説明

オレキシンアンタゴニストとして用いられるピペリジン誘導体

本発明は、ヘテロアリールアミンメチル置換ピペリジン誘導体および薬剤としてのその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロアリールアミン5−メチル置換ピペリジン誘導体および薬剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医学的に重要な生物学的過程は、Gタンパク質および/または二次情報伝達物質に関するシグナル伝達経路に関与するタンパク質により媒介されている。
【0003】
ヒト7回膜貫通型Gタンパク質共役神経ペプチド受容体、オレキシン−1(HFGAN72)をコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドは同定されており、EP875565、EP875566およびWO96/34877に開示されている。第2ヒトオレキシン受容体、オレキシン−2(HFGANP)をコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドは同定されており、EP893498に開示されている。
【0004】
オレキシン1−受容体に対するリガンド、例えば、オレキシン−A(Lig72A)であるポリペプチドをコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、EP849361に開示されている。
【0005】
オレキシンリガンドおよび受容体系は、その発見以来よく特徴づけられている(例えば、Sakurai,T.等(1998)Cell、92 573〜585頁;Smart等(1999)British Journal of Pharmacology 128 1〜3頁;Willie等(2001)Ann.Rev.Neurosciences 24 429〜458頁;Sakurai(2007)Nature Reviews Neuroscience 8 171〜181頁;OhnoおよびSakurai(2008)Front.Neuroendocrinology 29 70〜87頁参照)。これらの研究から、オレキシンおよびオレキシン受容体が、哺乳動物においていくつかの重要な生理的役割を果たし、本明細書下記の種々の疾患および障害のための新規の治療的処置の構築の可能性を開くことが明らかになっている。
【0006】
実験は、リガンドオレキシン−Aの中枢投与が、自由摂食ラットの食物摂取を4時間刺激することを示した。この増加は、ビヒクルを投与されている対照ラットに対して約4倍であった。これらのデータは、オレキシン−Aが食欲の内因性調節因子であり得ることを示唆している(Sakurai,T.等(1998)Cell、92 573〜585頁;Peyron等(1998)J.Neurosciences 18 9996〜10015頁;Willie等(2001)Ann.Rev.Neurosciences 24 429〜458頁)。そのため、オレキシン−A受容体のアンタゴニストは、肥満および糖尿病の治療において有用であり得る。この裏付けとして、オレキシン受容体アンタゴニストSB334867が、ラットの快楽摂食を強力に減少させ(White等(2005)Peptides 26 2231〜2238頁)、ラットの高脂肪ペレット自己投与も弱めることが示されている(Nair等(2008)British Journal of Pharmacology、2008年1月28日オンラインで公開)。肥満および他の摂食障害を治療する新規療法の探索は、重要な挑戦である。WHOの定義によると、39の研究における35%の被験体の平均値は体重超過であり、西洋化社会ではさらに22%が臨床的に肥満であった。米国の全医療費の5.7%が肥満の結果であると推測されている。2型糖尿病患者の約85%は肥満である。食事および運動は、全ての糖尿病患者において価値がある。西洋化した国々において診断された糖尿病の罹患率は、典型的には5%であり、診断されていない数と同等であると推測される。両疾患の罹患率は上昇しており、有効ではないかまたは心血管系作用を含む毒性の危険性があり得る現在の治療の不十分さを立証している。スルホニル尿素またはインスリンによる糖尿病の治療は、低血糖を引き起こし得る一方で、メトホルミンはGI副作用を引き起こす。2型糖尿病に対する薬物治療が、この疾患の長期合併症を減少させることは示されていない。インスリン増感剤は、多くの糖尿病患者に有用であろうが、これらは抗肥満効果を有していない。
【0007】
食物摂取において役割を有するのと同様に、オレキシン系はまた、睡眠および覚醒にも関与する。ラット睡眠/EEG研究は、オレキシン−A、オレキシン受容体のアゴニストの中枢投与が、正常な睡眠時間の開始時に投与されると、逆説睡眠および第2の徐波睡眠を大きく減少させて、用量依存的に覚醒の増大を引き起こすことを示している(Hagan等(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.96 10911〜10916頁)。睡眠および覚醒におけるオレキシン系の役割は、最近よく確立されている(Sakurai(2007)Nature Reviews Neuroscience 8 171〜181頁;OhnoおよびSakurai(2008)Front.Neuroendocrinology 29 70〜87頁;Chemelli等(1999)Cell 98 437〜451頁;Lee等(2005)J.Neuroscience 25 6716〜6720頁;Piper等(2000)European J Neuroscience 12 726〜730頁ならびにSmartおよびJerman(2002)Pharmacology and Therapeutics 94 51〜61頁)。そのため、オレキシン受容体のアンタゴニストは、不眠症を含む睡眠障害の治療において有用であり得る。ラット(例えば、Smith等(2003)Neuroscience Letters 341 256〜258頁参照)ならびにより最近では、イヌおよびヒト(Brisbare−Roch等(2007)Nature Medicine 13(2) 150〜155頁)における、オレキシン受容体アンタゴニスト、例えば、SB334867を使用した研究がこのことをさらに裏付ける。
【0008】
さらに、最近の研究は、報酬探求行動、例えば、薬物嗜癖および物質乱用に関する障害などの動機付け障害の治療におけるオレキシンアンタゴニストの役割を示唆している(Borgland等(2006)Neuron 49(4)589〜601頁;Boutrel等(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.102(52)19168〜19173頁;Harris等(2005)Nature 437 556〜559頁)。
【0009】
オレキシン受容体アンタゴニストとして、国際特許出願WO99/09024、WO99/58533、WO00/47577およびWO00/47580は、フェニル尿素誘導体を開示し、WO00/47576は、キノリニルシンナミド誘導体を開示している。オレキシンアンタゴニストとして、WO05/118548は、置換1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体を開示している。
【0010】
WO01/96302、WO02/44172、WO02/89800、WO03/002559、WO03/002561、WO03/032991、WO03/037847、WO03/041711およびWO08/038251は全て、環状アミン誘導体を開示している。
【0011】
WO04/026866は、ジアルキルN−アロイル環状アミンを開示している。本発明者等は、最近になって、特定のヘテロアリールアミン5−メチル置換ピペリジン誘導体が、例えば、従来技術の化合物と比較して増加した効力を含む有益な特性を有することを見出した。本発明の化合物は、優れた生物学的利用性および脳透過性を有し、このような特性は、これらのヘテロアリールアミン5−メチル置換ピペリジン誘導体を、2型(インスリン非依存性)糖尿病患者で観察される肥満を含む肥満、睡眠障害、不安症、うつ病、統合失調症、薬物依存症もしくは強迫行為の予防または治療に有用であり得る潜在的薬剤として非常に魅力的にする。さらに、これらの化合物は、脳卒中、特に虚血性脳卒中もしくは出血性脳卒中の治療、および/または嘔吐反応の阻害において有用、すなわち、悪心および嘔吐の治療において有用であり得る。
【0012】
したがって、本発明は、式(I)の化合物
【化1】

