説明

オルメサルタンメドキソミルの精製法

【課題】オルメサルタン メドキソミルの新規な精製方法の提供。
【解決手段】オルメサルタン メドキソミル(olmesartan medoxomil)の精製方法であって、a)C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を供給し;b)前記溶液に水を添加し;そしてc)精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収することを含んで成る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、オルメサルタン メドキソミル(olmesartan medoxomil)の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
オルメサルタン メドキソミルについての化学名称は、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’−ビフェニル]−4−イル]メチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチルエステル(Merck Index 13th ed.)である。
【0003】
オルメサルタン メドキソミルの化学構造は、下記の通りである:
【化1】

【0004】
実験式は、C29H30N6O6である。
分子量は、558.58である。
オルメサルタン メドキソミルは、吸収の間、加水分解されるプロドラッグであり、そしてそれは、選択的AT1サブタイプアンギオテンシンII受容体アンタゴニストである。オルメサルタン メドキソミルは、アメリカ特許第5,616,599号(Yanagisawaなど.)により開示される。それは、ヒトにおける高血圧の処理のために、5mg、20mg及び40mgのフィルム−被覆された錠剤においてBENICAR(商標)として市販されている。
オルメサルタン メドキソミル(OLM−Mod)自体の合成は、次の通りに示される(Annu. Rep. Sankyo Res. Lab 2003, 55, 1-91を参照のこと):
【0005】
【化2】

【0006】
従来技術の合成方法は、置換されたイミダゾールと置換されたビフェニルメチレンブロミドとの間のカップリングに向けられている。それらのオルメサルタン メドキソミル中間体についての追加の合成方法は、日本特許第11302260号, 日本特許第11292851号, 日本特許第07053489号, 日本特許第06298683号,アメリカ特許第 5621134号, ヨーロッパ特許第838458号,ドイツ特許第19757995号, アメリカ特許第6111114号, 及びアメリカ特許第6214999号により記載されている。
【0007】
従来の技術の合成の段階(vi)(保護解除段階)が、次の通りに示される:
【化3】

【0008】
'599特許の例61(b)は、トリチルオルメサルタン メドキソミル(MTT)及び水性酢酸の混合物から粗オルメサルタン メドキソミルの調製方法を開示する。第176頁、24−37行。トリフェニルカルビノール(TPC)が除去され、そしてオルメサルタン メドキソミルが蒸発により単離される。
【0009】
【化4】

【0010】
酸性条件及び水の存在のために、不純物OLM−酸がまた、エステル結合の加水分解により、その反応の間に形成される。OLM−酸の化学構造は、下記の通りである:
【0011】
【化5】

【0012】
OLM−酸の実験式は、C24H26N6O3であり、そしてその分子量は、446.50である。従来技術の方法は、面積%HPLC当たり2.2%のOLM−酸を含む粗オルメサルタン メドキソミルを生成する。’599特許はまた、化合物が従来の手段、例えば再結晶化により、さらに精製され得ることも開示する。第64頁、第43〜45行。BENICAR(商標)は、面積%HPLC当たり0.3%のOLM−酸を含む。
【0013】
オルメサルタン メドキソミルにおけるエステル結合の加水分解を最少にし、そして従って、純粋な生成物を供給する方法の必要性がある。さらに、産業的及び実際的な観点から、クロマトグラフィー精製段階についての必要性を回避することが所望される。本発明は、オルメサルタン メドキソミルを精製するための改良された方法、及び低レベルのOLM−酸を有するオルメサルタン メドキソミルを提供する。
【発明の概要】
【0014】
発明の要約:
1つの観点においては、本発明は、C3-6ケトン、好ましくはアセトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を供給し;前記溶液に水を添加し;そして精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収する段階を含んで成る、オルメサルタン メドキソミルの精製方法を提供する。前記方法はさらに、溶液を加熱する段階を包含することができる。前記方法はさらに、水の添加の後、溶液を冷却し、精製されたオルメサルタン メドキソミルを沈殿せしめる段階を包含することができる。
【0015】
