エレベータ
【課題】本発明は、乗籠に乗り降りする乗客が円滑に入れ代われるように、乗籠側と乗場側のそれぞれに乗客の移動予定を報知するエレベータを提供する。
【解決手段】エレベータ1は、籠ドア装置21と籠側防犯窓22と籠側発光装置23と乗場ドア装置31と乗場側防犯窓32と乗場側発光装置33と籠内操作ボタン24と乗場操作ボタン34と制御装置4とを備える。籠側発光装置23は、籠ドアパネル211の籠側防犯窓22の縁に沿って配置され、籠側防犯窓22の中央に向かって光を放射する。乗場側発光装置33は、乗場ドアパネル311の乗場側防犯窓32の縁に沿って配置され、乗場側防犯窓32の中央に向かって光を放射する。制御装置4は、乗籠2が着床する場合にそれが目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて籠側発光装置23および乗場側発光装置33の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる。
【解決手段】エレベータ1は、籠ドア装置21と籠側防犯窓22と籠側発光装置23と乗場ドア装置31と乗場側防犯窓32と乗場側発光装置33と籠内操作ボタン24と乗場操作ボタン34と制御装置4とを備える。籠側発光装置23は、籠ドアパネル211の籠側防犯窓22の縁に沿って配置され、籠側防犯窓22の中央に向かって光を放射する。乗場側発光装置33は、乗場ドアパネル311の乗場側防犯窓32の縁に沿って配置され、乗場側防犯窓32の中央に向かって光を放射する。制御装置4は、乗籠2が着床する場合にそれが目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて籠側発光装置23および乗場側発光装置33の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗籠の乗客に向けて発光する表示装置を籠ドア装置に備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
戸袋側の近傍に光源装置が組み込まれたエレベータのドア装置が特許文献1に開示されている。このドア装置は、ドアパネルが動くのに先駆けて光源装置が点灯する。このドア装置は、乗籠の籠ドア装置及び乗場のホールドア装置のいずれにも適用できる。光源装置は、ドアパネルが移動する特に開放される際に点灯または点滅して、付近にいる乗客に戸袋に引込まれないように注意を喚起する。この光源装置による視覚警報手段の他に、振動警報手段や聴覚警報手段を備え、振動を発生させたり、警告をアナウンスしたりすることによって、乗客が戸袋に引込まれるのを防止する。
【0003】
また、エレベータドアに透光部を形成し、エレベータドア内部に設けた照光手段から出射される光を外部へ放射するように構成されたドア装置が特許文献2に開示されている。このドア装置は、乗場にいる利用者が呼びボタンで乗場呼びを行うと、この乗場呼びに応じて割り付けられたエレベータのドア装置の照光手段が発光し、どのエレベータが到着するのか利用者に報知する。また、乗場呼びを行った階床に当該エレベータの乗籠が近づくと、照光手段が点滅してまもなく到着することを予報する。
【0004】
特許文献2に記載されたドア装置の照光手段は、発光ダイオードを光源とし導光板によってパネル全体に出射光を拡散するように構成されている。また、照光手段の代わりに有機EL(Electro Luminescence)や液晶ディスプレイを用いて、運行状況のみならず、様々な情報をエレベータ利用者に提供することが段落に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−075605号公報
【特許文献2】特開2009−096584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたエレベータは、乗客が手や衣類をドア装置の戸袋に引込まれないように注意を喚起する。ドア装置の近くにいる乗客は、次にドア装置が開放された場合に直ぐに降りようとしているか、乗籠が満員に近い状態であってたまたまその位置にいるかなどが想定される。前者の場合、到着階で新たな乗客がドア装置の外に待っていると、乗客どうしで衝突するかもしれない。また、後者の場合、ドア装置付近の乗客が着床した階で降りる予定が無いとその場に留まり、乗籠の奥の乗客が目的階で降り難いという事態になる。
【0007】
また、特許文献2に記載されたドア装置は、乗場で待機する乗客に対してどのエレベータの乗籠が到着するか報知し、さらに乗籠が着床する間際になるとこれを予報するように照光手段を点滅させる。その結果、乗場の乗客が集まり乗口を塞いでしまうため、着床した乗籠から降りようとする乗客と新たに乗場から乗籠に乗ろうとする乗客とがすれ違うのにまごつくことが予想される。
【0008】
このように、特許文献1及び特許文献2に示されたエレベータの場合、ドア装置に表示装置を設けてドア装置の動きやどの乗籠が次に着床するかを乗客に報知するものの、混雑時には乗客の流れを緩慢にしてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、乗籠から降りる乗客と乗籠に乗り込む新たな乗客とが円滑に入れ代われるように、乗籠側と乗場側のそれぞれに乗客の移動予定を報知するエレベータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエレベータは、籠ドア装置と籠側防犯窓と籠側発光装置と乗場ドア装置と乗場側防犯窓と乗場側発光装置と籠内操作ボタンと乗場操作ボタンと制御装置とを備える。籠ドア装置は、乗籠の乗口を塞ぐ籠ドアパネルを有する。籠側防犯窓は、籠ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれて構成される。籠側発光装置は、籠側防犯窓の縁に沿って配置され、籠側防犯窓の中央に向かって籠ドアパネルのおもて面に対して平行な光を放射する。乗場ドア装置は、昇降路と乗場の間を塞ぐ乗場ドアパネルを有する。乗場側防犯窓は、乗場ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれて構成される。乗場側発光装置は、乗場側防犯窓の縁に沿って配置され、乗場側防犯窓の中央に向かって乗場ドアパネルのおもて面に対して平行な光を放射する。籠内操作ボタンは、乗籠内に設置されて、目的階を登録する。乗場操作ボタンは、乗場に設置されて乗場呼びを登録する。制御装置は、乗籠が着床する場合にそれが目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて籠側発光装置および乗場側発光装置の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる。この明細書において、「透明部材」とは透光性を有したガラスや合成樹脂を含む。
【0011】
この制御装置は、乗籠が籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて籠側発光装置を第1の籠側発光色または発光パターンで点灯し、乗籠が乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の乗場側発光装置を第1の乗場側発光色または発光パターンで点灯し、乗籠が目的階よりも先に乗場呼び階に着床する場合、籠側発光装置を第2の籠側発光色または発光パターンで点灯する。このように制御装置が籠側発光装置及び乗場側発光装置の発光色または発光パターンを制御することによって、乗籠が籠呼びによって目的階に停止するのか、乗場呼びによって乗場呼び階に停止するのかを明確にする。
【0012】
また、制御装置は、乗籠が乗場呼び階に近づくと、乗籠が間もなく到着することを報知するために、乗場側発光装置を第2の乗場側発光色または発光パターンで点灯する。そして、制御装置は、乗籠を着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第3の籠側発光パターンで点灯する。
【0013】
または、制御装置は、乗籠を目的階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させ、乗籠を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させ、乗籠を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。
【0014】
さらに、籠側発光装置は、乗籠の内側に向かって光を放射し、乗場側発光装置は、乗場側に向かって光を放射する。籠側発光装置及び乗場側発光装置が発光していることを明確に分かるようにする。また、籠側発光装置及び乗場側発光装置がそれぞれどのような条件によって発光しているのかわかりやすくするために、乗籠内部に設置され籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、乗場に設置され乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置とをそれぞれ備えることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエレベータによれば、籠側防犯窓と乗場側防犯窓を有しており、その内周縁に籠側発光装置と乗場側発光装置をそれぞれ備えている。そして制御装置が、これら籠側発光装置と乗場側発光装置の発光色または発光パターンを、乗籠が着床する階が籠呼びによる目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて、変化させる。つまり、このエレベータは、乗籠側と乗場側のそれぞれに乗客の移動予定を報知する。
【0016】
また、籠側防犯窓と乗場側防犯窓とがあるので、乗籠に乗っている乗客は、乗籠が着床した階から新たな乗客が乗り込んでくるか否かを、防犯窓を通して乗場を見れば自ずと分かる。これと同様に、乗場で待機している新たな乗客は、乗籠に既に人が乗っていることを知ることができる。
【0017】
その結果、乗籠の乗客は、着床した階に乗籠内の乗客の誰かが降りるか否かを籠側発光装置の発光色または発光パターンが変化することから判断できるし、乗場の乗客は、乗籠から人が降りてくるか否かを乗場側発光装置の発光色または発光パターンが変化することから判断できる。したがって、このエレベータであれば、乗籠から降りる乗客と乗籠に乗り込む新たな乗客とが円滑に入れ代われる。
【0018】
籠側発光装置および乗場側発光装置の発光色を変化させて、乗客の移動を放置する場合、普段から慣れ親しんでいる信号機の色識別を流用する。着床階が目的階であって乗籠から降りる乗客がいる場合、籠側発光装置を「緑」に、乗場側発光装置を「赤」にそれぞれ発光させる。また、着床階が乗場呼び階であって乗籠に乗る乗客がいる場合、籠側発光装置を「赤」に、乗場側発光装置を「緑」にそれぞれ発光させる。したがって、乗客の乗り降りの方向が感覚的に判断しやすい。
【0019】
