説明

エレベータ用押しボタンスイッチ

【課題】エレベータ用押しボタンスイッチの押圧操作時における照明の明るさや色合いのばらつきを抑制して均一性を高めることを目的とする。
【解決手段】外部からシリアル信号によって与えられる各LED5,6の明るさの各設定値に基づいて、各LED5,6を点灯駆動する駆動信号のデューティを制御することによって、各LED5,6の明るさを調整して照明色を制御する制御手段9を備え、制御手段9は、各設定値を補正して各LED5,6の明るさのばらつきを補正する個体ばらつき補正部11と、各LED5,6の経時劣化による明るさの低下を補正する経時劣化補正部12とからなる補正手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用の押しボタンスイッチに関し、更に詳しくは、押しボタンを押圧操作すると、ボタン部分が内部から照明される照光式の押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
目的階の指定あるいはドアの開閉などを行うエレベータスイッチに利用される押しボタンスイッチとしては、押しボタンを押圧操作すると、押しボタンを内側から照明してスイッチ操作状態を表示する照光式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−272473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかるエレベータ用の押しボタンスイッチでは、押しボタンを内側から照明したときの明るさや色合い(色調)に対する市場の要求は益々厳しくなっている。
【0004】
従来では、押しボタンスイッチ内部に実装する光源であるLEDを、その明るさや色合いによってランク選別して、特定のランクのものを使用したり、あるいは、明るさについては、LEDに流れる電流を制限する電流制限抵抗を、所望の明るさが得られる定数のものに付け替えたりして対応している。
【0005】
しかしながら、LEDの製造においては、LED自身の明るさや色合いにばらつきが生じ、このため、特定のランクのLEDを所望の数量得られない場合があり、また、電流制限抵抗の付け替えは、作業者が行うために、時間とコストがかかるといった課題がある。
【0006】
また、従来の白色やオレンジ色といった単色に限らず、様々な色の照明をしたいという要求も強くなっている。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、エレベータ用押しボタンスイッチの押圧操作時の照明の明るさや色合いのばらつきを抑制して均一性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のエレベータ用押しボタンスイッチは、押しボタンの押し込み操作に伴って作動するスイッチと、前記押しボタンを照明する複数の光源とを備えるエレベータ用押しボタンスイッチであって、前記複数の各光源の明るさの各設定値に基づいて、各光源を点灯駆動する駆動信号のデューティを制御することによって、各光源の明るさを調整して照明色を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記各設定値を補正して前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正手段を有し、前記補正手段で補正された各設定値に基づいて、前記デューティを制御するものである。
【0009】
各光源は、その発色の色合いが互いに異なるものである。
【0010】
各光源の明るさのばらつきとは、各光源のそれぞれについての明るさのばらつきをいい、例えば、赤色の光源であれば、赤色の光源の1個、1個の明るさのばらつきをいう。
【0011】
明るさには、輝度、光度あるいは照度を含むものである。
【0012】
本発明のエレベータ用押しボタンスイッチによると、各光源の明るさのばらつきを補正するように各光源の明るさの設定値を補正し、この補正した設定値に応じて駆動信号のデューティを制御するので、各光源の明るさのばらつきを抑制することができ、それら光源の組み合わせによる照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制して均一性を高めることができる。
【0013】
これによって、当該エレベータ用押しボタンスイッチの1個、1個についての照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制できることになる。
【0014】
(2)本発明のエレベータ用押しボタンスイッチは、押しボタンの押し込み操作に伴って作動するスイッチと、前記押しボタンを照明する複数の光源とを備えるエレベータ用押しボタンスイッチであって、前記複数の各光源の明るさの各設定値に基づいて、各光源を点灯駆動する駆動信号のデューティを制御することによって、各光源の明るさを調整して照明色を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記各設定値を補正して前記各光源の明るさのばらつきを補正するとともに、前記各光源の経時劣化による明るさの低下を補正する補正手段を有し、前記補正手段で補正された各設定値に基づいて、前記デューティを制御するものである。
【0015】
