説明

オレフィン系熱可塑性エラストマー

【課題】臭気が低減されたオレフィン系熱可塑性エラストマーを提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理した後、臭気中和剤(D)を配合し混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー。または、オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工時、さらには成形加工して得られる成形品に不快な臭いがしないオレフィン系熱可塑性エラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の内装用部品などの内装材には環境問題への意識の高まりから、オレフィン系熱可塑性エラストマーを内装材の原料として用いる検討がなされている。とりわけ特許文献1に記載されているような、オレフィン系樹脂およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを有機過酸化物の存在下で動的熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有し、工程合理化やリサイクル性などの観点から、広く使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭48−26838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載されたオレフィン系熱可塑性エラストマーは、有機過酸化物の存在下で動的熱処理する必要があるため、該熱可塑性エラストマーを成形加工する場合、とくに高温で成形加工する場合に、臭気が発生することがあった。また、得られる成形品も、用途によっては(たとえば、自動車の内装材)、臭気が問題となることがあった。
本発明の目的は、臭気が低減されたオレフィン系熱可塑性エラストマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理した後、臭気中和剤(D)を配合し混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
さらに本発明は、オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、臭気が低減されたオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理した後、臭気中和剤(D)を配合し混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。あるいは本発明は、オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
オレフィン系樹脂(A)としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の公知のオレフィン系樹脂を適用することができる。耐熱性等の観点から、オレフィン系樹脂(A)はポリプロピレン系樹脂(a)であることが好ましい。
【0008】
オレフィン系樹脂(A)として好ましく用いられるポリプロピレン系樹脂(a)とは、プロピレンから誘導される単量体単位の含有量が50重量%以上、好ましくは、80重量%以上である重合体であって(ただし、ポリプロピレン樹脂中の全単量体単位の含有量を100重量%とする。)、JIS K−7121(1987)に従って測定した示差走査熱量測定曲線において、90〜170℃の範囲に融解ピークを有する重合体である。ポリプロピレン樹脂は、プロピレン以外のオレフィンから誘導される単量体単位を含有していてもよく、該プロピレン以外のオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられる。また、ポリプロピレン樹脂としては、該融解ピークの融解熱量が50〜130J/gである重合体が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(a)としては、たとえば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体などがあげられ、これらは、1種または2種以上組み合わせて使用される。
【0009】
ポリプロピレン系樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は通常0.1〜100g/10分であるが、加工性の観点から、好ましくは1〜50g/10分であり、より好ましくは3〜35g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210(1997)に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定される。
ポリプロピレン系樹脂(a)は、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法により製造される。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。
【0010】
本発明におけるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)とは、エチレン単量体単位およびα−オレフィン単量体単位を含有し、α−オレフィン単量体単位を主成分とする共重合体ゴムである。α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、オレフィン以外の単量体単位として、例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン単位を含有していてもよく、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)などを挙げることができる。
【0011】
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(B)のエチレン含有量は10〜80重量%、好ましくは30〜78重量%、更に好ましくは50〜75重量%である。エチレン含有量が10重量%より少ないと機械的特性、熱、酸素および光に対する安定性が低下する場合があり、80重量%より多いと柔軟性が低下する場合がある。
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)のヨウ素価としては、熱可塑性エラストマーの耐永久歪み性を高める観点から、5以上であることが好ましいが、耐侯性を高める観点からは、該ヨウ素価は40以下であることが好ましい。
【0012】
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、熱可塑性エラストマーの機械的強度を高める観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上であり、該エラストマーを成形して得られる成形品の外観を高める観点からは、好ましくは300以下であり、より好ましくは250以下である。
【0013】
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(B)は、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法により製造される。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。
【0014】
