説明

オーディオデータ再生装置および携帯端末装置

【課題】楽曲の再生と再生に合わせて演奏した伴奏音とを合成し新たな楽曲データを生成することが可能なオーディオ再生装置を提供する。
【解決手段】プレイヤー21は、オリジナルのオーディオデータをメモリ20から読み取り、オーディオデコーダ22へ出力する。当該オーディオデータは、オーディオデコーダ22でデコード後に楽器音キャンセルモジュール23にて楽器音をキャンセルする処理が行われ、ミキサー24へと出力される。一方、ユーザが楽器の演奏を行うと、マイク又はライン入力端子からA/D変換後にエフェクタ26を介してミキサー24へデジタルの演奏データが出力される。ミキサー24は、楽器音キャンセル後のオーディオデータとデジタルの演奏データとをミックスし、D/A変換後にスピーカ6から発音させると共に、上記ミックスしたデータのエンコードを行い、ユーザの演奏した楽器音付きのオーディオデータを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオデータを再生可能なオーディオデータ再生装置および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽曲データを再生可能な携帯電話機等の楽曲再生装置においては、例えば、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)形式の楽曲データに対してあるパートを発音させず、代わりに外部オーディオ信号(ユーザが演奏した楽器音など)を加えて出力する機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、通信回線の大容量化に伴い、オリジナルの楽曲を一般に市販されている音楽CD(Compact Disc)のクオリティに匹敵するオーディオデータとして携帯電話機に配信するサービスが開始されている。
【特許文献1】特開2000−089774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の携帯電話機においては、MIDI形式の楽曲データを用いるものであるため、その楽曲データの再生に合わせてユーザが演奏した楽器音(伴奏音)を合成したとしても、オリジナルの楽曲と比較してリアル感に欠けるものとなる。
【0005】
また、楽曲データがオーディオデータの場合に、ユーザの演奏した楽器音と合成する際には、ユーザが演奏する楽器音が入っていないオーディオデータを予め準備する必要があった。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、楽曲の再生と再生に合わせて演奏した伴奏音とを発音すること及び、それら楽曲と伴奏音とを合成し新たな楽曲データを生成することが可能なオーディオ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、前記伴奏音除去後のオーディオデータと前記伴奏データとを再生する再生手段とを具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データに基づいて新たなオーディオデータを生成するオーディオデータ生成手段とを具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記オーディオデータ生成手段で生成した新たなオーディオデータと、画像データまたはテキストデータとを合わせて1つのファイルにするオーディオデータ加工手段をさらに具備することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データとを個別のオーディオデータとして保存する楽曲ファイルを生成する楽曲ファイル生成手段とを具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置である。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、ユーザの指示入力を取り込む操作部と、前記操作部への入力操作に対応する伴奏データを生成する伴奏データ生成手段と、前記伴奏データ生成手段で生成された伴奏データと前記伴奏音除去後のオーディオデータとを再生する再生手段とを具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置である。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、ユーザの指示入力を取り込む操作部と、前記操作部への入力操作に対応する伴奏データを生成する伴奏データ生成手段と、少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データに基づいて新たなオーディオデータを生成するオーディオデータ生成手段とを具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置である。