説明

エンボスキャリアテープ

【課題】 再利用が可能であり、しかも物品収容用凹部内に電子部品などの物品を容易且つ安定的に収容することができるようにする。
【解決手段】 長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部2が形成されたテープ本体3と、テープ本体3の両側縁部または片側縁部3aに延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップ4とを有するエンボスキャリアテープ1であって、フラップ4は物品収容用凹部2における開口部の全部または一部を閉止して物品収容用凹部2内に物品Pを保持し得る幅となされており、フラップ4がテープ本体3に凹凸嵌合するようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、精密機械部品その他の部品などを多数収容するためのエンボスキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
エンボスキャリアテープは、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の上面側に接着されて、前記物品収納用凹部を閉止するカバーテープとで構成されている。そして、かかるエンボスキャリアテープは、そのテープ本体における各凹部に電子部品等の物品を入れた後、テープ本体の上面にカバーテープを接着剤で接合することにより物品の装填を行うものである。また、物品の装填後においては、当該キャリアテープを所定長ずつリールに巻き取って、該リールごと物品供給場所へ搬送するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−261173号公報
【特許文献2】特開2005−212810号公報
【特許文献3】特願2009−16093号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した構造のエンボスキャリアテープの場合、物品の使用場所において、前記リールから順次繰り出された当該テープについて、そのカバーテープを機械的に剥離させて収容用凹部内の物品を順次取り出してゆくのであるが、その取り出し後のテープ本体の上面には前記カバーテープを接合していた接着剤の一部が残存していることから、使用後のテープ本体の収容凹部に再び物品を充填して新たなカバーテープを再度接着剤で接合させようとしても不完全な接合となってしまう。そのため、前記物品取り出し後においては、カバーテープは勿論、テープ本体についてもすべて廃棄していた。
【0005】
しかし近年、原油価格の上昇に伴ってプラスチック材料価格が高騰する一方、資源の有効利用や地球温暖化防止が一層重要視されているなかで、前記使用後のテープ本体やカバーテープを使い捨てにして大量の産業廃棄物を発生させることは好ましくない。
【0006】
そこで、本願の出願人は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の両側縁部または片側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップとを有するエンボスキャリアテープを提案している。このテープによれば、前記カバーテープを用いることなく、前記フラップの開閉によって凹部内への収納物品の出し入れが行えるため、当該テープ自体の再利用が可能となるが、ICチップ等の比較的薄い物品を収納する場合には、物品収容用凹部と前記フラップとの間の隙間に物品の端部が入り込んでしまう場合があった。
【0007】
本発明の目的は、前述した問題を一挙に解決することができるエンボスキャリアテープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の両側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップとを有し、両フラップは物品収容用凹部における開口部の全部または一部を閉止して物品収容用凹部内に物品を保持し得る幅となされており、両フラップの下面とテープ本体の上面の一方にそれらの長さ方向に所定間隔をあけて嵌合凹部または嵌合凸部が形成され、他方にはこれらに対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されているエンボスキャリアテープである。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のエンボスキャリアテープについて、嵌合凹部または嵌合凸部が、テープ本体における隣り合う物品収容用凹部間に左右一対で形成されており、両フラップには前記テープ本体に対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の本発明は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の片側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップとを有し、フラップは物品収容用凹部における開口部の全部または一部を閉止して物品収容用凹部内に物品を保持し得る幅となされており、フラップの下面とテープ本体の上面の一方にそれらの長さ方向に所定間隔をあけて嵌合凹部または嵌合凸部が形成され、他方にはこれらに対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されているエンボスキャリアテープである。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載のエンボスキャリアテープについて、嵌合凹部または嵌合凸部が、テープ本体における隣り合う物品収容用凹部間に一箇所ずつ形成されており、フラップには前記テープ本体に対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のエンボスキャリアテープについて、隣り合う物品収容用凹部間におけるテープ本体およびフラップにそれらの長さ方向と直交する切り離し線が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載のエンボスキャリアテープについて、各物品収容用凹部に連続番号が付されたものである。
【0014】
請求項7記載の本発明は、前記請求項5に記載のエンボスキャリアテープにおける切り離し線から分離することにより得られるエンボスキャリアテープ分割体である。
【0015】