もう1つの観点においては、本発明は、トリチルオルメサルタン メドキソミルと酸とを、水混和性有機溶媒において、水、好ましくはアセトン及び水を伴って又は伴わないで、接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの第1溶液及びトリフェニルカルビノールの沈殿物を得;前記第1溶液からトリフェニルカルビノールの沈殿物を分離し;前記第1溶液と塩基とを接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を得;オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を回収し;前記オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を、C3-6ケトン、好ましくはアセトンに溶解し、第2溶液を形成し;前記第2溶液に水を添加し;そして精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収する段階を含んで成る、オルメサルタン メドキソミルの精製方法を提供する。
【0016】
もう1つの観点においては、本発明は、約0.3%以下、より好ましくは約0.05%以下、及び最も好ましくは約0.03%以下のOLM−酸を含むオルメサルタン メドキソミルを提供する。本発明はまた、そのようなオルメサルタン メドキソミルを含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、精製されたオルメサルタン メドキソミルサンプルについての典型的なクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の特定の記載:
1つの態様においては、本発明は、C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を供給し;前記溶液に水を添加し;そして精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収する段階を含んで成る、オルメサルタン メドキソミルの精製方法を提供する。
好ましくは、前記C3-6ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン又はt−ブチルメチルケトンである。最も好ましくは、C3-6ケトンはアセトンである。
【0019】
C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を提供するためには、ケトンの好ましい量は、固体オルメサルタン メドキソミル約1gに対して少なくとも7体積のケトン、より好ましくは、メドキソミル約1gに対して少なくとも10体積のケトンである。ケトンは、水、例えば、約4〜約14体積%の水、好ましくは約4体積%の水を含むことができる。
【0020】
前記方法はさらに、C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を加熱する段階を包含することができる。この態様においては、C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を加熱する段階を包含することができる。この態様においては、C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液は好ましくは、約30℃〜約還流温度、より好ましくは約40℃〜約還流温度に加熱される。
【0021】
水は、精製されたオルメサルタン メドキソミルを、沈殿するために添加される。添加される水の量は最も好ましくは、約1体積のC3-6ケトンに対して約0.5〜約2体積の水、より好ましくは少なくとも1:1(体積)である。
水の添加の後、前記方法は、沈殿を誘発するために溶液を冷却する段階をさらに包含することができる。前記溶液は、約30℃以下の温度、好ましくはほぼ室温に冷却され得る。 本明細書において使用される場合、用語“室温”とは、約20℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃の温度を言及する。
【0022】
精製されたオルメサルタン メドキソミルの回収は、当業界において知られているいずれかの手段、例えば濾過又は遠心分離により行われ得る。前記方法はさらに、沈殿された精製オルメサルタン メドキソミルの乾燥段階を包含する。乾燥は例えば、約30℃〜約60℃の温度への加熱により行われ得る。圧力は、乾燥工程を促進するために、1大気圧以下、より好ましくは約100mmHg以下に低められ得る。
【0023】
もう1つの態様においては、本発明は、トリチルオルメサルタン メドキソミルと酸とを、水混和性有機溶媒において接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの第1溶液及びトリフェニルカルビノールの沈殿物を得;前記第1溶液からトリフェニルカルビノールの沈殿物を分離し;前記第1溶液と塩基とを接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を得;オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を回収し;前記オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を、C3-6ケトンに溶解し、第2溶液を形成し;前記第2溶液に水を添加し;そして精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収する段階を含んで成る、オルメサルタン メドキソミルの精製方法を提供する。