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記伴奏データの特徴を変更する伴奏データ変更手段をさらに具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記伴奏音除去手段は、前記オーディオデータの特定の期間のみに対して伴奏音を除去することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のオーディオデータ再生装置を具備することを特徴とする携帯端末装置である。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、請求項5又は請求項6記載のオーディオデータ再生装置を具備する携帯端末装置であって、前記操作部は、所定の音が割り当てられた番号キーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1から請求項4のオーディオ再生装置によれば、オーディオデータから特定の伴奏音をキャンセルすることにより生成した楽曲と、その楽曲の再生に合わせてユーザが演奏した伴奏音とを再生もしくは合成して新たなオーディオデータや楽曲ファイルを生成することが可能であるため、ユーザはオリジナルのオーディオデータをそのまま使用することができる。
【0017】
このため、従来のように、特定の伴奏音が入っていないオーディオデータを用意する必要が無い。また、ユーザはCD等で使用されるオリジナルの伴奏に合わせて演奏することができ、さらにユーザが演奏した伴奏音が入った新たなオーディオデータを作成することができる。
【0018】
また、オリジナルの楽曲とユーザの演奏した伴奏音とをミックスした音声信号から新たな楽曲を作成することで、ユーザの作成した楽曲を共有サーバに送付し、共有サーバ上のデータをWebサイト上に公開して楽曲データのコンテストを行う等のサービス展開が可能となる。
【0019】
請求項5のオーディオ再生装置によれば、ユーザが番号キー等の入力手段を操作することでオリジナルのオーディオデータに合わせて演奏することが可能であるため、本物の楽器を用いることなく手軽に演奏を行うことができる。請求項8のオーディオ再生装置によれば、オーディオデータから伴奏音をキャンセルする期間を指定することで、伴奏音キャンセル処理による音質の劣化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る携帯電話機(オーディオデータ再生装置)の構成を示す構成図である。図1において、CPU1は携帯電話機内の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)である。
【0021】
ROM2は、CPU1が実行するプログラム等を保持するROM(Read Only Memory)である。RAM3は、CPU1が使用するメモリ領域を提供するRAM(Random Access Memory)である。
【0022】
DSP4は、オーディオデータ(MP3形式やAAC形式等で圧縮されている)に対してリアルタイムでデコード処理を行うDSP(Digital Signal Processor)である。また、DSP4は、外部入力の伴奏音が追加されたオーディオデータに対してエンコード処理を行うものである。また、DSP4は、デコード処理後のオーディオデータに対して所定の楽器音を消去する楽器音キャンセル処理を行う楽器音キャンセルモジュールとしての機能も持つ。
【0023】
D/A部5は、DSP4でデコードされたオーディオデータをアナログ音声信号に変換するDAC(Digital-to-Analog Converter)である。スピーカ6(再生手段)は、D/A部5で変換されたアナログ音声信号を発音するスピーカである。
【0024】
表示部7は、CPU1からテキスト又は画像に関する情報を入力し、表示するディスプレイである。操作部8は、ユーザの指示を入力する操作キーや番号キー等を有するものである。通信部9は、アンテナ10を介して受信した高周波信号を復調し、復調によって得られた音声データについては音声処理部11へ出力し、文字データ、記号データ等についてはバスライン16を介してCPU1へ出力するものである。
【0025】
音声処理部11は、マイクロフォン10から出力される音声信号をデジタル音声データに変換し、さらに圧縮して通信部9へ出力する。また、通信部9から出力される圧縮されたデジタル音声データを伸長し、アナログ信号に変換してイヤスピーカ13へ出力する。
【0026】
入力インタフェース14は、オーディオ出力端子を持つ外部の楽器等から入力端子15を介して入力されるアナログ又はデジタルのオーディオデータをバスライン16上へと出力するものである。バスライン16は、携帯電話機内の各部を相互に接続するバスラインである。
【0027】
次に、上述した第一の実施形態の動作を、図2および図3を参照して説明する。図2は、図1の携帯電話機で実行される機能を示す機能構成図であり、図3は図1の携帯電話機でユーザの演奏する楽器音(伴奏音)付きのオーディオデータを生成する手順を示すフローチャートである。
