説明

オンラインブレンド型射出成形機の制御方法

【課題】 フィーダ原料供給量を自動調整することによりショット毎の実際の成形サイクル時間を予め設定した設定成形サイクル時間に近づけるオンラインブレンド型射出成形機の制御方法を提供する。
【解決手段】工程ST3で初回のショット動作が指令され、工程ST6でパラメータP1、P2および初回ショット動作時の各データが制御装置内のデータメモリから取り込まれる。P1は、実サイクルを設定サイクルとみなすときの時間許容値(sec)、P2は計量時間のモニタ値と冷却タイマ(TR3)の差に対する時間許容値(%)である。工程ST7では、実サイクル>設定サイクル、が判定され、YESのときは工程ST8でフィード量修正の指令CN0が与えられる。このCN0に対応する修正フィード量Q’は、Q’=Q+(Q×Qrev)である。ここで、Qrev=(実サイクル−設定サイクル)/設定サイクル、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化された溶融状態の樹脂(以下可塑化樹脂という)を一時的に蓄積するアキュムレータ装置を介して連続可塑化装置と射出装置とを接続した連続可塑化式射出成形機(以下オンラインブレンド型射出成形機という)に係り、特にフィーダの原料供給量を調整することによりショット毎の実際の成形サイクル時間を予め設定した設定成形サイクル時間に近づけるように制御するオンラインブレンド型射出成形機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の能率向上を図るため、従来、可塑化装置と射出装置とを分離すると共に、これらの間にアキュムレータを設け、可塑化装置によって可塑化された樹脂をアキュムレータに貯え、このアキュムレータから間欠的に可塑化樹脂を射出装置へ供給することにより、可塑化装置の稼働率を高めるようにしたオンラインブレンド型射出成形装置はすでに公知である。
【0003】
一般に、連続可塑化式射出成形装置は、可塑化樹脂をアキュムレータから射出装置へ供給する計量工程において、可塑化装置の吐出圧が高くなる傾向を示す。これは、単にアキュムレータに可塑化樹脂を貯える工程に比較し、アキュムレータと射出装置との間の樹脂圧力損失が加算されると共に、射出プランジャを後退させるための機械摩擦損失が加算されることに起因している。この可塑化装置の吐出圧変動は、可塑化の不均一を招き、また吐出圧が異常に上昇すると、ベントアップを生じたり、開閉バルブや樹脂流路の接合部等から樹脂漏れを生じたり、さらには可塑化スクリュのスラスト荷重が大きくなるためにスクリュ駆動装置の剛性を高める必要を生じたりする等の問題を生じる。
【0004】
上記可塑化装置の吐出圧の上昇を防ぐには、計量時に射出プランジャを積極的に後退させることにより、上記の樹脂圧力損失や機械摩擦損失を補償すればよい。しかしながら、射出プランジャを積極的に後退させると、射出シリンダ内の樹脂圧が低下して負圧になることもあり、射出プランジャを所定量後退させても、射出シリンダ内に所定量の可塑化樹脂を計量することができず、成形品が樹脂量不足のいわゆるショートショットになってしまう欠点がある。
【0005】
こうした問題を解決するものとして、合成樹脂材料の連続可塑化装置と、同連続可塑化装置の流出路に接続されたシリンダ及びプランジャとからなるアキュムレータ装置と、同アキュムレータ装置の流出路に開閉バルブを介して接続された射出シリンダ及び射出プランジャとからなる射出装置とを具備し、連続可塑化装置の流出路はアキュムレータ装置のプランジャが押出限位置にあるときにもアキュムレータ装置の流出路に連通可能に構成された連続可塑化式射出成形装置による連続可塑化式射出成形方法であって、アキュムレータ装置のプランジャを前進させつつ射出プランジャを後退させて射出シリンダに所定量の可塑化樹脂を流入させる計量工程において、連続可塑化装置の吐出圧を所定範囲内に保つように、前記プランジャの前進動作及び射出プランジャの後退動作を行わせると共に、射出プランジャが所定量後退して実質的に停止した後にも射出シリンダに対する可塑化樹脂の供給を続け、射出シリンダ内の樹脂圧が所定値以上に達したところで開閉バルブを閉じて射出工程に移行する方法が提案されている。(特許文献1)
【0006】
