説明

オガライト製造装置、およびオガ炭

【課題】オガライト製造装置におけるおが粉の回り止めやガス抜きの機能を備えるとともに、自然な外観のオガライトやオガ炭を得るための技術を提供する。
【解決手段】本発明にかかるオガライト製造装置Aは、木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器2を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形する装置であって、前記成形器2の内面には、所定の厚みの凸条が圧入側から排出側に向かって形成され、前記凸条の厚みは、排出方向に向かって徐々に薄く形成され、前記凸条の高さは、排出方向に向かって徐々に低く形成されて、成形器2の排出側の内径と面一になるように構成されている。該オガライト製造装置Aで製造した棒状で溝無し孔無しのオガライトを炭化させることによって、棒状で溝無し孔無しのオガ炭が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木粉を圧縮して溝無し孔無しのオガライトを製造するオガライト製造装置に関するものであり、このオガライトを炭化することによってオガ炭とすることができる。
【背景技術】
【0002】
木粉を筒に入れてスクリューで圧縮すると、木粉も供回りしてしまい、十分な圧縮効果が得られないので、十分な固さの棒状のオガライトが得られない。
回り止めのために、断面形状を六角形などの非円形にしてもよいが、外観が不自然であるので、発明者等は外側面に溝を設けることを行った。
外側面に溝を設けると、圧縮する過程で発生するガスを外部へ放出する効果も得られるので、孔無しで、断面形状が円形のオガライトには、溝が設けられるようになった。
溝を設けることによって、着火性など良くなったが、溝のあるオガライトやオガ炭は、溝のない自然のものと比較すると不自然に感じられるので、溝が無いオガライトやオガ炭が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のような経過から、回り止めやガス抜きのためには溝が必要であるが、自然な外観を得るためには溝は邪魔であるという相反する問題があった。
そこで、発明者は、以上のような相反する要求を解決するために本発明をしたのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる請求項1のオガライト製造装置は、
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記圧縮筒と前記成形器の後に、前記成形器の排出側の内径と同じ内径の整形スリーブが配設されており、
圧縮筒にて圧縮された木粉が、成形器を通過した後に前記整形スリーブに押し込まれて、成形されるオガライトが溝無しの外形に整えられるように構成されている。
【0005】
請求項2の製造装置は、
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記成形器の内面には、所定の厚みの凸条が圧入側から排出側に向かって形成され、
前記凸条の厚みは、排出方向に向かって徐々に薄く形成され、
前記凸条の高さは、排出方向に向かって徐々に低く形成されて、成形器の排出側の内径と面一になるように構成されている。
【0006】
請求項3の製造装置は、
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記成形器の内面には、所定の厚みの凸条が圧入側から排出側に向かって形成され、
前記凸条の厚みは、排出方向に向かって徐々に薄く形成され、
前記凸条の高さは、排出方向に向かって徐々に低く形成されて、成形器の排出側の内径と面一になるように構成され、
前記圧縮筒と前記成形器の後に、前記成形器の排出側の内径と同じ内径の整形スリーブが配設されており、
圧縮筒にて圧縮された木粉が、成形器を通過した後に前記整形スリーブに押し込まれて、成形されるオガライトが溝無しの外形に整えられるように構成されている。
【0007】
請求項4に係るオガ炭は、
オガライト製造装置で製造した棒状で溝無し孔無しのオガライトを炭化させることによって得られた、棒状で溝無し孔無しのオガ炭である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるオガライト製造装置によれば、回り止め部材を設けたことにより、硬くて、芯に孔の無い溝無しオガライトを成形することができるのである。
しかも、回り止め部材の下流側側面に沿ってガス抜きができるので、優れたガス抜き効果が得られる。
【0009】
また、前記回り止め部材の高さは、圧入側から排出側に向かって徐々に薄く(低く)なっているので、成形されるオガライトに溝は残らない。
さらに、成形器を通過した後に整形スリーブに押し込まれるので、成形されるオガライトの外形が膨らんで変形することが抑制され、外観の優れたオガライトを成形することができる。
【0010】
請求項4に係るオガ炭は、オガライト製造装置で製造した棒状で溝無し孔無しのオガライトを炭化させることによって得られた、棒状で溝無し孔無しのオガ炭であるので、自然の炭に似た外観が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかるオガライト製造装置の要部の断面図である。