【0024】
好ましい水混和性有機溶媒は、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールを包含するが、但しそれらだけに限定されない。アセトンが特に好ましい。好ましくは、トリチルオルメサルタン メドキソミルが、水混和性有機溶媒及び水の混合物と接触せしめられる。最も好ましくは、トリチルオルメサルタン メドキソミルは、アセトン及び水の混合物と接触せしめられる。好ましくは、水:水混和性有機溶媒、例えばアセトンの比は好ましくは、約1:3〜約3:1(体積)である。
【0025】
前記第1溶液と接触される酸は、トリフェニルカルビノールを除去し、オルメサルタン メドキソミルの酸性塩を形成する。好ましくは、酸は、約0〜約4のpHを有する強酸である。適切な酸は、有機酸、例えば蟻酸、酢酸、安息香酸及びシュウ酸;オキソ酸、例えば過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、硫酸、亜硫酸、p−トルエンスルホン酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び炭酸; 及び、二元酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭酸、青酸、及びヒドロ硫酸を包含するが、但し、それらだけには限定されない。塩酸、p−トルエンスルホン酸及び特に硫酸が好ましい。好ましくは、酸の量は、約2〜約8当量、より好ましくは約3〜約4当量、及び最も好ましくは、約3当量である。
【0026】
トリチルオルメサルタン メドキソミルと酸とを接触する場合、その温度は好ましくは、約10℃〜約60℃、より好ましくは約40℃である。好ましい態様においては、トリチルオルメサルタン メドキソミル、水混和性有機溶媒及び酸の組合せが、約3〜約15時間、維持される。好ましくは、その組合せは、約4〜約6時間、より好ましくは約4時間、維持される。
【0027】
好ましい態様においては、トリフェニルカルビノールの分離の前、水が添加され、所望しない副生成物の形成が回避される。好ましくは、添加される水の量は、gトリチルオルメサルタン メドキソミル当たり約2体積である。沈殿は、溶液の曇り、又は溶液に懸濁されるか又はその溶液を含む容器の底で集められる沈殿物の明確な粒子の形成として視覚的に見ることができる。
溶液からトリフェニルカルビノールの分離は、当業界において知られているいずれかの手段、例えば濾過又は遠心分離により行われ得る。
【0028】
トリフェニルカルビノールの分離の後、オルメサルタン メドキソミル溶液は、塩基と接触される。適切な塩基は、アルカリ及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩を包含するが、但しそれだけには限定されない。特に典型的な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、及び炭酸カルシウムであるが、但しそれだけには限定されない。
【0029】
炭酸カリウム及び特に炭酸水素カリウムが好ましい。好ましくは、使用される塩基の当量は、使用される酸の当量に、ほぼ等しく、すなわち使用される塩基の量は、使用される酸の量に比較して、好ましくは約0.8〜1.5当量である。塩基は好ましくは、溶液のpHを高めるが、しかし溶液は塩基性pHに達する必要はない。溶液と塩基との接触の後、その溶液は好ましくは、約2℃〜約25℃、好ましくはほぼ室温で維持される。本明細書において使用される場合、用語“室温”とは、約20℃〜30℃、好ましくは20℃〜25℃の温度を言及する。溶液は、オルメサルタン メドキソミルが沈殿するまで、維持される。
【0030】
次に、沈殿物、すなわち粗オルメサルタン メドキソミルは、当業界において知られているいずれかの手段、すなわちテトラゾール上の窒素は遊離である。
反応の進行は、当業界において知られているいずれかの方法、例えばHPLC、GC、TLC、MNR及び質量分光法により検出され得る。
【0031】
本発明の方法は、低レベルのOLM−酸を有するオルメサルタン メドキソミルを生成する。本明細書に記載される不純度のすべての%は、220nmでの面積%HPLCとして提供される。アメリカ特許第5,616,599号に従って調製される粗オルメサルタン メドキソミルは、2.2%のOLM−酸を含む。対照的に、本発明に従って調製される粗オルメサルタン メドキソミルは、約1%のOLM−酸、例えばわずか約0.89%のOLM−酸を含む。
【0032】
生成された生成物に関しては、BENICAR(商標)は、0.3%のOLM−酸を含む。従って、従来技術の方法は、粗オルメサルタン メドキソミルにおいて、2.2%から0.3%に低める。しかしながら、そのような粗オルメサルタン メドキソミルが、本発明の方法に従って精製される場合、OLM−酸の量が0.26%に低められる。OLM−酸の量はさらに、本発明に従って調製された粗オルメサルタン メドキソミルを用いて低められ得る。粗オルメサルタン メドキソミルが約1%以下のOLM−酸を含む場合、本発明は精製方法は、OLM−酸レベルを、約0.3%以下に低めることができる。