【特許文献1】特開平5−131509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、オンラインブレンド型射出成形機で連続成形をする場合、射出タイマ(TR1)や冷却タイマ(TR3)などのタイマ設定だけではなく、原料供給量、すなわちフィード量と成形品質量が成形サイクルに大きく影響する。フィード量が少なすぎると成形サイクルが長くなり、フィード量が多すぎると樹脂アキュムレータ装置内の原料がショット毎に全て処理しきれずに滞留し、オーバーフローが発生する。そのため、目標とする成形サイクルと成形品質量に合わせて、フィード量には適正な値を設定する必要があり、例えば、下式によりフィード量を算出し設定している。
【0008】
(フィード量の算出例)
フィード量適正値(kg/h)=(成形品質量(kg)/設定サイクル(sec))×3600(sec)
上式にて算出したフィード量で成形中に射出タイマ(TR1)や冷却タイマ(TR3)のタイマ設定などを変更した場合、設定サイクルが変動するため、都度フィード量を再計算・再入力する必要があった。
【0009】
また、フィード量が実際に必要なフィード量よりも少なめに設定された場合は実サイクルが長くなるため気付きやすいが、フィード量が多めに設定された場合は気付きにくい。なぜなら、フィード量が適正値であれば冷却タイマ(TR3)のタイムアウトと計量時間がほぼ等しくなるが、フィード量が多めに設定されると、樹脂アキュムレータ装置内に蓄えられる原料が多くなるため計量時間も短くなる。計量時間が短くなっても、冷却タイマ(TR3)がタイムアウトしなければサイクル完了にはならない。設定タイマ通りに連続成形が行われるので、成形サイクル的には安定しているように見え、気付きにくくなるのである。しかし、この状況が長く続くと、樹脂アキュムレータ装置内に蓄えられる原料の量が徐々に増えていき、樹脂アキュムレータ装置内で原料が大量に滞留し、やがてオーバーフローを起こすことになる。そのため、作業者は常に成形サイクルと計量時間のモニタリングデータを監視し、フィード量を調整し続ける必要があり、射出成形機運転中の作業者(オペレータ)にとってはこうした監視および調整の作業は大きな負担となっていた。また、前述の特許文献1においては、こうした連続成形における問題点を解決する示唆はなかった。
【0010】
本発明者等は、上記の問題点を解決すべく種々検討・研究を行った結果、ショット毎の実際の成形サイクル時間を予め設定した設定成形サイクル時間に近づけるために、フィーダの原料供給量を自動調整することにより前記の問題点が解決できることを見出した。
したがって、本発明の目的は、フィーダの原料供給量を自動調整することによりショット毎の実際の成形サイクル時間を予め設定した設定成形サイクル時間に近づけるように制御するオンラインブレンド型射出成形機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明に係るオンラインブレンド型射出成形機の制御方法は、加熱筒内に投入された合成樹脂材料を溶融・混練して可塑化するスクリュを所定速度で回転させるスクリュ回転用モータ及び前記加熱筒内へ所要量の前記合成樹脂材料を連続的に供給制御するフィーダ部からなる前記合成樹脂材料の連続可塑化装置と、同連続可塑化装置から押出される可塑化樹脂を導く流出口に接続されたシリンダ室、同シリンダ室内に進退可能に設けられた第1プランジャおよび同第1プランジャを進退駆動する第1の駆動手段を備えたアキュムレータ装置および、同アキュムレータ装置から押出された可塑化樹脂を導く流路に接続された可塑化樹脂の流入口を有する射出シリンダ室、同射出シリンダ室の射出方向に連通して形成された射出ノズル部、前記射出シリンダ室に進退可能に設けた第2プランジャおよび同第2プランジャを進退駆動する第2の駆動手段を備え、前記第2プランジャを射出方向へ駆動することにより前記射出ノズルから可塑化樹脂を金型キャビティ内へ射出する射出装置を有するオンラインブレンド型射出成形機を用いて連続的に射出成形を行う制御方法であって、
