説明

オキシメータシステム

【課題】SASの簡易治療装置として好適であって、無呼吸又は低呼吸症状の発生に的確に呼応して覚醒刺激を与えるようにする。
【解決手段】オキシメータシステムSは、被験者HのSpO情報を測定するセンサ部11、取得された測定データからSpOの時系列データを生成する解析処理手段12、SpOの時系列データからDipを検出して被験者Hが無呼吸状態等に陥ったか否かを判定する判定手段13、判定手段13により無呼吸状態等と判定された場合に、被験者Hが感知可能な刺激を被験者Hに与える覚醒手段14を備える。この構成によれば、センサ部11の計測結果に基づくSpOのライブ測定情報に基づいて無呼吸状態等が発生しているか否かが判定され、被験者Hが無呼吸状態等に陥った場合にのみ覚醒手段14から覚醒刺激が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の血中酸素飽和度を測定するオキシメータシステムに関し、特に睡眠時無呼吸症候群(SAS;Sleep Apnea Syndrome)の患者に装着させることで、その症状を緩和させることができるオキシメータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
睡眠中の無呼吸や低呼吸から様々な症状を引き起こすSASは、高血圧、脳血管障害や虚血性心疾患の誘因となるばかりではなく、眠気に伴う生産性の低下や重大な労働災害を引き起こすと考えられ、近年社会問題化している。SASのスクリーニング方法の一つとして、被験者の睡眠中における動脈血の酸素飽和度(本明細書において「SpO」又は「血中酸素飽和度」という)の変動を測定する方法がある。これは、無呼吸状態が生じると酸素供給が行われず血中酸素飽和度が低下するという関係があるからである。
【0003】
従来、血中酸素飽和度を測定する装置としてパルスオキシメータが知られている。このパルスオキシメータは、例えば発光部と受光部とを備えるプローブを患者の指に装着する等して、光を生体(指)に向けて投光し、生体を経由した光の光量変化をパルス信号として測定し、毎秒ごとの測定値を移動平均することによって血中酸素飽和度の時間変化を求めるものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところで、SAS患者においては、図16(a)に示すように、仰臥位覚醒時には上気道が狭くても咽頭腔が閉塞しないように舌筋や軟口蓋が呼吸に同期して収縮することから、咽頭腔は保たれ、上気道は維持される。しかし、睡眠によりこの反応が低下すると、図16(b)に示すように、舌根や軟口蓋の沈下により上気道が閉塞されてしまい、無呼吸症状が出現することとなる。
【0005】
従来、SAS症状の治療方法の代表的なとして、CPAP(Continuous Positive airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)が知られている。この治療方法は、図17に示すように、睡眠中に鼻マスクMを装着させ、鼻マスクMから空気を一定圧で送り込むようにし、つまり陽圧を加えるようにして舌根や軟口蓋の沈下を抑止し上気道を確保する治療方法である。
【特許文献1】特開平1−153139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記CPAPの有効性については、既に広く証明されている。しかしながら、当該治療方法によれば、患者は一晩中鼻マスクMを装着する負担を強いられることとなる。特に、適正に空気圧が設定されなかったり、鼻マスクMのフィッティング性が悪かったりすると、患者には大きな違和感が与えられてしまうことになる。また、そもそも病院での検査や治療に二の足を踏む患者が多く、より簡便な治療方法(治療装置)が求められているのが現状である。
【0007】
因みに、SASの簡易治療装置として、睡眠時のいびき音を検出して覚醒刺激を与える装置が知られている。これは、SAS患者が無呼吸の前駆症状として大きないびき音を発生する傾向があることから、いびき音の検出に伴い腕部等に取り付けた電極から微弱電流を患者に流し、微小覚醒を生起させるものである。しかし、音が判定要素となることから、人の声やベッドパートナーのいびき音で反応したり、逆に音センサが蒲団に隠れるといびき音を拾えず反応しなかったりするという欠点があった。
【0008】
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたもので、SASの簡易治療装置として好適であって、しかも無呼吸又は低呼吸症状の発生に的確に呼応して覚醒刺激を与えることができる機能を有するオキシメータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るオキシメータシステムは、被験者の血中酸素飽和度情報を検出する血中酸素飽和度検出手段と、前記血中酸素飽和度情報に基づいて、被験者が無呼吸状態若しくは低呼吸状態に陥ったか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に、被験者が感知可能な刺激を被験者に与える覚醒手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るオキシメータシステムは、異なる2波長の光を発する発光部と、該発光部から発せられ被験者の生体組織を経由した光を受光可能とされた受光部とを有するセンサ部と、該センサ部により