エレベータ出入口敷居溝の異物検出装置
【課題】設置作業の負担を軽減することができるエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置を提供する。
【解決手段】異物検出装置1は、かご戸14の下端部に設けられ、かご出入口13の敷居溝15aに嵌められるとともに、かご戸14に対して変位可能な検知ガイドシュー31と、乗場戸22の下端部に設けられ、乗場出入口21の敷居溝23aに嵌められるとともに、乗場戸22に対して変位可能なスライドガイドシュー32と、かご戸14に設けられ、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部36とを具備する。
【解決手段】異物検出装置1は、かご戸14の下端部に設けられ、かご出入口13の敷居溝15aに嵌められるとともに、かご戸14に対して変位可能な検知ガイドシュー31と、乗場戸22の下端部に設けられ、乗場出入口21の敷居溝23aに嵌められるとともに、乗場戸22に対して変位可能なスライドガイドシュー32と、かご戸14に設けられ、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部36とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ出入口敷居溝内の異物を検出する異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ出入口には、敷居溝が設けられている。この敷居溝には、例えばかご戸や乗場戸のガイドシューが嵌められている。敷居溝内に塵や泥のような異物が堆積すると、扉の開閉が出来なくなることがある。そこでエレベータには、敷居溝内の異物を検出する異物検出装置が搭載されることがある。
【0003】
特許文献1には、敷居溝内の異物を検出する異物検出装置が開示されている。この異物検出装置は、戸の下端先端に設けられた検知ガイドシューと、前記検知ガイドシューの後方に設けられたリミットスイッチとを備える。検知ガイドシューは、異物に接触するとその位置が後退し、リミットスイッチを作動させる。
【特許文献1】特開平3−138290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された異物検出装置で全ての戸の敷居溝の異物を検知しようとする場合、エレベータかごのかご戸、および各階の乗場戸の全てに検知ガイドシューおよびリミットスイッチを設置する必要がある。特に、高層の建物で乗場戸の数が多い場合、各階の乗場戸に設置されるリミットスイッチの配線の敷設作業に多くの時間が必要になる。
【0005】
本発明の目的は、設置作業の負担を軽減することができるエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一つの形態に係るエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置は、かご戸の下端部に設けられ、かご出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記かご戸に対して変位可能な検知ガイドシューと、乗場戸の下端部に設けられ、乗場出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記乗場戸に対して変位可能なスライドガイドシューと、前記かご戸に設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに作動する検知部とを具備する。
【0007】
(2)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに、前記検知ガイドシューを前記スライドガイドシューに連動させる係合装置を備える。前記検知部は、前記かご戸に対する前記検知ガイドシューの変位を検知する。
【0008】
(3)上記(2)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記係合装置は、前記検知ガイドシューに設けられた第1の係合部と、前記スライドガイドシューに設けられ、前記第1の係合部に対向する第2の係合部とを有する。
【0009】
(4)上記(3)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記係合装置は、前記乗場戸を前記かご戸に連動させる戸開閉用係合装置を避けるためにかご敷居および乗場敷居に設けられた切欠き部と鉛直方向に並ぶ位置に配置される。
【0010】
(5)上記(3)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知ガイドシューに連結されるとともに、前記かご戸の戸開方向に延び、前記かご戸の戸端よりも突き出た第1のシャフトと、前記スライドガイドシューに連結されるとともに、前記乗場戸の戸開方向に延び、前記乗場戸の戸端よりも突き出た第2のシャフトとを備える。前記第1の係合部は、前記かご戸から突き出た第1のシャフトの端部に設けられる。前記第2の係合部は、前記乗場戸から突き出た第2のシャフトの端部に設けられる。
【0011】
(6)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記検知部は、前記検知ガイドシューに設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置の変化を検出するセンサーを有する。
【0012】
(7)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知部が作動したときに、その旨を建物に設置された監視盤および保守点検者用の監視盤に送るとともに、かご内スピーカーからアナウンスを流す制御部を備える。
【0013】
(8)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知部が作動し、検知信号を発信するときに、エレベータかごが停止している階床名も同時に発信する制御部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の異物検出装置によれば、設置作業の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図20を参照して説明する。まず、図1および図10を参照して、本発明の第1および第5の実施形態に係るエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置1(以下、単に異物検出装置1)が設置されるエレベータシステム2について概略的に説明する。
【0016】
図1に示すように、エレベータシステム2は、各階に設けられた乗場3(ホール)と、昇降路4内を昇降動作するエレベータかご5とを備える。図10に示すように、エレベータシステム2は、巻上機6およびエレベータ制御装置7(制御盤)を備えている。
【0017】
巻上機6は、メインシーブを回転駆動するモータ8と、モータ8の回転を検出するパルスジェネレータ9とを備える。メインシーブには、エレベータかご5に連結されたメインロープが巻き掛けられている。モータ8が駆動されることで、エレベータかご5が昇降路4内を昇降動作する。エレベータ制御装置7は、例えばエレベータシステム2の全体を制御する。
【0018】
図1に示すように、エレベータかご5は、枠状に形成されたかご枠11と、このかご枠11内に支持されたかご室12とを有する。かご室12は、乗場3に通じるかご出入口13を有する。かご出入口13には、当該かご出入口13を開閉するかご戸14と、このかご戸14の下方に位置するかご敷居15とが設けられている。かご敷居15には、敷居溝15aが設けられている。敷居溝15aは、かご出入口13の間口方向(すなわち、かご戸14の開閉方向)に延びている。
【0019】
かご出入口13の上方には、水平方向に取り付けられた案内レール16が設けられている。この案内レール16には、ハンガーローラ17が乗せられている。ハンガーローラ17は、案内レール16の上を走行可能である。このハンガーローラ17に、かご戸14が吊り下げられている。
【0020】
図2および図3に示すように、かご戸14の下端部には、かご戸ガイドシュー18が設けられている。かご戸ガイドシュー18は、かご戸14の下端部に1つ又は複数設けられ、かご戸14に対して動かないように固定されている。かご戸ガイドシュー18は、かご敷居15の敷居溝15aに嵌められている。かご戸ガイドシュー18は、敷居溝15aに沿ってかご戸14を案内する。また、エレベータかご5は、乗場3に対向するエプロン19を有している。
【0021】
図1に示すように、乗場3は、エレベータかご5に通じる乗場出入口21を有する。乗場出入口21には、当該乗場出入口21を開閉する乗場戸22と、この乗場戸22の下方に位置する乗場敷居23とが設けられている。乗場敷居23には、敷居溝23aが設けられている。敷居溝23aは、乗場出入口21の間口方向(すなわち、乗場戸22の開閉方向)に延びている。
【0022】
乗場出入口21の上方には、水平方向に取り付けられた案内レール24が設けられている。この案内レール24には、ハンガーローラ25が乗せられている。ハンガーローラ25は、案内レール24の上を走行可能である。このハンガーローラ25に、乗場戸22が吊り下げられている。
【0023】
エレベータかご5と同様に、乗場戸22の下端部には、乗場戸ガイドシュー26が設けられている(図6参照)。乗場戸ガイドシュー26は、乗場戸22の下端部に例えば1つ又は複数設けられ、乗場戸22に対して動かないように固定されている。乗場戸ガイドシュー26は、乗場敷居23の敷居溝23aに嵌められている。乗場戸ガイドシュー26は、敷居溝23aに沿って乗場戸22を案内する。また、乗場3は、エレベータかご5に対向するエプロン27を有している。
