説明

オキサゾリン混合物

【課題】公知のオキサゾリン誘導体の特徴的性質、即ち有機系マトリックスとの良好な相容性および十分な化学的反応性および塩基性を有し、その他に高い揮発性および顕著な移動性を有することのない生成物の提供。
【解決手段】4位のジハイドロオキシメチルオキサゾリン体を脂肪酸,ハイドロオキシ脂肪酸,モンタンワックス酸等によるモノエステル体,ジエステル体及びフリー体の化合物をそれぞれ0〜98モル(化合物によってモル数異る)づつ混ぜあわせた混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2004年12月18日に出願されたドイツ特許出願第102004061037.1号に基づいて優先権を主張して出願するものであり、その内容を全てここに記載したものとする。
【0002】
本発明はオキサゾリン混合物、その製造方法および該混合物の用途に関する。
【0003】
式 VII
【0004】
【化1】

【0005】
[式中、R、RおよびRは互いに同じであり、アルキル基であり、プロピオン酸、カプリル酸、カプロン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、水素化魚油酸またはダイマー脂肪酸から誘導される。]
で表される化合物は公知である。これらの生成物はペーストにおいて、床用クリナーにおいて、金属加工用調製物、化粧料、製紙および繊維加工において添加物として使用することが開示されている(Roempps Chemie Lexikon [レンプス・化学百科辞典]、1985年第8版、 M-Pk巻、第 2944頁、および Angus Chemie、TDS 10F Technical Datasheet (http://www.dow.com.angus))。
【0006】
これらの化合物は従来技術に従って、下記反応式1 (Angus Chemie, TDS 10F テクニカル・データシートTechnical Datasheet (<http://www.dow.com.angus>))に示す様にトリスヒドロキシメチルアミノメタンと脂肪酸との反応によって簡単な無触媒法で製造される。
【0007】
【化2】

【0008】
反応式 I

脂肪酸R4-COOH の割合は、遊離水酸基の全てが反応しない様に選択することができる。
【0009】
この生成物は、例えば多くの有機溶剤と良好な相容性があり、塩基性を示しそして窒素原子のところだけでなくオキサゾリン−アルキル鎖においても反応するという興味ある性質を示す。
【0010】
しかしながら合成樹脂において使用するためには、これらの化合物は官能基が高密度であるために過度の極性を有することが判っている。非極性の合成樹脂および塗料系においては、それの活性は過度に外部的であり、即ちこのことは相容性が不十分でありそして相界面におけるその濃度を増加させ、そこでの活性のレベルは過度であることを意味する。極性の合成樹脂または塗料においてはその活性は内部に過度に存在し、即ちこのことはそれらは非常に良好な相容性を有しそして相界面における活性が小さ過ぎることを意味する。“外部的”とは相界面での濃度が増加していることを意味し、“内部的活性”とは、マトリックス内の活性またはマトリックス中のポリマー分子間の相互作用を意味する。上述の相界面はここでは、溶融物/固体マトリックスから空気中または方法で使用される道具の表面への移動を意味する。
【0011】
これらの化合物の他の傾向は、その低い分子量のおかげで温度を負荷した際に移動することである。これはこれらの物質の有用性を更に著しく制限することを意味する。
【非特許文献1】Roempps Chemie Lexikon [レンプス・化学百科辞典]、1985年第8版、 M-Pk巻、第 2944頁
【非特許文献2】Angus Chemie, TDS 10F テクニカル・データシートTechnical Datasheet (<http://www.dow.com.angus>)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】

それ故に本発明の課題は、上述の式の公知のオキサゾリン誘導体の特徴的性質、即ち有機系マトリックスとの良好な相容性および十分な化学的反応性および塩基性を有し、且つ上述の欠点、例えば 過度な揮発性および顕著な移動性を有していない生成物を製造することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それ故に本発明は、式
【0014】
【化3】

