説明

オーディオ信号出力装置

【課題】複数の部屋に配置されたスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置であって、1台の装置により複数の部屋に確実に緊急警報放送を出力することができるオーディオ信号出力装置を提供する。
【解決手段】緊急警報放送受信装置からの信号を入力する第1入力端子と、緊急警報放送受信装置以外の装置からの信号を入力する第2入力端子と、第1又は第2入力端子から入力する信号を切り換える第1及び第2入力切換部と、緊急警報信号を検出する緊急警報信号検出部と、第1入力切換部が第1入力端子に接続され、第2入力切換部が前記第2入力端子に接続され、緊急警報信号検出部から検出信号が入力した場合に第2入力切換部を第2入力端子から第1入力端子に切り換える制御をする制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ受信機や光ディスク再生装置から入力されたオーディオ信号をスピーカ等に出力するオーディオ信号出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震や津波などの非常災害が発生した時又は発生するおそれがある時、テレビ放送やラジオ放送を通じて緊急警報放送が行われる。この緊急警報放送システムについては、非特許文献1に開示されている。
【0003】
当該緊急警報放送は、テレビ放送やラジオ放送の音声信号に重畳され放送される。緊急警報放送を受信する装置として、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されているような緊急警報放送受信装置がある。
【0004】
特許文献1に開示されている複合音響装置は、カセットプレーヤやコンパクト・ディスク(Compact Disk:CD)プレーヤ等の再生装置とラジオ受信機が一体化した装置であって、再生装置がカセットテープやCDに記録されているオーディオ信号を再生中であってもラジオ受信機が緊急警報放送を受信した場合、再生装置によるオーディオ信号の再生を停止させ、ラジオ受信機の緊急警報放送に切り換えて出力する。特許文献2に開示されている緊急警報放送受信機は、電源コードを必要とせず、電源コンセントに直接本体を接続するものである。特許文献3に開示されている緊急放送受信システムは、テレビ受信機の主電源がオフの状態であっても、緊急放送処理部が緊急警報放送を受信した場合に、テレビ受信機の主電源をオンにして緊急警報放送を出力する。
【0005】
【非特許文献1】緊急警報放送システム (http://www.nhk.or.jp/res/tvres5/h50100.htm)
【特許文献1】特開平6−21840
【特許文献2】特開平10−98404
【特許文献3】特開2004−23591
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1乃至特許文献3に開示されている緊急放送受信装置は、緊急警報放送を受信した場合に、複数の部屋に同時に緊急放送を通知する手段を備えてない。このため、例えば、緊急警報放送受信装置をリビングルームに設置し、ユーザがベッドルームで就寝している場合、深夜に緊急警報放送があり、緊急警報放送受信装置が緊急警報信号を受信し緊急警報放送をスピーカから出力しても、ユーザがその緊急警報放送を聞き取ることが出来ないことがある。
【0007】
また、緊急警報放送受信装置を各部屋に配置する場合には、部屋数分の緊急警報放送受信装置が必要となり、費用がかかる。
【0008】
また、テレビ放送やラジオ放送の受信状態が悪い部屋など、部屋の場所によっては、緊急警報放送を受信できず、緊急警報放送がユーザに知されない場合がある。
【0009】
本発明は、複数の部屋に配置されたスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、1台の装置により複数の部屋に確実に緊急警報放送を出力することができるオーディオ信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の発明は、複数の部屋に配置された複数のスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信回路からの信号を入力する第1入力部と、音響装置からの信号を入力する第2入力部と、前記第1入力部及び前記第2入力部から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力部から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1入力切換部が前記第1入力部に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力部に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記第1入力部から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力部から前記第1入力部に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本願の発明は、複数の部屋に配置された複数のスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信回路からの信号を入力する第1入力部