説明

オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の用量形態および同時投与

本発明は、オピオイド作動薬および水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を含む組成物を提供する。また特に、用量形態および該用量形態を投与する方法をも提供する。本発明の1つ以上の実施形態において、組成物が提供され、該組成物は、治療的に有効な量のオピオイド、および治療的に有効な量のオピオイド拮抗薬に共有結合する水溶性非ペプチドポリマーを含むポリマー−オピオイド複合体を含み、該組成物は、好適には液体、半固体、および固体から成る群から選択される形態をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる、暫定特許出願第60/857,610号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概してオピオイド作動薬、およびオピオイド拮抗薬の同時投与に関する。さらに、本発明は、特に、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の同時投与を容易にするための用量形態、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬を投与するための方法、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬を含有する組成物、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬を含有する用量形態等に関する。
【背景技術】
【0003】
疾病の治療において、臨床医は、その患者に投与するべき薬剤をしばしば処方する。理想的には、薬剤は、実質的な副作用を起こさずに疾病を改善する。あいにく、極めて軽度の副作用のみを伴う薬剤は非常に少ない。
【0004】
したがって、薬剤の投与が実質的な副作用を引き起こす、こうした状況において、臨床医は、しばしば最初の薬剤によって引き起こされた副作用に対処するための第2の薬剤を処方しなければならない。こうすることにより副作用に満足に対処することができるが、このようなアプローチは臨床医および患者の両方に複雑性をもたらす。臨床医にとっては、2つの薬剤の同時投与(またはほぼ同時投与)が必要とされる場合は常に相互作用の懸念が生じる。患者にとっては、2つの異なる薬剤の投与を調整しなければならないこと(異なる投与手段の可能性により)、および両方の薬剤を服用することを単に忘れることによりもたらされる問題のため、遵守に対する懸念が生じる。
【0005】
疼痛治療薬(例えば、麻薬またはオピオイド作動薬)は、しばしば患者を衰弱させ得る重度の副作用を引き起こす。例えば、便秘の有病率は、経口オピオイド治療を受けている患者において、41%と高くなる可能性がある。非特許文献1。オピオイド誘発性の便秘は、重大な合併症につながる可能性があるため、臨床医はオピオイド治療後に通常の腸機能に回復する患者のみを退院させる。こうした患者の入院継続に関連する付随費用は、劇的であり、経済上、悪い結果をもたらす。
【0006】
オピオイド作動薬に関連した便秘関連の副作用、および他の副作用は、オピオイド拮抗薬の投与により緩和されてきた。理想的には、オピオイド拮抗薬は、オピオイド作動薬の投与に関連する負の副作用(例えば便秘)を緩和するが、疼痛治療の実質的な減少を何ら伴わない。アルビモパンおよびメチルナルトレキソンは、オピオイド作動薬に関連する1つ以上の副作用を緩和するためのオピオイド拮抗薬としての使用が示唆されている。例えば、非特許文献2を参照。オピオイド拮抗薬のポリマー複合体も、オピオイド拮抗薬としての使用が開示されている。特許文献1参照。特許文献1は、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬のポリマー複合体は、同一の処方で投与可能であることを開示している。
【0007】
しかしながら、麻薬性拮抗薬および麻薬性作動薬の組み合わせを含むさらなるおよび/または特定の処方のための必要性が残る。本発明は、当該技術におけるこの必要性および他の必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0124086号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Moore et al.(2005)Arthritis Research & Therapy 7:R1046−R1051
【非特許文献2】Yuan et al.(2006)Expert Opin Investig Drugs 15(5):541−552
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態において、組成物が提供され、該組成物は、治療的に有効な量のオピオイド、および治療的に有効な量のオピオイド拮抗薬に共有結合する水溶性非ペプチドポリマーを含むポリマー−オピオイド複合体を含み、該組成物は、好適には液体、半固体、および固体から成る群から選択される形態をとる。本明細書で使用される、「オピオイド拮抗薬に共有結合する水溶性非ペプチドポリマーを含むポリマー−オピオイド複合体」は、「ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体」と同じ意味を有する。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態において、単位用量形態が提供され、該単位容量形態は、治療的に有効な量のオピオイド作用薬および、治療的に有効な量の水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を含む。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態において、投与の方法が提供され、該投与の方法は、治療的に有効な量のオピオイド、および治療的に有効な量の水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を含む組成物を投与するステップを含む方法であって、該組成物は、好適には液体、半固体、および固体から成る群から選択される形態をとる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、オピオイド作動薬、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体等に限定されるものではなく、異なり得ると理解されたい。
【0014】
本明細書および請求項に使用される、単数形を示す「a」、「an」および「the」は、文脈に明らかに指示しない限りは複数への言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「ポリマー」への言及は、1つのポリマーならびに2つ以上の同じまたは異なるポリマーを含み、「複合体」への言及は、1つの複合体ならびに2つ以上の同じまたは異なる複合体を含み、「賦形剤」への言及は、1つの賦形剤ならびに2つ以上の同じまたは異なる賦形剤を含む、等である。
本発明の説明および請求において、以下に説明する定義に従い、以下の専門用語が使用される。
【0015】
本明細書で使用される「PEG」、「ポリエチレングリコール」および「ポリ(エチレングリコール)」とは、あらゆる水溶性ポリ(エチレンオキシド)を包含することを意味する。一般に、本発明に従い使用するPEGは、次の構造「−O(CHCHO)−」を含み、式中(m)は、2から4000である。また本明細書で使用されるPEGは、末端酸素が置換されているか否かによって「−CHCH−O(CHCHO)−CHCH−」および「−(CHCHO)−」を含む。PEGがさらにスペーサ部分を含む場合(以下にさらに詳しく説明する)、スペーサ部分を含む原子は、水溶性ポリマー断片に共有結合する場合、酸素−酸素結合(すなわち、「−O−O−」または過酸化連鎖)の形成には至らない。本明細事項および請求項を通して、「PEG」という用語は、様々な末端または「エンドキャッピング」基等を有する構造を含むことを念頭におくべきである。また、「PEG」という用語は、大部分、すなわち、50%を超える−CHCHO−単量体サブユニットを含むポリマーを意味する。特定の形態に関し、PEGは、任意の数の様々な分子量のみならず、「分岐」、「線状」、「叉状」、「多官能」等、以下にさらに詳しく説明する構造または配列を取ることが可能である。
【0016】
