説明

オーディオ/ビデオ再生装置及びオーディオ/ビデオシステム

【課題】電源遮断等の後でデータ再生を再開する場合に当該データの前回の続きの位置から切れ目なく再生出力を行うことができる「オーディオ/ビデオ再生装置及びオーディオ/ビデオシステム」を提供すること。
【解決手段】外部機器20からオーディオ/ビデオデータを受信して再生出力する機能を備えたオーディオ/ビデオ再生装置10は、オーディオ/ビデオデータの受信及び再生出力に際し当該データを逐次蓄積しながら逐次出力するバッファ手段12a,12bと、このバッファ手段に対しデータの入出力を制御する制御手段11を備える。この制御手段11により、外部機器20から受信してバッファ手段12a,12bに蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を外部機器20に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ/ビデオ(A/V)再生装置及びA/Vシステムに関し、特に、外部機器からA/Vデータを受信して再生出力するA/V再生装置において当該データの受信時から出力するまでの間に必然的に生じる時間遅れに起因して発生する不都合を解消するのに有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD、DVD、HDD、半導体メモリ等の各種の記録媒体に格納されたオーディオ/ビデオデータを用いて、音楽/映像再生を行うオーディオ/ビデオ(A/V)再生装置が普及し始めている。かかるA/V再生装置は、音楽/映像再生に特化した装置の他にも、HDDを備えたパーソナルコンピュータ(PC)や車載用コンピュータ(例えば、ナビゲーション装置など)を用いて、所定の動作プログラムを実行するという形態で実現されている場合も多い。
【0003】
例えば、車載システムを例にとると、車載のA/V再生装置に、A/Vデータを供給する機能を備えた外部機器、例えば、近年脚光を浴びているiPod(アップル・コンピュータ社製のデジタル音楽プレーヤ)などのような、再生用のオーディオデータを格納した携帯端末をUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等で接続し、この外部機器からデータを受信して再生出力を行うことで、車載スピーカ等から音楽を聴くことができる。かかるシステムにおいて、A/Vデータの供給元である外部機器では、A/V再生装置に対してデータを出力しながら当該データのどの位置まで出力したか(出力位置)を継続的に記憶している。そして、電源遮断等によりそのデータ出力が停止された場合には、次にその続きを出力する際に、その記憶内容に基づいてデータ出力の開始位置を決定するようにしている。これにより、A/Vデータの供給元(外部機器)から見れば、当該再生装置に対して、見かけ上は切れ目のないA/Vデータを供給することができる。
【0004】
上記の従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、ハードディスク装置等の記録媒体に格納された楽曲データを用いて音楽再生を行う音楽再生装置において、煩雑な操作を行うことなく再生済みの楽曲を重複させずに楽曲再生を行えるようにしたものがある。
【特許文献1】特開2003−132662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来のA/Vシステムでは、A/V再生装置にデータを供給する外部機器に、当該データをどの位置まで出力したかを継続的に記憶しておく機能を備えることにより、電源遮断等によりそのデータ出力が途切れた場合に、次にその続きを出力する際にその記憶内容に基づいてデータ出力の開始位置を決定するようにしている。従って、A/Vデータの供給元である外部機器の側から見れば、当該再生装置に対して、切れ目のないA/Vデータの再生出力を提供しているはずである。
【0006】
しかしながら、A/Vデータの供給先である再生装置の側から見たときに、以下に記述する不都合があった。
【0007】
すなわち、再生装置には通常A/Vデータを受信してから出力するまで時間調整を行うためにバッファが内蔵されており、このため、再生装置においては、外部機器からA/Vデータを受信した時点から当該データをスピーカ等に出力する時点までの間に、そのバッファの蓄積容量に応じた時間の「遅れ」が必然的に生じることになる。図3はその場合の一例を概略的に示したものであり、受信用のバッファ1aと出力用のバッファ1bを内蔵した再生装置1が外部機器2からA/Vデータを受信して再生出力する場合のデータフローの様子を示している。このデータフローに示すように、外部機器2からA/Vデータを受信した時点(図中、Aで示す部分)から再生装置1の出力時点(図中、Bで示す部分)までの間に一定のタイムラグ(時間遅れ)が生じている。
【0008】