【0028】
ユーザが操作部8を使用して楽曲を選択し、さらにユーザが演奏を行う楽器を選択する指示を行うと(ステップS101)、CPU1の一機能として実現されるプレイヤー21は、該当するオリジナルの楽曲に対応するオーディオデータをRAM3内に設けられたメモリ20から読み出す(ステップS102)。
【0029】
続いて、ユーザが操作部8を使用して選択した楽曲の再生指示を行うと(ステップS103)、プレイヤー21はDSP4の一機能であるオーディオデコーダ22へオーディオデータを出力し、オーディオデータの再生処理を開始する(ステップS104)。
【0030】
オーディオデコーダ22は、入力したオーディオデータをリニアなオーディオデータフォーマットにリアルタイムでデコードし(ステップS105)、DSP4の一機能である楽器音キャンセルモジュール23(伴奏音除去手段)へと出力する。
【0031】
楽器音キャンセルモジュール23は、デコード後のオーディオデータからステップS101で選択された楽器音を検出し、検出した楽器音をキャンセルする処理を行い、当該楽器音を含まないオーディオデータを生成する(ステップS106)。楽器音キャンセルモジュール23は、例えば、図4に示す回路により実現される。
【0032】
図4において、入力されるオーディオデータのL信号は、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタ41(LPF(Low Pass Filter)411とHPF(High Pass Filter)412とが並列に構成される。)を介して、L信号の出力側へと導かれる。同時に、オーディオデータのL信号はゲイン増幅モジュール43へと出力される。
【0033】
一方、入力されるオーディオデータのR信号は、IIRフィルタ42(LPF421とHPF422とが並列に構成される。)を介して、R信号の出力側へと導かれる。同時に、オーディオデータのR信号はゲイン増幅モジュール44へと出力される。
【0034】
ゲイン増幅モジュール44の出力は反転回路45で−1倍され、ゲイン増幅モジュール43の出力と加算される。加算後のデータは、一次のIIRフィルタ二段(LPF461とHPF462)によるBPF(Band Pass Filter)46を介して、L信号及びR信号の双方の出力側へとステレオで導かれる。こうして、IIRフィルタ41とBPF46の出力データは加算されL出力端子より出力され、IIRフィルタ42とBPF46の出力データは加算されR出力端子より出力される。これらの出力は、特定の楽器音がキャンセルされたオーディオデータである。
【0035】
IIRフィルタ41は、キャンセルする楽器の帯域とは異なる帯域のデータをL信号のデータから抽出するものであり、同様に、IIRフィルタ42は、キャンセルする楽器の帯域とは異なる帯域のデータをR信号のデータから抽出するものである。
【0036】
ゲイン増幅モジュール43,44、反転回路45は、キャンセルする楽器と同じ位置にパンニングされたデータをL信号及びR信号のデータから抽出するものである。BPF46は、キャンセルする楽器と同じ位置にパンニングされたデータから、当該楽器の帯域とは異なるデータを抽出するものである。
【0037】
続いて、ゲイン増幅モジュール43,44におけるゲイン値の調整方法について説明する。パンポット値がvv(0〜127)の時にL信号の大きさLch及びR信号の大きさRchは(1),(2)式で表される。
Lch[dB]=20×log(cos(π/2×vv/127)) ・・・ (1)
Rch[dB]=20×log(sin(π/2×vv/127)) ・・・ (2)
(1),(2)式において、vv=127の時はLchがMUTE状態となり、vv=0の時はRchがMUTE状態となる。
【0038】
L信号がR信号より大きい場合、すなわちLch>Rchの場合は、ゲイン増幅モジュール43のゲインは1(増幅なし)であり、ゲイン増幅モジュール44のゲインは(Lch[dB]−Rch[dB])となる。逆に、R信号がL信号より大きい場合、すなわちRch>Lchの場合は、ゲイン増幅モジュール43のゲインは(Rch[dB]−Lch[dB])であり、ゲイン増幅モジュール44のゲインは1(増幅なし)となる。
【0039】
すわなち、ゲイン増幅モジュール43,44は、楽器音にパンポットが設定されている場合に、R信号及びL信号のうち小さい方の信号を大きい方の信号までゲイン増幅するものであり、この後に双方の信号の差分を取ることで対象となる楽器音をキャンセルする処理を行っている。
【0040】
ここで、ステップS101において、選択した楽曲に対して楽器音をキャンセルする期間(例えば、楽曲の開始からの時間)に関してもユーザが操作部8から指示を行い、楽器音キャンセルモジュール23は、指定された期間内のオーディオデータに対してのみ楽器音キャンセルの処理を行うようにすることも可能である。
【0041】