取得された測定データに対して所定のデータ解析処理を行うことで血中酸素飽和度の時系列データを生成する解析処理手段と、前記血中酸素飽和度の時系列データから、当該血中酸素飽和度の所定の低下ピークを検出することで無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生判定を行う判定手段と、前記判定手段により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に、被験者が感知可能な刺激を被験者に与える覚醒手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、血中酸素飽和度情報に基づいて無呼吸状態若しくは低呼吸状態が判定され、被験者が無呼吸状態若しくは低呼吸状態に陥った場合にのみ覚醒手段から覚醒刺激が与えられる。従って、様々な外因によって覚醒手段から誤って覚醒刺激が被験者に与えられてしまうことはない。
【0012】
上記構成において、前記覚醒手段を動作状態とするか否かを選択する覚醒モード選択手段と、前記覚醒手段が被験者に与える刺激の強度を調整する覚醒強度設定手段とが備えられていることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、覚醒強度設定手段により、被験者の個人差に合わせた適宜な刺激強度を設定できるようになる。
【0013】
この場合、所定の操作部が備えられ、該操作部から与えられる操作指示により、覚醒モードの選択及び/又は覚醒強度の設定が可能とされていることが望ましい(請求項4)。この構成によれば、操作部を操作することで、覚醒手段を用いた覚醒モードを実行するか否かの選択、また覚醒強度の設定が自在に行えるようになる。
【0014】
上記いずれかの構成において、前記覚醒手段が、電流を発生する電流発生手段と、前記電流発生手段により発生された電流を被験者の生体組織の一部に通電させるための一対の電極とを具備する構成とすることができる(請求項5)。この構成によれば、無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生時に、覚醒刺激として通電刺激が被験者に与えられるようになる。
【0015】
また、上記いずれかの構成において、前記覚醒手段が、振動を発生する振動発生手段と、前記振動発生手段により発生された振動が被験者に伝搬されるように前記振動発生手段を被験者に取り付ける保持手段とを具備する構成とすることができる(請求項6)。この構成によれば、無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生時に、覚醒刺激として振動刺激が被験者に与えられるようになる。
【0016】
また、上記いずれかの構成において、前記覚醒手段が、可聴音を発生する可聴音発生手段を具備する構成とすることができる(請求項や)。この構成によれば、無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生時に、覚醒刺激として可聴音刺激が被験者に与えられるようになる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生時にのみ覚醒手段から的確に覚醒刺激が与えられるので、SASの簡易治療装置として好適なオキシメータシステムを提供することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、覚醒強度設定手段により、被験者の個人差に合わせて適宜な刺激強度を設定できるので、当該オキシメータシステムの汎用性を高めることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、操作部を操作することで、覚醒手段を用いた覚醒モードを実行するか否かの選択、また覚醒強度の設定が自在に行え、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、通電刺激という簡単且つ確実な覚醒刺激により、無呼吸状態若しくは低呼吸状態を解消させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、振動刺激という簡単且つ確実な覚醒刺激により、無呼吸状態若しくは低呼吸状態を解消させることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、可聴音刺激という簡単且つ確実な覚醒刺激により、無呼吸状態若しくは低呼吸状態を解消させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
[基本的実施形態の説明]
図1は、本発明の実施形態に係るオキシメータシステムSの構成を簡略的に示すブロック図である。このオキシメータシステムSは、被験者Hの血中酸素飽和度(SpO)情報を測定するセンサ部11、センサ部11により取得された測定データに対して所定のデータ解析処理を行う解析処理手段12、解析処理手段12による解析結果に基づいて被験者Hが無呼吸状態若しくは低呼吸状態に陥ったか否かを判定する判定手段13、判定手段13により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に、被験者Hが感知可能な刺激を被験者Hに与える覚醒手段14及び上記の各機能部の動作制御を行う制御手段15を備えて構成されている。
【0024】
