説明

エレベータ用ハンガープレート及びこれを含むエレベータドア装置

【解決手段】エレベータドア装置は、エレベータ出入口の上部に設けられ、エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えるハンガーケースと、ハンガーレール上で転動するローラーが連結され、ローラーがハンガーレール上で転動することに対応してエレベータ出入口の幅方向に移動するハンガープレートと、ハンガープレートにされ、ハンガープレートの左右移動に伴いエレベータ出入口を開閉するエレベータドアとを含む。ハンガープレートには前方に突出または後方に陥没した第1エンボシング部が縦方向に形成され、第1エンボシング部はローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するように形成される。これに伴い、ハンガープレート素材の材質を変更するか厚さを増加させずとも、ハンガープレートの一部や全体の剛性を目的とする水準に合わせて増加させることができるので、エレベータドアに一定の力が加えられてもハンガープレートの変形によるエレベータドアの離脱を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用ハンガープレート及びこれを含むエレベータドア装置に関し、より詳しくはハンガープレートの剛性を増大させてハンガープレートの変形によるエレベータドアの離脱を防止することができる、エレベータ用ハンガープレート及びこれを含むエレベータドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来には、外部の衝撃によるエレベータドアの離脱に係わる安全基準が十分でない実情であった。例えば、従来のEN(ヨーロッパ標準)基準の場合、30kgの荷重を静的にエレベータドアに加えてドアの変形有無を確認する方法を用いた。しかし、このような方法は実際の衝突状況を適切に反映することができないので、エレベータドアの安全性を十分担保することができないとの問題があった。
【0003】
これに伴い、最近開催された昇降機安全分野国際標準化会議(ISO/TC178)では、エレベータドアの「離脱強度と試験方法」と関連し実際の衝突状況と最も近似して動く物体の運動エネルギーをエレベータドアに加える方法も併行して行うことに合意した。これに伴い、エレベータドアがその安定性の確認を受けるためには、エレベータドアに450[J]のエネルギー(2人の中学生(120kg)が時速約10kmで突進して衝突する場合のエネルギー)が加えられるとしても、エレベータドアが離脱しないことを要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエレベータドア装置の場合、前記のようなエネルギーがエレベータドアに加えられると、ハンガープレートの変形によりエレベータドアが離脱し易いとの問題がある。
【0005】
図9は、一定の力がエレベータドアに加えられる場合に発生し得るハンガープレートの撓みによるエレベータドアの離脱を説明するための従来のエレベータドア装置の側面図である。
【0006】
図9を参照しながら、従来のエレベータドア装置に関して説明する。エレベータ出入口の上部には、エレベータドア30を駆動させるための駆動装置などが設けられるハンガーケース10が備えられる。前記ハンガーケース10には、駆動装置以外にもエレベータドア30の移動を案内するためのハンガーレール12が備えられる。前記ハンガーレール12上には、ハンガーレール12に沿って転動しながらエレベータ出入口の幅方向に左右移動するローラー22が備えられる。このようなローラー22は、エレベータドア30と結合されるハンガープレート20に連結される。前記のような構造を介し、エレベータドア30はハンガープレート20によりハンガーケース10のハンガーレール12と左右移動が可能になるように連結され得る。
【0007】
前記のように、エレベータドア30の上部はハンガープレート20を介してハンガーケース10により支持され、エレベータドア30の下部はドアシュー(door shoe)32を介してガイドレール40により支持されることで、エレベータドア30は安定的にエレベータ出入口の幅方向に左右移動することができる。
【0008】
しかし、従来のハンガープレート20は薄い厚さを有する平板状の金属プレートを単に折り曲げる方法で製造されるので、その剛性が非常に弱いとの問題がある。これに伴い、図9に示されているように、エレベータドア30に一定の力(F)が垂直に作用すれば、ハンガープレート20の一定部分に撓みが発生して(図9のA及びBを参照)エレベータドア30がガイドレール40から離脱することがある。