乗籠側の乗客は籠側防犯窓を通して乗場側発光装置の発光色または発光パターンを識別できるし、乗場側の乗客は乗場側防犯窓を通して籠側発光装置の発光色または発光パターンを識別できる。したがって、発光パターンによって乗客の移動方向を促す場合、例えば、起点側となる側を発光させ、続いて終点側となる側を発光させ、最後に一拍どちらも点灯しない時間を設ける。これを繰り返すことで、乗客の移動方向を促すように見せることができる。
【0020】
さらに、乗籠が着床階に近づくと乗場側発光装置の発光色または発光パターンが第1の乗場側発光色または第1の乗場側発光パターンから第2の乗場側発光色または第2の発光パターンに変化する発明によれば、どの乗籠が到着するのか分かるので、乗場で待たされている乗客のストレスが緩和される。また接近してくる方向を乗場側発光装置の複数ある光源の点滅順序によって表現してもよいし、発光色のグラデーションの変化によって表現することもできる。
【0021】
乗籠が接近してきたことは、乗籠を着床するために減速運転が開始されたことを基に判定する。または、発光色の濃度や、発光パターンの点滅の速度を、乗籠の移動速度の変化に対応させてもよい。例えば、乗籠を籠呼び登録された目的階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させる。また乗籠を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。さらに乗籠を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。なお、着床予定階が目的階かつ乗場呼び階である場合、まず乗籠から乗客が降りることを優先させるので、籠側発光装置は、第1の籠側発光パターンで点灯させる。
【0022】
また、籠側発光装置が乗籠の内側に向けて光を放射し、乗場側発光装置が乗場側に向けて光を放射する発明によれば、籠側発光装置および乗場側発光装置が点灯、点滅、発色していることに対する視認性が向上する。籠側発光装置の放射光を乗籠の内側に向けるために、籠側防犯窓の内周縁に沿って乗籠の内側に面した籠側発光面を設ける。乗場側発光装置の放射光を乗場側に向けるために、乗場側防犯窓の内周縁に沿って乗場に面した乗場側発光面を設ける。各発光面から放射される光は、それぞれの発光装置の光源から導光路で伝播される。
【0023】
籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置とをさらに備える発明によれば、乗籠が混雑していて籠側発光装置が見えにくい場合や乗場側発光装置が人陰に隠れて見えにくい場合でも、音声によって促されることによって、乗客の流れが円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のエレベータを示す模式図。
【図2】図1に示したエレベータの籠ドア装置を乗籠内部から見た斜視図。
【図3】図1に示したエレベータの乗場ドア装置の斜視図。
【図4】図1に示したエレベータの籠ドアパネルと乗場ドアパネルの断面図。
【図5】図4に示した籠側発光装置及びその周辺を拡大した断面図。
【図6】図4に示した乗場側発光装置およびその周辺を拡大した断面図。
【図7】図1に示したエレベータの動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態のエレベータ1は、図1から図7を参照して説明する。このエレベータ1は、乗籠2に乗った乗客P1と、各階の乗場3で待機している新たな乗客P2とが円滑に乗り降りできるようにする。エレベータ1は、乗籠2の籠ドア装置21に籠側防犯窓22を備え、各階の乗場ドア装置31に乗場側防犯窓32を備える。籠側防犯窓22の内周縁に沿って籠側発光装置23が設けられ、乗場側防犯窓32の内周縁に沿って乗場側発光装置33が設けられている。エレベータ1は、制御装置4で籠側発光装置23および乗場側発光装置33の点灯状態を変更することによって、乗籠2に乗っている乗客P1および乗場3にいる新たな乗客P2が、円滑に乗籠2に対して乗り降りできるようにする。
【0026】
図1に示すように、エレベータ1は、乗籠2と、各階の乗場3と、籠ドア装置21と、籠側防犯窓22と、籠側発光装置23と、乗場ドア装置31と、乗場側防犯窓32と、乗場側発光装置33と、籠内操作ボタン24と、乗場操作ボタン34と、制御装置4とを備える。乗籠2は、メインロープ5によって昇降路6内に吊り下げられている。メインロープ5が巻き掛けられた巻上機が駆動されることによって、乗籠2は昇降路6内を移動し、乗場3が設けられた階に停止する。
【0027】
籠内操作ボタン24は、図1に示すように乗籠2内に設置される。乗籠2の乗客P1が籠内操作ボタン24を押すことによって、目的階が登録される。この籠内操作ボタン24は、図2に示すように、乗籠2の乗口2aから入って左手側に振り向いた位置に設置される操作盤241、および乗口2aから見て両側の側壁2b,2cに設置される操作盤242,243に配置されている。このほか操作盤241,242,243には、方向表示灯244、位置表示灯245、非常呼びボタン246、ドア開閉ボタン247が設けられている。乗場操作ボタン34は、図1に示すように各乗場3に設置される。エレベータ1を利用したい乗客P2が乗場操作ボタン34を押すことによって、乗場呼びが登録される。乗場操作ボタン34は、図3に示すように乗場ドア装置31の脇に位置表示灯341、方向表示灯342とともに配置されている。籠内操作ボタン24および乗場操作ボタン34は、図1に示すように制御装置4に接続されている。
【0028】
籠ドア装置21は、図2に示すように中央から左右両側に開く両開きの籠ドアパネル211を備える。籠ドアパネル211は、乗籠2の乗口2aを塞ぐように設置される。籠側防犯窓22は、図1および図2に示すように各籠ドアパネル211の開口部212に設けられている。籠側防犯窓22は、図4に示すように支持枠221と透明部材222とパッキン223と固定枠224とを備える。支持枠221は、乗籠2の外側となる籠ドアパネル211の裏面に接着されている。この支持枠221は、開口部212を一回り大きく囲うようにアングル材で作られている。支持枠221は、籠ドアパネル211の開口部212の外周を継ぎ目無く囲う必要はなく、縦長の四角い開口部212の4つの辺と平行に分割して配置されているだけでよい。
【0029】
透明部材222は、籠ドアパネル211の開口部212に嵌る凸部222aを有している。透明部材222は、外周にパッキン223が装着され、支持枠221の内側に嵌め込まれる。固定枠224は、支持枠221の内側に取り付けられ、透明部材222の凸部222aを籠ドアパネル211の表面と面一になるように保持する。本実施形態において、透明部材222として、網入りガラスを採用している。透明部材222として網入りガラスのほかに、透明な強化ガラスや透明な強化プラスチックなど、乗籠2の内部を目視できるものであれば採用することができる。
【0030】
籠側発光装置23は、図2に示すように、籠側防犯窓22の縁の全周にわたって配置されている。この籠側発光装置23は、図4および図5に示すように、透明部材222の凸部222aと籠側防犯窓22の縁と支持枠221とで囲われた部分に収められている。籠側発光装置23は、基板231と発光素子232と導光路233とを有している。基板231は、図5に示すように、支持枠221の内周面と平行に配置されている。発光素子232は、LED等の光源であって、籠側防犯窓22の縁に沿って基板231上に一定間隔で複数個が実装されている。発光素子232は、図4および図5に示すように、籠側防犯窓22の中央に向かって籠ドアパネル211のおもて面とほぼ平行な向きに主に光を放射する。複数の発光素子232は、基板231に接続されるリード線234を介して電力が供給される。リード線234は、支持枠221の間を通して、または、支持枠221に開けられた孔を通して、図5に示すように支持枠221の外側に引き出され、図1に示すように制御装置4に接続される。
【0031】
各発光素子232は、特定色のみを出射する単色の発光素子であってもよいし、複数の色に対応してそれぞれチップが搭載されて合成された複合色を出射する発光素子であってもよい。また、複数個実装されるので、そのうちのいくつかに第1の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置し、他のいくつかに第2の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置してもよい。
【0032】
導光路233は、透明な合成樹脂で作られており、透明部材222の凸部222aと籠ドアパネル211の開口部212の縁との間に露出して配置されている。導光路233の入射端233aは、発光素子232を覆って基板231に密着している。導光路233の出射端233bは、籠ドアパネル211の表面と面一に形成されている。また、発光素子232から放射される光と垂直に配置される導光路233の透過側面233cは、透明部材222の凸部222aの側面に密着させる。導光路233の入射端233aから入射された発光素子232の光のうち透過側面233cに対してほぼ垂直に入射される光は、透過側面233cを通過して透明部材222側へ出射され、透過側面233cに対して斜めに入射される光は、透過側面233cで反射されて出射端233bから出射される。導光路233の透過側面233cおよび出射端233bは、光を散乱しやすいようにいわゆる「梨地処理」を施してもよい。
【0033】
乗場ドア装置31は、籠ドア装置21と同様に図3に示すように両開きの乗場ドアパネル311を備える。乗場ドアパネル311は、図1に示すように昇降路6と乗場3の間を塞ぐように設置される。乗場ドア装置31は、その乗場ドア装置31が設けられた階に乗籠2が着床している場合に籠ドア装置21と連結され、籠ドア装置21の作動とともに連動する。乗場側防犯窓32は、図1および図3に示すように乗場ドアパネル311の開口部312に設けられている。乗場側防犯窓32は、図4に示すように支持枠321と透明部材322とパッキン323と固定枠324とを備える。
【0034】
支持枠321は、昇降路6に面した乗場ドアパネル311の裏面に接着されている。この支持枠321は、乗場ドアパネル311の開口部312を一回り大きく囲うようにアングル材で作られている。籠ドアパネル211の支持枠221と同様にこの支持枠321は、乗場ドアパネル311の開口部312の外周を継ぎ目なく囲う必要はなく、図3に示すように縦長の四角い開口部312の4つの辺と平行に分割して配置されているだけでもよい。
【0035】
透明部材322は、乗場ドアパネル311の開口部312に嵌る凸部322aを有している。透明部材322は、外周部にパッキン323が装着され、支持枠321の内側に嵌め込まれる。固定枠324は、支持枠321の内側にボルトで取り付けられ透明部材322の凸部322aを乗場ドアパネル311のおもて面と面一になるように保持する。本実施形態において、透明部材322として、網入りガラスを採用している。透明部材322として網入りガラスのほかに、透明な強化ガラスや透明な強化プラスチックなど、乗籠2の内部を目視できるものであれば採用することができる。
