エンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーン
【課題】 モータパワーを有効に用いることができるとともに、荷役の効率を向上させることができるエンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンを提供する。
【解決手段】 吊荷を把持する吊具と、吊具を吊り下げる吊ロープと、吊ロープを巻き上げ、繰り出して吊具を昇降させるモータと、モータ駆動用電力を供給する発電機と、発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、吊荷を巻き上げる時のモータ出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力Pmaxにまで増加させる際に、エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間taかけてモータ出力を巻上最大出力Pmaxまで増加させることを特徴とする。
【解決手段】 吊荷を把持する吊具と、吊具を吊り下げる吊ロープと、吊ロープを巻き上げ、繰り出して吊具を昇降させるモータと、モータ駆動用電力を供給する発電機と、発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、吊荷を巻き上げる時のモータ出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力Pmaxにまで増加させる際に、エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間taかけてモータ出力を巻上最大出力Pmaxまで増加させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
港湾等のヤードにおいては、クレーン装置によって船舶あるいはトレーラへのコンテナの積み込み、及び、船舶あるいはトレーラからのコンテナの積み降ろし等の運搬作業が行われている。これらコンテナの積み込み積み下ろしの際の、コンテナの巻上げ、巻き下げはクレーン装置に備えられたモータにより行われている。
【0003】
近年においては、ヤードの荷役効率の向上が求められており荷役効率を向上させるさまざまな技術が提案されている。例えば、上述したコンテナの積み込み積み下ろしの効率を向上させるため、コンテナ(吊荷)重量とモータ能力等とに応じて、その巻き上げ速度を変える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、モータ能力を余すところなく用いることができるとともに、コンテナの積み込み積み下ろしの効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開平11−246182号公報(第4−5頁、第1図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のように、吊荷の重量に応じてその巻上げ速度を変える場合には、まず吊荷の重量を検知して、その後に巻き上げ速度を変える制御が通常行われている。
このように、巻き上げ速度を変更する制御を行うと、実際に吊荷を巻き上げているモータの消費電力も巻き上げ速度の変化に伴い変化する。例えば、巻き上げ速度を急に早くすると、モータの消費電力も急に増加する。
外部から電力が供給されるコンテナクレーン等においては、上述のように消費電力が急に増加しても、電力を安定して供給することができ特に問題が発生しなかった。
【0005】
しかしながら、モータの消費電力を搭載されたエンジン式発電機で供給するトランスファクレーンやモバイル・ハーバー・クレーン(MHC)などにおいては、上述のように消費電力が急に増加すると、エンジンが消費電力の急増に追従できずストールする恐れがあった。つまり、モータの消費電力の急増により発電機を駆動するエンジンの負荷が急増し、この負荷の急増にエンジンが追従できずにストールする恐れがあった。
発電機を駆動するエンジンがストールするとモータへの電力供給が停止するため、荷役作業が中断して作業効率が低下するという問題があった。
【0006】
また、上記のトランスファクレーン等にバッテリ等のキャパシタを搭載して、消費電力の急増分をキャパシタにより補いエンジンストールを防止する技術も考えられる。しかし、消費電力の急増分を補うことができる容量を有するキャパシタはコストが高いという問題があった。また、上記容量を有するキャパシタは重量が重いという問題があった。これらの問題により、トランスファクレーン等にモータへ電力を供給するキャパシタを搭載することは行われていなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、モータパワーを有効に用いることができるとともに、荷役の効率を向上させることができるエンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法は、吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間かけて前記モータの出力を前記巻上最大出力まで増加させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、吊荷をモータの巻上最大出力で巻き上げているため、吊荷の巻上加速度が大きくなる。そのため、吊荷の巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間を短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0010】
また、例えば、発電負荷がストール負荷よりも大きい場合には、所定時間の間にエンジンの出力を増加させることにより、発電負荷によるエンジンストールの発生を防止することができる。その結果、モータへの電力供給停止を防止することができ、荷役作業効率の低下を防止することができる。また、もともと発電負荷がストール負荷よりも小さいときには、エンジンの出力を維持することにより、不要なエンジン出力の増加を防止することができる。
また、モータの最大出力に応じた最大出力を有するエンジンを用いることができる。そのため、必要以上に大きな最大出力を有するエンジンを用いる必要がなくなる。
【0011】
また、上記発明においては、前記巻上最大出力が、前記モータの出力可能な最大モータ出力であることが望ましい。
本発明によれば、吊荷の巻上加速度をより大きくすることができ、巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間をより短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0012】
さらに、上記発明においては、前記所定時間が、前記巻上最大出力と前記エンジンの特性とに基づいて算出されることが望ましい。
本発明によれば、巻上最大出力に基づいて吊荷の巻上時にエンジンにかかる最大負荷を算出することができる。また、エンジンの特性から、エンジンが算出された最大負荷によりエンジンストールしないように制御するのに要する時間、つまり所定時間を算出することができる。その結果、さまざまな条件においてもエンジンストールの発生を防止することができる。
【0013】
上記発明においては、前記所定時間が予め設定されていることが望ましい。