(式中:
Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、フェニルオキシ、ピリジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、またはN、OもしくはSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む複素5員環基であり、Y基はC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよく;
Arは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルからなる群から選択されるヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基はC1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1、2または3個の置換基により置換されていてもよく;あるいはArは、8〜10員二環式ヘテロシクリル基であり、該二環式ヘテロシクリル基はC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキルまたはハロにより置換されていてもよい)、
またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態では、Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、フェニルオキシ、ピリジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、またはN、OもしくはSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む複素5員環基であり、Y基はC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよく;Arは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルからなる群から選択されるヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基は、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよい。
【0014】
一実施形態では、Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたピリジニルであって、かつY基によりさらに置換されており、ここで、Yは、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよいピリミジニルである。
【0015】
別の実施形態では、Arは、C1〜4アルキルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、ピリミジニルである。
【0016】
さらなる実施形態では、Arは、メチルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、ピリミジニルである。
【0017】
一実施形態では、Arは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルからなる群から選択されるヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基はC1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよい。
【0018】
別の実施形態では、Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよいピリジニルである。
【0019】
さらなる実施形態では、Arは、C1〜4アルキル、ハロおよびハロC1〜4アルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである。
【0020】
なおさらなる実施形態では、Arは、メチル、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである。
【0021】
一実施形態では、Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよいピリミジニルであり;Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよいピリジニルである。
【0022】
別の実施形態では、Arは、C1〜4アルキルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、ピリミジニルであり;Arは、C1〜4アルキル、ハロおよびハロC1〜4アルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである。
【0023】
さらなる実施形態では、Arは、メチルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、ピリミジニルであり;Arは、メチル、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである。
【0024】
一実施形態では、ピペリジン環の5位のメチルは、5S立体配置にある。
【0025】
一実施形態では、本発明は、
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
5−フルオロ−3−メチル−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
5−フルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
3,5−ジフルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジンアミン;
4,6−ジメチル−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリミジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
3−フルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;および
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン
からなる群から選択される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0026】
Ar基は、リンカー中の窒素原子とAr環中の任意の炭素または窒素原子との間の結合によって、アミノメチルリンカーに付着し得る。好ましくは、Ar基は、リンカー中の窒素原子とAr基環中の炭素原子との間の結合によってリンカーに付着している。
【0027】
N、OもしくはSから選択される1個、2個、3個または4個の原子を含む5員ヘテロシクリル基の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリルまたはピラゾリルが挙げられる。
【0028】
化合物が、単独で、またはより大きな基、例えば、C1〜4アルコキシの一部を形成するC1〜4アルキル基を含む場合、アルキル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状、またはこれらの組み合わせであり得る。C1〜4アルキルの例としては、メチルまたはエチルが挙げられる。C1〜4アルコキシの例としては、メトキシが挙げられる。
【0029】
ハロC1〜4アルキルの例としては、トリフルオロメチル(すなわち、−CF)が挙げられる。
【0030】
1〜4アルコキシの例としては、メトキシおよびエトキシが挙げられる。
【0031】
ハロC1〜4アルコキシの例としては、トリフルオロメトキシ(すなわち、−OCF)が挙げられる。
【0032】
ハロゲンまたは「ハロ」(例えば、ハロC1〜4アルキルで使用する場合)は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0033】
本発明が、本明細書上記の具体的な基および置換基の全ての組み合わせを包含することを理解すべきである。
【0034】
薬剤で使用するために、式(I)によって表される化合物の塩は、医薬的に許容されるべきであることが認識されよう。適当な医薬的に許容される塩は、当業者に明らかであろう。医薬的に許容される塩には、Berge、BighleyおよびMonkhouse J.Pharm.Sci(1977)66、1〜19頁に記載のものが含まれる。このような医薬的に許容される塩には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸と形成される酸付加塩が含まれる。他の塩、例えば、シュウ酸塩またはギ酸塩は、例えば、式(I)によって表される化合物の単離に使用されてもよく、本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
式(I)によって表される特定の化合物は、1当量以上の酸と酸付加塩を形成し得る。本発明は、全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態をその範囲内に含む。
【0036】
式(I)によって表される化合物は、結晶形態または非結晶形態で調製されてもよく、結晶形態の場合、例えば、水和物として溶媒和されてもよい。本発明は、化学量論的溶媒和物(例えば、水和物)ならびに可変量の溶媒(例えば、水)を含有する化合物をその範囲内に含む。
【0037】
本発明には、式(I)によって表される化合物の医薬的に許容される誘導体が含まれること、およびこれらが本発明の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0038】
本明細書で使用する「医薬的に許容される誘導体」には、レシピエントに投与すると、式(I)によって表される化合物またはその活性代謝産物もしくは残渣を(直接的または間接的に)提供することができる、任意の式(I)によって表される化合物の医薬的に許容されるエステルまたはこのようなエステルの塩が含まれる。
【0039】
式(I)によって表される化合物は、2Sエナンチオマーである。追加のキラル中心が式(I)によって表される化合物に存在する場合、本発明は、その混合物を含む、全ての可能なエナンチオマーおよびジアステレオ異性体をその範囲内に含む。異なる異性体は、従来の方法により一方からもう一方を分離または分解され得るか、あるいは任意の所与の異性体は、従来の合成法によりまたは立体特異的もしくは不斉合成により得られ得る。本発明はまた、任意の互変異性体またはその混合物にまで及ぶ。
【0040】
本発明はまた、1個または複数個の原子が自然界で最も一般的に見出される原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子に置換された点以外は、式(I)に記載のものと同一である、同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、H、11C、14C、18F、123Iまたは125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が挙げられる。
【0041】
上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する、本発明の化合物および前記化合物の医薬的に許容される塩は、本発明の範囲内である。本発明の同位体標識化合物、例えば、Hまたは14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素−14、すなわち、14C同位体が、それらの調製および検出を容易にするために特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放射断層撮影)に特に有用である。
【0042】
式(I)によって表される化合物を医薬組成物中に使用することを意図するので、それらは、各々好ましくは、実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも60%純粋、より適当には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも98%純粋(%は、重量/重量に基づく)な形態で提供されることが容易に理解されよう。医薬組成物で使用するより純粋な形態を調製するために、化合物の不純な調製物を使用してもよい。
【0043】
本発明のさらなる態様によると、式(I)によって表される化合物およびその誘導体の調製方法が提供される。以下のスキームは、本発明の化合物へのいくつかの合成経路を詳述する。以下のスキームにおいて、反応基は、よく確立された技術にしたがって、保護基により保護され、そして脱保護され得る。
スキーム
【0044】
本発明のさらなる特徴にしたがって、式(I)によって表される化合物またはその塩の調製方法が提供される。以下は、本発明の化合物を合成するために使用され得る合成スキームの例である。
【化2】