【0024】
図4および図10に示すように、異物検出装置1は、検知ガイドシュー31、スライドガイドシュー32、第1および第2の復帰ばね33,34、係合装置35、リミットスイッチ36、および制御部37を備えている。リミットスイッチ36は、本発明でいう検知部の一例である。
【0025】
図3ないし図5に示すように、検知ガイドシュー31は、かご戸14の下端部に設けられ、かご敷居15の敷居溝15aに嵌められている。検知ガイドシュー31は、かご戸ガイドシュー18の先行位置に設けられている。
【0026】
なお本実施形態に係る「先行位置」とは、戸閉時にかご戸ガイドシュー18よりも先行する位置、すなわちかご戸ガイドシュー18よりも戸閉側となる位置である。検知ガイドシュー31は、例えばかご戸14の水平方向の端部(いわゆる下端先端)に設けられている。なお、検知ガイドシュー31は、戸開時にかご戸ガイドシュー18よりも先行する位置に設けられてもよい。
【0027】
検知ガイドシュー31は、かご戸14に対して、かご戸14の開閉方向に変位可能(移動可能)である。図5に示すように、検知ガイドシュー31は、シュー41、取付板42、および例えば複数のピン43を有する。ピン43は、かご戸14に対して固定されており、かご戸14から突出している。複数のピン43は、互いに水平方向に並んでいる。
【0028】
取付板42は、ピン43が差し込まれる長穴部44を有する。長穴部44は、取付板42を貫通している。長穴部44は、水平方向に長手方向を有する。取付板42は、長穴部44に差し込まれたピン43を介してかご戸14に取り付けられているとともに、かご戸14に対してかご戸14の開閉方向(すなわち敷居溝15aの延伸方向)に変位可能になっている。シュー41は、取付板42に取り付けられている。シュー41は、敷居溝15a内に挿入されており、かご戸14の開閉時に敷居溝15a内を走行する。
【0029】
図5に示すように、取付板42には、第1のばね受け部45と、第1の係合部46とが設けられている。第1のばね受け部45および第1の係合部46は、例えばそれぞれ板状に形成されているとともに、鉛直方向に起立している。
【0030】
第1の復帰ばね33は、第1のばね受け部45よりも戸開側(すなわち、かご戸14の中央部側)に設けられている。第1の復帰ばね33は、かご戸14に固定された第1の支持台47と、取付板42の第1のばね受け部45との間に介在され、取付板42を戸閉方向(すなわち、取付板42がリミットスイッチ36から離れる方向)に付勢している。
【0031】
図5に示すように、リミットスイッチ36は、第1の係合部46よりも戸開側に設けられている。リミットスイッチ36は、かご戸14に対する検知ガイドシュー31の変位を検知する。図7に示すように、検知ガイドシュー31が後退(戸開側に移動)し、第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触すると、リミットスイッチ36が作動する。すなわち第1の係合部46は、リミットスイッチ36を作動させる接触子である。
【0032】
図6に示すように、スライドガイドシュー32は、検知ガイドシュー31と略同じ構成を有する。スライドガイドシュー32は、乗場戸22の下端部に設けられ、乗場敷居23の敷居溝23aに嵌められている。スライドガイドシュー32は、乗場戸ガイドシュー26の先行位置に設けられている。
【0033】
なお本実施形態に係る「先行位置」とは、戸閉時に乗場戸ガイドシュー26よりも先行する位置、すなわち乗場戸ガイドシュー26よりも戸閉側となる位置である。スライドガイドシュー32は、例えば乗場戸22の水平方向の端部(いわゆる下端先端)に設けられている。なお、スライドガイドシュー32は、戸開時に乗場戸ガイドシュー26よりも先行する位置に設けられてもよい。
【0034】
スライドガイドシュー32は、乗場戸22に対して、乗場戸22の開閉方向に変位可能(移動可能)である。図5に示すように、スライドガイドシュー32は、シュー51、取付板52、および例えば複数のピン53を有する。ピン53は、乗場戸22に対して固定されており、乗場戸22から突出している。複数のピン53は、互いに水平方向に並んでいる。
【0035】
取付板52は、ピン53が差し込まれる長穴部54を有する。長穴部54は、取付板52を貫通している。長穴部54は、水平方向に長手方向を有する。取付板52は、長穴部54に差し込まれたピン53を介して乗場戸22に取り付けられているとともに、乗場戸22に対して乗場戸22の開閉方向(すなわち敷居溝23aの延伸方向)に変位可能になっている。シュー51は、取付板52に取り付けられている。シュー51は、敷居溝23a内に挿入されており、乗場戸22の開閉時に敷居溝23a内を走行する。
【0036】
図5に示すように、取付板52には、第2のばね受け部55と、第2の係合部56とが設けられている。第2のばね受け部55および第2の係合部56は、例えばそれぞれ板状に形成されているとともに、鉛直方向に起立している。
【0037】
第2の復帰ばね34は、第2のばね受け部55よりも戸開側(すなわち、乗場戸22の中央部側)に設けられている。第2の復帰ばね34は、乗場戸22に固定された第2の支持台57と、取付板52の第2のばね受け部55との間に介在され、取付板52を戸閉方向(すなわち、取付板42がリミットスイッチ36から離れる方向)に付勢している。
【0038】
検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46と、スライドガイドシュー32に設けられた第2の係合部56は、互いに協働して本実施形態に係る係合装置35を構成している。図4に示すように、かご敷居15と乗場敷居23との間には、隙間Sが形成されている。第1の係合部46は、検知ガイドシュー31の取付板42から隙間Sの上方まで延びる。
【0039】
第2の係合部56は、スライドガイドシュー32の取付板52から隙間Sの上方まで延びる。そして隙間Sの上方で、第1および第2の係合部46,56は、水平方向にて互いに対向する。詳しく述べると、第2の係合部56は、第1の係合部46よりも、戸閉側に位置している。第2の係合部56は、第1の係合部46に対して戸閉側から対向する。
【0040】
係合装置35は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したとき、検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させる。すなわち、図8に示すように、係合装置35は、例えばスライドガイドシュー32が後退(戸開側に移動)したとき、第2の係合部56が第1の係合部46に接触することで、その後、検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させて後退させる。
【0041】
図5に示すように、リミットスイッチ36は、かご戸14に設けられている。一方、図6に示すように、乗場戸22にはリミットスイッチやその他の検知部は設けられていない。かご戸14に設けられたリミットスイッチ36は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する。
【0042】
詳しく述べると、かご敷居15の敷居溝15aに異物F(図9参照)がある場合、図7に示すように、検知ガイドシュー31が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、検知ガイドシュー31の第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触し、リミットスイッチ36が作動する。
【0043】
また、乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fがある場合、図8に示すように、スライドガイドシュー32が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、係合装置35が検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させ、検知ガイドシュー31がスライドガイドシュー32に連動して後退する。そして、検知ガイドシュー31の第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触し、リミットスイッチ36が作動する。
【0044】
異物Fが取り除かれると、検知ガイドシュー31およびスライドガイドシュー32は、復帰ばね33,34の付勢力により元の位置に復帰する。
【0045】
図10に示すように、制御部37は、例えばエレベータ制御装置7内に設けられた制御回路である。制御部37は、リミットスイッチ36から検知信号(異常検知信号)を受け取る。また制御部37は、巻上機6のパルスジェネレータ9の検出信号に基づいて、エレベータかご5が着床している階床を特定する。
【0046】
制御部37は、リミットスイッチ36が作動したとき(すなわち異常を検知したとき)に、リミットスイッチ36が作動した旨(異物Fが存在するおそれがある旨)を、その建物に設置された監視盤61と、保守点検者用の監視盤62とに送る。また制御部37は、リミットスイッチ36が検知信号を発信するときに、エレベータかご5が停止している階床名も同時に、建物に設置された監視盤61と、保守点検者用の監視盤62とに送る。さらに制御部37は、リミットスイッチ36が作動したときに、かご内スピーカー63からエレベータ利用者に対して、例えば異物が存在するため扉が閉まらない、保守管理者(保守点検者)が現在向かっているといった状況を説明するアナウンスを流す。