【0036】
乗場側発光装置33は、図3に示すように、乗場側防犯窓32の縁の全周にわたって配置されている。この乗場側発光装置33は、図4および図6に示すように、透明部材322の凸部322aと乗場側防犯窓32の縁と支持枠321とで囲われた部分に収められている。乗場側発光装置33は、基板331と発光素子332と導光路333とを有している。基板331は、図6に示すように、支持枠321の内周面と平行に配置されている。発光素子332は、LED等の光源であって、乗場側防犯窓32の縁に沿って基板331上に一定の間隔で複数個が実装されている。発光素子332は、図4および図6に示すように、乗場側防犯窓32の中央に向かって乗場ドアパネル311のおもて面とほぼ同じ向きに光を放射する。複数の発光素子332は、基板331に接続されるリード線334を介して電力が供給される。リード線334は、支持枠321の間を通して、または、支持枠321に開けられた孔を通して、図6に示すように支持枠321の外側に引き出され、図1に示すように制御装置4に接続される。
【0037】
各発光素子332は、特定色のみを出射する単色の発光素子であってもよいし、複数の色に対応してそれぞれチップが搭載されて合成された複合色を出射する発光素子であってもよい。また、複数個実装されるので、そのうちのいくつかに第1の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置し、他のいくつかに第2の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置してもよい。
【0038】
導光路333は、透明な合成樹脂で作られており、乗場ドア装置31の表側から直接見えない位置に隠されている。乗場側発光装置33の導光路333は、この点が籠側発光装置23の導光路233と異なっている点である。導光路333の入射端333aは、図6に示すように発光素子332を覆って基板331に密着している。導光路333の出射端333bは、透明部材322の凸部322aの側面に密着している。導光路333の入射端333aから入射された発光素子332の光は、出射端333bから出射され、そのまま透明部材322内に入射される。出射端333bは、光を散乱しやすいように梨地処理が施される。
【0039】
なお、導光路333の形状は、籠側発光装置23の導光路233と同じ形にしてもよい。出射端333bを透明部材322の凸部322aと乗場ドアパネル311の開口部312の縁との間に露出させることで、乗場ドア装置31を正面から見た場合における視認性が向上する。ただし、乗場ドア装置31の場合、正面にいる乗客P2よりも左右に離れた位置にいる乗客P2に乗場側発光装置33の光を認識させることが重要である。つまり、図6に示したように、斜め方向から乗場ドア装置31を見た場合の方が正面から見るよりも光を認識しやすいように構成されているほうが好ましい。
【0040】
制御装置4は、図1に示すように、籠側発光装置23、籠内操作ボタン24、乗場側発光装置33および各階の乗場操作ボタン34にそれぞれ接続されている。制御装置4は、エレベータ1の運行を制御する制御盤の一部として設けられる。この制御装置4は、乗籠2がどこかの階に着床する場合、そこが籠内操作ボタン24で登録された目的階であるか乗場操作ボタン34で登録された乗場呼び階であるか判断する。そして、制御装置4は、そのときの条件に合わせて、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色や発光パターンを変化させて点灯させる。
【0041】
本明細書において、「発光パターン」とは、点灯と消灯のそれぞれの時間をさまざまな長さで1組以上組み合わせた点滅を1サイクルとして繰り返し発光し続けるものを意味する。例えば、点灯と消灯を同じ時間ずつ繰り返す発光パターンや、短い点灯−短い消灯−短い点灯−長い消灯というように、点滅を2回ずつ間を開けて繰り返す発光パターンや、長い点灯−短い消灯−短い点灯−短い消灯のような、点灯時間の長さが交互に変わる発光パターンなど様々考えられる。また、本発明に置いて、点灯し続ける場合も、ひとつの発光パターンに含まれる。
【0042】
制御装置4は、乗籠2の運行方向や位置情報と、籠内操作ボタン24の登録情報と、乗場操作ボタン34の登録情報とを基に、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色や発光パターンを決定し、それぞれ点灯する。例えば、乗籠2が籠内操作ボタン24によって登録された目的階へ着床する場合、制御装置4は、着床するのに先駆けて籠側発光装置23を第1の籠側発光色で点灯する。乗籠2が乗場操作ボタン34によって乗場呼びが登録された場合、制御装置4は、その階の乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色で点灯する。そして、乗籠2が目的階よりも先に乗場呼び階に着床する場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第2の籠側発光色で点灯する。
【0043】
さらに、この制御装置4は、乗籠2が乗場呼び階に近づくと、乗場側発光装置33を第2の乗場側発光色で点灯する。また、制御装置4は、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色をそれぞれ変化させる代わりに、発光パターンをそれぞれ変化させる、あるいは、発光色および発光パターンの両方をそれぞれ変化させることもできる。
【0044】
制御装置4が籠側発光装置23および乗場側発光装置33の各発光素子232,332の発光色や発光パターンを変化させるタイミングは、乗籠2を着床させるために減速運転が開始されたときとするのが、制御の上で明確であり、利用者にとっても認識しやすいだろう。そこで、制御装置4は、巻上機の回転数や調速機の回転数などを検出し、増加率が負に転じた場合に発光色や発光パターンを変化させる。例えば、減速運転が開始された場合、制御装置4は、籠側発光装置23を目的階に着床させる場合の第1の籠側発光パターンおよび乗場呼び階に着床させる場合の第2の籠側発光パターンと異なる、第3の籠側発光パターンで点灯する。
【0045】
または、乗籠2を目的階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させる。乗籠2を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させる。そして、乗籠2を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。
【0046】
籠側発光パターンや乗場側発光パターンは、点灯時間と消灯時間の長さの比率を変えた点滅を1種類または複数種類組み合わせて1つのサイクルとし、これを繰り返すように構成される。発光パターンは、複数種類の点滅の組み合わせの繰り返しで構成されるので、無限に作ることができるであろう。しかし、それぞれの発光パターンは、乗客が認識できる明確な違いがなければならないし、何を意味しているのか感覚的に理解しやすい必要がある。したがって実際には、2,3種類の発光パターンと、2,3種類の発光色とを組み合わせて、籠側発光装置23および乗場側発光装置33から出力される。
【0047】
また、籠側発光装置23および乗場側発光装置33は、それぞれ乗籠2の移動する鉛直方向に十分な長さを有しており、その鉛直方向に沿って、複数の発光素子232,332を備えている。したがって、籠側発光装置23および乗場側発光装置33は、この複数の発光素子232,332を点灯させる順番や間隔を変化させ、乗籠2が移動している方向や、乗場3に対してどの程度まで乗籠2が近づいてきているかなどが分かるように発光素子232,332を点灯させることもできる。
【0048】
さらに、図1に示すように本実施形態のエレベータ1は、籠側発光装置23と連動する籠側音声アナウンス装置25を乗籠2に設置し、乗場側発光装置33と連動する乗場側音声アナウンス装置35を各階の乗場3に設置している。したがって、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光パターンや発光色が何を意味しているのか、より理解が深まる。発光パターンや発光色がエレベータ1に使用される場合に何を意味しているのかが、将来一般的に定着すれば、このアナウンスを省略することもできるであろう。
【0049】
以上のように構成されたエレベータ1は、図7のフローチャートに示すように乗籠2を運行する。図7において、まず乗籠2は、乗場呼びがどこかの階で登録されて移動してきた状態である(S1)。乗客P1が実際に乗ったか判断するために、制御装置4は、籠内操作ボタン24が押されて籠呼びが登録されたか確認(S2)する。籠呼びが登録された場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第1の籠側発光色および第1の籠側発光パターンで点灯させる第1モードに運転モードを切り替える(S3)。第1モードにおいて、第1の籠側発光色は、白色とし、第1の籠側発光パターンは、点灯し続ける発光パターンとする。
【0050】
制御装置4は、運転モードを第1モードに切り替えると、乗籠2を目的階に向けて移動(S4)させる。乗籠2を移動させている間中、乗場呼びが新たに登録されていないか確認(S5)する。乗場呼び階が登録されていない場合、制御装置4は、籠呼び登録された目的階に乗籠2を着床(S6)させる。制御装置4は、乗籠2を目的階に着床させるための減速運転を開始するとともに、籠側発光装置23の発光パターンを第1の籠側発光パターンから目的階に近づくにつれて点滅の時間間隔がだんだんと短くなる第3の発光パターンに切り替える。
【0051】
そして、制御装置4は、他にも籠呼び登録が残っていないか判断(S7)し、籠呼び登録が残っている場合は、運転モードを第1モード(S3)に引き続き維持したまま、次の目的階へ乗籠2を移動(S4)させる。この後、乗場呼び登録が無い場合は、(S3)−(S4)−(S5)−(S6)−(S7)を繰り返すこととなる。
【0052】
乗場呼び登録が有るか判断(S5)したときに乗場呼び階が登録されている場合、制御装置4は、乗場呼び階が目的階までの間にあるか判断(S8)する。乗場呼び階が目的階までの間に無い場合、あるいは、乗場呼び階が目的階までの間にあるが安全に停止できる距離が十分に確保されない場合、制御装置4は、乗場呼び登録を保留し、籠呼び登録された目的階に乗籠2を着床(S6)させる。
【0053】
乗場呼び階が目的階までの間にあって安全に停止できる距離が十分に確保される場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第2の籠側発光色および第2の籠側発光パターンで点灯させる第2モードに運転モードを切り替え(S9)る。第2モードにおいて、第2の籠側発光色は、赤色とし、第2の籠側発光パターンは、一定間隔で点滅を繰り返す発光パターンとする。また、この第2モードにおいて、制御装置4は、乗場呼びが登録された乗場呼び階の乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色および第1の乗場側発光パターンで点灯させる。第1の乗場側発光色は、緑色とし、第1の乗場側発光パターンは、点灯し続ける発光パターンとする。