【0015】
[R は脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基であり、
は脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および/またはモンタンワックス酸のアルキル残基でありそして
はモンタンワックス酸のアルキル残基である。]
で表されるオキサゾリン類を含有し、
それぞれの量が
I = 0 〜 10 モル%、
II = 1 〜 90モル%、
III = 1 〜98モル%、
IV = 1 〜98モル%、
V = 0 〜50モル%、
VI = 0 〜50モル%である、
オキサゾリン混合物に関する。
【0016】
本発明のオキサゾリン混合物は好ましくは下記量のオキサゾリン類を含有している:
I = 0 〜1モル%、
II = 2 〜 50モル%、
III = 10 〜 98モル%、
IV = 10 〜 98モル%、
V = 0 〜 20モル%、
VI = 0 〜 10モル%。
【0017】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rは12〜22個の炭素原子を有しているのが有利である。
【0018】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rは直鎖状または枝分かれしたアルキル鎖であるのが有利である。
【0019】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rは飽和または不飽和の残基であるのが有利である。
【0020】
ヒドロキシ脂肪酸のアルキル基は12−ヒドロキシステアリン酸のアルキル基であるのが有利である。
【0021】
本発明は、式 I〜VI
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、Rは脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基であり、Rは脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および/またはモンタンワックス酸のアルキル残基でありそして
はモンタンワックス酸のアルキル残基である。]
で表されるオキサゾリン混合物を製造する方法において、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸とを反応させてジヒドロキシメチルオキサゾリン類を得、次いでジヒドロキシメチルオキサゾリン類の残留する遊離OH基をモンタンワックス酸でエステル化触媒の存在下にエステル化することを特徴とする、上記方法にも関する。
【0024】
この反応は以下の反応式に従って三段階で進められる:
【0025】
【化5】

【0026】
第1段階:
トリスヒドロキシメチルアミノメタンと脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸とを反応させてジヒドロキシメチルオキサゾリン類を得る(この反応での他の可能な方法は遊離OH基の一部を反応させるものである)。
第2段階:
モンタンワックス酸 R3-COOH でエステル化して(少なくとも1モルのモンタン酸を一般に含有する)モノエステルを得る。
第3段落:
カルボン酸混合物 R2-COOH でのエステル化(Rが脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基である場合には、反応量は0〜1モルであり;Rがモンタンワックス酸のアルキル残基である場合には、反応量は1〜2モルである)。
【0027】
第3段階で遊離OH基が反応していないかまたは全く反応していない場合には、生成物はオキサゾリン、モノエステルおよびジエステルよりなる混合物である。生成物混合物中の二種類のエステルの比は1:0(純粋モノエステル)〜0:1(純粋ジエステル)であり得るが、好ましくは約0.3:約0.7(30%の純粋モノエステルと70%の純粋ジエステル)である。
R3-COOH (モンタンワックス酸) および R2-COOH (脂肪酸)よりなるカルボン酸を用いて、応を三段階で実施せずに二段階だけで実施する場合には、生成物は脂肪酸およびモンタンワックス酸よりなるモノエステル類および脂肪酸、脂肪酸/モンタンワックス酸、およびモンタンワックス酸よりなるジエステルである。生成物中のこれらのエステルの分布はカルボン酸混合物の構成に左右される。それ故に、使用するモンタンワックス酸の割合は好ましくは1〜2モルであり、そして使用する脂肪酸の割合は0〜1である。モノエステルを生成物混合物中に残そうとする場合には、脂肪酸の割合を相応して減少させる。生じ得る生成物を以下に示す:
【0028】
【化6】