【0047】
次に、異物検出装置1の作用について説明する。
図11に示すように、例えば戸閉時に、異物検出装置1により敷居溝15a,23aの異物Fの有無の検出が行われる(ステップS11〜S14)。詳しく述べると、かご敷居15の敷居溝15aに異物Fが堆積している場合、図7、図9に示すように、検知ガイドシュー31が異物Fに当たり後退する(ステップS12)。検知ガイドシュー31が後退すると、検知ガイドシュー31の第1の係合部46(接触子)がリミットスイッチ36に触れ、リミットスイッチ36が作動する(ステップS13)。作動したリミットスイッチ36は、制御部37に検知信号(異物検知信号)を送る(ステップS14)。
【0048】
また乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fが堆積している場合、図8に示すように、スライドガイドシュー32が異物Fに当たり後退する。スライドガイドシュー32が後退すると、係合装置35によりスライドガイドシュー32に連動した検知ガイドシュー31が後退する(ステップS12)。検知ガイドシュー31が後退すると、検知ガイドシュー31の第1の係合部46(接触子)がリミットスイッチ36に触れ、リミットスイッチ36が作動する(ステップS13)。作動したリミットスイッチ36は、制御部37に検知信号を送る(ステップS14)。
【0049】
エレベータ制御装置7は、戸閉確認を行う(ステップS15)。戸閉状態が確認されると、制御部37は、建物の監視盤61と保守点検者用の監視盤62とに、異常が検知されたことを知らせるための制御信号を発信する(ステップS16)。建物の監視盤61および保守点検者用の監視盤62は、制御部37からの制御信号を受信し、建物の管理者と保守点検者に異物検出装置1の検知結果を知らせる(ステップS17)。
【0050】
また、エレベータ制御装置7による戸閉状態が確認されないとき(例えば、異物Fによりかご戸14または乗場戸22が閉まらずにエレベータが停止したとき)は、制御部37は、建物の監視盤61と保守点検者用の監視盤62とに制御信号を発信するとともに、かご内スピーカーにも制御信号を送る(ステップS21)。建物の監視盤61および保守点検者用の監視盤62は、制御部37からの制御信号を受信し、建物の管理者と保守点検者に異物検出装置1の検知結果を知らせる。さらにかご内スピーカー63は、エレベータ利用者に対してアナウンスを行う(ステップS22)。
【0051】
このような構成の異物検出装置1によれば、設置作業の負担を軽減することができる。すなわち、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部(例えばリミットスイッチ36)をかご戸14に設けることで、かご敷居15および乗場敷居23のどちらの敷居溝15a,23aに異物Fが堆積した場合でも、かご戸14に設けられた検知部が作動し、異物Fの存在を発信することができる。
【0052】
そのため、乗場戸22側にリミットスイッチその他の検知部が不要になり、全ての階の乗場戸22において検知部に関する配線の敷設作業を無くすことができる。これにより、設置作業の負担が大幅に軽減される。
【0053】
検知ガイドシュー31に対するスライドガイドシュー32の相対位置が変化したときに検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させる係合装置35を備えると、検知ガイドシュー31の動きで作動するリミットスイッチ36により、検知ガイドシュー31に対するスライドガイドシュー32の相対位置の変化も検知することができる。そのため、異物検出装置1を比較的単純な構成にすることができる。
【0054】
係合装置35が、検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46と、スライドガイドシュー32に設けられ、第1の係合部46に対向する第2の係合部56とを有すると、上記係合装置35を比較簡単な構成で実現することができる。
【0055】
リミットスイッチ36が作動したときに、かご内スピーカー63からアナウンスを流す制御部37を備えると、異物Fにより戸が閉まらずエレベータが停止した場合、エレベータ利用者にもその内容を知らせることが出来るため、利用者の不信感を軽減することができる。
【0056】
制御部37が、リミットスイッチ36が検知信号を発信するときに、エレベータかご5が停止している階床名も同時に発信すると、敷居溝15a,23aに異物Fがあった場合にその階床を特定することができるため、保守管理者(保守点検者)の異物確認作業を軽減することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置1について、図12および図13を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0058】
図13に示すように、エレベータシステム2は、戸開閉時に乗場戸22をかご戸14に連動させる戸開閉用係合装置71を備えている。戸開閉用係合装置71は、かご戸14に設けられた一対の細長い係合板72a,72b(いわゆるカミソリ)と、乗場戸22に設けられ、係合板72a,72bに挟まれるローラ73a,73bとを有している。エレベータかご5は、かご戸14を開閉させる図示しないモータを備える。かご戸14の係合板72a,72bが乗場戸22のローラ73a,73bを挟んだ状態で、上記モータによりかご戸14が開閉すると、乗場戸22がかご戸14に連動して開閉する。
【0059】
図12に示すように、かご敷居15および乗場敷居23には、それぞれ戸開閉用係合装置71を避けるための切欠き部74a,74bが設けられている。詳しく述べると、かご敷居15は、ローラ73a,73bを避けるための第1の切欠き部74aを有している。乗場敷居23は、係合板72a,72bを避けるための第2の切欠き部74bを有している。
【0060】
図12に示すように、異物検出装置1の係合装置35は、上記切欠き部74a,74bと鉛直方向に並ぶ位置に配置されている。すなわち、係合装置35の第1の係合部46は、切欠き部74a,74bが設けられた領域の上方で乗場戸22に向いて突出している。第2の係合部56は、切欠き部74a,74bが設けられた領域の上方でかご戸14に向いて突出している。
【0061】
このような構成の異物検出装置1によれば、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。
【0062】
例えば、乗場敷居23とかご敷居15との間の隙間Sが狭い場合、検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46が乗場敷居23に干渉するおそれがある。そのため、その干渉部位の乗場敷居23に切欠き部が必要になる。またかご敷居15には、スライドガイドシュー32に設けられた第2の係合部56を避けるための切欠き部が必要になる。
【0063】
しかしながら本実施形態のように、異物検出装置1の係合装置35が、戸開閉用係合装置71を避けるためにかご敷居15および乗場敷居23に設けられた切欠き部74a,74bと鉛直方向に並ぶ位置に配置されていると、戸開閉用係合装置71を避けるための切欠き部74a,74bにより、併せて乗場敷居23に対する検知ガイドシュー31の第1の係合部46の干渉が避けられる。さらに、かご敷居15に対するスライドガイドシュー32の第2の係合部56の干渉が避けられる。このため、かご敷居15および乗場敷居23に設けられる切欠き部を少なくすることができる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置1について、図14および図15を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0065】
図14および図15に示すように、かご戸14には、第1のシャフト81が設けられている。第1のシャフト81は、検知ガイドシュー31に連結されるとともに、かご戸14の戸開方向に延び、かご戸14の戸端14eよりも外側に突き出ている。この突き出た第1のシャフト81の端部81a(以下、突出端部81a)は、かご敷居15の上方から外れた領域まで突出している。
【0066】
図14に示すように、乗場戸22には、第2のシャフト82が設けられている。第2のシャフト82は、スライドガイドシュー32に連結されるとともに、乗場戸22の戸開方向に延び、乗場戸22の戸端22eよりも外側に突き出ている。この突き出た第2のシャフト82の端部82a(以下、突出端部82a)は、乗場敷居23の上方から外れた領域まで突出している。
【0067】
異物検出装置1の係合装置35は、第1のシャフト81の突出端部81a、および第2のシャフト82の突出端部82aに設けられている。すなわち、係合装置35の第1の係合部46は、第1のシャフト81の突出端部81aに設けられ、かご敷居15の上方から外れた領域(敷居15,23に干渉しない位置)に位置している。
【0068】
第2の係合部56は、第2のシャフト82の突出端部82aに設けられ、乗場敷居23の上方から外れた領域(敷居15,23に干渉しない位置)に位置している。検知ガイドシュー31には、当該検知ガイドシュー31が後退したときにリミットスイッチ36を作動させる接触子83が設けられている。
【0069】
乗場戸22のスライドガイドシュー32が敷居溝23aの異物Fに当たり後退すると、スライドガイドシュー32に連結された第2のシャフト82が後退する。第2のシャフト82が後退すると、第2の係合部56が第1の係合部46に係合する。これにより、係合装置35は、第2のシャフト82に連動させて第1のシャフト81を後退させる。第1のシャフト81が後退すると、第1のシャフト81が連結された検知ガイドシュー31が後退し、リミットスイッチ36が作動する。
