説明

オゾニド吸着シート及びオゾニド吸着シート製造装置

【課題】 一般人でも、小型で簡素な装置でもって簡単安全迅速にオゾニドを製造できるようにするとともに、製造されたオゾニドを簡単で安全に扱えるようにする。
【解決手段】 吸い取り紙(32)にオゾン化オイル等のオゾニドを吸着させ、オゾニド吸着シートとして使用する。オゾニド吸着シート製造装置(10)は、オゾン発生器(14)と、オゾン発生器で発生したオゾンが送り込まれるとともに、底部にオイルを入れた油溜めを有する反応容器(16)とを備え、反応容器内に収容した吸い取り紙に、オイル及びオゾンを吸い取らせて、オゾニドを生成して吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物からオゾニドを製造する装置に関し、さらに詳細には、オリーブ油等の市販され容易に入手できる食用油を利用して、低濃度のオゾン化オイルを含むオゾニド吸着シートを必要な時に必要なだけ安全に生成できる小型で簡素なオゾニド吸着シート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オゾンの利用は、高度浄水処理など大がかりな装置から、食品工場に於ける殺菌システムなど中型装置、そして空気清浄機など家庭用の小型装置にと広がりつつある。しかし、個人レベルでオゾンを積極的に利用するという発想はまだ少ない。特に最近になり、オゾン化オイルを利用したり、オゾン水化等したりして、手の消毒用に紫外線と併用して利用される例が出てきている。
【0003】
オゾンの殺菌、消毒の効果については周知の事であるが、オゾン発生装置が大がかりで高価であったり、オゾンのキャリヤが気体であるせいもあって使用時の安心感が今ひとつ物足りなかったりすることで、一般に普及しないものと思われる。
【0004】
しかし、オゾンの殺菌、脱臭等の作用を利用することは大きな意義がある。オゾンの強い作用はその酸化力にある。酸化電位で表せば、オゾンの標準酸化電位は2.07Vと塩素(1.40V)、酸素(1.23V)よりもはるかに強く、フッ素(2.81V)に次ぐ強い酸化力である。オゾンの殺菌力は、次亜塩素酸に比較して、ウイルスの場合で5倍、腸内菌で20倍程度の能力を持っているという。このオゾンの「強すぎる効果」があって、人に対する「危険意識」が先行し、オゾンを個人用に利用する発想が出ないものと思われる。
【0005】
オゾンは放電により得られる紫外線(170nm〜210nm)によって空気中で作ることが出来、同じく254nm近辺の波長の紫外線で消滅させることが出来る。オゾンは気体であるので拡散性に優れ、かつ放置すれば20分程度で自然に消滅するという特徴がある。
【0006】
出願人は、長さ5cm程度の超小型オゾン発生管(紫外線ランプ)を開発した(下記特許文献1参照)。また発生した気体オゾンを常温常圧下で蓄積する材料を選択し、微量オゾンの制御法を開発した。このオゾン吸蔵材(下記特許文献2、3参照)を直径30mm、高さ60mm程度のカセット内に入れ、オゾンを蓄積し携帯して運搬できる構造を発明した。このオゾン吸蔵材は、瞬時にオゾン水を作り、食用油をオゾン化してオゾニド(オゾンと化学反応した化合物)にする触媒のような動作することを確認した。これらの超小型オゾン発生管とオゾン吸蔵材を組み合わせて、超小型で運搬できる、また家庭用として使用できる大きさのオゾン発生装置を開発した。この使用法と併せて微量オゾンの効果を、微生物への適用や家庭菜園での防虫効果、観賞魚用水槽の藻発生状況、食品の黴発生状況など、目に見える効果の実証を行ってきた。
【0007】
ところで、食用油をオゾニドとしたオゾン化オイルの効果は、乳牛の乳房炎などの炎症回復、床ずれなどの快復など医学上の利用が学会等で発表されている。実際に、オゾン化オイルは、欧州では古くから皮膚疾患やカンジタ症などの治療に使用されている。
【0008】
我が国では、オゾン化オイルによる治療は、現在医療実験が各種報告されているが、日本の薬事法では認められておらず、未だに一般的ではない。最近、牛の乳房炎の防止などに使用され始めたが、一般には普及していない。しかし、欧州では既に使用されており、我が国でも今後公認されることが期待される。
【0009】
一般に行われているオゾニドの生成方法は、通常、真空ポンプと三角フラスコ等の化学ガラス器具、リービッヒ冷却器及びオゾン発生器等を組み合わせて行う。たとえば、オゾン発生機で発生した2〜8%のオゾンを含んだ酸素ガスを、フラスコ内の有機化学物質基質の溶液中に吹き込んで行う。このときの溶媒は、ペンタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられるが、そのとき、反応途中で生成するオゾニドやペルオキシド酸化物の分解を避けるため、ドライアイスとアセトン混合液の冷却下で行っている。約80%のオレイン酸を含有するオイル、例えば、オリーブ油、ベニバナ油、ひまわり油及び椿油も、オゾニドであるオゾン化オイルとすることができる。