本発明によれば、所定時間をその都度算出する場合と比較して、モータの出力をより素早く制御することができる。そのため、制御の遅れによるエンジンストール等の不具合発生を防止することができる。
【0014】
上記発明においては、前記モータの出力を巻上最大出力にまで増加させる前に、前記吊荷の重量を検出することが望ましい。
本発明によれば、検出した吊荷の重量に基づいて、吊荷の巻上最大速度を算出することができる。また、算出された巻上最大速度に基づいて、モータの巻上最大出力の出力時間を算出することができる。
【0015】
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法は、吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、前記巻上最大出力を設定することを特徴とする。
本発明によれば、巻上最大出力をストール負荷よりも小さく設定しているため、エンジンのストールの発生を防止することができる。
【0016】
本発明のエンジン発電機付きクレーンは、吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、前記モータの出力を制御するモータ制御部と、前記エンジンの出力を制御するエンジン制御部と、を備え、前記エンジンにかかるエンジン負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間をかけて、前記モータ制御部が前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力まで増加させることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、モータ制御部により、吊荷をモータの巻上最大出力で巻き上げるよう制御しているため、吊荷の巻上加速度が大きくなる。そのため、吊荷の巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間を短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0018】
また、例えば、エンジン負荷がストール負荷よりも大きい場合には、所定時間の間に、エンジン制御部がエンジンの出力を増加させることにより、ストール負荷の値を大きくすることができる。そのため、エンジン負荷をストール負荷よりも小さくすることができ、エンジンストールの発生を防止することができる。その結果、モータへの電力供給停止を防止することができ、荷役作業効率の低下を防止することができる。また、もともとエンジン負荷がストール負荷よりも小さいときには、エンジン制御部がエンジンの出力を維持することにより、エンジンストールの発生を防止することができる。
【0019】
本発明のエンジン発電機付きクレーンは、吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力とするときに必要となる前記エンジンの発電負荷が、エンジンがストールを起こすストール負荷よりも小さくなるように前記巻上最大出力を設定することを特徴とする。
本発明によれば、巻上最大出力をストール負荷よりも小さく設定しているため、エンジンのストールの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンによれば、コンテナをモータの巻上最大出力で巻き上げることにより、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。その結果、コンテナの巻上時間を短縮することができ、荷役の効率を向上させることができるという効果を奏する。
また、所定時間かけてモータ出力を巻上最大出力まで増加させるとともに、エンジン出力を制御することにより、エンジン負荷をストール負荷よりも小さくすることができる。その結果、エンジンストールの発生を防止することができ、荷役の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態について図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るクレーンであるトランスファクレーン(エンジン発電機付きクレーン)1の全体構成を示す斜視図である。トランスファクレーン1は備えられたタイヤRTにより走行可能なクレーンであって、コンテナ(吊荷)Cを目標地点に置かれたコンテナへ段積みするクレーンである。
トランスファクレーン1は、図1に示すように、クレーン走行機体2のガーダ3に沿って水平方向に移動するトロリー4を有し、コンテナCを把持するスプレッダと呼ばれる吊具5がトロリー4から垂れ下がる複数本の吊ロープ6によって吊り下げられている。吊具5は、トロリー4上に搭載された巻上装置7による吊ロープ6の巻き上げ、繰り出し動作によって昇降可能とされている。また、吊具5は、トロリー4の横行移動に追従してクレーン走行機体2のガーダ3に沿って平行移動可能とされている。
【0022】
図2は、図1に示したトランスファクレーン1のコンテナCの昇降に係る制御装置の構成を示すブロック図である。コンテナCの昇降に係る制御装置は、図2に示すように、マスターコントローラ11の操作指令に基づいてコンテナCの昇降動作を制御する制御装置12と、制御装置12からの信号を受けてインバータ19を介してモータ14を駆動制御するモータ制御部13と、を備えている。
モータ制御部13には、モータ14のトルク電流Iを計測する電流計15が備えられている。モータ14は上述の巻上装置に備えられ、モータ14は発電機18により発電された電力が、変圧器20およびインバータ19を介して供給されるように配置されている。発電機18はエンジン制御部16に制御されるエンジン17により駆動されるように配置されている。
【0023】
図3は、図2に示したモータ14の出力特性について説明するグラフである。モータ14の出力特性は、その回転速度により定トルク領域および定出力領域の2つの領域に分かれている。
定トルク領域は、回転速度が0から定格回転速度R0までの領域である。この領域では、回転速度にかかわらず定格トルクが出力される。定出力領域は、定格回転速度R0から最大回転速度Rmaxまでの領域である。この領域では、回転速度に反比例して出力トルクが低下する。
すなわち、モータ14は回転速度を上げていくと、定格回転速度R0までは定格トルクを出力することができ、定格回転速度R0を超えると出力できるトルクが低下し手行く特性を有している。
【0024】
図4は、図2に示した制御装置12の詳細について説明する部分ブロック図である。制御装置12は、図4に示すように、トルク電流IとコンテナCの巻上速度Vとからコンテナの重量Mを推定する重量算出部21と、コンテナ重量M、モータ回転速度Rおよびモータ14が出力可能な最大モータ出力(巻上最大出力)Pmaxに基づいてコンテナCの巻上時の加速度および巻上最大速度を算出する演算部22と、算出された加速度および巻上最大速度に基づいてモータ14を制御する制御部23と、を有している。
【0025】
次に、上記の構成からなるトランスファクレーン1における作用について説明する。
まずトランスファクレーン1は、図1に示すように、吊具5を段積みされたコンテナCの上に移動させ、吊具5によりコンテナCを把持する。その後、図2に示すように、マスターコントローラ11の巻上操作指令に基づいてコンテナCの巻上動作を行う。
【0026】