センサ部11は、被験者HのSpO情報に関連するパラメータを測定できるものであれば特に制限はない。このセンサ部11は、所定のセンシングエレメント、該センシングエレメントの駆動並びにセンシングエレメントから出力される測定信号に対して信号処理(A/D変換等)を行う測定回路等を含んで構成される。例えば2波長光電脈波データに基づきSpOを測定する場合は、前記センシングエレメントとしては、LED等の発光素子(2波長LED)とシリコン受光素子等の受光素子とが用いられる。なお、SpOを測定するセンシングエレメントに加えて、被験者Hの体位乃至は体動、胸・腹の呼吸運動を測定する加速度センサ、心筋の活動電位を検出するための電極、口・鼻のフロー(呼吸運動)を測定するための温度センサ、いびき音を検出するための小型マイク等をセンシングエレメントとして追加配置するようにしても良い。
【0025】
解析処理手段12は、センサ部11により取得された測定データ、例えば2波長光電脈波データに基づいてサンプリング周期毎のSpO値(瞬時SpO値)を求めると共に、この瞬時SpO値を時間軸に展開してSpOの時系列データを生成する。
【0026】
判定手段13は、解析処理手段12にて求められるSpOの時系列データから、当該SpOの所定の低下ピーク(Dip)を検出することで、被験者Hにおいて無呼吸状態若しくは低呼吸状態が発生しているか否かのライブ判定を行う。なお、Dipとは、SpO値が所定の閾値以下に低下したことを指すのではなく、任意の時点におけるSpO値(ベースライン)に比べて、所定時間内に所定レベル以上の大きな低下傾向を示した場合を指すものである(図12に基づき、後記で詳述する)。これにより、被験者Hの個人差や装置の固有特性(機差)の存在に拘わらず、的確に無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生を判定できるようになる。
【0027】
覚醒手段14は、判定手段13により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に被験者Hが感知可能な覚醒刺激を発生し、これを被験者Hに指向的に与えて被験者Hを微小覚醒させ、もって無呼吸状態若しくは低呼吸状態を解消させるものである。前記覚醒刺激としては、被験者Hに対する微弱電流の通電、バイブレータ等を用いた振動の施与、或いはブザーやメロディー等の可聴音の鳴動等を例示することができる。なお、感知可能な覚醒刺激とは、必ずしも被験者を実際に目覚めさせるものでなくとも良く、例えば被験者が無意識の状態にありながら、閉塞された咽頭腔が開く状態になる程度に筋肉が緊張するような微小覚醒状態を起こすレベルのものでも良い。
【0028】
制御手段15は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、詳述した各機能部の全体動作を制御する。例えば、センサ部11において、所定のサンプリング周期で2波長光電脈波データを取得させる測定制御、解析処理手段12及び判定手段13における処理動作や判定動作の演算制御を行う。
【0029】
以上の通り構成されたオキシメータシステムSの動作例を簡単に説明する。測定が開始されると、センサ部11により、所定のサンプリング周期毎に2波長光電脈波が計測され、その測定データが出力される。この測定データは、A/D変換等の信号処理が為された後、時刻情報に関連付けて記憶手段(図略)に格納されると共に、解析処理手段12に送られ瞬時SpO値が求められる。このような測定動作が測定期間中繰り返され、解析処理手段12によりSpOの時系列データが順次生成される。
【0030】
上記SpOの時系列データは、判定手段13により常時監視される。すなわち、ベースラインのSpO値に比べて、所定時間内に所定レベル以上の大きな低下傾向を示すDipが出現するか否かが監視される。そして、このようなDipが発生した場合に、判定手段13は被験者Hにおいて無呼吸状態若しくは低呼吸状態が発生したものと判定する判定信号を出力する。かかる判定信号を受けて、覚醒手段14は被験者Hが感知可能な覚醒刺激を生成し、これを被験者Hに与えて微小覚醒させるものである。なお、前記覚醒刺激は、例えば所定時間だけ被験者Hに与えた後に自動停止されるよう構成することができる。
【0031】
このようなオキシメータシステムSによれば、センサ部11の計測結果に基づくSpOのライブ測定情報に基づいて無呼吸状態若しくは低呼吸状態が発生しているか否かが判定され、被験者Hが無呼吸状態若しくは低呼吸状態に陥った場合にのみ覚醒手段14から覚醒刺激が与えられる。従って、様々な外因によって覚醒手段14から誤って覚醒刺激が被験者Hに与えられてしまうことはなく、SASの簡易治療装置として好適なオキシメータシステムSを提供することができる。
【0032】
[パルスオキシメータとしての具体的実施形態の説明]
続いて、本発明をSpOの測定を行うパルスオキシメータに適用する場合の具体的な実施形態の一例について説明する。図2は、パルスオキシメータ20から構成されるオキシメータシステムS1を示す外観構成図であり、図3は、図2の一部破断側面図である。当該パルスオキシメータ20には、図1に示したセンサ部11、解析処理手段12、判定手段13、覚醒手段14及び制御手段15に相当する機能が搭載されている。このパルスオキシメータ20は、被験者の手首付近に装着可能とされた装置本体部21と、被測定指Fの指先FSに装着可能とされたプローブ22とを備え、両者がプローブケーブル201で電気的に接続されてなる。
【0033】