【0010】
日本オゾン(株)の方法によれば、純オリーブオイル(トリオレイン含量45%、トリリノレイン含量0.4%)190gを約30℃に加温し、攪拌しながらオゾン-酸素混合ガス(オゾン濃度10mg/L、流量1.0L/min)を導通、約50時間オゾンを吸収させ、その吸収量は重量比で約16%である(下記非特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特許第3586836号公報
【特許文献2】特許第3176358号公報
【特許文献3】特許第3738386号公報
【非特許文献1】三浦敏明、オゾン化オイルとオゾニド、日本医療・環境オゾン研究会第5回研究講演会抄録、P.22−27、2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、オゾン化反応は、過酸化物も生成するので、常に爆発の危険性がある。特に、低濃度オレフィンのオゾン分解物や多量の過酸化物は危険である。溶液中では安定な過酸化物も溶媒が無くなると不安定になるので、反応液を濃縮する時には細心の注意が必要であるとされる。このように、オゾン化オイル等のオゾニドを製造する過程は危険で困難性を伴っており、オゾニドは一般の人が簡単で安全に短時間で製造できるものではないという問題があった。また、オゾン化反応にも長時間必要であり、その装置も複雑で大掛かりなものとなるという問題もあった。このような問題が、医療上の効果が知られていながら、オゾン化オイル等のオゾニドが普及しない理由の一因でもあった。
【0013】
さらに、オゾン化オイル等のオゾニドは、液体のままでは患部に塗布するのが煩わしいというように、簡単に扱えないという問題もあった。
【0014】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、一般人でも小型で簡素な装置でもって簡単安全迅速にオゾニドを製造できるようにするとともに、製造されたオゾニドを簡単で安全に扱えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、吸い取りシートにオゾニドを吸着させたオゾニド吸着シートである。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のオゾニド吸着シートを使用目的に応じた形状及び大きさに加工したものである。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明のオゾニド吸着シートを製造するオゾニド吸着シート製造装置であって、オゾン発生器と、該オゾン発生器で発生したオゾンが送り込まれるとともに、底部に有機物の液体を入れた油溜めを有する反応容器とを備え、該反応容器内に収容した吸い取りシートに、前記液体及び前記オゾンを吸い取らせてオゾニドを生成して、該オゾニドを吸着したオゾニド吸着シートを製造するものである。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記反応容器内にオゾン吸蔵材を収容したものである。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る発明において、空気を前記オゾン発生器へ送るためのエアポンプと、前記反応容器からオゾンの残っている空気を前記エアポンプへ戻すオゾン回収路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、オゾニドを吸着したオゾニド吸着シートによれば、これからオゾンが徐々に揮発して殺菌や消臭効果を発揮する。そこで、このオゾニド吸着シートを皮膚疾患、カンジタ症、床ずれ、わきが、痔瘻などの患部に接触させるだけで、治療効果及び予防効果が期待できる。このオゾニド吸着シートを靴の中に入れておけば、防臭、足指の水虫の予防効果もある。このオゾン化オイル吸着シートは、種子の近くに置いておけば、種子の発芽率を良くでき、蟻、カタツムリ、ニカメイチュウ、ナメクジなどを寄せ付けない効果もある。さらに、付近に置いておくか、接触させるだけで、ご飯のかびや腐敗の発生を遅らせたり、野菜の鮮度を保持させたり、樹木の防虫を駆除したり、生花の鮮度を保持させたりする効果も有する。
【0021】