図5は、コンテナCの巻上速度Vについて説明する巻上速度Vと時間tとの関係を示したグラフである。図6は、コンテナCの巻上時におけるモータ14の出力Pについて説明するモータ出力Pと時間tとの関係を示した図である。
コンテナCの巻上動作が開始されると、図5に示すように、コンテナは巻上速度Vが定格巻上速度V0に到達するまで一定の加速度で巻き上げられる。ここでは、定格巻上速度V0に到達するまでの時間をt1としている。この間モータは、図3に示す定トルク領域で使用されている。また、モータ出力は、図6に示すように、0からP0まで線形的に増加している。
なお、定格巻上速度V0はモータの定格回転速度R0から求めることができ、この速度V0がトランスファクレーン1の最大吊荷重量のコンテナを巻き上げるときの速度である。
【0027】
また、この間に同時にコンテナCの重量検出が行われる。まず、図2に示すように、モータ回転数が0からR0までの間の定トルク領域(図3参照)におけるモータ14のトルク電流Iをモータ制御部13の電流計15により検出する。そして、検出したトルク電流Iを、図4に示すように、昇降制御装置12の重量算出部21に取り込む。重量算出部21では、コンテナ巻上速度Vおよびトルク電流Iによりコンテナ重量(吊ロープ、吊具重量を含む)Mを推定する。
【0028】
なお、上述の方法でコンテナCの重量Mを推定する他に、コンテナCの重量Mを検出する荷重計を備え、荷重計により重量Mを検出してもよい。
【0029】
そして、コンテナ巻上速度がV0に達した後に、その時点のモータ回転速度R、推定されたコンテナ重量Mおよび最大モータ出力Pmaxは、演算部22に取り込まれる。演算部22においては、推定されたコンテナ重量Mに基づいてコンテナ保持トルクが算出され、モータ回転速度Rおよび最大モータ出力Pmaxに基づいて最大トルクが算出される。そして、最大トルク、コンテナ保持トルク、エンジン17のストール負荷、最大モータ出力Pmaxに対応するエンジン17の発電負荷に基づいてモータの出力を最大モータ出力Pmaxにまで増加させるのに要する加速時間(所定時間)taおよびコンテナCの巻上加速度等が算出される。
【0030】
算出された加速時間taは制御部23に取り込まれる。すると制御部23は、モータ制御部13に、図6に示すように、モータの出力が加速時間ta後に最大モータ出力Pmaxとなる信号を出力する。図6においては、t4−t1が加速時間taを表しており、加速時間taの長さは、エンジン17がストールを起こさず、最大モータ出力Pmaxに対応する電力を供給できる回転数にまで上昇するのに要する時間の長さである。そのため、加速時間taはエンジンの特性に依存するが、0.2〜0.3秒程度の時間を例に挙げることができる。
【0031】
コンテナの巻上速度は、図5に示すように、時間t1の経過後に急速に上昇し、時間t2には、巻上最大速度Vmaxに到達し、その後は巻上最大速度Vmaxでコンテナを所定の高さにまで巻き上げる。モータの出力は、図6に示すように、時間t2までは最大モータ出力Pmaxを維持している。時間t2が経過すると、モータの出力は巻上最大速度Vmaxを維持するのに必要な出力にまで落とされる。
【0032】
上記の構成によれば、コンテナCをモータ14の最大モータ出力Pmaxで巻き上げているため、コンテナCの巻上加速度が大きくなる。そのため、コンテナCの巻上速度が最大巻上速度Vmaxに到達するのに要する時間(図5中のt2−t1)を、上述の制御を行わなかった場合に要する時間(図5中のt3−t1)よりも短縮することができる。その結果、コンテナCの荷役の効率を向上させることができる
また、モータ14を最大モータ出力Pmaxまで使用することができるので、モータパワーを有効に用いることができる。
【0033】
なお、上述のように、モータ14の出力を、図6に示すように、最大モータ出力Pmaxに上げる折れ点Aのモータ出力PAが、定格回転速度R0と定トルク領域のトルクTmaxによって決まるモータ出力であっても良いし、それよりも低いモータ出力であっても良い。
折れ点Aにおけるモータ出力Paが小さくなると、エンジン17の負荷が小さくなる。そのため、加速時間taを増やすことなく、折れ点Aにおけるモータ出力の増加量Pdを増やすことができる。図7は、折れ点Aにおけるモータ出力Paと、加速時間taと、モータ出力の増加量Pdとの関係を示すグラフである。加速時間taは、モータ出力Paが増加するとともに増加する傾向を示している。モータ出力の増加量Pdは、モータ出力Paが増加するとともに減少する傾向を示している。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
本実施の形態のトランスファクレーンの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、コンテナの巻上制御方法が異なっている。よって、本実施の形態においては、図8から図10を用いてコンテナの巻上制御方法周辺のみを説明し、トランスファクレーンの構成等の説明を省略する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施形態におけるコンテナの巻上制御について説明する。
図8は、コンテナCの巻上速度Vについて説明する巻上速度Vと時間tとの関係を示したグラフである。図9は、コンテナCの巻上時におけるモータ14の出力Pについて説明するモータ出力Pと時間tとの関係を示した図である。
コンテナCの巻上速度Vが定格巻上速度V0に到達するまでの制御は、第1の実施形態と同様であるので、図8および図9を示して、その説明を省略する。
【0036】
そして、コンテナ巻上速度がV0に達した後に、図10に示すように、その時点のモータ回転速度R、推定されたコンテナ重量Mおよび巻上モータ出力P1は、演算部22に取り込まれる。巻上モータ出力P1は、最大モータ出力Pmaxよりも小さな出力であって、本実施形態の巻上制御においては、最大のモータ出力である。また、巻上モータ出力P1は、エンジンがストールを起こさず発電機が、モータが出力P1を出力できる電力を発生させることができる出力である。
【0037】
演算部22においては、推定されたコンテナ重量Mに基づいてコンテナ保持トルクが算出され、モータ回転速度Rおよび巻上モータ出力P1に基づいて最大トルクが算出される。そして、最大トルクおよびコンテナ保持トルクに基づいてモータの出力を巻上モータ出力P1にまで増加させるのに要する加速時間ta1およびコンテナCの巻上加速度等が算出される。
巻上モータ出力P1が、エンジン17がストールを起こさずに対応する電力を供給できる出力であるため、加速時間ta1の長さは0となる。
【0038】
コンテナの巻上速度は、図8に示すように、時間t1の経過後に急速に上昇し、時間t4には、巻上最大速度Vmaxに到達し、その後は巻上最大速度Vmaxでコンテナを所定の高さにまで巻き上げる。モータの出力は、図9に示すように、時間t4までは巻上モータ出力P1を維持している。時間t4が経過すると、モータの出力は巻上最大速度Vmaxを維持するのに必要な出力にまで落とされる。
【0039】
上記の構成によれば、エンジン17を最も効率の良い回転数で使用し続けることができるため、トランスファクレーン1としても効率よく使用することができる。
【0040】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図11を参照して説明する。