「エンドキャップされた」または「末端キャップされた」という用語は、本明細書において同義に使用され、エンドキャップ部分を有するポリマーの末端またはエンドポイントを指す。典型的には、必ずしもそうとは限らないが、エンドキャップ部分は、ヒドロキシまたはC1−20アルコキシ基を含む。したがって、エンドキャップ部分の実施例としては、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシおよびベンジルオキシ)、ならびにアリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロ等が挙げられる。また、上述それぞれの飽和、不飽和、置換、および非置換形態も想定される。さらに、エンドキャップ基を、シランとすることも可能である。エンドキャップ基は、有利に、検出可能な標識を含むこともできる。ポリマーが、検出可能な標識を含むエンドキャップ基を有する際、対象のポリマーおよび/またはポリマーが連結される部分(例えば、活性剤)の量または場所は、適切な検出器を使用することによって決定することができる。かかる標識には、蛍光剤、化学発光剤、酵素標識に使用される部分、比色分析(例えば、染料)、金属イオン、放射性部分等を含むが、これらに限定されない。適切な検出器には、光度計、フィルム、分光計等を含む。
【0017】
ポリマーまたは水溶性ポリマーに関する「非自然発生」とは、全体として、自然では見られないポリマーを意味する。しかしながら、非自然発生ポリマーまたは水溶性ポリマーは、全体のポリマー構造が自然では見られないものである限り、自然発生する1つ以上のサブユニットまたはサブユニットの部分を含み得る。
【0018】
「水溶性非ペプチドポリマー」という用語は、室温で水溶性の任意のポリマーである。典型的には、水溶性非ペプチドポリマーは、ろ過後の同一の水溶液によって伝達される光の少なくとも約75%、より好適には少なくとも約95%を伝達するであろう。重量ベースで、水溶性非ペプチドポリマーは、好適には少なくとも水に約35重量%可溶であり、より好適には少なくとも水に約50重量%可溶であり、さらにより好適には水に約70重量%可溶であり、およびさらにより好適には水に約85重量%可溶であろう。しかしながら、水溶性非ペプチドポリマーは、水に約95重量%可溶であることが、さらにより好適であり、水溶性非ペプチドポリマーは、水に完全に可溶であることが最も好適である。
【0019】
PEG等の、本発明の水溶性非ペプチドポリマーに関する分子量は、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかで表すことができる。別段に指示がない限り、本明細書における分子量へのすべての言及は、重量平均分子量を指す。数平均および重量平均の両方の分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィー、または他の液体クロマトグラフィー技術を用いて測定することができる。数平均分子量を決定するための末端基分析または束一的特性(例えば、凝固点降下、沸点上昇、または浸透圧)の測定の使用、あるいは重量平均分子量を判断するための光散乱技術、超遠心分離法、または粘度測定の使用等、分子量値を測定するための他の方法も用いることができる。本発明のポリマーは、典型的には、多分散性(すなわち、ポリマーの数平均分子量および重量平均分子量が等しくない)であり、好適には約1.2未満、より好適には約1.15未満、さらにより好適には約1.10未満、なおさらにより好適には約1.05未満、および最も好適には約1.03未満の低い多分散性値を有する。
【0020】
特定の官能基と併せて使用される際、「反応性」または「活性」という用語は、別の分子上の求電子体または求核体と容易に反応する反応性官能基を指す。これは、反応させるための強力な触媒または極めて非実用的な反応条件を必要とするそれらの基(すなわち、「非反応性」または「不活性」基)と対照的である。
【0021】
本明細書で用いる「官能基」という用語、またはそのいかなる同義語も、その保護形態を包含することを意味する。
【0022】
「連鎖」という用語は、水溶性ポリマーをオピオイド拮抗薬へ連結する等、1つの部分を別の部分へ連結するために使用される原子または原子の集合を指すために、本明細書で使用される。リンカーは、典型的には加水分解に安定である。しかしながら、一部の場合においては、連鎖は、1つ以上の生理学的に加水分解性の、または酵素的に分解性の連鎖を含むことができる。
【0023】
本明細書で用いる「有機ラジカル」には、例えば、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールを含む。
【0024】
「アルキル」とは、典型的には長さが約1個から20個の原子におよぶ、炭化水素鎖を指す。かかる炭化水素鎖は、必ずしもそうである必要はないが、好適には飽和状態であり、典型的には直鎖が好適であるが、分岐または直鎖であり得る。例示的なアルキル基には、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、3−メチルペンチル等を含む。本明細書で用いる「アルキル」には、3個以上の炭素原子が参照されるシクロアルキル、および低級アルキルを含む。
【0025】
「低級アルキル」とは、1個から6個の炭素原子を含むアルキル基を指し、メチル、エチル、n−ブチル、iso−ブチル、およびtert−ブチルに例示されるように、直鎖または分岐であり得る。
【0026】
「シクロアルキル」とは、架橋、縮合、またはスピロ環状化合物を含む、飽和または不飽和環状炭化水素鎖を指し、好適には3個から約12個の炭素原子、より好適には3個から約8個の炭素原子で構成される。
【0027】
「非干渉性置換基」とは、分子に存在する際、典型的には、分子内に含まれる他の官能基と非反応性である、基である。
【0028】
例えば、「置換アルキル」などに含まれる「置換」という用語は、1つ以上の水素原子に対し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル等のC−Cシクロアルキル、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードといったハロ、シアノ、アルコキシ、低級フェニル(例えば、0〜2個の置換フェニル)、置換フェニル等などといった、しかしこれらに限定されない、1つ以上の非干渉性置換基で置換された部分(例えば、アルキル基)を指す。「置換アリール」とは、置換基として、1つ以上の非干渉性基を有するアリールである。フェニル環での置換では、置換基はいかなる配向であってもよい(すなわち、オルト、メタ、またはパラ)。「置換アンモニウム」とは、置換基として1つ以上の非干渉性基(例えば、有機ラジカル)を有するアンモニウムである。
【0029】
「アルコキシ」とは、−O−R基であって、Rはアルキルまたは置換アルキルであり、好適にはC−C20アルキル(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ベンジル等)であり、好適にはC−Cアルキルである、−O−R基を指す。
【0030】
本明細書で用いる「アルケニル」とは、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル等のように少なくとも1つの二重結合を含む、長さが1個から15個の原子の分岐または非分岐炭化水素基を指す。
【0031】
本明細書で用いる「アルキニル」という用語は、エチニル、n−ブチニル、イソペンチニル、オクチニル、デシニル等のように少なくとも1つの三重結合を含む、長さが2個から15個の原子の分岐または非分岐炭化水素基を指す。
【0032】
「アリール」とは、それぞれの環が5個または6個の核炭素原子を有する、1つ以上の芳香族環を意味する。アリールは、ナフチル等のように縮合であり得、またはビフェニル等のように未縮合であり得る、複数のアリール環を含む。アリール環は、また、1つ以上の環状炭化水素、ヘテロアリール、またはヘテロ環状環と縮合または未縮合であり得る。本明細書で用いる「アリール」には、ヘテロアリールが含まれる。芳香族部分(例えば、Ar、Ar等)とは、アリールを含む構造を意味する。
【0033】
「ヘテロアリール」とは、好適にはN、O、またはS、あるいはその組み合わせである、1個から4個のヘテロ原子を含むアリール基である。ヘテロアリール環はまた、1つ以上の環状炭化水素、ヘテロ環状、アリール、またはヘテロアリール環で融合され得る。
【0034】
「ヘテロ環」または「ヘテロ環の」とは、不飽和または芳香族の特徴を有する、または有せず、少なくとも1つの炭素ではない環原子を有する、5〜12個の原子、好適には5〜7個の原子からなる1つ以上の環を意味する。好適なヘテロ原子には、硫黄、酸素、および窒素を含む。
【0035】
「置換ヘテロアリール」とは、置換基として、1つ以上の非干渉性基を有するヘテロアリールである。
【0036】
「置換ヘテロ環」とは、非干渉性置換基から形成された1つ以上の側鎖を有するヘテロ環である。
【0037】