このため、いったん電源を切った後の再生再開時や外部機器を取り外して外部機器が単独で続きを再生する場合に、当該再生装置(バッファ)内に蓄えられていたデータ分の再生が「とばされる」といった問題が生じる。例えば、車載のA/V再生装置において楽曲データを外部機器から受信して再生出力している状態で、車のキーを抜いて電源を切った後(このとき、バッファ内に蓄えられていた分のデータは消失する)、車に戻ってその続きを視聴しようとしたときに、A/Vデータの供給元(外部機器)ではその記憶内容に従って当該データを前回の続きの位置から切れ目なく出力したつもりでも、当該再生装置ではバッファ内のデータがとんでいるため、外部機器から供給される「前回の続きの位置」は、再生装置から見れば「前回の続きの位置」ではなく、電源を切った時点で出力されていたデータ位置からバッファ内のデータ分だけ時間的に後の位置に相当する。つまり、消失したバッファ内のデータ分だけ再生がとばされ、この間のデータを視聴することができないといった課題があった。
【0009】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、電源遮断等の後でデータ再生を再開する場合に当該データの前回の続きの位置から切れ目なく再生出力を行うことができるオーディオ/ビデオ(A/V)再生装置及びA/Vシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の従来技術の課題を解決するため、本発明によれば、オーディオ/ビデオデータを供給する機能を備えた外部機器に通信可能に接続され、該外部機器からオーディオ/ビデオデータを受信して再生出力する機能を備えたオーディオ/ビデオ再生装置であって、前記オーディオ/ビデオデータの受信及び再生出力に際し当該データを逐次蓄積しながら逐次出力するバッファ手段と、前記バッファ手段に対しデータの入出力を制御すると共に、前記外部機器から受信して前記バッファ手段に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を前記外部機器に通知する制御手段とを備えたことを特徴とするオーディオ/ビデオ再生装置が提供される。
【0011】
本発明に係るオーディオ/ビデオ(A/V)再生装置によれば、制御手段により、外部機器から受信したA/Vデータをバッファ手段に逐次蓄積しながら逐次出力して当該データの再生出力を行う一方で、バッファ手段に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を外部機器に通知するようにしている。これにより、外部機器では、A/V再生装置に対して現在出力しているデータの位置は、A/V再生装置から現在出力されているデータの位置から、その通知された「データの残量」に応じた時間分だけ後の位置に相当することを知ることができる。つまり、A/V再生装置内に蓄えられ未だ出力されていない「データの残量」を通知されることで、当該再生装置における実際の再生出力位置を認識することができる。
【0012】
従って、電源遮断等によりA/V再生装置に対する当該データの出力が停止された後で当該データの再生を再開する場合に、外部機器から当該再生装置に対し、上記の「データの残量」から認識された実際の再生出力位置の続きの位置から当該データを供給することができる。これにより、当該再生装置では、従来技術に見られたようなデータの「跳び」を生じることなく、当該データの前回の続きの位置から切れ目なく再生出力を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の他の形態によれば、上記の形態に係るA/V再生装置と、該A/V再生装置にA/Vデータを出力しながら当該データのどの位置まで出力したかを継続的に記憶しておく機能を備えた外部機器とを具備し、前記外部機器は、前記A/V再生装置から前記バッファ手段におけるデータの残量を指示する情報の通知を受信したときに、該受信時点で記憶されているデータの出力位置を、該出力位置から当該データの残量に応じた時間だけ遡った時点に修正することを特徴とするA/Vシステムが提供される。
【0014】
本発明に係るA/V再生装置及びA/Vシステムの他の構成上の特徴及び具体的な動作態様については、後述する発明の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る車載用オーディオ/ビデオ(A/V)再生装置の構成を概略的に示したものである。本実施形態では、本発明に係るA/V再生装置を車載システムの一部として組み込んだ場合の構成例を示しており、例えば、CD再生装置やDVD再生装置などの車載機器の一部として組み込んだ場合の概略構成を示している。
【0017】
本実施形態に係る車載用A/V再生装置10は、図示のように中央処理演算装置(CPU)11と、ランダムアクセスメモリ(RAM)12と、USBコントローラ13と、A/Vデコード等処理部14と、接続認証制御部15とを備えている。このA/V再生装置10は、特に図示はしないが他の車載機器(ナビゲーションユニットや、ラジオ受信機、TV受信機などの他のA/V機器)と共にバスに接続され、さらにバスを介してアンプユニット16、表示ユニット18及び操作ユニット19に接続されている。アンプユニット16にはスピーカ17が接続されている。