本実施の形態のトランスファクレーンの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、コンテナの巻上制御方法が異なっている。よって、本実施の形態においては、図11を用いてコンテナの巻上制御方法周辺のみを説明し、トランスファクレーンの構成等の説明を省略する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図11は、本実施形態のトランスファクレーンのコンテナCの昇降に係る制御装置の構成を示すブロック図である。コンテナCの昇降に係る制御装置は、図11に示すように、マスターコントローラ11の操作指令に基づいてコンテナCの昇降動作を制御する制御装置52と、制御装置52からの信号を受けてインバータ19を介してモータ14を駆動制御するモータ制御部13と、エンジン17の負荷を検出する負荷検出部53と、を備えている。
負荷検出部53は、エンジン17の回転数を検出するとともに、検出信号を制御部52に出力するように配置されている。
【0042】
本実施形態におけるコンテナの巻上制御について説明する。
マスターコントローラ11からコンテナCの巻上操作指令が出力されると、昇降制御装置52は、モータ14を最大モータ出力Pmaxで駆動するようモータ制御部13に信号を出力する。
モータ14が最大モータ出力Pmaxを出力しようとすると、エンジン17にかかる負荷が大きくなりエンジン17の回転数が低下し始める。エンジン17の回転数低下は、負荷検出部53に検出され、負荷信号は昇降制御装置52に取り込まれる。
【0043】
昇降制御装置52は、負荷信号を負荷の大きさによって複数の段階に分けて評価する。負荷信号が、エンジン17がストールする過負荷の段階よりも1つ負荷の小さな段階に達すると、昇降制御装置52はエンジン17の回転数を増加させる信号をエンジン制御部16に出力する。それと同時に、モータ14の出力上昇を緩やかにして時間をかける制御信号をモータ制御部13に出力する。なお、モータ14の出力上昇にかける時間は、エンジン14の出力増加特性を考慮することが望ましい。出力増加特性としては、エンジンが回転数増加信号を受け取ってから、実際に出力が増加するまでの時間差を用いることが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、制御装置52がエンジン17の負荷信号に基づいてモータ14の出力上昇を制御しているため、さまざまな条件下でもエンジン17のストールを防止することができる。また、負荷信号が過負荷より1つ負荷の小さな段階に達したところで、モータ14の出力上昇を制御するため、より確実に防止することができる。
【0045】
なお、負荷検出部53は、上述のようにエンジン17の回転数を検出しても良いし、発電機18により発電された電力の周波数を検出しても良いし、発電された電力の電圧を検出しても良い。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明をトランスファクレーンに適用して説明したが、この発明はトランスファクレーンに限られることなく、エンジン付き発電機を搭載し、この発電機により供給される電力を用いて吊荷を巻き上げる各種の移動式クレーンに適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるトランスファクレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すトランスファクレーンの制御装置を示すブロック図である。
【図3】図2に示すモータの出力特性を示す図である。
【図4】図2に示す制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図5】コンテナ巻上時における巻上速度と時間との関係を示す図である。
【図6】コンテナ巻上時におけるモータの出力と時間との関係を示す図である。
【図7】折れ点におけるモータ出力と加速時間とモータ出力の増加量との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるコンテナ巻上時における巻上速度と時間との関係を示す図である。
【図9】コンテナ巻上時におけるモータの出力と時間との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態にかかるトランスファクレーンの昇降制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態にかかるトランスファクレーンの昇降制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 トランスファクレーン(エンジン発電機付きクレーン)
5 吊具
6 吊ロープ
13 モータ制御部
14 モータ
17 エンジン
18 発電機
C コンテナ(吊荷)
Pmax 最大モータ出力(巻上最大出力)
ta 加速時間(所定時間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
港湾等のヤードにおいては、クレーン装置によって船舶あるいはトレーラへのコンテナの積み込み、及び、船舶あるいはトレーラからのコンテナの積み降ろし等の運搬作業が行われている。これらコンテナの積み込み積み下ろしの際の、コンテナの巻上げ、巻き下げはクレーン装置に備えられたモータにより行われている。
【0003】
近年においては、ヤードの荷役効率の向上が求められており荷役効率を向上させるさまざまな技術が提案されている。例えば、上述したコンテナの積み込み積み下ろしの効率を向上させるため、コンテナ(吊荷)重量とモータ能力等とに応じて、その巻き上げ速度を変える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、モータ能力を余すところなく用いることができるとともに、コンテナの積み込み積み下ろしの効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開平11−246182号公報(第4−5頁、第1図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のように、吊荷の重量に応じてその巻上げ速度を変える場合には、まず吊荷の重量を検知して、その後に巻き上げ速度を変える制御が通常行われている。
このように、巻き上げ速度を変更する制御を行うと、実際に吊荷を巻き上げているモータの消費電力も巻き上げ速度の変化に伴い変化する。例えば、巻き上げ速度を急に早くすると、モータの消費電力も急に増加する。
外部から電力が供給されるコンテナクレーン等においては、上述のように消費電力が急に増加しても、電力を安定して供給することができ特に問題が発生しなかった。
【0005】
しかしながら、モータの消費電力を搭載されたエンジン式発電機で供給するトランスファクレーンやモバイル・ハーバー・クレーン(MHC)などにおいては、上述のように消費電力が急に増加すると、エンジンが消費電力の急増に追従できずストールする恐れがあった。つまり、モータの消費電力の急増により発電機を駆動するエンジンの負荷が急増し、この負荷の急増にエンジンが追従できずにストールする恐れがあった。
発電機を駆動するエンジンがストールするとモータへの電力供給が停止するため、荷役作業が中断して作業効率が低下するという問題があった。
【0006】