タイマ設定値および金型開閉時間モニタ値からなる設定成形サイクル時間と実際の成形サイクル時間とを比較し、双方に差を生じる場合は、実際の成形サイクル時間が設定成形サイクル時間と等しくなるようにフィーダの原料供給量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オンラインブレンド型射出成形機の稼動中、フィード量が常に監視・自動修正されるため、オペレータは当該射出成形機に張り付いてフィード量を調整するといった作業から開放されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に基づく好適な実施例について、添付の図1乃至3を参照し詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用される一般的なオンラインブレンド型射出成形機の主要構成部分の縦断面図を示す。同図1において、参照符号10は前述した可塑化装置を構成している2軸押出機であって、その上方に配置されているメインフィーダ装置MFから主たる合成樹脂材料、例えばポリプロピレン(PP)がフィーダ用モータMの回転数に従ってホッパー10Aに供給される。その左方には、サブフィーダ装置SFが配置され補助の成形材料例えばタルクが同様にフィーダ用モータMの回転数に従ってホッパー10Aへ供給される。ホッパー10Aから2軸押出機10の加熱筒10C内に供給された成形材料は、モータ10Dによりギヤボックスを介して結合された2本のスクリュ軸10Bにより溶融・混練され可塑化される。なお、VT1、VT2はそれぞれオープンベント、真空ベントである。
【0015】
前記2軸押出機10の左端側には、加熱筒10Cと一体に形成されたアキュムレータ12が配置されている。アキュムレータ12の上部および下部シリンダ室12A、12Bにはプランジャ12Dの下端部に設けたプランジャチップ12Cが配置されており、プランジャ12Dの上端部はピストンPS1と結合され油圧シリンダ装置12Eにより同ピストンPS1が上下に移動可能である。
【0016】
図中矢視で示すように、溶融状態の樹脂すなわち可塑化樹脂は、2軸押出機10の左端部から流出口FG1を介して前記シリンダ室12Bへ流入する。2軸押出機10の吐出圧は比較的低いのでシリンダ室12Bへ流入した可塑化樹脂の流入時の樹脂圧を低く抑えるため前記ピストンPSは上方向へ移動されるようになっている。この間アキュムレータ12の下部に設けたバルブVL1は閉じている。なお、図示しないが、プランジャ12Dの中間部にロードセルが配置されており、同ロードセルにより、シリンダ室12B内の樹脂圧が所定の範囲にあるようピストンPS1が油圧制御される。
【0017】
参照符号14は射出装置であって、前記バルブVL1が開かれているとき、シリンダ室12Bに蓄積されている可塑化樹脂を流入口FG2を介して射出装置12の射出側に形成された射出シリンダ14A内に受け入れる。すなわち、計量工程中は前記流入口FG2から可塑化樹脂が射出シリンダ14A内に供給され、それによりプランジャ14Dの左端部に設けたコーン形状のプランジャチップ14Cは右方へ後退移動する。その場合、前記シリンダ室12Bおよび射出シリンダ14A内の樹脂圧すなわち、2軸押出機10の吐出圧が所定値より高くならないように、射出シリンダ装置14Eへの圧油の給排によりピストンPS2を後退移動させるようになっている。この計量動作中バルブVL2は閉じており、計量完了後に開かれ射出シリンダ14A内の溶融樹脂はピストンPS2を左方へ移動させることによりノズルNZを介して金型装置16に形成された金型キャビティ(図示略)内へ射出される。この金型装置16内には、図略のタイマ設定された開閉弁を介して冷却水の給排が制御されるようになっている。
【0018】
図2は、本発明の要旨を説明する概念ブロック図である。同図2において、参照符号MCはオンラインブレンド型射出成形機の本体側を示し、参照符号CTRはオンラインブレンド型射出成形機MCの連続運転を指令するショット動作指令信号群SGを生成する制御装置、参照符号PFLは同制御装置内に設けられている制御プログラムによる処理の流れの主要部を示す。
すなわち、プログラムメモリPGMに格納されたプログラムの処理の流れPFLにおいて、予めデータメモリDAMにパラメータとして設定された設定成形サイクル時間(SCT)と実際のショットにおける実成形サイクル時間(RCT)との差分が中央処理装置CPUで演算され、その値に応じてフィード量を算出し調整する。その場合、フィード量の調整は、図1のメインフィーダMFや、サブフィーダSFのモータMの回転数を都度指定することにより遂行される。