【0018】
また、A/V再生装置10は、A/Vデータを供給する機能を備えた携帯型A/V機器20にUSBケーブルを介して接続され、この携帯型A/V機器20からA/Vデータを受信して再生出力する機能を備えている。さらに本発明に関連する処理として、後述するようにバッファ手段(RAM12)に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を携帯型A/V機器20に通知する機能を有している。
【0019】
一方、携帯型A/V機器20は、A/Vデータを供給する機能の他に、当該データの供給先であるA/V再生装置10に対して当該データのどの位置まで出力したかを継続的に記憶しておく機能も備えている。例えば、供給しているA/Vデータが楽曲のデータの場合、その曲の開始時点から何秒もしくは何分何秒経過しているかを指示する時間情報を順次更新しながら記憶する。さらに本発明に関連する処理として、後述するように、A/V再生装置10からRAM12内のデータ残量を指示する情報の通知を受信したときに、その受信時点で記憶されているデータの出力位置を、この出力位置から当該データ残量に応じた時間だけ遡った時点に修正する機能を有している。携帯型A/V機器20としては、例えば、前述した「iPod」などのような携帯端末が考えられる。iPodの場合、インターネット等を介して配信されたMP3(MPEG Audio Layer-3)形式等の音楽ファイルをいったんパーソナルコンピュータ(PC)に取り込み、このPCからiPodにチェックアウト(転送)した音楽ファイルの情報をイヤホン等で聴くことができるが、本実施形態の車載システムに適用するに際しては、当該音楽ファイルの情報(オーディオデータ)をA/V再生装置10に取り込んで再生出力することになる。
【0020】
本実施形態に係る車載用A/V再生装置10において、CPU11は、基本的には本装置10において行うA/Vデータの受信及び再生出力に係る処理を制御するものであり、さらに本発明に関連する処理として、後述するようにバッファ手段(RAM12)に蓄積され未だ出力されていない「データの残量」の携帯型A/V機器20への通知に係る処理を制御する機能を有している。本実施形態では、車載機器は突然の電源遮断などによりその動作の停止が頻繁に行われることが予想されるため、上記の「データの残量」の通知を再生装置10側から自発的に、十分に短い所定の時間周期(例えば、100ms)毎に行うようにしている。
【0021】
RAM12は、本装置10にA/Vデータを受信してから出力するまで時間調整を行うためのものであり、携帯型A/V機器20から出力されるA/Vデータ(PCM形式の非圧縮データ、MP3形式等の圧縮データなど)をそれぞれ所定時間分格納しておくための受信バッファ12a及び出力バッファ12bを内蔵している。各バッファ12a,12bは、CPU11からの制御に基づいて、それぞれ当該データを逐次蓄積しながら逐次出力する。各バッファ12a,12bに格納されるデータ量(所定時間分)はそれぞれ容量に依存して決定され、例えば、各バッファ12a,12bの蓄積容量は「8秒分」に設定されている(図2参照)。なお、本実施形態では、バッファ手段(記録媒体)としてRAM12を使用しているが、これに代えて、フラッシュメモリ等の他の記録媒体を使用してもよい。
【0022】
USBコントローラ13は、CPU11からの制御に基づき、携帯型A/V機器20との間でUSBケーブルを介したデータの授受を制御するためのインタフェースであり、本実施形態では、データ転送速度の高速化に対応したUSB2.0の規格に準拠したものを使用している。つまり、従来のLS(Low Speed) モード(1.5 Mbps)及びFS(Full Speed)モード(12 Mbps) に対応したUSB1.1の規格にHS(High Speed)モード(480 Mbps)を追加した転送モードに対応している。このUSBコントローラ13により、携帯型A/V機器20からのA/Vデータの受信及び当該データの受信バッファ12aへの格納が行われると共に、CPU11から指示された各バッファ12a,12b内のデータ残量を指示する情報が携帯型A/V機器20に通知される。なお、本実施形態では、USB2.0の規格に準拠したものを使用しているが、USB1.1の規格に準拠したものを使用してもよいことはもちろんである。この「USB1.1」は転送速度の点でやや劣るが、転送対象のA/Vデータが「圧縮」データの場合には「非圧縮」の場合と比べてデータ量が少ないので、その転送に要する時間も短くてすむ。
【0023】