と、音響機器からの信号を入力する第2入力部と、前記第1入力部及び前記第2入力部から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力部から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1出力部及び前記第2出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記第1入力切換部が前記第1入力部に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力部に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記第1入力部から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力部から前記第1入力部に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本願の発明は、オーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する第1入力端子と、前記放送受信装置以外の装置からの信号を入力する第2入力端子と、前記第1入力端子及び前記第2入力端子から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1入力切換部が前記第1入力端子に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力端子に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記第1入力端子から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力端子から前記第1入力端子に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本願の発明は、オーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する第1入力端子と、前記放送受信装置以外の装置からの信号を入力する第2入力端子と、前記第1入力端子及び前記第2入力端子から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1出力部及び前記第2出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記第1入力切換部が前記第1入力端子に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力端子に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記第1入力端子から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力端子から前記第1入力端子に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本願の発明は、オーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する入力端子と、前記入力端子から入力する信号に信号処理を施し増幅して出力する出力部と、前記出力部から出力された信号の出力先を切り換える入力切換部と、前記入力切換部から出力された信号を出力する第1出力端子及び第2出力端子と、前記入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記入力端子から入力する信号を前記第1出力端子及び前記第2出力端子から出力するよう前記入力切換部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本願の発明は、オーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号が入力する入力端子と、前記入力端子から入力する信号に信号処理を施し増幅して出力する出力部と、前記出力部から出力された信号の出力先を切り換える入力切換部と、前記入力切換部から出力された信号を外部に出力する第1出力端子及び第2出力端子と、前記入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記入力端子から入力する信号を前記第1出力端子及び前記第2出力端子から出力するよう前記入力切換部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本願の発明は、前述したオーディオ信号出力装置において、前記緊急警報信号検出部は、アナログテレビジョン放送、ラジオ放送、地上波デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送のうちの少なくとも一つの放送の緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信装置から入力する信号から緊急警報信号を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の部屋に配置されたスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、1台の装置により複数の部屋に確実に緊急警報放送を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明のオーディオ信号出力装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明のオーディオ信号出力装置は、例えば、オーディオ・ビジュアル(Audio Visual:AV)アンプであり、複数の装置を接続する複数の入力端子を備え、入力した信号をそれぞれ別々の出力先に出力する複数の出力端子を備える。