楽器音をキャンセルする過程で行う帯域制限等の処理により当該楽器音以外の音質にも影響を与えることになるが、上述のように楽器音をキャンセルする期間を指定することにより、その期間以外の音質を維持することができる。
【0042】
図2に戻って、楽器音キャンセルモジュール23での処理が終了すると、楽器音がキャンセルされたオーディオデータは、DSP4の一機能であるミキサー24へと出力される。
【0043】
一方、ユーザが楽器を演奏すると(ステップS107)、携帯電話機の入力端子15を介してオーディオ信号が入力される(伴奏データ入力手段)。ここで、入力端子15がマイクロフォンあるいはアナログのライン入力端子であり、アナログのオーディオ信号が入力される場合には、携帯電話機内のA/D部25でデジタルのオーディオデータに変換した後にDSP4の一機能であるエフェクタ26へと出力される。
【0044】
入力端子15がデジタルデータの入力端子である場合には、A/D部25を介さず直接エフェクタ26へとデジタルのオーディオデータが出力される。エフェクタ26(伴奏データ変更手段)は、入力したデジタルのオーディオデータの基本ピッチ、レベル、周波数特性、テンポ、発音、時間等の要素を変換し、ミキサー24へと出力する。また、エコーやコーラス等の効果を付与することも可能である。
【0045】
ミキサー24は、楽器音キャンセルモジュール23から入力するオーディオデータとエフェクタ26から入力するデジタルのオーディオデータとをミックスし(ステップS108)、D/A部5およびデータバッファ27へと出力する。なお、データバッファ27とは、オーディオデータを一時的に蓄積するメモリ領域であり、RAM3内に確保される。
【0046】
D/A部5は、ミキサー24より入力したミックス後のオーディオデータをアナログ音声信号に変換し、スピーカ6へ出力して再生を行う(ステップS109)。一方、データバッファ27は、ミックス後のオーディオデータを一時的に蓄積する(ステップS110)。
【0047】
続いて、DSP4の一機能であるオーディオエンコーダ28(オーディオデータ生成手段)は、データバッファ27に蓄積されたオーディオデータを取り出し、所定の圧縮オーディオフォーマットにエンコードする(ステップS111)。エンコード処理が終了すると、オリジナルの楽曲にユーザが演奏した楽器音がミックスされたオーディオデータが生成される(ステップS112)。
【0048】
以上で図3のフローチャートは終了であるが、楽曲の再生スタート(ステップS104)から楽曲の再生(ステップS109)及びミックスデータの蓄積(ステップS110)までの各ステップは楽曲の終了までリアルタイムに行われる。さらに、オーディオデータのエンコード処理(ステップS112)も同時にリアルタイムで行う形態としてもよい。
【0049】
このように、第一の実施形態に係る携帯電話機を用いることで、ユーザは、所定の楽器音がキャンセルされたオリジナルの楽曲に合わせて楽器を演奏することが可能となり、オリジナルの楽曲の伴奏に合わせて楽器の演奏を楽しむことができる。
【0050】
また、楽器音をキャンセルしたオリジナルの楽曲とユーザの演奏した楽器音とをミックスしたオーディオデータを作成することで、様々な利用形態が可能となる。例えば、当該オーディオデータを共有サーバに送付し、共有サーバ上のデータをWebサイト上に公開し、オーディオデータのコンテストを行うサービス展開が可能となる。
【0051】
さらにまた、ユーザの演奏した楽器音付きのオーディオデータを生成後に、画像データやテキストデータを付加してファイル化し(オーディオデータ加工手段)、知人にメール添付するという利用形態も可能となる。この際、付加する画像データやテキストデータは、オリジナルのオーディオデータに含まれているものをそのまま使用してもよいし、携帯電話機内に予め保存されている画像データやテキストデータからユーザが選択してもよい。さらにまた、ユーザの演奏した楽器音付きのオーディオデータを携帯電話機の着信メロディに割り付けることも可能となる。
【0052】
続いて、本発明の第二の実施形態について、図1および図5を参照して説明する。なお、第二の実施形態においても、携帯電話機(オーディオデータ再生装置)の構成は図1と同様であり、重複した説明は省略する。
【0053】
図2および図3を用いて前述した第一の実施形態は、楽器音をキャンセルしたオリジナルの楽曲とユーザの演奏した楽器音とをミックスして新しい一つのオーディオデータを生成する方法であるが、第二の実施形態では、楽器音をキャンセルしたオリジナルの楽曲をオリジナル演奏トラック、ユーザの演奏した楽器音をユーザ演奏トラックとして二つのトラックを個別のオーディオデータとしたまま一つの楽曲ファイルにする方法に関して説明する。
【0054】
図5は、第二の実施形態において、図1の携帯電話機で実行される機能を示す機能構成図である。図5において、第一の実施形態と同様の処理を行うものに関しては、同じ番号を付与し、重複した説明は省略する。
【0055】