A/Vデコード等処理部14は、CPU11からの制御に基づき、RAM12から出力されたA/Vデータ(デジタル)の各種デコード処理を行うための機能ブロックであり、そのデータがMP3やATRAC3(Adaptive TRansform Acoustic Coding 3)等のフォーマットで圧縮されている場合には元のデータに復元する処理(伸長処理)を行い、また、そのデータが暗号化されている場合にはその解読処理を行う。例えば、DVD再生装置の一部として組み込んだ場合、このA/Vデコード等処理部14では、入力されたデータ信号をオーディオビットストリーム、メインピクチャ(映像情報)ビットストリーム及びサブピクチャ(文字情報)ビットストリームに分離した後、各ビットストリームをそれぞれデコード処理し、デコードされたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換して出力(オーディオ再生出力)すると共に、デコードされたメインピクチャ信号とサブピクチャ信号をデジタル合成した後、アナログビデオ信号に変換して出力(ビデオ再生出力)する。このA/Vデコード等処理部14を通して再生出力されたデータは、バスを介してアンプユニット16に送られ、適宜音量や音質等の制御が行われ増幅された後、スピーカ17を通して音声出力され、また、バスを介して表示ユニット18に送られ、その画面に映像情報として表示される。
【0024】
接続認証制御部15は、再生出力の対象となるA/Vデータの著作権保護の観点から、接続した相手側の機器との間で認証を行うためのものである。例えば、本装置10において楽曲データを外部機器(この場合、携帯型A/V機器20)から受信して再生出力している状態で、USBケーブルを引き抜くなどしてその再生出力が停止された後、データ再生を再開するために当該外部機器に接続したときに、接続認証制御部15は、CPU11と協働して、その接続した外部機器が当初のA/Vデータの供給元であるかどうかを確認する。
【0025】
スピーカ17は、車室内の所定の場所に所要の個数設置されており、例えば、リア席が1列の場合であれば少なくともリア席の左右の近傍とフロント席の左右の近傍にそれぞれ2個ずつ、計4個のスピーカが設けられている。
【0026】
表示ユニット18は、運転者と助手席の乗員が共用できるように両座席の中間のセンターコンソール上に設置されており、例えば、デュアル表示タイプのLCDモニタ(「デュアルディスプレイ」ともいう。)からなり、これは同じ画面を右方向(運転席の側)から見た場合と左方向(助手席の側)から見た場合とでそれぞれ違う画像を同時に表示することができるものである。このデュアルディスプレイ(表示ユニット18)の画面には、ナビゲーションユニットから出力された各種の映像情報(自車位置の周囲の地図、目的地までの誘導経路、施設検索に係る案内情報など)や、本装置10を含めて他のA/V機器から出力された各種の映像情報(音楽ファイルの内容に関する情報であれば、楽曲名、アーティスト名、アルバム名など)の他に、操作ユニット19を介して入力された各種操作指示に関連した情報や操作画面なども表示される。
【0027】
操作ユニット19は、例えば、センターコンソール上で表示ユニット18の下方に「操作パネル」の形態で設置されている。この「操作パネル」には、特に図示はしないが、ユーザが指示した情報を入力するための各種操作キーが設けられており、例えば、電源のオン/オフキー、再生動作を行わせるための再生キー、次曲/前曲をサーチするためのシークキー、再生動作を停止させるための停止キー、表示ユニット18の画面に各種操作画面を表示させたり、画面上の各種メニューや項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させるための各種操作ボタン等が含まれる。操作ユニット19の形態としては、センターコンソール上に固定的に設けられた「操作パネル」以外に、赤外線通信等によりCPU11に接続される「リモコン」の形態でもよい。
【0028】
以上のように構成された本実施形態のA/V再生装置10を備えたA/Vシステムにおいて、CPU11は「制御手段」に、RAM12は「バッファ手段」に、携帯型A/V機器20は「外部機器」に、それぞれ対応している。
【0029】
以下、本実施形態に係る車載用A/V再生装置10において行うバッファ内のデータ残量の通知に係る動作について、その一例を示す図2を参照しながら説明する。なお、図2の例示では、本発明に関連する機能ブロック(CPU11、各バッファ12a,12b、携帯型A/V機器20)のみを示し、それ以外の機能ブロックについては図示を省略している。
【0030】
図2に示す動作例では、携帯型A/V機器20から受信した楽曲データ(曲A及びそれに続く曲B)を各バッファ12a,12bに逐次格納しながら逐次出力して当該データの再生出力(オーディオ出力)を行う一方で、CPU11から(USBコントローラ13を介して)外部機器20に対し、各バッファ12a,12b内に格納され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を通知している様子を示している。図示のように、外部機器20から再生装置10に対しては、曲Aの4分00秒分とそれに続く曲Bの10秒分までの出力を完了しており、再生装置10では、時間的に早い方のデータを格納する出力バッファ12bには、曲Aの3分54秒から4分00秒分までのデータと曲Bの00秒から02秒分までのデータ(計8秒分のデータ)が格納され、時間的に遅い方のデータを格納する受信バッファ12aには、曲Bの02秒から10秒分までのデータ(計8秒分のデータ)が格納されている。