例えば、当該AVアンプは、CDプレーヤから入力したオーディオ信号を視聴ルーム(ゾーンA)に設置されたスピーカに出力し、ミニ・ディスク(Mini Disk:MD)プレーヤから入力したオーディオ信号をベッドルーム(ゾーンB)に設置されたスピーカに出力することができる。本実施例において、オーディオ信号出力装置は、3つの入力端子を備え、3つの出力端子を備えるものとして説明するが、それに限定されず、2又は4以上の入力端子を備え、2又は4以上の出力部を備えていてもよい。
【0019】
オーディオ信号出力装置は、第1入力端子1a〜第3入力端子1c、緊急警報信号検出部2、第1入力切換部3a〜3c、第1出力部4a〜第3出力部4c、第1出力端子5a〜第3出力端子5c、操作部6、電源部7、制御部8を備える。
【0020】
オーディオ信号出力装置は、複数の入力端子(第1入力端子1a〜第3入力端子1c)を備える。第1入力端子1a〜第3入力端子1cには、ディスクプレーヤ、テーププレーヤ、テレビジョン受信機、ラジオ受信機、緊急警報放送受信装置等が接続される。本実施例では、第1入力端子1aに緊急警報放送受信装置9、第2入力端子1bにCDプレーヤ10、第3入力端子1cにMDプレーヤ11が接続されている。
【0021】
本実施例では、緊急警報放送を受信する装置として専用の緊急警報放送受信装置を例に挙げて説明する。緊急警報放送は、アナログテレビジョン放送、ラジオ放送、地上波デジタルテレビジョン放送、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送で実施されており、本実施例の緊急警報放送受信装置は、前述した放送のラジオ受信機やテレビジョン受信機であってもよい。
【0022】
緊急警報信号検出部2は、緊急警報放送受信装置9が接続されている第1入力端子1aから入力する信号を復調し、緊急警報信号を検出し、緊急警報信号を検出すると検出信号を後述する制御部8に出力する。
【0023】
緊急警報信号は、アナログ放送では、ラジオ放送やテレビ放送の音声信号として放送局から送信される。アナログ方式の緊急警報信号は、64bps(bit per second)のFSK(frequency shift keying)信号であり、640Hzと1024Hzの2つの信号の組み合わせである。緊急警報信号には、「ピロピロ」等の音の開始信号と終了信号があり、開始信号と終了信号が一対となり緊急警報放送として放送される。開始信号と終了信号との間には、緊急警報情報のアナウンスやテロップが挿入される。緊急警報信号検出部2は、入力端子1aから入力する信号から緊急警報信号の開始信号を検出した場合、後述する制御部8に検出信号を出力する。
【0024】
緊急警報放送では予め定めた時刻(例えば、深夜12時)に試験放送が行われており、当該試験放送は終了信号のみが送信される。緊急警報信号検出部2は、緊急警報信号の終了信号のみを受信した場合には検出信号を制御部8に出力しない。このことにより、緊急警報信号検出部2は、緊急警報放送の試験放送を除いた緊急警報信号を検出し、後述する制御部8に通知することができる。
【0025】
デジタル方式の緊急警報信号は、デジタル放送に関するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)情報のデータ構成が用いられ、緊急警報情報であることを示す記述子タグ(0xFC)、緊急警報情報(アナウンスやテロップ)の送出開始、送出中、送出終了を示す開始/終了フラグ等を備える。デジタル放送の場合も、データストリーム内に「ピロピロ」等の音の緊急警報信号が記録され放送局から送信される。緊急警報信号検出部2は、入力端子1aから入力する信号から前記記述子タグを検出した場合、後述する制御部8に検出信号を出力する。
【0026】
第1入力切換部3a〜第3入力切換部3cは、後述する制御部8の制御により、後段の第1出力部4a〜第3出力部4cに出力する信号を、第1入力端子1a〜第3入力端子1cから入力した複数のオーディオ信号の中から切り換える。
【0027】
第1出力部4a〜第3出力部4cは、それぞれ第1信号処理部12a〜第3信号処理部12c、第1増幅部13a〜第3増幅部13cを備える。第1信号処理部12a〜第3信号処理部12cは、後述する制御部8の制御により、入力したオーディオ信号に対して符号化、伸張処理等の信号処理を施し出力する。第1増幅部13a〜第3増幅部13cは、それぞれ第1信号処理部12a〜第3信号処理部12cから入力した信号を増幅し、増幅したオーディオ信号をそれぞれ第1出力端子4a〜第3出力端子4cに出力する。
【0028】
第1出力端子5a〜第3出力端子5cは、第1出力部4a〜第3出力部4cからそれぞれ出力された信号をそれぞれスピーカに出力する。
【0029】