また、上記のトランスファクレーン等にバッテリ等のキャパシタを搭載して、消費電力の急増分をキャパシタにより補いエンジンストールを防止する技術も考えられる。しかし、消費電力の急増分を補うことができる容量を有するキャパシタはコストが高いという問題があった。また、上記容量を有するキャパシタは重量が重いという問題があった。これらの問題により、トランスファクレーン等にモータへ電力を供給するキャパシタを搭載することは行われていなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、モータパワーを有効に用いることができるとともに、荷役の効率を向上させることができるエンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法は、吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間かけて前記モータの出力を前記巻上最大出力まで増加させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、吊荷をモータの巻上最大出力で巻き上げているため、吊荷の巻上加速度が大きくなる。そのため、吊荷の巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間を短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0010】
また、例えば、発電負荷がストール負荷よりも大きい場合には、所定時間の間にエンジンの出力を増加させることにより、発電負荷によるエンジンストールの発生を防止することができる。その結果、モータへの電力供給停止を防止することができ、荷役作業効率の低下を防止することができる。また、もともと発電負荷がストール負荷よりも小さいときには、エンジンの出力を維持することにより、不要なエンジン出力の増加を防止することができる。
また、モータの最大出力に応じた最大出力を有するエンジンを用いることができる。そのため、必要以上に大きな最大出力を有するエンジンを用いる必要がなくなる。
【0011】
また、上記発明においては、前記巻上最大出力が、前記モータの出力可能な最大モータ出力であることが望ましい。
本発明によれば、吊荷の巻上加速度をより大きくすることができ、巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間をより短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0012】
さらに、上記発明においては、前記所定時間が、前記巻上最大出力と前記エンジンの特性とに基づいて算出されることが望ましい。
本発明によれば、巻上最大出力に基づいて吊荷の巻上時にエンジンにかかる最大負荷を算出することができる。また、エンジンの特性から、エンジンが算出された最大負荷によりエンジンストールしないように制御するのに要する時間、つまり所定時間を算出することができる。その結果、さまざまな条件においてもエンジンストールの発生を防止することができる。
【0013】
上記発明においては、前記所定時間が予め設定されていることが望ましい。
本発明によれば、所定時間をその都度算出する場合と比較して、モータの出力をより素早く制御することができる。そのため、制御の遅れによるエンジンストール等の不具合発生を防止することができる。
【0014】
上記発明においては、前記モータの出力を巻上最大出力にまで増加させる前に、前記吊荷の重量を検出することが望ましい。
本発明によれば、検出した吊荷の重量に基づいて、吊荷の巻上最大速度を算出することができる。また、算出された巻上最大速度に基づいて、モータの巻上最大出力の出力時間を算出することができる。
【0015】
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法は、吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、前記巻上最大出力を設定することを特徴とする。
本発明によれば、巻上最大出力をストール負荷よりも小さく設定しているため、エンジンのストールの発生を防止することができる。
【0016】
本発明のエンジン発電機付きクレーンは、吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、前記モータの出力を制御するモータ制御部と、前記エンジンの出力を制御するエンジン制御部と、を備え、前記エンジンにかかるエンジン負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間をかけて、前記モータ制御部が前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力まで増加させることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、モータ制御部により、吊荷をモータの巻上最大出力で巻き上げるよう制御しているため、吊荷の巻上加速度が大きくなる。そのため、吊荷の巻上速度が所定巻上速度に到達するのに要する時間を短縮することができ、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。
【0018】
また、例えば、エンジン負荷がストール負荷よりも大きい場合には、所定時間の間に、エンジン制御部がエンジンの出力を増加させることにより、ストール負荷の値を大きくすることができる。そのため、エンジン負荷をストール負荷よりも小さくすることができ、エンジンストールの発生を防止することができる。その結果、モータへの電力供給停止を防止することができ、荷役作業効率の低下を防止することができる。また、もともとエンジン負荷がストール負荷よりも小さいときには、エンジン制御部がエンジンの出力を維持することにより、エンジンストールの発生を防止することができる。
【0019】
本発明のエンジン発電機付きクレーンは、吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力とするときに必要となる前記エンジンの発電負荷が、エンジンがストールを起こすストール負荷よりも小さくなるように前記巻上最大出力を設定することを特徴とする。
本発明によれば、巻上最大出力をストール負荷よりも小さく設定しているため、エンジンのストールの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエンジン発電機付きクレーンの制御方法およびエンジン発電機付きクレーンによれば、コンテナをモータの巻上最大出力で巻き上げることにより、所定巻上速度で運転する時間を長くすることができる。その結果、コンテナの巻上時間を短縮することができ、荷役の効率を向上させることができるという効果を奏する。
また、所定時間かけてモータ出力を巻上最大出力まで増加させるとともに、エンジン出力を制御することにより、エンジン負荷をストール負荷よりも小さくすることができる。その結果、エンジンストールの発生を防止することができ、荷役の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態について図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るクレーンであるトランスファクレーン(エンジン発電機付きクレーン)1の全体構成を示す斜視図である。トランスファクレーン1は備えられたタイヤRTにより走行可能なクレーンであって、コンテナ(吊荷)Cを目標地点に置かれたコンテナへ段積みするクレーンである。