「求電子体」とは、イオン性である可能性があり、求電子中心、すなわち、電子求引性の中心を有し、求核体と反応する能力を持つイオン、または原子もしくは原子の集合を指す。
【0038】
「求核体」とは、イオン性である可能性があり、求核中心、すなわち、求電子中心を求引する中心を有する、または求電子体を伴う、イオン、または原子もしくは原子の集合を指す。
【0039】
「生理学的に開裂可能な」または「加水分解性」結合とは、生理条件の下で、水と反応する(すなわち、加水分解される)、比較的弱い結合である。水により加水分解される結合の傾向は、2つの中心原子に接続する一般的なタイプの連鎖のみならず、これらの中心原子に結合する置換基にも依存する。適切な、加水分解に不安定または弱い連鎖には、カルボキシレートエステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、およびオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0040】
「分解性連鎖」には、生理学的に開裂可能な結合、加水分解性結合、および酵素的に分解性の連鎖を含むが、これらに限定されない。したがって、「分解性連鎖」とは、生理学的条件の下で、一部の他の機構(例えば、酵素触媒、酸触媒、塩基触媒等)によって、加水分解または開裂し得る連鎖である。例えば、「分解性連鎖」は、駆動力として、プロトンの塩基抽出(例えば、イオン化可能な水素原子、Hα)を有する、脱離反応を含むことができる。
【0041】
「酵素的に分解性の連鎖」とは、1つ以上の酵素によって分解の影響を受ける連鎖を意味する。
【0042】
「加水分解に安定した」連鎖または結合とは、水中で実質的に安定した、つまり、長期間にわたり、いかなる相当程度にも、生理学的条件の下で加水分解されない、化学結合、典型的には共有結合を指す。加水分解に安定した連鎖の例には、以下を含むが、これらに限定されない。炭素−炭素結合(例えば、脂肪族鎖における)、エーテル、アミド、ウレタン(カルバメート)等。一般的に、加水分解に安定した連鎖とは、生理学的条件の下で、1日に約1〜2%未満の加水分解率を呈するものである。代表的な化学結合の加水分解率は、ほとんどの標準的な化学教科書に見ることができる。一部の連鎖が、(例えば)隣接する原子、および近隣の原子、ならびに周囲条件によって、加水分解に安定している、または加水分解し得る可能性を指摘しなければならない。当業者は、例えば、対象の条件の下で対象の連鎖を含有する分子を配置し、加水分解の証拠(例えば、単一分子の開裂に起因する2つの分子の存在および量)を検査することによって、所定の状況下で、所定の連鎖または結合が、加水分解に安定しているか、または加水分解性であるかどうかを判断することができる。所定の連鎖または結合が、加水分解に安定しているか、または加水分解性であるかどうかを判断するための、当業者に既知の他の手法もまた使用することができる。
【0043】
「医薬的に許容可能な賦形剤」または「医薬的に許容可能な担体」とは、本発明の組成物に含むことができ、かつ重大で有害な毒性効果を患者に引き起こさない賦形剤を指す。
【0044】
「薬理学的に有効な量」、「生理学的に有効な量」、および「治療的に有効な量」は、血流または標的組織において、活性剤の所望のレベルを提供するために必要な活性剤(例えば、オピオイド作動薬、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体等)の量を意味するように、本明細書において同義に使用される。正確な量は、例えば、特定の活性剤、医薬品の成分および物理的特性、意図する患者集団、患者への配慮等の多くの要因に依存し、本明細書に提供された情報、および関連文献で利用可能な情報に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。
【0045】
本発明のポリマーに関して、「多官能」とは、そこに含まれた3個以上の官能基を有するポリマーを意味し、ここで、官能基は同一、または異なり得る。本発明の多官能ポリマーは、典型的には、約3〜100個の官能基、または3〜50個の官能基、または3〜25個の官能基、または3〜15個の官能基、または3個から10個の官能基を含み、あるいは、ポリマー内に3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の官能基を含むであろう。「二官能性」ポリマーとは、そこに含まれる、同一(すなわち、ホモ二官能)または異なる(すなわち、ヘテロ二官能性)2つの官能基を有するポリマーを意味する。
【0046】
ポリマーの形状または全体的構造に関する「分岐」とは、2個以上のポリマー「アーム」を有するポリマーを指す。分岐ポリマーは、2個のポリマーアーム、3個のポリマーアーム、4個のポリマーアーム、6個のポリマーアーム、8個のポリマーアーム、またはそれ以上を有し得る。1つの特定のタイプの高度に分岐したポリマーは、樹枝状ポリマーまたはデンドリマーであり、本発明の目的で、分岐ポリマーの構造とは異なる構造を有すると考えられる。
【0047】
「デンドリマー」または樹枝状ポリマーとは、すべての結合が、規則的な分岐パターンで、かつ分岐点にそれぞれ寄与する繰り返し単位で、中心焦点または核から放射状に現れる、球状のサイズ単分散ポリマーである。デンドリマーは、核カプセル化などのような、独特の樹枝状状態の特性を呈し、デンドリマーを他のタイプのポリマーから固有のものにしている。
【0048】
本明細書に記載される塩基性または酸性反応物には、中性、荷電性、およびそれらのいかなる対応する塩をも含む。
【0049】
「患者」という用語は、本明細書に提供される複合体の投与によって予防または治療することができる状態に罹患している、または罹患しやすい生体を指し、ヒトと動物の両方を含む。
【0050】
「任意の」および「任意に」とは、その後に記載される状況が、生じ得る、または生じ得ないことを意味し、当該説明が、当該状況が生じる場合、および生じない場合を含む。
【0051】
本明細書で用いる「ハロ」という指示詞(例えば、フルオロ、クロロ、ヨード、ブロモ等)は、ハロゲンが分子に結合している際に一般的に使用されるが、「イド(ide)」という接尾語(例えば、フッ化物(fluoride)、塩化物(chloride)、ヨウ化物(iodide)、臭化物(bromide)等)は、ハロゲンがその独立したイオン形態に存在する際(例えば、離脱基が分子を離脱する際等)に使用される。
【0052】
本検討に関して、別段に文脈が指示しない限り、1つの構造または式に関して提供される変数記号の定義は、異なる構造で繰り返される同一の変数記号に適用可能であることを認識されたい。
【0053】
先述したように、本発明は、(特に)治療的に有効な量のオピオイド作動薬と、オピオイド拮抗薬に共有結合したポリマーを含む治療的に有効な量のポリマー−オピオイド拮抗薬複合体とを含む、組成物を含み、当該組成物は、液体、半固体、および固体から成る群から選択される形態である。
【0054】
オピオイド作動薬
本明細書で用いる「オピオイド作動薬」とは、任意の天然または合成アルカロイド、または1つ以上のオピオイド受容体型を活性化させるアヘンの構造誘導体であり、一部の作動薬(すなわち、すべてのオピオイド受容体型よりも少ない活性を呈する化合物)、および作動薬−拮抗薬(すなわち、1つの受容体型で作動薬活性を呈し、別の受容体型で拮抗薬活性を呈する化合物)を含む。オピオイド作動薬は、フェナントレン(例えば、モルヒネ)またはベンジルイソキノリン(例えば、パパベリン)等の天然アルカロイド、半合成誘導体(例えば、ヒドロモルフォン)、または様々な分類の、いかなる合成誘導体(例えば、フェニルピペリジン、ベンゾモルファン、プロピオンアニリド、およびモルフィナン)であってもよい。例示的なオピオイド作動薬としては、1−α−アセチルメサドール、アルフェンタニル、アルファプロジン、アニレリジン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、シクラゾシン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(すなわち、ヘロイン)、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン(すなわち、ペチジン)、メサドン、メトトリメプラジン、モルヒネ、ナルブフィン、ネホパム、ノルモルヒネ、ノスカピン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベリン、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、テバイン、およびトラマドール、ならびに上述のそれぞれの医薬的に許容可能な塩が挙げられる。好適なオピオイド作動薬の構造を、以下に提供する。
【0055】
【化1】