【0033】
本発明はさらに、約0.3%以下、より好ましくは約0.05%以下、及び最も好ましくは0.03%以下のOLM−酸を有するオルメサルタン メドキソミルを提供する。本発明はまた、そのようなオルメサルタン メドキソミル含む医薬組成物を供給する。
【0034】
上記のようなオルメサルタン メドキソミルを含む医薬組成物は、経口、非経口、直腸、経皮、頬又は鼻から投与される薬剤として調製され得る。経口投与のための適切な形は、固体形、例えば錠剤、粉末、顆粒、カプセル、坐剤、香粉、トローチ及びロゼンジ、並びに液体形、例えばシロップ、懸濁液及びエリキシルを包含する。非経口投与の適切な形は、水性又は非水性溶液又はエマルジョンを包含し、そして直腸投与に関しては、投与のための適切な形は、親水性又は疎水性ビークルを含む坐剤を包含する。局部投与に関しては、本発明は、当業界において知られている適切な経皮供給システムを提供し、そして鼻腔供給に関しては、当業界において知られている適切なエアロゾル供給システムが提供される。
【0035】
活性成分の他に、本発明の組成物は、1又は複数の賦形剤又はアジュバントを含むことができる。賦形剤は、医薬組成物を希釈するために、又はその形又はコンシステンシーを維持するためにその組成物に添加される不活性成分である。アジュバントは、活性成分の作用を助ける。使用する賦形剤及びアジュバント、及び量の選択は、経験及び標準方法の考慮に基づいて、製剤科学者により容易に決定され得る。
【0036】
希釈剤は、固体医薬組成物の嵩を高め、そして前記組成物を含む医薬用量形を患者及び取り扱うケアー供与者を、より容易にすることができる。固体組成物のための希釈剤は、例えば微晶性セルロース(例えば、AVICEL(商標))、微小セルロース、ラクトース、スターチ、プレゲル化されたスターチ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、第二リン酸カルシウム・二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT(商標))、塩化カリウム、粉末化されたセルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクを包含する。
【0037】
投与量形、例えば錠剤に圧縮される固体医薬組成物は、圧縮の後、活性成分及び他の賦形剤を一緒に結合することための賦形剤を含むことができる。固体医薬組成物のための結合剤は、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化された植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL(商標))、液体グルコース、珪酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON(商標), PLASDONE(商標))、プレゲル化されたスターチ、アルギン酸ナトリウム及びスターチを包含する。
【0038】
患者の胃における圧縮された固体医薬組成物の溶解速度は、組成物への砕解剤の添加により高められ得る。砕解剤は、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOL(商標), PRIMELLOSE(商標))、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON(商標), POLYPLASDONE(商標))、グアーガム、珪酸アルミニウム・マグネシウム、メチルセルロース、微晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末化されたセルロース、プレゲル化されたスターチ、アルギ酸ナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート(例えば、EXPLOTAB(商標))及びスタートを包含する。
【0039】
潤滑剤は、圧縮されていない固体組成物の流動性を改良するために、及び投与量の精度を改良するために添加され得る。潤滑剤として機能することができる賦形剤は、コロイド状二酸化珪素、三珪酸マグネシウム、粉末化されたセルロース、スターチ、タルク及び第三リン酸カルシウムを包含する。
【0040】
用量形、例えば錠剤が、粉末化された組成物の圧縮により製造される場合、その組成物は、パンチ及び染料からの圧縮にゆだねられる。パンチ及び染料からの圧縮にゆだねられる。いくつかの賦形剤及び活性成分は、ピット及び他の表面不規則性の生成物による獲得を引起すことができる、パンチ及び染料の表面への付着傾向を有する。滑剤は、付着性を低め、そして染料からの生成物の開放を容易にするために組成物に添加され得る。滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グルセリルパルミトステアレート、水素化されたヒマシ油、水素化された植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛を包含する。
【0041】
風味剤及び風味増強剤は、用量形を、患者に対して口に合うようにする。本発明の組成物に含まれ得る、医薬生成物のための通常の風味剤及び風味増強剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メンソール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール及び酒石酸を包含する。
