では、かごの正規着床位置を検出する光電手段の上下に他の光電手段を配置することにより、かごの上方向、及び下方向の着床位置ずれを検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドア装置に具備される固定ローラー及び可動ローラーを、かご位置検出装置の検出体として用いることにより、部品員数の低減を図り、ひいては装置のコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るエレベーター装置の一実施例を示し、乗場側からかご側を見た全体正面図である。
【図2】かご位置検出装置及びドアロック手段を示す拡大正面図である。
【図3】係合板に設けられる光電手段の投光部及び受光部を示す拡大正面図である。
【図4】ドア装置の要部及びかご位置検出装置の拡大上面図である。
【図5】本実施例におけるエレベーター装置のかご側から乗場側を見た全体正面図である。
【図6】本実施例におけるエレベーター装置の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るエレベーター装置の実施例を図に基づき説明する。
【0014】
本実施例のエレベーター装置は、かご1及び乗場2の出入口に配置されるドアを開閉するドア装置3と、かご1の着床位置を検出するかご位置検出装置4とを備えている。
【0015】
ドア装置3は、かご1側にあって、図1、図6に示すように、かご1の出入口上部に配置されるドアハンガーケース31と、ドアハンガーケース31に沿って延設されるドアレール32と、ドアレール32上を走行するドアハンガー33と、ドアハンガー33により懸架されたかごドア34と、かごドア34の下端を案内するかご敷居35と、かごドア34を開閉駆動するためのモーター36と、モーター36より駆動される駆動プーリー37と、駆動プーリー37と対向するように配置される従動プーリー38と、駆動プーリー37と従動プーリー38に巻き掛けられるベルト39と、ベルト39とドアハンガー33とを連結するベルト連結金具310と、かご1から乗場側に突出するようにして設けられ、後述する固定ローラー及び可動ローラーに対向可能な係合板311とを備えている。
【0016】
また、ドア装置3は、乗場側にあって、図5、図6に示すように、出入口上部に配置されるドアハンガーケース312と、ドアハンガーケース312に沿って延設されるドアレール313と、ドアレール313上を走行するドアハンガー314と、ドアハンガー314により懸架された乗場ドア315と、乗場ドア315の下端を案内する乗場敷居316と、出入口の昇降路側、すなわち、一方のドアハンガー314に設けられるドアロック手段317とを備えている。なお、図1及び図5に示すドア装置3は、実際には互いに向き合うように配置されるものであり、図面上では便宜上、見開いた状態で記載してある。
【0017】
ドアロック手段317は、図2、図4に示すように、一方のドアハンガー314に取付けられるベース部材317aと、ベース部材317aに固定される固定ローラー317bと、固定ローラー317bと略水平となるように配置される可動ローラー317cと、回転軸317dにより回転自在に軸支され、係合部317eに係合可能なドアロック施錠部317fと、ドアロック施錠部317fの係合部317eへの係合時に係合信号を出力する施錠確認用スイッチ接点317gとを備えている。
【0018】
かご位置検出装置4は、図2、図3、図4に示すように、かご1の着床位置に対応するようにして昇降路側に配置される検出体41と、係合板311に設けられ、検出体41と対向可能な光電手段42とを備えている。
【0019】
検出体41は、互いに略水平に配置される前述した固定ローラー317b及び可動ローラー317cからなっている。
【0020】
光電手段42は、コの字状の係合板311の立ち上がり片の上下方向略中央に配置され、かご1の正規着床位置を検出する1組の投光部42a1及び受光部42a2と、コの字状の係合板311の立ち上がり片にあって、投光部42a1及び受光部42a2より上方に配置され、かご1の下方向着床位置ずれを検出する1組の投光部42b1及び受光部42b2と、コの字状の係合板311の立ち上がり片にあって、投光部42a1及び受光部42a2より下方に配置され、かご1の上方向着床位置ずれを検出する1組の投光部42c1及び受光部42c2と、投光部42a1及び受光部42a2、投光部42b1及び受光部42b2、投光部42c1及び受光部42c2に対応するようにコの字状の係合板311の立ち上がり片に形成された光軸通過穴42dとを備えている。
【0021】