【0029】
本発明の方法においてオキサゾリン混合物が以下の量の式 I〜VIのオキサゾリン類を含有しているのが有利である:
I = 0 〜 10モル%、
II = 1 〜 90モル%、
III = 1 〜98モル%、
IV = 1 〜 98モル%、
V = 0 〜 50モル%、
VI = 0 〜 50モル%。
【0030】
本発明の方法においてオキサゾリン混合物が以下の量の式 I 〜VIのオキサゾリン類を含有しているのが特に有利である:
I = 0 〜 1モル%、
II = 2 〜 50モル%、
III = 10 〜 98モル%、
IV = 10 〜 98モル%、
V = 0 〜 20モル%、
VI = 0 〜10モル%。
【0031】
エステル化触媒は錫化合物の群、チタン酸エステル、酸化亜鉛および/または亜鉛セッケンの群から選択するのが有利である。
【0032】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が12〜22個の炭素原子を有しているのが有利である。脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が直鎖状のまたは分岐したアルキル鎖を有しているのが有利である。
【0033】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が不飽和酸であるのが有利である。
【0034】
本発明の方法においては1モルのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを最初に1〜2.0モルの脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸と反応させ、次いで得られる生成物を1.0〜1.9モルのモンタンワックス酸と反応させるのが有利である。
【0035】
1モルのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを最初に1.1〜1.5モルの脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸と反応させ、次いで得られる生成物を1.0〜1.9モルのモンタンワックス酸と反応させるのが特に有利である。
【0036】
本発明は合成樹脂のための加工助剤として請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物を使用することにも関する。
【0037】
また、本発明は、顔料および合成樹脂添加物のための分散剤として請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物を使用することにも関する。
【0038】
合成樹脂はHI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボナート類、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン、およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)で表される、合成樹脂のブレンドまたはポリブレンドであるのが有利である。
【0039】
本発明は被覆された有機系または無機系粒子を製造するために請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物を用いることにも関する。
【0040】
本発明また合成樹脂、インクおよび塗料において使用される被覆された有機系または無機系粒子を製造するために請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物を用いることにも関する。
【0041】
本発明は更に請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物で被覆された有機系または無機系粒子にも関する。
【0042】
有機系粒子は不溶性剤、例えば光安定剤、紫外線フィルター、加工安定剤、有機系顔料および染料、繊維、酸化防止剤、帯電防止剤および有機系難燃剤であるのが有利である。
【0043】
適する有機系粒子の中にはHALS(ヒンダードアミノ光安定剤)、フェノール類、ホスフィット類、ベンゾトリアゾール類およびアルミニウム−ホスホラン類がある。
【0044】
被覆すべき有機顔料にはモノアゾ顔料、ジアゾ顔料、レーキアゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合顔料、アゾ金属錯塩顔料、および多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、およびジケトピロロピロール顔料またはカーボンブラックがあり得る。
【0045】
被覆すべき有機染料は酸性染料、直接染料、硫黄染料およびそれのロイコ型、金属錯塩染料または反応性染料があり、反応性染料の場合には求核試薬と反応する染料を用いることも可能である。
【0046】
無機系粒子は不溶性剤、例えばフィラー、繊維、無機顔料および無機系難燃剤であるのが有利である。
【0047】
適する無機系粒子の中には石灰、タルク、ガラス繊維、酸化鉄、およびポリリン酸アンモニウムもある。
【0048】
被覆すべき無機顔料の例には二酸化チタン、硫化亜鉛、鉄酸化物、クロム酸化物、ウルトラマリン、ニッケル/クロム−アンチモン−チタン酸化物、コバルト酸化物、およびバナジウム酸ビスマル類がある。
【0049】
無機系粒子が二酸化チタンであるのが特に有利である。
【0050】
最後に本発明は、ポリオキシメチレン成形材料のホルムアルデヒド放出を減少させるために請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物で被覆した二酸化チタン含有粒子を用いることにも関する。
【0051】
原則として式
[式中、R は H、 CH2-OHまたはアルキル基である。]
で表されるアルカノールアミン類を、請求項に記載の方法を実施するために使用することもできる。
【0052】
次いで1モルのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを1〜2モル、特に1.1〜1.5モルの脂肪酸と反応させそして次に生成物を1.0〜1.9モル、特に1.5〜1.9モルのモンタンワックス酸と反応させるのが有利である。
【0053】
驚くべきことに、本発明者は、特別に改変した方法に従って、脂肪酸を用いる二段階法においてジヒドロキシメチルオキサゾリンの段階を製造しそしてこの前駆体を後処理することなしに遊離OH基を触媒の存在下にモンタンワックス酸でエステル化した場合に本発明の生成物が製造できることを見出した。この生成物は青白い色のままであり、窒素原子の所でおよびオキサゾリンのアルキル鎖において化学的に反応し、塩基反応を示し、極性および非極性合成樹脂との相容性が良好であるが、従来技術の純粋脂肪酸生成物よりも実質的に揮発性が低くそして非移動性である。
【0054】
従来技術においては式VIIの物質はトリスヒドロキシメチルアミノメタンと選択されたカルボン酸とを触媒なしで220〜250℃で反応させることによって製造される。低分子量カルボン酸を使用した場合には、この反応は加圧式反応基中で実施するべきである。十分な反応を達成するためには高い温度が必要である。14〜22個の炭素原子を有する長鎖カルボン酸の場合には、減圧下で実施する。この場合には不活性雰囲気を使用するにも係わらず、暗色の結果物が得られる。
【0055】
実施例:
例1:(比較例)