【0042】
固体及び液体組成物はまた、それらの外観を改良し、そして/又は生成物及び/又は生成物及び単位用量レベルの患者による同定を促進するために、いずれか医薬的に許容できる着色剤を用いて着色され得る。
本発明の液体医薬組成物においては、活性成分及びいずれか他の固体賦形剤が、液体キャリヤー、例えば水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンに懸濁される。
【0043】
液体医薬組成物は、活性成分及び/又は不溶性賦形剤を、組生物を通して均等に分散するために乳化剤を含むことができる。本発明の流体組成物において有用である乳化剤は、例えばゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール及びセチルアルコールを包含する。
【0044】
液体医薬組成物はまた、生成物の口内感触を改良し、そして/又は胃腸管の内層を被覆するために粘度増強剤を含むことができる。そのような剤は、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、スターチトラガカント及びキサントガムを包含する。
【0045】
甘味剤、例えばソルビトール、サッカリン、ナトリウムサッカリン、スクロース、アスパータム、フルクトース、マンニトール、及び転化糖が、味覚を改良するために添加され得る。
保存剤及びキレート化剤、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化されたヒドロキシルトルエン、ブチル化されたヒドロキシアニソール、及びエチレンジアミン四酢酸が、貯蔵安定性を改良するために摂取のための安全レベルで添加され得る。
【0046】
本発明によれば、液体組成物はまた、緩衝液、例えばグルコン酸、乳酸、クエン酸又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムを含むことができる。
本発明の用量形は、組成物、好ましくは本発明の粉末化された又は顆粒化された固体組成物を含むカプセル(ハード又はソフトシェルのいずれか)であり得る。シェルは、ゼラチンから製造され、そして任意には、可塑剤、例えばグリセリン及びソルビトール、及び不透明剤又は着色剤を含む。
【0047】
いずれかの所定の場合における最も適切な投与は処理される病状の性質及び重症度に依存するが、本発明の最も好ましい経路は、経口である。用量形は、便利には、単位投与形で提供され、そして医薬業界において良く知られているいずれかの方法により調製され得る。
【0048】
錠剤化又はカプセル充填のための組成物は、湿式顆粒化により調製され得る。湿式顆粒化においては、粉末形での活性成分及び賦形剤のいくらか又はすべてが、ブレンドされ、そして次に、液体、典型的には粉末の顆粒への凝集を引起す水の存在下で、さらに混合される。顆粒はスクリーンされ、そして/又は微粉砕され、乾燥され、そして次に、所望する粒度にスクリーンされ、そして/又は微粉砕される。次に顆粒は錠剤化されるか、又は他の賦形剤、例えば滑剤及び/又は潤滑剤が、錠剤化の前、添加され得る。
【0049】
錠剤組成物は、便利には、ドライブレンドにより調製され得る。例えば、活性剤及び賦形剤のブレンドされた組成物が、スラグ又はシートに圧縮され、そして次に、圧縮された顆粒に微粉砕される。続いて、圧縮された顆粒が錠剤に圧縮され得る。
乾燥顆粒化に変わるものとして、ブレンドされた組成物は、直接的圧縮技法を用いて、圧縮された用量形に直接的に圧縮され得る。直接的な圧縮は、顆粒を有さないより均等な錠剤を生成する。直接的な圧縮錠剤化のために特に適切である賦形剤は、微晶性セルロース、噴霧乾燥されたラクトース、リン酸二カルシウム・二水和物及びコロイド状シリカを包含する。
【0050】
本発明のカプセル充填は、錠剤化に関して記載された前述のブレンド及び顆粒のいずれかを含んで成るが、しかしながら、それらは最終錠剤化段階にゆだねられない。
【実施例】
【0051】
例1:オルメサルタン メドキソミルの調製
250mlの丸底フラスコを、MTT(10g)、アセトン/水(2/2体積)及び3当量のH2SO4により充填した。その組合せを、室温で約4〜6時間、攪拌した。トリフェニルカルビノール(TPC)を、水の添加により沈殿し、そして濾過した。NaHCO3を濾液に添加し、そしてその混合物を5℃に冷却し、そして1時間、攪拌した。粗オルメサルタン メドキソミルを、白色結晶として得た(90%の収率、OLM−酸:HPLCによれば0.89%面積)。
【0052】
例2:オルメサルタン メドキソミルの精製(結晶化)
1Lのフラスコを、アセトンにより充填した。粗オルメサルタン メドキソミルを添加し、そしてその混合物を、1時間、加熱還流し、そして10体積に濃縮した。その溶液を室温に冷却し、そして水(10体積)を添加した。その混合物を室温で1時間、攪拌し、そして沈殿物を濾過し、そして10mmHg下で45℃で乾燥した(収率87%)。OLM−酸含有率は、HPLCにより測定される場合、0.04%であった。
【0053】
例3:オルメサルタン メドキソミルの精製(結晶化)