【0031】
CPU11では、各バッファ12a,12b内に格納され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報として、当該データを再生出力するのに要する時間(この場合、16秒)を算出し、その旨を指示する情報「バッファ内未再生データ16秒分」を外部機器20に通知する。あるいは、この時間情報の代わりに、再生装置10における実際の再生完了位置(すなわち、外部機器20の出力完了時点から当該「データ残量」に応じた時間だけ遡った時点)を算出し、その旨を指示する情報「曲Aの3分54秒分まで再生完了」を外部機器20に通知するようにしてもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る車載用A/V再生装置10によれば、CPU11がRAM12(バッファ12a,12b)、USBコントローラ13及びA/Vデコード等処理部14と協働して、携帯型A/V機器20から受信したA/Vデータを各バッファ12a,12bに逐次蓄積しながら逐次出力して当該データの再生出力を行う一方で、各バッファ12a,12b内に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報(図2参照)を、所定の時間周期(100ms)毎に携帯型A/V機器20に通知するようにしている。携帯型A/V機器20では、A/V再生装置10に対して当該データのどの位置まで出力したか(出力位置)を継続的に記憶しており、当該再生装置10からバッファ内の「データ残量」の通知を受信したときに、その受信時点で記憶されているデータの出力位置を、この出力位置からその「データ残量」に応じた時間だけ遡った時点に修正する。
【0033】
従って、携帯型A/V機器20では、A/V再生装置10に対して現在出力しているデータの位置は、当該再生装置10から現在出力されているデータの位置から、その通知された「データ残量」に応じた時間分だけ後の位置に相当することを知ることができる。つまり、A/V再生装置10内に蓄えられ未だ出力されていない「データ残量」を通知されることで、当該再生装置10における実際の再生出力位置を認識することができる。
【0034】
これにより、電源遮断等によりA/V再生装置10に対するA/Vデータの出力が停止された後で当該データの再生を再開する場合に、携帯型A/V機器20から当該再生装置10に対し、上記の「データ残量」から認識された実際の再生出力位置の続きの位置から当該データを供給することができる。その結果、A/V再生装置10では、従来技術に見られたようなバッファ内のデータの「跳び」を生じることなく、当該データの前回の続きの位置から切れ目なく再生出力を行うことができる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、再生装置10側から自動的に(100msの時間周期毎に)バッファ12a,12b内のデータ残量の通知を行うようにしたが、データ残量の通知を行う方法もしくはタイミングがこれに限定されないことはもちろんである。例えば、データ残量の通知を、再生装置側から自発的に行うのではなく、A/Vデータの供給元である外部機器から問い合わせる形で行わせるようにしてもよい。例えば、外部機器(携帯型A/V機器20)に設けられたスイッチ等による「電源オフ」の操作に基づき、まもなく電源が切れてデータの出力が停止される旨を再生装置10側に通知し、これに応答して再生装置10から外部機器20に対してデータ残量を通知するようにしてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、車載用A/V再生装置10を車載システムの一部として組み込んだ場合を例にとって説明したが、本発明に係るA/V再生装置は、その要旨からも明らかなように、必ずしも車両に搭載される必要がないことはもちろんである。要は、上述したようにバッファ手段(RAM12)に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報(図2参照)をデータ供給元(外部機器20)に通知する機能を備えていれば十分であり、かかる機能を備えたA/V再生装置であれば、本発明は車載用に限らず、家庭用などの一般的なA/V関連機器及びそのシステムにも同様に適用することが可能である。例えば、最近普及しつつあるホームネットワーク等において設置型端末間(例えば、A/Vデータの「供給元」であるサーバとしてのホームPCと、当該データの「供給先」であるA/V再生機能を備えたテレビとの間)でも、本発明は同様に適用することが可能である。
【0037】
また、上述した実施形態では、車載用A/V再生装置10と外部機器20をUSBケーブルで接続した場合を例にとって説明したが、両者の通信接続形態は必ずしもケーブル等の有線接続である必要はなく、無線LAN等を利用した無線接続であってもよい。無線接続とする場合には、車載用A/V再生装置10においてUSBコントローラ13の代わりに、外部機器20との間で無線によるデータの授受を制御するためのインタフェース(無線LANモジュールや無線LANドライバ等)が設けられる。