【0054】
さらに制御装置4は、運転モードを第2モードに切り替えたのち、乗籠2が乗場呼び階に近づくと、乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色および第2の乗場側発光パターンにする。第2の乗場側発光パターンは、乗籠2が接近するにしたがって点滅する時間間隔が短くなる発光パターンとする。また、制御装置4は、乗籠2の籠側発光装置23を第3の籠側発光パターンに変える。第3の籠側発光パターンは、着床予定の乗場呼び階が近づくにしたがって点滅する時間間隔がだんだんと短くなる発光パターンとする。
【0055】
乗籠2が乗場呼び階に着床(S10)すると、籠側防犯窓22および乗場側防犯窓32が設けられているので、乗籠2の乗客P1も乗場3側の新たな乗客P2もお互いの状況が分かりやすい。そして、乗場側発光装置33の第1の乗場側発光色が緑色で、籠側発光装置23の第2の籠側発光色が赤色であるので、互いの乗客P1,P2は、経験的に信号機の色をイメージし、乗場3側の乗客P2が乗籠2へ移動することを知ることができる。また、制御装置4は、乗場呼び階から新たに乗客P2が乗り込むことが分かっているので、籠側音声アナウンス装置25によって乗籠2内の乗客P1に奥側に詰めるよう促しておく。このようにすることで、新たな乗客P2が乗り込みやすく、乗客P1,P2の移動が円滑になる。
【0056】
ここで制御装置4は、乗籠2を目的階へ着床させる前に乗場呼び階に乗籠2を着床させている。したがって、乗客P2の移動が完了すると、制御装置4は、運転モードを第1モード(S3)に戻し、目的階へ向けて乗籠2の移動を再び開始(S4)する。そして、籠呼びと乗場呼びが登録され続ける限り、(S3)から(S10)までを繰り返す。
【0057】
また、乗場呼びが有る場合で目的階よりも先に乗場呼び階に着床しない場合、目的階と乗場呼び階とが同じ階である場合と、乗場呼び階へ目的階よりも後に着床する場合が想定される。したがって、目的階よりも先に乗場呼び階に着床しないと判定した後、さらに目的階と同じ乗場呼び階が登録されていないか確認する(S11)。目的階と同じ階が乗場呼び登録されている場合、制御装置4は、運転モードを第3モードにする(S12)。第3モードでは、籠側発光装置23の発光色および発光パターンを第3の籠側発光色および第1の籠側発光パターンにし、乗場側発光装置33の発光色および発光パターンを第3の乗場側発光色および第1の乗場側発光パターンにする。第3の籠側発光色は、緑色とし、第3の乗場側発光色は、赤色とする。
【0058】
そして、制御装置4は、乗籠2が目的階に着床するための減速運転に入ると、籠側発光装置23の発光パターンを第3の籠側発光パターンにし、乗場側発光装置33の発光パターンを第2の乗場側発光パターンにする。乗籠2内の乗客P1は、籠側発光装置23が第3の籠側発光色で点灯することによって、誰かが次に着床した階で降りることが分かる。したがって、籠ドア装置21付近にいる乗客P1は、奥にいる乗客P1のために、乗口2a付近を空けるように気をつけることができる。また、乗場3で待機する乗客P2は、乗場側発光装置33が第3の乗場側発光色で点灯することによって、着床した乗籠2から乗客P1が下りてくることが分かる。
【0059】
また、乗籠2が着床すると、図3に示すように籠側防犯窓22および乗場側防犯窓32を通して籠側発光装置23と乗場側発光装置33のそれぞれの発光色をお互いに視認することができる。したがって、経験的な慣習により、緑色である側が優先され、赤色である側が待機するように、自ずと理解されるので、乗籠2から降りてくる乗客P1と乗場3から乗り込む乗客P2の流れが円滑になる。
【0060】
目的階に着床(S6)した後、籠呼びが残っていないか確認(S7)したときに、籠呼びが無い場合、つまりすべての乗客P1が降りてしまった場合、制御装置4は、新たな乗場呼びが無いか確認(S13)する。乗場呼びが無い場合、エレベータ1の利用者がいないことであるので、制御装置4は、停止モードに入るための時間を計測する。一定時間経過したか(S14)タイマやカウンタで計測し、一定時間が経過するまで、制御装置4は、新たな乗場呼びが有るか確認(S13)を続ける。そして、新たな乗場呼びが無いまま一定時間が経過したら、制御装置4は停止モードに移行(S15)し、一連の運行を終了(S16)する。
【0061】
最後の乗客P1を降ろした後、一定時間が経過するまでに乗場呼びが有るか確認(S13)する間に、新たな乗場呼びが登録された場合、制御装置4は、それが着床中の階であるか判断(S17)する。乗場呼びが着床中の階であれば、制御装置4は、直ちに籠ドア装置21および乗場ドア装置31を開放し、籠呼び登録が有るか確認(S2)し、(S2)から(S13)までの動作を繰り返す。また、乗場呼び登録された階と乗籠2が着床中の階とが異なる場合、制御装置4は、乗籠2を移動(S18)させ、(S2)から(S13)までの動作を繰り返す。
【0062】
以上のように構成されたエレベータ1は、特に満員に近い乗客P1が乗っている場合、奥の方にいる乗客P1は、ドア付近の乗客P1がいったん降りないと乗籠2から降りられないこともある。このような場合でも、このエレベータ1は、乗籠2内の乗客P1の中に着床した階で降りる予定の者がいる場合と、着床した階から新たに乗客P2が乗ってくる場合とで、籠ドア装置21の発光色や発光パターンを異ならせる。これによって、籠ドア装置21付近にいる乗客P1は、奥にいる乗客P1が出られるようにいったん降りるべきか、着床した階の乗場3から新たな乗客P2が乗り込めるようにするために奥に詰めるべきか、とるべき行動を容易に判断することができる。
【0063】
このエレベータ1の籠ドア装置21および乗場ドア装置31は、左右一枚戸の両開き式のドア装置を例に説明したが、左右二枚戸の両開き式や、二枚戸の片開き式、三枚戸の片開き式のドア装置であってもよい。また、乗籠2は、1方向のみならず、2方向に乗り降りできるように籠ドア装置21が2か所に設けられた乗籠2であってもよい。
【0064】
また、乗場側発光装置33は、そのエレベータ1の保守点検が実施されている間、発光色または発光パターンを変えることで、利用できない状態であることを報知してもよい。さらに、このエレベータ1は、停電になった場合に乗籠2を安全に最寄り階に着床させるために用意されている非常用バッテリや専用に用意されるバッテリによって、停電時や災害時に乗場側発光装置33を点灯させ、停電灯として利用できるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…エレベータ、2…乗籠、2a…乗口、21…籠ドア装置、211…籠ドアパネル、212…開口部、22…籠側防犯窓、222…透明部材、23…籠側発光装置、24…籠内操作ボタン、25…籠側音声アナウンス装置、3…乗場、31…乗場ドア装置、311…乗場ドアパネル、312…開口部、32…乗場側防犯窓、322…透明部材、33…乗場側発光装置、34…乗場操作ボタン、35…乗場側音声アナウンス装置、4…制御装置、6…昇降路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗籠の乗客に向けて発光する表示装置を籠ドア装置に備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
戸袋側の近傍に光源装置が組み込まれたエレベータのドア装置が特許文献1に開示されている。このドア装置は、ドアパネルが動くのに先駆けて光源装置が点灯する。このドア装置は、乗籠の籠ドア装置及び乗場のホールドア装置のいずれにも適用できる。光源装置は、ドアパネルが移動する特に開放される際に点灯または点滅して、付近にいる乗客に戸袋に引込まれないように注意を喚起する。この光源装置による視覚警報手段の他に、振動警報手段や聴覚警報手段を備え、振動を発生させたり、警告をアナウンスしたりすることによって、乗客が戸袋に引込まれるのを防止する。
【0003】
また、エレベータドアに透光部を形成し、エレベータドア内部に設けた照光手段から出射される光を外部へ放射するように構成されたドア装置が特許文献2に開示されている。このドア装置は、乗場にいる利用者が呼びボタンで乗場呼びを行うと、この乗場呼びに応じて割り付けられたエレベータのドア装置の照光手段が発光し、どのエレベータが到着するのか利用者に報知する。また、乗場呼びを行った階床に当該エレベータの乗籠が近づくと、照光手段が点滅してまもなく到着することを予報する。
【0004】
特許文献2に記載されたドア装置の照光手段は、発光ダイオードを光源とし導光板によってパネル全体に出射光を拡散するように構成されている。また、照光手段の代わりに有機EL(Electro Luminescence)や液晶ディスプレイを用いて、運行状況のみならず、様々な情報をエレベータ利用者に提供することが段落に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−075605号公報
【特許文献2】特開2009−096584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたエレベータは、乗客が手や衣類をドア装置の戸袋に引込まれないように注意を喚起する。ドア装置の近くにいる乗客は、次にドア装置が開放された場合に直ぐに降りようとしているか、乗籠が満員に近い状態であってたまたまその位置にいるかなどが想定される。前者の場合、到着階で新たな乗客がドア装置の外に待っていると、乗客どうしで衝突するかもしれない。また、後者の場合、ドア装置付近の乗客が着床した階で降りる予定が無いとその場に留まり、乗籠の奥の乗客が目的階で降り難いという事態になる。
【0007】
また、特許文献2に記載されたドア装置は、乗場で待機する乗客に対してどのエレベータの乗籠が到着するか報知し、さらに乗籠が着床する間際になるとこれを予報するように照光手段を点滅させる。その結果、乗場の乗客が集まり乗口を塞いでしまうため、着床した乗籠から降りようとする乗客と新たに乗場から乗籠に乗ろうとする乗客とがすれ違うのにまごつくことが予想される。
【0008】