ヒドロモルフォン
(7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)、
【0056】
【化2】


ヒドロコドン
(3−メチル−7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)、
【0057】
【化3】


オキシモルフォン
(14−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)、および
【0058】
【化4】


オキシコドン
(14−ヒドロキシ−3−メチル−7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)。
【0059】
ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体
ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、(直接、または1つ以上の原子を介してのいずれかで)オピオイド拮抗薬に共有結合される、水溶性非ペプチドポリマーを含む。ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、典型的には、複合体が、いかなる相当程度にも血液脳関門を通って、中枢神経系に入らないように選択される分子量を有するポリマーを含む。
【0060】
オピオイド拮抗薬へ共有結合するための適切なポリマーとしては、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシルアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシルアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、およびコポリマー、ターポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なポリマーは、ポリエチレングリコールである。
【0061】
ポリマーは、線状、分岐、または叉状であり得る。線状ポリマーに関しては、複合体は、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性ポリマーを組み込み得る。ヘテロ二官能性ポリマーの複合体は、ポリマーの1つの末端がオピオイド拮抗薬に結合し、もう一方の末端が異なる部分で官能化されるものである。ホモ二官能性ポリマーの複合体は、線状ポリマーのそれぞれの端部が、典型的には同一の連鎖によって、オピオイド拮抗薬に共有結合される構造を有する。
【0062】
典型的には、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体のポリマーの数平均分子量は、約5,000ダルトン(Da)未満であり、より好適には約2,000Da未満である。例示的な数平均分子量は、以下の範囲の1つ以上に入る。約100Daから約2,000Da、約100Daから約1,800Da、約100Daから約1,600Da、約100Daから約1,500Da、約100Daから約1,200Da、約100Daから約1,000Da、約100Daから約800Da、約100Daから約500Da、約300Daから約2,000Da、および約300Daから約1,000Da。約100Da、約200Da、約300Da、約400Da、約500Da、約550Da、約600Da、約700Da、約800Da、約900Da、および約1,000Daの数平均分子量を有するポリマーは、特に好適である。本発明のポリマーは、親水性の性質を持つ。
【0063】
ポリマーとオピオイド拮抗薬との間の連鎖は、オピオイド拮抗薬は、患者への投与後ポリマーから放出されないように、好適には加水分解に安定している。生体内でのオピオイド拮抗薬の放出は、放出されたオピオイド拮抗薬が中枢神経系へと通過することにより、オピオイド化合物の鎮痛効果の損失につながる可能性がある。オピオイド拮抗薬とポリマーとを接続するための代表的な連鎖としては、エーテル、アミド、ウレタン(カルバメートとしても知られる)、アミン、チオエーテル(硫化物としても知られる)、および尿素(カルバミドとしても知られる)連鎖が挙げられる。しかしながら、一部の例においては、ポリマーとオピオイド拮抗薬との間の連鎖は分解性連鎖または加水分解性連鎖である。
【0064】
採用される特定の連鎖および連鎖化学は、オピオイド拮抗薬、ポリマーへの結合または適切な結合部位への変換のいずれかに利用可能な分子内の官能基、分子内の付加的な官能基の存在、等に依存し、本明細書に示された指導に基づき、当業者によって容易に判断することができる。
【0065】
ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、少なくとも測定可能な程度のオピオイド拮抗薬比活性度を維持する。つまり、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、約1%から約100%の範囲、またはそれ以上の改質されていない親オピオイド拮抗薬化合物の比活性度を有する。かかる活性度は、特定のオピオイド拮抗薬の親化合物の既知の活性度に応じて、適切な生体内または体外モデルを使用して判断され得る。
【0066】
例えば、ホットプレートまたはテイルフリック鎮痛アッセイを用いて、本発明のポリマー複合体の拮抗薬活性度のレベルを評価することができる(例えば、Tulunay et al.(1974)J.Pharmacol Exp Ther 190:395−400、Takahashi et al.(1987)Gen Pharmacol 18(2):201−3、およびFishman et al.(1975)Pharmacology 13(6):513−9を参照のこと)。一般的に、ポリマー複合体は、当技術分野で既知のもの等の適切なモデルにおいて測定する際、改質されていない親オピオイド拮抗薬の活性度に対し、少なくとも約2%、5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上の比活性度を有するであろう。好適には、複合体は、改質されていない親化合物の少なくとも50%以上のオピオイド拮抗薬活性を維持するであろう。
【0067】
ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体の形成に使用されるオピオイド拮抗薬は、ポリマーと複合することが可能であるあらゆるオピオイド拮抗薬である。好適なオピオイド拮抗薬は、モルヒノンの構造に基づく。モルヒノンは、以下の構造を含む、フェナントレンベースの部分である。
【0068】
【化5】