【0045】
本発明の特定の化合物が、標準的化学法にしたがって本発明の他の化合物に変換され得ることは、当業者により理解されよう。
【0046】
スキームに使用する出発物質は、商業的に入手可能であるか、文献公知のものであるかまたは既知の方法で調製することができる。例えば、(S)−(+)−マンデル酸[(S)−(a)−ヒドロキシフェニル酢酸、Aldrich M2004]および3メチルピペリジン(Aldrich M73001)。
【0047】
医薬的に許容される塩は、適当な酸または酸誘導体との反応により従来法で調製され得る。
【0048】
本発明は、ヒト薬剤または動物薬剤に使用するための、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0049】
式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の他の睡眠異常(307.47)などの睡眠異常;睡眠時随伴症(例えば、悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、夢遊症障害(307.46)および特定不能の他の睡眠時随伴症(307.47))などの原発性睡眠異常;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;一般的健康状態に起因する睡眠障害、特に神経学的障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺の疾患などの疾患に付随する睡眠障害;ならびに不眠症型サブタイプ、過眠症型サブタイプ、睡眠時随伴症型サブタイプ、および混合型サブタイプを含む物質誘導性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群からなる群から選択される睡眠障害の治療または予防に有用であり得る。
【0050】
さらに、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、うつ病ならびに大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の他の抑うつ障害(311)を含む抑うつ障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の他の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病性特徴、大うつ病様エピソード、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを含む一般的健康状態に起因する気分障害(293.83)を含む他の気分障害、物質誘導性気分障害(うつ病性特徴、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを含む)および特定不能の他の気分障害(296.90)の治療または予防に有用であり得る。
【0051】
さらに、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、パニック発作;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21);広場恐怖症;パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22);動物型、自然環境型、血液注入傷害型、状況型および他の型のサブタイプを含む特定恐怖症(300.29、以前は単一恐怖症)、社会恐怖症(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般的健康状態に起因する不安障害(293.84)、物質誘導性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)および特定不能の他の不安障害(300.00)を含む不安障害の治療または予防に有用であり得る。
【0052】
さらに、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、物質依存、物質渇望および物質乱用などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神病性障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘導性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神病性障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および特定不能の他のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神病性障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および特定不能の他のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および特定不能の他のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神病性障害、大麻誘導性不安障害および特定不能の他の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神病性障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および特定不能の他のコカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神病性障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および特定不能の他の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神病性障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および特定不能の他の吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能の他のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神病性障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および特定不能の他のオピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神病性障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および特定不能の他のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または抗不安剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤誘導性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤誘導性不安障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または抗不安剤誘導性睡眠障害および特定不能の他の鎮静剤、催眠剤または抗不安剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤または抗不安剤関連障害;多物質依存(304.80)などの多物質関連障害;ならびにタンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素などの他の(または未知の)物質関連障害を含む物質関連障害の治療または予防に有用であり得る。
【0053】
さらに、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、神経性過食症、過食症、2型(インスリン非依存性)糖尿病患者で観察される肥満を含む肥満などの摂食障害の治療または予防において有用であり得る。さらに、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、脳卒中、特に虚血性脳卒中もしくは出血性脳卒中の治療または予防ならびに/あるいは嘔吐反応、すなわち悪心および嘔吐の阻止に有用であり得る。
【0054】
列挙した疾患の後の括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す:アメリカ精神医学会により出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル、第4版。本明細書中に記載の障害の種々のサブタイプは、本発明の一部と考えられる。
【0055】
本発明はまた、有効量の式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる、前記被験体のヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、本明細書上記の疾患および障害の治療方法を提供する。
【0056】
本発明はまた、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、本明細書上記の疾患および障害の治療または予防に使用するための、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0057】
本発明はまた、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害、例えば、本明細書上記の疾患および障害の治療または予防において使用するための薬剤の製造における、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0058】
治療で使用するために、本発明の化合物は、通常、医薬組成物として投与される。本発明はまた、式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0059】
式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、任意の好都合な方法により、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、経鼻、直腸または経皮投与により投与され、適宜適合させた医薬組成物が投与され得る。
【0060】
経口投与される場合に活性である式(I)によって表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、液体または固体として、例えば、シロップ、懸濁液、乳液、錠剤、カプセル剤またはロゼンジ剤として製剤化され得る。
【0061】
液体製剤は、一般的に、適当な液体担体(単数または複数)、例えば、水、エタノールもしくはグリセリンなどの水性溶媒またはポリエチレングリコールもしくは油などの非水性溶媒中の有効成分の懸濁液または溶液からなるであろう。製剤はまた、懸濁化剤、保存剤、香味剤および/または着色剤を含有していてもよい。
【0062】
錠剤の形態中の組成物は、固体製剤を調製するために日常的に使用される任意の適当な医薬担体(単数または複数)、例えば、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、ショ糖およびセルロースを使用して調製することができる。
【0063】
カプセル剤の形態中の組成物は、常用のカプセル化法を使用して調製することができる、例えば、有効成分を含有するペレットは、標準的担体を使用して調製し、次いで、硬ゼラチンカプセルに充填することができる;あるいは、分散液または懸濁液は、任意の適当な医薬担体(単数または複数)、例えば、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油を使用して調製し、次いで、分散液または懸濁液は軟ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0064】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油もしくはゴマ油中の有効成分の溶液または懸濁液からなる。あるいは、溶液は、凍結乾燥され、次いで、投与直前に適当な溶媒で再構成することができる。
【0065】
経鼻投与のための組成物は、好都合には、エアロゾル、滴剤、ゲルおよび粉末として製剤化され得る。エアロゾル製剤は、典型的には、医薬的に許容される水性もしくは非水性溶媒中の有効成分の溶液または微粒子懸濁液を含んでなる、通常、カートリッジの形態をとり得るかまたは噴霧装置で使用するために補充可能な密封容器中に滅菌形態の単一用量または複数用量で提供される。あるいは、密封容器は、計量バルブが取り付けられた単一用量鼻吸入器またはエアロゾルディスペンサーなどの使い捨て分配装置であってもよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含んでなる場合、圧縮気体、例えば、空気、またはフルオロクロロヒドロカーボンもしくはヒドロフルオロカーボンなどの有機噴霧剤であり得る噴霧剤を含有するであろう。エアロゾル剤形はまた、ポンプ式噴霧器の形態をとることができる。
【0066】
頬側投与または舌下投与に適当な組成物には、有効成分が担体、例えば、砂糖およびアカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンと製剤化される錠剤、ロゼンジ剤およびトローチが含まれる。
【0067】
直腸投与のための組成物は、好都合には、ココアバターなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤の形態である。
【0068】
経皮投与に適当な組成物には、軟膏、ゲルおよびパッチ剤が含まれる。
【0069】
一実施形態では、組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプルなどの単位用量形態である。
【0070】
組成物は、投与方法に応じて、0.1重量%〜100重量%、例えば、10重量%〜60重量%の活性物質を含み得る。組成物は、投与方法に応じて、0重量%〜99重量%、例えば、40重量%〜90重量%の担体を含み得る。組成物は、投与方法に応じて、0.05mg〜1000mg、例えば、1.0mg〜500mgの活性物質を含み得る。組成物は、投与方法に応じて、50mg〜1000mg、例えば、100mg〜400mgの担体を含み得る。上記障害の治療において使用する化合物の用量は、障害の重症度、罹患者の体重および他の同様の因子で通常通り変化するだろう。しかしながら、目安として、適当な単位用量は、0.05〜1000mg、より適当には、1.0〜500mgであってよく、前記単位用量は、1日1回以上、例えば、1日2または3回投与され得る。このような療法は、何週間または何ヶ月間に伸びてもよい。
【0071】
オレキシン−A(Sakurai,T.等(1998)Cell、92 573〜585頁)は、オレキシン−1またはオレキシン−2受容体のリガンドの活性化を阻害する化合物のスクリーニング法に使用することができる。
【0072】
一般に、このようなスクリーニング法は、表面上にオレキシン−1またはオレキシン−2受容体を発現する適当な細胞を提供するステップを含む。このような細胞には、哺乳動物、酵母、ショウジョウバエまたは大腸菌からの細胞が含まれる。特に、オレキシン−1またはオレキシン−2受容体をコードするポリヌクレオチドは、細胞に形質移入して受容体を発現させるために使用する。次いで、発現した受容体を、必要に応じて、試験化合物およびオレキシン−1またはオレキシン−2受容体リガンドと接触させて、機能的反応の阻害を観察する。このような1つのスクリーニング法は、WO92/01810に記載のように、オレキシン−1またはオレキシン−2受容体を発現させるために形質移入されるメラニン保有細胞の使用を含む。
【0073】
別のスクリーニング法は、一過性に受容体を発現させるためにオレキシン−1またはオレキシン−2受容体をコードするRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に導入するステップを含む。次いで、受容体卵母細胞を、受容体リガンドおよび試験化合物と接触させ、引き続いて、リガンドにより受容体の活性化を阻害すると考えられている化合物のスクリーニングの場合には、シグナルの阻害を検出する。
【0074】
別の方法は、表面上にオレキシン−1またはオレキシン−2受容体を(必要に応じて)有する細胞への標識オレキシン−1またはオレキシン−2受容体リガンドの結合の阻害を測定することによる、受容体の活性化を阻害する化合物のスクリーニングを含む。この方法は、細胞がその表面上に受容体を発現するようにオレキシン−1またはオレキシン−2受容体をコードするDNAを真核細胞に形質移入し、標識形態のオレキシン−1またはオレキシン−2受容体リガンドの存在下で細胞または細胞膜調製物を化合物と接触させるステップを含む。リガンドは、放射性標識を含有し得る。受容体に結合した標識リガンドの量は、例えば、放射能を測定することにより測定される。
【0075】
さらに別のスクリーニング法は、必要に応じてオレキシン−1またはオレキシン−2受容体リガンドとオレキシン−1またはオレキシン−2受容体との相互作用に影響を及ぼすことにより、細胞内カルシウムイオンまたは他のイオンの動員を阻害する試験化合物の高処理スクリーニング系のためのFLIPR装置の使用を含む。
【0076】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「comprise」という語、ならびに「comprises」および「comprising」などの変化は、既定の整数または工程または整数の群を含むことを意味するものであるが、その他の整数または工程または整数もしくは工程の群を除くことを意味するものではないことが理解されよう。
【0077】
本明細書で引用される、特許および特許出願を含むがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかのように、具体的かつ個別的に参照により本明細書に組み込まれることが明示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
以下の実施例は、特定の式(I)によって表される化合物またはその塩の調製を説明する。記載例1〜26は、式(I)によって表される化合物またはその塩を製造するために使用される中間体の調製を説明する。
【0079】
以下の方法では、典型的には、各出発物質の後に、記載例への言及がなされる。これは、単に当業化学者を支援するためになされている。出発物質は、必ずしも言及した記載例から調製されたわけではないかもしれない。
【0080】
収率は、特に明記しない限り、生成物が純度100%であると仮定して計算した。
【0081】
記載例および実施例の化合物の立体化学は、キラル中間体1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD3が合成される記載例から絶対配置が維持されると仮定して特定された。
【0082】
化合物は、ACD/Name PRO6.02化合物命名ソフトウェア(Advanced Chemistry Development Inc.、Toronto、Ontario、M5H2L3、カナダ)を使用して命名する。
【0083】
陽子磁気共鳴(NMR)スペクトルは、400、500もしくは600MHzのVarian機器、または400MHzのBruker機器のいずれかで記録した。化学シフトは、内部標準として残留溶媒系を使用してppm(δ)で記録する。分裂パターンは、s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット;b、ブロードとして作成する。NMRスペクトルは、25〜90℃にわたる温度で記録した。2つ以上の配座異性体が検出された場合、最も豊富なものの化学シフトが通常報告される。
【0084】
特に指定しない限り、HPLC(walk−up):rt(保持時間)=x分により示されるHPLC分析は、Luna 3u C18(2)100Aカラム(50x2.0mm、粒径3μm)[移動相および勾配:100%(水+0.05%TFA)〜95%(アセトニトリル+0.05%TFA)で8分。カラムT=40℃。流速=1mL/分。UV検出波長=220nm]を使用してAgilent 1100シリーズ機器で行った。HPLC(walk−up、3分法)により示される他のHPLC分析は、Agilent Zorbax SB−C18カラム(50x3.0mm、粒径1.8μm)[移動相および勾配:100%(水+0.05%TFA)〜95%(アセトニトリル+0.05%TFA)で2.5分、0.5分保持。カラムT=60℃。流速=1.5mL/分。UV検出波長=220nm]を使用して行った。
【0085】
記載の化合物の分析的特性評価において、「MS」は、直接注入質量スペクトルにより取得される質量スペクトルまたはUPLC/MSもしくはHPLC/MS分析により取得されるピークに付随する質量スペクトルを指し、ここで使用する質量分析計は以下に記載の通りである。
【0086】
直接注入質量スペクトル(MS)は、ES(+)およびES(−)イオン化モード[ES(+):質量範囲:100〜1000amu。注入溶媒:水+0.1%HCOH/CHCN50/50。ES(−):質量範囲:100〜1000amu。注入溶媒:水+0.05%NHOH/CHCN50/50]で作動するAgilent MSD 1100質量分析計で実行した。
【0087】
ピークに付随するMSおよびUVスペクトルは、正または負のエレクトロスプレーイオン化モードならびに酸性および塩基性勾配条件の両条件で作動するHPLC機器Agilent 1100シリーズと連結したAgilent LC/MSD 1100質量分析計で取得した[酸性勾配LC/MS−ES(+または−):Supelcosil ABZ+Plusカラム(33x4.6mm、3μm)で行われた分析。移動相:A−水+0.1%HCOH/B−CHCN。勾配(標準法):t=0分 0%(B)、5分で1.5分間続く0%(B)から95%(B)、0.1分で95%(B)から0%(B)、停止時間8.5分。カラムT=室温。流速=1mL/分。勾配(高速法):t=0分 0%(B)、3分で1分間続く0%(B)から95%(B)、0.1分で95%(B)から0%(B)、停止時間4.5分。カラムT=室温。流速=2mL/分。
塩基性LC/MS−ES(+または−):XTerra MS C18カラム(30x4.6mm、2.5μm)で行われた分析。移動相:A−5mM NHHCO水溶液+アンモニア(pH10)/B−CHCN。勾配:t=0分 0%(B)、0.4分で0%(B)から50%(B)、3.6分で1分間続く50%(B)から95%(B)、0.1分で95%(B)から0%(B)、停止時間5.8分。カラム温度=室温。流速=1.5mL/分]。質量範囲ES(+または−):100〜1000amu。UV検出範囲:220〜350nm。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「LC−MS」で示される。
【0088】
ピークに付随するMSおよびUVスペクトルと共に全イオン電流(TIC)およびDAD UVクロマトグラフィートレースを、2996 PDA検出器を備え、正または負のエレクトロスプレーイオン化モードで作動するWaters Micromass ZQ(商標)質量分析計と連結したUPLC/MS Acquity(商標)システムで取得した[LC/MS−ES(+または−):Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x21mm、粒径1.7μm)、カラム温度40℃を使用して行われた分析。移動相:A−水+0.1%HCOOH/B−CHCN+0.075%HCOOH、流速:1.0mL/分、勾配:t=0分 3%B、t=0.05分 6%B、t=0.57分 70%B、t=1.4分 99%B、t=1.45分 3%B)]。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「UPLC」で示される。
[LC/MS−ES(+または−):Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x2.1mm、粒径1.7μm)、カラム温度40℃を使用して行われた分析。移動相:A−水+0.1%HCOH/B−CHCN+0.06%または0.1%HCOH。勾配:t=0分 3%B、t=1.5分 100%B、t=1.9分 100%B、t=2分 3%B 停止時間2分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amuまたはES(+):50〜800amu。ES(−):100〜800amu。UV検出範囲:210〜350nm。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「UPLC(酸性IPQC)」で示される。
[LC/MS−ES(+または−):Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x2.1mm、粒径1.7μm)、カラム温度40℃を使用して行われた分析。移動相:A−水+0.1%HCOH/B−CHCN+0.06%または0.1%HCOH。勾配:t=0分 3%B、t=0.05分 6%B、t=0.57分 70%B、t=1.06分 0.389分間続く99%B、t=1.45分 3%B、停止時間1.5分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amuまたはES(+):50〜800amu。ES(−):100〜800amu。UV検出範囲:210〜350nm。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「UPLC(酸性QC_POS_50〜800またはGEN_QCまたはFINAL_QC)」で示される。
[LC/MS−ES(+または−):Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x2.1mm、粒径1.7μm)、カラム温度40℃を使用して行われた分析。移動相:A−水+0.1%HCOH/B−CHCN+0.06%または0.1%HCOH。勾配:t=0分 3%B、t=1.06分 99%B、t=1.45分 99%B、t=1.46分 3%B、停止時間1.5分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amu。ES(−):100〜800amu。UV検出範囲:210〜350nm。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「UPLC(酸性GEN_QC_SS)」で示される。
【0089】
ピークに付随するMSおよびUVスペクトルと共に全イオン電流(TIC)およびDAD UVクロマトグラフィートレースを、PDA検出器を備え、正および負の交互エレクトロスプレーイオン化モードで作動するWaters SQD質量分析計と連結したUPLC/MS Acquity(商標)システムで取得した[LC/MS−ES(+または−):Acquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x2.1mm、粒径1.7μm)、カラム温度40℃を使用して行われた分析。移動相:A−NHHCOの10mM水溶液(アンモニアでpH10に調整)/B−CHCN。勾配:t=0分 3%B、t=1.06分 0.39分間続く99%B、t=1.46分 3%B、停止時間1.5分。カラムT=40℃。流速=1.0mL/分。質量範囲:ES(+):100〜1000amuまたはES(+):50〜800amu。ES(−):100〜1000amu。UV検出範囲:220〜350nm。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「UPLC(塩基性GEN_QCまたはQC_POS_50〜800)」で示される。
【0090】
特に指定しない限り、分取LC−MS精製は、MDAP(質量検出器自動精製)Waters機器(MDAP FractionLynx)で実行した。[LC/MS−ES(+):Gemini C18 AXIAカラム(50x21mm、粒径5μm)を使用して行われた分析。移動相:A−NHHCO溶液 10mM、pH10;B−CHCN。流速:17mL/分。勾配は、その都度特定されるだろう。]
【0091】
分取LC−MS精製はまた、MDAP(質量検出器自動精製)Waters機器でも実行した。この方法論の使用は、記載の化合物の分析的特性評価において「Fracion Lynx」で示される。
【0092】
マイクロ波照射を伴う反応のために、Personal Chemistry EmrysTM Optmizerを使用した。
【0093】
いくつかの調製においては、Biotage手動フラッシュクロマトグラフィー(Flash+)、Biotage自動フラッシュクロマトグラフィー(Horizon、SP1およびSP4)、Companion CombiFlash(ISCO)自動フラッシュクロマトグラフィー、Flash Master PersonalまたはVec Masterシステムを使用して精製を行った。
【0094】
シリカゲル230〜400メッシュ(Merk AG Darmstadt、ドイツが供給)、Varian Mega Be−Siプレパックカートリッジ、プレパックBiotageシリカカートリッジ(例えば、Biotage SNAPカートリッジ)、KP−NHプレパックフラッシュカートリッジまたはISCO RediSep Silicaカートリッジでフラッシュクロマトグラフィーを行った。
【0095】
SPE−SCXカートリッジは、Varianが供給するイオン交換固相抽出カラムである。SPE−SCXカートリッジと使用する溶出液は、DCMおよびMeOHまたはMeOHのみ、引き続いてMeOH中2Nアンモニア溶液である。回収する分画は、MeOH中アンモニア溶液で溶出するものである。
【0096】
SPE−Siカートリッジは、Varianが供給するシリカ固相抽出カラムである。
【0097】
以下の表は、使用する略語を列挙する。
AcCl 塩化アセチル
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
atm 雰囲気
bs ブロードシグナル
Boc t−ブトキシカルボニル
BnNH ベンジルアミン
n−BuLi n−ブチルリチウム
s−BuLi s−ブチルリチウム
CV カラム体積
Cy シクロヘキサン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピル−N−エチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
eq. 当量
MeOH メタノール
OAc アセトキシ
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THA テトラヒドロフラン
TMEDA N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
【0098】
記載例
記載例1:(2S)−ヒドロキシ(フェニル)エタン酸−(3S)−3−メチルピペリジン(1:1)(D1)
【化3】