【図2】成形器の分解斜視図である。
【図3】成形器の斜視図である。
【図4】成形器の内面の一部拡大斜視図である。
【図5】整形スリーブの斜視図である。
【図6】別の実施形態のオガライト製造装置の要部の断面図である。
【図7】従来のオガライト製造装置の概要を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるオガライト製造装置を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、オガライト製造装置Aの要部の断面図である。
図1に示したように、
1はスクリュー圧縮器であり、供給されるおが屑などの木粉を、らせん状のスクリューを用いて、筒状の成形器2に圧力を加えて押し込むことによって、圧縮するように構成されている。
【0013】
前記成形器2の内面には回り止め部材21が着脱自在に凸設されているので、スクリューが回転しても供回りしない。
成形器2を通過して形成されたオガライトは、成形器2を通過した後に、内面に溝が形成されていて、その溝が回り止め部材21の先の延長部で塞がれた整形スリーブ3に押し込まれ、前記整形スリーブ3を通過したオガライトは、ガス抜き用の溝41が形成され内径が、前記整形スリーブ3の内径と同一の筒状の平行スリーブ4を通過して、その終端から排出されるように構成されている。
【0014】
前記回り止め部材21の厚みは、圧入側(これを前側という。)より排出側(これを後側という。)が徐々に狭くなるように構成されている。したがって、圧入される木粉と前記回り止め部材21との間には、圧力が周囲より低い領域が形成されるので、成形されるオガライトとの間の抵抗が少なくなる。また、スクリューの回転方向の下流側の圧力が低くなる。したがって、この領域では、固形化されつつあるオガライトがスクリューの回転によって共回りすることを防止する回り止め効果と、圧力を逃がす効果が得られ、圧縮される木粉間及び固形化しつつ密度が粗から密へ変化する際に発生するガスが通過しやすくなり、回り止め部材21の側面を通過したガスは、固形化されつつあるオガライトと整形スリーブ3の間や、回り止め部材21と成形器2との隙間を通ってガス抜き用の溝41から外部へ排出されやすい。
【0015】
図2、3に示したように、
成形器2の本体20の基本形状は円筒状であり、その内面に前記回り止め部材21が配設されている。この回り止め部材21は、図示したように、交換可能としてもよい。交換可能とすることによって、磨耗した回り止め部材21を新品の回り止め部材21もしくは肉盛り修復した回り止め部材21と交換することによって、メンテナンス作業が短縮されるとともにメンテナンス費用も低減できる。回り止め部材21を着脱自在に配設した場合には、図示したように、回り止め部材21を押さえるプレート6を備え、このプレート6には、木粉の回り止めとして六角形の孔が形成されている。
【0016】
前記本体20の内周面は圧入される木粉の進行方向に向かって縮径したテーパ状になっている。この内周面は超硬質材料で形成されて磨耗しにくいようになっている。
前記回り止め部材21の要部も超硬質材料で形成されて磨耗しにくいようになっている。
成形器2の内面において前記回り止め部材21の前側(圧入側)の面は、成形器2の前側(圧入側)の面と、面一の状態に形成されており、前記プレート6によって、隙間なく押さえられるように構成されている。
【0017】
図4には、回り止め部材21の脚部24と、成形器2の本体20の内周面の一部を拡大して示した。
この図4に示したように、前記脚部24の厚みDは圧入側から排出側に向かって徐々に薄くなっており、前記脚部24の高さHは成形器2の本体20の内周面に対して、圧入側から排出側に向かって徐々に薄くなっている。
したがって、成形されたオガライトの表面には、前記成形器2を通過するときに圧入側では一時的に溝が形成されるが、排出側では回り止め部材21が低くなっているので一時的に形成されていた前記溝は消滅する。
【0018】
成形器2を通過して形成されたオガライトは、成形器2を通過した後に、図5に示した成形スリーブ3のように、内面に溝が形成されていて、その溝が回り止め部材21の先の延長部で塞がれた整形スリーブ3に押し込まれるように形成されている。
前記整形スリーブ3を通過することによって、オガライトは、溝がない形態で外形が安定して排出される。
また、前記整形スリーブ3の後には、排気用の溝が形成された平行スリーブ4を配設した。したがって、オガライトから発生するガスが前記排気用の溝を介して外部へ排出されるので、ガス爆発や、オガライトの飛び出し事故を防止することができる。
【0019】
以上のように構成された成形器2を備えたオガライト製造装置Aでは、木粉を連続的に圧入するとき、前記回り止め部材21によって、形成されるオガライトの供回りが規制される。また、オガライトの形状が安定するまでは、前記整形スリーブ3によって膨張が規制される。したがって、ガス抜き用の溝41が形成され平行スリーブ4を通過するときには、オガライトの形状は安定しているので、前記ガス抜き用の溝41の部分で膨らむことはない。
このようにして、芯には孔がなく、また、表面には畝状の膨らみも溝も無いオガライトを順次成形することができるのである。
【0020】