【0070】
このような構成の異物検出装置1によれば、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。また、敷居15,23の上方から外れる領域まで延びた第1および第2のシャフト81,82を備え、係合装置35が第1および第2のシャフト81,82の端部81a,82aに設けられていると、かご敷居15と乗場敷居23との間の隙間Sが狭い場合であっても、係合装置35と敷居15,23との干渉を避けるための切欠き部が不要になる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る異物検出装置1について、図16を参照して説明する。なお上記第1および第3の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0072】
図16に示すように、本実施形態に係るエレベータシステム2は、同一方向に退避する複数のかご戸14a,14bと複数の乗場戸22a,22bとを備えている。4つの戸14a,14b,22a,22bのうち内側に位置するかご戸14aおよび乗場戸22aには、上記第1の実施形態と同様の構成が設けられている。4つの戸14a,14b,22a,22bのうち外側に位置するかご戸14bおよび乗場戸22bには、上記第3の実施形態と同様の構成が設けられている。
【0073】
このような構成の異物検出装置1によれば、同一方向に退避する2枚以上の戸から構成される横開き戸においても、かご戸14に設けられたリミットスイッチ36により乗場敷居23の敷居溝23aの異物Fを検知することができる。つまり、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置1について、図17ないし図20を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0075】
図17および図18に示すように、本実施形態に係る異物検出装置1は、リミットスイッチ36および係合装置35に変えて、センサー91および反射板92を備えている。センサー91、本発明でいう検知部の一例である。センサー91は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置の変化を検出する。
【0076】
詳しく述べると、反射板92は、スライドガイドシュー32に設けられ、スライドガイドシュー32の動きに合わせて乗場戸22に対して変位する。反射板92は、かご戸14に対向している。センサー91は、検知ガイドシュー31に設けられ、検知ガイドシュー31の動きに合わせてかご戸14に対して変位する。センサー91は、反射板92に向けて検出光Lを放つ発光部と、反射板92で反射した上記検出光Lを受光する受光部とを有する。
【0077】
図19および図20に示すように、かご敷居15の敷居溝15aに異物Fがある場合、検知ガイドシュー31が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、センサー91と反射板92との位置がずれ、センサー91が放つ検出光Lがセンサー91に戻って来なくなる。センサー91は、検出光Lが戻って来ないことを認識すると、作動して検知信号を制御部37に送る。
【0078】
一方、乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fがある場合、スライドガイドシュー32が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、センサー91と反射板92との位置がずれ、センサー91が放つ検出光Lがセンサー91に戻って来なくなる。センサー91は、検出光Lが返って来ないことを認識すると、作動して検知信号を制御部37に送る。
【0079】
このような構成の異物検出装置1によれば、第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。すなわち、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部(センサー91)をかご戸14に設けることで、かご敷居15および乗場敷居23のどちらの敷居溝15a,23aに異物Fが堆積した場合でも、かご戸14に設けられた検知部が作動し、異物Fの存在を発信することができる。
【0080】
そのため、乗場戸22側にリミットスイッチその他の検知部が不要になり、全ての階の乗場3において検知部に関する配線の敷設作業を無くすことができる。これにより、設置作業の負担が大幅に軽減される。
【0081】
さらに本実施形態の構成によれば、異物検出装置1の係合装置が不要になるので、かご敷居15と乗場敷居23との間の隙間Sが狭い場合であっても、係合装置と敷居15,23との干渉を避けるための切欠き部が不要になる。
【0082】
以上、本発明の第1ないし第5の実施形態に係る異物検出装置1について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。この発明は実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1ないし第5の実施形態に係るエレベータかごおよび乗場を示す断面図。
【図2】図1中に示されたエレベータかごのかご敷居を拡大して示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る検知ガイドシューを示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の制御系統を示す図。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置を示す正面図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図17】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0084】
1…異物検出装置、2…エレベータシステム、13…かご出入口、14…かご戸、15…かご敷居、15a…敷居溝、21…乗場出入口、22…乗場戸、23…乗場敷居、23a…敷居溝、31…検知ガイドシュー、32…スライドガイドシュー、35…係合装置、36…リミットスイッチ、37…制御部、46…第1の係合部、56…第2の係合部、61…建物の監視盤、62…保守点検者用の監視盤、63…かご内スピーカー、71…戸開閉用係合装置、74a,74b…切欠き部、81…第1のシャフト、82…第2のシャフト、91…センサー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ出入口敷居溝内の異物を検出する異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ出入口には、敷居溝が設けられている。この敷居溝には、例えばかご戸や乗場戸のガイドシューが嵌められている。敷居溝内に塵や泥のような異物が堆積すると、扉の開閉が出来なくなることがある。そこでエレベータには、敷居溝内の異物を検出する異物検出装置が搭載されることがある。
【0003】
特許文献1には、敷居溝内の異物を検出する異物検出装置が開示されている。この異物検出装置は、戸の下端先端に設けられた検知ガイドシューと、前記検知ガイドシューの後方に設けられたリミットスイッチとを備える。検知ガイドシューは、異物に接触するとその位置が後退し、リミットスイッチを作動させる。
【特許文献1】特開平3−138290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された異物検出装置で全ての戸の敷居溝の異物を検知しようとする場合、エレベータかごのかご戸、および各階の乗場戸の全てに検知ガイドシューおよびリミットスイッチを設置する必要がある。特に、高層の建物で乗場戸の数が多い場合、各階の乗場戸に設置されるリミットスイッチの配線の敷設作業に多くの時間が必要になる。
【0005】
本発明の目的は、設置作業の負担を軽減することができるエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一つの形態に係るエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置は、かご戸の下端部に設けられ、かご出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記かご戸に対して変位可能な検知ガイドシューと、乗場戸の下端部に設けられ、乗場出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記乗場戸に対して変位可能なスライドガイドシューと、前記かご戸に設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに作動する検知部とを具備する。
【0007】
(2)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに、前記検知ガイドシューを前記スライドガイドシューに連動させる係合装置を備える。前記検知部は、前記かご戸に対する前記検知ガイドシューの変位を検知する。
【0008】
(3)上記(2)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記係合装置は、前記検知ガイドシューに設けられた第1の係合部と、前記スライドガイドシューに設けられ、前記第1の係合部に対向する第2の係合部とを有する。