図5において、第一の実施形態と同様にオリジナルのオーディオデータはプレイヤー21によりオーディオデコーダ22へ出力される。オーディオデコーダ22でデコードされたオーディオデータは、楽器音キャンセルモジュール23により楽器音がキャンセルされた後、エフェクタ26から出力されるデジタルのオーディオデータ(以下では、演奏データと呼ぶ)と共にDSP4の一機能である入出力切り替えブロック31へと入力される。
【0056】
入出力切り替えブロック31は、携帯電話機で行う処理に応じてその入力および出力を切り替えるものである。例えば、ユーザの演奏用に携帯電話機でオーディオの再生だけを行うときには、入出力切り替えブロック31は楽器音キャンセルモジュール23およびエフェクタ26の双方からデータを入力し、D/A部5のみに出力する処理を行う。
【0057】
また、再生と同時に楽曲ファイルの作成を行うときには、入出力切り替えブロック31は楽器音キャンセルモジュール23から入力したオーディオデータとエフェクタ26から入力した演奏データをD/A部5に出力し、さらに、オーディオデータと演奏データを個別にデータバッファ27に出力する。そして、データバッファ27では、それぞれのデータを個別に記憶する。
【0058】
楽曲ファイルの作成を行う際には、オーディオエンコーダ28は、データバッファ27に蓄積されたオーディオデータと演奏データを取り出し、所定の圧縮オーディオフォーマットでエンコードを行う。
【0059】
エンコードされたオーディオデータ(楽器音キャンセル済み)と演奏データは、CPU1の一機能である楽曲ファイルメーカ32(楽曲ファイル生成手段)へ入力され、一つの楽曲ファイルが生成される。
【0060】
第二の実施形態においては、楽器音をキャンセルしたオリジナルの楽曲とユーザの演奏した楽器音とが別々のオーディオデータとして保存されるため、例えば、生成された楽曲ファイルを再生する際に、オリジナルの楽曲の音量を落としてユーザの演奏した楽器音だけを再生するといった利用形態が可能となる。また、ユーザの演奏した楽器音を単独でオーディオデータとして保存することで、楽器音のみを入れ替えることも可能となる。
【0061】
続いて、本発明の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態においても、その構成は図1と同様であるが、第三の実施形態では外部から楽器の演奏音を入力するのではなく、ユーザが操作部8の番号キーを押下することで内部の音源により演奏データを出力する。
【0062】
第三の実施形態では、予め操作部8の各番号キーに対応する音(音高や和音、音色等)を割り当てる。各番号キーに対応する音の割り当ては、予めRAM3に保持する形態でも、ユーザが操作部8を操作することでCPU1に対して対応関係を指示し、指示された対応関係をCPU1がRAM3に記憶する形態でもよい。
【0063】
オーディオデータの再生時にユーザが番号キーの押下を行うと、携帯電話機内の音源(図示せず)は当該番号キーに割り当てられた音に対応する演奏データを生成し、図2のエフェクタ26へ出力する。
【0064】
エフェクタ26から出力される演奏データは、図3に示すフローチャートと同様の手順で、楽器音がキャンセルされたオーディオデータとミキサー24にてミックスされ、スピーカ6から再生されるとともにオーディオエンコーダ28にて新たなオーディオデータが生成される。
【0065】
第三の実施形態では、ユーザは携帯電話機を操作することでオリジナルのオーディオデータに合わせて演奏することが可能であるため、本物の楽器を用いることなく手軽に演奏を行うことができる。なお、番号キーによる演奏を第二の実施形態に適用し、楽器音をキャンセルしたオーディオデータと番号キーによる演奏データとを別々のトラックとして保存するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態で述べたオーディオデータは特定の形式で圧縮されている必要はなく、圧縮されていないオーディオデータに対しても本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、オーディオデータを再生可能なオーディオデータ再生装置および携帯端末装置に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す構成図である。
【図2】第一の実施形態において、図1の携帯電話機で実行される機能を示す機能構成図である。
【図3】図1の携帯電話機でユーザの演奏した楽器音付きオーディオデータを生成する手順を示すフローチャートである。
【図4】図2の楽器音キャンセルモジュール23の構成の一例を示す回路図である。
【図5】第二の実施形態において、図1の携帯電話機で実行される機能を示す機能構成図である。
【符号の説明】