このオゾニド吸着シートは、長期間(冷蔵すれば6ヶ月以上)保管しておくことも可能で、必要なときに逐次使用することができるから、使い易く便利である。また、目に見えないオゾンをオゾニドとして吸着シートに吸着させて目に見えるようにしたうえ、有害菌の殺菌等には十分でありながら低濃度のオゾンを除々に揮発するから、簡単で安全に使うことができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、さらに、オゾニド吸着シートを使用目的に応じた形状及び大きさに加工したから、使用し易く、また誤用し難くすることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、オゾン発生器と、該オゾン発生器で発生したオゾンが送り込まれるとともに、底部に有機物の液体を入れた油溜めを有する反応容器とを備え、該反応容器内に収容した吸い取りシートに、有機物の液体及びオゾンを吸い取らせて反応させてオゾニドを生成して、これによりオゾニドを吸着したオゾニド吸着シートを製造するという極めて簡素な構成であるから、このオゾニド吸着シート製造装置は小型軽量化が容易である。また、原料に空気、有機物の液体及び吸い取りシートの無害なもののみを使用し、オゾン吸蔵材にもシリカゲル又は多孔質ガラスの無害なもののみを使用していること、常温常圧中で反応させること、爆発の危険のある溶媒を使用しないこと、発生するオゾンが低濃度であること、比較的ゆっくりとしたオゾン化反応を起こさせ、生成したオゾニドを吸い取り紙に吸着させていること、短時間にオゾニドを十分に吸着したオゾニド吸着シートが得られること等のため、このオゾニド吸着シート製造装置は、化学知識を持たない者でも容易に安全に使用することができるので、小さな個人病院や一般家庭でも使用可能である。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、さらに、反応容器内にオゾン吸蔵材を収容したから、常温常圧でも、オゾン吸蔵材に蓄えて濃縮されたオゾンが吸い取りシートに吸着した有機物の液体と反応して、いっそう短時間で効率的にオゾニドを生成して、オゾニド吸着シートの製造ができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、さらに、空気をオゾン発生器へ送るためのエアポンプと、反応容器からオゾンの残っている空気をエアポンプへ戻すオゾン回収路を設けたから、オゾンが外部に漏れることがなく、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施例として、オゾン化オイル吸着シート製造装置について説明する。図1は、このオゾン化オイル吸着シート製造装置のブロック図である。図2は、このオゾン化オイル吸着シート製造装置の反応容器を説明する図である。図3は、このオゾン化オイル吸着シート製造装置の動作のタイミングチャートである。
【0027】
このオゾン化オイル吸着シート製造装置10は、オゾン発生部14と、オゾン発生部14に空気を供給するエアポンプ12と、オゾン発生部からオゾンが供給されてオゾン化オイルを生成して吸い取り紙に吸着させる反応容器16と、反応容器16から余ったオゾンを回収してエアポンプ12へ戻すオゾン回収路18と、エアポンプ12及びオゾン発生部14の動作を制御するコントローラ20からなる。
【0028】
オゾン発生部14は、3〜10W程度の紫外線ランプを備えていて、エアポンプ12から送られてきた空気中の酸素を波長185nm程度の真空紫外線で照射してオゾンを発生させる。もちろん、紫外線ランプ以外にも、紫外線LED、放電装置、電気分解装置、又はオゾンを貯蔵したオゾンボンベ等のオゾン発生器を使用することができるが、紫外線ランプが最も簡単確実で望ましい。
【0029】
エアポンプ12は、どのようなものでもよいが、間欠的に空気を送り込むダイアフラム式エアポンプで、観賞魚飼育用水槽に空気を吹き込むために使用するものと同じ構造のものが、安価で耐久性が高いので適する。エアポンプの風量は、1リットル/分程度である。
【0030】
反応容器16は、フッ素樹脂又はステンレス製で、直立した円筒状の容器本体22と、容器本体22の上端を塞ぐ上蓋24と、容器本体22の下端を塞ぐ下蓋26とからなる。上蓋24には、オゾン発生部14に接続されるとともにオゾンを容器本体22内へ導くオゾン導入路28が設けられる。下蓋26には、オリーブ油、紅花油、ゴマ油、菜種油、椿油等のオイルを容れる油溜め30が設けられる。
【0031】
反応容器16内には、油を吸い取る吸い取り紙32と、シリカゲルや多孔質ガラス等のオゾン吸蔵材34を入れる。オゾン吸蔵材34は、オゾン分子直径に近いナノメートルサイズの細孔を多数持つ材料で、細孔内に選択的にオゾン分子を吸蔵してオゾンを濃縮する。そして、オゾン吸蔵材34は、濃縮したオゾンを反応容器16内に放出して、常温常圧でもオゾン化反応を促進させる触媒として働く。