トランスファクレーン1は、図1に示すように、クレーン走行機体2のガーダ3に沿って水平方向に移動するトロリー4を有し、コンテナCを把持するスプレッダと呼ばれる吊具5がトロリー4から垂れ下がる複数本の吊ロープ6によって吊り下げられている。吊具5は、トロリー4上に搭載された巻上装置7による吊ロープ6の巻き上げ、繰り出し動作によって昇降可能とされている。また、吊具5は、トロリー4の横行移動に追従してクレーン走行機体2のガーダ3に沿って平行移動可能とされている。
【0022】
図2は、図1に示したトランスファクレーン1のコンテナCの昇降に係る制御装置の構成を示すブロック図である。コンテナCの昇降に係る制御装置は、図2に示すように、マスターコントローラ11の操作指令に基づいてコンテナCの昇降動作を制御する制御装置12と、制御装置12からの信号を受けてインバータ19を介してモータ14を駆動制御するモータ制御部13と、を備えている。
モータ制御部13には、モータ14のトルク電流Iを計測する電流計15が備えられている。モータ14は上述の巻上装置に備えられ、モータ14は発電機18により発電された電力が、変圧器20およびインバータ19を介して供給されるように配置されている。発電機18はエンジン制御部16に制御されるエンジン17により駆動されるように配置されている。
【0023】
図3は、図2に示したモータ14の出力特性について説明するグラフである。モータ14の出力特性は、その回転速度により定トルク領域および定出力領域の2つの領域に分かれている。
定トルク領域は、回転速度が0から定格回転速度R0までの領域である。この領域では、回転速度にかかわらず定格トルクが出力される。定出力領域は、定格回転速度R0から最大回転速度Rmaxまでの領域である。この領域では、回転速度に反比例して出力トルクが低下する。
すなわち、モータ14は回転速度を上げていくと、定格回転速度R0までは定格トルクを出力することができ、定格回転速度R0を超えると出力できるトルクが低下し手行く特性を有している。
【0024】
図4は、図2に示した制御装置12の詳細について説明する部分ブロック図である。制御装置12は、図4に示すように、トルク電流IとコンテナCの巻上速度Vとからコンテナの重量Mを推定する重量算出部21と、コンテナ重量M、モータ回転速度Rおよびモータ14が出力可能な最大モータ出力(巻上最大出力)Pmaxに基づいてコンテナCの巻上時の加速度および巻上最大速度を算出する演算部22と、算出された加速度および巻上最大速度に基づいてモータ14を制御する制御部23と、を有している。
【0025】
次に、上記の構成からなるトランスファクレーン1における作用について説明する。
まずトランスファクレーン1は、図1に示すように、吊具5を段積みされたコンテナCの上に移動させ、吊具5によりコンテナCを把持する。その後、図2に示すように、マスターコントローラ11の巻上操作指令に基づいてコンテナCの巻上動作を行う。
【0026】
図5は、コンテナCの巻上速度Vについて説明する巻上速度Vと時間tとの関係を示したグラフである。図6は、コンテナCの巻上時におけるモータ14の出力Pについて説明するモータ出力Pと時間tとの関係を示した図である。
コンテナCの巻上動作が開始されると、図5に示すように、コンテナは巻上速度Vが定格巻上速度V0に到達するまで一定の加速度で巻き上げられる。ここでは、定格巻上速度V0に到達するまでの時間をt1としている。この間モータは、図3に示す定トルク領域で使用されている。また、モータ出力は、図6に示すように、0からP0まで線形的に増加している。
なお、定格巻上速度V0はモータの定格回転速度R0から求めることができ、この速度V0がトランスファクレーン1の最大吊荷重量のコンテナを巻き上げるときの速度である。
【0027】
また、この間に同時にコンテナCの重量検出が行われる。まず、図2に示すように、モータ回転数が0からR0までの間の定トルク領域(図3参照)におけるモータ14のトルク電流Iをモータ制御部13の電流計15により検出する。そして、検出したトルク電流Iを、図4に示すように、昇降制御装置12の重量算出部21に取り込む。重量算出部21では、コンテナ巻上速度Vおよびトルク電流Iによりコンテナ重量(吊ロープ、吊具重量を含む)Mを推定する。
【0028】
なお、上述の方法でコンテナCの重量Mを推定する他に、コンテナCの重量Mを検出する荷重計を備え、荷重計により重量Mを検出してもよい。
【0029】
そして、コンテナ巻上速度がV0に達した後に、その時点のモータ回転速度R、推定されたコンテナ重量Mおよび最大モータ出力Pmaxは、演算部22に取り込まれる。演算部22においては、推定されたコンテナ重量Mに基づいてコンテナ保持トルクが算出され、モータ回転速度Rおよび最大モータ出力Pmaxに基づいて最大トルクが算出される。そして、最大トルク、コンテナ保持トルク、エンジン17のストール負荷、最大モータ出力Pmaxに対応するエンジン17の発電負荷に基づいてモータの出力を最大モータ出力Pmaxにまで増加させるのに要する加速時間(所定時間)taおよびコンテナCの巻上加速度等が算出される。
【0030】
算出された加速時間taは制御部23に取り込まれる。すると制御部23は、モータ制御部13に、図6に示すように、モータの出力が加速時間ta後に最大モータ出力Pmaxとなる信号を出力する。図6においては、t4−t1が加速時間taを表しており、加速時間taの長さは、エンジン17がストールを起こさず、最大モータ出力Pmaxに対応する電力を供給できる回転数にまで上昇するのに要する時間の長さである。そのため、加速時間taはエンジンの特性に依存するが、0.2〜0.3秒程度の時間を例に挙げることができる。
【0031】
コンテナの巻上速度は、図5に示すように、時間t1の経過後に急速に上昇し、時間t2には、巻上最大速度Vmaxに到達し、その後は巻上最大速度Vmaxでコンテナを所定の高さにまで巻き上げる。モータの出力は、図6に示すように、時間t2までは最大モータ出力Pmaxを維持している。時間t2が経過すると、モータの出力は巻上最大速度Vmaxを維持するのに必要な出力にまで落とされる。
【0032】
上記の構成によれば、コンテナCをモータ14の最大モータ出力Pmaxで巻き上げているため、コンテナCの巻上加速度が大きくなる。そのため、コンテナCの巻上速度が最大巻上速度Vmaxに到達するのに要する時間(図5中のt2−t1)を、上述の制御を行わなかった場合に要する時間(図5中のt3−t1)よりも短縮することができる。その結果、コンテナCの荷役の効率を向上させることができる
また、モータ14を最大モータ出力Pmaxまで使用することができるので、モータパワーを有効に用いることができる。
【0033】
なお、上述のように、モータ14の出力を、図6に示すように、最大モータ出力Pmaxに上げる折れ点Aのモータ出力PAが、定格回転速度R0と定トルク領域のトルクTmaxによって決まるモータ出力であっても良いし、それよりも低いモータ出力であっても良い。
折れ点Aにおけるモータ出力Paが小さくなると、エンジン17の負荷が小さくなる。そのため、加速時間taを増やすことなく、折れ点Aにおけるモータ出力の増加量Pdを増やすことができる。図7は、折れ点Aにおけるモータ出力Paと、加速時間taと、モータ出力の増加量Pdとの関係を示すグラフである。加速時間taは、モータ出力Paが増加するとともに増加する傾向を示している。モータ出力の増加量Pdは、モータ出力Paが増加するとともに減少する傾向を示している。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