本発明では、前記したオレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を、有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理する。または、前記したオレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および後述する臭気中和剤(D)を含む混合物を、有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理する。いずれの場合においても、各混合物におけるオレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の割合は、これら2成分の合計重量を100重量%とするとき、オレフィン系樹脂(A)の割合が5〜95重量%であり、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の割合が5〜95重量%であることが好ましく、オレフィン系樹脂(A)の割合が5〜60重量%であり、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の割合が40〜95重量%であることがより好ましく、オレフィン系樹脂(A)の割合が50〜90重量%であり、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の割合が10〜50重量%であることがさらに好ましい。また、該混合物には、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、老化防止剤、離型剤などの添加剤;顔料などを配合してもよく、他の樹脂成分を配合してもよい。
【0015】
前記混合物は、さらに鉱物油系軟化剤(E)を含んでいてもよい。鉱物油系軟化剤(E)としては、通常アロマ系、ナフテン系、パラフィン系鉱物油などが用いられる。これら鉱物油の中では、成形品の外観、色調を高める観点からパラフィン系鉱物油が好ましい。鉱物油系軟化剤(E)は、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(B)に伸展油として配合されていてもよい。このように鉱物油系軟化剤(E)が伸展油として配合されたゴムは、「油展ゴム」とも称されるものである。
成形加工性と、熱可塑性エラストマーを成形して得られる成形品の物性とのバランスの観点から、混合物に含まれる鉱物油系軟化剤(E)の量は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を100重量部とするとき、該共重合体ゴム(B)100重量部あたり20〜150重量部であることが好ましく、30〜120重量部であることがより好ましく、35〜110重量部であることがさらに好ましい。
【0016】
成形加工性と、熱可塑性エラストマーを成形して得られる成形品の物性とのバランスの観点から、油展ゴムを使用する場合、そのムーニー粘度(ML1+4 100℃)は、30〜100が好ましく、より好ましくは40〜90である。
【0017】
本発明では、オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物、あるいは、オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)各種成分を含む混合物を、有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理する。動的熱処理を含む混合物を、有機過酸化物の存在下、溶融混練することである。
【0018】
動的熱処理に用いる有機過酸化物としては、通常、半減期が1分となる温度が150〜280℃の有機過酸化物が使用され、たとえば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドが用いられ、これらは、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、取り扱いの容易性の観点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0019】
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーを成形して得られる成形品の強度を高める観点から、動的熱処理に用いる有機過酸化物の量は、オレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)との合計量を100重量部とするとき、好ましくは0.001重量部以上であり、より好ましくは0.005重量部以上であり、さらに好ましくは0.01重量部以上であり、経済性、成形性を高める観点から、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは3重量部以下であり、さらに好ましくは1重量部以下である。
【0020】
動的熱処理は、必要に応じて、架橋助剤を併用して行ってもよい。該架橋助剤としてはN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアジン、トリメチロールプロパン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等があげられ、これらの中でも、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0021】
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理した後、臭気中和剤(D)を配合し混練して得られる。あるいは本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理して得られる。
本発明における臭気中和剤(D)とは、天然植物オイルから構成される中和分解型の臭気中和剤であり、パルミチン酸メチル、リノール酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル等の高級脂肪酸エステルを含む。具体的には、エコロジャパン(株)製エコソーブAP−3N、AP−3Xが挙げられる。その中でもAP−3Nが好ましい。
【0022】
本発明において、臭気中和剤(B)の使用量は、オレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の合計重量を100重量部とするとき、これら2成分の合計重量100重量部あたり0.001〜10重量部であることが好ましく、0.005〜1重量部であることがより好ましい。
【0023】
動的熱処理を行う溶融混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、ニーダー、押出機等の公知のものを使用することができる。具体的には、オレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)とを必須成分とする混合物をバンバリーミキサーなどにより150〜250℃、5〜30分間溶融混練して予め中間組成物を作成した後、該中間組成物と有機過酸化物(C)とを二軸押出機などを用い、200〜300℃で溶融混練する方法や、オレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)とを必須成分とする混合物と有機過酸化物(C)とを二軸押出機などにより150〜300℃で一括に溶融混練する方法などをあげることができる。動的熱処理した後に臭気中和剤(D)を混練する場合には、前記した動的熱処理を行うための装置を使用することができる。
【0024】
前記した方法により得られる本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、臭気が低減されたエラストマーである。本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、単独で公知の方法により成形して成形品を得ることもできるし、他の樹脂等と併用して成形することもできる。以下、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーと他の樹脂とを併用して成形する一例を説明する。