このように、特許文献1及び特許文献2に示されたエレベータの場合、ドア装置に表示装置を設けてドア装置の動きやどの乗籠が次に着床するかを乗客に報知するものの、混雑時には乗客の流れを緩慢にしてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、乗籠から降りる乗客と乗籠に乗り込む新たな乗客とが円滑に入れ代われるように、乗籠側と乗場側のそれぞれに乗客の移動予定を報知するエレベータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエレベータは、籠ドア装置と籠側防犯窓と籠側発光装置と乗場ドア装置と乗場側防犯窓と乗場側発光装置と籠内操作ボタンと乗場操作ボタンと制御装置とを備える。籠ドア装置は、乗籠の乗口を塞ぐ籠ドアパネルを有する。籠側防犯窓は、籠ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれて構成される。籠側発光装置は、籠側防犯窓の縁に沿って配置され、籠側防犯窓の中央に向かって籠ドアパネルのおもて面に対して平行な光を放射する。乗場ドア装置は、昇降路と乗場の間を塞ぐ乗場ドアパネルを有する。乗場側防犯窓は、乗場ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれて構成される。乗場側発光装置は、乗場側防犯窓の縁に沿って配置され、乗場側防犯窓の中央に向かって乗場ドアパネルのおもて面に対して平行な光を放射する。籠内操作ボタンは、乗籠内に設置されて、目的階を登録する。乗場操作ボタンは、乗場に設置されて乗場呼びを登録する。制御装置は、乗籠が着床する場合にそれが目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて籠側発光装置および乗場側発光装置の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる。この明細書において、「透明部材」とは透光性を有したガラスや合成樹脂を含む。
【0011】
この制御装置は、乗籠が籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて籠側発光装置を第1の籠側発光色または発光パターンで点灯し、乗籠が乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の乗場側発光装置を第1の乗場側発光色または発光パターンで点灯し、乗籠が目的階よりも先に乗場呼び階に着床する場合、籠側発光装置を第2の籠側発光色または発光パターンで点灯する。このように制御装置が籠側発光装置及び乗場側発光装置の発光色または発光パターンを制御することによって、乗籠が籠呼びによって目的階に停止するのか、乗場呼びによって乗場呼び階に停止するのかを明確にする。
【0012】
また、制御装置は、乗籠が乗場呼び階に近づくと、乗籠が間もなく到着することを報知するために、乗場側発光装置を第2の乗場側発光色または発光パターンで点灯する。そして、制御装置は、乗籠を着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第3の籠側発光パターンで点灯する。
【0013】
または、制御装置は、乗籠を目的階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させ、乗籠を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させ、乗籠を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。
【0014】
さらに、籠側発光装置は、乗籠の内側に向かって光を放射し、乗場側発光装置は、乗場側に向かって光を放射する。籠側発光装置及び乗場側発光装置が発光していることを明確に分かるようにする。また、籠側発光装置及び乗場側発光装置がそれぞれどのような条件によって発光しているのかわかりやすくするために、乗籠内部に設置され籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、乗場に設置され乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置とをそれぞれ備えることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエレベータによれば、籠側防犯窓と乗場側防犯窓を有しており、その内周縁に籠側発光装置と乗場側発光装置をそれぞれ備えている。そして制御装置が、これら籠側発光装置と乗場側発光装置の発光色または発光パターンを、乗籠が着床する階が籠呼びによる目的階であるか乗場呼び階であるかに応じて、変化させる。つまり、このエレベータは、乗籠側と乗場側のそれぞれに乗客の移動予定を報知する。
【0016】
また、籠側防犯窓と乗場側防犯窓とがあるので、乗籠に乗っている乗客は、乗籠が着床した階から新たな乗客が乗り込んでくるか否かを、防犯窓を通して乗場を見れば自ずと分かる。これと同様に、乗場で待機している新たな乗客は、乗籠に既に人が乗っていることを知ることができる。
【0017】
その結果、乗籠の乗客は、着床した階に乗籠内の乗客の誰かが降りるか否かを籠側発光装置の発光色または発光パターンが変化することから判断できるし、乗場の乗客は、乗籠から人が降りてくるか否かを乗場側発光装置の発光色または発光パターンが変化することから判断できる。したがって、このエレベータであれば、乗籠から降りる乗客と乗籠に乗り込む新たな乗客とが円滑に入れ代われる。
【0018】
籠側発光装置および乗場側発光装置の発光色を変化させて、乗客の移動を放置する場合、普段から慣れ親しんでいる信号機の色識別を流用する。着床階が目的階であって乗籠から降りる乗客がいる場合、籠側発光装置を「緑」に、乗場側発光装置を「赤」にそれぞれ発光させる。また、着床階が乗場呼び階であって乗籠に乗る乗客がいる場合、籠側発光装置を「赤」に、乗場側発光装置を「緑」にそれぞれ発光させる。したがって、乗客の乗り降りの方向が感覚的に判断しやすい。
【0019】
乗籠側の乗客は籠側防犯窓を通して乗場側発光装置の発光色または発光パターンを識別できるし、乗場側の乗客は乗場側防犯窓を通して籠側発光装置の発光色または発光パターンを識別できる。したがって、発光パターンによって乗客の移動方向を促す場合、例えば、起点側となる側を発光させ、続いて終点側となる側を発光させ、最後に一拍どちらも点灯しない時間を設ける。これを繰り返すことで、乗客の移動方向を促すように見せることができる。
【0020】
さらに、乗籠が着床階に近づくと乗場側発光装置の発光色または発光パターンが第1の乗場側発光色または第1の乗場側発光パターンから第2の乗場側発光色または第2の発光パターンに変化する発明によれば、どの乗籠が到着するのか分かるので、乗場で待たされている乗客のストレスが緩和される。また接近してくる方向を乗場側発光装置の複数ある光源の点滅順序によって表現してもよいし、発光色のグラデーションの変化によって表現することもできる。
【0021】
乗籠が接近してきたことは、乗籠を着床するために減速運転が開始されたことを基に判定する。または、発光色の濃度や、発光パターンの点滅の速度を、乗籠の移動速度の変化に対応させてもよい。例えば、乗籠を籠呼び登録された目的階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させる。また乗籠を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。さらに乗籠を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。なお、着床予定階が目的階かつ乗場呼び階である場合、まず乗籠から乗客が降りることを優先させるので、籠側発光装置は、第1の籠側発光パターンで点灯させる。
【0022】
また、籠側発光装置が乗籠の内側に向けて光を放射し、乗場側発光装置が乗場側に向けて光を放射する発明によれば、籠側発光装置および乗場側発光装置が点灯、点滅、発色していることに対する視認性が向上する。籠側発光装置の放射光を乗籠の内側に向けるために、籠側防犯窓の内周縁に沿って乗籠の内側に面した籠側発光面を設ける。乗場側発光装置の放射光を乗場側に向けるために、乗場側防犯窓の内周縁に沿って乗場に面した乗場側発光面を設ける。各発光面から放射される光は、それぞれの発光装置の光源から導光路で伝播される。
【0023】
籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置とをさらに備える発明によれば、乗籠が混雑していて籠側発光装置が見えにくい場合や乗場側発光装置が人陰に隠れて見えにくい場合でも、音声によって促されることによって、乗客の流れが円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のエレベータを示す模式図。
【図2】図1に示したエレベータの籠ドア装置を乗籠内部から見た斜視図。
【図3】図1に示したエレベータの乗場ドア装置の斜視図。
【図4】図1に示したエレベータの籠ドアパネルと乗場ドアパネルの断面図。
【図5】図4に示した籠側発光装置及びその周辺を拡大した断面図。
【図6】図4に示した乗場側発光装置およびその周辺を拡大した断面図。
【図7】図1に示したエレベータの動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態のエレベータ1は、図1から図7を参照して説明する。このエレベータ1は、乗籠2に乗った乗客P1と、各階の乗場3で待機している新たな乗客P2とが円滑に乗り降りできるようにする。エレベータ1は、乗籠2の籠ドア装置21に籠側防犯窓22を備え、各階の乗場ドア装置31に乗場側防犯窓32を備える。籠側防犯窓22の内周縁に沿って籠側発光装置23が設けられ、乗場側防犯窓32の内周縁に沿って乗場側発光装置33が設けられている。エレベータ1は、制御装置4で籠側発光装置23および乗場側発光装置33の点灯状態を変更することによって、乗籠2に乗っている乗客P1および乗場3にいる新たな乗客P2が、円滑に乗籠2に対して乗り降りできるようにする。
【0026】
図1に示すように、エレベータ1は、乗籠2と、各階の乗場3と、籠ドア装置21と、籠側防犯窓22と、籠側発光装置23と、乗場ドア装置31と、乗場側防犯窓32と、乗場側発光装置33と、籠内操作ボタン24と、乗場操作ボタン34と、制御装置4とを備える。乗籠2は、メインロープ5によって昇降路6内に吊り下げられている。メインロープ5が巻き掛けられた巻上機が駆動されることによって、乗籠2は昇降路6内を移動し、乗場3が設けられた階に停止する。
【0027】
籠内操作ボタン24は、図1に示すように乗籠2内に設置される。乗籠2の乗客P1が籠内操作ボタン24を押すことによって、目的階が登録される。この籠内操作ボタン24は、図2に示すように、乗籠2の乗口2aから入って左手側に振り向いた位置に設置される操作盤241、および乗口2aから見て両側の側壁2b,2cに設置される操作盤242,243に配置されている。このほか操作盤241,242,243には、方向表示灯244、位置表示灯245、非常呼びボタン246、ドア開閉ボタン247が設けられている。乗場操作ボタン34は、図1に示すように各乗場3に設置される。エレベータ1を利用したい乗客P2が乗場操作ボタン34を押すことによって、乗場呼びが登録される。乗場操作ボタン34は、図3に示すように乗場ドア装置31の脇に位置表示灯341、方向表示灯342とともに配置されている。籠内操作ボタン24および乗場操作ボタン34は、図1に示すように制御装置4に接続されている。
【0028】