【0069】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…DSP、5…D/A部、6…スピーカ(再生手段)、7…表示部、8…操作部、14…入力インタフェース、15…入力端子、16…バスライン、21…プレイヤー、22…オーディオデコーダ、23…楽器音キャンセルモジュール(伴奏音除去手段)、24…ミキサー、26…エフェクタ(伴奏データ変更手段)、28…オーディオエンコーダ(オーディオデータ生成手段)、31…入出力切り替えブロック、32…楽曲ファイルメーカ(楽曲ファイル生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、
外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、
前記伴奏音除去後のオーディオデータと前記伴奏データとを再生する再生手段と
を具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置。
【請求項2】
オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、
外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、
少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、
前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データに基づいて新たなオーディオデータを生成するオーディオデータ生成手段と
を具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置。
【請求項3】
前記オーディオデータ生成手段で生成した新たなオーディオデータと、画像データまたはテキストデータとを合わせて1つのファイルにするオーディオデータ加工手段をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のオーディオデータ再生装置。
【請求項4】
オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、
外部から、楽器演奏に基づく伴奏データを入力する伴奏データ入力手段と、
少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、
前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データとを個別のオーディオデータとして保存する楽曲ファイルを生成する楽曲ファイル生成手段と
を具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置。
【請求項5】
オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、
ユーザの指示入力を取り込む操作部と、
前記操作部への入力操作に対応する伴奏データを生成する伴奏データ生成手段と、
前記伴奏データ生成手段で生成された伴奏データと前記伴奏音除去後のオーディオデータとを再生する再生手段と
を具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置。
【請求項6】
オーディオデータから特定の伴奏音を除去する伴奏音除去手段と、
ユーザの指示入力を取り込む操作部と、
前記操作部への入力操作に対応する伴奏データを生成する伴奏データ生成手段と、
少なくとも前記伴奏音除去後のオーディオデータを再生する再生手段と、
前記伴奏音を除去後のオーディオデータと前記伴奏データに基づいて新たなオーディオデータを生成するオーディオデータ生成手段と
を具備することを特徴とするオーディオデータ再生装置。
【請求項7】
前記伴奏データの特徴を変更する伴奏データ変更手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のオーディオデータ再生装置。
【請求項8】
前記伴奏音除去手段は、前記オーディオデータの特定の期間のみに対して伴奏音を除去することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のオーディオデータ再生装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のオーディオデータ再生装置を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項10】
請求項5又は請求項6に記載のオーディオデータ再生装置を具備する携帯端末装置であって、
前記操作部は、所定の音が割り当てられた番号キーであることを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−256879(P2007−256879A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84613(P2006−84613)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】