【0009】
(4)上記(3)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記係合装置は、前記乗場戸を前記かご戸に連動させる戸開閉用係合装置を避けるためにかご敷居および乗場敷居に設けられた切欠き部と鉛直方向に並ぶ位置に配置される。
【0010】
(5)上記(3)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知ガイドシューに連結されるとともに、前記かご戸の戸開方向に延び、前記かご戸の戸端よりも突き出た第1のシャフトと、前記スライドガイドシューに連結されるとともに、前記乗場戸の戸開方向に延び、前記乗場戸の戸端よりも突き出た第2のシャフトとを備える。前記第1の係合部は、前記かご戸から突き出た第1のシャフトの端部に設けられる。前記第2の係合部は、前記乗場戸から突き出た第2のシャフトの端部に設けられる。
【0011】
(6)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態では、前記検知部は、前記検知ガイドシューに設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置の変化を検出するセンサーを有する。
【0012】
(7)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知部が作動したときに、その旨を建物に設置された監視盤および保守点検者用の監視盤に送るとともに、かご内スピーカーからアナウンスを流す制御部を備える。
【0013】
(8)上記(1)に記載のエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置の一つの形態は、前記検知部が作動し、検知信号を発信するときに、エレベータかごが停止している階床名も同時に発信する制御部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の異物検出装置によれば、設置作業の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図20を参照して説明する。まず、図1および図10を参照して、本発明の第1および第5の実施形態に係るエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置1(以下、単に異物検出装置1)が設置されるエレベータシステム2について概略的に説明する。
【0016】
図1に示すように、エレベータシステム2は、各階に設けられた乗場3(ホール)と、昇降路4内を昇降動作するエレベータかご5とを備える。図10に示すように、エレベータシステム2は、巻上機6およびエレベータ制御装置7(制御盤)を備えている。
【0017】
巻上機6は、メインシーブを回転駆動するモータ8と、モータ8の回転を検出するパルスジェネレータ9とを備える。メインシーブには、エレベータかご5に連結されたメインロープが巻き掛けられている。モータ8が駆動されることで、エレベータかご5が昇降路4内を昇降動作する。エレベータ制御装置7は、例えばエレベータシステム2の全体を制御する。
【0018】
図1に示すように、エレベータかご5は、枠状に形成されたかご枠11と、このかご枠11内に支持されたかご室12とを有する。かご室12は、乗場3に通じるかご出入口13を有する。かご出入口13には、当該かご出入口13を開閉するかご戸14と、このかご戸14の下方に位置するかご敷居15とが設けられている。かご敷居15には、敷居溝15aが設けられている。敷居溝15aは、かご出入口13の間口方向(すなわち、かご戸14の開閉方向)に延びている。
【0019】
かご出入口13の上方には、水平方向に取り付けられた案内レール16が設けられている。この案内レール16には、ハンガーローラ17が乗せられている。ハンガーローラ17は、案内レール16の上を走行可能である。このハンガーローラ17に、かご戸14が吊り下げられている。
【0020】
図2および図3に示すように、かご戸14の下端部には、かご戸ガイドシュー18が設けられている。かご戸ガイドシュー18は、かご戸14の下端部に1つ又は複数設けられ、かご戸14に対して動かないように固定されている。かご戸ガイドシュー18は、かご敷居15の敷居溝15aに嵌められている。かご戸ガイドシュー18は、敷居溝15aに沿ってかご戸14を案内する。また、エレベータかご5は、乗場3に対向するエプロン19を有している。
【0021】
図1に示すように、乗場3は、エレベータかご5に通じる乗場出入口21を有する。乗場出入口21には、当該乗場出入口21を開閉する乗場戸22と、この乗場戸22の下方に位置する乗場敷居23とが設けられている。乗場敷居23には、敷居溝23aが設けられている。敷居溝23aは、乗場出入口21の間口方向(すなわち、乗場戸22の開閉方向)に延びている。
【0022】
乗場出入口21の上方には、水平方向に取り付けられた案内レール24が設けられている。この案内レール24には、ハンガーローラ25が乗せられている。ハンガーローラ25は、案内レール24の上を走行可能である。このハンガーローラ25に、乗場戸22が吊り下げられている。
【0023】
エレベータかご5と同様に、乗場戸22の下端部には、乗場戸ガイドシュー26が設けられている(図6参照)。乗場戸ガイドシュー26は、乗場戸22の下端部に例えば1つ又は複数設けられ、乗場戸22に対して動かないように固定されている。乗場戸ガイドシュー26は、乗場敷居23の敷居溝23aに嵌められている。乗場戸ガイドシュー26は、敷居溝23aに沿って乗場戸22を案内する。また、乗場3は、エレベータかご5に対向するエプロン27を有している。
【0024】
図4および図10に示すように、異物検出装置1は、検知ガイドシュー31、スライドガイドシュー32、第1および第2の復帰ばね33,34、係合装置35、リミットスイッチ36、および制御部37を備えている。リミットスイッチ36は、本発明でいう検知部の一例である。
【0025】
図3ないし図5に示すように、検知ガイドシュー31は、かご戸14の下端部に設けられ、かご敷居15の敷居溝15aに嵌められている。検知ガイドシュー31は、かご戸ガイドシュー18の先行位置に設けられている。
【0026】
なお本実施形態に係る「先行位置」とは、戸閉時にかご戸ガイドシュー18よりも先行する位置、すなわちかご戸ガイドシュー18よりも戸閉側となる位置である。検知ガイドシュー31は、例えばかご戸14の水平方向の端部(いわゆる下端先端)に設けられている。なお、検知ガイドシュー31は、戸開時にかご戸ガイドシュー18よりも先行する位置に設けられてもよい。
【0027】
検知ガイドシュー31は、かご戸14に対して、かご戸14の開閉方向に変位可能(移動可能)である。図5に示すように、検知ガイドシュー31は、シュー41、取付板42、および例えば複数のピン43を有する。ピン43は、かご戸14に対して固定されており、かご戸14から突出している。複数のピン43は、互いに水平方向に並んでいる。
【0028】
取付板42は、ピン43が差し込まれる長穴部44を有する。長穴部44は、取付板42を貫通している。長穴部44は、水平方向に長手方向を有する。取付板42は、長穴部44に差し込まれたピン43を介してかご戸14に取り付けられているとともに、かご戸14に対してかご戸14の開閉方向(すなわち敷居溝15aの延伸方向)に変位可能になっている。シュー41は、取付板42に取り付けられている。シュー41は、敷居溝15a内に挿入されており、かご戸14の開閉時に敷居溝15a内を走行する。
【0029】
図5に示すように、取付板42には、第1のばね受け部45と、第1の係合部46とが設けられている。第1のばね受け部45および第1の係合部46は、例えばそれぞれ板状に形成されているとともに、鉛直方向に起立している。
【0030】
第1の復帰ばね33は、第1のばね受け部45よりも戸開側(すなわち、かご戸14の中央部側)に設けられている。第1の復帰ばね33は、かご戸14に固定された第1の支持台47と、取付板42の第1のばね受け部45との間に介在され、取付板42を戸閉方向(すなわち、取付板42がリミットスイッチ36から離れる方向)に付勢している。
【0031】
図5に示すように、リミットスイッチ36は、第1の係合部46よりも戸開側に設けられている。リミットスイッチ36は、かご戸14に対する検知ガイドシュー31の変位を検知する。図7に示すように、検知ガイドシュー31が後退(戸開側に移動)し、第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触すると、リミットスイッチ36が作動する。すなわち第1の係合部46は、リミットスイッチ36を作動させる接触子である。
【0032】
図6に示すように、スライドガイドシュー32は、検知ガイドシュー31と略同じ構成を有する。スライドガイドシュー32は、乗場戸22の下端部に設けられ、乗場敷居23の敷居溝23aに嵌められている。スライドガイドシュー32は、乗場戸ガイドシュー26の先行位置に設けられている。
【0033】
なお本実施形態に係る「先行位置」とは、戸閉時に乗場戸ガイドシュー26よりも先行する位置、すなわち乗場戸ガイドシュー26よりも戸閉側となる位置である。スライドガイドシュー32は、例えば乗場戸22の水平方向の端部(いわゆる下端先端)に設けられている。なお、スライドガイドシュー32は、戸開時に乗場戸ガイドシュー26よりも先行する位置に設けられてもよい。
【0034】
スライドガイドシュー32は、乗場戸22に対して、乗場戸22の開閉方向に変位可能(移動可能)である。図5に示すように、スライドガイドシュー32は、シュー51、取付板52、および例えば複数のピン53を有する。ピン53は、乗場戸22に対して固定されており、乗場戸22から突出している。複数のピン53は、互いに水平方向に並んでいる。