【0099】
10L反応器中、窒素雰囲気下で、MeOH(1L)中ラセミ3−メチルピペリジン(270g、2.72mol)および(S)−(+)−マンデル酸(394g、2.59mol)の溶液を0℃に冷却した。攪拌せずに、EtO(6.21L)を数回に分けて添加した:20分毎に(10x540ml)および最後の添加から30分後に810ml。各々のEtO添加後に、短時間ゆっくり攪拌して、均一な相を得た。最終的なスラリーを一晩0℃で静置した。沈殿した固体を、濾過により回収し、冷EtO(2x540ml)で洗浄し、真空下で乾燥させて、標記化合物D1を得た(150g、0.60mol、収率23%)[光学純度(94%)は、Mosherアミド誘導体の調製により決定した。NMR分光法により決定したMosherアミドのジアステレオマー過剰率は、前駆物質のエナンチオマー過剰率を表す]。H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):7.43〜7.50(m、2H)、7.20〜7.34(m、3H)、4.89(s、1H)、2.89〜3.05(m、2H)、2.17(dt、1H)、2.06(t、1H)、1.39〜1.73(m、4H)、0.83〜0.98(m、1H)、0.80(d、3H)。
【0100】
記載例2:1,1−ジメチルエチル(3S)−3−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D2)
【化4】

【0101】
0℃で冷却した2.5M NaOH水溶液(600ml、1.50mol)中(2S)−ヒドロキシ(フェニル)エタン酸−(3S)−3−メチルピペリジン(1:1)D1(150g、0.60mol)の混合物に、THF(1.2L)中BocO(130g、0.60mol)の溶液を、激しい撹拌下で、1時間にわたって(内部温度を9℃未満に維持して)滴加した。いったん添加が完了したら、混合物を室温まで到達させ、一晩撹拌下で放置した。揮発性物質を蒸発させ、水相をEtO(3x500ml)で抽出した。回収した有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮乾固した。得られた粗製物質を、シリカゲルパッドを通して溶出し(Cy/EtOAc90/10)、標記化合物D2を得た(103g、0.52mol。収率87%)。MS:(ES/+)m/z:200(M+1)。C1121NO理論値199。H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):3.95(bd、2H)、2.70(dt、1H)、2.21〜2.55(m、1H)、1.73〜1.86(m、1H)、1.51〜1.68(m、3H)、1.47(s、9H)、0.96〜1.12(m、1H)、0.88(d、3H)。
【0102】
記載例3:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D3)
【化5】