【0056】
例2:(比較例)

【0057】
比較用生成物の性質:

【0058】
全ての成分を反応器に装入し、次いで加熱する。165℃が達成されるまで窒素でのフラッシュ洗浄を続ける。140〜165℃の範囲内で 泡立ちを、安全性の理由から避けるべきである。230℃の反応温度が達成されるまで運転をプラスの正圧のもとで実施する。次いで反応水を、所望の酸価が達成されるまで排除する。
【0059】
本発明の方法の実施例(例3〜6): 個々の脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸およびトリスヒドロキシメチルアミノメタンを反応器に装入し、減圧にしそして窒素を吹き込み、そして次にこの混合物を加熱しそして脂肪酸を溶融する。非常に少量の分散剤を該溶融物中に計量供給しそしてこの混合物を脂肪酸の融点より40〜80℃上に加熱する。この混合物をこの温度に、使用したアミン1モル当たり2モルの水が生じるまで維持する。
【0060】
液状のモンタンワックス酸を次いでこの溶融物中に計量供給しそしてエステル化触媒を添加しそしてこの混合物を酸価が<15より低く下がるまで攪拌する。次いでこの混合物を冷却しそして顆粒化する。
【0061】
例3(実施例):

【0062】
例4(実施例):

【0063】
例5(実施例):

【0064】
例6(実施例):

【0065】
結果:

【0066】
試験法:
滴り点: DIN 51801/2に従う。
酸価: DIN 53402に従う。
アルカリ価: DGF - M IV-4 (63)に従う。
揮発性: 熱重量分析(TGA)による内部法(internal method):

【0067】
温度範囲30 〜 300ーC加熱速度: 2 K/分恒温: 300ーCで120分窒素フラッシュ洗浄50 ml/分初期重量:50 mg +/-0.3 mg酸化アルミニウム坩堝:150 オl
(R)Licowax C はエチレンジアミンと獣脂脂肪酸とをベースとし、Clariant GmbH から市販されている。
【0068】
使用例1:
工業用ポリウレタン (TPU) に0.2%の潤滑剤を付与しそして通例の方法で加工する。潤滑効果、および加熱老化の際の移動傾向を試験する。これらの性質はアカデミック・グレード法(academic-grade method)によって評価した。数値が小さければ小さいほど益々良好な潤滑作用を示す。
【0069】
(R)Licowax Cおよび例5の生成物を用いてIDPを加工する:

【0070】
トリヒドロキシメチルアミノメタンおよび脂肪酸およびモンタンワックス酸よりなる本発明の反応生成物は合成樹脂との良好な相容性、非常に低い移動傾向および低い揮発性を示す。これは、従来技術の生成物と比較した時に向上した性能を示す。これは中でも内部および外部効果の釣り合った配分で認められる。即ち外部の分散効果と内部における化学的効果が認められる。
【0071】
使用例2:
R104二酸化チタン(DuPont) を加熱された混合機において実施例4の本発明の生成物で90℃で被覆した。生成物の割合は2〜4重量%である。こうして変性された顔料をPOM中に混入しそして生成物をホルムアルデヒドの放出について試験する。基準生成物および市販の脂肪ベースの潤滑剤と比較する。
【0072】
VDA 275に従うホルムアルデヒド放出:
1mmの厚さのプラーク(Plaques)をPOM成形材料から製造した。24時間貯蔵後に、プラークからのホルムアルデヒドの放出を VDA 275 (VDA Recommendation No. 275, Dokumentation Kraftfahrwesen e.V. July 1994)に従って測定する。
【0073】
試験体の製造:
顆粒化したポリアセタールを射出成形して80×50×1mmの寸法のプラークを得る。Krauss Maffei KM 120/340B 射出成形機を以下の射出パラメータで使用した:溶融温度195℃、前方流れ速度200mm/秒、成形壁温度85℃、保持圧力900bar、保持圧力時間30秒、冷却時間10秒、逆圧0〜10bar。
【0074】
試験前に試験体を23℃、50%の相対湿度に空調された部屋に24時間保存する。
【0075】
試験:
二つの試験体を1Lのフラスコ中の50mLの脱イオン水の上にステンレス製フックで吊り下げ、乾燥室中で空気循環下に60℃に3時間維持する。試験体を試験用フラスコから除く。5mLの試験体溶液を試験管にピペットで取り、そして試験管を95℃に10分間、加熱制御する。次いで 3mLのアセチルアセトンおよび3mLの20%濃度酢酸アンモニウムを試験管に添加する。ホルムアルデヒドをジアセチルジヒドロルチジン錯塩と試薬で生成しそして412nmでのそれの吸収を光度的に測定する。試験体溶液中のホルムアルデヒド濃度は該吸収から算出する。
【0076】
顔料化POM(ポリオキシメチレン)の加工:

【0077】
コポリマー2:(R)Hostaform 27021 (製造もと:Ticona GmbH)
(R)Licowax C: エチレンビスステアラミド(Clariant GmbHから市販の製品)
本発明の生成物で変性された顔料を使用すると、未変性の顔料と通例の油脂ベースの潤滑剤((R)Licowax C)と組合わせて用いた場合と比較して著しく少ない水準でしかホルムアルデヒドを放出しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】






















[Rは脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基であり、
は脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および/またはモンタンワックス酸のアルキル残基でありそして
はモンタンワックス酸のアルキル残基である。]
で表されるオキサゾリン類を含有し、
それぞれの量が
I = 0 〜 10 モル%、
II = 1 〜90モル%、
III = 1 〜98モル%、
IV = 1 〜98モル%、
V = 0 〜50モル%、
VI = 0 〜50モル%である、
オキサゾリン混合物。
【請求項2】
以下の量のオキサゾリン
I = 0 〜1モル%、
II = 2 〜 50モル%、
III = 10 〜 98モル%、
IV = 10 〜 98モル%、
V = 0 〜20モル%、
VI = 0 〜 10モル%
を含有する請求項1に記載のオキサゾリン混合物。
【請求項3】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rが12〜22個の炭素原子を有している、請求項1または2に記載のオキサゾリン混合物。
【請求項4】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rが直鎖状または枝分かれしたアルキル鎖である、請求項1〜3のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物。
【請求項5】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基Rおよび Rが飽和または不飽和の残基である、請求項1〜4のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物。
【請求項6】
ヒドロキシ脂肪酸が12−ヒドロキシステアリン酸である、請求項1〜5のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物。
【請求項7】
式I〜VI
【化2】






