【0035】
取付板52は、ピン53が差し込まれる長穴部54を有する。長穴部54は、取付板52を貫通している。長穴部54は、水平方向に長手方向を有する。取付板52は、長穴部54に差し込まれたピン53を介して乗場戸22に取り付けられているとともに、乗場戸22に対して乗場戸22の開閉方向(すなわち敷居溝23aの延伸方向)に変位可能になっている。シュー51は、取付板52に取り付けられている。シュー51は、敷居溝23a内に挿入されており、乗場戸22の開閉時に敷居溝23a内を走行する。
【0036】
図5に示すように、取付板52には、第2のばね受け部55と、第2の係合部56とが設けられている。第2のばね受け部55および第2の係合部56は、例えばそれぞれ板状に形成されているとともに、鉛直方向に起立している。
【0037】
第2の復帰ばね34は、第2のばね受け部55よりも戸開側(すなわち、乗場戸22の中央部側)に設けられている。第2の復帰ばね34は、乗場戸22に固定された第2の支持台57と、取付板52の第2のばね受け部55との間に介在され、取付板52を戸閉方向(すなわち、取付板42がリミットスイッチ36から離れる方向)に付勢している。
【0038】
検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46と、スライドガイドシュー32に設けられた第2の係合部56は、互いに協働して本実施形態に係る係合装置35を構成している。図4に示すように、かご敷居15と乗場敷居23との間には、隙間Sが形成されている。第1の係合部46は、検知ガイドシュー31の取付板42から隙間Sの上方まで延びる。
【0039】
第2の係合部56は、スライドガイドシュー32の取付板52から隙間Sの上方まで延びる。そして隙間Sの上方で、第1および第2の係合部46,56は、水平方向にて互いに対向する。詳しく述べると、第2の係合部56は、第1の係合部46よりも、戸閉側に位置している。第2の係合部56は、第1の係合部46に対して戸閉側から対向する。
【0040】
係合装置35は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したとき、検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させる。すなわち、図8に示すように、係合装置35は、例えばスライドガイドシュー32が後退(戸開側に移動)したとき、第2の係合部56が第1の係合部46に接触することで、その後、検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させて後退させる。
【0041】
図5に示すように、リミットスイッチ36は、かご戸14に設けられている。一方、図6に示すように、乗場戸22にはリミットスイッチやその他の検知部は設けられていない。かご戸14に設けられたリミットスイッチ36は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する。
【0042】
詳しく述べると、かご敷居15の敷居溝15aに異物F(図9参照)がある場合、図7に示すように、検知ガイドシュー31が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、検知ガイドシュー31の第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触し、リミットスイッチ36が作動する。
【0043】
また、乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fがある場合、図8に示すように、スライドガイドシュー32が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、係合装置35が検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させ、検知ガイドシュー31がスライドガイドシュー32に連動して後退する。そして、検知ガイドシュー31の第1の係合部46がリミットスイッチ36に接触し、リミットスイッチ36が作動する。
【0044】
異物Fが取り除かれると、検知ガイドシュー31およびスライドガイドシュー32は、復帰ばね33,34の付勢力により元の位置に復帰する。
【0045】
図10に示すように、制御部37は、例えばエレベータ制御装置7内に設けられた制御回路である。制御部37は、リミットスイッチ36から検知信号(異常検知信号)を受け取る。また制御部37は、巻上機6のパルスジェネレータ9の検出信号に基づいて、エレベータかご5が着床している階床を特定する。
【0046】
制御部37は、リミットスイッチ36が作動したとき(すなわち異常を検知したとき)に、リミットスイッチ36が作動した旨(異物Fが存在するおそれがある旨)を、その建物に設置された監視盤61と、保守点検者用の監視盤62とに送る。また制御部37は、リミットスイッチ36が検知信号を発信するときに、エレベータかご5が停止している階床名も同時に、建物に設置された監視盤61と、保守点検者用の監視盤62とに送る。さらに制御部37は、リミットスイッチ36が作動したときに、かご内スピーカー63からエレベータ利用者に対して、例えば異物が存在するため扉が閉まらない、保守管理者(保守点検者)が現在向かっているといった状況を説明するアナウンスを流す。
【0047】
次に、異物検出装置1の作用について説明する。
図11に示すように、例えば戸閉時に、異物検出装置1により敷居溝15a,23aの異物Fの有無の検出が行われる(ステップS11〜S14)。詳しく述べると、かご敷居15の敷居溝15aに異物Fが堆積している場合、図7、図9に示すように、検知ガイドシュー31が異物Fに当たり後退する(ステップS12)。検知ガイドシュー31が後退すると、検知ガイドシュー31の第1の係合部46(接触子)がリミットスイッチ36に触れ、リミットスイッチ36が作動する(ステップS13)。作動したリミットスイッチ36は、制御部37に検知信号(異物検知信号)を送る(ステップS14)。
【0048】
また乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fが堆積している場合、図8に示すように、スライドガイドシュー32が異物Fに当たり後退する。スライドガイドシュー32が後退すると、係合装置35によりスライドガイドシュー32に連動した検知ガイドシュー31が後退する(ステップS12)。検知ガイドシュー31が後退すると、検知ガイドシュー31の第1の係合部46(接触子)がリミットスイッチ36に触れ、リミットスイッチ36が作動する(ステップS13)。作動したリミットスイッチ36は、制御部37に検知信号を送る(ステップS14)。
【0049】
エレベータ制御装置7は、戸閉確認を行う(ステップS15)。戸閉状態が確認されると、制御部37は、建物の監視盤61と保守点検者用の監視盤62とに、異常が検知されたことを知らせるための制御信号を発信する(ステップS16)。建物の監視盤61および保守点検者用の監視盤62は、制御部37からの制御信号を受信し、建物の管理者と保守点検者に異物検出装置1の検知結果を知らせる(ステップS17)。
【0050】
また、エレベータ制御装置7による戸閉状態が確認されないとき(例えば、異物Fによりかご戸14または乗場戸22が閉まらずにエレベータが停止したとき)は、制御部37は、建物の監視盤61と保守点検者用の監視盤62とに制御信号を発信するとともに、かご内スピーカーにも制御信号を送る(ステップS21)。建物の監視盤61および保守点検者用の監視盤62は、制御部37からの制御信号を受信し、建物の管理者と保守点検者に異物検出装置1の検知結果を知らせる。さらにかご内スピーカー63は、エレベータ利用者に対してアナウンスを行う(ステップS22)。
【0051】
このような構成の異物検出装置1によれば、設置作業の負担を軽減することができる。すなわち、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部(例えばリミットスイッチ36)をかご戸14に設けることで、かご敷居15および乗場敷居23のどちらの敷居溝15a,23aに異物Fが堆積した場合でも、かご戸14に設けられた検知部が作動し、異物Fの存在を発信することができる。
【0052】
そのため、乗場戸22側にリミットスイッチその他の検知部が不要になり、全ての階の乗場戸22において検知部に関する配線の敷設作業を無くすことができる。これにより、設置作業の負担が大幅に軽減される。
【0053】
検知ガイドシュー31に対するスライドガイドシュー32の相対位置が変化したときに検知ガイドシュー31をスライドガイドシュー32に連動させる係合装置35を備えると、検知ガイドシュー31の動きで作動するリミットスイッチ36により、検知ガイドシュー31に対するスライドガイドシュー32の相対位置の変化も検知することができる。そのため、異物検出装置1を比較的単純な構成にすることができる。
【0054】
係合装置35が、検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46と、スライドガイドシュー32に設けられ、第1の係合部46に対向する第2の係合部56とを有すると、上記係合装置35を比較簡単な構成で実現することができる。
【0055】
リミットスイッチ36が作動したときに、かご内スピーカー63からアナウンスを流す制御部37を備えると、異物Fにより戸が閉まらずエレベータが停止した場合、エレベータ利用者にもその内容を知らせることが出来るため、利用者の不信感を軽減することができる。