【0009】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するため案出されたものであって、本発明の課題は、エレベータドアに一定の力が加えられてもハンガープレートの変形の発生を抑制してエレベータドアの離脱を防止することができるエレベータ用ハンガープレートとエレベータドア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい実施の形態によれば、エレベータドア装置は、エレベータ出入口の上部に設けられ、エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えるハンガーケースと、ハンガーレール上で転動するローラーが連結され、ローラーがハンガーレール上で転動することに対応してエレベータ出入口の幅方向に左右移動するハンガープレートと、ハンガープレートに結合され、ハンガープレートの左右移動に伴いエレベータ出入口を開閉するエレベータドアとを含む。ここで、前記ハンガープレートには前方に突出、または後方に陷沒した第1エンボシング部が縦方向に形成され、前記第1エンボシング部は前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するように形成される。
【0011】
本発明に係るエレベータドア装置は、第1エンボシング部が形成されたハンガープレートを含んで構成されるので、垂直方向の力がエレベータドアに加えられてもハンガープレートが上方に撓むことが最大限に抑制可能である。即ち、ハンガープレートに第1エンボシング部が縦方向に形成されるので、ハンガープレートが前記のように撓むことを抑制することができるハンガープレートの剛性が確保でき、これに伴いエレベータドアに垂直の力が加えられてもハンガープレートが上方に撓まないので、エレベータドアの離脱が防止できる。
【0012】
さらに、このような離脱の防止は、第1エンボシング部がローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するように形成されるので一層効果的である。詳述すれば、ハンガープレートに力が加えられる場合、ハンガープレートがローラーと連結される地点、即ち、ローラーの中心に対応される地点で最初に撓みが発生し得る。しかし、本発明に係るハンガープレートには、第1エンボシング部がローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するように形成されるので、ハンガープレートの強度的脆性を補強することができる。このような第1エンボシング部は、ハンガープレートとローラーを連結する連結軸を中心に左右1対が形成され得る。
【0013】
一方、エレベータドアの幅方向の両端の間を二等分する中心線より左右に離隔された地点でエレベータドアに力が加えられても、本発明に係るエレベータドア装置は、第2エンボシング部によりハンガープレートの捩れを防止することができる。即ち、本発明に係るハンガープレートには、前記のようなハンガープレートの捩れを防止するため前方に突出または後方に陷沒した第2エンボシング部が横方向に形成され得る。このとき、前記第2エンボシング部は、ハンガープレートの幅方向の両端の間を二等分する中心線を通過するように形成されるのが好ましい。
【0014】
さらに、前記ハンガープレートは、ベースプレートと、ベースプレートの一端から垂直に折り曲げられて形成される連結プレートとを含んで構成することができ、連結プレートがベースプレート側に折り畳まれることを防止するため、ベースプレートと連結プレートを連結する連結部には内側に突出した第3エンボシング部が形成され得る。これにより、エレベータドアに力が加えられても前記連結部が上方に撓むことが防止できる。
【0015】
その他にも、本発明の他の好ましい実施の形態によれば、エレベータドア装置は、エレベータ出入口の上部に設けられ、エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えるハンガーケースと、ハンガーレール上で転動するローラーが連結され、ローラーがハンガーレール上で転動することに対応してエレベータ出入口の幅方向に左右移動するハンガープレートと、ハンガープレートに結合され、ハンガープレートの左右移動に伴いエレベータ出入口を開閉するエレベータドアとを含む。ここで、前記ハンガープレートの幅方向の両端には、ハンガープレートから前方または後方に折り曲げられて形成される折曲部が備えられ、前記折曲部はローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するよう縦方向に延長される。
【0016】
さらに、本発明のさらに他の好ましい実施の形態によれば、エレベータ用ハンガープレートは、エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備え、エレベータ出入口の上部に設けられるハンガーケースと、ハンガーレールにより案内されてエレベータ出入口の幅方向に左右移動するエレベータドアを、ハンガーレール上で転動するローラーを介して連結し、前方に突出または後方に陷沒する傍ら、ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するよう縦方向に形成される第1エンボシング部を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るエレベータ用ハンガープレートとエレベータドア装置は、第1〜第3エンボシング部が形成されたハンガープレートを含んで構成されるので、ハンガープレートの剛性を増大させることができ、エレベータドアに一定の力が加えられてもハンガープレートの変形によるエレベータドアの離脱を防止することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るエレベータ用ハンガープレートとエレベータドア装置は、ハンガープレート素材の材質を変更するか厚さを増加させる必要がなく、剛性の増加のため別途のプレートを溶接などの工程でハンガープレートに結合させる必要がないにも拘わらず、手軽く廉価にハンガープレートの一部や全体の剛性を目的とする水準に合わせて増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係るエレベータドア装置を示している正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】実施の形態1に係るハンガープレートを示している正面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3の側面図である。
【図6】実施の形態2に係るハンガープレートを示している正面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】図6の側面図である。
【図9】一定の力がエレベータドアに加えられる場合に発生し得るハンガープレートの撓みによるエレベータドアの離脱を説明するための従来のエレベータドア装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図等を参照しながら本発明の好ましい実施の形態を詳しく説明するが、本発明が実施の形態により制限または限定されるものではない。参考までに、本説明で同一の番号は実質的に同一の要素を指し、前記規則下で他の図に記載された内容を引用して説明することができ、当業者に自明であると判断されるか繰り返される内容は省略できる。
【0021】
実施の形態1
図1は実施の形態1に係るエレベータドア装置を示している正面図であり、図2は図1の側面図である。
【0022】
図1及び図2に示されているように、本発明の実施の形態1に係るエレベータドア装置は、ハンガーケース110、ハンガープレート120及びエレベータドア130を含んで構成される。
【0023】
エレベータ乗場側またはかご側出入口(以下では、2つを含めて「エレベータ出入口」と記載する)の上部にはハンガーケース110が設けられる。前記ハンガーケース110には、エレベータ乗場側またはかご側ドア(以下では、2つを含めて「エレベータドア」と記載する)を開閉するための駆動力を提供する駆動装置160と、エレベータドア130の幅方向の左右移動を案内するハンガーレール112が備えられる。
【0024】
前記駆動装置160は、一般にモーターを含む駆動装置本体、前記駆動装置本体の駆動力により回転する回転軸、前記回転軸に固定され前記回転軸と連動して回転する駆動滑車、及び前記駆動滑車に架けられて前記駆動滑車の回転により周回運動する無端状のベルトを含んで構成される。前記ベルトの周回運動に伴い前記ベルトに連結されたハンガープレート120はエレベータ出入口150の幅方向に左右移動することができ、これに伴い前記ハンガープレート120に結合されたエレベータドア130は、エレベータ出入口150を開閉することができる。
【0025】
前記ハンガーレール112はエレベータ出入口150の幅方向に形成され、ハンガープレート120に連結されたローラー122の移動を案内し、エレベータドア130が結合されたハンガープレート120をローラー122を介して支持する役割を果たす。このようなハンガーレールは、ハンガーケースと別に製作されハンガーケースに結合することもできるが、ハンガーケースと一体に製作することもできる。本実施の形態では、ハンガーケース110と一体に製作されたハンガーレール112が例示されている。
【0026】
一方、前記ハンガープレート120は、エレベータドア130とハンガーケース110のハンガーレール112をローラー122を介して連結するだけでなく、駆動装置160による駆動力をエレベータドア130に伝達する役割を果たす。即ち、駆動装置本体により発生した駆動力は、周回運動するベルトによりハンガープレート120を左右に移動させ、前記ハンガープレート120の左右移動に伴いハンガープレート120に結合されたエレベータドア130は、エレベータ出入口150を開閉することができる。
【0027】
さらに、ハンガープレート120には、ハンガープレート120の左右移動を円滑にし、所定の経路上でハンガープレート120が安定的に移動できるようにするため、ハンガーレール112上で転動するローラー122が連結され得る。このようなローラー122は、ハンガープレート120の幅方向の両端の間を二等分する中心線を基準に両側上部に2つが備えられるのが一般的である。
【0028】
前記のように、エレベータドア130の上部はハンガープレート120を介してハンガーケース110により支持され、エレベータドア130の下部はドアシュー(door shoe)132を介してガイドレール140により支持されることで、エレベータドア130は安定的にエレベータ出入口150の幅方向に左右移動することができる。
【0029】
図3〜図5を参考にしながら、本実施の形態に係るハンガープレートの構造を詳しく説明する。図3は実施の形態1に係るハンガープレートを示している正面図で、図4は図3の平面図であり、図5は図3の側面図である。