なお、本発明において、フラップを折り畳み自在とする手段としては、例えばフラップとテープ本体の境界部分に溝を設けることが考えられるが、本発明はこれに限定されず、透孔をミシン目状に設けるなど、別の構成であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜請求項4記載のエンボスキャリアテープによれば、テープ本体の両側縁部または片側縁部に設けられたフラップを物品収容用凹部の開口部へ折り曲げることによって、前記凹部内に物品を保持することができる一方、前記フラップを反対側へ戻すことで凹部の開口部が開放されて凹部内の物品を取り出すことができる。そして、物品の取り出し後において、凹部内に再び新たな物品を収納した後、フラップを再び凹部の開口部へ折り曲げることによって、新たな物品が凹部内に保持されるため、当該テープの再利用が可能となる。そして、更に本発明では、フラップとテープ本体に設けられた嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌め合わされることでフラップがテープ本体の上面に固定された状態となるため、テープ本体とフラップとの間に隙間を生ずることがなく、したがって、物品収容用凹部内に入れられた物品がICチップ等の比較的薄い物品であっても、これがフラップとテープ本体との間に進入することがない。また、物品収容用凹部内に入れられた物品は、テープ本体に固定されたフラップによって、安定的に保持された状態となり、当該エンボスキャリアテープを裏返した場合でも収納物品が脱落することはない。そのため、当該エンボスキャリアテープを裏返して収納された物品の検査を行うことも可能となる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、当該エンボスキャリアテープを各切り離し線で分離することにより、単品の包装体として使用することが可能となる。
【0018】
請求項6記載の本発明では、各物品収容用凹部に連続番号が付されているため、当該エンボスキャリアテープに物品を収容する場合や逆に収納した物品を順次取り出す場合において、その番号を見ることで、当該エンボスキャリアテープに収納されている物品数を即座に把握することができるという利点がある。
【0019】
請求項7記載の本発明によれば、当該エンボスキャリアテープにおける適切な切り離し線を選んで該切り離し線で当該テープを分離することで所定長の短冊状のエンボスキャリアテープ分割体が得られ、これを所定サイズのトレイに並列的に並べることにより、前記トレイに物品が規則的に配列された状態となり、この状態で手作業または機械的に物品を取り上げていくという作業が可能となる。
【0020】
この他、前述した通り、フラップはテープ本体に完全に固定されてテープ本体の上面位置にあるため、物品収容用凹部内の物品はフラップで確実に押さえられて固定される構造であるため、凹部内での物品の移動が有効に抑制されるため、物品と凹部とのクリアランスを狭くする必要はなく、該クリアランスを広くとることができることから、各凹部への物品の収容が容易且つ効率的に行えるという利点も得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0022】
(実施形態1)
【0023】
図1〜図4に本実施形態を示すが、本実施形態において、上下および左右は、図3を基準とし、上とは図3の上側を指し、下とは同図の下側を指すものとする。また左とは図3における左側を指し、右とは同図の右側を指すものとする。
【0024】
エンボスキャリアテープ1は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部2が形成されたテープ本体3と、テープ本体3の右側縁部3aに延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップ4とを有し、フラップ4は物品収容用凹部2における開口部2aの全部を閉止して物品収容用凹部2内に物品Pを保持し得る幅となされている。
【0025】
そして、テープ本体3の上面左側縁部寄り部分における物品収納用凹部2間には嵌合凹部5が形成され、フラップ4の下面には、嵌合凹部5と嵌め合わされる嵌合凸部7が形成されている。
【0026】
本実施形態では、物品収容用凹部2は平面から見て円形であり、フラップ4はテープ本体3の右側縁部3aから左側縁部3b寄り部分まで設けられている。
【0027】
また、図4に示すように、テープ本体3とフラップ4の境界部分(右側縁部3a)にはテープ本体3の長さ方向に伸びる小溝10が形成されており、小溝10はフラップ4を折り畳み可能とするものである。
【0028】
なお、図中6は、当該エンボスキャリアテープ1を送るためのピンローラ(図示せず)におけるピン(いずれも図示せず)が嵌まる係合孔を示す。
【0029】
また、本実施形態では、テープ本体3に嵌合凹部5を形成し、フラップ4に嵌合凸部7を形成したが、テープ本体3に嵌合凸部を形成し、フラップ4に嵌合凹部を形成するようにしても良い。
【0030】
ただし、本実施形態の場合、フラップ4に嵌合凸部7を形成することでフラップ4を折り畳んだ状態において、図3に示すように、フラップ4の上面から突出するものがないため、当該エンボスキャリアテープ1の送りがスムーズに行えるという利点がある。
【0031】
(実施形態2)
【0032】
図5〜図7に示すように、エンボスキャリアテープ31は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部32が形成されたテープ本体33と、テープ本体33の両側縁部33aに延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップ34とを有し、両側のフラップ34はそれぞれ物品収容用凹部32における開口部32aの両端部分まで伸びて、物品収容用凹部32内に物品Pを保持し得る幅となされている。より詳細には、物品Pは薄肉の横長板状であり、物品収容用凹部32は物品Pと対応して平面から見て横長方形となされている。
【0033】
そして、テープ本体33の上面における隣り合う物品収容用凹部32間には左右一対の嵌合凹部35が形成され、フラップ34の下面には嵌合凹部35に対応する嵌合凸部37が形成されている。
【0034】
なお、本実施形態においても、前記実施形態1と同様、テープ本体33に嵌合凹部35を形成し、フラップ34に嵌合凸部37を形成したが、これら嵌合凸部と嵌合凹部の形成を逆にしても良い。
【0035】
なお、図中36は、当該エンボスキャリアテープ31を送るためのピンローラ(図示せず)におけるピン(いずれも図示せず)が嵌まる係合孔を示す。
【0036】
(実施形態3)
【0037】
図8および図9に本実施形態を示すが、本実施形態において、上下および左右は、図9を基準とし、上とは図9の上側を指し、下とは同図の下側を指すものとする。また左とは図9における左側を指し、右とは同図の右側を指すものとする。
【0038】
エンボスキャリアテープ41は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部42が形成されたテープ本体43と、テープ本体43の右側縁部43aに延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップ44とを有し、フラップ44は物品収容用凹部42における開口部42aの全部を閉止して物品収容用凹部42内に物品P3を保持し得る幅となされ、且つフラップ44には物品収容用凹部42と反対方向へ突出した物品収容用逆凹部45が形成されている。