【0056】
制御部37が、リミットスイッチ36が検知信号を発信するときに、エレベータかご5が停止している階床名も同時に発信すると、敷居溝15a,23aに異物Fがあった場合にその階床を特定することができるため、保守管理者(保守点検者)の異物確認作業を軽減することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置1について、図12および図13を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0058】
図13に示すように、エレベータシステム2は、戸開閉時に乗場戸22をかご戸14に連動させる戸開閉用係合装置71を備えている。戸開閉用係合装置71は、かご戸14に設けられた一対の細長い係合板72a,72b(いわゆるカミソリ)と、乗場戸22に設けられ、係合板72a,72bに挟まれるローラ73a,73bとを有している。エレベータかご5は、かご戸14を開閉させる図示しないモータを備える。かご戸14の係合板72a,72bが乗場戸22のローラ73a,73bを挟んだ状態で、上記モータによりかご戸14が開閉すると、乗場戸22がかご戸14に連動して開閉する。
【0059】
図12に示すように、かご敷居15および乗場敷居23には、それぞれ戸開閉用係合装置71を避けるための切欠き部74a,74bが設けられている。詳しく述べると、かご敷居15は、ローラ73a,73bを避けるための第1の切欠き部74aを有している。乗場敷居23は、係合板72a,72bを避けるための第2の切欠き部74bを有している。
【0060】
図12に示すように、異物検出装置1の係合装置35は、上記切欠き部74a,74bと鉛直方向に並ぶ位置に配置されている。すなわち、係合装置35の第1の係合部46は、切欠き部74a,74bが設けられた領域の上方で乗場戸22に向いて突出している。第2の係合部56は、切欠き部74a,74bが設けられた領域の上方でかご戸14に向いて突出している。
【0061】
このような構成の異物検出装置1によれば、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。
【0062】
例えば、乗場敷居23とかご敷居15との間の隙間Sが狭い場合、検知ガイドシュー31に設けられた第1の係合部46が乗場敷居23に干渉するおそれがある。そのため、その干渉部位の乗場敷居23に切欠き部が必要になる。またかご敷居15には、スライドガイドシュー32に設けられた第2の係合部56を避けるための切欠き部が必要になる。
【0063】
しかしながら本実施形態のように、異物検出装置1の係合装置35が、戸開閉用係合装置71を避けるためにかご敷居15および乗場敷居23に設けられた切欠き部74a,74bと鉛直方向に並ぶ位置に配置されていると、戸開閉用係合装置71を避けるための切欠き部74a,74bにより、併せて乗場敷居23に対する検知ガイドシュー31の第1の係合部46の干渉が避けられる。さらに、かご敷居15に対するスライドガイドシュー32の第2の係合部56の干渉が避けられる。このため、かご敷居15および乗場敷居23に設けられる切欠き部を少なくすることができる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置1について、図14および図15を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0065】
図14および図15に示すように、かご戸14には、第1のシャフト81が設けられている。第1のシャフト81は、検知ガイドシュー31に連結されるとともに、かご戸14の戸開方向に延び、かご戸14の戸端14eよりも外側に突き出ている。この突き出た第1のシャフト81の端部81a(以下、突出端部81a)は、かご敷居15の上方から外れた領域まで突出している。
【0066】
図14に示すように、乗場戸22には、第2のシャフト82が設けられている。第2のシャフト82は、スライドガイドシュー32に連結されるとともに、乗場戸22の戸開方向に延び、乗場戸22の戸端22eよりも外側に突き出ている。この突き出た第2のシャフト82の端部82a(以下、突出端部82a)は、乗場敷居23の上方から外れた領域まで突出している。
【0067】
異物検出装置1の係合装置35は、第1のシャフト81の突出端部81a、および第2のシャフト82の突出端部82aに設けられている。すなわち、係合装置35の第1の係合部46は、第1のシャフト81の突出端部81aに設けられ、かご敷居15の上方から外れた領域(敷居15,23に干渉しない位置)に位置している。
【0068】
第2の係合部56は、第2のシャフト82の突出端部82aに設けられ、乗場敷居23の上方から外れた領域(敷居15,23に干渉しない位置)に位置している。検知ガイドシュー31には、当該検知ガイドシュー31が後退したときにリミットスイッチ36を作動させる接触子83が設けられている。
【0069】
乗場戸22のスライドガイドシュー32が敷居溝23aの異物Fに当たり後退すると、スライドガイドシュー32に連結された第2のシャフト82が後退する。第2のシャフト82が後退すると、第2の係合部56が第1の係合部46に係合する。これにより、係合装置35は、第2のシャフト82に連動させて第1のシャフト81を後退させる。第1のシャフト81が後退すると、第1のシャフト81が連結された検知ガイドシュー31が後退し、リミットスイッチ36が作動する。
【0070】
このような構成の異物検出装置1によれば、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。また、敷居15,23の上方から外れる領域まで延びた第1および第2のシャフト81,82を備え、係合装置35が第1および第2のシャフト81,82の端部81a,82aに設けられていると、かご敷居15と乗場敷居23との間の隙間Sが狭い場合であっても、係合装置35と敷居15,23との干渉を避けるための切欠き部が不要になる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る異物検出装置1について、図16を参照して説明する。なお上記第1および第3の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0072】
図16に示すように、本実施形態に係るエレベータシステム2は、同一方向に退避する複数のかご戸14a,14bと複数の乗場戸22a,22bとを備えている。4つの戸14a,14b,22a,22bのうち内側に位置するかご戸14aおよび乗場戸22aには、上記第1の実施形態と同様の構成が設けられている。4つの戸14a,14b,22a,22bのうち外側に位置するかご戸14bおよび乗場戸22bには、上記第3の実施形態と同様の構成が設けられている。
【0073】
このような構成の異物検出装置1によれば、同一方向に退避する2枚以上の戸から構成される横開き戸においても、かご戸14に設けられたリミットスイッチ36により乗場敷居23の敷居溝23aの異物Fを検知することができる。つまり、上記第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置1について、図17ないし図20を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明した以外の異物検出装置1およびエレベータシステム2の残りの構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0075】
図17および図18に示すように、本実施形態に係る異物検出装置1は、リミットスイッチ36および係合装置35に変えて、センサー91および反射板92を備えている。センサー91、本発明でいう検知部の一例である。センサー91は、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置の変化を検出する。
【0076】
詳しく述べると、反射板92は、スライドガイドシュー32に設けられ、スライドガイドシュー32の動きに合わせて乗場戸22に対して変位する。反射板92は、かご戸14に対向している。センサー91は、検知ガイドシュー31に設けられ、検知ガイドシュー31の動きに合わせてかご戸14に対して変位する。センサー91は、反射板92に向けて検出光Lを放つ発光部と、反射板92で反射した上記検出光Lを受光する受光部とを有する。
【0077】
図19および図20に示すように、かご敷居15の敷居溝15aに異物Fがある場合、検知ガイドシュー31が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、センサー91と反射板92との位置がずれ、センサー91が放つ検出光Lがセンサー91に戻って来なくなる。センサー91は、検出光Lが戻って来ないことを認識すると、作動して検知信号を制御部37に送る。
【0078】
一方、乗場敷居23の敷居溝23aに異物Fがある場合、スライドガイドシュー32が後退し、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化する。このとき、センサー91と反射板92との位置がずれ、センサー91が放つ検出光Lがセンサー91に戻って来なくなる。センサー91は、検出光Lが返って来ないことを認識すると、作動して検知信号を制御部37に送る。
【0079】
このような構成の異物検出装置1によれば、第1の実施形態と同様に、設置作業の負担を軽減することができる。すなわち、スライドガイドシュー32に対する検知ガイドシュー31の相対位置が変化したときに作動する検知部(センサー91)をかご戸14に設けることで、かご敷居15および乗場敷居23のどちらの敷居溝15a,23aに異物Fが堆積した場合でも、かご戸14に設けられた検知部が作動し、異物Fの存在を発信することができる。