式I
式中、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、(好適には、Rは、Hまたは有機ラジカルであるが、但し、Rが有機ラジカルである場合、有機ラジカルは
【0069】
【化6】

ではないことを条件とする)、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSであり、
は、
【0070】
【化7】

(立体化学を問わず)から成る群から選択され、式中、Rは有機ラジカルである。
【0071】
モルヒノンが以下の構造を含むことが特に好適である。
【0072】
【化8】


式II
式中、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであるが、但しRが有機ラジカルである場合、有機ラジカルは
【0073】
【化9】

でないことを条件とし、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSである。
オピオイド拮抗薬を派生することが可能である例示的モルヒノンには、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、オキシコドン、
【0074】
【化10】


ナロキソン
(N−アリル−14−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)、および
【0075】
【化11】


ナルトレキソン
(N−シクロプロピルメチル−14−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロモルヒネ−6−オン)が挙げられる。
いずれの所定の構造がオピオイド拮抗薬としての役割を果たすことができるかどうかは、当業者により判断することが可能である。
【0076】
これら、および他のモルヒノンは、前に説明され、特徴付けられている。例えば、米国特許第2,628,962号、第2,654,756号および第2,649,454号(ヒドロモルフォン等)、米国特許第2,715,626号(ヒドロコドン等)、米国特許第2,806,033号(オキシモルフォン等)、Freund et al. (1916)J.Prak.Chemie 94:135−178(オキシコドン)、米国特許第3,254,088号(ナロキソン等)、ならびに米国特許第3,332,950号(ナルトレキソン等)を参照。
【0077】
本発明のポリマー複合体は、活性化PEG等の活性化ポリマーを、生物活性物質(例えば、POLY(ETHYLENE GLYCOL)CHEMISTRY AND BIOLOGICAL APPLICATIONS,American Chemical Society,Washington,D.C.(1997)を参照)へ共有結合するための既知の手法を使用し、形成することが可能である。方法一般には、共有結合複合体を形成するように、オピオイド拮抗薬分子の官能基との反応に適した官能基を有する反応性ポリマーの選択、および溶液中のオピオイド拮抗薬との反応性ポリマーの反応を含む。
【0078】
ポリマーの官能基の選択は、1つには、オピオイド拮抗薬分子上の官能基に左右されるであろう。ポリマーの官能基は、好適には、オピオイド拮抗薬とポリマーとの間の加水分解的に安定した連鎖の形成をもたらすように選択される。オピオイド拮抗薬分子と結合するのに適した本発明のポリマーは、典型的には以下のような末端官能基を有する。炭酸N−スクシンイミジル(例えば、米国特許第5,281,698号、第5,468,478号を参照)、アミン(例えば、Buckmann et al.Makromol.Chem.182:1379(1981)、Zalipsky et al.Eur.Polym.J.19:1177(1983)を参照)、ヒドラジド(例えば、Andresz et al.Makromol.Chem.179:301(1978)を参照)、スクシンイミジルプロピオネートおよびスクシンイミジルブタノエート(例えば、Olson et al. in Poly(ethylene glycol)Chemistry & Biological Applications,pp 170−181,Harris & Zalipsky Eds.,ACS,Washington,D.C.,1997を参照、また米国特許第5,672,662号を参照)、コハク酸スクシンイミジル(例えば、Abuchowski et al. Cancer Biochem.Biophys.7:175(1984)および Joppich et al.,Makromol.Chem.180:1381(1979)を参照)、スクシンイミジルエステル(例えば、米国特許第4,670,417号を参照)、ベンゾトリアゾールカルボネート(例えば、米国特許第5,650,234号を参照)、グリシジルエーテル(例えば、Pitha et al.Eur.J.Biochem.94:11(1979),Elling et al.,Biotech.Appl.Biochem.13:354(1991)を参照)、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、Beauchamp,et al.,Anal.Biochem.131:25(1983),Tondelli et al.J.Controlled Release 1:251(1985)を参照)、p−ニトロフェニルカルボネート(例えば、Veronese,et al.,Appl.Biochem.Biotech.,11:141(1985)、およびSartore et al.,Appl.Biochem.Biotech.,27:45(1991)を参照)、アルデヒド(例えば、Harris et al.J.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)、米国特許第5,824,784号、米国特許第5,252,714号を参照)、マレイミド(例えば、Goodson et al. Bio/Technology 8:343(1990)、Romani et al.in Chemistry of Peptides and Proteins 2:29(1984)、およびKogan,Synthetic Comm. 22:2417(1992)を参照)、オルトピリジル−ジスルフィド(例えば、Woghiren,et al.Bioconj.Chem.4:314(1993)を参照)、アクリロール(例えば、Sawhney et al.,Macromolecules,26:581(1993)を参照)、ビニルスルホン(例えば、米国特許第5,900,461号を参照)。上記のすべての参考文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0079】
一実施形態において、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造を有する。
【0080】
【化12】


式III
式中、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、(好適には、RはH、またはC1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、置換C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、置換C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換C2−6アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環等の有機ラジカルであるが、但しRが有機ラジカルである場合、有機ラジカルは
【0081】
【化13】

でないことを条件とする)、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSであり、
Xは連鎖であり、好適には、ポリマーが残りの分子に共有結合する加水分解的に安定した連鎖であり、
POLYは、水溶性かつ非ペプチドポリマーの残基である。
【0082】
一実施形態において、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造を有する。
【0083】
【化14】