本発明のエレベータ用押しボタンスイッチによると、各光源の明るさのばらつきを補正するように各光源の明るさの設定値を補正し、この補正した設定値に応じて駆動信号のデューティを制御するので、各光源の明るさのばらつきを抑制することができ、それら光源の組み合わせによる照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制して均一性を高めることができる。
【0016】
更に、各光源の明るさの経時劣化による低下を補正するように、各光源の明るさの設定値を補正し、この補正した設定値に応じて駆動信号のデューティを制御するので、経時劣化による各光源の明るさの低下の相違に起因する照明色の明るさや色合いの変化を抑制することができる。
【0017】
これによって、当該エレベータ用押しボタンスイッチの1個、1個についての照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制できるとともに、照明色の明るさや色合いの、例えば、1年、2年といった経時的な変化を抑制することができる。
【0018】
(3)上記(1)の実施形態では、前記補正手段は、前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正値を格納する記憶部と、前記補正値に基づいて、前記各設定値を補正する補正部とを含むようにしてもよい。
【0019】
補正値は、予め、各光源の1個、1個について明るさを測定し、一定の明るさになるように決定するのが好ましい。この明るさの測定は、例えば、製造時の検査工程などで行うのが好ましい。
【0020】
この実施形態によると、補正値に基づいて、各光源の明るさのばらつきを補正することができる。
【0021】
(4)上記(2)の実施形態では、前記補正手段は、前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正値を格納する第1の記憶部と、前記第1の記憶部の前記補正値に基づいて、前記各設定値を補正する第1の補正部と、当該押しボタンスイッチの点灯時間を積算する点灯時間積算部と、積算された総点灯時間および前記各光源の明るさの経時劣化の度合いに基づいて、各設定値を補正する第2の補正部とを含むようにしてもよい。
【0022】
第1の記憶部に格納する補正値は、予め、各光源の1個、1個についての明るさを測定し、一定の明るさになるように決定するのが好ましい。
【0023】
各光源の明るさの経時劣化の度合いは、予め、例えば、光源の種類毎、例えば、赤色の光源と黄色の光源とを備える場合には、赤色の光源および黄色の光源のそれぞれについて、連続点灯試験を行って明るさの経時劣化の度合いを測定するのが好ましい。
【0024】
第2の補正部では、積算された総点灯時間および前記各光源の明るさの経時劣化の度合いに基づいて、各光源の経時劣化による明るさの低下を補正するのが好ましい。
【0025】
この実施形態によると、第1の補正部によって、各光源の明るさのばらつきを補正することができるとともに、第2の補正部によって、経時劣化による各光源の明るさ低下の相違による照明色の明るさや色合いの変化を抑制することができる。
【0026】
(5)本発明のエレベータ用押しボタンスイッチの他の実施形態では、前記複数の光源が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオードおよび青色発光ダイオードである。
【0027】
この実施形態では、赤色、緑色および青色の三色の発光ダイオードを備えているので、各発光ダイオードの明るさの設定値の選択によって、任意の照明色を選択することが可能となる。
【0028】
(6)上記(3)または(4)の実施形態では、前記複数の各光源の明るさの各設定値および前記補正値は、シリアル信号によって外部から与えられ、該シリアル信号には、設定値であるか補正値であるかを指定するコマンドコードを含むようにしてもよい。
【0029】
この実施形態によると、設定値であるときには、それを補正して駆動信号のデューティを制御して各光源の明るさを調整し、また、補正値であるときには、記憶部に格納して設定値の補正に用いることができる。
【0030】
更に、エレベータの制御盤から、例えば、昼や夜といった時間帯、あるいは、春、夏、秋、冬といった季節に応じて設定値を変更することにより、各光源の明るさが調整されて照明色の色合いを、時間帯や季節に応じて変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、各光源の明るさのばらつきを補正するように各光源の明るさの設定値を補正し、この補正した設定値に応じて駆動信号のデューティを制御するので、各光源の明るさのばらつきを抑制することができ、それら光源の組み合わせによる照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制して均一性を高めることができ、これによって、当該エレベータ用押しボタンスイッチの1個、1個についての照明色の明るさや色合いのばらつきを抑制できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本発明に係るエレベータ用押しボタンスイッチおよびその点灯を制御するエレベータの中央制御盤を示す図である。
【0034】
この実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチ1〜1は、エレベータかご内の壁面に設置されており、例えば、目的階を指定するために押圧操作されるものである。
【0035】