本実施の形態のトランスファクレーンの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、コンテナの巻上制御方法が異なっている。よって、本実施の形態においては、図8から図10を用いてコンテナの巻上制御方法周辺のみを説明し、トランスファクレーンの構成等の説明を省略する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施形態におけるコンテナの巻上制御について説明する。
図8は、コンテナCの巻上速度Vについて説明する巻上速度Vと時間tとの関係を示したグラフである。図9は、コンテナCの巻上時におけるモータ14の出力Pについて説明するモータ出力Pと時間tとの関係を示した図である。
コンテナCの巻上速度Vが定格巻上速度V0に到達するまでの制御は、第1の実施形態と同様であるので、図8および図9を示して、その説明を省略する。
【0036】
そして、コンテナ巻上速度がV0に達した後に、図10に示すように、その時点のモータ回転速度R、推定されたコンテナ重量Mおよび巻上モータ出力P1は、演算部22に取り込まれる。巻上モータ出力P1は、最大モータ出力Pmaxよりも小さな出力であって、本実施形態の巻上制御においては、最大のモータ出力である。また、巻上モータ出力P1は、エンジンがストールを起こさず発電機が、モータが出力P1を出力できる電力を発生させることができる出力である。
【0037】
演算部22においては、推定されたコンテナ重量Mに基づいてコンテナ保持トルクが算出され、モータ回転速度Rおよび巻上モータ出力P1に基づいて最大トルクが算出される。そして、最大トルクおよびコンテナ保持トルクに基づいてモータの出力を巻上モータ出力P1にまで増加させるのに要する加速時間ta1およびコンテナCの巻上加速度等が算出される。
巻上モータ出力P1が、エンジン17がストールを起こさずに対応する電力を供給できる出力であるため、加速時間ta1の長さは0となる。
【0038】
コンテナの巻上速度は、図8に示すように、時間t1の経過後に急速に上昇し、時間t4には、巻上最大速度Vmaxに到達し、その後は巻上最大速度Vmaxでコンテナを所定の高さにまで巻き上げる。モータの出力は、図9に示すように、時間t4までは巻上モータ出力P1を維持している。時間t4が経過すると、モータの出力は巻上最大速度Vmaxを維持するのに必要な出力にまで落とされる。
【0039】
上記の構成によれば、エンジン17を最も効率の良い回転数で使用し続けることができるため、トランスファクレーン1としても効率よく使用することができる。
【0040】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図11を参照して説明する。
本実施の形態のトランスファクレーンの基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、コンテナの巻上制御方法が異なっている。よって、本実施の形態においては、図11を用いてコンテナの巻上制御方法周辺のみを説明し、トランスファクレーンの構成等の説明を省略する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図11は、本実施形態のトランスファクレーンのコンテナCの昇降に係る制御装置の構成を示すブロック図である。コンテナCの昇降に係る制御装置は、図11に示すように、マスターコントローラ11の操作指令に基づいてコンテナCの昇降動作を制御する制御装置52と、制御装置52からの信号を受けてインバータ19を介してモータ14を駆動制御するモータ制御部13と、エンジン17の負荷を検出する負荷検出部53と、を備えている。
負荷検出部53は、エンジン17の回転数を検出するとともに、検出信号を制御部52に出力するように配置されている。
【0042】
本実施形態におけるコンテナの巻上制御について説明する。
マスターコントローラ11からコンテナCの巻上操作指令が出力されると、昇降制御装置52は、モータ14を最大モータ出力Pmaxで駆動するようモータ制御部13に信号を出力する。
モータ14が最大モータ出力Pmaxを出力しようとすると、エンジン17にかかる負荷が大きくなりエンジン17の回転数が低下し始める。エンジン17の回転数低下は、負荷検出部53に検出され、負荷信号は昇降制御装置52に取り込まれる。
【0043】
昇降制御装置52は、負荷信号を負荷の大きさによって複数の段階に分けて評価する。負荷信号が、エンジン17がストールする過負荷の段階よりも1つ負荷の小さな段階に達すると、昇降制御装置52はエンジン17の回転数を増加させる信号をエンジン制御部16に出力する。それと同時に、モータ14の出力上昇を緩やかにして時間をかける制御信号をモータ制御部13に出力する。なお、モータ14の出力上昇にかける時間は、エンジン14の出力増加特性を考慮することが望ましい。出力増加特性としては、エンジンが回転数増加信号を受け取ってから、実際に出力が増加するまでの時間差を用いることが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、制御装置52がエンジン17の負荷信号に基づいてモータ14の出力上昇を制御しているため、さまざまな条件下でもエンジン17のストールを防止することができる。また、負荷信号が過負荷より1つ負荷の小さな段階に達したところで、モータ14の出力上昇を制御するため、より確実に防止することができる。
【0045】
なお、負荷検出部53は、上述のようにエンジン17の回転数を検出しても良いし、発電機18により発電された電力の周波数を検出しても良いし、発電された電力の電圧を検出しても良い。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明をトランスファクレーンに適用して説明したが、この発明はトランスファクレーンに限られることなく、エンジン付き発電機を搭載し、この発電機により供給される電力を用いて吊荷を巻き上げる各種の移動式クレーンに適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるトランスファクレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すトランスファクレーンの制御装置を示すブロック図である。
【図3】図2に示すモータの出力特性を示す図である。
【図4】図2に示す制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図5】コンテナ巻上時における巻上速度と時間との関係を示す図である。
【図6】コンテナ巻上時におけるモータの出力と時間との関係を示す図である。
【図7】折れ点におけるモータ出力と加速時間とモータ出力の増加量との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるコンテナ巻上時における巻上速度と時間との関係を示す図である。