【0103】
窒素雰囲気下、−78℃で冷却した無水EtO(250ml)中1,1−ジメチルエチル(3S)−3−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D2)(25g、0.13mol)の溶液に、TMEDA(22.6ml、0.15mol)を添加し、引き続いて、40分間にわたってs−BuLi(Cy中1.4M溶液108ml、0.15mol)を滴加した(発熱添加:内部温度を−70℃未満に維持した)。淡黄色反応混合物を−78℃で30分間、撹拌下で放置し、次いで、徐々に−50℃まで加温し、この温度で30分間撹拌した。反応物を再度−78℃に冷却し、次いで、TMADA(さらに0.3当量)を添加し、引き続いて、s−BuLi(さらに0.3当量)を滴加した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、徐々に−50℃まで加温し、この温度で30分間撹拌し、次いで、−78℃に冷却した。乾燥DMF(29.1ml、0.38mol)を滴加した(内部温度を−70℃未満に維持した)。得られた混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで、0℃まで加温させた。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(200ml)および水(100ml)でクエンチした。層を分離し、水相をEtO(3x200ml)で逆抽出した。有機相を回収し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空下で濃縮して、粗製黄色油を得た。物質をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(Biotage 75Lカラム、Cy/EtOAc90/10)。回収した分画は、標記化合物D3を与えた(15g、0.066mol、収率53%)。
【0104】
H NMR[化合物の相対立体化学を、NMR分光法により測定した。1Hスペクトルは、化合物が、C=O基の回転障害のために2種のゆっくり交換する配座異性体の混合物をもたらすことを示している。1H,1Hスカラーカップリング[J(H3,H2)約5HzおよびJ(H6ax,H5ax)約12Hz]ならびにH7とH4axとの間の1H,1H双極子双極子相関は、六員環が、エクアトリアル位のH2およびアキシアル位のH5を有するいす型配座を有することを決定する。そのため、相対立体化学は、SYNである。ANTI立体異性体は、約25%存在する。2種のジアステレオ異性体間の比は、各々のジアステレオ異性体のH7プロトンシグナルの積分間の比に基づいて決定した。絶対配置は、D2の絶対配置が保持されると仮定して、2S,5Sである。割当は、SYN異性体に言及する](400MHz、DMSO−d)δ(ppm):9.53(d、1H)、4.53〜4.72(m、1H)、3.73〜3.91(m、1H)、2.39(t、1H)、2.16〜2.27(m、1H)、1.52〜1.72(m、3H)、1.40(s、9H)、0.80(d、3H)、0.68〜0.77(m、1H)。
【0105】
記載例4:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシラート(D4)
【化6】

【0106】
DCM(5ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD3(0.45g、1.98mmol)およびベンジルアミン(0.24ml、2.18mmol)の溶液を、室温で窒素下2時間、撹拌下で放置した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.84g、3.96mmol)を添加し、得られた溶液を室温で一晩、撹拌下で放置した。混合物を水およびDCMで希釈した。2層を分離し、水相をDCMで数回抽出した。合わせた有機層を、相分離管を通して濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗製物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(Biotage SP4 40M、Cy/EtOAc80/20から20/80)、標記化合物D4(0.37g、1.16mmol、収率59%)を得た。HPLC(walk−up):rt=3.86分。
【0107】
H NMR[SYN相対立体化学は、1H,1Hスカラーカップリングネットワークから導き出される。配座異性体の混合物は、C=O基の回転障害のために、溶液中でゆっくり交換する。](400MHz、CDCl)δ(ppm):7.31〜7.36(m、4H)、7.23〜7.27(m、1H)、4.23〜4.49(m、1H)、3.70〜4.09(m、1H)、3.87(d、1H)、3.79(d、1H)、2.89(dd、1H)、2.62(dd、1H)、2.21〜2.39(m、1H)、1.53〜1.75(m、4H)、1.47(s、9H)、1.06〜1.18(m、1H)、0.87(d、3H)。
【0108】
記載例5:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D5):
【化7】

【0109】
MeOH(5ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシラートD4(0.37g、1.16mmol)およびPd(OH)/炭素(0.011g)の混合物を、水素雰囲気下(1atm)27時間撹拌した。さらなるPd(OH)/炭素(0.011g)を添加し、得られた混合物を水素雰囲気下(1atm)7時間、撹拌下で放置した。混合物を、セライトパッドを通して濾過し、溶媒を真空下で蒸発させて、黄色油として標記化合物D5(0.24g、1.05mmol、収率91%)を得た。MS:(ES/+)m/z:229(M+1)。C1224理論値228。H NMR[SYN相対立体化学は、1H,1Hスカラーカップリングネットワークから導き出される。配座異性体の混合物は、C=O基の回転障害のために、溶液中でゆっくり交換する。](400MHz、CDCl)δ(ppm):3.75〜4.31(m、2H)、2.84〜2.99(m、1H)、2.61〜2.71(m、1H)、2.24〜2.42(m、1H)、1.50〜1.72(m、4H)、1.48(s、9H)、1.07〜1.22(m、1H)、0.89(d、3H)。
【0110】
記載例6:2,2,2−トリフルオロ−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}アセトアミド(D6)
【化8】

【0111】
0℃の乾燥DCM(15ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(1g、4.38mmol)およびTEA(1.526ml、10.95mmol)の撹拌溶液に、DCM(5ml)中無水トリフルオロ酢酸(0.619ml、4.38mmol)の溶液を滴加し、次いで、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、TFA(3ml、38.9mmol)を滴加し、次いで、混合物を1.5時間撹拌したままにした。TFA3mlを添加し、撹拌を2時間続けた。混合物を減圧下で濃縮し、粗製物をSCXカートリッジ(25g)に通して、黄色油として標記化合物D6(750mg、3.34mmol、収率76%)N12015−11−2を得た。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.33分、観察されたピーク:225(M+1)。C15O理論値224。
【0112】
記載例7:2,2,2−トリフルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]アセトアミド(D7)
【化9】

【0113】
乾燥DMF(10ml)中6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボン酸D11(1.96g、2.73mmol)の懸濁液に、DIPEA(0.716ml、4.10mmol)およびTBTU(1.053g、3.28mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで、DMF(4ml)中2,2,2−トリフルオロ−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}アセトアミドD6(0.613g、2.73mmol)N12015−11−2の溶液を添加し、黒色混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をAcOEtで希釈し、水で洗浄した;有機相を乾燥させ、蒸発させて、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(KP−Sil SNAP50gカラム、DCM/MeOH95:5で溶出)、紫色油として標記化合物D7(356mg、0.845mmol、収率30.9%)を得た。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.76分、観察されたピーク:422(M+1)。C2022理論値421。
【0114】
記載例8:[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]アミン(D8)
【化10】

【0115】
MeOH(12ml)および水(2.400ml)の混合液中2,2,2−トリフルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]アセトアミドD7(350mg、0.831mmol)の溶液に、炭酸カリウム(230mg、1.661mmol)を添加し、黄色溶液を60℃で1.5時間攪拌した。MeOHを減圧下で蒸発させ、水性残渣を約pH5まで酸性化し、逆相カートリッジに充填して(C18 50gカラム、HOで洗浄およびMeOHで溶出)、黄色油として標記化合物D8(260mg、0.799mmol、収率96%)N12015−18−1を得て、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt1=0.42分およびrt2=0.49分(回転異性体が存在する)、観察されたピーク:326(M+1)。C1823O理論値325。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δppm:0.95(d、3H)、1.17〜2.07(m、5H)、2.46〜2.63(m、1H)、2.57(s、3H)、2.90〜3.53(m、3H)、3.90〜4.04(m、1H)、4.27〜4.38(m、1H)、7.44〜7.58(m、2H)、7.77〜8.34(m、2H)、8.90(d、2H)。
【0116】
記載例9:3−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−6−メチル−2−ピリジンカルボニトリル(D9)
【化11】

【0117】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(3.49ml、20.52mmol)を、アルゴン下乾燥THF(25ml)に溶解し、−30℃で攪拌した;ヘキサン中BuLi(13.33ml、21.33mmol)1.6Mを5分間にわたって添加した(温度が、決して−25℃を超えないようにした)。黄色溶液を−30℃で20分間攪拌し、次いで、−78℃で冷却し、トリス(1−メチルエチル)ホウ酸塩(4.38ml、18.96mmol)を5分間にわたって添加した(温度が、決して−73℃を超えないようにした)。
【0118】
10分後、−78℃で、乾燥THF(14ml)に溶解した6−メチル−2−ピリジンカルボニトリル(2.0g、16.93mmol)を、内部温度を−73℃未満に維持しながら(20分間にわたって)滴加したところ、混合物は、暗褐色になった。混合物を−73℃で2時間攪拌した。混合物を、−73℃でAcOH(2.374ml、41.5mmol)を滴加することによりクエンチした(温度が、決して−60℃を超えないようにし、混合物は鮮やかなオレンジ色になった)。冷却浴を除去し、混合物を放置して室温に到達させた:この間、混合物は濃厚になり、よりよく攪拌するために新たなTHF(8ml)を添加しなければならなかった。混合物を室温で10分間攪拌し、次いで、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(2.409g、23.13mmol)を一回で添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。
【0119】
溶媒を蒸発させ、オレンジ色の残渣をDCM(100ml)およびKHPOの10%水溶液(100ml)に溶解した。相を分離し、水相をDCM(50ml)で逆抽出した。合わせた有機相をKHPOの10%水溶液(50ml)で洗浄した。DCMを蒸発させた。残渣をEtO(100ml)に溶解し、NaOH 0.05M(5x50ml、水相中のボロン酸エステル)で抽出した。水相を合わせて、KHPOの10%水溶液(50ml)でpHをpH=4とpH=5との間に調整した。このようにして得られた黄色溶液を、AcOEtで抽出した。合わせた全有機相を乾燥させ(NaSO)、蒸発させて、黄色油としてN11741−1−1の標記化合物D9 2.29gを得た。この黄色油は静置すると凝固した。C1215BN理論値230。H NMR(400MHz、CDCl)δppm:7.97〜8.15(m、1H)、7.31〜7.36(m、1H)、3.85(m、4H)、2.52〜2.73(s、3H)、0.97〜1.10(m、6H)。
【0120】
記載例10:6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボニトリル(D10)
【化12】