装置本体部21には、電源スイッチ211、LCD等からなる表示部212、ベルト係止部213等が備えられているほか、その内部に、前記センサ部11の一部、解析処理手段12、判定手段13、覚醒手段14及び制御手段15に相当する機能を果たす電気回路が収納されている。そして、図3に示すように、装置本体部21の背面側(手首部分と当接する面)には、被験者の手首付近に微弱電流を通電させるための一対の電極31、32が取り付けられている。この電極31、32は、無呼吸症状の発生時において覚醒刺激を与えるためのものであって、ベルト係止部213を用いて装置本体部21が手首付近に装着されたときに、その手首付近の皮膚面に密着されるようになっている。
【0034】
一方、プローブ22には、前記センサ部11の一部を構成する発光部41と受光部42とが備えられている。該プローブ22は、発光部41が組み付けられた上部クリップ片221と、受光部42が組み付けられた下部クリップ片222と、上部クリップ片221及び下部クリップ片222を回動可能に結合するヒンジ223とを有し、図略の付勢バネ等により上部クリップ片221と下部クリップ片222とが互いに接近する方向に付勢されたクリップ機構を備えている。
【0035】
続いて、パルスオキシメータ20の電気的構成について、図4のブロック図に基づいて説明する。このパルスオキシメータ20は、上述の通り装置本体部21とプローブ22とがプローブケーブル201で電気的に接続されてなる。プローブ22には、前述の通り発光部41と受光部42とが含まれるが、本実施形態では発光部41として赤色領域の波長λ1の赤色光を発生する赤色LED41Aと、赤外線領域の波長λ2の赤外光を発生する赤外LED41Bとの2つのLEDが用いられている例を示している。また装置本体部21には、前述の電源スイッチ211、表示部212、電極31、32のほか、発光回路23、受光回路24、制御処理部(CPU)25、通電制御部26(覚醒手段)、操作部271、メモリ部272及び電源部273(電流発生手段)が備えられている。
【0036】
発光部41及び受光部42は、血中酸素飽和度を測定する被測定指F(生体組織)の指先FSを挟むように対向配置される。これは、特に指先FSが、動脈血の脈動を光学的に捉えやすいからである。本実施形態では指先FSの背部(爪部)側に発光部41が配置され、腹部側に受光部42が配置されている例を示している。これにより、被測定指Fの指先FSの生体組織を透過した発光部41の両波長λ1、λ2の透過光が、受光部42にて受光されるようになる。この他、発光部41及び受光部42を指先FSの腹部に並置して、生体組織にて反射された反射光を測定するようにしても良い。
【0037】
上記発光部41及び受光部42には、それぞれ発光回路23及び受光回路24が接続される。発光回路23は、制御処理部25で動作制御され、所定の発光制御信号を発光部41の赤色LED41A及び赤外LED41Bに与える。これにより、例えば赤色LED41Aと赤外LED41Bとが交互に駆動され(図4の発光制御信号参照)、赤色光と赤外光とが交互に射出される。また前記受光回路24は、制御処理部25により発光部41の発光に同期して制御され、受光部42から光強度に応じて出力される光電変換された電流信号(図4の受光信号参照)をA/D変換し、制御処理部25にデジタル測定信号として出力する。
【0038】
酸素は、血液中のヘモグロビンの酸化・還元によって運搬されている。このヘモグロビンは、酸化されると赤色光の吸収が減少して赤外光の吸収が増加し、逆に還元されると赤色光の吸収が増加して赤外光の吸収が減少するという光学的特性を有している。この特性を利用して、受光回路24で検出された赤色光及び赤外光の透過光量の変動を計測することで、SpOの値を求めることが可能となる。
【0039】
ここで、光を用いてSpOを測定する原理について説明する。周知の通り、酸素は、ヘモグロビン(Hb)によって生体の各細胞に運ばれるが、ヘモグロビンは、肺で酸素と結合して酸化ヘモグロビン(HbO)となり、生体の細胞で酸素が消費されるとヘモグロビンに戻る。SpOは、血中の酸化ヘモグロビンの割合を示すものであり、ヘモグロビン濃度をCHb、酸化ヘモグロビン濃度をCHbO2で示すと、次の(1)式のように定義される。
【0040】
【数1】

【0041】
一方、ヘモグロビンの吸光度及び酸化ヘモグロビンの吸光度は、波長依存性を有しており、各吸光係数α(λ)は、例えば図5に示すような吸光特性を有している。なお、図5の横軸は、nm単位で示す光の波長であり、縦軸は、×10−9cm/mole単位で示す吸光係数である。ヘモグロビン(Hb)及び酸化ヘモグロビン(HbO)は、図5に示すようにその吸光特性が異なる。ヘモグロビンは、赤色領域での赤色光Rにおいては、酸化ヘモグロビンよりも光を多く吸収するが、赤外線領域での赤外光IRにおいては、酸化ヘモグロビンよりも光の吸収が少なくなっている。
【0042】
すなわち、例えば、赤色光Rの波長λ1を酸化ヘモグロビンとヘモグロビンとの吸光係数の差が最も大きい例えば660nmとし、赤外光IRの波長λ2を酸化ヘモグロビンとヘモグロビンとの吸光係数の差が等しい例えば815nmとした場合、赤色光Rの透過光量はヘモグロビンが多くなるのに従って大きくなり、一方、酸化ヘモグロビンとヘモグロビンとの比率が変わったとしても、赤外光IRの透過光量は変わらないこととなる。これにより、赤色光Rと赤外光IRとの透過光量の比をとることでSpOを求めることが可能となる。パルスオキシメータ20(制御処理部25)は、このようなヘモグロビン及び酸化ヘモグロビンの赤色光Rと赤外光IRとに対する吸光特性の違いを利用してSpOを求めるものである。