各エレベータ用押しボタンスイッチ1〜1は、従来と同様に、透明樹脂材からなる押しボタンと、この押しボタンの押圧操作に伴って作動するスイッチと、押しボタンの背面側に配備される導光板と、押しボタンを背面側から照明する複数の光源とを備えている。この実施形態では、後述のように赤色のLEDと黄色のLEDとを備えており、それらを組み合わせた単色のオレンジ色で照明するものである。
【0036】
エレベータの中央制御盤2には、エレベータ用押しボタンスイッチ1〜1の押圧操作に伴う前記スイッチの操作信号が与えられ、これに応じて、対応するエレベータ用押しボタンスイッチに対して、点灯信号およびその明るさを指定する設定値を与える。この設定値は、エレベータ用押しボタンスイッチ1〜1の各LEDのパルス状の駆動信号の点滅周期(=点灯時間Ton+消灯時間Toff)に対する点灯時間Tonの割合、すなわち、デューティ(%)として与えられる。
【0037】
この実施形態では、後述のように、中央制御盤2は、前記設定値に加えて、各LEDの明るさのばらつきを補正するための補正値を、シリアル信号によって伝送できるようにしている。
【0038】
この図1では、エレベータの中央制御盤2とエレベータ用押しボタンスイッチ1〜1との間の、+5V,0Vの共通の電源ラインL,L、点灯/消灯の個別の信号ラインL〜L、および、LEDの明るさの設定値などを、例えば、RS−232cのシリアル信号で伝送する共通のシリアル信号ラインLが示されている。
【0039】
図2は、図1のエレベータ用押しボタンスイッチの内部構成を示すブロック図である。図1の各エレベータ用押しボタンスイッチ1〜1は、表示する目的階が異なるのみで内部構成は同様であるので、図2では、代表的にエレベータ用押しボタンスイッチ1としている。
【0040】
この実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチ1は、押しボタンの押圧操作に伴って作動する上述のスイッチ3を内蔵しており、このスイッチ3の出力端子が、コネクタ4を介して上述の中央制御盤2に接続されている。このコネクタ2には、図1の各ラインL〜Lが接続される。
【0041】
このエレベータ用押しボタンスイッチ1は、押圧操作された押しボタンをオレンジ色で照明するための赤色の第1のLED5と黄色の第2のLED6とを備えており、更に、各LED5,6に電流制限抵抗7,8を介してパルス状の点灯駆動信号を与えてその明るさを調整し、照明色を制御する制御手段9を備えており、この制御手段9は、例えば、ワンチップマイコンで構成されている。
【0042】
制御手段9は、中央制御盤2からのシリアル信号を受信するシリアル信号受信部10と、このシリアル信号が各LED5,6の明るさの設定値である場合に、その設定値を記憶するメモリ25と、LEDの個体による明るさのばらつきを補正する個体ばらつき補正部11と、LEDの経時的な明るさの劣化を補正する経時劣化補正部12と、前回の点灯駆動に用いた設定値を駆動値として保存する駆動値保存部13と、補正された設定値あるいは前回の駆動値に応じたデューティのパルス状の駆動信号を生成する駆動信号生成部14とを備えている。
【0043】
LEDは、個体毎に明るさのばらつきがあり、個体ばらつき補正部11は、その明るさのばらつきを補正するものであり、ばらつき補正係数が格納される記憶部としての不揮発性メモリ15と、このばらつき補正係数を、メモリ25に記憶された明るさの設定値に乗算してばらつきを補正する補正部16とを備えている。
【0044】
ばらつき補正係数は、LED1個1個に対応したものであり、当該エレベータ用押しボタンスイッチの製造時の検査工程において、明るさを測定し、一定の明るさになるように決定される。例えば、LEDが明るい場合には、ばらつき補正係数は小さく、また、LEDが暗い場合には、ばらつき補正係数は大きくなるように決定される。
【0045】
シリアル信号受信部10で受信されるシリアル信号が、ばらつき補正係数であるときには、個体ばらつき補正部11の不揮発性メモリ15に格納される。
【0046】
図2においては、シリアル信号受信部10で受信されたシリアル信号の各LED5,6の明るさの設定値が、60%,20%の例を示しており、これら設定値に対して、個体ばらつき補正部11では、ばらつき補正係数0.75,0.70がそれぞれ乗算され、補正後の設定値が45%,14%となった例を示している。
【0047】
LEDは、その種類や型式によって、明るさの経時的な劣化の度合いが異なり、図3に示すように、例えば、赤色のLEDと黄色のLEDとでは、初期の明るさを「1」としたときの相対光度の総点灯時間に対する変化が異なる。
【0048】
したがって、例えば、赤色の第1のLED5と黄色の第2のLED6との明るさを調整してオレンジ色の照明色とする場合に、経時劣化によって、第1のLED5と第2のLED6との明るさの低下の度合いが異なるために、照明色であるオレンジ色の明るさや色合いも変化することになる。
【0049】
そこで、この実施形態では、図2に示す経時劣化補正部12によって、第1,第2のLED5,6の経時的な明るさの劣化を補正してオレンジ色の明るさや色合いが変化するのを抑制するものである。
【0050】
この経時劣化補正部12は、当該エレベータ用押しボタンスイッチの点灯時間を積算するタイマからなる点灯時間積算部17と、予め記憶されている経時劣化の度合いに対応する経時劣化係数を、積算された総点灯時間に乗算し、更に1を加算し、個体ばらつき補正部11からの補正された設定値に乗算して補正する補正部18とを備えている。経時劣化係数は、LEDの種類毎に、事前に連続点灯試験を行って予め求めておく。