【0121】
A)イソプロピルマグネシウムクロリド−LiCl(37.9ml、36.5mmol)を、−70℃(内部温度)に冷却したTHF(150ml)中3−ブロモ−6−メチル−2−ピリジンカルボニトリル(4g、20.30mmol)の溶液に(全体として10分で)一部ずつ添加した。反応物を、15分間その温度に維持した。次いで、それを全体として1時間で穏やかに−40℃まで加温した。次いで、それを−78℃に冷却し、塩化亜鉛(3.32g、24.36mmol)を添加した。得られた混合物を1時間で室温まで加温した。Pd(PhP)(2.346g、2.030mmol)、2−クロロピリミジン(3g、26.2mmol)を添加し、出発クロロピリミジンが完全に消費されるまで(3時間)、混合物を還流した(外部温度100℃)。反応混合物を室温に冷却し、10℃に冷却した水(200ml)中に注ぎ入れた。次いで、それをEtOAcで抽出した。大量のコロイド物質および水を含有する、回収した有機相を、食塩水(200ml)で洗浄した。水相をグーチるつぼで濾過し、固体物質をさらなるEtOAcで洗浄した。回収した有機相をNaSOで一晩乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物質(7g)を得て、これを精製して(Biotage Sp1 25gプレカラムを備えた240g Silica Anolgixカラムを通して)、黄色固体(1.8g)として標記化合物D10 N11358−28−1を得た。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.58分、観察されたピーク:197(M+1)。C11理論値196。
【0122】
B)3−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−6−メチル−2−ピリジンカルボニトリルD9(50.6mg、0.220mmol)を、バイアル中窒素下で1,4−ジオキサン(1ml)に溶解し、次いで、2−ブロモピリミジン(42.0mg、0.264mmol)、CsF(67mg、0.441mmol)、Pd(PhP)(12mg、10.38μmol)およびCuI(7mg、0.037mmol)を順に添加した。次いで、バイアルの蓋をして、65℃で撹拌し、1時間後に溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtとNaHCO(飽和溶液、10ml)との間に分配した。相を分離し、水相をAcOEtで抽出した。有機分画を合わせて、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、オレンジ色油性残渣を得て、これを精製して(Biotage、Snap25gシリカゲルカラム、CyからAcOEt/Cy50:50)、淡黄色固体(27.6mg)として標記化合物D10 N11462−16−1を得た。
【0123】
記載例11:6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボン酸(D11)
【化13】

【0124】
A)6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボニトリルD10(0.8g、4.08mmol)を、80℃で3時間、6M HCl水溶液(40ml、240mmol)中で反応させ、次いで、溶媒を真空下で除去し、得られた粗製物を精製して(70g Varian C18カラム MeOH、次いで、水で調節、水中に充填、水で洗浄、生成物を100%MeOHで溶出した)、黄色固体として標記化合物D11(0.6g)N11358−34−1を得た。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.30分、観察されたピーク:216(M+1)。C11理論値217。H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:13.07(bs、1H)、8.78〜9.01(m、2H)、8.39(m、1H)、7.39〜7.67(m、2H)、2.56〜2.67(s、3H)。
【0125】
B)6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボニトリルD10(0.481g、2.451mmol)を、EtOH(5ml)に懸濁し、水(5ml)中NaOH(0.490g、12.26mmol)の溶液を添加した。黄色混合物を100℃で一晩撹拌した。黄色溶液を25℃に冷却し、HCl6M(1.0ml)をpH=4.5まで滴加した。溶媒を除去して黄色粉末の標記化合物D11を得て、これを50℃/真空で1.5時間乾燥させてN11741−4−1 1.242gを得た。
【0126】
記載例12:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラート(D12):
【化14】

【0127】
DMF(2ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(0.13g、0.57mmol)、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン(0.10g、0.57mmol)および炭酸カリウム(0.16g、1.14mmol)の混合物を80℃で5時間攪拌した。DMFを減圧下で除去した。残渣をDCMに溶解し、HOで洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(Biotage SP 25Mカラム、Cy/EtOAc80/20から60/40)、標記化合物D12(0.11g、0.29mmol、収率52%)を得た。UPLC:rt=0.92分、観察されたピーク:374(M+1)。C1826理論値373。
【0128】
記載例13:N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン(D13):
【化15】

【0129】
DCM(2ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラートD12(0.11g、0.29mmol)の溶液に、TFA(1ml)を添加し、反応混合物を室温で2時間、攪拌下で放置した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を、SCXカラムを通して溶出した。回収した分画から、標記化合物D13(0.068g、0.25mmol、収率86%)を得た。UPLC:rt=0.52分、観察されたピーク:274(M+1)。C1318理論値273。H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):8.33(s、1H)、7.55(dd、1H)、6.44(d、1H)、5.35〜5.55(bs、1H)、3.24〜3.50(m、2H)、2.85〜3.00(m、1H)、2.83(dd、1H)、2.65(dd、1H)、1.40〜1.78(m、5H)、0.99(d、3H)。
【0130】
記載例14:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(5−フルオロ−3−メチル−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D14)
【化16】

【0131】
DCE(20ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD3(975mg、3.65mmol)の溶液に、5−フルオロ−3−メチル−2−ピリジンアミン(552mg、4.38mmol)およびAcOH(1.044ml、18.23mmol)を添加した。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1273mg、6.01mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。DCMおよびNaHCO飽和水溶液を添加し、得られた混合物を約pH8までNaHCOにより塩基性にした。水相をDCMで抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で蒸発させて茶色油を得て、これを(Biotage SP4 40Mカラム、Cy/EtOAc100/0から90/10)で精製して、標記化合物D14(950mg、2.82mmol、収率77%)、N2738−22−1を得た。UPLC:rt=0.80分、観察されたピーク:338(M+1)。C1828FN理論値337。
【0132】
記載例15:5−フルオロ−3−メチル−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−2−ピリジンアミン(D15)
【化17】

【0133】
DCM(20ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(5−フルオロ−3−メチル−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD14(950mg、2.82mmol)の氷冷溶液に、TFA(5ml、64.9mmol)を添加し、得られた混合物を室温に加温し、1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製物を、SCX(20g)を通して精製して、標記化合物D15(600mg、2.275mmol、収率81%)、N2738−23−1を得て、これをさらに精製することなく使用した。HPLC(walk up):rt=3.18分。C1320FN理論値237。H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:7.90〜8.06(m、1H)、7.30〜7.47(m、1H)、6.48〜6.60(m、1H)、5.70〜5.75(m、1H)、3.15〜3.5(m、2H)、2.65〜2.80(m、1H)、2.50〜2.65(m、2H)、2.07(s、3H)、1.30〜1.75(m、5H)、0.97(m、3H)。
【0134】
記載例16:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(5−フルオロ−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D16)
【化18】

【0135】
窒素下乾燥DCE中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD3(122mg、0.537mmol)および5−フルオロ−2−ピリジンアミン(72.2mg、0.644mmol)の混合物に、一滴のAcOHを添加し、次いで、室温で30分間攪拌した。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(228mg、1.073mmol)を添加し、得られた反応混合物を3時間攪拌し、NaHCO(飽和水溶液)でクエンチして、DCMで抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。粗製生成物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(20gカラム、DCM/MeOH99.5:0.5から99:1の勾配で溶出)、標記化合物D16(61mg、0.189mmol、収率35.1%)を得た。UPLC(酸性FINAL_QC):rt=0.72分、観察されたピーク:324(M+1)。C1726FN理論値323。
【0136】
記載例17:5−フルオロ−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−2−ピリジンアミン(D17)
【化19】

【0137】
DCM(2ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(5−フルオロ−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD16(61mg、0.189mmol)の溶液に、TFA(0.145ml、1.886mmol)を添加し、得られた混合物を室温で攪拌した。2時間後、揮発性物質を真空下で除去し、残渣をSCXにより精製して、標記化合物D17を得た(40mg、0.179mmol、収率95%)。
UPLC(酸性FINAL_QC):rt=0.40分、観察されたピーク:224(M+1)。C1218FN理論値223。H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:7.90〜8.06(m、1H)、7.30〜7.47(m、1H)、6.48〜6.60(m、1H)、3.15〜3.26(m、3H)、2.65〜2.80(m、2H)、2.55〜2.64(m、1H)、1.61〜1.75(m、1H)、1.30〜1.59(m、4H)、0.97(m、3H)。
【0138】
記載例18:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D18)
【化20】

【0139】
DCM(4ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−ホルミル−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD3(250mg、1.100mmol)および3,5−ジフルオロ−2−ピリジンアミン(172mg、1.230mmol)の溶液に、AcOH(0.315ml、5.50mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(466mg、2.200mmol)を一部ずつ添加し、一晩攪拌した。DCMおよびNaCO飽和水溶液を添加し、次いで、pHが8を超えるまで粒状NaCOを添加した。水相をDCMで抽出し、回収した有機層を、相分離器カートリッジを通して濾過した。得られた粗製物を精製した(Biotage SP4、シリカ、カラムサイズ25+M;Cy/EtOAc1:0から9:1で溶出)。標記化合物D18(136mg、0.398mmol、収率36.2%)、N2738−51−1、GSK2119147Aが無色油として得られた。HPLC(walk up):rt=6.22分。C1725理論値341。(ES/+)m/z:342(M+1)。
【0140】
記載例19:3,5−ジフルオロ−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−2−ピリジンアミン(D19)
【化21】

【0141】
DCM(4ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD18(136mg、0.398mmol)の溶液に、TFA(1ml、12.98mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた粗製物を、SCX(5g)を通して精製して、黄色油として標記化合物D19(85.5mg、0.312mmol、収率78%)、N2738−54−1を得て、これをさらに精製することなく使用した。HPLC(walk up):rt=2.83分。C1217理論値241。(ES/+)m/z:242(M+1)。
【0142】
記載例20:3,5−ジフルオロ−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−2−ピリジンアミン(D20)
【化22】