【0043】
生体に光を照射すると、光の一部は吸収され、一部は透過する。生体は、動脈血層と、静脈血層と、動脈血層及び静脈血層以外の組織(血液以外の組織)とで構成される。この生体における光の吸収は、図6(a)に示すように、動脈血層による吸収と、静脈血層による吸収と、動脈血層及び静脈血層以外の組織による吸収とからなる。動脈血層及び静脈血層以外の組織と静脈血層とは経時的に変化しないため、この部分での光の吸収は略一定である。一方、動脈血は心拍動によって血管径が変化するため、動脈血層による光の吸収、すなわち透過光(図6(a)に示す透過光)の強度は、図6(b)に示すように脈拍により経時的に変化する。この透過光強度の変化分は、動脈血のみの情報によるものであり、静脈血や、動脈血及び静脈血以外の生体組織による影響を殆ど含まない。なお、図6(b)の横軸は時間、縦軸は透過光強度である。
【0044】
ところで、赤色光Rと赤外光IRとの光量変化を比較する場合、入射光量の差をキャンセル(補正)する必要がある。図7(a)〜(c)は、生体に対する入射光と透過光との関係を示す模式図である。図7(a)に示すように、生体への入射光量Iを赤色光Rと赤外光IRとで同じにすることは実質的に困難であり、仮に同じにしたとしても、組織や静脈血による吸光率は赤色光Rと赤外光IRとで異なるため、変化分のみでの比較を行うことはできない。
【0045】
ここで、動脈が最も細い場合(透過光量が最も大きい場合)の透過光量をIとし、動脈が最も太い場合(透過光量が最も小さい場合)の透過光量をI−ΔIとする(記号「−」は減算を示す)。これは図7(a)又は図7(b)に示すように、厚さ(幅)ΔDの動脈血にIという光を照射したとき、I−ΔIの透過光が得られると考えられる。なお、このΔDの動脈血に応じた透過光量の変化の様子は、図7(c)のグラフ(横軸は時間、縦軸は透過光量)に示される。
【0046】
したがって、図8に示すように、符号51のグラフに示す赤色光Rの透過光量Iと、符号52のグラフに示す赤外光IRの透過光量IIRとが同じとなるように正規化する、つまり符号53のグラフに示すように、透過光量IIRに対応する透過光量IIR’=透過光量Iとなるように正規化することにより、動脈血による光量変化の比である(ΔI/I)/(ΔIIR/IIR)を求めてSpOを算出することができる(記号「/」は除算を示す)。
【0047】
ところで、入射光と透過光との関係はランバート・ビアの法則により、下記の(2)式で表すことができる。但し、下記(2)式において、Eは吸光物の吸光係数を表し、Cは吸光物の濃度を表す。
【0048】
【数2】

【0049】
赤色光R及び赤外光IRの2つの波長をそれぞれ上記(2)式に当てはめ((2)式中のIをI又はIIRに置換する)、その比をとることによって下記の(3)式を得ることができる。但し、上記(3)式において、Iは赤色光Rの透過光量を表し、IIRは赤外光IRの透過光量を表し、Eは赤色光Rの吸光係数を表し、EIRは赤外光IRの吸光係数を表す。
【0050】
【数3】

【0051】
図9は、吸光係数の比とSpOとの関係を示す図である。図9の横軸はSpOであり、縦軸は吸光係数の比である。同図に示すように、例えば赤色光R及び赤外光IRの波長をそれぞれ約660nm及び約815nmとすると、吸光係数の比(E/EIR)とSpOとの関係は右肩下がりの直線で表される。このような関係に基づいて、吸光係数の比からSpOを算出することができる。なお、SpOの算出方法としては、この方法に限らず、種々の方法が採用可能である。
【0052】
図4に戻って、制御処理部25(解析処理手段、判定手段)は、所定の制御プログラム等を記憶するROM、一時的にデータを格納するRAM及び制御プログラム等をROMから読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)やDSP(Digital Signal Processor)からなり、当該パルスオキシメータ20全体の動作制御を司るものである。制御処理部25は、これらRAMやROMに記憶されたデータやプログラムに基づいて、発光部41及び受光部42の動作制御を行うと共に、取得された光電脈波データからSpO値を算出する演算処理等を行う。
【0053】
図10は、制御処理部25の機能構成及びその関連部分を示すブロック図である。制御処理部25は、機能的に、測定制御部251、SpOデータ生成部252、Dip検出部253、判定部254及び覚醒制御部255を備えて構成されている。
【0054】
測定制御部251は、所定の測定プログラムに則り発光部41及び受光部42によるSpOの測定動作を制御する。具体的には、発光回路23及び受光回路24にタイミングパルス等を与え、所定のサンプリング周期(例えばサンプリング周波数=30Hz)毎に発光部41を発光させる(赤色LED41Aと赤外LED41Bを交互に発光させる)と共に、その発光タイミングに同期させて受光部42から光電変換信号(測定データ)を取得させる。
【0055】