籠ドア装置21は、図2に示すように中央から左右両側に開く両開きの籠ドアパネル211を備える。籠ドアパネル211は、乗籠2の乗口2aを塞ぐように設置される。籠側防犯窓22は、図1および図2に示すように各籠ドアパネル211の開口部212に設けられている。籠側防犯窓22は、図4に示すように支持枠221と透明部材222とパッキン223と固定枠224とを備える。支持枠221は、乗籠2の外側となる籠ドアパネル211の裏面に接着されている。この支持枠221は、開口部212を一回り大きく囲うようにアングル材で作られている。支持枠221は、籠ドアパネル211の開口部212の外周を継ぎ目無く囲う必要はなく、縦長の四角い開口部212の4つの辺と平行に分割して配置されているだけでよい。
【0029】
透明部材222は、籠ドアパネル211の開口部212に嵌る凸部222aを有している。透明部材222は、外周にパッキン223が装着され、支持枠221の内側に嵌め込まれる。固定枠224は、支持枠221の内側に取り付けられ、透明部材222の凸部222aを籠ドアパネル211の表面と面一になるように保持する。本実施形態において、透明部材222として、網入りガラスを採用している。透明部材222として網入りガラスのほかに、透明な強化ガラスや透明な強化プラスチックなど、乗籠2の内部を目視できるものであれば採用することができる。
【0030】
籠側発光装置23は、図2に示すように、籠側防犯窓22の縁の全周にわたって配置されている。この籠側発光装置23は、図4および図5に示すように、透明部材222の凸部222aと籠側防犯窓22の縁と支持枠221とで囲われた部分に収められている。籠側発光装置23は、基板231と発光素子232と導光路233とを有している。基板231は、図5に示すように、支持枠221の内周面と平行に配置されている。発光素子232は、LED等の光源であって、籠側防犯窓22の縁に沿って基板231上に一定間隔で複数個が実装されている。発光素子232は、図4および図5に示すように、籠側防犯窓22の中央に向かって籠ドアパネル211のおもて面とほぼ平行な向きに主に光を放射する。複数の発光素子232は、基板231に接続されるリード線234を介して電力が供給される。リード線234は、支持枠221の間を通して、または、支持枠221に開けられた孔を通して、図5に示すように支持枠221の外側に引き出され、図1に示すように制御装置4に接続される。
【0031】
各発光素子232は、特定色のみを出射する単色の発光素子であってもよいし、複数の色に対応してそれぞれチップが搭載されて合成された複合色を出射する発光素子であってもよい。また、複数個実装されるので、そのうちのいくつかに第1の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置し、他のいくつかに第2の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置してもよい。
【0032】
導光路233は、透明な合成樹脂で作られており、透明部材222の凸部222aと籠ドアパネル211の開口部212の縁との間に露出して配置されている。導光路233の入射端233aは、発光素子232を覆って基板231に密着している。導光路233の出射端233bは、籠ドアパネル211の表面と面一に形成されている。また、発光素子232から放射される光と垂直に配置される導光路233の透過側面233cは、透明部材222の凸部222aの側面に密着させる。導光路233の入射端233aから入射された発光素子232の光のうち透過側面233cに対してほぼ垂直に入射される光は、透過側面233cを通過して透明部材222側へ出射され、透過側面233cに対して斜めに入射される光は、透過側面233cで反射されて出射端233bから出射される。導光路233の透過側面233cおよび出射端233bは、光を散乱しやすいようにいわゆる「梨地処理」を施してもよい。
【0033】
乗場ドア装置31は、籠ドア装置21と同様に図3に示すように両開きの乗場ドアパネル311を備える。乗場ドアパネル311は、図1に示すように昇降路6と乗場3の間を塞ぐように設置される。乗場ドア装置31は、その乗場ドア装置31が設けられた階に乗籠2が着床している場合に籠ドア装置21と連結され、籠ドア装置21の作動とともに連動する。乗場側防犯窓32は、図1および図3に示すように乗場ドアパネル311の開口部312に設けられている。乗場側防犯窓32は、図4に示すように支持枠321と透明部材322とパッキン323と固定枠324とを備える。
【0034】
支持枠321は、昇降路6に面した乗場ドアパネル311の裏面に接着されている。この支持枠321は、乗場ドアパネル311の開口部312を一回り大きく囲うようにアングル材で作られている。籠ドアパネル211の支持枠221と同様にこの支持枠321は、乗場ドアパネル311の開口部312の外周を継ぎ目なく囲う必要はなく、図3に示すように縦長の四角い開口部312の4つの辺と平行に分割して配置されているだけでもよい。
【0035】
透明部材322は、乗場ドアパネル311の開口部312に嵌る凸部322aを有している。透明部材322は、外周部にパッキン323が装着され、支持枠321の内側に嵌め込まれる。固定枠324は、支持枠321の内側にボルトで取り付けられ透明部材322の凸部322aを乗場ドアパネル311のおもて面と面一になるように保持する。本実施形態において、透明部材322として、網入りガラスを採用している。透明部材322として網入りガラスのほかに、透明な強化ガラスや透明な強化プラスチックなど、乗籠2の内部を目視できるものであれば採用することができる。
【0036】
乗場側発光装置33は、図3に示すように、乗場側防犯窓32の縁の全周にわたって配置されている。この乗場側発光装置33は、図4および図6に示すように、透明部材322の凸部322aと乗場側防犯窓32の縁と支持枠321とで囲われた部分に収められている。乗場側発光装置33は、基板331と発光素子332と導光路333とを有している。基板331は、図6に示すように、支持枠321の内周面と平行に配置されている。発光素子332は、LED等の光源であって、乗場側防犯窓32の縁に沿って基板331上に一定の間隔で複数個が実装されている。発光素子332は、図4および図6に示すように、乗場側防犯窓32の中央に向かって乗場ドアパネル311のおもて面とほぼ同じ向きに光を放射する。複数の発光素子332は、基板331に接続されるリード線334を介して電力が供給される。リード線334は、支持枠321の間を通して、または、支持枠321に開けられた孔を通して、図6に示すように支持枠321の外側に引き出され、図1に示すように制御装置4に接続される。
【0037】
各発光素子332は、特定色のみを出射する単色の発光素子であってもよいし、複数の色に対応してそれぞれチップが搭載されて合成された複合色を出射する発光素子であってもよい。また、複数個実装されるので、そのうちのいくつかに第1の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置し、他のいくつかに第2の乗場側発光色で点灯する発光素子を配置してもよい。
【0038】
導光路333は、透明な合成樹脂で作られており、乗場ドア装置31の表側から直接見えない位置に隠されている。乗場側発光装置33の導光路333は、この点が籠側発光装置23の導光路233と異なっている点である。導光路333の入射端333aは、図6に示すように発光素子332を覆って基板331に密着している。導光路333の出射端333bは、透明部材322の凸部322aの側面に密着している。導光路333の入射端333aから入射された発光素子332の光は、出射端333bから出射され、そのまま透明部材322内に入射される。出射端333bは、光を散乱しやすいように梨地処理が施される。
【0039】
なお、導光路333の形状は、籠側発光装置23の導光路233と同じ形にしてもよい。出射端333bを透明部材322の凸部322aと乗場ドアパネル311の開口部312の縁との間に露出させることで、乗場ドア装置31を正面から見た場合における視認性が向上する。ただし、乗場ドア装置31の場合、正面にいる乗客P2よりも左右に離れた位置にいる乗客P2に乗場側発光装置33の光を認識させることが重要である。つまり、図6に示したように、斜め方向から乗場ドア装置31を見た場合の方が正面から見るよりも光を認識しやすいように構成されているほうが好ましい。
【0040】
制御装置4は、図1に示すように、籠側発光装置23、籠内操作ボタン24、乗場側発光装置33および各階の乗場操作ボタン34にそれぞれ接続されている。制御装置4は、エレベータ1の運行を制御する制御盤の一部として設けられる。この制御装置4は、乗籠2がどこかの階に着床する場合、そこが籠内操作ボタン24で登録された目的階であるか乗場操作ボタン34で登録された乗場呼び階であるか判断する。そして、制御装置4は、そのときの条件に合わせて、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色や発光パターンを変化させて点灯させる。
【0041】
本明細書において、「発光パターン」とは、点灯と消灯のそれぞれの時間をさまざまな長さで1組以上組み合わせた点滅を1サイクルとして繰り返し発光し続けるものを意味する。例えば、点灯と消灯を同じ時間ずつ繰り返す発光パターンや、短い点灯−短い消灯−短い点灯−長い消灯というように、点滅を2回ずつ間を開けて繰り返す発光パターンや、長い点灯−短い消灯−短い点灯−短い消灯のような、点灯時間の長さが交互に変わる発光パターンなど様々考えられる。また、本発明に置いて、点灯し続ける場合も、ひとつの発光パターンに含まれる。
【0042】
制御装置4は、乗籠2の運行方向や位置情報と、籠内操作ボタン24の登録情報と、乗場操作ボタン34の登録情報とを基に、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色や発光パターンを決定し、それぞれ点灯する。例えば、乗籠2が籠内操作ボタン24によって登録された目的階へ着床する場合、制御装置4は、着床するのに先駆けて籠側発光装置23を第1の籠側発光色で点灯する。乗籠2が乗場操作ボタン34によって乗場呼びが登録された場合、制御装置4は、その階の乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色で点灯する。そして、乗籠2が目的階よりも先に乗場呼び階に着床する場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第2の籠側発光色で点灯する。
【0043】
さらに、この制御装置4は、乗籠2が乗場呼び階に近づくと、乗場側発光装置33を第2の乗場側発光色で点灯する。また、制御装置4は、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光色をそれぞれ変化させる代わりに、発光パターンをそれぞれ変化させる、あるいは、発光色および発光パターンの両方をそれぞれ変化させることもできる。
【0044】