【0030】
図3〜図5に示されているように、本発明の実施の形態1に係るハンガープレート120には後方に陷沒した第1エンボシング部124が縦方向に形成され得る。このとき、前記第1エンボシング部124は前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線(L)を通過するように形成されるのが好ましい。参考までに、本明細書で「縦方向」とは、ハンガープレート120の長手方向、即ち、図3のハンガープレートにおける縦方向を意味し、「横方向」または「幅方向」とは、ハンガープレート120の幅方向、即ち、図3のハンガープレートにおける横方向を意味する。
【0031】
エレベータドア130の前方または後方に一定の力が加えられる場合、前記ドア130の上端に結合されたハンガープレート120にはその下端から前方または後方に加えられる力が作用する。このとき、ハンガープレート120の上部はローラー122の中心に備えられた連結軸123により支持されているので、前記のような力が作用する場合、通常、前記連結軸123の近傍でハンガープレート120の撓みが発生する。したがって、エレベータ乗客の不注意または事故などによりエレベータドア130に一定の力が加えられる場合、通常ハンガープレート120の上部の両側に連結されたローラー122の中心を連結する線(L)に沿ってハンガープレート120の撓みが発生する。
【0032】
しかし、本実施の形態に係るハンガープレート120には第1エンボシング部124が形成されているので、前記のような撓みが最大限に抑制可能である。即ち、ハンガープレート120で最も撓み易い部分、即ち、ローラー122の中心に対応される地点から幅方向に延長された線(L)を通過するように第1エンボシング部124が形成されるので、本実施の形態に係るエレベータドア装置は、ハンガープレート120が前記のように撓むことを防止可能なハンガープレート120の剛性を確保することができる。これに伴い、本実施の形態に係るエレベータドア装置は、エレベータドア130に一定の力が加えられてもハンガープレート120の撓みによるエレベータドア130の離脱を最大限に防止することができる。
【0033】
このような第1エンボシング部124は、ハンガープレート120の一部をプレスなどで加圧する方法などにより形成することができ、製造方法に従いハンガープレート120の前方に突出するように形成するか、後方に陷沒するように形成することができる。本実施の形態では、後方に陷沒した第1エンボシング部124が例示されている。
【0034】
一方、ハンガープレート120の撓みは通常ハンガープレート120の幅方向の両端から始まるので、第1エンボシング部124が幅方向の中心近くに形成されるときより、ハンガープレート120の両端近くに形成されるときがハンガープレート120の撓み防止に効果的である。よって、ハンガープレート120の両端近くで連結されるローラー122の連結軸123を中心に第1エンボシング部124が左右1対に形成されるのが好ましい。
【0035】
一般に、ハンガープレート120の変形は、前記のようにハンガープレート120が上方に撓む場合が問題となる。しかし、エレベータドア130の幅方向の両端の間を二等分する中心線より左右に離隔された地点でドア130に一定の力が加えられる場合、前記のような撓み以外にもハンガープレート120の捩れが問題になり得る。
【0036】
前記のような捩れを防止するため、本実施の形態に係るハンガープレート120には第2エンボシング部125が形成され得る。第2エンボシング部125も第1エンボシング部124と同様に、ハンガープレート120の一部をプレスなどで加圧する方法等により形成することができ、製造方法に従いハンガープレート120の前方に突出するように形成するか、後方に陷沒するように形成することができる。本実施の形態では、後方に陷沒した第2エンボシング部125が例示されている。
【0037】
一方、ハンガープレート120の幅方向の両端はローラー122の連結軸123などと連結されているので、中心から幅方向に離隔された位置でハンガープレート120に力が加えられる場合、ハンガープレート120の幅方向の両端の間を二等分する中心線(C)の近所で捩れが発生するのが一般的である。したがって、第2エンボシング部125は、ハンガープレート120の幅方向の両端の間を二等分する中心線(C)を通過するように形成されるのが好ましい。
【0038】
さらに、ハンガープレート120の捩れは通常ハンガープレート120の上下方向の両端から始まるので、第2エンボシング部125が上下方向の中心近くに形成されるときより、ハンガープレート120の上下方向の両端近くに形成されるときがハンガープレート120の捩れ防止に効果的である。したがって、第2エンボシング部125は、ハンガープレート120の上下方向の両端近くに形成されるのが好ましい。
【0039】
一方、ハンガープレート120は図5に示されているように、通常第1及び第2エンボシング部124、125が形成されるベースプレート128と、前記ベースプレート128の一端から垂直に折り曲げられて形成される連結プレート129とで構成され得る。これに伴い、ハンガープレート120は側面から見たとき「L」字形の断面を有することができる。