【0032】
反応容器16は、漏れた油の飛散を防ぐ外容器(カセット)36内に収容される。さらに、反応容器16と外容器36は、オゾンの漏れを防ぐ密閉容器38内に収容される。密閉容器38は、耐オゾン性のチューブからなるオゾン回収路18でエアポンプ12に接続される。エアポンプ12とオゾン発生部14の間も耐オゾン性のチューブで接続される。オゾン発生部14は密閉容器38に固定されており、反応容器16を外容器36に収容したまま密閉容器38の所定位置にセットすると、オゾン発生部14のノズル14aが反応容器16の蓋24のオゾン導入路28と接続される。こうして、オゾンを含む空気は、エアポンプ12、オゾン発生部14、反応容器16の間を循環するが、外部には漏れないようになっている。このオゾン化オイル吸着シート製造装置の電源は、密閉容器の図示しない蓋を開けるとOFFとなり、その蓋を閉めるとONになるようにされていて、密閉容器38が密閉されたときだけ電源が入って、オゾンが外部に漏れないようになっている。
【0033】
コントローラ20は、図3のタイミングチャートに示したように、密閉容器38の蓋を閉じると電源が入り、タイマー2から10分周期でON・OFFする信号を発生する。また、図示しないタイマースイッチでタイマーセットするとタイマー1から4時間ほどON状態の信号を発生する。タイマー2からの信号はエアポンプ12に送られ、タイマー1からの信号はオゾン発生部14と図示しない警報ランプに送られる。警報ランプは、オゾン発生中を示すためのものである。タイマー1でもってオゾン発生部14を作動させるのは、必要以上にオゾンを発生させないようにして、事故を防ぐためである。
【0034】
オゾン化オイル吸着シート製造装置10でもって、オゾン化オイル吸着シートを製造する方法を説明する。まず、密閉容器38の蓋を開け、反応容器16を収容した外容器(カセット)36を取り出し、さらに反応容器16の上蓋24を外して、反応容器16の下蓋26の油溜め30に食用油を入れる。次に、吸い取り紙32を適宜大きさの矩形に、あるいは使用目的にしたがって適宜形状及び大きさに裁断する。吸い取り紙32は筒状に丸めて反応容器16内にセットし、オゾン吸蔵材34も反応容器16内に容れる。この際、オゾン吸蔵材34に吸い取り紙32を巻き付けると良い。
【0035】
吸い取り紙32には、キッチンタオルのようなものが適し、使用目的別に応じた形状及び大きさに予め加工しておくとよい。例えば、卵パック用には「めんどり」形状、ご飯の防腐用には「ご飯茶碗」、樹木の防虫用には「弾丸」状等に加工しておく。これで、家庭や病院等で使い易くなるとともに、誤用し難くなる。
【0036】
それから、反応容器16の上蓋24を閉じて、これを外容器(カセット)36に収容して、密閉容器38の所定位置にセットすると、上蓋24のオゾン導入路28にオゾン発生部14が接続され、オゾン化オイル吸着シート製造装置10の電源が入る。これで、コントローラ20からのタイマー2の信号によってのエアポンプ12の動作が開始される。次に、図示しないタイマースイッチでタイマー2をセットして、オゾン発生部14を作動させる。こうして、オゾンをオゾン化オイル吸着シート製造装置10内を4時間程度循環させると、吸い取り紙32に吸着されたオイルがオゾン化されてオゾン化オイルとなり、オゾン化オイルを十分に吸着したオゾン化オイル吸着シートができ上がって、オゾン発生部14の動作が停止する。
【0037】
本実施例のオゾン化オイルを吸着したオゾン化オイル吸着シートによれば、これを皮膚疾患、カンジタ症、床ずれ、わきが、痔瘻などの患部に接触させるだけで、治療効果及び予防効果が期待できる。このオゾン化オイル吸着シートを靴の中に入れておけば、防臭、足指の水虫の予防効果もある。このオゾン化オイル吸着シートは、種子の近くに置いておけば、種子の発芽率を良くでき、蟻、カタツムリ、ニカメイチュウ、ナメクジなどを寄せ付けない効果もある。さらに、付近に置いておくか、接触させるだけで、ご飯のかびや腐敗の発生を遅らせたり、野菜の鮮度を保持させたり、樹木の防虫を駆除したり、生花の鮮度を保持させたりする効果も有する。
【0038】
このオゾン化オイル吸着シートは、長期間(冷蔵すれば6ケ月以上)保管しておくことも可能で、必要なときに逐次使用することができるから、使い易く便利である。また、目に見えないオゾンをオゾン化オイルとして吸着シートに吸着させて目に見えるようにしたうえ、オゾンが徐々に揮発するから、簡単で安全に使うことができる。
【0039】