SpOデータ生成部252は、所定のサンプリング周期毎に受光回路24から与えられる2波長光電脈波データに基づき、サンプリング周期毎の瞬時SpO値を求める。そして、SpOデータ生成部252は、かかる瞬時SpO値を測定時刻に関連付けてメモリ部272に格納する。これにより、SpOの時系列データがサンプリング周期毎に更新されつつ逐次生成される。すなわち、瞬時SpO値を時間軸に展開してSpO曲線が生成される。図11は、このようなSpO曲線61の一例を示すグラフ(時間軸を上段と下段に分けて表記している)である。当該SpO曲線61において、SpO値が一時的に落ち込んでいる低下ピーク部分が観測されているが、これが上述のDipである。
【0056】
Dip検出部253は、前記SpOの時系列データに基づいて、SpO値の低下ピークであるDipを検出する演算を行う。また、判定部254は、Dip検出部253において検出されたDipが、被験者の無呼吸状態若しくは低呼吸状態と連関性のある有意なDipであるか否かの判定を行う。すなわち判定部254は、所定のDip検出指標を有し、Dip検出部253で逐次検出されるDipと、前記Dip検出指標とを比較することで「有意なDip」であるか否かを判定する。
【0057】
Dipを検出することは、当該被験者について取得されたSpO計測情報に関し、無呼吸乃至は低呼吸のイベントを検出することに相当する。図12は、Dipの検出指標を模式的に示す図である。前記Dip検出指標としては、例えばSpO曲線の低下勾配、低下度、低下状態持続時間、回復時間(上昇度)などが用いられる。すなわち、例えば判定部254は、図12に示すように、SpO曲線からDip検出部253にて抽出されたDipについて、次の要件を満たす場合にそれが「有意なDip」であると判定する。
持続時間;8〜120sec
低下勾配;≧1%/10sec
低下度 ;≧2%〜≧5%
回復時間;<20sec
【0058】
ここで求められるDipは、一定の基準値からの低下度等ではなく、逐次変動するSpO曲線の任意の点(被験者の睡眠期間中における任意の時点;ベースライン)からの低下度等に基づくものである。すなわち、計測開始当初のSpO値に比較して所定量だけ低下したのか、或いは一定値以下にSpO値が低下したのかを見るのではなく、各々のDipの開始点からの低下度がどの程度であるかを検出指標としている。これによりSpO値の低下を的確に検出することができるようになる。
【0059】
覚醒制御部255(覚醒モード選択手段、覚醒強度設定手段)は、無呼吸状態等の発生に伴い覚醒刺激(この場合、微弱電流の通電)を被験者に与える覚醒モードを実行するか否かの設定、並びに覚醒刺激の強度等を設定する制御を行う。かかる設定は、操作部271から与えられる操作情報に基づいて行われる。本実施形態の場合は、通電電流の大小、通電時間などを設定し、かかる設定情報を通電制御部26に与える。
【0060】
図4に戻って、通電制御部26は、判定部254において無呼吸状態等が発生したと判定された場合に、微弱電流を電極31、32を介して被験者に通電させる制御を行う。ここで通電される微弱電流は、前記覚醒制御部255において設定された設定情報に基づく微弱電流とされる。
【0061】
表示部212は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、例えばSpOの測定値や、測定中であることを示す経過情報等、測定に関する所定の情報が表示される。
【0062】
操作部271は、押下ボタン等からなり(図1では不図示)、パルスオキシメータ20に対して測定開始・終了操作、測定モードや覚醒モードの設定、各種機能の選択、覚醒刺激の強度設定等を行うためのものである。
【0063】
メモリ部272は、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等からなる。該メモリ部272には、2波長光電脈波データ、或いは2波長光電脈波データに基づき制御処理部25にて算出されるサンプリング周期毎の瞬時SpO値が時刻情報に関連付けて格納される。
【0064】
電源部273は、所定の電源回路、ボタン電池等の電源電池等を備え、当該パルスオキシメータ20の各部へ駆動電圧を供給するものである。また、電源部273は、覚醒刺激を発生させるための電流発生手段としても機能する。なお、前記電源回路には、オートパワーオフ(APO)機能が備えられていることが望ましい。
【0065】
電極31、32は、例えば平板電極等からなり、通電制御部26介して電源部273から与えられる電流を被験者の生体組織に通電させる。図10に示すように、例えば一方の電極31を正極とし、他方の電極32を負極として、図中点線で示すような電流経路D1にて通電を行わせることができる。
【0066】
[動作フローの説明]
以上の通り構成されたオキシメータシステムS1の動作について、図13に示すフローチャートに基づいて説明する。ここでは、覚醒モードが実行される場合のフローについて説明する。先ず、パルスオキシメータ20の装置本体部21を被験者の手首付近に装着すると共にプローブ22を被測定指にクリッピングし、パルスオキシメータ20の電源スイッチ211(以上図2参照)を投入して、測定スタンバイの状態とされる。この後、計測が開始されるが、終夜パルスオキシメトリを実施する場合等には、被験者が睡眠に入るまでの時間を考慮して、所定時間経過後に計測が開始されるようタイマーセットを行うようにしても良い。
【0067】
計測が開始されると、測定制御部251(図10参照)により、所定のサンプリング周期毎に、発光部41からの測定光の投光動作及び受光部42による透過光の受光動作が行われ、被験者のSpO値情報を求めるための2波長光電脈波データが取得される(透過光の測定;ステップS1)。その後、受光回路24からの出力に基づいて、SpOデータ生成部252により、サンプリング周期毎に瞬時SpO値が求められる(ステップS2)。かかる瞬時SpO値は、時刻情報に関連付けてメモリ部272へ格納され、これにより、SpOの時系列データが逐次生成される。