[式中、Rは脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸のアルキル残基であり、Rは脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および/またはモンタンワックス酸のアルキル残基でありそして
はモンタンワックス酸のアルキル残基である。]
で表されるオキサゾリン混合物を製造する方法において、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸とを反応させてジヒドロキシメチルオキサゾリン類を得、次いでジヒドロキシメチルオキサゾリン類の残留する遊離OH基をモンタンワックス酸でエステル化触媒の存在下にエステル化することを特徴とする、上記方法。
【請求項8】
オキサゾリン混合物が以下の量の式 I 〜VIのオキサゾリン類を含有している、請求項7に記載の方法:
I = 0 〜10モル%、
II = 1 〜 90モル%、
III = 1 〜98モル%、
IV = 1 〜 98モル%、
V = 0 〜50モル%、
VI = 0 〜50モル%。
【請求項9】
オキサゾリン混合物が以下の量の式 I 〜VIのオキサゾリン類を含有している、請求項7または8に記載の方法:
I = 0 〜1モル%、
II = 2 〜 50モル%、
III = 10 〜 98モル%、
IV = 10 〜98モル%、
V = 0 〜20モル%、
VI = 0 〜10モル%。
【請求項10】
エステル化触媒が錫化合物の群、チタン酸エステル、酸化亜鉛および/または亜鉛セッケンの群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が12〜22個の炭素原子を有している、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が直鎖状のまたは分岐したアルキル鎖を有している、請求項9〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が飽和または不飽和酸である、請求項9〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
アルキル鎖が官能基を有している、請求項9〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
1モルのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを最初に1〜2.0モルの脂肪酸と反応させ、次いで得られる生成物を1.0〜1.9モルのモンタンワックス酸と反応させる、請求項9〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
1モルのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを最初に1.1〜1.5モルの脂肪酸と反応させ、次いで得られる生成物を1.0〜1.9モルのモンタンワックス酸と反応させる、請求項9〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
合成樹脂のための加工助剤としての、請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物の用途。
【請求項18】
顔料および合成樹脂添加物のための分散剤としての、請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物の用途。
【請求項19】
合成樹脂がHI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン、およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)で表される、合成樹脂のブレンドまたはポリブレンドである請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
被覆された有機系または無機系粒子を製造するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物の用途。
【請求項21】
合成樹脂、インクおよび塗料において使用される被覆された有機系または無機系粒子を製造するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物の用途。
【請求項22】
有機系粒子が不溶性剤、例えば光安定剤、紫外線フィルター、加工安定剤、有機系顔料、繊維、酸化防止剤、帯電防止剤および有機系難燃剤である請求項20または21に記載の用途。
【請求項23】
無機系粒子が不溶性剤、例えばフィラー、繊維、無機系顔料および無機系難燃剤である請求項20または21に記載の用途。
【請求項24】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のオキサゾリン混合物で被覆された有機系または無機系粒子。
【請求項25】
有機系粒子が不溶性剤、例えば光安定剤、紫外線フィルター、加工安定剤、有機系顔料、繊維、酸化防止剤、帯電防止剤および有機系難燃剤である請求項24に記載の粒子。
【請求項26】
無機系粒子が不溶性剤、例えばフィラー、繊維、無機系顔料および無機系難燃剤である請求項24に記載の粒子。
【請求項27】
無機系粒子が二酸化チタンである、請求項26に記載の粒子。
【請求項28】
ポリオキシメチレン成形材料のホルムアルデヒド放出を減少させるための、請求項27に記載のオキサゾリン混合物で被覆した二酸化チタン含有無機粒子の用途。

【公開番号】特開2006−199684(P2006−199684A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362693(P2005−362693)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(597109656)クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】