1Lのフラスコを、4体積%の水を含むアセトンにより充填した。粗オルメサルタン メドキソミル(10g)を添加し、そしてその混合物を、1時間、加熱還流した。その溶液を、室温に冷却し、そして水(10体積)を添加した。その混合物を室温で1時間、攪拌し、そして沈殿物を濾過し、そして10mmHg下で45℃で乾燥した(収率90%)。OLM−酸含有率は、HPLCにより測定される場合、0.04%であった。
【0054】
例4:オルメサルタン メドキソミルの精製(結晶化)
1Lのフラスコを、4体積%の水を含むアセトンにより充填した。粗オルメサルタン メドキソミル(10g)を添加し、そしてその混合物を、1時間、加熱還流した。その溶液を、室温に冷却し、そして水(10体積)を添加した。その混合物を2℃で1時間、攪拌し、そして沈殿物を濾過した。固形白色粉末を10mmHg下で45℃で乾燥した(収率95%)。OLM−酸含有率は、HPLCにより測定される場合、0.07%であった。
【0055】
例5:オルメサルタン メドキソミルの精製(結晶化)
アセトン(7.5体積)中、オルメサルタン メドキソミルのスラリーを、1.5時間、加熱還流した。その混合物を、室温に冷却し、そして水(10体積)を添加した。その混合物を室温で1時間、攪拌し、そして沈殿物を濾過し、そして10mmHg下で45℃で乾燥した(収率91%)。OLM−酸含有率は、HPLCにより測定される場合、0.06%であった。
【0056】
例6:オルメサルタン メドキソミルの不純度プロフィールに決定
0.1%のオルメサルタン メドキソミル標準溶液を、50mlのメスフラスコにおいて、15mgのオルメサルタン メドキソミル標準を希釈剤により希釈することにより調製した。この溶液を、希釈剤により1/50及び次に1/20に希釈した。
【0057】
オルメサルタン メドキソミルサンプル溶液を、50mlのメスフラスコにおいて、15mgのオルメサルタン メドキソミルサンプルを、希釈剤により希釈することにより調製した。
標準溶液を、20分間の停止時間を伴って注入した。
サンプル溶液を注入し、グラジエントの最後までクロマトグラムを続けた。
【0058】
HPLC
カラム&充填: Discovery HS Cl8 50*4.6 mm , 3μ C.N 269250-U
溶離剤A: HClO4によりpH=2.5に調節された0.025MのNaClO4
溶離剤B: アセトニトリル
溶離剤のグラジエント: 時間(分) 溶離剤A(%) 溶離剤B(%)
0 75 25
15 55 45
25 35 65
30 35 65
停止時間: 30分
平衡化時間: 5分
流速: 1.5ml/分
検出器: 220nm
注入体積: 10μl
希釈剤: 50%溶離剤A:50%溶離剤B
カラム温度: 25℃
オートサンプラー温度: 5℃
【0059】
個々の不純度の面積は、適切な積分器を用いて決定された。OLM−酸のHPLC方法における検出限界は、0.01%である。
【0060】
計算
【数1】

【0061】
クロマトグラフィー分析についての相対的滞留時間(図1を参照のこと)は、次の通りである:
【0062】
【表1】

【0063】
特定の好ましい態様及び例示的な例により本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の範囲内で修飾を行うことができる。実施例は、本発明の理解を助けるために示されており、本発明の範囲を制限するものではない。実施例は、従来の方法の詳細な記載を包含しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルメサルタン メドキソミル(olmesartan medoxomil)の精製方法であって、
a)C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を供給し;
b)前記溶液に水を添加し;そして
c)精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収することを含んで成る方法。
【請求項2】
前記C3-6ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びt−ブチルメチルケトンから成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記C3-6ケトンがアセトンである請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記C3-6ケトンの量が、固体オルメサルタン メドキソミル約1gに対して少なくとも約7体積である請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記C3-6ケトンの量が、固体オルメサルタン メドキソミル約1gに対して少なくとも約10体積である請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液がさらに、約4〜約14体積%の水を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記C3-6ケトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液がさらに、約4体積%の水を含んで成る請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記アセトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を、約30℃〜約還流温度に加熱することをさらに含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記アセトン中、オルメサルタン