【0040】
ハンガープレート120が前記のように形成される場合、ベースプレート128と連結プレート129の連結部は撓みに非常に脆弱である。したがって、前記のような脆性を補うため、本実施の形態に係るハンガープレート120には第3エンボシング部126がさらに形成され得る。
【0041】
このような第3エンボシング部126は、ベースプレート128と連結プレート129を連結する連結部から内側に突出するように形成される。本実施の形態に係るハンガープレート120は、前記のような第3エンボシング部126により前記連結部が上方に撓むことを防止可能である。
【0042】
前述のように、本実施の形態に係るエレベータドア装置は、第1〜第3エンボシング部が形成されたハンガープレートを含んで構成されるので、エレベータドアに一定の力が加えられても、ハンガープレートの変形によるエレベータドアの離脱を防止することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係るエレベータドア装置は、ハンガープレート素材の材質を変更するか厚さを増加させる必要がなく、かつ剛性の増加のため別途のプレートを溶接などの工程でハンガープレートに結合させる必要がないにも拘わらず、手軽く廉価にハンガープレートの一部や全体の剛性を目的とする水準に合わせて増加させることができる。
【0044】
実施の形態2
図6は実施の形態2に係るハンガープレートを示している正面図で、図7は図6の平面図であり、図8は図6の側面図である。参考までに、前述の構成と同一又は相当する構成に対しては、同一又は相当する符号で図示し、それに対する詳細な説明は省略する。
【0045】
本発明の実施の形態2に係るエレベータドア装置は、ハンガーケース110、ハンガープレート220及びエレベータドア130を含んで構成される。本実施の形態に係るエレベータドア装置と、実施の形態1に係るエレベータドア装置との主な相違点は、ハンガープレートの構成にあるので、図6〜図8を参照しながら本実施の形態に係るハンガープレートを中心に説明する。
【0046】
本実施の形態に係るハンガープレート220は、ハンガープレート220の幅方向の両端に折曲部224が備えられることを特徴とする。前記折曲部224は、ハンガープレート220の幅方向の両端から前記ハンガープレート220の前方または後方に折り曲げられて形成される。さらに、前記折曲部224は、ローラー122の中心に対応される地点から幅方向に延長された線(L)を通過するように縦方向に延長される。
【0047】
前述のように、エレベータドア130に一定の力が加えられる場合、ハンガープレート220の上部両側に連結されたローラー122の中心を連結する線(L)に沿ってハンガープレートに撓みが発生する。したがって、前記折曲部224は実施の形態1の第1エンボシング部124と同様に、ハンガープレート220で最も撓み易い部分、即ち、ローラー122の中心に対応される地点から幅方向に延長された線(L)を通過するように形成されるのが好ましい。本実施の形態では、ハンガープレート220の上端から下端まで形成された折曲部224が例示されている。
【0048】
前記折曲部224の厚さや長さなどは、その厚さなどが増加するほど変形の防止に有効であるが、余裕空間や費用の増加などを考慮して適宜選択されるのが好ましい。
【0049】
上述のように、本発明の好ましい実施の形態を参照しながら説明したが、当該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させ得ることを理解できるはずである。したがって、本発明の思想は下記に記載された特許請求の範囲によってのみ把握されなければならず、その均等または等価的な変形全てが本発明思想のカテゴリーに属すると言えるはずである。
【0050】
[産業上の利用可能性]
本発明は、ハンガープレートの剛性を増大させてハンガープレートの変形によるエレベータドアの離脱を防止することができるエレベータ用ハンガープレート、及びこれを含むエレベータドア装置に関するものであって、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0051】
110 ハンガーケース、112 ハンガーレール、120 ハンガープレート、122 ローラー、124 第1エンボシング部、125 第2エンボシング部、126 第3エンボシング部、128 ベースプレート、129 連結プレート、130 エレベータドア、150 エレベータ出入口、224 折曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ出入口の上部に設けられ、前記エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えるハンガーケースと、
前記ハンガーレール上で転動するローラーが連結され、前記ローラーが前記ハンガーレール上で転動することに対応して前記エレベータ出入口の幅方向に移動するハンガープレートと、
前記ハンガープレートに係合され、前記ハンガープレートの左右移動に伴い前記エレベータ出入口を開閉するエレベータドアとを含み、