【0080】
そのため、乗場戸22側にリミットスイッチその他の検知部が不要になり、全ての階の乗場3において検知部に関する配線の敷設作業を無くすことができる。これにより、設置作業の負担が大幅に軽減される。
【0081】
さらに本実施形態の構成によれば、異物検出装置1の係合装置が不要になるので、かご敷居15と乗場敷居23との間の隙間Sが狭い場合であっても、係合装置と敷居15,23との干渉を避けるための切欠き部が不要になる。
【0082】
以上、本発明の第1ないし第5の実施形態に係る異物検出装置1について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。この発明は実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1ないし第5の実施形態に係るエレベータかごおよび乗場を示す断面図。
【図2】図1中に示されたエレベータかごのかご敷居を拡大して示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る検知ガイドシューを示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の制御系統を示す図。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る異物検出装置の動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る異物検出装置を示す正面図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る異物検出装置を示す断面図。
【図17】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の非作動状態を示す断面図。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る異物検出装置の作動状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0084】
1…異物検出装置、2…エレベータシステム、13…かご出入口、14…かご戸、15…かご敷居、15a…敷居溝、21…乗場出入口、22…乗場戸、23…乗場敷居、23a…敷居溝、31…検知ガイドシュー、32…スライドガイドシュー、35…係合装置、36…リミットスイッチ、37…制御部、46…第1の係合部、56…第2の係合部、61…建物の監視盤、62…保守点検者用の監視盤、63…かご内スピーカー、71…戸開閉用係合装置、74a,74b…切欠き部、81…第1のシャフト、82…第2のシャフト、91…センサー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご戸の下端部に設けられ、かご出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記かご戸に対して変位可能な検知ガイドシューと、
乗場戸の下端部に設けられ、乗場出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記乗場戸に対して変位可能なスライドガイドシューと、
前記かご戸に設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに作動する検知部と、
を具備したことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに、前記検知ガイドシューを前記スライドガイドシューに連動させる係合装置を備え、
前記検知部は、前記かご戸に対する前記検知ガイドシューの変位を検知することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記係合装置は、前記検知ガイドシューに設けられた第1の係合部と、前記スライドガイドシューに設けられ、前記第1の係合部に対向する第2の係合部とを有することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記係合装置は、前記乗場戸を前記かご戸に連動させる戸開閉用係合装置を避けるためにかご敷居および乗場敷居に設けられた切欠き部と鉛直方向に並ぶ位置に配置されることを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項5】
請求項3の記載において、
前記検知ガイドシューに連結されるとともに、前記かご戸の戸開方向に延び、前記かご戸の戸端よりも突き出た第1のシャフトと、
前記スライドガイドシューに連結されるとともに、前記乗場戸の戸開方向に延び、前記乗場戸の戸端よりも突き出た第2のシャフトと、を備え、
前記第1の係合部は、前記かご戸から突き出た第1のシャフトの端部に設けられ、前記第2の係合部は、前記乗場戸から突き出た第2のシャフトの端部に設けられることを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項6】
請求項1の記載において、
前記検知部は、前記検知ガイドシューに設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置の変化を検出するセンサーを有することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項7】
請求項1の記載において、
前記検知部が作動したときに、その旨を建物に設置された監視盤および保守点検者用の監視盤に送るとともに、かご内スピーカーからアナウンスを流す制御部を備えたことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項8】
請求項1の記載において、
前記検知部が作動し、検知信号を発信するときに、エレベータかごが停止している階床名も同時に発信する制御部を備えたことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項1】
かご戸の下端部に設けられ、かご出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記かご戸に対して変位可能な検知ガイドシューと、
乗場戸の下端部に設けられ、乗場出入口の敷居溝に嵌められるとともに、前記乗場戸に対して変位可能なスライドガイドシューと、
前記かご戸に設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに作動する検知部と、
を具備したことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置が変化したときに、前記検知ガイドシューを前記スライドガイドシューに連動させる係合装置を備え、
前記検知部は、前記かご戸に対する前記検知ガイドシューの変位を検知することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記係合装置は、前記検知ガイドシューに設けられた第1の係合部と、前記スライドガイドシューに設けられ、前記第1の係合部に対向する第2の係合部とを有することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記係合装置は、前記乗場戸を前記かご戸に連動させる戸開閉用係合装置を避けるためにかご敷居および乗場敷居に設けられた切欠き部と鉛直方向に並ぶ位置に配置されることを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項5】
請求項3の記載において、
前記検知ガイドシューに連結されるとともに、前記かご戸の戸開方向に延び、前記かご戸の戸端よりも突き出た第1のシャフトと、
前記スライドガイドシューに連結されるとともに、前記乗場戸の戸開方向に延び、前記乗場戸の戸端よりも突き出た第2のシャフトと、を備え、
前記第1の係合部は、前記かご戸から突き出た第1のシャフトの端部に設けられ、前記第2の係合部は、前記乗場戸から突き出た第2のシャフトの端部に設けられることを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項6】
請求項1の記載において、
前記検知部は、前記検知ガイドシューに設けられ、前記スライドガイドシューに対する前記検知ガイドシューの相対位置の変化を検出するセンサーを有することを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項7】
請求項1の記載において、
前記検知部が作動したときに、その旨を建物に設置された監視盤および保守点検者用の監視盤に送るとともに、かご内スピーカーからアナウンスを流す制御部を備えたことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【請求項8】
請求項1の記載において、
前記検知部が作動し、検知信号を発信するときに、エレベータかごが停止している階床名も同時に発信する制御部を備えたことを特徴とするエレベータ出入口敷居溝の異物検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−184803(P2010−184803A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31701(P2009−31701)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]