【0143】
乾燥DMF(3ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(150mg、0.657mmol)N7751−58−2、炭酸カリウム(182mg、1.314mmol)および2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(119mg、0.723mmol)の懸濁液を、80℃で一晩振盪した。冷却後、混合物をEtOで希釈し、水で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発させ、粗製物をシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(KP−Sil SNAP10gカラム Cy/AcOEt10:0から1:1で溶出)、1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラート(Boc−中間体)(240mg)を得て、これを乾燥DCM(4ml)に溶解し、TFA(1ml、12.98mmol)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間攪拌した。
【0144】
混合物を濃縮し、粗製物をSCXカートリッジ(2g)に通して、淡黄色油として標記化合物D20(150mg、0.549mmol、収率84%)N12015−12−2を得た。UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.56分、観察されたピーク:274(M+1)。C1318理論値273。H NMR(400MHz、CDCl)δppm:1.00(d、3H)、1.39〜1.78(m、5H)、2.65(dd、1H)、2.83(dd、1H)、2.89〜3.00(m、1H)、3.22〜3.48(m、2H)、5.27〜5.44(m、1H)、6.60(s、1H)、6.72(d、1H)、8.21(d、1H)。
【0145】
記載例21:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラート(D21)
【化23】

【0146】
乾燥DMF(3ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(100mg、0.438mmol)N10902−100−1、炭酸カリウム(121mg、0.876mmol)および2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン(96mg、0.526mmol)の懸濁液を、80℃で一晩振盪した。冷却後、混合物をEtOで希釈し、水で洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発させ、粗製物をシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(SNAP 10gカラム Cy/AcOEt7:3で溶出)、標記化合物D21(120mg、0.321mmol、収率73.2%)N12015−4−1を得た。UPLC(塩基性GEN_QC):rt=1.03分、観察されたピーク:375(M+1)。C1725理論値374。
【0147】
記載例22:N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジンアミン(D22)
【化24】

【0148】
0℃の乾燥DCM(4ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラートD21(120mg、0.321mmol)の攪拌溶液に、TFA(1ml、12.98mmol)を滴加し、次いで、混合物を室温で1時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、粗製物をSCXカートリッジ(5g)に通して、白色固体として標記化合物D22(80mg、0.292mmol、収率91%)N12015−6−1を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δppm:1.00(d、3H)、1.39〜1.83(m、5H)、2.59〜2.70(m、1H)、2.82(dd、1H)、2.89〜3.00(m、1H)、3.35〜3.65(m、2H)、5.84〜6.47(m、1H)、8.16〜8.81(m、2H)。
【0149】
記載例23:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラート(D23)
【化25】

【0150】
乾燥DMF(3ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(100mg、0.438mmol)N10902−100−1、炭酸カリウム(121mg、0.876mmol)および3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリダジン(96mg、0.526mmol)の懸濁液を、80℃で2時間振盪した。0.5当量の3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリダジンを添加し、混合物を1時間振盪した。冷却後、混合物をEtOで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥させ、蒸発させ、粗製物をシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(SNAP10gカラム Cy/AcOEt7:3で溶出)、標記化合物D23(50mg、0.134mmol、収率30.5%)N12015−5−1を回収した。UPLC(塩基性GEN_QC):rt=0.92分、観察されたピーク:375(M+1)。C1725理論値374。
【0151】
記載例24:N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジンアミン(D24)
【化26】

【0152】
0℃の乾燥DCM(2ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−5−メチル−2−({[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジニル]アミノ}メチル)−1−ピペリジンカルボキシラートD23(50mg、0.134mmol)の攪拌溶液に、TFA(0.5ml、6.49mmol)を滴加し、次いで、混合物を室温で2時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた粗製物をSCXカートリッジ(5g)に通して、黄色油として標記化合物D24(32mg、0.117mmol、収率87%)N12015−9−1を得た。
UPLC(塩基性GEN_QC):rt=0.56分、観察されたピーク:275(M+1)。C1318理論値274。H NMR(400MHz、CDCl)δppm:0.98(d、3H)、1.37〜1.77(m、5H)、2.62(dd、1H)、2.81(dd、1H)、2.91〜3.06(m、1H)、3.35〜3.68(m、2H)、5.88〜6.05(m、1H)、6.72(d、1H)、7.40(d、1H)。
【0153】
記載例25:1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(4,6−ジメチル−2−ピリミジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラート(D25)
【化27】

【0154】
50丸底フラスコ中、室温、窒素下で、1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−(アミノメチル)−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD5(200mg、0.876mmol)および2−クロロ−4,6−ジメチルピリミジン(125mg、0.876mmol)を乾燥DMSO(3ml)に溶解して、淡黄色溶液を得た。次いで、DIPEA(0.153ml、0.876mmol)を添加し、次いで、得られた混合物を120℃で7時間加熱した:溶液は暗黄色になった。混合物を室温まで冷却させた。内部温度を25℃未満に維持しながら、NHClの飽和溶液を慎重に添加した。次いで、混合物をEtOで希釈し、相を分離した。水相をEtOで逆抽出し(3回)、回収した有機相を真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、標記化合物D25(177mg、0.529mmol、収率60.4%)が得られた。UPLC(酸性GEN_QC):rt=0.64分、観察されたピーク:335(M+1)。C1830理論値334。
【0155】
記載例26:4,6−ジメチル−N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−2−ピリミジンアミン(D26)
【化28】

【0156】
DCM(5ml)中1,1−ジメチルエチル(2S,5S)−2−{[(4,6−ジメチル−2−ピリミジニル)アミノ]メチル}−5−メチル−1−ピペリジンカルボキシラートD25(177mg、0.529mmol)の溶液に、TFA(0.408ml、5.29mmol)を添加し、得られた混合物を室温で攪拌した。1時間後、揮発性物質を真空下で除去し、残渣をSCXにより精製して、標記化合物D26(120mg、0.512mmol、収率97%)N11425−30−1を得た。UPLC(酸性GEN_QC):rt=0.37分、観察されたピーク:235(M+1)。C1322理論値234。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δppm:0.94(d、3H)、1.25〜1.68(m、5H)、2.17(s、6H)、2.52〜2.76(m、3H)、3.21〜3.35(m、2H)、6.32(s、1H)、6.71(t、1H)。
【実施例】
【0157】
実施例1:N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン(E1)
【化29】

【0158】
窒素下室温のDMF(2ml)中6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボン酸D11(10.39mg、0.048mmol)の溶液に、DIPEA(0.015ml、0.088mmol)およびTBTU(15.51mg、0.048mmol)を添加した。反応混合物を30分間攪拌した後、N−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミンD13(12mg、0.044mmol)を添加した。2.5時間後、反応物をNaHCO飽和水溶液でクエンチし、DCMで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物E1(8.8mg、0.019mmol、収率42.6%)を得た。UPLC(方法:酸性FINAL_QC):rt1=0.72分およびrt2=0.76分(回転異性体が存在する)、観察されたピーク:471(M+1)。C2425O理論値470。H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm:8.87〜8.91(m、2H)、8.40(d、1H)、8.00〜8.12(m、1H)、7.53〜7.61(m、1H)、7.32〜7.51(m、3H)、6.39〜6.52(m、1H)、4.33〜4.42(m、1H)、3.78〜3.91(m、1H)、3.64〜3.76(m、1H)、3.36〜3.45(m、1H)、2.45〜2.51(m、4H)、1.30〜1.72(m、5H)、0.96(d、3H)。
【0159】
以下の化合物は、実施例1について記載したものと同様の手順を使用して調製した(いくつかの実施例では、試薬を添加する順序を変え、使用する溶媒をDMFの代わりにDCMとした)。各々の化合物は、適当なN−{[(2S,5S)−5−メチル−2−ピペリジニル]メチル}−ヘテロアリールアミンと6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジンカルボン酸D11とのアミドカップリングにより得た。これは、単に当業化学者を支援するために提供されている。出発物質は、必ずしも言及したバッチから調製されたわけではないかもしれない。
【表1】




【0160】
実施例9:N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン(E9)
【化30】

【0161】
乾燥DMF(1.5ml)中[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]アミンD8(35mg、0.108mmol)および炭酸カリウム(29.7mg、0.215mmol)の懸濁液に、DMF(0.5ml)中2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン(21.31mg、0.129mmol)の溶液を添加し、混合物を70℃で一晩振盪した。冷却後、混合物をAcOEtで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発させて、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(KP−シリカ SNAP10gカラム、AcOEt100%で溶出)、白色固体として標記化合物E9(18mg、0.038mmol、収率35.6%)N12015−22−1を得た。
UPLC(酸性GEN_QC_SS):rt=0.89分、観察されたピーク:471(M+1)。C2427FNO理論値470。
H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm:0.69(d、2H)、0.94(d、3H)、1.20〜1.32(m、1H)、1.33〜1.49(m、4H)、1.49〜1.60(m、3H)、1.64(br.s.、1H)、1.77(br.s.、1H)、2.37〜2.47(m、4H)、2.52〜2.55(m、2H)、2.65〜2.70(m、1H)、2.80〜2.91(m、1H)、3.13(br.s.、1H)、3.31(s、4H)、3.39〜3.49(m、1H)、3.67〜3.89(m、2H)、3.91〜4.03(m、1H)、4.38(br.s.、1H)、4.96(br.s.、1H)、6.47(br.s.、1H)、6.50〜6.62(m、2H)、6.69(dd、1H)、7.34〜7.48(m、3H)、7.63〜7.70(m、1H)、7.71〜7.85(m、2H)、8.31(d、1H)、8.43(t、2H)、8.77(d、1H)、8.83〜8.90(m、2H)。
【0162】
以下の化合物は、実施例9について記載したものと同様の手順を使用して調製した。各々の化合物は、[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]アミンD8を適当なハロ誘導体と反応させることにより得た。これは、単に当業化学者を支援するために提供されている。出発物質は、必ずしも言及したバッチから調製されたわけではないかもしれない。
【表2】