当該オーディオ信号出力装置は、複数の入力端子(第1入力端子1a〜第3入力端子1c)を介して複数の装置(緊急警報放送受信装置9、CDプレーヤ10、MDプレーヤ11)から入力される複数のオーディオ信号を、それぞれ異なる出力先(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3)のスピーカに出力できるように、各入力端子に対応して複数の入力切換部(第1入力切換部3a〜第3入力切換部3c)、複数の出力部(第1出力部3a〜第3出力部3c)及び複数の出力端子(第1出力端子5a〜第3出力端子5c)を備える。
【0030】
オーディオ信号出力装置は、後述する制御部8の制御により、例えば、緊急警報放送受信装置9から入力したオーディオ信号を第1入力切換部3a、第1出力部4a及び第1出力端子5aを介してリビングルーム(ゾーン1)に設置されたスピーカ(第1スピーカ14a)に出力し、CDプレーヤ10から入力した信号を第2入力切換部3b、第2出力部4b及び第2出力端子5bを介して視聴ルーム(ゾーン2)に設置されたスピーカ(第1スピーカ14b)に出力し、MDプレーヤ11から入力した信号を第3入力切換部3c、第3出力部4c及び第3出力端子5cを介してベッドルーム(ゾーン3)に設置されたスピーカ(第1スピーカ14c)に出力することができる。
【0031】
操作部6は、電源のオン・オフ・スタンバイ(待機)を切り換える電源スイッチ、第1入力端子1a〜第3入力端子1cから入力したオーディオ信号をどの出力先(第1出力端子5a(第1スピーカ14a)〜第3出力端子5c(第3スピーカ14c))に出力するかの設定をする入出力設定スイッチ、オーディオ信号の出力音量を調整する音量調整ボリューム等を備える。操作部6は、各スイッチ及びボリュームの設定スイッチの切換に基づいて後述する制御部8に指示信号を出力する。
【0032】
電源部7は、商用交流電源等から供給される電力を各回路に供給する。電源部7は、オン、オフ、スタンバイの状態を有する。電源部7がオフ状態の場合、装置内部の全ての回路への電力の供給が停止される。電源部7がスタンバイ状態の場合、出力部等の回路には電力が供給されないが、制御部、リモコン受信部(図示せず)には電力が供給される。リモコンによる電源オンの指示を入力した場合、リモコン受信部から電源オンの指示信号が制御部8に入力されると、制御部8は、電源部7に対し他の回路(出力部等)に電力を供給するよう制御する。電源部7がオフ状態の場合、制御部8、リモコン受信部を含め全ての回路への電力の供給が停止される。操作部6の電源スイッチのオン・オフ・スタンバイに基づいて各回路への電力の供給又は供給の停止を切り換える。電源部7は、スタンバイ状態の場合であっても後述する制御部8及び緊急警報信号検出部2に電力を供給する。
【0033】
制御部8は、オーディオ信号出力装置を総合的に制御する。制御部8は、操作部6からの指示信号に基づいて、第1入力端子1a〜第3入力端子1cから入力した信号を操作部6により設定された出力先(第1出力端子5a(第1スピーカ14a)〜第3出力端子5c(第3スピーカ14c))に出力するように第1入力切換部3a〜第3入力切換部3cを切り換える制御を行う。制御部8は、第1出力部4a〜第3出力部4cの第1信号処理部12a〜第3信号処理部12c、第1増幅部13a〜第3増幅部13cの制御を行う。
【0034】
制御部8は、緊急警報信号検出部2から検出信号が入力された場合、緊急警報放送受信装置9から入力する信号を、第1出力端子5a〜第3出力端子5cの全てから出力するよう第1入力切換部3a〜第3入力切換部3cに入力する信号の切り換えを制御する。
【0035】
例えば、制御部8は、第2出力端子5bからCDプレーヤ10のオーディオ信号を出力し、第3出力端子5cからMDプレーヤ11のオーディオ信号を出力し、緊急警報信号検出部2が緊急警報放送受信装置9の信号から緊急警報信号を検出し、当該緊急警報信号検出部2から検出信号の入力があった場合、第1出力端子5a〜第3出力端子5cの全てから緊急警報放送受信装置9から入力する信号を出力するように第2入力切換部3b及び第3入力切換部3cにおいて入力する信号を緊急警報放送受信装置9側に切り換える制御を行う。
【0036】
また、制御部8は、電源部7がスタンバイ状態の場合でも、緊急警報信号検出部2において緊急警報信号が入力されたことを検出し、緊急警報信号検出部2から検出信号が入力されると、電源部7を制御し、オン状態に切り換える。その後、第1入力切換部3a〜第3入力切換部3cを制御し、全ての入出力切換部において切り換えスイッチを第1入力端子1a(緊急警報放送受信装置9)側に切り換え、第1出力端子5a〜第3出力端子5cからそれぞれ緊急警報放送受信装置9から入力した信号を出力させる。
【0037】
このことにより、オーディオ信号出力装置がスタンバイ状態の場合であっても、緊急警報放送を緊急警報放送受信装置9が受信すると、自動的に、第1出力端子5a〜第3出力端子5cから緊急警報放送を出力するため、ユーザが異なる部屋で確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0038】
本実施例のオーディオ信号出力装置の動作について、図1及び図2に基づいて説明する。
図2は、本実施例のオーディオ信号出力装置において緊急警報信号を検出した場合の動作を説明する図である。
図1において、オーディオ信号出力装置は、第1入力端子1aに緊急警報放送受信装置9が接続され、第2入力端子1bにCDプレーヤ10が接続され、第3入力端子1cにMDプレーヤ11が接続されている。
【0039】