式IV
式中、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、(好適には、RはH、またはC1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、置換C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、置換C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、置換C2−6アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、および置換ヘテロ環等の有機ラジカルであるが、但しRが有機ラジカルである場合、有機ラジカルは
【0084】
【化15】

でないこと条件とする)、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSであり、
は、
【0085】
【化16】

(立体化学を問わず)から成る群から選択され、式中、Rは有機ラジカルであり、
Xは連鎖であり、好適には、ポリマーが残りの分子に共有結合する加水分解的に安定した連鎖であり、
POLYは、水溶性かつ非ペプチドポリマーの残基である。
一実施形態において、ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造を有する。
【0086】
【化17】

【0087】
式V
式中、POLYは、水溶性ポリマーであり、好適には−(CHCHO)−CHである(式中「n」は、3から14、好適には約5から9の整数である)。
【0088】
上に説明した複合体の実施例は、米国公開特許出願公報第2003/0124086号および米国公開特許出願公報第2005/0136031号に記載されている。
【0089】
用量形態
意図する投与の形態に応じて、組成物は液体、半固体、または固体であり得る。例示的な液体は、患者への投与のために製剤することが可能である、懸濁液、溶液、乳液、およびシロップを含む。例示的な半固体は、患者への投与のために「そのまま」投与、または製剤(例えば、ゲルキャップ中)することが可能であるゲルを含む。例示的な固体は、「そのまま」投与、または患者への投与のために以下の1つ以上に製剤することが可能な、顆粒、ペレット、ビーズ、粉末を含む。錠剤、カプセル、カプレット、座薬、およびトローチ錠。好適には、組成物は、単位用量形態であり、これにより単位用量形態における各活性成分の用量の単回投与に適した単位形を提供する。適した医薬組成物および投与形態は、製剤処方の当業者に既知の従来の方法を使用して調製することが可能であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences: 18th Edition,Gennaro,A.R.,Ed.(Mack Publishing Company;Easton,Pennsylvania;1990)等の関連文章および文献に記載される。
【0090】
経口用量形態は、好適であり、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、トローチ錠、溶液、懸濁液、およびシロップを含む。錠剤およびカプセルは、最も便利な経口用量形態を代表する。
【0091】
錠剤は、標準的な錠剤生産手順および機器を使用して生産することが可能である。錠剤を製剤するための好適な技術は、直接圧縮および造粒を含む。活性剤に加え、錠剤は、一般的に、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、充填剤、安定剤、界面活性剤、着色剤等の不活性の医薬的に許容可能な担体物質を含有する。結合剤は、錠剤に結合性質を与えるために使用され、したがって錠剤が原形を保つことを確実にする。適した結合物質は、澱粉(コーンスターチおよびα化澱粉を含む)、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロースおよび乳糖)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然ガム、および合成ガム、例えば、アカシアアルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース等を含む)、およびビーガムを含むが、これらに限定されない。潤滑剤は、錠剤製造を容易にし、紛体流を促進し、圧力が解放された際の微粒子キャッピング(すなわち、微粒子破砕)を防ぐために使用される。有用な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸が挙げられる。崩壊剤は、錠剤の崩壊を容易にするために使用され、一般的に澱粉、粘土、セルロース、アルギン、ガム、または架橋ポリマーが挙げられる。充填剤は、例えば、シリコンジオキシド、チタンジオキシド、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微晶質セルロース等の物質、ならびに、マンニトール、尿素、スクロース、乳糖、デキストロース、塩化ナトリウムおよびソルビトール等の溶解性物質を含む。安定剤は、当該技術において既知のように、一例として、酸化反応を含む薬剤の分解反応を防止または遅延するために使用される。
【0092】
一部の場合では、錠剤は均一剤の形状であることが可能である。均一剤において、錠剤の調製に使用する製剤設計は、実質的に活性剤の均一混合物および1つ以上の医薬品賦形剤(例えば、希釈剤)である。製剤設計は、適した錠剤化過程を使用して錠剤を作製するために使用され、これにより錠剤全体を通して実質的に均一な錠剤をもたらす。
【0093】
さらに他の例において、錠剤は層状錠剤(1層、2層、または3層以上の層)の形態を取ることも可能である。層状錠剤を製造するための方法は、2つの異なる製剤(例えば、1つの製剤はオピオイド作動薬を含有し、別の製剤はポリマー−オピオイド複合体を含有する)を組み合わせること、および錠剤を形成するために2つを共に圧縮することを含み得る。3層以上の多層錠剤も可能であり、例えば、3つ以上の異なる製剤を組み合わせた後に圧縮するステップによる類似の方法で形成することができる。
【0094】
任意に、障壁層を層状錠剤に含むことが可能である。障壁層を組み込むための1つのアプローチは、第1の製剤(例えば、第1の活性剤を含有する製剤)の圧縮された第1の層を形成し、その圧縮層は1つの露出面を有するステップと、ある物質(例えば、実質的に不透過性であり、これにより近接層間の物理的接触を防ぐ物質)でコーティングされた表面を形成するように露出面をコーティングするステップと、コーティングされた表面を第2の製剤(例えば、第2の活性剤を含有する第2の製剤)に接触させるステップと、その中に含まれる障壁層を有する層状錠剤を形成するように、第2の製剤およびコーティングされた表面を圧縮するステップと、を含む。
【0095】
また、カプセルもまた好適な経口用量形態であり、組成物は、液体、半固体、または固体(顆粒、ビーズ、粉末、またはペレット等の微粒子を含む)の形状でカプセル化され得る。適したカプセルは、ハードまたはソフトのいずれであってもよく、一般的にはゼラチン、澱粉、またはセルロース系材料で作製されるが、ゼラチンカプセルが好ましい。2片のハードゼラチンカプセルは、好適にはゼラチンバンド等で密封される。例えば、カプセル製薬を調製するための物質および方法を記載した、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0096】
例示的な賦形剤は、炭水化物、無機塩類、抗菌薬、酸化防止剤、界面活性剤、緩衝剤、酸、塩基およびこれらの組み合わせから成る群から選択されるものを含むが、これらに限定されない。
【0097】
砂糖、アルジトール等の誘導体化糖、アルドン酸、エステル化糖、および/または糖ポリマー等の糖質が、賦形剤として存在し得る。特定の糖質賦形剤は、例えば、果糖、麦芽糖、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等の単糖類、乳糖、スクロース、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉等の多糖類、およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール等のアルジトールを含む。
【0098】
また、賦形剤は、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、およびこれらの組み合わせ等の無機塩類、または緩衝剤を含むことが可能である。
【0099】
また、調製は、微生物増殖を防止または阻止するための抗菌薬を含み得る。本発明に適した抗菌薬の非限定的な例は、ベンザルコニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルゾル、およびこれらの組み合わせを含む。
【0100】
酸化防止剤も製剤中に存在することが可能である。酸化防止剤は酸化を防止し、これにより製剤の複合体または他の成分の劣化を防止する。本発明に使用するための適した酸化防止剤は、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせを含む。
【0101】
界面活性剤は賦形剤として存在し得る。例示的な界面活性剤は、「Tween20」ならびに「Tween80」等のポリソルベート、およびF68ならびにF88(これらは両方ともBASF,Mount Olive,New Jerseyより入手可能)等のプルロニック、ソルビタンエステル、レシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(好適にはリポソーム形状ではないが)、脂肪酸および脂肪酸エステル等のリン脂質等の脂質、コレステロール等のステロイド、およびEDTA、亜鉛および他のそのような適したカチオン等のキレート剤を含む。
【0102】
酸または塩基は、調剤において賦形剤として存在し得る。使用することができる酸の非限定的な例は、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含む。適した塩基の例は、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ぎ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される塩基を含むが、これらに限定されない。
【0103】
医薬品の調製はすべての種類の剤形を包含する。組成物中の活性剤の量(すなわち、オピオイド作動薬およびポリマー−オピオイド拮抗薬複合体)は、多くの要因により様々であるが、組成物が単位用量形態中に格納された際、最適には各活性剤の治療的に有効な用量である。各活性剤のための治療的に有効な用量は、臨床的に望ましいエンドポイントを実現する量を決定するために、活性剤の量を増加しながらの繰り返し投与により実験的に決定することが可能である。
【0104】
組成物における個々のあらゆる賦形剤の量は、賦形剤の活性および組成物の特定の必要性により異なる。典型的には、個々のあらゆる賦形剤の最適な量は、一連の実験、すなわち、異なる量(最低から最高範囲)の賦形剤を含有する組成物を調製し、安定性および他のパラメータを試験し、重大な悪影響を伴わずに最適な性能が得られる範囲を判断することにより判断される。
【0105】
しかしながら、一般的に、賦形剤は組成物中に、約1重量%から約99重量%の量、好適には約2重量%〜98重量%、さらに好適には約5〜95重量%の量で、最も好適には30重量%未満の濃度で賦形剤が存在する。
【0106】