本実施例では、かご1が乗場2との対向位置以外を昇降中には、投光部42a1、42b1、42c1から光軸通過穴42dを介して投光された光軸は受光部42a2、42b2、42c2により受光され、かご1が着床位置以外にあることが判断される。一方、かご1が目的階に到着し、図1、図2に示すように、係合板311の一対の立ち上がり片間における上下方向略中央に固定ローラー317b及び可動ローラー317cが配置されると、投光部42a1から投光された光軸が検出体41である固定ローラー317b及び可動ローラー317cにより遮られ、受光部42a2は消勢し、かご1が正規着床位置にあることが判断される。すなわち、かご位置検出装置4によって乗場2に対してかご1が戸開閉可能領域にいることが検出される。この状態で既知の手順により乗場ドア315がかごドア34と同期して駆動可能となる。また、何らかの理由によりかご1の停止位置が正規着床位置より下方にずれると、投光部42b1から投光された光軸が検出体41である固定ローラー317b及び可動ローラー317cにより遮られ、これによって、下方向着床位置ずれが検出される。一方、かご1の停止位置が正規着床位置より上方にずれると、投光部421cから投光された光軸が検出体41である固定ローラー317b及び可動ローラー317cにより遮られ、これによって、上方向着床位置ずれが検出される。
【0022】
本実施例では、ドア装置3に具備される固定ローラー317b及び可動ローラー317cを、かご位置検出装置4の検出体41として用いることにより、特別な検出体をドアロック手段317に別途設ける必要がなく、これによって、部品員数の低減を図り、ひいては装置のコスト低減を図ることができる。
【0023】
なお、前述した実施例では、かご1の正規着床位置を検出する正規着床位置検出用の投光部42a1及び受光部42a2、下方向着床位置ずれ検出用の投光部42b1及び受光部42b2、上方向着床位置ずれ検出用の投光部42c1及び受光部42c2を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、かご1の正規着床位置を検出する1組の投光部及び受光部のみを設けたり、或いは、下方向、及び上方向着床位置ずれ検出用にそれぞれ複数組の投光部及び受光部を設けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 かご
2 乗場
3 ドア装置
31 ドアハンガーケース
32 ドアレール
33 ドアハンガー
34 かごドア
35 かご敷居
36 モーター
37 駆動プーリー
38 従動プーリー
39 ベルト
310 ベルト連結金具
311 係合板
312 ドアハンガーケース
313 ドアレール
314 ドアハンガー
315 乗場ドア
316 乗場敷居
317 ドアロック手段
317a ベース部材
317b 固定ローラー
317c 可動ローラー
317d 回転軸
317e 係合部
317f ドアロック施錠部
317g 施錠確認用スイッチ接点
4 かご位置検出装置
41 検出体(固定ローラー、可動ローラー)
42 光電手段
42a1、42b1、42c1 投光部
42a2、42b2、42c2 受光部
42d 光軸通過穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場出入口の昇降路側に設けられ、固定ローラー及び可動ローラーを有するドアロック手段、及びかごから乗場側に突出するようにして設けられ、前記固定ローラー及び前記可動ローラーに対向可能な係合板を備え、前記ドアロック手段と前記係合板が係合したときに、乗場ドアとかごドアを連動して開閉するドア装置と、前記かごの着床位置に対応するようにして昇降路側に配置される検出体、及び前記係合板に設けられ、前記検出体と対向可能な光電手段を備え、前記かごの着床位置を検出するかご位置検出装置とが設けられたエレベーター装置において、
前記固定ローラー及び前記可動ローラーが、互いに略水平に配置されるとともに、前記検出体を、前記固定ローラー及び前記可動ローラーとしたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項2】
前記光電手段は、前記かごの正規着床位置を検出する正規着床位置検出用のものと、この正規着床位置検出用の上下に配置され、前記かごの着床位置ずれを検出する着床位置ずれ検出用のものとが備えられることを特徴とする請求項1記載のエレベーター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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