操作部6の設定により、第1スピーカ14a(第1出力端子5a)から緊急警報放送受信装置9の信号を出力するように設定され、第2スピーカ14b(第2出力端子5b)からCDプレーヤ10のオーディオ信号を出力するように設定され、第3スピーカ14c(第3出力端子5c)からMDプレーヤ11のオーディオ信号を出力するように設定されている場合、図2(a)に示すように、第1入力切換部3aは、切り換えスイッチが緊急警報放送受信装置9側に接続し、第2入力切換部3bは、切り換えスイッチがCDプレーヤ10側に接続し、第3入力切換部3cは、切り換えスイッチがMDプレーヤ11側に接続する。
【0040】
図1に示す緊急警報信号検出部2は、第1入力端子1aから入力する信号を常に監視する。緊急警報放送受信装置9から緊急警報信号が出力されると、緊急警報信号検出部2は、緊急警報放送受信装置9が接続されている第1入力端子1aから入力された信号から緊急警報信号を検出し、制御部8に検出信号を出力する。
【0041】
制御部8は、緊急警報信号検出部2から検出信号が入力されると、第2入力切換部3b及び第3入力切換部3cの切り換えスイッチを緊急警報放送受信装置9(第1入力端子1a)側に切り換える。すなわち、図2(b)に示すように、第2入力切換部3bにおいては、切り換えスイッチをCDプレーヤ10側から緊急警報放送受信装置9側に切り換え、第3入力切換部3cにおいては、切り換えスイッチをMDプレーヤ11側から緊急警報放送受信装置9側に切り換える。
【0042】
このことにより、第1出力部4a〜第3出力部4cの全てから緊急警報放送受信装置9側からの信号が、それぞれ第1出力端子5a〜第3出力端子5cを介して、ベットルーム(ゾーン1)に設置された第1スピーカ14a、視聴ルーム(ゾーン2)に設置された第2スピーカ14b、リビングルームに設置された第3スピーカ14cに出力される。
【0043】
したがって、CDプレーヤやMDプレーヤが再生したオーディオ信号をユーザが聴取している場合でも、オーディオ信号出力装置が緊急警報放送受信装置9からの緊急警報信号を検出すると、自動的に、緊急警報放送受信装置9の信号を全てのスピーカから出力するように切り換えを行う。このため、ユーザは、緊急警報放送が放送されると確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0044】
また、オーディオ信号出力装置が緊急警報信号を検出した場合に、自動的に、全てのスピーカから緊急警報放送が出力するように切り換えを行うため、スピーカが異なる部屋に配置されている場合、それぞれの部屋でユーザが確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0045】
また、オーディオ信号出力装置の電源がスタンバイ状態の場合でも、緊急警報信号検出部2が緊急警報信号を検出した場合、電源をスタンバイ状態からオン状態に切り換え、第1入力切換部3a〜第3入力切換部3cの切り換えを行うため、ユーザが確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0046】
前述した実施例において、緊急警報信号検出部2は、緊急警報放送受信装置9が接続されている第1入力端子1aから入力する信号のみから緊急警報信号の検出を行っているが、他の端子から入力する信号からも緊急警報信号を検出するようにしてもよい。例えば、当該オーディオ信号出力装置に、緊急警報信号受信装置以外に、テレビジョン受信機やラジオ受信機が接続されている場合、テレビジョン受信機が接続されている入力端子やラジオ受信機が接続されている入力端子からも緊急警報信号を検出するようにする。このことにより、緊急警報放送受信装置が正常に動作しない場合、テレビジョン受信機或いはラジオ受信機から緊急警報信号を検出することができ、異なる場所(部屋)にいる複数のユーザに対して確実に緊急警報信号を聴取させることができる。
【0047】
また、本実施例のオーディオ信号出力装置は、緊急警報信号を検出した場合、当該オーディオ信号出力装置の出力端子に接続されている全てのスピーカから緊急警報信号を出力するが、テレビジョン受信機以外にモニタ等の表示装置が接続されている場合、その表示装置に緊急警報放送のヒデオ信号も出力するようにしてもよい。
【0048】
例えば、第1入力端子にテレビジョン受信機が接続され、第2入力端子にDVDプレーヤが接続され、ビデオ出力端子にモニタが接続され、当該ビデオ出力端子からDVDプレーヤによって再生されたビデオ信号が出力され、モニタにDVDプレーヤが再生した映像を表示する場合がある。この場合、緊急警報信号検出部がテレビジョン受信機から入力する信号から緊急警報信号を検出すると、入力切換部により入力するオーディオ信号を全てテレビジョン受信機側に切り換えると共に、ビデオ出力端子に出力するビデオ信号の入力元もテレビジョン受信機側に切り換える。このことにより、緊急警報情報が文字情報のみで放送されている場合、モニタを視聴しているユーザは緊急警報放送を視聴することができる。
【0049】
前述したオーディオ信号出力装置は、複数の入力端子と複数の出力端子を備えるとして説明したが、入力端子が1つであり、出力端子を複数備える装置であっても本発明を適用できる。当該オーディオ信号出力装置は、外部の装置からの信号が入力される入力端子と、入力端子から入力したオーディオ信号に信号処理を施し増幅する出力部と、出力部から出力された信号を外部に出力することが可能な第1出力端子及び第2出力端子、出力部と第1出力端子及び第2出力端子との間に配置された入力切換部を備える。入力切換部は、制御部により制御され、出力部から出力される信号の出力先(第1出力端子、第2出力端子)を選択して切り換えを行う。また、当該オーディオ信号出力部は、前述した実施例で説明した緊急警報信号検出部を備える。