【0039】
また、テープ本体43の上面左側縁部寄り部分には、各物品収容用凹部42と対応する嵌合凹部46が形成され、フラップ44の下面には嵌合凹部46と嵌め合わされる嵌合凸部47が形成されている。更に、本実施形態では、隣り合う物品収容用凹部42間におけるテープ本体43およびフラップ44に、それらの長さ方向と直交する方向に切り離し線48が設けられている。
【0040】
本実施形態のエンボスキャリアテープ41によれば、前記各実施形態のものと同様、嵌合凹部46と嵌合凸部47との嵌め合わせによって、フラップ44がテープ本体43に固定されることは勿論、各切り離し線48において、当該エンボスキャリアテープ41を分離することにより、図10に示すように、一個ずつの包装体40Aとすることもできるし、或いは図11に示すように、幾つかおきの切り取り線48で当該エンボスキャリアテープ41を分離することで短冊状の包装体40Bとすることもできる。
【0041】
(実施形態4)
【0042】
図12に示すように、本実施形態は、前記実施形態1に係るエンボスキャリアテープ1におけるすべての物品収容用凹部2に「1」から始まる連続番号57を付したものである。連続番号57は、当該エンボスキャリアテープ1に物品を装填したり、或いは装填した物品を取り出す場合の物品数の管理が目視により行えるようにするためのものである。
【0043】
すなわち、当該エンボスキャリアテープ1への物品の装填や取り出しの途中において、連続番号57を見れば、物品の装填個数や取り出し済み個数を即座に把握することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るエンボスキャリアテープは、再利用が可能である上、物品を保持するフラップがテープ本体に固定される構造であるため、物品がより安定的にテープ本体内に収容されることから、幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係るエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図2】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの平面図である。
【図3】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの横断面図である。
【図4】同実施形態におけるフラップの折り曲げ構造を示す部分拡大横断面である。
【図5】実施形態2に係るエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図6】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの平面図である。
【図7】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの横断面図である。
【図8】実施形態3に係るエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図9】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの横断面図である。
【図10】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの一つの分割体を示す斜視図である。
【図11】同実施形態に係るエンボスキャリアテープの二連の分割体を示す斜視図である。
【図12】実施形態5に係るエンボスキャリアテープの平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 エンボスキャリアテープ
2 物品収容用凹部
3 テープ本体
4 フラップ
5 嵌合凹部
7 嵌合凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の両側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップとを有し、両フラップは物品収容用凹部における開口部の全部または一部を閉止して物品収容用凹部内に物品を保持し得る幅となされており、両フラップの下面とテープ本体の上面の一方にそれらの長さ方向に所定間隔をあけて嵌合凹部または嵌合凸部が形成され、他方にはこれらに対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されている、エンボスキャリアテープ。
【請求項2】
嵌合凹部または嵌合凸部が、テープ本体における隣り合う物品収容用凹部間に左右一対で形成されており、両フラップには前記テープ本体に対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されている、請求項1記載のエンボスキャリアテープ。
【請求項3】
長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の片側縁部に延長状に且つ折り畳み自在に設けられたフラップとを有し、フラップは物品収容用凹部における開口部の全部または一部を閉止して物品収容用凹部内に物品を保持し得る幅となされており、フラップの下面とテープ本体の上面の一方にそれらの長さ方向に所定間隔をあけて嵌合凹部または嵌合凸部が形成され、他方にはこれらに対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されている、エンボスキャリアテープ。
【請求項4】
嵌合凹部または嵌合凸部が、テープ本体における隣り合う物品収容用凹部間に一箇所ずつ形成されており、フラップには前記テープ本体に対応する嵌合凸部または嵌合凹部が形成されている、請求項3記載のエンボスキャリアテープ。
【請求項5】
隣り合う物品収容用凹部間におけるテープ本体およびフラップに、それらの長さ方向と直交する切り離し線が設けられた、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のエンボスキャリアテープ。
【請求項6】
各物品収容用凹部に連続番号が付された、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載のエンボスキャリアテープ。
【請求項7】
請求項5に記載のエンボスキャリアテープにおける切り離し線から分離することにより得られる、エンボスキャリアテープ分割体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−6112(P2011−6112A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152006(P2009−152006)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(592219684)株式会社イー・ピー・アイ (21)
【Fターム(参考)】