【0163】
実施例12:FLIPRを使用するヒトオレキシン−1および2受容体でのアンタゴニストアフィニティーの測定
細胞培養
組換えヒトオレキシン−1もしくはヒトオレキシン−2受容体を安定的に発現する接着チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または組換えラットオレキシン−1もしくはラットオレキシン−2受容体を安定的に発現するラット好塩基球性白血病細胞(RBL)を、10%非補体化ウシ胎児血清(Life Technologies、カタログ番号10106−078)および400μg/mLジェネテシンG418(Calbiochem、カタログ番号345810)を追加したアルファ最小必須培地(Gibco/Invitrogen、カタログ番号;22571〜020)の培養液中で維持した。細胞を、95%:5%空気:CO下37℃で、単層として成長させた。
【0164】
本実施例で使用するヒトオレキシン1、ヒトオレキシン2、ラットオレキシン1およびラットオレキシン2受容体の配列は、Sakurai,T.等(1998)Cell、92 573〜585頁中に公開されたとおりであった。
【0165】
FLIPR(商標)を使用する[Ca2+の測定
細胞を、上記の培地中黒色透明底384ウェルプレートに播種し(1ウェル当たり細胞20000個の密度)、一晩維持した(95%:5%空気:CO、37℃)。実験日に、培地を廃棄し、細胞をプロベネシド2.5mMとともに添加される標準緩衝液(NaCl、145mM;KCl、5mM;HEPES、20mM;グルコース、5.5mM;MgCl、1mM;CaCl、2mM)で3回洗浄した。次いで、プレートを、2μM FLUO−4AM染料とともに暗中37℃で60分間インキュベートして、FLUO−4AMの細胞取り込みを可能にし、その後、細胞内エステラーゼで細胞から遊離できないFLUO−4に変換される。インキュベーション後、細胞を標準緩衝液で3回洗浄し、細胞外染料を除去し、洗浄後、緩衝液30μLを各々のウェルに入れた。
【0166】
本発明の化合物を1.66×10−5M〜1.58×10−11Mの最終アッセイ濃度範囲で試験した。本発明の化合物を、10mMのストック濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。これらのストック溶液をDMSOで連続希釈し、各希釈液1μLを384ウェル化合物プレートに移した。化合物を細胞に導入する直前に、緩衝溶液(50μl/ウェル)をこのプレートに添加した。細胞のアゴニスト刺激を可能にするために、ヒトオレキシンA(hオレキシンA)の溶液を含有するストックプレートを、使用直前に緩衝液で最終濃度に希釈した。hオレキシンAのこの最終濃度は、この検定システムにおけるhオレキシンAアゴニスト効力の計算EC80と同等であった。実験と同日に、この値は、濃度反応曲線中のhオレキシンAを検定すること(少なくとも16回反復)により得た。
【0167】
次いで、負荷細胞を試験化合物とともに37℃で10分間インキュベートした。次いで、プレートをFLIPR(商標)(Molecular Devices、UK)に入れて、細胞蛍光を監視した(λex=488nm、λEM=540nm)(Sullivan E、Tucker EM、Dale IL。Measurement of [Ca2+ using the fluometric imaging plate reader(FLIPR)。In:Lambert DG(編)、Calcium Signaling Protocols.New Jersey:Humana Press、1999、125〜136)。ベースライン蛍光測定値を、5〜10秒間かけて取得し、次いで、EC80 hオレキシンA溶液10μLを添加した。次いで、蛍光を4〜5分間かけて読み取った。
【0168】
データ分析
機能的反応を、FLIPRを使用してピーク蛍光強度−基準蛍光として測定し、同一プレートに対する非阻害性オレキシン−A誘発反応のパーセントとして表した。4パラメータロジスティックモデルおよびマイクロソフトエクセルを使用して、反復性曲線適合およびパラメータ推定を行った(Bowen WP、Jerman JC。Nonlinear regression using spreadsheets.Trends Pharmacol.Sci.1995;16:413〜417)。修正チェン−プルソフ(Cheng−Prusoff)補正を使用して、アンタゴニストアフィニティー値(IC50)を機能的pK値に変換した(Cheng YC、Prusoff WH。Relationship between the inhibition constant(K) and the concentration of inhibitor which causes 50 percent inhibition(IC50) of an enzymatic reaction.Biochem.Pharmacol.1973、22:3099〜3108)。
【数1】

{式中、[アゴニスト]はアゴニスト濃度であり、EC50はアゴニスト用量反応曲線から得られる50%活性化するアゴニストの濃度であり、n=用量反応曲線の傾き}。n=1の場合、方程式は、よりよく知られたチェン−プルソフ式に崩壊する。
【0169】
実施例1〜11の化合物は、実施例12の方法にしたがって試験した。全化合物は、ヒトクローン化オレキシン−1受容体に対し8.2〜9.2、およびヒトクローン化オレキシン−2受容体に対し8.1〜9.2のfpKi値をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩
【化1】

(式中、
Arは、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、フェニルオキシ、ピリジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、またはN、OもしくはSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む複素5員環基であり、前記Y基はC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよく;
Arは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルからなる群から選択されるヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよく;あるいはArは、8〜10員二環式ヘテロシクリル基であり、前記二環式ヘテロシクリル基は、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキルまたはハロにより置換されていてもよい)

【請求項2】
Arが、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYが、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、フェニルオキシ、ピリジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、またはN、OもしくはSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む複素5員環基であり、前記Y基が、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよく;かつ、Arが、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはピラジニルからなる群から選択されるヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基が、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノからなる群から独立に選択される1個、2個または3個の置換基により置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Arが、C1〜4アルキル、ハロ、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシおよびシアノから選択される基により置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYが、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルコキシ、シアノまたはハロから選択される基により置換されていてもよいピリミジニルである、請求項1または請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
Arが、C1〜4アルキルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYがピリミジニルである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
Arが、C1〜4アルキル、ハロおよびハロC1〜4アルキルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
Arが、メチルにより置換されたピリジニルであって、かつ、Y基によりさらに置換されており、ここでYがピリミジニルであり;かつ、Arが、メチル、フルオロおよびトリフルオロメチルからなる群から独立に選択される1個または2個の置換基により置換されたピリジニルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
5−フルオロ−3−メチル−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
5−フルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
3,5−ジフルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジンアミン;
4,6−ジメチル−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−2−ピリミジンアミン;
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;
3−フルオロ−N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン;および
N−[((2S,5S)−5−メチル−1−{[6−メチル−3−(2−ピリミジニル)−2−ピリジニル]カルボニル}−2−ピペリジニル)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン
からなる群から選択される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
治療で使用するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害の治療において使用するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
疾患または障害が、睡眠障害、うつ病もしくは気分障害、不安障害、物質関連障害または摂食障害である、請求項9に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
疾患または障害が、睡眠障害である、請求項10に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
睡眠障害が、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の他の睡眠異常(307.47)などの睡眠異常;睡眠時随伴症(例えば悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、夢遊症障害(307.46)および特定不能の他の睡眠時随伴症(307.47))などの原発性睡眠異常;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;一般的健康状態に起因する睡眠障害、特に神経学的障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺の疾患などの疾患に付随する睡眠障害;ならびに不眠症型サブタイプ、過眠症型サブタイプ、睡眠時随伴症型サブタイプ、および混合型サブタイプを含む物質誘導性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群からなる群から選択される、請求項11に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害の治療において使用するための薬剤の製造における、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項14】
疾患または障害が、睡眠障害、うつ病もしくは気分障害、不安障害、物質関連障害または摂食障害である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
疾患または障害が、睡眠障害である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
睡眠障害が、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の他の睡眠異常(307.47)などの睡眠異常;睡眠時随伴症(例えば悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、夢遊症障害(307.46)および特定不能の他の睡眠時随伴症(307.47))などの原発性睡眠異常;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;一般的健康状態に起因する睡眠障害、特に神経学的障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺の疾患などの疾患に付随する睡眠障害;ならびに不眠症型サブタイプ、過眠症型サブタイプ、睡眠時随伴症型サブタイプ、および混合型サブタイプを含む物質誘導性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群からなる群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害の治療方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項18】
疾患または障害が、睡眠障害、うつ病もしくは気分障害、不安障害、物質関連障害または摂食障害である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
疾患または障害が、睡眠障害である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
睡眠障害が、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の他の睡眠異常(307.47)などの睡眠異常;睡眠時随伴症(例えば悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、夢遊症障害(307.46)および特定不能の他の睡眠時随伴症(307.47))などの原発性睡眠異常;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;一般的健康状態に起因する睡眠障害、特に神経学的障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心臓および肺の疾患などの疾患に付随する睡眠障害;ならびに不眠症型サブタイプ、過眠症型サブタイプ、睡眠時随伴症型サブタイプ、および混合型サブタイプを含む物質誘導性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
a)請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩と、b)1つ以上の医薬的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。

【公表番号】特表2013−502448(P2013−502448A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525998(P2012−525998)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061906
【国際公開番号】WO2011/023585
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】