制御装置4が籠側発光装置23および乗場側発光装置33の各発光素子232,332の発光色や発光パターンを変化させるタイミングは、乗籠2を着床させるために減速運転が開始されたときとするのが、制御の上で明確であり、利用者にとっても認識しやすいだろう。そこで、制御装置4は、巻上機の回転数や調速機の回転数などを検出し、増加率が負に転じた場合に発光色や発光パターンを変化させる。例えば、減速運転が開始された場合、制御装置4は、籠側発光装置23を目的階に着床させる場合の第1の籠側発光パターンおよび乗場呼び階に着床させる場合の第2の籠側発光パターンと異なる、第3の籠側発光パターンで点灯する。
【0045】
または、乗籠2を目的階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させる。乗籠2を乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させる。そして、乗籠2を目的階かつ乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始された場合、制御装置は、乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる。
【0046】
籠側発光パターンや乗場側発光パターンは、点灯時間と消灯時間の長さの比率を変えた点滅を1種類または複数種類組み合わせて1つのサイクルとし、これを繰り返すように構成される。発光パターンは、複数種類の点滅の組み合わせの繰り返しで構成されるので、無限に作ることができるであろう。しかし、それぞれの発光パターンは、乗客が認識できる明確な違いがなければならないし、何を意味しているのか感覚的に理解しやすい必要がある。したがって実際には、2,3種類の発光パターンと、2,3種類の発光色とを組み合わせて、籠側発光装置23および乗場側発光装置33から出力される。
【0047】
また、籠側発光装置23および乗場側発光装置33は、それぞれ乗籠2の移動する鉛直方向に十分な長さを有しており、その鉛直方向に沿って、複数の発光素子232,332を備えている。したがって、籠側発光装置23および乗場側発光装置33は、この複数の発光素子232,332を点灯させる順番や間隔を変化させ、乗籠2が移動している方向や、乗場3に対してどの程度まで乗籠2が近づいてきているかなどが分かるように発光素子232,332を点灯させることもできる。
【0048】
さらに、図1に示すように本実施形態のエレベータ1は、籠側発光装置23と連動する籠側音声アナウンス装置25を乗籠2に設置し、乗場側発光装置33と連動する乗場側音声アナウンス装置35を各階の乗場3に設置している。したがって、籠側発光装置23および乗場側発光装置33の発光パターンや発光色が何を意味しているのか、より理解が深まる。発光パターンや発光色がエレベータ1に使用される場合に何を意味しているのかが、将来一般的に定着すれば、このアナウンスを省略することもできるであろう。
【0049】
以上のように構成されたエレベータ1は、図7のフローチャートに示すように乗籠2を運行する。図7において、まず乗籠2は、乗場呼びがどこかの階で登録されて移動してきた状態である(S1)。乗客P1が実際に乗ったか判断するために、制御装置4は、籠内操作ボタン24が押されて籠呼びが登録されたか確認(S2)する。籠呼びが登録された場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第1の籠側発光色および第1の籠側発光パターンで点灯させる第1モードに運転モードを切り替える(S3)。第1モードにおいて、第1の籠側発光色は、白色とし、第1の籠側発光パターンは、点灯し続ける発光パターンとする。
【0050】
制御装置4は、運転モードを第1モードに切り替えると、乗籠2を目的階に向けて移動(S4)させる。乗籠2を移動させている間中、乗場呼びが新たに登録されていないか確認(S5)する。乗場呼び階が登録されていない場合、制御装置4は、籠呼び登録された目的階に乗籠2を着床(S6)させる。制御装置4は、乗籠2を目的階に着床させるための減速運転を開始するとともに、籠側発光装置23の発光パターンを第1の籠側発光パターンから目的階に近づくにつれて点滅の時間間隔がだんだんと短くなる第3の発光パターンに切り替える。
【0051】
そして、制御装置4は、他にも籠呼び登録が残っていないか判断(S7)し、籠呼び登録が残っている場合は、運転モードを第1モード(S3)に引き続き維持したまま、次の目的階へ乗籠2を移動(S4)させる。この後、乗場呼び登録が無い場合は、(S3)−(S4)−(S5)−(S6)−(S7)を繰り返すこととなる。
【0052】
乗場呼び登録が有るか判断(S5)したときに乗場呼び階が登録されている場合、制御装置4は、乗場呼び階が目的階までの間にあるか判断(S8)する。乗場呼び階が目的階までの間に無い場合、あるいは、乗場呼び階が目的階までの間にあるが安全に停止できる距離が十分に確保されない場合、制御装置4は、乗場呼び登録を保留し、籠呼び登録された目的階に乗籠2を着床(S6)させる。
【0053】
乗場呼び階が目的階までの間にあって安全に停止できる距離が十分に確保される場合、制御装置4は、籠側発光装置23を第2の籠側発光色および第2の籠側発光パターンで点灯させる第2モードに運転モードを切り替え(S9)る。第2モードにおいて、第2の籠側発光色は、赤色とし、第2の籠側発光パターンは、一定間隔で点滅を繰り返す発光パターンとする。また、この第2モードにおいて、制御装置4は、乗場呼びが登録された乗場呼び階の乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色および第1の乗場側発光パターンで点灯させる。第1の乗場側発光色は、緑色とし、第1の乗場側発光パターンは、点灯し続ける発光パターンとする。
【0054】
さらに制御装置4は、運転モードを第2モードに切り替えたのち、乗籠2が乗場呼び階に近づくと、乗場側発光装置33を第1の乗場側発光色および第2の乗場側発光パターンにする。第2の乗場側発光パターンは、乗籠2が接近するにしたがって点滅する時間間隔が短くなる発光パターンとする。また、制御装置4は、乗籠2の籠側発光装置23を第3の籠側発光パターンに変える。第3の籠側発光パターンは、着床予定の乗場呼び階が近づくにしたがって点滅する時間間隔がだんだんと短くなる発光パターンとする。
【0055】
乗籠2が乗場呼び階に着床(S10)すると、籠側防犯窓22および乗場側防犯窓32が設けられているので、乗籠2の乗客P1も乗場3側の新たな乗客P2もお互いの状況が分かりやすい。そして、乗場側発光装置33の第1の乗場側発光色が緑色で、籠側発光装置23の第2の籠側発光色が赤色であるので、互いの乗客P1,P2は、経験的に信号機の色をイメージし、乗場3側の乗客P2が乗籠2へ移動することを知ることができる。また、制御装置4は、乗場呼び階から新たに乗客P2が乗り込むことが分かっているので、籠側音声アナウンス装置25によって乗籠2内の乗客P1に奥側に詰めるよう促しておく。このようにすることで、新たな乗客P2が乗り込みやすく、乗客P1,P2の移動が円滑になる。
【0056】
ここで制御装置4は、乗籠2を目的階へ着床させる前に乗場呼び階に乗籠2を着床させている。したがって、乗客P2の移動が完了すると、制御装置4は、運転モードを第1モード(S3)に戻し、目的階へ向けて乗籠2の移動を再び開始(S4)する。そして、籠呼びと乗場呼びが登録され続ける限り、(S3)から(S10)までを繰り返す。
【0057】
また、乗場呼びが有る場合で目的階よりも先に乗場呼び階に着床しない場合、目的階と乗場呼び階とが同じ階である場合と、乗場呼び階へ目的階よりも後に着床する場合が想定される。したがって、目的階よりも先に乗場呼び階に着床しないと判定した後、さらに目的階と同じ乗場呼び階が登録されていないか確認する(S11)。目的階と同じ階が乗場呼び登録されている場合、制御装置4は、運転モードを第3モードにする(S12)。第3モードでは、籠側発光装置23の発光色および発光パターンを第3の籠側発光色および第1の籠側発光パターンにし、乗場側発光装置33の発光色および発光パターンを第3の乗場側発光色および第1の乗場側発光パターンにする。第3の籠側発光色は、緑色とし、第3の乗場側発光色は、赤色とする。
【0058】
そして、制御装置4は、乗籠2が目的階に着床するための減速運転に入ると、籠側発光装置23の発光パターンを第3の籠側発光パターンにし、乗場側発光装置33の発光パターンを第2の乗場側発光パターンにする。乗籠2内の乗客P1は、籠側発光装置23が第3の籠側発光色で点灯することによって、誰かが次に着床した階で降りることが分かる。したがって、籠ドア装置21付近にいる乗客P1は、奥にいる乗客P1のために、乗口2a付近を空けるように気をつけることができる。また、乗場3で待機する乗客P2は、乗場側発光装置33が第3の乗場側発光色で点灯することによって、着床した乗籠2から乗客P1が下りてくることが分かる。
【0059】
また、乗籠2が着床すると、図3に示すように籠側防犯窓22および乗場側防犯窓32を通して籠側発光装置23と乗場側発光装置33のそれぞれの発光色をお互いに視認することができる。したがって、経験的な慣習により、緑色である側が優先され、赤色である側が待機するように、自ずと理解されるので、乗籠2から降りてくる乗客P1と乗場3から乗り込む乗客P2の流れが円滑になる。
【0060】
目的階に着床(S6)した後、籠呼びが残っていないか確認(S7)したときに、籠呼びが無い場合、つまりすべての乗客P1が降りてしまった場合、制御装置4は、新たな乗場呼びが無いか確認(S13)する。乗場呼びが無い場合、エレベータ1の利用者がいないことであるので、制御装置4は、停止モードに入るための時間を計測する。一定時間経過したか(S14)タイマやカウンタで計測し、一定時間が経過するまで、制御装置4は、新たな乗場呼びが有るか確認(S13)を続ける。そして、新たな乗場呼びが無いまま一定時間が経過したら、制御装置4は停止モードに移行(S15)し、一連の運行を終了(S16)する。
【0061】
最後の乗客P1を降ろした後、一定時間が経過するまでに乗場呼びが有るか確認(S13)する間に、新たな乗場呼びが登録された場合、制御装置4は、それが着床中の階であるか判断(S17)する。乗場呼びが着床中の階であれば、制御装置4は、直ちに籠ドア装置21および乗場ドア装置31を開放し、籠呼び登録が有るか確認(S2)し、(S2)から(S13)までの動作を繰り返す。また、乗場呼び登録された階と乗籠2が着床中の階とが異なる場合、制御装置4は、乗籠2を移動(S18)させ、(S2)から(S13)までの動作を繰り返す。
【0062】
以上のように構成されたエレベータ1は、特に満員に近い乗客P1が乗っている場合、奥の方にいる乗客P1は、ドア付近の乗客P1がいったん降りないと乗籠2から降りられないこともある。このような場合でも、このエレベータ1は、乗籠2内の乗客P1の中に着床した階で降りる予定の者がいる場合と、着床した階から新たに乗客P2が乗ってくる場合とで、籠ドア装置21の発光色や発光パターンを異ならせる。これによって、籠ドア装置21付近にいる乗客P1は、奥にいる乗客P1が出られるようにいったん降りるべきか、着床した階の乗場3から新たな乗客P2が乗り込めるようにするために奥に詰めるべきか、とるべき行動を容易に判断することができる。