また、本実施例のオゾン化オイル吸着シート製造装置は、以上のように極めて簡素な構成であるから、小型軽量化が容易である。また、このオゾン化オイル吸着シート製造装置では、原料に空気、食用油及び吸い取り紙の無害なもののみを使用し、オゾン吸蔵材にもシリカゲル又は多孔質ガラスの無害なもののみを使用していること、常温常圧中で反応させること、爆発の危険のある溶媒を使用しないこと、オゾンは1000ppm(0.1%)以下の低濃度であること、比較的ゆっくりとしたオゾン化反応であり、生成したオゾン化オイルを吸い取り紙に吸着させていること、短時間にオゾン化オイルを十分に吸着したオゾン化オイル吸着シートが得られること等のため、このオゾン化オイル吸着シート製造装置は、化学知識を持たない者でも安全で容易に使用できる。したがって、このオゾン化オイル吸着シート製造装置は、小さな個人病院や一般家庭でも使用可能である。
【0040】
ただし、このオゾン化オイル吸着シート製造装置では、高濃度のオゾン化オイルは出来ない。しかしながら、オゾン化オイルの効果は、使用時に分解発生するオゾン濃度が1ppmにしても22.44リットルの空気中に6×1017個もあり、有害菌の殺菌等には十分すぎる効果が期待できる。
【0041】
ところで、本発明は前記実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、前記実施例では、食用油からオゾン化オイルを生成してオゾン化オイル吸着シールを製造したが、他の適当な有機物の液体からオゾニドを生成してオゾニド吸着シートを製造してもよい。また、前記実施例では、オゾニド吸着シートに吸い取り紙を利用したが、オゾニド吸着シートには、ペーパータオル、絹や絹糸(縫合糸に使用可)、高分子シート(生分解GTRに使用可)、ガーゼ、布等のように液体を吸着できるシート状のものであれば、ほとんどのものが利用可能である。さらに、前記実施例では、オゾニド吸着シートに食用油を吸着させるのに、油溜め30から食用油を吸い上げたが、オゾニド吸着シートに食用油を直接降り注いでもよい。
【0042】
この他、前記実施例では、オゾン発生部14のノズル14aが反応容器16の蓋24の横からオゾン導入路28に接続しているが、蓋24に鉛直方向に沿うオゾン導入路を設けてノズル14aを蓋24の上方からオゾン導入路に接続するようにしてもよい。それから、エアポンプ12とオゾン発生部14に別々のタイマーから信号を送って作動させていたが、1つのタイマー1からの信号でもって両者を作動させてもよい。
【0043】
一方、本発明のオゾニド吸着シート製造の際、使用したオゾン吸蔵材34の球状シリカゲルにもオゾン化オイルが付着しているので、使用済みのオゾン吸蔵材34を砂場や畑にまくと砂や土の除菌が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例に係るオゾン化オイル吸着シート製造装置のブロック図である。
【図2】前記オゾン化オイル吸着シート製造装置の反応容器を説明する図である。
【図3】前記オゾン化オイル吸着シート製造装置の動作のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0045】
10 オゾン化オイル吸着シート製造装置(オゾニド吸着シート製造装置)
12 エアポンプ
14 オゾン発生部
16 反応容器
18 オゾン回収路
32 吸い取り紙(吸い取りシート)
34 オゾン吸蔵材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い取りシートにオゾニドを吸着させたオゾニド吸着シート。
【請求項2】
使用目的に応じた形状及び大きさに加工された請求項1に記載のオゾニド吸着シート。
【請求項3】
オゾン発生器と、該オゾン発生器で発生したオゾンが送り込まれるとともに、底部に有機物の液体を入れた油溜めを有する反応容器とを備え、該反応容器内に収容した吸い取りシートに、前記液体及び前記オゾンを吸い取らせてオゾニドを生成して、該オゾニドを吸着したオゾニド吸着シートを製造するオゾニド吸着シート製造装置。
【請求項4】
前記反応容器内にオゾン吸蔵材を収容した請求項3に記載のオゾニド吸着シート製造装置。
【請求項5】
空気を前記オゾン発生器へ送るためのエアポンプと、前記反応容器からオゾンの残っている空気を前記エアポンプへ戻すオゾン回収路とを備えた請求項3又は4に記載のオゾニド吸着シート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−156765(P2008−156765A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344410(P2006−344410)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(597117514)
【出願人】(301043236)
【Fターム(参考)】