【0050】
入力端子から入力した信号が第1出力端子から出力されている状態において、緊急警報信号検出部が、入力端子から入力した信号から緊急警報信号を検出すると、検出信号を制御部に出力する。制御部は、検出信号が入力されると、入力切換部を制御し、出力部から出力された信号を第1出力端子及び第2出力端子から出力されるよう入力切換部の切り換えを行う。このことにより、入力端子から入力された信号が第1出力端子と第2出力端子から出力される。
【0051】
また、当該オーディオ信号出力装置の電源部がスタンバイ状態の場合、前述した実施例と同様に、制御部は、緊急警報信号検出部から緊急警報信号を検出したことを示す検出信号が入力されると、電源部をオン状態にし、入力切換部を制御し、出力部から出力された信号を第1出力端子及び第2出力端子から出力されるよう入力切換部の切り換えを行う。
【0052】
このように、入力端子が1つであり、出力端子を複数備えるオーディオ信号出力装置であっても、入力端子から入力する信号から緊急警報信号を検出すると、自動的に、入力端子から入力する信号(緊急警報信号)を全ての出力端子(スピーカ)から出力するように切り換えを行う。このため、ユーザは、緊急警報放送が放送されると確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0053】
また、オーディオ信号出力装置が緊急警報信号を検出した場合に、自動的に、全てのスピーカから緊急警報放送が出力するように切り換えを行うため、スピーカが異なる部屋に配置されている場合でも、それぞれの部屋でユーザが確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【0054】
また、オーディオ信号出力装置の電源部がスタンバイ状態の場合、緊急警報信号検出部2が緊急警報信号を検出すると、電源部をスタンバイ状態からオン状態に切り換え、入力切換部の切り換えを行い、全ての出力端子から外部に信号を出力するため、ユーザが確実に緊急警報放送を聴取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のオーディオ信号出力装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施例のオーディオ信号出力装置において緊急警報信号を検出した場合の動作を説明する図。
【符号の説明】
【0056】
1a・・・第1入力端子、1b・・・第2入力端子、1c・・・入力端子、2・・・緊急警報信号検出部、3a・・・第1入力切換部、3b・・・第2入力切換部、3c・・・第3入力切換部、4a・・・第1出力部、4b・・・第2出力部、4c・・・第3出力部、5a・・・第1出力端子、5b・・・第2出力端子、5c・・・第3出力端子、6・・・操作部、7・・・電源部、8・・・制御部、9・・・緊急警報放送受信装置、10・・・CDプレーヤ、11・・・MDプレーヤ、12a・・・第1信号処理部、12b・・・第2信号処理部、12c・・・第3信号処理部、13a・・・第1増幅部、13b・・・第2増幅部、13c・・・第3増幅部、14a・・・第1スピーカ、14b・・・第2スピーカ、14c・・・第3スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部屋に配置された複数のスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信回路からの信号を入力する第1入力部と、音響装置からの信号を入力する第2入力部と、前記第1入力部及び前記第2入力部から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力部から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1入力切換部が前記第1入力部に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力部に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記第1入力部から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力部から前記第1入力部に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項2】
複数の部屋に配置された複数のスピーカにオーディオ信号を出力することが可能な出力端子を備えたオーディオ信号出力装置において、緊急警報放送を受信することが可能な放送受信回路からの信号を入力する第1入力部と、音響機器からの信号を入力する第2入力部と、前記第1入力部及び前記第2入力部から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力部から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1出力部及び前記第2出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記第1入力切換部が前記第1入力部に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力部に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記第1入力部から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力部から前記第1入力部に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項3】
緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する第1入力端子と、前記放送受信装置以外の装置からの信号を入力する第2入力端子と、前記第1入力端子及び前記第2入力端子から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1入力切換部が前記第1入力端子に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力端子に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記第1入力端子から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力端子から前記第1入力端子に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項4】
緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する第1入力端子と、前記放送受信装置以外の装置からの信号を入力する第2入力端子と、前記第1入力端子及び前記第2入力端子から入力する信号を切り換えて出力する第1入力切換部及び第2入力切換部と、前記第1入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第1出力部と、前記第2入力切換部から出力された信号に信号処理を施し増幅して出力する第2出力部と、前記第1出力部から出力された信号を出力する第1出力端子と、前記第2出力部から出力された信号を出力する第2出力端子と、前記第1入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記第1出力部及び前記第2出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記第1入力切換部が前記第1入力端子に接続され、前記第2入力切換部が前記第2入力端子に接続され、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記第1入力端子から入力する信号を前記第2出力端子から出力するよう前記第2入力切換部を前記第2入力端子から前記第1入力端子に切り換える制御をする制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項5】
緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号を入力する入力端子と、前記入力端子から入力する信号に信号処理を施し増幅して出力する出力部と、前記出力部から出力された信号の出力先を切り換える入力切換部と、前記入力切換部から出力された信号を出力する第1出力端子及び第2出力端子と、前記入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記入力端子から入力する信号を前記第1出力端子及び前記第2出力端子から出力するよう前記入力切換部を制御する制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項6】
緊急警報放送を受信することが可能な放送受信装置からの信号が入力する入力端子と、前記入力端子から入力する信号に信号処理を施し増幅して出力する出力部と、前記出力部から出力された信号の出力先を切り換える入力切換部と、前記入力切換部から出力された信号を外部に出力する第1出力端子及び第2出力端子と、前記入力端子から入力する信号から緊急警報放送の信号を検出した場合に検出信号を出力する緊急警報信号検出部と、前記出力部に電力を供給する電源部と、前記電源部がスタンバイ状態であり前記緊急警報信号検出部から検出信号が入力したときに前記電源部をオン状態にし前記入力端子から入力する信号を前記第1出力端子及び前記第2出力端子から出力するよう前記入力切換部を制御する制御部とを備えることを特徴とするオーディオ信号出力装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6記載のオーディオ信号出力装置において、前記緊急警報信号検出部は、アナログテレビジョン放送、ラジオ放送、地上波デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送のうちの少なくとも一つの放送の緊急警報放送を受信する緊急警報放送受信装置から入力する信号から緊急警報信号を検出することを特徴とするオーディオ信号出力装置。

【図1】
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【図2】
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