【0063】
このエレベータ1の籠ドア装置21および乗場ドア装置31は、左右一枚戸の両開き式のドア装置を例に説明したが、左右二枚戸の両開き式や、二枚戸の片開き式、三枚戸の片開き式のドア装置であってもよい。また、乗籠2は、1方向のみならず、2方向に乗り降りできるように籠ドア装置21が2か所に設けられた乗籠2であってもよい。
【0064】
また、乗場側発光装置33は、そのエレベータ1の保守点検が実施されている間、発光色または発光パターンを変えることで、利用できない状態であることを報知してもよい。さらに、このエレベータ1は、停電になった場合に乗籠2を安全に最寄り階に着床させるために用意されている非常用バッテリや専用に用意されるバッテリによって、停電時や災害時に乗場側発光装置33を点灯させ、停電灯として利用できるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…エレベータ、2…乗籠、2a…乗口、21…籠ドア装置、211…籠ドアパネル、212…開口部、22…籠側防犯窓、222…透明部材、23…籠側発光装置、24…籠内操作ボタン、25…籠側音声アナウンス装置、3…乗場、31…乗場ドア装置、311…乗場ドアパネル、312…開口部、32…乗場側防犯窓、322…透明部材、33…乗場側発光装置、34…乗場操作ボタン、35…乗場側音声アナウンス装置、4…制御装置、6…昇降路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗籠の乗口を塞ぐ籠ドアパネルを有した籠ドア装置と、
前記籠ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれた籠側防犯窓と、
前記籠側防犯窓の縁に沿って配置され前記籠側防犯窓の中央に向って前記籠ドアパネルのおもて面に対して平行に光を放射する籠側発光装置と、
昇降路と乗場の間を塞ぐ乗場ドアパネルを有した乗場ドア装置と、
前記乗場ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれた乗場側防犯窓と、
前記乗場側防犯窓の縁に沿って配置され前記乗場側防犯窓の中央に向かって前記乗場ドアパネルのおもて面に対して平行に光を放射する乗場側発光装置と、
前記乗籠内に設置されて目的階を登録する籠内操作ボタンと、
前記乗場に設置されて乗場呼びを登録する乗場操作ボタンと、
前記乗籠が着床する場合にそれが前記目的階であるか前記乗場呼び階であるかに対応して前記籠側発光装置および前記乗場側発光装置の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる制御装置と
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記乗籠が前記籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて前記籠側発光装置を第1の籠側発光色で点灯し、
前記乗籠が前記乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光色で点灯し、
前記乗籠が前記目的階よりも先に前記乗場呼び階に着床する場合、前記籠側発光装置を第2の籠側発光色で点灯する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記乗籠が前記乗場呼び階に近づくと前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光色で点灯することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記乗籠が前記籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて前記籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯し、
前記乗籠が前記乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯し、
前記乗籠が前記目的階よりも先に前記乗場呼び階に着床する場合、前記籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記乗籠が前記乗場呼び階に近づくと前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記乗籠を着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第3の籠側発光パターンで点灯することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記乗籠を前記目的階に着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させ、
前記乗籠を前記乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させ、
前記乗籠を前記目的階かつ前記乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる
ことを特徴等する請求項2に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記籠側発光装置は、前記乗籠の内側に向かって光を放射し、
前記乗場側発光装置は、前記乗場側に向かって光を放射する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項9】
前記乗籠に設置され前記籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、
前記乗場に設置され前記乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項1】
乗籠の乗口を塞ぐ籠ドアパネルを有した籠ドア装置と、
前記籠ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれた籠側防犯窓と、
前記籠側防犯窓の縁に沿って配置され前記籠側防犯窓の中央に向って前記籠ドアパネルのおもて面に対して平行に光を放射する籠側発光装置と、
昇降路と乗場の間を塞ぐ乗場ドアパネルを有した乗場ドア装置と、
前記乗場ドアパネルの開口部に透明部材が嵌め込まれた乗場側防犯窓と、
前記乗場側防犯窓の縁に沿って配置され前記乗場側防犯窓の中央に向かって前記乗場ドアパネルのおもて面に対して平行に光を放射する乗場側発光装置と、
前記乗籠内に設置されて目的階を登録する籠内操作ボタンと、
前記乗場に設置されて乗場呼びを登録する乗場操作ボタンと、
前記乗籠が着床する場合にそれが前記目的階であるか前記乗場呼び階であるかに対応して前記籠側発光装置および前記乗場側発光装置の少なくとも一方の発光色および発光パターンの少なくとも一方を変化させる制御装置と
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記乗籠が前記籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて前記籠側発光装置を第1の籠側発光色で点灯し、
前記乗籠が前記乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光色で点灯し、
前記乗籠が前記目的階よりも先に前記乗場呼び階に着床する場合、前記籠側発光装置を第2の籠側発光色で点灯する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記乗籠が前記乗場呼び階に近づくと前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光色で点灯することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記乗籠が前記籠内操作ボタンによって登録された目的階へ着床する場合、着床するのに先駆けて前記籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯し、
前記乗籠が前記乗場操作ボタンによって乗場呼びが登録された場合、乗場呼びが登録された乗場呼び階の前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯し、
前記乗籠が前記目的階よりも先に前記乗場呼び階に着床する場合、前記籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記乗籠が前記乗場呼び階に近づくと前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記乗籠を着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第3の籠側発光パターンで点灯することを特徴とする請求項4に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記乗籠を前記目的階に着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第1の籠側発光パターンで点灯させ、
前記乗籠を前記乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると前記籠側発光装置を第2の籠側発光パターンで点灯させるとともに前記乗場側発光装置を第1の乗場側発光パターンで点灯させ、
前記乗籠を前記目的階かつ前記乗場呼び階に着床させるための減速運転が開始されると前記乗場側発光装置を第2の乗場側発光パターンで点灯させる
ことを特徴等する請求項2に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記籠側発光装置は、前記乗籠の内側に向かって光を放射し、
前記乗場側発光装置は、前記乗場側に向かって光を放射する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項9】
前記乗籠に設置され前記籠側発光装置と連動する籠側音声アナウンス装置と、
前記乗場に設置され前記乗場側発光装置と連動する乗場側音声アナウンス装置と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−136775(P2011−136775A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296282(P2009−296282)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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