前記ハンガープレートには前方に突出、または後方に陷沒した第1エンボシング部が縦方向に形成され、前記第1エンボシング部は前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するように形成されることを特徴とするエレベータドア装置。
【請求項2】
前記ハンガープレートには、前方に突出、または後方に陷沒した第2エンボシング部が横方向に形成され、前記第2エンボシング部は前記ハンガープレートの幅方向の両端の間を二等分する中心線を通過するように形成されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータドア装置。
【請求項3】
前記ハンガープレートは、ベースプレートと、前記ベースプレートの一端から垂直に折り曲げられて形成される連結プレートとを含み、前記連結プレートが前記ベースプレート側に折り畳まれることを防止するため、前記ベースプレートと前記連結プレートを連結する連結部には内側に突出した第3エンボシング部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータドア装置。
【請求項4】
前記第1エンボシング部は、前記ハンガープレートと前記ローラーを連結する連結軸を中心に左右1対形成されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータドア装置。
【請求項5】
エレベータ出入口の上部に設けられ、前記エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えるハンガーケースと、
前記ハンガーレール上で転動するローラーが連結され、前記ローラーが前記ハンガーレール上で転動することに対応して前記エレベータ出入口の幅方向に移動するハンガープレートと、
前記ハンガープレートに係合され、前記ハンガープレートの左右移動に伴い前記エレベータ出入口を開閉するエレベータドアとを含み、
前記ハンガープレートの幅方向の両端には、前記ハンガープレートから前方または後方に折り曲げられて形成される折曲部が備えられ、前記折曲部は前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するよう縦方向に延長されることを特徴とするエレベータドア装置。
【請求項6】
ハンガーケースをエレベータドアと接続するエレベータ用ハンガープレートであって、前記ハンガーケースは、前記エレベータ出入口の上部に設けられ、エレベータ出入口の幅方向に形成されるハンガーレールを備えており、前記エレベータドアは、前記ハンガーレール上で転動するローラーを介し、前記ハンガーレールにより案内されて前記エレベータ出入口の幅方向に移動し
前方に突出または後方に陷沒し、前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するよう縦方向に形成される第1エンボシング部を含むことを特徴とするエレベータ用ハンガープレート。
【請求項7】
前方に突出または後方に陷沒し、幅方向の両端の間を二等分する中心線を通過するよう横方向に形成される第2エンボシング部をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のエレベータ用ハンガープレート。
【請求項8】
前記第1エンボシング部が形成されるベースプレートと、前記ベースプレートの一端から垂直に折り曲げられて形成される連結プレートとを含み、前記連結プレートが前記ベースプレート側に折り畳まれることを防止するため、前記ベースプレートと前記連結プレートを連結する連結部には、内側に突出した第3エンボシング部が形成されることを特徴とする請求項6または7に記載のエレベータ用ハンガープレート。
【請求項9】
幅方向の両端で前方または後方に折り曲げられて形成され、前記ローラーの中心に対応される地点から幅方向に延長された線を通過するよう縦方向に延長される折曲部をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載のエレベータ用ハンガープレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−517649(P2011−517649A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504937(P2011−504937)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002201
【国際公開番号】WO2009/134045
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510273868)韓国三菱エレベータ株式会社 (8)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELEVATOR KOREA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】13−6,Yeouido−dong,Yeongdeungpo−gu,Seoul 150−870,Korea
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】