【0068】
続いて、Dip検出部253により、ステップS3で生成されたSpOの時系列データからDipを検出する演算が行われる(ステップS3)。そして判定部254により、検出されたDipの有意性の有無が判定される。例えば、SpO曲線のベースラインからの低下度(図12参照)が、低下勾配要件、持続時間要件を満たしつつ、3%以上のDipであるか否かの判定が為される(ステップS4)。
【0069】
Dipの低下度が3%以上である場合(ステップS4でYES)、判定部254は被験者において無呼吸状態等が発生したものと判定し、その判定信号を通電制御部26に与える。かかる判定信号を受けて、通電制御部26は電極31、32を介して、被験者の手首部分に覚醒刺激としての微弱電流を通電させる(覚醒刺激の発生;ステップS5)。この覚醒刺激の発生と同時に、所定の計時手段により当該覚醒刺激の終期を定めるための計時動作が開始される(ステップS6)。
【0070】
続いて、通電制御部26により、覚醒刺激(通電)を終了させる時期であるか否かが計時時間情報に基づき判定される(ステップS7)。通電終了時期でない場合は(ステップS7でNO)、通電による覚醒刺激が継続して与えられる。そして測定を終了するかが引き続き確認され(ステップS8)、所定の測定期間中である場合(ステップS8でNO)は、前記ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0071】
一方、通電終了時期である場合は(ステップS7でYES)、通電制御部26は電極31、32からの通電を停止させ、覚醒刺激を終了させる(ステップS9)。その後、ステップS1に戻って処理が繰り返される。なお、上記ステップS4において、低下度が3%以上のDipが検出されなかった場合は(ステップS4でNO)、ステップS5〜ステップS7はスキップされ、ステップS8を実行する。また、ステップS8において、所定の測定期間が終了した場合や、被験者が測定期間中に完全覚醒して計測動作を強制終了させたような場合(ステップS8でYES)は、ここでパルスオキシメータ20を用いた測定動作は終了する。
【0072】
[変形実施形態の説明]
以上、本発明の各種実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下記[1]〜[3]の変形実施形態を取ることができる。
【0073】
[1]上記実施形態では、通電による覚醒刺激を与える例を示したが、これに代えて被験者に振動を与えるようにしても良い。図14は、覚醒刺激として振動を与える場合の電気的構成を示すブロック図である。図14において、図10と同一符号の部分は先に説明した構成と同一である。ここでは覚醒手段が、振動発生制御部261及び振動子33(振動発生手段)と、振動子33により発生された振動が被験者に伝搬されるように振動子33を被験者に取り付けるホルダ34(保持手段)とから構成されている例を示している。
【0074】
振動発生制御部261は、判定部254において無呼吸状態等が発生したと判定された場合に、所定の振動を振動子33及びホルダ34を介して被験者に通電させる制御を行う。発生される振動は、前記覚醒制御部255において設定された振動周波数、振動強さ等に基づく振動とされる。振動子33は所謂バイブレータであり、電界が与えられることで振動動作を行う素子である。ホルダ34は振動子33を保持する筐体であり、パルスオキシメータ20の装置本体部21に振動子33を内蔵させる形態を取る場合は、装置本体部21の筐体がこのホルダ34の役目を果たすこととなる。この場合、装置本体部21が装着される手首付近から振動による覚醒刺激が被験者に与えられることになる。勿論、装置本体部21とは別体の筐体(ホルダ34)内に振動子33を収納し、被験者の適所に取り付けるようにしても良い。この構成によれば、無呼吸状態等が発生すると振動子33から覚醒刺激としての振動が発生され、被験者を微小覚醒させることが可能となる。
【0075】
[2]覚醒刺激として、可聴音を被験者に与えるようにしても良い。図15は、覚醒刺激として可聴音を与える場合の電気的構成を示すブロック図である。図15において、図10と同一符号の部分は先に説明した構成と同一である。ここでは覚醒手段が、可聴音発生制御部262とスピーカ35(可聴音発生手段)とから構成されている例を示している。
【0076】
可聴音発生制御部262は、判定部254において無呼吸状態等が発生したと判定された場合に、所定の可聴音(ブザーやメロディー等)がスピーカ35から発せられるような制御を行う。発生される可聴音は、前記覚醒制御部255において設定された音声周波数、音声強さ等に基づく可聴音とされる。スピーカ35は、パルスオキシメータ20の装置本体部21に内蔵させても良いし、別体物としても良い。この構成によれば、無呼吸状態等が発生するとスピーカ35から覚醒刺激としての可聴音が発生され、被験者を微小覚醒させることが可能となる。
【0077】
[3]上記実施形態では、覚醒刺激を与え始めてから一定時間経過後に覚醒刺激の施与を停止させる例(図13のステップS6、S7、S9を参照)を例示したが、このような定時間方式に代えて、覚醒刺激の施与により現にSpO値がベースライン(図12参照)まで復帰したことを確認した上で、覚醒刺激の施与を停止させるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係るオキシメータシステムSの構成を簡略的に示すブロック図である。