このようにしてオガライトを成形する過程において、前記回り止め部材21の脚部24は、木粉との間で高温・高圧の環境に晒され硬度が低下し、発生したガスで腐食しやすくなっており、さらに、高温・高圧の木粉によって磨耗されるので、磨耗する。
そこで、前記回り止め部材21と交換可能とすることによって、短時間で簡単に成形器1を取り外して分解して、磨耗した回り止め部材21を取り外し、補修した回り止め部材21もしくは新品の回り止め部材21と交換することができる。
【0021】
プレート6も同様に、磨耗した場合には短時間で簡単に取り外して交換することができる。
また、磨耗した回り止め部材21の脚部24に硬度が高い超硬質材料としての合金を肉盛り加工する作業性も良く、再利用することができる。
前記成形器2の本体20の内周面に肉盛りする場合は、回り止め部材21を取り外した状態で肉盛りおよび研磨仕上げが可能であるので補修作業が能率よく行える。
【0022】
以上のように、本発明のオガライト製造装置Aによれば、回り止め部材21を設けたことにより、オガライト内にガスによる横ヒビ及び空間などを包含せずに、硬くて芯に孔の無い溝無しオガライトを、成形することができるのである。
しかも、回り止め部材21の下流側側面に沿ってガス抜きができるので、優れたガス抜き効果が得られる。
また、前記脚部24の高さHは成形器2の本体20の内周面に対して、圧入側から排出側に向かって徐々に薄くなっているので、成形されるオガライトに溝は残らない。さらに、成形器2を通過した後に整形スリーブ3に押し込まれるので、成形されるオガライトの外形が膨らんで変形することが抑制され、外観の優れたオガライトを成形することができる。
【0023】
なお、図5の整形スリーブ32のように、内面には溝が形成されていない形態も可能である。この場合には、回り止め部材21の先には延長部を備えない形態とする。
また、図6に示したように、整形スリーブを備えていないオガライト製造装置Bも実施可能である。この場合は、延長部25Bを長くするとよい。そして、前記延長部25Bは、平行スリーブ4に形成されたガス抜き溝41に挿入するとよい。このように構成することによって、前記延長部25Bが、オガライトが膨らむことを抑制して外形を整える効果が得られる。
【0024】
以上のようにして成形したオガライトを炭化することによって、棒状で、芯に孔の無い溝無しオガ炭を得ることができるのである。
また、本発明にかかるオガライト製造装置では、円柱状のオガライトに限らず多角形のオガライトも成形することができる。多角形のオガライトを成形する場合にも、回り止め部材21に沿って内部のガスを逃がすことができるので、安全に安定した成形が可能となる。
【符号の説明】
【0025】
A オガライト製造装置
1 スクリュー圧縮器
2 成形器
20 本体
21 回り止め部材
23 頭部
24 脚部
25 延長部
3 整形スリーブ
4 平行スリーブ
6 プレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記圧縮筒と前記成形器の後に、前記成形器の排出側の内径と同じ内径の整形スリーブが配設されており、
圧縮筒にて圧縮された木粉が、成形器を通過した後に前記整形スリーブに押し込まれて、成形されるオガライトが溝無しの外形に整えられるように構成されていることを特徴とするオガライト製造装置。
【請求項2】
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記成形器の内面には、所定の厚みの凸条が圧入側から排出側に向かって形成され、
前記凸条の厚みは、排出方向に向かって徐々に薄く形成され、
前記凸条の高さは、排出方向に向かって徐々に低く形成されて、成形器の排出側の内径と面一になるように構成されている
ことを特徴とするオガライト製造装置。
【請求項3】
木粉を入口から出口に向かって内径が縮径した圧縮筒に圧入して、さらに内径が縮径した成形器を通過させることによって、高温・高圧状態となして、棒状で溝無し孔無しのオガライトを成形するオガライト製造装置において、
前記成形器の内面には、所定の厚みの凸条が圧入側から排出側に向かって形成され、
前記凸条の厚みは、排出方向に向かって徐々に薄く形成され、
前記凸条の高さは、排出方向に向かって徐々に低く形成されて、成形器の排出側の内径と面一になるように構成され、
前記圧縮筒と前記成形器の後に、前記成形器の排出側の内径と同じ内径の整形スリーブが配設されており、
圧縮筒にて圧縮された木粉が、成形器を通過した後に前記整形スリーブに押し込まれて、成形されるオガライトが溝無しの外形に整えられるように構成されていることを特徴とするオガライト製造装置。
【請求項4】
オガライト製造装置で製造した棒状で溝無し孔無しのオガライトを炭化させることによって得られた、棒状で溝無し孔無しのオガ炭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−6633(P2011−6633A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153570(P2009−153570)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(593076220)
【出願人】(507301442)
【Fターム(参考)】