【0051】
点灯時間積算部17では、積算される総点灯時間を年数として積算するものであり、例えば、総点灯時間が半年であれば、0.5となる。
【0052】
図2においては、総点灯時間がY(年)であり、各LED5,6の経時劣化係数が0.2,0.3である例を示している。個体ばらつき補正部11で補正された設定値45%,14%に対して、それぞれ(1+0.2Y),(1+0.3Y)が乗算されて補正される例を示している。
【0053】
駆動値保存部13は、中央制御盤2から明るさの設定値が与えられる前に、点灯信号が与えられたときに備えて、前回の駆動に用いられた設定値を、駆動値として保存するものであり、例えば、不揮発性メモリからなる。駆動信号生成部14は、中央制御盤2から明るさの設定値が与えられる前に、点灯信号が与えられたときには、この駆動値保存部13に保存されている駆動値に基づいて、点灯駆動信号を生成する。
【0054】
この実施形態では、中央制御盤2からエレベータ用押しボタンスイッチ1に与えられるシリアル信号によって、各LED5,6の明るさを指定する上述の設定値を与えることができるとともに、個体ばらつき補正部11に格納するばらつき補正係数を与えることもできる。
【0055】
このため、シリアル信号には、設定値であるか、ばらつき補正係数であるかを指定するコマンドコードを含めている。
【0056】
シリアル信号受信部10は、このコマンドコードに基づいて、設定値であるときには、上述のようにメモリ25に一旦格納する一方、ばらつき補正係数であるときには、個体ばらつき補正部11の不揮発性メモリ15に格納する。
【0057】
この実施形態では、例えば、頭にコマンドコード「S」を付けると、設定値を示し、コマンドコード「@」を付けると、ばらつき補正係数を示すものである。
【0058】
例えば、黄色(Y)のLED6の設定値「20%」、赤色(R)のLED6の設定値「60%」であるときには、「SY20R60」に対応するシリアル信号となり、また、例えば、黄色(Y)の補正係数「0.70」、赤色(R)の補正係数「0.75」であるときには、「@Y70R75」に対応するシリアル信号となる。
【0059】
図4は、この実施形態の動作説明に供するフローチャートである。
【0060】
なお、この図4において、TIME_COUNTは内部積算タイマの値、Y_LED_TRMは黄色LEDの個体ばらつき補正係数、R_LED_TRMは赤色LEDの個体ばらつき補正係数、Y_LED_TIMEは黄色LEDの経時劣化係数、R_LED_TIMEは赤色LEDの経時劣化係数である。
【0061】
先ず、前回の各LED駆動値を、駆動値保存部13から読み込み(ステップn101)、シリアル信号が来ているか否か判断し(ステップn102)、来ているときには、シリアル信号を受信し(ステップn103)、シリアル信号に含まれるコマンドコードがLEDの補正値であるか否か判断する(ステップn104)。
【0062】
コマンドコードが、LEDの補正値でないときには、受信値は設定値であるとして、第1,第2のLED5,6の駆動値を、上述のばらつき補正係数、総点灯時間および経時劣化係数を用いて計算し(ステップn105)、駆動値保存部13に保存し(ステップn106)、「点灯/消灯」信号は、点灯であるか否かを判断し(ステップn107)、点灯であるときには、各LEDのデューテイを各駆動値に設定して駆動し(ステップn108)、ステップn107で点灯でないときには、消灯、すなわち、各LEDのデューティをゼロに設定する(ステップn109)。
【0063】
また、上記ステップn104において、コマンドコードがLEDの補正値であるときには、各LEDに対応する受信値を、個体ばらつき補正のためのばらつき補正係数であるとして格納し(ステップn110)、ステップn107に移る。
【0064】
この実施形態によれば、エレベータ用押しボタンスイッチ1の1個、1個についてのオレンジ色の明るさおよび色合いのばらつきを抑制することができる。更に、オレンジ色の明るさおよび色合いの経時的な変化が抑制されて、初期と同様の明るさおよび色合いを保つことができる。
【0065】
この実施形態では、ばらつき補正係数は、外部の中央制御盤2からシリアル通信によって与えられ、ばらつき補正係数を変更することが可能であったけれども、本発明の他の実施形態として、当該エレベータ用押しボタンスイッチの製造時に、ばらつき補正係数を不揮発性メモリに書き込み、それを固定値として用いるようにしてもよい。
【0066】
(実施形態2)
図5は、本発明の他の実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチのブロック図であり、上述の図2に対応する図であり、図6は、その動作説明に供するフローチャートであり、上述の図4に対応する図である。
【0067】
上述の実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチは、オレンジ色の単色の照明であったけれども、この実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチは、フルカラーの照明を可能にしている。
【0068】
すなわち、この実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチ1aは、複数の光源として、赤色、緑色、青色の第1〜第3のLED19〜21を備えており、中央制御盤2からは、各LED19〜21の明るさの設定値およびばらつき補正係数が与えられる。