【図9】コンテナ巻上時におけるモータの出力と時間との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態にかかるトランスファクレーンの昇降制御装置の詳細を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態にかかるトランスファクレーンの昇降制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 トランスファクレーン(エンジン発電機付きクレーン)
5 吊具
6 吊ロープ
13 モータ制御部
14 モータ
17 エンジン
18 発電機
C コンテナ(吊荷)
Pmax 最大モータ出力(巻上最大出力)
ta 加速時間(所定時間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、
前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、
前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間かけて前記モータの出力を前記巻上最大出力まで増加させることを特徴とするエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項2】
前記巻上最大出力が、前記モータの出力可能な最大モータ出力であることを特徴とする請求項1記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項3】
前記所定時間が、前記巻上最大出力と前記エンジンの特性とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項4】
前記所定時間が予め設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項5】
前記モータの出力を巻上最大出力にまで増加させる前に、前記吊荷の重量を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項6】
吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、
前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、
前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、前記巻上最大出力を設定することを特徴とするエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項7】
吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、
前記モータの出力を制御するモータ制御部と、前記エンジンの出力を制御するエンジン制御部と、を備え、
前記エンジンにかかるエンジン負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間をかけて、前記モータ制御部が前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力まで増加させることを特徴とするエンジン発電機付きクレーン。
【請求項8】
吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、
前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力とするときに必要となる前記エンジンの発電負荷が、エンジンがストールを起こすストール負荷よりも小さくなるように前記巻上最大出力を設定することを特徴とするエンジン発電機付きクレーン。
【請求項1】
吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、
前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、
前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間かけて前記モータの出力を前記巻上最大出力まで増加させることを特徴とするエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項2】
前記巻上最大出力が、前記モータの出力可能な最大モータ出力であることを特徴とする請求項1記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項3】
前記所定時間が、前記巻上最大出力と前記エンジンの特性とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項4】
前記所定時間が予め設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項5】
前記モータの出力を巻上最大出力にまで増加させる前に、前記吊荷の重量を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項6】
吊荷を把持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、前記モータの駆動用電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンの制御方法であって、
前記吊荷を巻き上げる時の前記モータの出力を、巻上時の最大出力である巻上最大出力にまで増加させる際に、
前記エンジンにかかる発電負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、前記巻上最大出力を設定することを特徴とするエンジン発電機付きクレーンの制御方法。
【請求項7】
吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、
前記モータの出力を制御するモータ制御部と、前記エンジンの出力を制御するエンジン制御部と、を備え、
前記エンジンにかかるエンジン負荷が、エンジンがストールを起こす負荷であるストール負荷よりも小さくなるように、所定時間をかけて、前記モータ制御部が前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力まで増加させることを特徴とするエンジン発電機付きクレーン。
【請求項8】
吊荷を保持する吊具と、該吊具を吊り下げる吊ロープと、該吊ロープを巻き上げ、繰り出しすることにより前記吊具を昇降させるモータと、該モータを駆動する電力を供給する発電機と、該発電機を駆動するエンジンと、を有するエンジン発電機付きクレーンであって、
前記モータの出力を巻上時の最大出力である巻上最大出力とするときに必要となる前記エンジンの発電負荷が、エンジンがストールを起こすストール負荷よりも小さくなるように前記巻上最大出力を設定することを特徴とするエンジン発電機付きクレーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−76747(P2006−76747A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263947(P2004−263947)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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