【0038】
また、上述した実施形態では、車載用A/V再生装置10にA/Vデータを供給する外部機器として携帯型端末(携帯型A/V機器20)を例にとって説明したが、本発明の要旨からも明らかなように、A/Vデータの「供給元」は必ずしも携帯型端末である必要はなく、またホームネットワーク等における設置型端末である必要もないことはもちろんである。上述したように外部機器としては、A/Vデータを供給する機能、当該データの供給先に対してデータをどの位置まで出力したかを継続的に記憶しておく機能と共に、当該データの供給先から「データ残量」の通知を受けたときにその時点で記憶されているデータの出力位置を当該データ残量に応じた時間だけ遡った時点に修正する機能を備えていれば十分であり、例えば、かかる機能を備えた外部機器を車両等の移動体に搭載し、本装置10を搭載した車両との間で無線LAN等を構築するシステムにも同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用オーディオ/ビデオ(A/V)再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のA/V再生装置において行うバッファ内のデータ残量の通知に係る動作の一例を説明するための図である。
【図3】従来のバッファを内蔵した再生装置の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0040】
10…車載用オーディオ/ビデオ(A/V)再生装置、
11…CPU(制御手段)、
12…RAM(バッファ手段)、
13…USBコントローラ、
14…A/Vデコード等処理部、
17…スピーカ、
18…表示ユニット、
20…携帯型A/V機器(外部機器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ/ビデオデータを供給する機能を備えた外部機器に通信可能に接続され、該外部機器からオーディオ/ビデオデータを受信して再生出力する機能を備えたオーディオ/ビデオ再生装置であって、
前記オーディオ/ビデオデータの受信及び再生出力に際し当該データを逐次蓄積しながら逐次出力するバッファ手段と、
前記バッファ手段に対しデータの入出力を制御すると共に、前記外部機器から受信して前記バッファ手段に蓄積され未だ出力されていないデータの残量を指示する情報を前記外部機器に通知する制御手段とを備えたことを特徴とするオーディオ/ビデオ再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記データの残量を指示する情報を所定の時間周期毎に前記外部機器に通知することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ/ビデオ再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記外部機器からオーディオ/ビデオデータの出力を停止する旨の予告通知があったときに、前記データの残量を指示する情報を前記外部機器に通知することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ/ビデオ再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記データの残量を指示する情報として、当該データに基づき算出した当該データを再生出力するのに要する時間、又は実際の再生完了位置を指示する情報を前記外部機器に通知することを特徴とする請求項2又は3に記載のオーディオ/ビデオ再生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のオーディオ/ビデオ再生装置と、
該オーディオ/ビデオ再生装置にオーディオ/ビデオデータを出力しながら当該データのどの位置まで出力したかを継続的に記憶しておく機能を備えた外部機器とを具備し、
前記外部機器は、前記オーディオ/ビデオ再生装置から前記バッファ手段におけるデータの残量を指示する情報の通知を受信したときに、該受信時点で記憶されているデータの出力位置を、該出力位置から当該データの残量に応じた時間だけ遡った時点に修正することを特徴とするオーディオ/ビデオシステム。
【請求項6】
前記オーディオ/ビデオ再生装置は車両に搭載され、前記外部機器は携帯型端末であることを特徴とする請求項5に記載のオーディオ/ビデオシステム。
【請求項7】
前記オーディオ/ビデオ再生装置及び前記外部機器は、ともに設置型端末であることを特徴とする請求項5に記載のオーディオ/ビデオシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−323752(P2007−323752A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153861(P2006−153861)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】