【0019】
図3は、前記PFLのより詳細な説明をするためのフローチャートである。
今、連続成形運転が可能な状態が確認され、製造すべき成形品の総数Zがパラメータの1つとして設定されているとし、工程ST0で制御プログラムのスタート指令が与えられると、先ず工程ST1でインデックスiが1にセットされる。次いで工程ST2でインデックスiの値が1か否か判定され、肯定YESのときは初回のショット動作が指令される。次いで工程ST6でパラメータP1、P2および前回ショット動作時の各データが制御装置内のデータメモリDAMの所定エリアから取り込まれる。
【0020】
ここで、パラメータP1は、実際の成形サイクル時間(以下実サイクルRCTという)を設定成形サイクル時間(以下設定サイクルSCTという)とみなすときの時間許容値(sec)である。例えば、P1=0.1とした場合、実サイクルが設定サイクルに対し、0.1secの誤差範囲内であれば、実サイクルRCT=設定サイクルSCTとみなす。
【0021】
また、パラメータP2は計量時間のモニタ値(以下実計量時間RTという)と冷却タイマ(TR3)の差(絶対値)に対する時間許容値(%)である。
例えば、実計量時間RT<冷却タイマTR3の場合において、
|(1−(RT/TR3)) |×100%>P2
となった場合はフィード量を修正する。
【0022】
すなわち、工程ST7において、実サイクルRCT>設定サイクルSCTか否か判定され、肯定YESのときは工程ST8でフィード量修正の指令CN0が与えられる。この指令CN0に対応する修正フィード量Q’(kg/h)は、
Q’(kg/h)=Q+(Q×Qrev)
である。ここで、
Qrev(フィード量修正率)=(実サイクルRCT−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT
と定義される。
【0023】
前記工程ST7で判定が否定NOのときは、さらに工程ST9において実サイクルRCTが設定サイクルSCTに等しいか否か判定され、工程YESのときは工程ST10でさらに実計量時間RTが冷却タイマ設定時間TR3を越えたか否か判定される。ST9およびST10で否定NOのときは工程ST11でRCT<SCTであることを確認し、さらに工程ST12でフィード量修正の指令CN1が与えられる。この指令CN1に対応する修正フィード量Q’(kg/h)は、前記の指令CN0と同様、
Q’(kg/h)=Q+(Q×Qrev)
である。ここで、
Qrev(フィード量修正率)=(実サイクルRCT−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT
と定義される。
【0024】
一方、前記工程ST10で判定が肯定YESのときは、さらにST13において、
|(1−(RT/TR3)) |×100%<=P2
であるか否か判定される。P2以下すなわち、許容値内であればST15においてフィード量修正せずの指令が与えられる。また、ST13において、
|(1−(RT/TR3)) |×100%>P2
である場合は、ST14において、フィード量修正の指令CN2が与えられる。この指令CN2においては、修正実サイクル時間(RCT’)が新たに以下のように定義される。すなわち、
修正実サイクル時間(RCT’)=実サイクルRCT−冷却タイマ設定値TR3+実計量時間RT
そして、Qrev(フィード量修正率)=(修正実サイクルRCT’−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT
と定義され、修正フィード量Q’(kg/h)は、
Q’(kg/h)=Q+(Q×Qrev)
となる。
【0025】
前記各工程ST8、ST12、ST14でそれぞれフィード量の修正が指令されると工程ST16において修正されたフィード量に基づく次のショット動作が指令される。また、ST15ではフィード量の修正は指令されないので、現在と同じフィード量のままでST16のショット動作が指令される。
次いで、工程ST17において、インデックスiは1だけインクリメントされi+1となり、次いでST2において、判定は否定NOとなるので工程ST4において、成形品総数Zに達したか否か判定される。ST4で否定NOの場合はST6において前回のショット動作によるパラメータおよび各データがデータメモリから取り込まれる。以下前述したのと同様な経過を続ける。ST4において、ショット動作の回数iが成形品総数Zに達した場合、工程ST5でショット動作の終了が指令され連続成形の制御プログラムが終了する。