メドキソミルの溶液を、約40℃〜約還流温度に加熱することをさらに含んで成る請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記添加される水の量が、前記C3-6ケトン約1体積に対して約0.5〜約2体積の水である請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記添加される水の量が、前記C3-6ケトン約1体積に対して少なくとも約1体積の水である請求項10記載の方法。
【請求項12】
段階b)の後の溶液を、約30℃以下の温度に冷却することをさらに含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記溶液を、ほぼ室温に冷却することをさらに含んで成る請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルを乾燥することをさらに含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.3%以下のOLM−酸を含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.05%以下のOLM−酸を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.03%以下のOLM−酸を含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
オルメサルタン メドキソミルの精製方法であって、
a)トリチルオルメサルタン メドキソミルと酸とを、水混和性有機溶媒において接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの第1溶液及びトリフェニルカルビノールの沈殿物を得;
b)前記第1溶液からトリフェニルカルビノールの沈殿物を分離し;
c)前記第1溶液と塩基とを接触せしめ、オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を得;
d)オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を回収し;
e)前記オルメサルタン メドキソミルの沈殿物を、C3-6ケトンに溶解し、第2溶液を形成し;
f)前記第2溶液に水を添加し;そして
g)精製されたオルメサルタン メドキソミルを回収することを含んで成る方法。
【請求項19】
前記第1溶液がさらに水を含んで成る請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記水混和性有機溶媒が、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールから成る群から選択される請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記水混和性有機溶媒が、アセトンである請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第1溶液がさらに水を含んで成り、そして前記第1溶液における水:アセトンの比が約1:3〜約3:1(体積)である請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.3%以下のOLM−酸を含む請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.05%以下のOLM−酸を含む請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記精製されたオルメサルタン メドキソミルが、約0.03%以下のOLM−酸を含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
約0.3%のOLM−酸を有するオルメサルタン メドキソミル。
【請求項27】
約0.05%以下のOLM−酸を有する請求項26記載のオルメサルタン メドキソミル。
【請求項28】
約0.03%以下のOLM−酸を有する請求項27記載のオルメサルタン メドキソミル。
【請求項29】
請求項26記載のオルメサルタン メドキソミル、及び医薬的に許容される賦形剤を含んで成る医薬組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−298804(P2009−298804A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−190136(P2009−190136)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【分割の表示】特願2006−538571(P2006−538571)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】