【0069】
このエレベータ用押しボタンスイッチ1aは、各LED19〜21に電流制限抵抗26〜28を介してパルス状の点灯駆動信号を与えてその明るさを調整し、照明色を制御する制御手段9aを備えており、この制御手段9aは、中央制御盤2からのシリアル信号を受信するシリアル信号受信部10aと、このシリアル信号が各LED5,6の明るさの設定値である場合に、その設定値を記憶するメモリ25aと、LEDの個体による明るさのばらつきを補正する個体ばらつき補正部11aと、LEDの経時的な明るさの劣化を補正する経時劣化補正部12aと、前回の点灯駆動に用いた設定値を駆動値として保存する駆動値保存部13aと、補正された設定値あるいは前回の駆動値に応じたデューティのパルス状の駆動信号を生成する駆動信号生成部14aとを備えている。
【0070】
各部の構成および動作は、上述の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0071】
この実施形態によれば、赤色、緑色、青色の第1〜第3のLED19〜21の明るさの各設定値の選択によって、照明色を任意に選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、エレベータスイッチとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】エレベータ用押しボタンスイッチおよび中央制御盤を示す図である。
【図2】エレベータ用押しボタンスイッチの内部構成を示すブロック図である。
【図3】LEDの明るさの経時的な劣化を示す図である。
【図4】動作説明に供するフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態のエレベータ用押しボタンスイッチの内部構成を示す図である。
【図6】動作説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1,11〜13,1a エレベータ用押しボタンスイッチ
2 中央制御盤
5,6,19〜21 LED
9,9a 制御手段
11,11a 個体ばらつき補正部
12,12a 経時劣化補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンの押し込み操作に伴って作動するスイッチと、前記押しボタンを照明する複数の光源とを備えるエレベータ用押しボタンスイッチであって、
前記複数の各光源の明るさの各設定値に基づいて、各光源を点灯駆動する駆動信号のデューティを制御することによって、各光源の明るさを調整して照明色を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記各設定値を補正して前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正手段を有し、前記補正手段で補正された各設定値に基づいて、前記デューティを制御することを特徴とするエレベータ用押しボタンスイッチ。
【請求項2】
押しボタンの押し込み操作に伴って作動するスイッチと、前記押しボタンを照明する複数の光源とを備えるエレベータ用押しボタンスイッチであって、
前記複数の各光源の明るさの各設定値に基づいて、各光源を点灯駆動する駆動信号のデューティを制御することによって、各光源の明るさを調整して照明色を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記各設定値を補正して前記各光源の明るさのばらつきを補正するとともに、前記各光源の経時劣化による明るさの低下を補正する補正手段を有し、前記補正手段で補正された各設定値に基づいて、前記デューティを制御することを特徴とするエレベータ用押しボタンスイッチ。
【請求項3】
前記補正手段は、前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正値を格納する記憶部と、前記補正値に基づいて、前記各設定値を補正する補正部とを含む請求項1に記載のエレベータ用押しボタンスイッチ。
【請求項4】
前記補正手段は、前記各光源の明るさのばらつきを補正する補正値を格納する第1の記憶部と、前記第1の記憶部の前記補正値に基づいて、前記各設定値を補正する第1の補正部と、当該押しボタンスイッチの点灯時間を積算する点灯時間積算部と、積算された総点灯時間および前記各光源の明るさの経時劣化の度合いに基づいて、各設定値を補正する第2の補正部とを含む請求項2に記載のエレベータ用押しボタンスイッチ。
【請求項5】
前記複数の光源が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオードおよび青色発光ダイオードである請求項1ないし4のいずれか一項に記載のエレベータ用押しボタンスイッチ。
【請求項6】
前記複数の各光源の明るさの各設定値および前記補正値は、シリアル信号によって外部から与えられ、該シリアル信号には、設定値であるか補正値であるかを指定するコマンドコードを含む請求項3または4に記載のエレベータ用押しボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−64878(P2010−64878A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234415(P2008−234415)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】