【0026】
次に、図2に示す各フィード量の修正または修正せず、のルート1〜ルート4におけるフィード量算出のさらに具体的な例を説明する。
成形例として、質量が680gの成形品を、設定サイクルSCT=60.0sec、すなわち、射出タイマTR1=7.0sec、冷却タイマTR3=35.0sec、インターバルタイマINT=8.0sec、型開時間モニタ値=5.5sec、型閉時間モニタ値4.5secの条件で成形する。また、パラメータP1=0.05(sec)、P2=5.0(%)とする。
【0027】
(A)ルート1、すなわち、設定サイクルSCT<実サイクルRCTの場合におけるフィード量算出例:
フィード量を手動設定するモードの時に、フィード量設定値Q=40.0kg/h、実サイクルRCT=61.2sec、計量時間RT=36.2secで成形中に、フィード量を自動算出するモードに切り換えた。
前述の如く、P1=0.05(sec)、P2=5.0(%)である。したがって、
|RCT−SCT|=|61.2−60.0|=1.2>P1
であるので、実サイクルRCT>設定サイクルSCTとなる。一方、
|(1−(実計量時間RT/冷却タイマTR3)) |×100(%)=|(1−(36.2sec/35.0sec))|×100=|(1−1.034)|×100=3.4(%)<P2
この場合、フィード量修正率(Qrev)=(実サイクルRCT−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT=(61.2−60.0)/60.0=0.02
であり、したがって、修正フィード量(Q’kg/h)=Q+(Q×Qrev)=40.0+(40.0×0.02)=40.8
である。
【0028】
(B)ルート2、すなわち、設定サイクルSCT=実サイクルRCTの場合におけるフィード量算出例の1:
上記の成形例を、フィード量を白動算出するモードで成形中の実サイクルRCTは59.98secである。この時、Q=41.9kg/h、実計量時間RT=33.4sec
また、前述の如く、P1=0.05(sec)、P2=5.0(%)である。したがって、
|RCT−SCT|=|59.98−60.0|=|−0.02|<P1
であるので、実サイクルRCT=設定サイクルSCTとみなす。一方、
|(1−(実計量時間RT/冷却タイマTR3)) |×100(%)=|(1−(33.4/35.0))|×100=(1−0.954)×100=4.6%<P2
であるため、修正フィード量は算出せず、それまでのフィード量(41.9kg/h)を維持・継続する。
【0029】
(C)ルート3、すなわち、設定サイクルSCT=実サイクルRCTの場合におけるフィード量算出例その2:
上記の成形例を、フィード量を自動算出するモードで成形中の実サイクルRCTは59.98secである。
この時、Q=43.0kg/h、実計量時間RT=31.93secである。
また、前述の如く、P1=0.05(sec)、P2=5.0(%)である。
この場合、|RCT−SCT|=|59.98−60.0|=|−0.02|<P1
であるので、実サイクルRCT=設定サイクルSCTであるとみなされる。しかし、
|(1−(RT/TR3))|×100(%)=(1−(31.93/35.0))×100=(1−0.912)×100=8.8(%)>P2
であるため、修正フィード量を算出する。
修正実サイクル時間(RCT’)=実サイクルRCT−冷却タイマTR3+実計量時間RT
=60.0−35.0+31.93=56.93sec
である。したがって、
フィード量修正率(Qrev)=(修正実サイクルRCT’−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT=(56.93−60.0)×60.0=−0.51
また、修正フィード量(Q’kg/h)=Q+(Q×Qrev)
=43.0+(43.0×(−0.51))=43.0−2.2=40.8である。
【0030】
(D)ルート4、すなわち、設定サイクルSCT>実サイクルRCTの場合におけるフィード量算出例:
上記の成形例を、フィード量を自動算出するモードで成形中、射出タイマ(TR1)を
7.0secから8.5secに設定変更した。設定変更直前のフィード量出力は40.8kg/h、実サイクルRCTは60.0sec、実計量時間RTは33.4secである。
設定サイクルSCT=射出タイマTR1+冷却タイマTR3+インターバルタイマINT+型開時間+型閉時間=8.5+35.0+8.0+5.5+4.5=61.5sec>実サイクルRCT
である。また、前述の如く、P1=0.05(sec)、P2=5.0(%)である。
この場合、|RCT−SCT|=|60.0−61.5|=|−1.5|>P1
であるので、実サイクルRCT<設定サイクルSCTであるとみなされる。さらに、
|(1−(RT/TR3))|×100(%)=(1−(33.4/35.0))×100=(1−0.954)×100=4.6(%)<P2
である。
すなわち、P2に関する時間許容値は設定されているパラメータP2の値より小さいが、P1に関する時間許容値は設定されているパラメータP1の値より大きいので、修正フィード量を算出する。
ここで、フィード量修正率(Qrev)=(実サイクルRCT−設定サイクルSCT)/設定サイクルSCT=(60.0−61.5)/61.5=−0.024
である。したがって、修正フィード量(Q’kg/h)は、
Q’kg/h=Q+(Q×Qrev)=40.8+(40.8×(−0.024))
=40.8−0.995=39.805(≒39.8kg/h)
となる。
【0031】
以上、本発明の好適実施例について説明したが、本発明はこれら例示したものに限定されるものではなく当業者であれば種々の変形が可能である。例えば、オンラインブレンド型射出成形機のアキュムレータ装置の駆動手段あるいは射出側の進退駆動を電動サーボモータを用いて構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明が適用される一般的なオンラインブレンド型射出成形機の主要構成部分の縦断面図である。
【図2】本発明の要旨を説明する概念ブロック図である。
【図3】本発明による制御プログラムの処理方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
10 2軸押出機
12 アキュムレータ
14 射出装置
16 金型装置
MF メインフィーダ
SF サブフィーダ
M フィーダ用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱筒内に投入された合成樹脂材料を溶融・混練して可塑化するスクリュを所定速度で回転させるスクリュ回転用モータ及び前記加熱筒内へ所要量の前記合成樹脂材料を連続的に供給制御するフィーダ部からなる前記合成樹脂材料の連続可塑化装置と、同連続可塑化装置から押出される可塑化樹脂を導く流出口に接続されたシリンダ室、同シリンダ室内に進退可能に設けられた第1プランジャおよび同第1プランジャを進退駆動する第1の駆動手段を備えたアキュムレータ装置および、同アキュムレータ装置から押出された可塑化樹脂を導く流路に接続された可塑化樹脂の流入口を有する射出シリンダ室、同射出シリンダ室の射出方向に連通して形成された射出ノズル部、前記射出シリンダ室に進退可能に設けた第2プランジャおよび同第2プランジャを進退駆動する第2の駆動手段を備え、前記第2プランジャを射出方向へ駆動することにより前記射出ノズルから可塑化樹脂を金型キャビティ内へ射出する射出装置を有するオンラインブレンド型射出成形機を用いて連続的に射出成形を行う制御方法であって、
タイマ設定値および金型開閉時間モニタ値からなる設定成形サイクル時間と実際の成形サイクル時間とを比較し、双方に差を生じる場合は、実際の成形サイクル時間が設定成形サイクル時間と等しくなるようにフィーダの原料供給量を調整するオンラインブレンド型射出成形機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−143170(P2009−143170A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324706(P2007−324706)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】