【0025】
例えば本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマーと、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂とを、エラストマーを5〜94重量%、ポリプロピレン系樹脂を1〜90重量%、ポリエチレン系樹脂を5〜70重量%の割合で溶融混練してシート成形し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなるシートを得る。該シートと、ウレタン系発泡体またはオレフィン系発泡体とを貼合することにより、積層発泡体を得ることができる。このような積層発泡体は、真空成形等の二次加工を行い、自動車内装用部品等として好適に用いられる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもではない。
[1]評価方法
(1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体中のエチレン単量体単位量とプロピレン単量体単位量の比
赤外分光法により測定を行った。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(1999)に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
(3)ムーニー粘度(ML1+4100℃)
ASTM D−927−57Tに従って、100℃で測定を行った。
(4)臭気テスト
以下の手順に従って、オレフィン系熱可塑性エラストマーの臭気を評価した。
1.作製したオレフィン系熱可塑性エラストマーのシート(厚み1mm)を2cm×2cmに切断(以下サンプルと表記)
2.サンプルを内容量30mlの密閉できる容器に封入して105℃にて1時間静置。
3.無作為に選んだ5人のモニターにより容器内の臭気を以下の判断基準により評価。(点数が低い方が良好な結果を表す。)
<臭気判断基準>
0 : 無臭
1 : やっと感知できる臭い(検知可)
2 : 何の臭いかわかる(すっぱい、甘いなど認知可)
3 : 簡単に臭気を検知・認知できる
4 : 強い臭い
5 : 強烈な臭い
[2]原料
(1)オレフィン系樹脂(A)
オレフィン系樹脂(A)として、住友化学(株)製 ノーブレンAH161C(ブロックポリプロピレン、MFR(230℃)=3g/10分)を用いた。
(2)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムおよび鉱物油系軟化剤(E)
鉱物油系軟化剤(E)を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとして、油展エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムである、住友化学(株)製 エスプレン673(油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(エチレン単量体単位/プロピレン単量体単位(重量比)=70/30、ヨウ素価=12)100重量部、伸展油40重量部、ML1+4100℃=79))を用いた。
(3)有機過酸化物(C)
有機過酸化物(C)として、化薬アクゾ(株)製 APO−10DL(2,5-ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをパラフィン系オイルであるPW−100(出光興産(株)製)で10%に希釈した液体)を用いた。
(4)架橋助剤
架橋助剤として、精工化学(株)製ハイクロスM−P(トリメチロールプロパントリメタクリレート)を用いた。
(5)臭気中和剤(D)
臭気中和剤(D)として、エコロジャパン(株)製エコソーブAP-3Nを用いた。該臭気中和剤は、パルミチン酸メチル、リノール酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチルを含む。
【0027】
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂、鉱物油系軟化剤を含む油展エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(ゴム用粉砕機で粉砕したもの)、架橋助剤、臭気中和剤を表1に示す割合で混合した混合物を、有機過酸化物の存在下で二軸押出機により200℃で溶融混練を行い動的熱処理して、目的のオレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。
得られたオレフィン系熱可塑性エラストマーのペレットを用い、ユニオンプラスチック製の、フルフライトタイプのスクリューとTダイとを有するシリンダー内径が25mmの単軸押出機(USV型)にて、厚さ1mmの押出シートを作製して臭気テストを行った。
[比較例1]
臭気中和剤を添加しなかった他は実施例1と同様にして、オレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。
【0028】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理した後、臭気中和剤(D)を配合し混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項2】
オレフィン系樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)および臭気中和剤(D)を含む混合物を有機過酸化物(C)の存在下に動的熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項3】
前記混合物におけるオレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の合計重量を100重量部とするとき、臭気中和剤(D)の配合量が0.001〜10重量部である請求項1または2に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項4】
前記混合物におけるオレフィン系樹脂(A)とエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の合計重量を100%とするとき、オレフィン系樹脂(A)の割合が5〜95重量%であり、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)の割合が5〜95重量%である請求項1から3いずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項5】
前記混合物が、さらに鉱物油系軟化剤(E)を含む請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項6】
前記混合物が、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(B)100重量部に対し、鉱物油系軟化剤(E)を20〜150重量部含む請求項5に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【請求項7】
オレフィン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂(a)である請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー。

【公開番号】特開2008−163098(P2008−163098A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351844(P2006−351844)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】