【図2】パルスオキシメータ20から構成されるオキシメータシステムS1を示す外観構成図である。
【図3】図2の一部破断側面図である。
【図4】パルスオキシメータ20の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】ヘモグロビン及び酸化ヘモグロビンの吸光特性を示すグラフである。
【図6】生体による光の吸収状態を模式的に示す説明図である。
【図7】生体に入射する入射光と透過光との関係を模式的に示す説明図である。
【図8】赤外光による透過光量の正規化を説明するための説明図である。
【図9】吸光係数の比とSpOとの関係を示すグラフである。
【図10】制御処理部25の機能構成及びその関連部分を示すブロック図である。
【図11】SpOの時系列データ(SpO曲線)の一例を示すグラフである。
【図12】Dipの検出指標を模式的に示す模式図である。
【図13】オキシメータシステムS1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】覚醒刺激として振動を与える場合の電気的構成を示すブロック図である。
【図15】覚醒刺激として可聴音を与える場合の電気的構成を示すブロック図である。
【図16】SAS患者において無呼吸症状が生じる状態を説明するための模式図である。
【図17】従来のSASの治療方法を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0079】
11 センサ部(血中酸素飽和度検出手段)
12 解析処理手段
13 判定手段
14 覚醒手段
15 制御手段
20 パルスオキシメータ
21 装置本体部
22 プローブ
23 発光回路
24 受光回路
25 制御処理部(解析処理手段、判定手段)
251 測定制御部
252 SpOデータ生成部
253 Dip検出部
254 判定部
255 覚醒制御部(覚醒モード選択手段、覚醒強度設定手段)
26 通電制御部(覚醒手段の一部)
261 振動発生制御部(振動発生手段の一部)
262 可聴音発生制御部(可聴音発生手段の一部)
271 操作部
272 メモリ部
273 電源部(電流発生手段)
31、32 電極(覚醒手段の一部)
33 振動子(振動発生手段の一部)
34 ホルダ(覚醒手段の一部)
35 スピーカ(可聴音発生手段の一部)
41 発光部
42 受光部
S、S1 オキシメータシステム
F 被測定指
H 被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の血中酸素飽和度情報を検出する血中酸素飽和度検出手段と、
前記血中酸素飽和度情報に基づいて、被験者が無呼吸状態若しくは低呼吸状態に陥ったか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に、被験者が感知可能な刺激を被験者に与える覚醒手段とを具備することを特徴とするオキシメータシステム。
【請求項2】
異なる2波長の光を発する発光部と、該発光部から発せられ被験者の生体組織を経由した光を受光可能とされた受光部とを有するセンサ部と、
該センサ部により取得された測定データに対して所定のデータ解析処理を行うことで血中酸素飽和度の時系列データを生成する解析処理手段と、
前記血中酸素飽和度の時系列データから、当該血中酸素飽和度の所定の低下ピークを検出することで無呼吸状態若しくは低呼吸状態の発生判定を行う判定手段と、
前記判定手段により無呼吸状態若しくは低呼吸状態と判定された場合に、被験者が感知可能な刺激を被験者に与える覚醒手段とを具備することを特徴とするオキシメータシステム。
【請求項3】
前記覚醒手段を動作状態とするか否かを選択する覚醒モード選択手段と、
前記覚醒手段が被験者に与える刺激の強度を調整する覚醒強度設定手段とが備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシメータシステム。
【請求項4】
所定の操作部が備えられ、該操作部から与えられる操作指示により、覚醒モードの選択及び/又は覚醒強度の設定が可能とされていることを特徴とする請求項3に記載のオキシメータシステム。
【請求項5】
前記覚醒手段が、電流を発生する電流発生手段と、前記電流発生手段により発生された電流を被験者の生体組織の一部に通電させるための一対の電極とを具備することを特徴とする請求項1〜4に記載のオキシメータシステム。
【請求項6】
前記覚醒手段が、振動を発生する振動発生手段と、前記振動発生手段により発生された振動が被験者に伝搬されるように前記振動発生手段を被験者に取り付ける保持手段とを具備することを特徴とする請求項1〜4に記載のオキシメータシステム。
【請求項7】
前記覚醒手段が、可聴音を発生する可聴音発生手段を具備することを特徴とする請求項1〜4に記載のオキシメータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−167185(P2007−167185A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366252(P2005−366252)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】