他の賦形剤と共に、これら前述の医薬的賦形剤は、「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」,19th ed.,Williams & Williams,(1995)、the 「Physician’s Desk Reference」,52nd ed.,Medical Economics,Montvale, NJ(1998)、およびKibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Edition,American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.,2000に記載される。
【0107】
また本発明は、オピオイド作動薬の治療に反応する状態に罹患している患者に、本明細書に提供される組成物を投与するための方法も提供する。好適には、この方法は、本明細書に説明する単位用量形態を投与することを含む。投与の方法は、オピオイド作動薬の投与によって治療、または抑制することができるいかなる状態をも治療するために使用され得る(例えば、激痛を和らげる)。当業者は、オピオイド作動薬が効果的に治療することができる状態を理解するであろう。投与すべき実際の用量は年齢、体重、および対象者の全体的な状態ならびに治療される状態の重篤性、医療専門家の判断、および投与される複合体により様々である。治療的に有効な量は、当業者に既知であり、および/または付属の参考文章および参考文献に記載される。一般的に、治療的に有効な量は、約0.001mgから100mg、好適には0.01mg/日から75mg/日の用量、およびより好適には0.10mg/日から50mg/日の用量である。
【0108】
例示的な水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬の治療的に有効な量(単回投与形態に存在することが可能である)は、5mgから250mg、5mg、25mg、50mg、および100mgの量を含む。例示的なオピオイド作動薬の治療的に有効な量(単回投与形態に存在することが可能である)は、30mgから450mgのモルヒネ、200mgから3、000mgのコデイン、5mgから450mgのヒドロコドン、7mgから112mgのヒドロモルフォン、20mgから300mgのオキシコドン、および10mgから150mgのオキシモルフォンを含む。
【0109】
一部の場合では、単位用量形態は、0.8mgから17mgの水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬および5mgから65mgのモルヒネ(例えば、4時間ごとの服用を目的とする)、0.8mgから17mgの水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬および33mgから500mgのコデイン(例えば、4時間ごとの服用を目的とする)、0.8mgから17mgの水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬および5mgから65mgのヒドロコドン(例えば、4時間ごとの服用を目的とする)、0.8mgから17mgの水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬および1.2mgから19mgのヒドロモルフォン(例えば、4時間ごとの服用を目的とする)、および0.8mgから17mgの水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬および3mgから50mgのオキシコドン(例えば、4時間ごとの服用を目的とする)を含む。
【0110】
単位用量形態は、臨床医の判断、患者のニーズ等による様々な投薬計画で投与することが可能である。特定の投薬計画は当業者に既知であるか、または一連の方法を使用し、実験的に決定することが可能である。例示的な投薬計画は、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回の投与およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。臨床的エンドポイントが達成されると、組成物の投薬を中断する。
【0111】
本発明は、本発明に関する好適な特定の実施形態と共に説明されるが、前の説明ならびに以下の実験は説明目的であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0112】
本発明の範囲内のその他の態様、利点および改変は、本発明に関連する当業者に明らかであろう。
本明細書で参照したすべての論文、書籍、特許、特許公開および他の出版物は、その全体が参照により組み込まれる。
【0113】
実験
本発明の実行は、特に指示がない限り、有機合成および類似の従来技術を採用し、これらは当業者に既知であり、本文献に説明される。以下の実施例において、使用される数(例えば、量、温度等)に関して正確性を確かにするための努力がなされたが、いくらかの実験の誤差および偏差が考慮されるべきである。特に指示がない限りは、温度は摂氏温度であり、圧力は、海水面での大気圧、または近大気圧である。すべての試薬は特に指示がない限り市販のものを入手した。すべての生成されたNMRは、Bruker(Billerica,MA)製造の300または400MHz NMR分光計から得た。すべての過程は、ガラス容器、またはガラスで内部が覆われた容器で実行され、金属含有容器または装置との接触は避けられる。
【0114】
POLYが−(CHCHO)−CH(「ポリマーオピオイド拮抗薬複合体」)である、式Vの構造を有する、水溶性非ペプチドポリマーオピオイド拮抗薬複合体(「ポリマーオピオイド拮抗薬複合体」)を、以下の実施例に用いる。
【実施例】
【0115】
(実施例1)
経口モルヒネ硫酸塩10mg/5mL溶液(100mL)および得られる液体に25mg/5mLのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を得るのに十分な量のポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を組み合わせた後、攪拌し、液体組成物を形成した。経口注射器に5mLの組成物を入れ、単位用量形態を調製した。
【0116】
(実施例2)
経口モルヒネ硫酸塩20mg/5mL溶液(100mL)および得られる液体に25mg/5mLのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を得るのに十分な量のポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を組み合わせた後、攪拌し、液体組成物を形成した。経口注射器に5mLの組成物を入れ、単位用量形態を調製した。
【0117】
(実施例3)
オキシコドン塩酸塩5mgおよびアセトアミノフェン325mg/5mL溶液(Roxicet(商標)溶液、Roxane Laboratories,ColumbusOH)および得られる液体に50mg/5mLのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を得るのに十分な量のポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を組み合わせた後、攪拌し、液体組成物を形成した。経口注射器に5mLの組成物を入れ、単位用量形態を調製した。
【0118】
(実施例4)
ヒドロコドン1mg/5mL(Sigma,St.Louis,MO)および得られる液体に5mg/5mLのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を得るのに十分な量のポリマー−オピオイド拮抗薬複合体を組み合わせた後、攪拌し、液体組成物を形成した。経口注射器に20mLの組成物を入れ、単位用量形態を調製した。
【0119】
(実施例5)
30mgの硫酸コデイン錠剤をすりつぶして粉末とし、25mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。
【0120】
(実施例6)
粉末形状のヒドロコドン(10mg)を25mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。
【0121】
(実施例7)
粉末形状のヒドロコドン(5mg)を50mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。
【0122】
(実施例8)
粉末形状のオキシコドン塩酸塩(5mg)を25mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。
【0123】
(実施例9)
粉末形状のオキシコドン(10mg)を25mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。
【0124】
(実施例10)
粉末形状の硫酸モルヒネ(30mg)を25mgのポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と組み合わせた。通常「1」と称するカプセル寸法を満たすのに十分な量の乳糖を加え、均一な粉末が形成されるまで完全に混合した。カプセル中に均一な粉末を収容することにより単位用量形態を調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量のオピオイド作動薬と、治療的に有効な量の水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記オピオイド拮抗薬は、ブプレノルフィン、シクラゾシン、シクロルファン、ナロキソン、6−アミノ−ナロキソン、N−メチルナロキソン、ナルトレキソン、6−アミノ−ナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、ナルメフェン、レバロルファン、ナルブフィン、ナルトレンドール(naltrendol)、ナルトリンドール、ナロルフィン、ノルビナルトルフィミン、オキシロルファン(oxilorphan)、ペンタゾシン、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートオピオイド拮抗薬、およびオピオイド拮抗薬ポリペプチドから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、前記水溶性非ペプチドポリマーと、前記オピオイド拮抗薬とを、共有結合的に連結する、加水分解的に安定した連鎖を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記加水分解的に安定した連鎖は、アミド、アミン、カルバメート、硫化物、エーテル、チオエーテル、および尿素から成る群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記加水分解的に安定した連鎖はエーテルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーの分子量は約2,000Da未満である、請求項1、2、4および5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記オピオイド作動薬は、アルフェンタニル、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、シクラゾシン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、ノスカピン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベリン、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、テバインおよびトラマドールから成る群から選択される、請求項1、2、4および5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記オピオイド拮抗薬は、オキシコドン、ヒドロコドンおよびモルヒネから成る群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造
【化18】


を有し、式中
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSであり、
Xは、連鎖であり、
POLYは、水溶性非ペプチドポリマーの残基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造
【化19】



を有し、式中「n」は、3から14の整数である構造を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、固体形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、半固体形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、液体形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
治療的に有効な量のオピオイド作動薬と、治療的に有効な量の水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体と、を含む、単位用量形態。
【請求項15】
前記オピオイド拮抗薬は、ブプレノルフィン、シクラゾシン、シクロルファン、ナロキソン、6−アミノ−ナロキソン、N−メチルナロキソン、ナルトレキソン、6−アミノ−ナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、ナルメフェン、レバロルファン、ナルブフィン、ナルトレンドール、ナルトリンドール、ナロルフィン、ノルビナルトルフィミン、オキシロルファン、ペンタゾシン、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートオピオイド拮抗薬、およびオピオイド拮抗薬ポリペプチドから成る群から選択される、請求項14に記載の単位用量形態。
【請求項16】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、前記水溶性非ペプチドポリマーと、前記オピオイド拮抗薬とを、共有結合的に連結する、加水分解的に安定した連鎖を含む、請求項14および15のいずれか一項に記載の単位用量形態。
【請求項17】
前記加水分解的に安定した連鎖は、アミド、アミン、カルバメート、硫化物、エーテル、チオエーテル、および尿素から成る群から選択される、請求項16に記載の単位用量形態。
【請求項18】
前記加水分解的に安定した連鎖はエーテルである、請求項16に記載の単位用量形態。
【請求項19】
前記ポリマーの分子量は約2,000Da未満である、請求項14、15、17および18のいずれか一項に記載の単位用量形態。
【請求項20】
前記オピオイド作動薬は、アルフェンタニル、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、シクラゾシン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、ノスカピン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベリン、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、テバインおよびトラマドールから成る群から選択される、請求項14、15、17および18のいずれか一項に記載の単位用量形態。
【請求項21】
前記オピオイド作動薬は、オキシコドン、ヒドロコドンおよびモルヒネから成る群から選択される、請求項20に記載の単位用量形態。
【請求項22】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造
【化20】


を有し、式中
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、HまたはOHであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
は、Hまたは有機ラジカルであり、
破線(「−−−」)は任意の二重結合を表し、
は、OまたはSであり、
Xは、連鎖であり、
POLYは、水溶性非ペプチドポリマーの残基である、請求項14に記載の単位用量形態。
【請求項23】
前記ポリマー−オピオイド拮抗薬複合体は、以下の構造
【化21】


を有し、式中「n」は、3から14の整数である、請求項22に記載の単位用量形態。
【請求項24】
治療的に有効な量のオピオイド作動薬と、治療的に有効な量の水溶性非ペプチドポリマー−オピオイド拮抗薬複合体とを含む、組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項25】
前記組成物は、経口投与される、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2010−509227(P2010−509227A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535363(P2009−535363)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/023534
【国際公開番号】WO2008/057579
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(500321438)ネクター セラピューティックス エイエル,コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】